JP2008001901A - ペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール及びポリオール - Google Patents

ペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール及びポリオール Download PDF

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Abstract

【課題】小さい多分散度で少ない残留モノマー含有量の、末端ヒドロキシ基及びペンダントアクリレート又はメタクリレート基を含み、紫外線硬化性の二重硬化性塗料組成物に使用できるマクロモノマー組成物を提供する。
【解決手段】アルキレンオキシド、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物、及び少なくとも1個の活性水素及び31〜8000g/eq.の活性水素当量を有する出発化合物を含むモノマー混合物を供給し、複金属シアン化物錯体触媒の存在下、及び所望により非プロトン溶媒及び/又は酸化防止剤の存在下に、上記混合物を重合することを含んでなり、得られるモノオール又はポリオールの多分散指数は1.0〜1.4である、アクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオール、その製造方法及びその使用、特に、熱又は化学線により硬化できる塗料組成物における使用に関する。
活性化した二重結合を有する塗料系を紫外線、赤外線又は電子線により硬化することは、知られており、産業上確立されている。そのような硬化は、被覆技術における最も速い硬化方法の1つである。紫外線硬化塗料は、その使用により製造及び硬化時間を大幅に短縮でき、従って生産性を改善するので、ますます人気が増している。例えば、簡単な補修を室温で迅速に行わなければならない自動車の再塗装用途では、紫外線技術により、自動車修理工場における自動車の処理量を増すことができる。
アクリレート含有ポリエーテル及びポリエステルは、この技術分野で広く知られており、照射線硬化系にしばしば使用される。例えば、Sartomer 社は、放射線硬化ポリマーに使用できるアクリレート末端化ポリエチレングリコール製品を商品名SR259 及びSR344 として、製造、販売している。しかしながら、これらポリマーは、末端アクリレート基のみを有し、ヒドロキシル基を含んでいない。
末端アクリレート基及び末端ヒドロキシル基の両方を含む物質も知られており、市販されている。例えば、1モルあたり平均1個のヒドロキシル基及び平均3個のアクリレート基を含むペンタエリスリトールトリアクリレートが、Sartomer 社からSR444の製品名で市販されている。この物質は、上記の数のアクリレート基及びヒドロキシル基を平均で含むが、ペンタエリスリトールとアクリル酸又はその誘導体とからエステル交換法により調製され、この方法は、生成物、例えばモノオール、ジオール、トリオール及びテトラオールと、モノ、ジ、トリ及びテトラアクリレートの統計的分布を与える。加えて、末端アクリレート官能基の数は、出発ポリオール中に存在した末端ヒドロキシル基の数により制限され、アクリレート基及びヒドロキシル基の数を切り離すことはできない。例えば、4官能性ポリオールから出発した場合、最大4個のアクリレート基/モルが得られ、1モルあたりのアクリレート基及びヒドロキシル基の数の合計は、4でなければならない。
アクリレート含有ポリエーテルの上記欠点のいくつかを解消するため、米国特許第5,854,386号(Shen)には、紫外線硬化接着剤及びポリウレタン分散体で使用するためのアルコキシル化(メタ)アクリレートマクロモノマーが記載されている。この生成物は、出発物質としてアクリレート含有アルコールを用いて、複金属シアン化物(DMC)触媒アルコキシル化法により製造され、得られたポリエーテルは、1つの末端アクリレート基と1つの末端ヒドロキシル基を含んでいる。米国特許第6,664,360号(Shen)には、このようなアルコキシル化アクリレート及びメタクリレートマクロモノマーを製造するための出発物質連続添加(continuous addition of startar;CAOS)法が記載されている。製造方法にかかわりなく、これら米国特許のマクロモノマーは、アクリレート末端化モノオールであり、1分子あたり1個を超えるアクリレート基は有さない。
米国特許第3,829,505号には、複金属シアン化物錯体触媒を用いるヒドロキシ末端化ポリエーテルの製法が記載されている。重合のための適当な有機環式オキシドとして、アリルエーテル及びビニル基含有オキシラン(それぞれアリルグリシジルエーテル及び1,2−エポキシブテン)を使用することが開示されている。ペンダントアクリレート又はメタクリレート含有ポリエーテルポリオールを製造するために、アクリレート又はメタクリレート含有オキシランを重合又は共重合することは開示されていない。当業者により、アクリレート及びメタクリレートはラジカル法でより容易に重合されると、認識されている。従って、DMC触媒を用いてペンダントアクリレート又はメタクリレート含有オキシランからポリエーテルポリオールを合成する場合、望ましくない重合がより起こりやすいであろうと考えられる。
G. Ahmedova ら、Eurasian Chem. Tech. J. 2 (2000)、第257〜160頁には、BF・O(C)触媒を用いて、グリシジルメタクリレート(GMA)とプロピレンオキシド(PO)をカチオン重合することが記載されている。得られるペンダントメタクリレート含有ポリマーは、370〜600の数平均分子量(Mn)、540〜1050の重量平均分子量(Mw)及び1.5〜1.8の多分散度(分子量分布)を有する。出発化合物を使用することは開示されておらず、また、メタクリレート含有ポリマーの分子量及び官能価を制御する方法についての指針も記載されておらず、メタクリレート含有ポリマーについて末端基の種類又は官能価は示されていない。さらに、Ahmedova らのポリマーは、75〜84%の収率で製造されたのであり、これは、16〜25%の残留モノマー(PO及びGMA)に相当する。これらのモノマーは、その毒性の故に、衛生化学の面から、放射線硬化塗料で使用する前に、ポリマーから除去する必要がある。
米国特許第5,854,386号明細書 米国特許第6,664,360号明細書 米国特許第3,829,505号明細書 Eurasian Chem. Tech. J. 2 (2000) 第257〜160頁
高分子量の紫外性硬化性ポリウレタン樹脂を合成するには、紫外線硬化性アクリレート又はメタクリレート基を含むジヒドロキシ又はポリヒドロキシ官能性化学構造ブロックが望ましい。このような樹脂を、ヒドロキシ当量及び1モルあたりのアクリレート又はメタクリレート基及びヒドロキシル基両方の数を独立に変化させ、制御できる方法により製造し、小さい多分散度(<1.4)を有するポリマーを、残留モノマー量が少く(<2%モノマー)高収率で製造することが、非常に望ましい。このような特性を有する物質は、従来技術には記載されていない。すなわち、小さい多分散度で少ない残留モノマー含有量の、末端ヒドロキシ基及びペンダントアクリレート又はメタクリレート基を含み、紫外線硬化性の二重硬化性塗料組成物、例えばポリウレタン分散体に使用できるマクロモノマー組成物が、引き続き求められている。
まず、本発明は、
ヒドロキシ又はポリヒドロキシ官能性のアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールを製造する方法であって、
i)少なくとも1種のアルキレンオキシド、少なくとも1種のアクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物、及び少なくとも1種の、少なくとも1個の活性水素及び31〜8000g/eq.の活性水素当量を有する出発化合物を含むモノマー混合物を供給し、
ii)複金属シアン化物錯体触媒の存在下、及び所望により非プロトン溶媒及び/又は酸化防止剤の存在下に、上記混合物を重合することを含んでなり、
得られるモノオール又はポリオールの多分散指数は1.0〜1.4である、製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記方法により製造された、1〜20個のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート基、200〜9000g/eq.のヒドロキシ当量、及び1.0〜1.4の多分散指数を有する、ペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールを提供する。
ポリエーテルポリマー鎖は、1つ又はそれ以上のペンダント(メタ)アクリレート及び1つ又はそれ以上の末端ヒドロキシル基の両方を有する。鎖1本あたりの(メタ)アクリレート基及び末端ヒドロキシル基の平均数は、出発化合物(ヒドロキシル官能性)の選択及び出発化合物1モルに対して供給されるオレフィン含有オキシランのモル数により、制御することができる。加えて、本発明のポリエーテルモノオール及びポリオールは、末端(メタ)アクリレートを有していない。
本発明のペンダントアクリレート及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール及びポリオールは、硬化速度の向上及びポリマーの末端ヒドロキシル基とペンダント(メタ)アクリレート基の数の可変性をもたらすので、所望の最終用途での要求に適合するように、具体的に設計することができる。すなわち、高い耐薬品性、引掻抵抗性及び傷抵抗性又は優れた柔軟性が得られるように、紫外線硬化後の架橋密度の高低を調整することができる。
実施例を含む本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、別途記載がない限り、全ての数値は、「約」がつけられていなくても、「約」を付けて読むものとする。また、全ての数値範囲は、それに含まれる全ての狭い数値範囲を包含するものとする。
本明細書で用いる場合、用語「ポリエーテルポリオール」は、ポリオキシアルキレン(一般に、ポリエーテルと称される)の鎖と、1個又はそれ以上の末端ヒドロキシル基を含む分子を意味する。用語「ペンダント」は、本明細書で用いる場合、ポリエーテル主鎖に結合した側基又は側鎖を意味する。本明細書で用いる場合、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレート両方を意味する。説明の目的であって限定する意図はない図1に示された典型的態様では、ペンダントメタクリレート含有ポリエーテルポリオールを製造するための、ポリエチレングリコール、プロピレンオキシド及びグリシジルメタクリレートの反応が図示されている。当業者なら理解できるように、数値nは、ポリエチレングリコール出発物質の分子量に依存し、数値x及びyは、重合反応において使用された各モノマーの量、すなわち、ポリエチレングリコール出発物質1モルに対するプロピレンオキシド及びグリシジルメタクリレートのモル数にそれぞれ依存する。やはり当業者なら理解できるように、ポリマー中のモノマー繰り返し単位の順序は、図示された順序以外のものであってもよく、例えば、ポリマーは、一列になった数個のペンダント(メタ)アクリレート含有繰り返し単位と、それに続く任意の順序で任意の数のアルキレンオキシド繰り返し単位を有することができる。
本発明の方法において、モノマー混合物は、出発化合物(開始剤とも呼ばれる)を含む。適当な出発化合物は、ポリエーテルポリオールの製造分野で既知の化合物であり、少なくとも1個、通常1〜8個のツェレビチノフ活性水素を有する。「ツェレビチノフ活性水素」は、周知であり、化学分野では一般的に使用されている。本明細書では、この用語は、一般的に、Zerewitinoff によりJ. Am. Chem. Soc.、Vol. 49、3181 (1927) に記載された方法で決定される活性水素に相当する。
出発化合物の例には、水;脂肪族アルコール;芳香族アルコール;フェノール;チオール;アクリレート含有アルコール;エノール化できる水素を有するアルデヒド及びケトン;マロン酸エステル、カルボン酸及び無水物、グリコールモノアルキルエーテル;ポリエーテルポリオール(例えば、低級ポリアルカノールと反応されたアルキレンオキシドから誘導された200〜8000g/eq.のヒドロキシ当量を有する化合物)、200〜8000g/eq.のヒドロキシ当量を有するポリエステル及びポリカーボネートポリオールが含まれる。さらに、1個又はそれ以上の紫外線硬化性基を有する活性水素含有化合物も使用することができる。特に有用な化合物は、部分(メタ)アクリレート化ジオール又はポリオール(ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを含む)及び(メタ)アクリレート化モノ−、ジ−又はポリグリシジル化合物である。本明細書において、用語「チオール」は、モノ−、ジ−又はポリチオール化合物を意味する。また、用語「アルコール」は、モノ−、ジ−又は高官能性アルコールを意味する。
上記の種類に含まれる化合物の例には、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、デンプン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−メタクリレート、部分アクリレート化グリセロール、部分アクリレート化トリメチロールプロパン又は部分アクリレート化ペンタエリスリトール、及びビスフェノールA−ジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応生成物、並びにチオール(例えば、エタンジチオール、プロパンジチオール、ペンタンジチオール及びヘキサンジチオールが含まれる。これらのオキシアルキル化生成物も使用することができる。2種又はそれ以上の出発化合物の組み合わせも、所望の最終生成物によっては、使用できる。
典型的に、出発化合物は、少なくとも1個の活性水素を有する。出発化合物は、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個、最も好ましくは2〜4個の活性水素を有する。出発化合物は、31〜8000g/eq.、より好ましくは100〜4000g/ eq.、最も好ましくは200〜2000g/ eq.の活性水素当量を有する。出発化合物は、モノマー混合物中に、0.2〜97質量%、より好ましくは2〜50質量%、最も好ましくは5〜30質量%の範囲で存在する。なお、質量%は、触媒を除くモノマー混合物の質量に基づく。好ましい出発化合物は、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールである。
モノマー混合物は、アルキレンオキシドも含む。混乱を避けるために、本明細書において使用する場合、用語「アルキレンオキシド」は、(メタ)アクリレート基を含まないエポキシド含有化合物を意味する。適当なアルキレンオキシドの例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド及びスチレンオキシドが含まれる。2種又はそれ以上のアルキレンオキシドの混合物も使用できる。好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド及び2,3−ブチレンオキシド又はこれらの混合物である。アルキレンオキシドは、モノマー混合物中に、触媒を除くモノマー混合物全体の質量に基づいて、1〜98質量%、好ましくは20〜80質量%、最も好ましくは30〜60質量%の範囲で存在する。
モノマー混合物はさらに、(メタ)アクリレート基含有オキシラン化合物を含む。
オキシラン化合物は、環内に1個の酸素原子及び2個の炭素原子を含む3員環を持つ化合物である。本発明において有用なオキシラン化合物は、(メタ)アクリレート基を含み、4〜15個の炭素原子を有する。適当な(メタ)アクリレート基含有オキシラン化合物の例は、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートである。グリシジルメタクリレートが好ましい。(メタ)アクリレート基含有オキシラン化合物は、触媒を除くモノマー混合物全体の質量に基づき、2〜85質量%、好ましくは10〜60 質量%、最も好ましくは20〜50質量の範囲で存在する。
重合は、複金属シアン化物(DMC)触媒の存在下に行われる。ポリエーテルポリオールの製造にDMC触媒を使用することは、この技術分野では周知である。DMC触媒を調製する方法の適当な例及びポリエステルポリオールの製造におけるその使用は、例えば、米国特許第3,278,457号、同第3,404,109号、同第3,941,849号、同第5,158,922号、同第5,482,908号、同第5,783,513号、同第6,613,714号及び同第6,855,658号に記載されている。これら米国特許の内容を引用して本明細書に組み込む。
当業者に知られているように、DMC触媒は、ヘキサシアノメタレート塩と遷移金属塩とを、適当な錯体化有機配位子及び所望により官能化ポリマー又は他の加工助剤の存在下に反応させて、下記式:
Figure 2008001901
[式中、
Mは、Zn+2、Fe+2、Ni+2、Mn+2、Co+2、Sn+2、Pb+2、Fe+3、Mo+4、Mo+6、Al+3、V+4、V+5、Sr+2、W+4、W+6、Cu+2及びCr+3からなる群から選択される金属を表す;
Mは、Fe+2、Fe+3、Co+2、Co+3、Cr+2、Cr+3、Mn+2、Mn+3、Ir+3、Ni+2、Rh+3、Ru+2、V+4及びV+5からなる群から選択される金属を表す:
Xは、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、チオシアニドイオン、カルボン酸イオン及び硝酸イオンからなる群から選択される陰イオンを表す:
Lは、有機配位子を表す;
x、y及びqは、電気的中性を保持するように選択される数である。]
で示される化合物を得ることにより、調製される。
本発明において好ましく使用されるDMC触媒は、米国特許第5,482,908号(その内容を引用して本明細書に組み込む)に記載された方法により調製されるヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒である。DMC触媒は、米国特許第6,362,126号(その内容を引用して本明細書に組み込む)に記載されるように、担体に結合されていてもよい。特に好ましい触媒は、ポリアルキレングリコールとのヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体である。本発明において使用されるDMC触媒は、主として、成長しているポリマー鎖の酸素基がアルキレンオキシド 又は(メタ)アクリレート含有オキシドのメチレン基に共有結合するような方法で、付加反応を起こす。その結果、成長しているポリマー鎖がより高度に置換された炭素原子、すなわち、プロピレンオキシド又はグリシジルメタクリレートの場合のメチル基又はメタクリレート基に結合した炭素原子においてオキシランを攻撃するような、カチオン重合、例えばBFにより触媒された重合において生成する生成物とは異なる生成物が得られる。
触媒濃度は、各場合に生成物の質量に対し、10〜5,000ppm、好ましくは25〜2,500ppm、最も好ましくは50〜500ppmである。重合の反応時間は、数分から数日の範囲、好ましくは数時間である。
モノマー混合物の重合は、出発物質の連続添加(CAOS)法を使用して、半バッチ的又は連続的に行われる。
半バッチ法の場合、DMC触媒及び出発化合物(並びに、所望により、溶媒及び/又は製造しようとする生成物又はそれに類似した生成物のヒール(heel))を反応器に加え、減圧下に加熱して脱水する。アルキレンオキシド又はアルキレンオキシドと(メタ)アクリレート含有オキシランとの混合物の一部を、反応器の圧力をモニターしながら、反応器に供給する。反応器の圧力の低下により示される触媒の活性化が生じた時に、残部のアルキレンオキシド及び(メタ)アクリレート含有オキシランを、ペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルポリオールの所望分子量に達するまで、計量して連続的に添加する。
CAOC法は、出発化合物の全量を初期の段階で添加しない点のみで、半バッチ法と個なる。すなわち、アルキレンオキシド及び(メタ)アクリレート含有オキシランに加えて、出発化合物の一部又は全部を、アルコキシル化の間に、連続的に反応器に供給する。供給速度は、通例、出発化合物の供給が、アルキレンオキシド及び(メタ)アクリレート含有オキシランの全量の供給の前に完了するように、調節される。所望により、追加のDMC触媒も、アルコキシル化の間に計量添加し得る。CAOS法は、米国特許第5,777,177に詳細に記載されており、当技術分野では周知である。
半バッチ法及びCAOS法の両方において、「ヒール」(heel)法が採用され得る。ヒール法では、反応器への初期添加物は、触媒及び出発化合物に加えて、製造しようとする生成物又はそれに類似の物質を含む。「ヒール」は、初期に添加される触媒及び出発化合物のキャリアとして役立つという利点を有する。これは、高融点の固体又は高粘度出発化合物にとって有用であり、溶媒に比べ、生成物から除去する必要がないという利点を有する。
高活性DMC触媒により触媒されたモノマー混合物の重合は、通常、20〜200℃、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは90〜120℃の温度で進行する。重合反応は、0.001〜20barの全圧で行い得る。重合は、当業者に知られているように、溶媒を用いずに、又は不活性(非プロトン)有機溶媒(例えば、トルエン、キシレン、 テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、ヘキサン又は他の適当な溶媒)中で行い得る。使用する場合、溶媒の量は、製造すべきポリエーテルの量に対し、通例5〜80質量%である。反応は、好ましくは溶媒の不存在下に行われる。本発明において製造されるポリエーテルモノオール又はポリオールの収率は、通常95%より大、好ましくは97%より大、より好ましくは99%より大である。収率は、生成物中の残留モノマーの質量%を100%から引くことにより得られる。
場合により、重合は、オレフィン基を保護するために、酸化防止剤の存在下に行ってもよい。適当な酸化防止剤は、紫外線化学の分野の当業者に知られており、例えば、フェノチアジン、ブチレート化ヒドロキシトルエン(BHT)、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、ジフェニルフェニルヒドラジン、塩化第2鉄、塩化銅、硫黄、アニリン、t−ブチルカテコール、トリニトロベンゼン、ニトロベンゼン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(クロラニル)、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(Albemarle から Firstcure NPAL として販売)などを包含する。フェノチアジン及び Firstcure NPAL が好ましい。
酸化防止剤は、ペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールのオレフィン基の重合を禁止するのに有効な量で使用すべきである。この量は、(メタ)アクリレート基の反応性又は濃度、及び温度により変化する。酸化防止剤の量は、オキシラン化合物の質量に対して、約0.001〜約1質量%、より好ましくは約0.01〜0.5質量%の範囲で変化し得る。酸化防止剤を使用しない場合、特に活性の低いDMC触媒を用いると、生成物が著しく着色し、又は生成物のゲル化が起こり得る。
本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、1〜20個又はこの範囲内の任意の数のペンダントオレフィン基、より好ましくは2〜8個又はこの範囲内の任意の数のペンダント(メタ)アクリレート基を有する。当業者は理解できるように、ペンダント(メタ)アクリレート基の数は、最終製品に、粘度、硬化速度、オレフィン密度(これは、引掻、傷、薬品に対する抵抗性に影響を与える)、柔軟性などを含む望ましい性質を与えるように、具体的に調節することができる。通例、生成物は、0.1〜5のオレフィン当量/kg生成物、より好ましくは2〜4のオレフィン当量/kg生成物を有する。本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、1.0〜1.4、より好ましくは1.0 〜1.3、最も好ましくは1.0〜1.25の多分散指数を有することに特徴がある。
本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールはさらに、200〜9,000g/eq.、より好ましくは400〜3,000g/eq のヒドロキシル当量を有することに特徴がある。
本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、熱硬化又は化学線(例えば、紫外線、赤外線、γ線及び電子線)の照射による硬化を含む種々の方法により硬化できる塗料組成物に使用することができる。これらの硬化方法およびそれらに使用する装置は、当業者に知られている。適当な線源には、例えば、水銀灯、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯及び放射線源が含まれる。組成物を非イオン化照射により硬化する場合、光開始剤を存在させることが望ましい。
ラジカル重合の開始剤として、放射線活性化及び/又は熱活性化開始剤を使用することができる。この場合、紫外線又は可視光により活性化される光開始剤が好ましく、多くの既知光開始剤が市販されている。単分子開始剤はタイプI開始剤と称され、二分子開始剤はタイプII開示剤と称される。適当な(タイプI)系には、芳香族ケトン化合物、例えば、第3級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アンスロン及びハロゲン化ベンゾフェノン、又はこれらの混合物が包含される。また、適当な(タイプII)開始剤は、例えば、ベンゾイン及びその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド)、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン及びα−ヒドロキシアルキルフェノンである。これら化合物の混合物を使用することもでき、これら化合物は、紫外線被覆の分野で当業者に知られている増感剤と組み合わせることもできる。光開始剤は、重合性化合物の質量に基づき、0.1〜12質量%、好ましくは1〜5質量%の量で使用される。
硬化を熱的に開始する場合、パーオキシ化合物が適しており、重合性化合物の質量に基づき、0.1〜12質量%、好ましくは1〜5質量%の量で使用される。パーオキシ化合物の例には、以下の化合物が包含される:ジアシルパーオキシド(例えば、ベンジルパーオキシド)、アルキルヒドロパーオキシド(例えば、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロパーオキシド)、アルキルパーエステル(例えば、過安息香酸t−ブチル)、ジアルキルパーオキシド(例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド)、パーオキシジカーボネート(例えば、ジカルボン酸ジセチルパーオキシド)、無機パーオキシド(例えば、パーオキソジ硫酸アンモニウム、パーオキソジ硫酸カリウム)、アゾ化合物(例えば、2,2'−アゾビス[N−(2−プロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、及びベンズピナコール。好ましい化合物は、水溶性化合物、又は水性エマルジョンの形の化合物である。これらのラジカル開始剤は、当業者に既知の促進剤、例えばアミン及びある種の金属イオンと組み合わせることもできる。
本発明の塗料組成物はさらに、硬化工程で(共)重合される添加剤として、反応性希釈剤と混合することができる。反応性希釈剤は、P.K.T. Oldring (編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings, Inks & Paints, 第2巻、1981(SITA Technology、London)第237〜285頁に記載されている。その例には、アクリル酸又はメタクリル酸、好ましくはアクリル酸のエステル、一価アルコールなどのアルコール(例えば、異性体のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール及びデカノール)、さらに脂環式アルコール(例えば、イソボルノール、シクロヘキサノール及びアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノール)、芳香脂肪族アルコール(例えば、フェノキシエタノール及びノニルフェニルエタノール)、並びにテトラヒドロフリルアルコールが包含される。これらアルコールのアルコキシル化誘導体も適している。適当な二価アルコールには、エチレングリコール、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6、2−エチルヘキサンジオール及びトリプロピレングリコール、さらに、これらアルコールのアルコキシル化誘導体が包含される。好ましい二価アルコールは、ヘキサンジオール−1,6、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールである。三価アルコールには、グリセロール、トリメチロールプロパン、又はこれらのアルコキシル化誘導体が包含される。
本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、比較的低い粘度を有しているので、多くの場合、同じ粘度にするために、従来技術のアクリレート化オリゴマーに比べ、多くの場合、少量の反応性希釈剤しか必要でない。ある場合には、塗料の分野の当業者に知られているように、非反応性希釈剤、例えば、アセテート、酢酸ブチル、メタノール、又は塗料技術で使用される他の非反応性希釈剤又は溶媒が望ましい。
本発明の組成物はさらに、紫外線化学の分野で通例使用される1種又はそれ以上の付加的な樹脂、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート、不飽和基(例えば、アクリル、メタクリル、シンナミン、マレイミド、ジシクロペンタジエニル、アクリルアミド、フマリル、マレイル、アリル、プロペニル、ビニル及び/又はビニルエーテル基)を有する他のポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリアミド及びポリカーボネート樹脂と組み合わせることができる。
本発明に従って製造された塗料組成物はさらに、非常に広範囲の助剤及び添加剤と混合することができる。助剤及び添加剤には、充填剤、顔料、染料、平滑剤、艶消し剤、脱ガス剤、例えばポリアクリレート、カップリング剤、例えばアミノアルキルトリアルコキシシラン、及び流れ調整剤、例えばポリシロキサンが包含され、これらは、塗料技術で通常採用される量で使用される。天候の影響、例えば太陽光に対する耐性を改良するために、光安定剤、例えば、紫外線吸収剤及び立体障害アミンを、通常の量で添加することができる。紫外線吸収剤を使用する場合、光開始剤の一部は、通常、より長波長の光を吸収する種類でなければならない。光安定剤の使用及びその様々な種類は、例えば、A. Valet、Lichtschutzmittel fuer Lacke、Vincentz Verlag、Hanover、1996に記載されている。ラジカル重合に対して不活性である溶媒を使用することができ、溶媒は、塗布工程と硬化工程との間で、必要なら加熱により除去される。組成物は、電子線照射により光重合することもできる。一般的に、必要な照射量は、1megarad未満ないし100megarads又はそれ以上である。
別の態様において、本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、例えば、いわゆる「二重硬化」塗料又は接着剤及びポリウレタン分散体で使用されるウレタンアクリレート、イソシアネート−又はヒドロキシ末端化プレポリマーを調製するために、イソシアネート含有化合物との構成ブロックとして使用することができる。本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールは、(メタ)アクリレート基は反応又は重合しないことに注意して、ウレタン化学における標準的なポリエーテルモノオール又はポリオールと同様に使用することができる。これは、既知の方法、温度の制限及び安定剤の添加により、達成することができる。適当な安定剤は、本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの合成に適しているとして先に記載した化合物と同じである。加えて、安定剤として酸素含有ガスを使用することができる。
適当なイソシアネートには、実質的に全ての有機ジ−及び/又はポリイソシアネートが含まれる。芳香族、芳香脂肪族、脂肪族又は脂環式のジ−及び/又はポリイソシアネート並びにこれらイソシアネートの混合物が使用できる。好ましいのは、式:
Figure 2008001901
(式中、R は、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基又は7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す。)
で示されるジイソシアネートである。適当なイソシアネートの具体例には、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,3,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルジイソシアネート、1−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4'−又は4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、α,α,α',α'−テトラメチル−m−又は−p−キシリレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタン4,4',4"−トリイソシアネート並びにこれらの混合物が包含される。ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート並びにこれらの混合物が、好ましいイソシアネートである。また、モノマートリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネートも適している。
イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、ビウレット、アロファネート、ウレチジオン及び/又はカルボジイミド基を含むポリイソシアネート付加物も、イソシアネート成分として有用である。このようなポリイソシアネートは、3又はそれ以上の官能価を有し得る。このようなポリイソシアネートは、ジイソシアネートの三量化又はオリゴマー化により、あるいは、ジイソシアネートとヒドロキシル基又はアミン基を含む多官能性化合物との反応により、調製される。好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートであり、これは、米国特許第4,324,879号に従って調製し得る。
本発明のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルポリオールを含む塗料組成物は、高品質塗膜、被覆及びラッカーを、種々の基材、例えば、紙、厚紙、皮革、繊維製品、ガラス、プラスチック、所望により予備処理された金属板(例えば、アルミニウム又は鋼板)及びいわゆる「コイル」の形状の金属、木材、特に寄木張り又は木材誘導物質(例えば、中密度ファイバーボード)、プラスチック材料(例えば、ポリカーボネート又はポリ塩化ビニル(PVC)シート)、鉱物材料(例えば、セメント、粘土、鉱物、セラミック)、若しくは予め塗装された上記材料で製造された基材、例えば自動車又は自動車部品上に、形成するのに適している。複数の上記材料からなる基材を塗装することもできる。
塗料組成物は、塗装されるべき材料に、ラッカー技術で既知の常套の方法、例えば、押出、ナイフ塗布、ロール塗布、流し込み、浸漬、遠心注型及び真空スプレーにより、適用される。また、印刷方法及び印刷産業で既知の他の転写方法も可能である。液体塗料コンパウンドは、紫外線又は電子線の照射により硬化される。そのために、塗装された材料を、例えば中圧水銀灯の下で移動させる。紫外線照射による硬化は、既知の方法で行われ、P.K.T. Oldring (編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings、Inks & Paints、第1巻、1991、SITA Technology、London 第167〜269頁に記載されている。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、発明を限定するものと解してはならない。
実施例では、以下の物質を使用する。
PPG-425:プロポキシル化プロピレングリコールに基づく、分子量425g/モルのジヒドロキシ官能性ポリエーテルポリオール
EO:エチレンオキシド
PO:プロピレンオキシド
GMA:グリシジルメタクリレート
DMC触媒:米国特許第5,482,908号の実施例3に記載された方法により調製した、ポリアルキレングリコールとのヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体
Albemarle Firstcure NPAL:トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(酸化防止剤)
実施例1:8モルのGMAを含む2500 MW EO/GMA 共重合体の製造
PPG-425(106g)及びトルエン(125g)を、フェノチアジン(0.06g)及びDMC触媒(0.075g)と共に、1リットル反応容器に添加した。反応混合物を、減圧下、攪拌及び窒素パージしながら、約70℃に加熱し、その時点で、トルエンが蒸留し始めたので、冷却減圧トラップに捕集した。このようにしてトルエン約10gを除去した後、真空バルブを閉じ、反応混合物を120℃に加熱した。EO(18g)及びグリシジルメタクリレート(23g)を反応容器に供給した。反応容器の圧力の急速な低下により示される活性化後、反応混合物を110℃に冷却し、EO(213g)及びMA(261g)を、それぞれ1.8g/分及び2.2g/分の速度で、反応容器に供給した。供給完了後、温度を100℃に下げ、反応混合物をこの温度で30分間攪拌した後、30分間減圧ストリッピングした。反応容器の内容物である淡黄色低粘度液体(601g;収率97%)を、分析のため、採取した。
実施例2:4モルのGMAを含む2000 MW PO/GMA 共重合体の製造
PPG-425(170g)を、Firstcure NPAL(0.08g;100ppm)及びDMC触媒(0.08g;100ppm)と共に、1リットル反応容器に添加した。反応混合物を、減圧下(0.5psia)、攪拌及び窒素パージしながら、120℃に加熱した。PO及びGMAの同時供給を促進するために、PO:GMA(64:36質量比)の混合物を、ポープ容器(Pope vessel)中で調製した。ストリッピングを30分間行った後、反応容器につながる真空バルブを閉じ、28gのPO:GMA混合物を10g/分の速度で反応容器に供給した。反応容器の圧力の急速な低下により示される活性化後、反応混合物を110℃に冷却し、さらに602gのPO:GMA混合物を4g/分の速度で反応容器に供給した。合計供給量は、PO 402g及びGMA 228gであった。供給完了後、温度を100℃に下げ、反応混合物をこの温度で30分間攪拌した後、30分間減圧ストリッピングした。反応容器の内容物であるほぼ無色の低粘度液体(760g;収率95%)を、分析のため、採取した。
実施例3:4モルのGMAを含む2000 MW EO/GMA 共重合体の製造
PPG-425(170g)を、Firstcure NPAL(0.08g;100ppm)及びDMC触媒(0.08g;100ppm)と共に、1リットル反応容器に添加した。反応混合物を、減圧下(0.5psia)、攪拌及び窒素パージしながら、120℃に加熱した。ストリッピングを30分間行った後、真空バルブを閉じ、20psiaで窒素を反応容器に添加した。EO(18g)を、5g/分の速度で反応容器に供給した。反応容器の圧力の急速な低下により示される活性化後、反応混合物を110℃に冷却し、EO(384g)及びGMA(228g)を、それぞれ2.5g/分及び1.5g/分の速度で、反応容器に供給した。供給完了後、温度を100℃に下げ、反応混合物をこの温度で30分間攪拌した後、30分間減圧ストリッピングした。反応容器の内容物であるほぼ無色の低粘度液体(761g;収率95%)を、分析のため、採取した。
表1に、上記のペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルの製造実施例で調製したサンプルについての分析データを示す。サンプルは、透明でほぼ無色の透明液体であった。オレフィン基は、ペンダント(メタ)アクリレート含有ポリエーテルのGC及びIR分析により示されるように、重合条件においても残存しており、ポリエーテル中に組み込まれた。
Figure 2008001901
実施例4:良好な耐薬品性を有するUV-A硬化性塗料における実施例1の生成物の単独での又は部分的な使用
表2に示す各成分を、4オンスガラスジャーに量り入れた。物質を手動で混合し、光から保護した。4ミルの湿潤フィルム厚で、ガラスパネル上に引き伸ばした。Cure-Tek UVA-400 ランプ(H&S Autoshot から販売)により、硬化を行った。このランプは、400ワット金属ハロゲン化物球を有し、ランプアッセンブリには、透明フィルターが取り付けられていた。照射を、25.4cm(10インチ)の距離から4分間行った。硬化したフィルムの振子硬度及び耐薬品性試験の結果を表2に示す
耐薬品性試験は、2ポンドハンマーに取り付けたチーズクロスを用いて行った。チーズクロスをメチルエチルケトンに浸漬した。次いで、チーズクロスを取り付けたハンマーを、塗膜上で、前後に(1ダブルラブ)100回動かした。塗膜が100ダブルラブ後に崩壊していなければ、塗膜に「>100」の評点を付けた。
振子硬度は、ISO 1522 に準拠して測定した。Konig Pendulum Hardness Instrument(Model 299-300, Erichsen GmbH & Co.)を使用した。3回の測定値の平均を、単位「秒」で示す。
Figure 2008001901
1)不飽和芳香族エポキシアクリレート(Bayer MaterialScience LLCから販売)。
2)不飽和脂肪族ウレタンアクリレート(Bayer MaterialScience LLCから販売)。
3)フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドを含む光開始剤ブレンド(Ciba Specialty Chemicalsから販売)。
全ての処方が、UV−A硬化性塗料について、100回を超えるMEKダブルラブという優れた耐薬品性と良好な硬さを示した。試験した処方#3及び#4は、実施例1のEO/GMA共重合体が高いUV−A硬化反応性を有することを証明した。得られた振子硬度は、クリアコートの弾性を実証している。
本発明の製造方法及び生成物の一例を示す反応式である。

Claims (26)

  1. アクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールを製造する方法であって、
    i)少なくとも1種のアルキレンオキシド、少なくとも1種のアクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物、及び少なくとも1種の、少なくとも1個の活性水素及び31〜8000g/eq.の活性水素当量を有する出発化合物を含むモノマー混合物を供給し、
    ii)複金属シアン化物錯体触媒の存在下、及び所望により非プロトン溶媒及び/又は酸化防止剤の存在下に、上記混合物を重合することを含んでなり、
    得られるモノオール又はポリオールの多分散指数は1.0〜1.4である、製造方法。
  2. 出発化合物は、1モルにつき1〜8個の活性水素を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 出発化合物は、水、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、フェノール、チオール、アクリレート含有アルコール、エノール化できる水素を有するアルデヒド及びケトン、マロン酸エステル、カルボン酸及び無水物、グリコールモノアルキルエーテル、低級ポリアルカノールと反応されたアルキレンオキシドから誘導された200〜8000g/eq.のヒドロキシ当量を有するポリエーテルポリオール、200〜8000g/eq.のヒドロキシ当量を有するポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 出発化合物は、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、デンプン、水、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はこれらのオキシアルキル化生成物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 重合を、60〜150℃で行う、請求項1に記載の方法。
  8. 重合を、90〜120℃で行う、請求項1に記載の方法。
  9. アルキレンオキシド、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物及び出発化合物は、アルキレンオキシド1〜98質量%、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物2〜85質量%、及び出発化合物0.2〜97質量%の量で存在し、3つの化合物の合計は100質量%となる、請求項1に記載の方法。
  10. アルキレンオキシド、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物及び出発化合物は、アルキレンオキシド20〜80質量%、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物10〜60質量%、及び出発化合物2〜50質量%の量で存在し、3つの化合物の合計は100質量%となる、請求項1に記載の方法。
  11. アルキレンオキシド、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物及び出発化合物は、アルキレンオキシド30〜60質量%、アクリレート又はメタクリレート基含有オキシラン化合物20〜50質量%、及び出発化合物5〜30質量%の量で存在し、3つの化合物の合計は100質量%となる、請求項1に記載の方法。
  12. 触媒は、ポリアルキレングリコールとのヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体である、請求項1に記載の方法。
  13. 方法は、出発化合物の連続添加により実施する、請求項1に記載の方法。
  14. 方法は、半バッチ法により実施する、請求項1に記載の方法。
  15. 1〜20個のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート基、200〜9000g/eq.のヒドロキシ当量、及び1.0〜1.4の多分散指数を有する、ペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオール。
  16. 2〜8個のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート基を有する、請求項15に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオール。
  17. 請求項15又は16に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの1種又はそれ以上を含んでなる、塗料組成物。
  18. さらに重合開始剤を含む、請求項17に記載の塗料組成物。
  19. 重合開始剤は、熱重合開始剤及び光重合開始剤から選択される、請求項18に記載の塗料組成物。
  20. さらに希釈剤を含む、請求項17に記載の塗料組成物。
  21. さらに、1種又はそれ以上の追加樹脂を含む、請求項17に記載の塗料組成物。
  22. 1種又はそれ以上の追加樹脂は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、並びに(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、アリルエーテル、マレイン酸、フマル酸及び/又はコハク酸官能基を含む不飽和ポリエステルからなる群から選択される、請求項21に記載の塗料組成物。
  23. 請求項15又は16に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの1種又はそれ以上を含んでなる、ポリウレタン分散体。
  24. 請求項15又は16に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの1種又はそれ以上を含んでなる、ウレタンアクリレート。
  25. 請求項15又は16に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの1種又はそれ以上を含んでなる、NCO−末端化プレポリマー。
  26. 請求項15又は16に記載のペンダントアクリレート−及び/又はメタクリレート含有ポリエーテルモノオール又はポリオールの1種又はそれ以上を含んでなる、OH−末端化プレポリマー。
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