JP3048647B2 - 電解用電極 - Google Patents

電解用電極

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JP3048647B2
JP3048647B2 JP2410066A JP41006690A JP3048647B2 JP 3048647 B2 JP3048647 B2 JP 3048647B2 JP 2410066 A JP2410066 A JP 2410066A JP 41006690 A JP41006690 A JP 41006690A JP 3048647 B2 JP3048647 B2 JP 3048647B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は新規な電解用電極に関し、さらに
詳しくは、海水や食塩水などの希薄塩化物水溶液を電解
して陽極に塩素を発生させる際のアノードとして有用な
電解用電極及びその製造法に関する。
【0002】海水や食塩水の希薄塩化物水溶液を電解し
てアノードに塩素を発生させ、この塩素と水酸イオンと
の反応により生成する次亜塩素酸イオンの殺菌性、漂白
力を利用して、例えば海中構造物への生物の付着防止、
プールや上下水道の水処理等を行なうことは公知であ
る。このうち、食塩水を電解液として使用する場合、食
塩の利用率を上げるため、電解槽出口での有効塩素濃度
は通常10000ppm前後の値とされる。
【0003】希薄塩化物水溶液の電解用アノード材料と
して、従来、白金被覆チタン電極、白金−イリジウム被
覆電極、白金−酸化パラジウム被覆電極、及び酸化ルテ
ニウム−酸化チタン被覆電極等が知られているが、これ
らは電解液中での電流効率が低く及び/又はその持続性
に欠けており、しかも電極の消耗も大きい等の欠点があ
る。
【0004】本発明者らは、上記の如き欠点のない電解
用電極を開発すべく鋭意研究を行なった結果、本発明を
完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、 (a) チタン又はチタン基合金よりなる電極基体と、 (b) 酸化チタン層を介して該電極基体表面に設けら
れた見掛密度が8〜19gcm 3の範囲内にある多孔性白
金被覆層と、 (c) 該多孔性白金被覆層の表面を被覆する酸化ロジ
ウム層と、 (d) 酸化パラジウム80〜100モル%及び酸化ロ
ジウム0〜20モル%を含有する酸化物被覆層とからな
ることを特徴とする電解用電極を提供するものである。
【0006】本発明によれば、上記本発明の電解用電極
は、 (i) 表面に薄い水素化チタン層を形成せしめたチタ
ン又はチタン基合金よりなる電極基体上に見掛密度が8
〜19g/cm3の範囲内にある多孔性白金被覆層を設け、
必要により酸素含有雰囲気中で焼成した後、 (ii) 該多孔性白金被覆層表面に、酸素含有雰囲気
中で熱分解して酸化ロジウムを生成しうるロジウム化合
物の溶液を塗布した後、酸素含有雰囲気中で熱処理し
て、該白金被覆層上に酸化ロジウム層を形成し、 (iii) さらに、酸素含有雰囲気中で熱分解して酸
化パラジウムを生成しうるパラジウム化合物及び場合に
より酸素含有雰囲気中で熱分解して酸化ロジウムを生成
しうるロジウム化合物を含有する溶液を塗布した後、酸
素含有雰囲気中で熱処理して、該酸化ロジウム層上に酸
化パラジウム及び場合により酸化ロジウムを含有する酸
化物層を形成することによって製造することができる。
【0007】以下、本発明の電解用電極をその製造法に
基いてさらに詳しく説明する。
【0008】本発明において使用される電極基体の材質
としては、チタン又はチタン基合金が挙げられる。チタ
ン基合金としては、チタンを主体とする耐食性のある導
電性の合金が使用され、例えばTi−Ta−Nb、Ti
−Pd、Ti−Zr、Ti−W、Ti−Al等の組合わ
せからなる、通常電極材料として使用されているTi基
合金が挙げられる。
【0009】これらの電極剤は板状、有孔板状、棒状、
網板状等の所望形状に加工して電極基材として用いるこ
とができる。
【0010】上記の如き電極基体には、通常行なわれて
いるように、予め前処理を施した後、中間層を設けるの
が望ましい。そのような前処理の好適具体例としては以
下に述べるものが挙げられる。
【0011】先ず、前述したチタン又はチタン合金より
なる電極基体(以下、チタン基体ということがある)表
面を常法に従い、例えばトリクロルエチレン、トリクロ
ルエタン等で洗浄し又はアルカリ溶液中の電解により脱
脂した後、フツ化水素濃度が約1〜約20重量%のフツ
化水素酸又はフツ化水素酸と硝酸、硫酸等の他の酸との
混酸で処理することにより、チタン基体表面の酸化膜を
除去するとともにチタン結晶粒界単位の粗面化を行な
う。該酸処理はチタン基体の表面状態に応じて常温ない
し約40℃の温度において数分間ないし十数分間行なう
ことができる。なお、粗面化を十分行なうためにブラス
ト処理を併用してもよい。
【0012】このように酸処理されたチタン基体表面を
濃硫酸と接触させて、該チタン結晶粒界内部表面を突起
状に細かく粗面化するとともに該チタン基体表面に水素
化チタンの薄い層を形成する。
【0013】使用する濃硫酸は一般に40〜80重量
%、好ましくは50〜60重量%粒度の濃度のものが適
当であり、この濃硫酸には必要により、処理の安定化を
図る目的で少量の硫酸ナトリウムその他の硫酸塩等を添
加してもよい。該濃硫酸との接触は通常チタン基体を濃
硫酸の浴中に浸漬することにより行なうことができ、そ
の際の浴温は一般に約100〜約150℃、好ましくは
約110〜約130℃の範囲内の温度とすることがで
き、また浸漬時間は通常0.5〜約10分間、好ましく
は約1〜約3分間で充分である。この硫酸処理により、
チタン結晶粒界内部表面を突起状に細かく粗面化すると
ともに、チタン基体の表面にごく薄い水素化チタンの皮
膜を形成させることができる。
【0014】硫酸処理されたチタン基体は硫酸浴から取
り出し、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気中で急冷してチタン基体の表面温度を約60℃以下に
低下させる。この急冷には洗浄も兼ねて大量の冷水を用
いるのが適当である。
【0015】このようにしてごく薄い水素化チタンの皮
膜を形成したチタン基体は、希フツ化水素酸又は希フツ
化物水溶液(例えばフツ化ナトリウム、フツ化カリウム
等)中で浸漬処理して該水素チタン皮膜を生長させ該皮
膜の均一化及び安定化を図る。ここで使用しうる希フツ
化水素酸又はフツ化物水溶液中のフツ化水素の濃度は一
般に0.05〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%の
範囲内とすることができ、また、これらの溶液による浸
漬処理の際の温度は一般に10〜40℃、好ましくは2
0〜30℃の範囲である。該処理はチタン基体表面に通
常0.5〜10ミクロン、好ましくは1〜3ミクロンの
厚さの水素化チタンの均一皮膜が形成されるまで行なう
ことができる。この水素化チタン(TiHy、ここでy
は1.5〜2の数である)は水素化の程度に応じて灰褐
色から黒褐色を呈するので、上記範囲の長さの水素化チ
タンの皮膜の生成は、経験的に該基体表面の色調の変化
を標準色源との明度対比によってコントロールすること
ができる。
【0016】このようにしてチタン基体表面を粗面化す
ると共に水素化チタンの皮膜を形成したチタン基体は、
適宜水洗等の処理を行なった後、その表面を多孔性白金
層で被覆する。
【0017】この多孔性白金層により被覆は通常電気メ
ツキ法により行なうことができる。この電気メツキ法に
使用しうるメツキ浴の組成としては、例えばH2Pt・
Cl6、(NH42PtCl6、K2PtCl6、Pt(N
3)2(NO2)2等の白金化合物を硫酸溶液(pH1〜
3)又はアンモニア水溶液に白金換算で約2〜約20g
/の濃度になるように溶解し、さらに必要に応じて浴
の安定化のために硫酸ナトリウム(酸性浴の場合)、亜
硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム(アルカリ性浴の場
合)等を少量添加した酸性又はアルカリ性のメツキ浴が
挙げられる。かかる組成のメツキ浴を用いての白金電気
メツキは、チタン基体表面に形成された水素化チタン皮
膜の分解をできるだけ抑制するため、所謂ストライクメ
ツキ等の高速メツキ法を用い約30〜約60℃の範囲内
に比較的低温で行なうのが望ましい。
【0018】この電気メツキにより、チタン基体の水素
化チタン皮膜上に多孔性の白金被覆層を形成せしめるこ
とができる。その際の白金被覆層の見掛密度は8〜19
g/cm3、好ましくは12〜18g/cm3の範囲内にあるの
が適当である。該多孔性被覆層の見掛密度が8g/cm3
り小さいと白金の結合強度が低下して剥離しやすくな
り、反対に19g/cm3を越えると後述する酸化パラジウ
ムの安定な担持が困難となる。白金被覆層の見掛密度の
コントロールは、例えば白金メツキ浴の浴組成及び/又
はメツキ条件(電流密度や電流波形等)を経験的に調整
することによって行なうことができる。
【0019】なお、より多孔性の高い白金金属被覆層を
得たい場合には、多孔質の白金金属層を形成した後、更
に化学的もしくは電気化学的方法によって多孔質状態を
高めることができる。
【0020】また、上記白金の電気メツキは上記基体上
への白金の被覆量が通常少なくとも0.2mg/cm2以上
となるまで継続する。白金の被覆量が0.mg/cm2より
少ないと後述する焼成処理に際して水素化チタン皮膜部
の酸化がすすみ過ぎて導電性が低下する傾向がみられ
る。白金の被覆量の上限は特に制限されないが、必要以
上に多くしてもそれに伴うだけの効果は得られず、却っ
て不経済となり、通常は5mg/cm2以下の被覆量で充分
である。白金の好適な被覆量は1〜3mg/cm2である。
【0021】ここで、多孔性白金被覆層における白金の
被覆量は、ケイ光X線分析法を用い次の如くして求めた
量である。すなわち、前述した如く前処理したチタン基
体上に前記の方法で種々の厚さに白金メツキを施し、そ
のメツキ量湿式分析法及びケイ光X線分析法により定量
し、両方法による分析値をグラフにプロツトして標準検
量線を作成しておき、次いで実際の試料をケイ光X線分
析にかけてその分析値及び標準検量線から白金の被覆量
を求める。
【0022】また、白金被覆層の見掛密度(δg/cm3
は、上記の如くして求めた白金の被覆量(ωg/cm3)と
試料の断面顕微鏡観察で求めた白金被覆層の厚さ(t c
m)からδ=ω/tによって求めたものである。
【0023】かようにして多孔性の白金被覆層を設けた
チタン基体は次いで大気中で焼成することにより、該白
金被覆層の下の水素化チタンの皮膜の層を熱分解して該
層中の水素化チタンを実質的に殆んどをチタン金属に戻
し、さらに白金被覆層との境界部近傍のチタンを低酸化
状態の酸化チタンに変えることができる。この焼成は一
般に約300〜約600℃、好ましくは約300〜約4
00℃の温度で10分〜4時間程度加熱することにより
行なうことができる。
【0024】これによりチタン基体表面にごく薄い導電
性の酸化チタン層が形成される。この酸化チタン層の厚
さは一般に100〜1,000Å、好ましくは200〜
600Åの範囲内にあるのが好適であり、また酸化チタ
ンの組成はTiOxとしてxが一般に1<x<2、特に
1.9<x<2の範囲にあるのが望ましい。
【0025】また別法として、白金の分散被覆を行なっ
たチタン基体は、上記の如き焼成処理を行わずに直接次
の工程に付してもよい。この場合には、次工程での熱分
解処理時にチタン基体表面の水素化チタンの皮膜の層
は、チタン金属及び低酸化状態の酸化チタンに変換され
る。
【0026】このようにしてチタン基体上に形成される
多孔白金被覆層の該相被覆層表面は次いで酸化ロジウム
層で被覆する。
【0027】該酸化ロジウム被覆層の形成は、例えば、
酸素含有雰囲気、好ましくは空気中で熱分解して酸化ロ
ジウムを生成しうるロジウム化合物を含有する溶液を多
孔性白金被覆層上で塗布し、浸透させ、適宜乾燥した後
に、酸素含有雰囲気中で熱処理することにより行なうこ
とができる。ここで使用しうるロジウム化合物として
は、例えば、硝酸ロジウム、塩化ロジウム等が挙げられ
るが、一般には硝酸ロジウムが好適である。
【0028】かかるロジウム化合物の溶液としては、一
般に、ロジウム化合物の低級アルコール(例えば、メタ
ノール、エタノール等)溶液が好適である。もしロジウ
ム化合物が低級アルコールに溶解しにくい場合には、ロ
ジウム化合物を一旦硝酸、塩酸等の酸の水溶液に溶解し
た後、低級アルコールと混合してロジウム化合物の溶液
を調製することができる。該溶液中におけるロジウム化
合物の濃度はロジウム金属換算で多孔性白金層に浸透し
やすい、通常、5〜100g/、特に10〜50g/
の範囲内が好都合である。
【0029】ロジウム化合物の塗布は通常の方法、例え
ば刷毛塗り、スプレー、浸漬等の手段により行なうこと
ができる。その際、塗布した溶液の多孔性白金被覆層の
孔内への浸透を促進するために、場合によっては基本に
高周波の振動を加えるようにしてもよい。
【0030】多孔性白金被覆面にロジウム化合物の溶液
が塗布された基体は、必要により約20〜約150℃の
範囲内の温度で乾燥した後、酸素含有ガス雰囲気、例え
ば空気中で焼成する。焼成は、例えば、電気炉、ガス
炉、赤外線炉などの適当な加熱炉中で、一般に約450
〜約650℃、好ましくは、約550〜約600℃の範
囲内の温度に加熱することによって行なうことができ
る。加熱時間は焼成すべき基体の大きさに応じて大体3
分〜30分間程度とすることができる。
【0031】この焼成により、多孔性白金被覆層の表面
(孔の内及び/又は外面)に酸化ロジウムの被覆層が形
成され、それと同時に白金被覆層の下の酸化チタンの薄
層が生長する。
【0032】酸化ロジウムの被覆量は、多孔性白金被覆
層の全表面を完全に被覆するだけの量とする必要はな
く、ロジウム金属に換算して一般に0.1〜2mg/c
m2、好ましくは、0.2〜0.7mg/cm2の範囲内が好都
合である。
【0033】このようにして多孔性白金被覆層表面に酸
化ロジウム層が形成されたチタン基体の該表面にはさら
に、酸化パラジウムを主体とする酸化物層が被覆形成せ
しめられる。
【0034】かかる酸化物層の形成は、通常、酸素含有
ガス雰囲気中で熱分解して酸化パラジウムを生成しうる
パラジウム化合物を含有する溶液を塗布し、適宜乾燥し
た後、酸素含有ガス雰囲気中で熱処理することにより行
なうことができる。ここで用いうるパラジウム化合物と
しては、例えば、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢
酸パラジウム、アビエチン酸パラジウム、ジニトロジア
ンミンパラジウム等が挙げられるが、中でも硝酸パラジ
ウム及びジニトロアンミンパラジウムが好適である。
【0035】かかるパラジウム化合物を含有する溶液と
しては特にメタノール、エタノール等の低級アルコール
溶液が好適であるが、用いるパラジウム化合物が低級ア
ルコールに難溶性である場合には予め硝酸、塩酸等の酸
の水溶液に溶解した後に低級アルコールと混合してパラ
ジウム化合物を含有する溶液を調製してもよい。該溶液
中におけるパラジウム化合物の濃度はパラジウム金属換
算で酸化ロジウムの被覆層が設けられた多孔性白金被覆
層に浸透しやすい、通常、5〜100g/、特に10
〜50g/の範囲内が適当である。
【0036】また、該溶液には、前述した如きロジウム
化合物を添加することができる。それによって形成され
る電極の耐久性をさらに高めることができる。ロジウム
化合物の使用量は該溶液を用いて形成される酸化物層に
おける酸化パラジウムの酸化ロジウムの合計量を基準に
して酸化ロジウムが20モル%以下、好ましくは2〜1
0モル%の範囲内となるような量とすることができる。
【0037】以上述べた如くして調製されるパラジウム
化合物及び場合によりロジウム化合物を含有する溶液か
らの酸化パラジウムを主体とする酸化物被覆層の形成
(該溶液の塗布、乾燥、焼成)は、酸化ロジウム層の形
成について前述したと同様にして行なうことができる。
【0038】これにより、酸化ロジウムの被覆層が設け
られた多孔性白金被覆層上に、酸化パラジウム80〜1
00モル%、好ましくは90〜98モル%及び酸化ロジ
ウム0〜20モル%、好ましくは2〜10モル%を含有
する酸化物被覆層を設けることができる。
【0039】該酸化物層における酸化パラジウムの被覆
量はパラジウム金属に換算して一般に0.05〜2mg/
cm2、好ましくは0.4〜1.5mg/cm2の範囲内が好適
である。また、該酸化物層における酸化ロジウムの被覆
量はロジウム金属に換算して通常0〜0.5mg/cm2
特に0.01〜0.4mg/cm2の範囲内とすることができ
る。
【0040】なお、本明細書において電極基体の多孔性
白金被覆層上に形成される酸化ロジウム層及び酸化パラ
ジウムを主体とする酸化物層の各被覆層における酸化ロ
ジウム(ロジウム換算)、及び酸化パラジウム(パラジ
ウム換算)の被覆量は白金の場合と同様にしてケイ光X
線分析法を用い次のようにして求めた値である。
【0041】すなわち、各酸化物を前述した如く前処理
したチタン基体上に前記の方法で種々の量を担持させ、
その量を湿式分析法及びケイ光X線分析法により定量
し、両方法による分析値をグラフにプロツトして標準検
量線を作成しておき、次いで、実際の試料をケイ光X線
分析にかけて、その分析値及び検量線から各被覆量を求
める。
【0042】以上に述べたチタン又はチタン基合金より
なる基体上に、多孔性白金層、酸化ロジウム層及び酸化
パラジウムを主体とする酸化物層の少なくとも3層の被
覆層を有する本発明の電極は、電極寿命が長く耐久性に
優れており、しかも有効塩素の高濃度条件下でも高い塩
素発生効率を示し、例えば食塩水、海水などの希薄塩化
物水溶液の電解用アノードとして有利に使用することが
できる。
【0043】次に実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0044】
【実施例】実施例1 JIS2種相当のチタン板素材(t0.5×w10×l10
m)をトリクロルエチレンで脱脂洗浄した後、20℃の
8重量%HF水溶液で2分間処理し、次いで120℃の
60重量%H2SO4溶液中で3分間処理した。次いで、
チタン基体を硫酸溶液から取り出し、窒素雰囲気中で冷
水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3%重量HF水
溶液中に2分間浸漬した後水洗した。
【0045】水洗後Pt(NH3)2(NO2)を硫酸溶液
に溶解してPt含有量5g/、pH≒2、50℃に調
整した状態のPtめっき浴中で30mA/cm2で約6
分間のめっきを行なって、見掛密度16g/cm3で電着量
が1.7mg/cm2の多孔性の白金被覆層をチタン基体上
に形成した。
【0046】このようにして多孔性白金被覆層を設けた
チタン基体を400℃の大気中で1時間加熱処理した。
【0047】次いで、ロジウム濃度50g/(金属換
算)及び硝酸濃度95g/に調整された硝酸ロジウム
水溶液とエタノールを混合し、ロジウム濃度25g/
(金属換算)を含有する塗布液を調製した。この塗布液
をマイクロピペツト1cm2当り2.7μl秤量し、それ
を該基体に塗布し該多孔性白金被覆層に浸透させた後、
室温で30分間減圧乾燥し、更に600℃の大気中で1
0分間焼成した。この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰返
し、多孔性白金被覆層表面にロジウム換算で1cm2
り0.4mgの酸化ロジウム層を形成した。
【0048】次いで、パラジウム濃度100g/(金
属換算)及び硝酸濃度445g/に調整された硝酸パ
ラジウム水溶液とエタノールを混合しパラジウム濃度2
5g/(金属換算)を含有する溶液を調製し、さらに
ロジウム濃度50g/(金属換算)及び硝酸濃度95
g/の硝酸ロジウム水溶液を添加混合し、パラジウム
対ロジウムのモル比(金属換算)が20:1である硝酸
パラジウムと硝酸ロジウムを含有する塗布液を調製す
る。この塗布液を用いて、前記と同様の塗布−乾燥−焼
付工程を8回繰り返して金属換算で1cm2当り0.6m
gの酸化パラジウムと0.03mgの酸化ロジウムを含
有する酸化物被覆層を形成した。かくして実施例電極−
1を作製した。比較のため、上記実施例−1と同様の方
法でチタン基体上に白金を被覆して比較例電極−1を作
製した。
【0049】このようにして得られた電極を次の条件下
で電解した時の有効塩素濃度と塩素発生効率の関係を図
1に示す。
【0050】電解液:3%NaCl 電流密度:15A/dm2 対極:Ti 図1より、実施例電極−1は有効塩素高濃度下でも塩素
発生効率が高い電極であることがわかる。
【0051】実施例2 前記実施例1に記載したと同様の方法でチタン板の前処
理を行なった。
【0052】次いで、Pt(NH3)2(NO2)2をPt換算
で10g/含むpH≒9のアンモニア水溶液に、亜硝
酸ナトリウム及び硝酸アンモニウムをそれぞれ5g/
及び20g/の濃度で添加したPtめっき浴中で、9
0℃、15mA/cm2で約14分間Ptめっきを行な
った後、塩酸と硝酸の混合水溶液で処理を行ない、該チ
タン板上に見掛密度が14gcm 3で電着量が2.3mg
cm 2の多孔性の白金被覆層を形成した。
【0053】次いで、ロジウム濃度50g/(金属換
算)及び硝酸濃度95g/に調整された硝酸ロジウム
水溶液とエタノールを混合し、ロジウム濃度25g/
(金属換算)を含有する塗布液を調製した。この塗布液
をマイクロピペツトで1cm2当り2.7μl秤量し、そ
れを該基体に塗布し、該多孔性白金被覆層に浸透させた
後、室温で30分間減圧乾燥し、更に600℃の大気中
で10分間焼成した。この塗布−乾燥−焼成工程を5回
繰返すことにより、多孔性白金被覆層表面にロジウム換
算で1cm2当り0.4mgの酸化ロジウム被覆層を形成
した。
【0054】次いで、酸化ロジウム被覆層を設けた多孔
性白金被覆層上に酸化パラジウムを担持させるため、パ
ラジウム濃度100g/(金属換算)及び硝酸濃度4
45g/に調整された硝酸パラジウム水溶液とエタノ
ールを混合し、パラジウム濃度25g/(金属換算)
を含有する塗布液を調製した後、この塗布液を用いて前
記と同様の塗布−乾燥−焼成工程を8回繰返してパラジ
ウム換算で1cm2当り0.6mgの酸化物被覆層を形成
せしめた。かくして実施例電極−2を作成した。(Pd
金属換算で1cm2当り0.6mmg担持)比較のため、
中間の酸化ロジウム層を省略する以外は上記実施例電極
−2と同様にして比較例電極−2を作製した。
【0055】このようにして得られた電極を次の条件下
で電解した時の酸化パラジウムの消耗率を図2に示す。
【0056】電解液:6%NaCl 電流密度:75A/dm2 対極:Ti
【0057】
【数1】
【0058】図2により、実施例電極−2は比較例電極
−2に比べて酸化パラジウムの消耗が少なく耐久性に優
れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において作製した実施例電極−1と比
較例電極−1の電解時の有効塩素濃度と塩素発生効率と
の関係を示すグラフである。
【図2】実施例2において作成した実施例電極−2と比
較例電極−2の電解時の酸化パラジウムの消耗率を示す
グラフである。
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 幸記 埼玉県草加市青柳2丁目12番30号石福金 属興業株式会社草加第一工場内 (56)参考文献 特開 昭58−171589(JP,A) 特開 昭52−68076(JP,A) 特開 昭51−78787(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08 C25D 17/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) チタン又はチタン基合金よりな
    る電極基体と、 (b) 酸化チタン層を介して該電極基体表面に設けら
    れた見掛密度が8〜19g/cm3の範囲内にある多孔性白
    金被覆層と、 (c) 該多孔性白金被覆層の表面を被覆する酸化ロジ
    ウム層と、 (d) 酸化パラジウム80〜100モル%及び酸化ロ
    ジウム0〜20モル%を含有する酸化物被覆層 とからなることを特徴とする電解用電極。
  2. 【請求項2】 (i) 表面に薄い水素化チタン層を形
    成せしめたチタン又はチタン基合金よりなる電極基体上
    に見掛密度が8〜19g/cm3の範囲内にある多孔性白金
    被覆層を設け、必要により酸素含有雰囲気中で焼成した
    後、 (ii) 該多孔性白金被覆層表面に、酸素含有雰囲気
    中で熱分解して酸化ロジウムを生成しうるロジウム化合
    物の溶液を塗布した後、酸素含有雰囲気中で熱処理し
    て、該白金被覆層上に酸化ロジウム層を形成し、 (iii) さらに、酸素含有雰囲気中で熱分解して酸
    化パラジウムを生成しうるパラジウム化合物及び場合に
    より酸素含有雰囲気中で熱分解して酸化ロジウムを生成
    しうるロジウム化合物を含有する溶液を塗布した後、酸
    素含有雰囲気中で熱処理して、該酸化ロジウム層上に酸
    化パラジウム及び場合により酸化ロジウムを含有する酸
    化物層を形成する ことを特徴とする請求項1記載の電解用電極の製造法。
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