JP2007536338A - 2−(アミノメチル)ピリジン及びフォスフィンを有するルテニウムの複合体、その調製方法、並びに触媒としての使用 - Google Patents

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Abstract

本願は、リガンドとして2−(アミノメチル)ピリジン及びフォスフィンを含有する新規のクラスのルテニウム(II)複合体について、開示する。この複合体は、水素転移を介した、ケトン類のアルコール類への還元において、非常に活性の高い触媒であることが証明された。このルテニウム複合体と共に、水素源として2−プロパノールを用いると、直鎖及び環状のアルキルアリール、ジアルキル並びにジアリールのケトン類を出発物質とし、これらに対応するアルコールを急速且つ高率で得ることができる。ケトン類のアルコール類への変換は、ガス状の水素雰囲気(2〜3気圧)で作用させることで、100%に到達し得る。使用したフォスフィンが光学活性を有する場合、プロキラルなケトン化合物を出発物質として、種々の光学活性を有するアルコール類を製造でき、これらは、医薬工業、農化学工業及び精製化学製品において、重要な中間体である。

Description

本発明は、2−(アミノメチル)ピリジン及びフォスフィンを含有するルテニウム(II)複合体のクラスに係り、このクラスは、場合によっては、対掌性(chiral)を有するものであり、また、水素転移により、ケトン類をアルコール類に還元する触媒としてのこの複合体の使用に関する。還元率及びアルコール類の精製率は、低圧(2〜3気圧)の水素分子の存在下でさらに増加させることが可能である。
カルボニル化合物のアルコール類への還元は、広範な実用的な興味のある反応であって、近年、従来からの化学量論的還元系に代わることを意図された一連の触媒的方法の発達に寄与している。遷移金属(Ir、Rh、Pd、Ni)に基づいた触媒系を用いた分子状水素による還元において良好な結果が得られているが、特に、より活性の高いルテニウム誘導体に興味が集まっている。塩基性環境下における[RuCl(フォスフィン)(1,2−ジアミン)]及び[RuCl(ジフォスフィン)(1,2−ジアミン)]のタイプの化合物は、均一相において、種々のタイプのケトン類の選択的な水素化に優れた触媒である。また、対掌性を有するジフォスフィン及びジアミンを適当に組み合わせると、ほぼ100%の鏡像体過剰率で、光学的に活性なアルコール類の形成を伴って、カルボニル化合物のエナンチオマー選択的な水素化が達成され得る。この反応は、通常の温度、圧力下において、水素を用いて一般的に実行される(非特許文献1乃至4)。分子状水素を用いた還元工程の代替工程として、若干のリスクがあるが、水素転移反応に基づいた触媒還元方法も確立されている。これらの工程において、水素源及び反応溶媒として、2−プロパノールを通常使用するが、利点として、低沸点の液体であり、毒性及び環境負荷が低いことが挙げられる(非特許文献5乃至8)。工程の簡便性、及び得られる良好な結果ゆえ、水素の触媒的転移は、小規模及び中規模の反応に際して分子状水素を用いた反応の代替として有用である。ロジウムやイリジウムなどの遷移金属を基礎とした触媒が使用されているが(MJ.Palmer、M.Willsの1999年の文献引用;AJ.Blazer、B.J.Mellor著の特許文献1(2002年)、及び特許文献2(2003)、並びに非特許文献9)、最も興味ある結果、特にケトン類のエナンチオマー選択的還元は、ルテニウム誘導体で達成されている。これらの中には、以下のものが挙げられる:ジフォスフィン−ジアミン、及びジフォスフィン−ジイミン型の四座配位子のリガンドを床成った複合体(非特許文献10)、ジアミン又はβ−アミノアルコールリガンドを伴ったアレン型のルテニウム複合体(非特許文献11、T.Ikariya、S.Hashiguchi、J.Takehara、N.Uematsu、K.Matsumara、R.Noyori、A.Fujii著の特許文献3(2001年)、並びに非特許文献12)、オキサゾリンリガンドを有する複合体(非特許文献13、及びX.Zhang著の特許文献4(2002年))、並びにオキサゾリニルフェロセニルフォスフィンリガンドを有する複合体(非特許文献14)。このようにして、対掌性を有するリガンドを用いることにより、医薬品分野、農薬化学、及び一般的な精製化学製品において特に重要である光学活性を有するアルコール類を容易に調製し得る。一般的に、これらの反応は、アルカリ金属の水和物、又はアルコキシドなどの強塩基の存在下で、基質と触媒との比率を20以上2000以下として、実行され、出発物であるケトン類からアルコール類への変換率が非常に高く、エナンチオマー選択性が99%未満である。これらの触媒系は、一般的に高い活性を有するものではなく、TOF値(Turnover frequence;触媒の単位モル当たりで、且つ1時間当たりで、変換率が50%である際の、アルコール類に変換されたケトン類のモル数)が一般的に10以上10以下(/時間)であることに留意すべきである。この反応は、経時的な触媒の脱活性化及び分解活性に加えて、長い反応時間と低いプラント利用率を必要とし、これは、製造コストに大きく影響を及ぼし得る。留意すべきは、有機合成に使用されるには、脱活性に係る制約があるにもかかわらず、ケトン類のエナンチオマー選択的還元に特定の活性触媒系を必要とする。たとえば、この触媒系としては、van Koten及びその共同実験者により得られたRuX[C(CHPPh−2,6](PPh)(Xは、Cl又はCFSO)の一般式で示されるピンサーアリル型(pincer−aryl)の触媒であって、安定なRu−アリル炭素結合を有するものや(非特許文献15)、Mathieuにより公表されたアセトフェノンの還元に関して90000(/時間)未満のTOF値を示すピリジンの三座配位子を含有するものがある(非特許文献16及び17)。さらに、近年の研究において、Mathey及びLe Flochは、リガンドとしてN,P−二座配位子である1−(2−メチルピリジン)−2,5−ジフェニルフォスフォール(phosphole)を含有する新規のアレーン型ルテニウム触媒を開示する(非特許文献18)。この触媒は、種々のケトン類に対して10未満(/時間)のTOF値を示すが、非常に長い時間を必要とし(90℃で数日)、実用上の使用が制限されるものである。また、一般式がRuXY(PR(NR[X及びYは、水素又はハロゲン原子であり、R乃至Rは、水素、又はフェニルなどの置換され得る炭化水素であり、R乃至Rは、水素、又は置換炭化水素であり、n及びmは、0〜4である。]であるルテニウム複合体が、水素転移又は水素化反応の触媒として機能し得ることも報告されている(T.Ikariya、H.Ikehira、K.Murata、N.Kiyofuji、H.Oooka、S.Hashiguchi、T.Okuma、R.Noyori著の特許文献5)。留意すべきことに、エナンチオマー選択的な水素転移反応用のin situにおける触媒系を得るため、前駆体であるRuCl(PPhに関連して、窒素で単一置換された対掌性を有する2−(アミノメチル)ピリジンが使用されている。これらの触媒系は、通常のエナンチオマー選択性(非特許文献19)から良好なエナンチオマー選択性と比べていくらか低い活性を有する(非特許文献20乃至21)。従って、ケトン類のアルコール類への水素転移による還元を経済的に競争力のあるものとするため、初期の目標は、上述のものと比べてより高い活性と生産性とを有する触媒を開発することである。これは、触媒系がエナンチオマー選択的な還元反応をもたらし得る場合に特に重要であって、プロキラル性(prochiral)を有するケトン類から光学活性を有するアルコール類を合成するのに使用し得る。
米国特許第6,372,931号明細書 米国特許第6,545,188号明細書 米国特許第6,184,381号明細書 米国特許第6,451,727号明細書 特開平11−189600号公報 R.Noyori著、"Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis(R.Noyori編)"、1994年、p.56〜82 T.Ohkuma、H.Ooka、T.Ikariya、R.Noyori著、J.Am.Chem.Soc.、1995年、117巻、p.10417 R.Noyori、T.Ohkuma著、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.、2001年、40巻、p.40 K.V.L.Crepy、T.Imamoto著、Adv.Synth.Catal.、2003年、345巻、p.79 G.Zassinovich、G.Mestroni、S.Gladiali著、Chem.Rev.、1992年、92巻、p.1051 R.Noyori、S.Hashiguchi著、Acc.Chem.Res.、1997年、30巻、p.97 J.−E.Backvall著、J.Organomet.Chem.、2002年、652巻、p.105 M.J.Palmer、M.Wills著、Tetrahedron:Asymmetry、1999年、10巻、p.2045 A.C.Hillier、H.M.Lee、E.D.Stevens、S.P.Nolan著、Organometallics、2001年、20巻、p.4246 J.−X.Gao、T.Ikariya、R.Noyori著、Organometallics、1996年、15巻、p.1087 K.−J.Haack、S.Hashiguchi、A.Fujii、T.Ikariya、R.Noyori著、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、1997年、36巻、p.285 K.Everaere、A.Mortreaux、J.Carpentier著、Adv.Synth.Catal.、2003年、345巻、p.67 Y.Jiang、Q.Jiang、X.Zhang著、J.Am.Chem.Soc.、1998年、120巻、p.3817 Y.Nishibayashi、I.Takei、S.Uemura、M.Hidai著、Organometallics、1999年、18巻、p.2291 P.Dani、T.Karlen、R.A.Gossage、S.Gladiali、G.van Koten著、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.、2000年、39巻、p.743 H.Yang、M.Alvarez、N.Lugan、R.Mathieu著、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.、1995年、p.1721 H.Yang、M.Alvarez−Gressier、N.Lugan、R.Mathieu著、Organometallics、1997年、16巻、p.1401 C.Thoumazet、M.Melaimi、L.Ricard、F.Mathey、P.Le Floch著、Organometallics、2003年、22巻、p.2580 E.Mizushima、H.Ohi、M.Yamaguchi、T.Yamagishi著、J.Mol.Catal.A、1999年、149巻、p.43 H.Brunner、M.Niemetz著、Monatshefte fur Chemie、2002年、133巻、p.115 H.Brunner、F.Henning、M.Weber著、Tetrahedron:Asymmetry、2002年、13巻、p.37 R.Holm著、Inorg.Synth.、1970年、12巻、p.238 C.W.Jung、P.E.Garrou、P.R.Hoffman、K.G.Caulton著、Inorg.Chem.、1984年、23巻、p.726 R.A.Schunn、E.R.Wonchoba著、Inorg.Synth.、1971年、13巻、p.131 J.March著、"Advanced Organic Chemistry、John Wiley、1984年、p.809 H.Meerwein、R.Schmidt著、Liebigs Ann.Chem.、1925年、444巻、p.221 A.Verley著、Bull.Soc.Fr.、1925年、37巻、p.537 W.Ponndorf著、Angew.Chem.、1926年、39巻、p.138 A.L.Wilds著、Org.React.、1944年、2巻、p.178
従って、本発明は、水素転移により非対称又は対称なケトン類の還元反応において高い活性を有する触媒として使用され得るルテニウム複合体を得ることを目的とする。本発明は、水素転移により非対称又は対称なケトン類の還元の間、in situで生産される触媒として使用され得るルテニウム(II)複合体を得ることをさらなる目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明者らは、非常に高い触媒活性を有する触媒を得るため、及び対掌性を有するフォスフィンと適当に組み合わせることによりエナンチオマー選択性を有する触媒をも可能な限り達成する触媒の取得方法として、リガンドとして2−(アミノメチル)ピリジンを有するルテニウム(II)複合体の新規のクラスを同定した。この触媒は、in situ合成工程によっても取得され得る。この触媒系は、低圧且つ周囲温度条件にて、分子状水素を用いたケトンの水素化用の触媒として機能することを特に強調する。
従って、本発明は、下記一般式(I)で示されるルテニウム(II)複合体を提供する。
式中、X、Y、L、L’について、
X及びYは、同一又は異なって、ハロゲン又は水素であり、
Lは、下記a)乃至c)からなる群
a)一般式PRの単座配位子のフォスフィンであって、R、R及びRが、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
b)一般式PR’(CHPR’’の二座配位子のフォスフィンであって、xが、2、3又は4であり、R’及びR’’が、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
c)光学活性を有するジフォスフィンである;
から選択されたリガンドであり、
mは、リガンドLが上記群b)又はc)から選択される場合にはmが1であり、リガンドLが上記群a)から選択される場合には2であり、且つリガンドが同一であっても異なってもよいという条件の下、1又は2であり、
L’は、下記一般式(II)で示されるタイプの2−(アミノメチル)ピリジンの二座配位子のリガンドであり、一般式(II)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、脂肪族又は芳香族である。
本発明のさらなる態様は、上述の本発明によるルテニウム(II)複合体をin situにおいても合成し得る合成方法、及び水素転移によりアルコール類からケトン類へとケトン類を還元する工程中上記の工程を用いてin situにおいて直接得られるルテニウム(II)複合体である。
本発明のさらなる態様は、水素転移によるケトン類の還元用の触媒として上記のルテニウム(II)複合体を使用することである。
本発明のさらなる態様は、ガス状の水素を用いた反応によるケトン類の還元用の触媒として上記のルテニウム(II)複合体を使用することである。
水素転移によるアルコール類からの還元、及びガス状水素を用いた還元は、従って、組み合わせてもよく、結果として、ケトン類からアルコール類への完全な変換反応が起こる。
これらの態様又はその他の態様は、本発明の特徴及び利点と同様、下記の本発明自体を非限定的に示すものとして示した詳細な説明及び好適実施例から、明らかとなる。
上述したように、一般式RuXY(PR(NRで示されるルテニウム複合体は、水素化反応の水素転移の触媒として使用されてきた(T.Ikariyaらの引用文献)。ここで、X及びYは、ハロゲン又は水素であり、(PRは、フォスフィン型の単座配位子(n=2)又は二座配位子(n=1)のリガンドであり、(NRは、ジアミンである。また、前駆体であるRuCl(PPhと組み合わせた2−(RHN−CHR)CN型の対掌性を有するピリジンからin situにおいて産生される触媒系も、エナンチオマー選択的水素転移反応に活性であることが見出されている。しかしながら、最初の場合、2−(アミノメチル)ピリジンは、上述の二座配位子の窒素リガンドに含まれておらず、前者は、本発明の目的に本質的なリガンドであり、第2の場合、2−(RHN−CHR)CN型で使用される対掌性を有するピリジンは、普通のエナンチオマー選択性(E.Mizushimaらの引用文献)から良好なエナンチオマー選択性(H.Brunnerらの引用文献)にいくらか低い活性をもたらす触媒系を提供する。従って、上述の結果は、単座配位子又は二座配位子のフォスフィンと組み合わせた2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドが水素転移反応の触媒として特に活性を有するルテニウム複合体を得るのに使用され得ることを示すものではない。また、強調されるべきことは、上記で強調されていないが、塩素原子がcis配置であるジクロロ誘導体(X=Y=Cl)がより良好な触媒活性を有することである。
水素転移によりケトン類からアルコール類へと還元する反応に有用に使用され得る、可能であれば対掌性を有する本発明による新規のルテニウム(II)複合体は、下記一般式(I)で示されるものである。
式中、X、Y、L、L’について、
X及びYは、同一又は異なって、ハロゲン又は水素であり、
Lは、下記a)乃至c)からなる群
a)一般式PRの単座配位子のフォスフィンであって、R、R及びRが、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
b)一般式PR’(CHPR’’の二座配位子のフォスフィンであって、xが、2、3又は4であり、R’及びR’’が、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
c)光学活性を有するジフォスフィンである;
から選択されたリガンドであり、
mは、上記群a)から同一又は異なった単座配位子のフォスフィンが選択される場合には、2であり、上記のフォスフィンが上記群b)又はc)から選択される場合には、1であり、
L’は、下記一般式(II)で示されるタイプの2−(アミノメチル)ピリジンの二座配位子のリガンドであり、一般式(II)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、脂肪族又は芳香族である。
この複合体は、リガンドX及びYを有するトランス又はシスの配位であってもよい。例示すると、この可能なシス及びトランス異性体の構造は、下記の通りであって、この例において、R=R=水素である。
本発明の目的に関し、下記一般式で示すルテニウム(II)複合体は、X、Y、L、L’及びmを種々組み合わせて得られる。
下記一般式(III)のルテニウム(II)複合体のトランス又はシス体
式中、X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
Lは、上記群a)から選択された、同一又は異なった、単座配位子であるフォスフィンであり、
L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子であるリガンドである。
下記一般式(IV)のルテニウム(II)複合体のトランス又はシス体
式中、X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
Lは、上記群b)から選択された二座配位子であるフォスフィンであるか、又は上記群c)から選択された光学活性を有するジフォスフィンかであり、
L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドである。
本発明の目的に関し、好適なX及びYは:
塩素及び水素であり;
上記群a)の好適なリガンドLは、PPhであり;
上記群b)の好適なリガンドLは、PPh(CHPPh、PPh(CHPPh、PPh(CHPPhであり、
上記群c)の好適なリガンドLは、(2S,3S)−(−)−2,3−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、(S)−(−)−2,2’−ビス−(ジ−p−トリルフォスフィノ)−1,1’−バイナフチル(Tol−BINAP)、(2S,4S)−(−)−2,4−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、(4R,5R)−(−)−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキソ−1,4−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(DIOP)、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルフォスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルフォスフィン(JOSIPHOS)であり、
上記一般式(II)のリガンドL’の好適なR及びRは、水素であって、
従って、好適なリガンドL’は、2−(アミノメチル)ピリジンである。
単離され、触媒に使用され、本発明の非限定的な例として特定の例は、以下の通りである。
1.下記一般式(III)のルテニウム複合体であって、L’が2−(アミノメチル)ピリジンであり、LがPPhであり、X及びYがClである、下記式(3)の化合物か、又はXが水素でありYがClである下記式(4)の化合物かである。
2.下記一般式(III)のルテニウム複合体であって、L’が2−(アミノメチル)ピリジンであり、LがPPhであり、X及びYがClである、下記式(5)の化合物か、又はX及びYが水素である下記式(6)である化合物かである。
3.下記一般式(IV)のルテニウム複合体であって、L’が2−(アミノメチル)ピリジンであり、LがPPh(CHPPhであり、X及びYがClである下記式(7)の化合物である。
4.下記一般式(IV)のルテニウム複合体であって、L’が2−(アミノメチル)ピリジンであり、X及びYがClであり、LがPPh(CHPPh、PPh(CHPPh、及びPPh(CHPPhのいずれかのジフォスフィンである、式(8)、(9)及び(10)の化合物である。
又は、上記一般式(IV)において、Lが(2S,3S)−(−)−2,3−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、(2S,4S)−(−)−2,4−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、(4R,5R)−(−)−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(DIOP)、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルフォスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルフォスフィン(JOSIPHOS)、(S)−(−)−2,2’−ビス−(ジ−p−トリルフォスフィノ)−1,1’−バイナフチル(ToI−BINAP)などの対掌性を有するジフォスフィンである、下記式(11)、(12)、(13)、(14)、(15)である化合物である。
A.ルテニウム複合体の合成
本発明による上記各複合体(3〜15)の合成は、下記式(1)のRuCl(PPhの化合物を出発物質として用いる。
この化合物は、市販のものであり、或いは、RuCl水和物とトリフェニルフォスフィンとを反応して調製してもよい(非特許文献22)。一方、公知文献(非特許文献23)に記載の方法に従って、下記式(2)のRuCl[PPh(CHPPh](PPh)を調製した。
トランス配置の複合体(3)は、RuCl(PPh(1)を有するジクロロメタンを、周囲温度において、2−(アミノメチル)ピリジンと1:1で反応させて得られ、一方、シス配置の複合体(5)は、RuCl(PPh(1)を、トルエン中で還流しながら、2−(アミノメチル)ピリジンと反応させて調製される。式(2)から出発して式(3)とする方法の後、2−(アミノメチル)ピリジンと反応させることにより、トランス配置の誘導体(7)が得られる。シス配置の触媒(8〜13)は、複合体(5)から出発して適当なジフォスフィンと1:1で反応させて、調製される。触媒(14)及び(15)は、式(1)から出発して、適当な対掌性を有するジフォスフィンと、続いて2−(アミノメチル)ピリジンを添加して、合成される。複合体(10)に関し、他のより速い2つの合成経路により、式(2)から出発して上記のアミンと反応させる工程(方法a)、又は式(1)から出発して、上記のアミン及び対応するジフォスフィンと反応して(方法b)、合成される。一水素化物である複合体(4)は、2−(アミノメチル)ピリジンと、式(1)から合成されたRuHCl(PPhとから出発して調製される(非特許文献24)。一方、二水素化物である複合体(6)は、イソプロポキシドナトリウムと反応させて式(4)から取得される。
本発明の非限定的な例として、上述の複合体(3)〜(6)、(10)、(12)及び(14)の合成及びその特性について、詳細に述べる。以下の全ての合成は、蒸留又は前もって脱気した溶媒を用いて、窒素雰囲気下で行った。
(例1)
トランス−RuCl(PPh[2−(HNCH)CN](3)複合体の合成
複合体RuCl(PPh(1)(0.400g、0.417ミリモル)を5mLの蒸留ジクロロメタンに溶解したものを、2−(アミノメチル)ピリジン(45μL、0.436ミリモル)と反応する。この混合物を周囲温度において2時間攪拌しながら載置した後、溶液の容量を約半分とし、5mLのペンタンを加えて、この複合体を沈殿する。得た固形物を濾過し、10mLのエチルエーテルで2回洗浄した後、減圧下で乾燥する。収量は、250mg(75%)である。
4238ClRuに関する元素分析(%):算術値:C,62.69;H,4.76;N,3.48;観測値:C,62.85;H,4.80;N,3.54
H NMR(200.1MHz,CDCl,20℃,TMS):δ8.53(d,J(HH)=4.2Hz,1H;o−CN),7.60−6.50(m,33H;芳香族プロトン),4.46(wide s,2H;CH),3.29(wide s,2H;NH
13C{H}NMR(50.3MHz,CDCl,20℃,TMS):δ162.8(s;NCCH),157.6(s;CNに関するNCH),136.6−120.1(m;芳香族炭素),50.8(s;CH
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ44.0(d,J(PP)=32.7Hz),40.1(d,J(PP)=32.7Hz)
(例2)
トランス−RuHCl(PPh[2−(HNCH)CH]複合体(4)の合成
複合体RuHCl(PPh(211mg、0.228ミリモル)を10mLのヘプタンに懸濁したものを、2−(アミノメチル)ピリジン(24μL、0.233ミリモル)と反応し、1時間還流する。黄色の産物を濾過し、ヘプタンで洗浄し(3×5mL)、減圧下で乾燥する。収量は、118mg(67%)である。
4239ClNRuに関する元素分析(%):算術値:C,65.49;H,5.10;N,3.64;観測値:C,65.23;H,5.03;N,3.41
H NMR (200.1 MHz,CDCl,20℃,TMS):δ8.20(s,1H;o−CN),7.70−6.40(m,33H;芳香族プロトン),4.30(シュードt,J(HH)=14.1Hz,1H;CH),4.07(d,J(HH)=14.3Hz,1H;CH),2.87(シュードt,J(HH)=10Hz,1H;NH),2.20(シュードd,J(HH)=10Hz,1H;NH),−17.70(dd,J(HP)=23.5,29.7Hz)
13C{H}NMR(50.3MHz,CDCl,20℃,TMS):δ159.7(s;NCCH),155.6(d,J(CP)=4.0Hz;NCH),138.8−118.7(m;芳香族炭素),53.4(s;CH
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ73.7(d,J(PP)=37.0Hz),68.9(d,J(PP)=37.0Hz)
(例3)
シス−RuCl(PPh[2−(HNCH)CN]複合体(5)の合成
RuCl(PPh複合体(1)(1.34g、1.40ミリモル)を10mLのトルエンに懸濁したものを、2−(アミノメチル)ピリジン(0.160mL、1.55ミリモル)と反応する。この混合物を2時間還流する;その後、溶液の容量を半分とし、5mLのペンタンを添加して、この複合体を沈殿させる。得た固体を濾過し、5mLのエチルエーテルで2回洗浄し、減圧下で乾燥する。収量は、750mg(66.4%)である。
4238ClRuに関する元素分析(%):算術値:C,62.69;H,4.76;N,3.48;観測値:C,62.31;H,4.87;N,3.60
H NMR(200.1MHz,CDCl,20℃,TMS):δ9.16(d,J(HH)=5.7Hz,1H;オルト−CN),7.70−6.89(m,33H;芳香族プロトン),3.65(m,2H;CHHNHH),3.00(m,1H,CH),1.42(m,1H,NH
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ50.5(d,J(PP)=33.4Hz),43.8(d,J(PP)=33.4 Hz)
(例4)
シス−RuH(PPh[2−(HNCH)CH]複合体(6)の合成
イソプロポキシドナトリウムを有する2−プロパノールの1.4mLの溶液(0.2M、0.280ミリモル)をシュレンク(Schlenk)に載置し、減圧下、溶媒を留去する。上述の複合体(4)(211mg、0.274ミリモル)及びトルエン(12mL)を添加して、懸濁液を得、これを、3時間、30℃で保持し、濾過する。減圧下、トルエンを留去して、暗赤色の固形物を得、これを、減圧下で乾燥する。収量は、131mg(65%)である。
4240Ruに関する元素分析(%):算術値:C,68.56;H,5.48;N,3.81;観測値:C,68.30;H,5.33;N,3.62
H NMR(200.1MHz,C,20℃,TMS):δ7.93−5.73(m,34H;芳香族プロトン),2.76(t,J(HH)=6.2Hz,2H;CH),1.67(t,J(HH)=6.0Hz,2H;NH),−16.31(td,J(HP)=27.5Hz,J(HH)=6.7Hz,1H;RuH),−18.24(td,J(HP)=27.7Hz,J(HH)=6.7Hz,1H;RuH)
13C{H}NMR(50.3MHz,C,20℃,TMS):δ158.7(s;NCCH),155.8(s;NCH),142.0−118.0(m;芳香族炭素),51.4(s;CH
31P{H}NMR(81.0MHz,C,20℃,HPO):δ67.2
(例5)
シス−RuCl[PPh(CHPPh][2−(HNCH)CH]複合体(10)の合成(方法a)
RuCl[PPh(CHPPh](PPh)複合体(2)(202mg、0.235ミリモル)を5mLのトルエンに懸濁したものを、2−(アミノメチル)ピリジン(27μL、0.262ミリモル)と反応し、この混合物を20時間還流する。ペンタンを添加して得た産物を濾過し、3mLのエチルエーテルで2回洗浄し、減圧下、乾燥する。収量は、126mg(76%)である。
3436ClRuに関する元素分析(%):算術値:C,57.79;H,5.14;N,3.96;観測値:C,57.48;H,5.27;N,3.70
H−NMR(200.1MHz,CDCl,20℃,TMS):δ9.36(m,1H;オルト−CN),8.23−6.62(m,23H;芳香族プロトン),4.13(m,1H;CHHP),3.74(m,2H;CHHN,NHH),3.22(m,1H,CHHN),2.82(m,1H,CHHP),2.34−0.90(m,7H;P(CHP,NHH)
13C{H}NMR(50.3MHz,CDCl,20℃,TMS):δ158.0(s;NCCH),151.1(s;NCH),136.5−119.8(m;芳香族炭素),53.5(s;CHN),34.8(d,J(CP)=27.0Hz;CHP),29.7(d,J(C,P)=29.9Hz;CHP),27.6(s;CH),19.7(s;CH
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ54.9(d;J(PP)=37.0Hz),40.1(d;J(PP)=37.0Hz)
(例6)
シス−RuCl[PPh(CHPPh][2−(HNCH)CH]複合体(10)の合成(方法b)
RuCl(PPh複合体(1)(1.95g、2.03ミリモル)を30mLのトルエンに懸濁したものを、還流下、110℃で、1時間、2−(アミノメチル)ピリジン(0.250mL、2.43ミリモル)と反応する。フォスフィンであるPPh(CHPPh(853mg、2.00ミリモル)を周囲温度で添加し、この混合物を20時間還流する。ペンタンを添加して、沈殿物を得、これを濾過し、3mLのエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥する。収量は、1.25g(87%)である。
(例7)
シス−RuCl[(2S,4S)−(−)−2,4−ビス−(ジフェニルフォスフィン)ペンタン][2−(HNCH)CH]複合体(12)の合成
シス−RuCl(PPh[2−(HNCH)CH]複合体(5)(303mg、0.377ミリモル)及び(S,S)−(−)−Skewphos(166mg、0.377ミリモル)を5mLのトルエンに懸濁した。この混合物を20時間還流する;その後、溶液の容量を半分とし、2mLのペンタンを添加して複合体を沈殿させる。得た固体を濾過し、減圧下で乾燥する。収量は、200mg(74%)である。
3538ClRuに関する元素分析(%):算術値:C,58.34;H,5.32;N,3.89;観測値:C,58.06;H,5.17;N,3.63
H NMR(200.1MHz,CDCl,20℃,TMS):δ8.78(d,J(HH)=3.1Hz,1H;オルト−CN),7.95−6.69(m,23H;芳香族プロトン),4.20(wide s,1H;NH),3.61(d,J(HH)=15.6Hz,1H;CHN),3.37(m,1H;PCH),3.07(m,1H;PCH),2.81(wide s,1H;CHN),2.33−1.63(m,2H;CH),1.25(wide s,1H;NH),1.16(dd,J(HP),J(HH)=7.2,13.6Hz,3H;CH),0.76(dd,J(HP),J(HH)=7.0,11.6,3H;CH
13C{H}NMR(50.3MHz,CDCl,20℃,TMS):δ158.4(s,NCCH),149.6(s,NCH),139.8−119.3(m,芳香族炭素),51.5(s,CHN),37.8(s;CH),33.5(d,J(CP)=27.2Hz;CHP),20.3(d,J(CP)=32.1Hz;CHP),18.9(d,J(CP)=6.6Hz;CH),17.7(d,J(CP)=1.6Hz;CH
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ64.8(d,J(PP)=44.7Hz),45.3(d,J(PP)=44.7Hz)
(例8)
シス−RuCl{R−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルフォスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルフォスフィン}[2−(HNCH)CH]複合体(14)の合成
RuCl(PPh複合体(1)(228mg、0.238ミリモル)、及びフォスフィンである(R)−(S)−(−)−Josiphos(141mg、0.237ミリモル)を10mLのトルエンに懸濁し、30分間還流した。2−(アミノメチル)ピリジン(26μL、0.252ミリモル)をこの反応混合物に添加し、周囲温度とした。この混合物を、4時間、還流下(110℃)で再度加熱した。その後、化合物をペンタンで沈殿させ、濾過し、3mLのエチルエーテルで2回洗浄し、その固形物を減圧下で乾燥した。収量は、182mg(88%)であった。
4252ClRuFeに関する元素分析(%):算術値:C,57.68;H,5.99;N,3.20;観測値:C,57.47;H,5.80;N,3.25
H NMR(200.1MHz,CDCl,20℃,TMS):δ10.25(s,1H;o−H−ピリジン),8.39−7.15(m,13H;芳香族プロトン),5.10(m,1H;CHCH),4.47(m,1H;C),4.30(m,1H;C),3.84−3.34(m,5H;C,CHNH),3.66(s,5H;C),2.20−0.52(m,25H;CH,Cy)
31P{H}NMR(81.0MHz,CDCl,20℃,HPO):δ60.8(d,J(PP)=40.9Hz),39.7(d,J(PP)=40.9Hz)
B.触媒試験
本発明のルテニウム(II)複合体は、水素転移反応により対応するケトン類からアルコール類を調製するのに使用され得る。ルテニウムを基礎とした触媒及びアルカリ金属水酸化物の存在下、環状ケトン類、直鎖のジアルキルケトン類、アルキルアリールケトン類及びジアリールケトン類であるRC(=O)R(R及びRは、飽和若しくは不飽和の脂肪族基、又は芳香族炭化水素基であって、アルキル置換基、酸素を有する置換基、ハロゲン原子又は複素環基を示す。)は、アルコール類に還元され得る。
この還元反応は、基質に相対して2モル%のアルカリ金属水酸化物の存在下、基質と触媒との比率を1000〜10000として、還流下、2−プロパノール中で実行される。例示する表1において、種々の基質の変換値を示す。2−プロパノールの酸化により形成するアセトンは、2−プロパノールに相対して低い沸点により、反応混合物から分離され得る。
例として、低圧(2〜3気圧)水素雰囲気下にて、30℃で実行した触媒試験について示す。この結果から明らかなように、斯かる条件において、ケトン類からアルコール類への完全な変換が起こり、従って、これらの複合体は、分子状水素を用いた水素化反応においても活性であることを示す。
B1.非対掌性の触媒を用いた触媒試験
全ての工程は、上述の通り脱気した2−プロパノールを用いてアルゴン雰囲気下で実行した。
(例9)
ルテニウム(II)複合体の存在下でのアセトフェノンの触媒的還元
複合体(10)により触媒されるアセトフェノンの還元工程について述べる。これと同様の方法を複合体(3〜9)について用い、その結果を表1に示す。
a)複合体(10)で触媒したアセトフェノンの還元
5mLの2−プロパノールを複合体(10)(3.5mg、0.005ミリモル)に添加して、触媒溶液を10mLのSchlenkにおいて調製する。攪拌することで、数分以内にこの複合体を完全に溶解する。第二の50mLのSchlenkにおいて、前もって調製した、上述の触媒と、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノール溶液0.5mLとを有する溶液1mLを、還流下、アセトフェノン(240μL、2ミリモル)を有する19mLの2−プロパノールの溶液に添加する。反応の開始時点は、この複合体を添加した時であるものとする。アセトフェノン/触媒/NaOHのモル比は、2000/1/50である。
b)in situで調製した複合体(10)で触媒したアセトフェノンの還元
10mLのSchlenkにおいて、1.0μLの2−(HNCH)CH(0.01ミリモル)と、5mLの2−プロパノールとを複合体(2)(4.3mg、0.005ミリモル)に添加して、in situで触媒溶液を調製する。攪拌することで、数分以内にこの複合体を溶解する。別に、第二の50mLのSchlenkにおいて、前もって調製した、上述の触媒と、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノールの溶液0.5mLとを有する溶液1mLを、還流下、アセトフェノン(240μL、2ミリモル)を有する19mLの2−プロパノール溶液に添加する。反応の開始時点は、この複合体を添加した時であるものとする。アセトフェノン/触媒/NaOHのモル比は、2000/1/50である(表1)。
表1 ルテニウム複合体存在下、アセトフェノンの1−フェニルエタノールへの触媒的還元
[a]印は、塩基であるKCOを示す。
(例10)
複合体(10)の存在下、直鎖及び環状の、ジアルキルケトン類、アルキルアリールケトン類及びジアリールケトン類の触媒的還元
10mLのSchlenkにおいて、5mLの2−プロパノールを、複合体(10)(3.5mg、0.005ミリモル)に添加して、触媒溶液を調製する。攪拌することで、数分以内に、この複合体を完全に溶解する。
別に、第二の50mLのSchlenkにおいて、前もって調製した、上述の触媒と、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノールの溶液0.5mLとを含有する溶液1mLを、還流下、2ミリモルのケトン類を有する19mLの2−プロパノール溶液に添加する。反応の開始時点は、この複合体を添加した時であるものとする。ケトン/触媒/NaOHのモル比は、2000/1/50である。ガスクロマトグラフの分析データを表2に示す。
表2 複合体(10)の存在下、ケトン類のアルコール類への触媒的還元。ケトン/複合体/NaOHのモル比は、2000/1/50である。
この実験結果が示すように、複合体(10)について、還流下、2−プロパノールにおける直鎖及び環状のアルキルケトン類及びアリールケトン類の、これらに対応するアルコール類への還元は、基質と触媒との比率が2000〜5000において、非常に速く、且つ数分で完了する(テキスト参照)。TOF値は、基質の立体特性及び電子特性に依存して、80000〜413000(/時間)である(表1)。従来の文献におけるデータの検討で示されているのは、複合体(10)は、最も活性の高い水素転移触媒の一つであり、従来報告されている系では、アセトフェノンに関して、TOF値が10000(/時間)未満であるためであり、これは、Mathieuの複合体において示されたTOF値が90000(/時間)である場合を除くものである(非特許文献16)。
例として、ベンゾフェノンに由来する抗ヒスタミン及びその他の医薬誘導体用の重要な中間体であるベンズヒドロールの合成を以下に示す。この反応もまた、より高い濃度のアセトフェノンの溶液(1M)を出発物質とし、生産されたアセトンを蒸留により除去することで、行った。
(例11)
ベンズヒドロールの合成
1.8gのベンゾフェノン(10ミリモル)、及び45mLの2−プロパノールを、窒素雰囲気下、100mLのフラスコに導入する。この系を、還流下、加熱する。0.1MのNaOHを有する2−プロパノール2.5mL、及び触媒(10)(1.8mg、0.0025ミリモル)を有する2−プロパノール溶液2mLを添加する。ベンゾフェノン/触媒/NaOHのモル比は、4000/1/100である。この混合物のH NMR分析では、30分後に反応が完了したことを示す。溶媒を留去することにより、無色の残渣を得、これを、30mLのジエチルエーテルで抽出する。その後、この溶液を、シリカ充填カラムに通して、触媒及び水酸化ナトリウムを除去する。この濾液にNaSOを添加して乾固し、濾過し、溶媒を除いたのち、ベンズヒドロールを回収し、その後、減圧下(10−2mmHg)で乾燥する。単離した産物は、1.62g(収量88%)である。
水素源として2−プロパノールの存在下で新規の触媒(3〜10)を用いると、この工程は、アルコール類を小規模及び中規模で合成する、化学量論的還元剤又は分子状の水素の有用な代替となり、実用的に非常に興味のある工程である。触媒(3〜10)を使用すると、ケトン類がその産物へ還元反応が定量的に、数分以内に、高率で起こる。従って、これらのルテニウム複合体は、RCHOH型のアルコール、及びRR’CHOH型のラセミ混合物(R、R’は、飽和若しくは不飽和で、直鎖若しくは環状の、脂肪族、若しくは芳香族炭化水素であって、任意で置換アルキル基、又は酸素、ハロゲン若しくはピリジン原子を有するものを示す。)の広範なアルコール類を合成するのに理想的なものである。産生されるアルコール類の高い化学的選択性及び分離の容易性により、この触媒工程は、工業上広く使用されているNaBH、LiAlH(非特許文献25)、Al(OC(Meerwein−Ponndorf−Verley反応)(非特許文献26乃至29)などの従来の還元剤を使用する方法の代替法となる。
B2.対掌性を有する触媒を用いた触媒試験
全ての工程は、上述の通り脱気した2−プロパノールを用いて、アルゴン又は水素雰囲気下で実行した。
(例12)
対掌性を有するルテニウムの複合体の存在下におけるアセトフェノン(0.1M)のエナンチオマー選択的還元
複合体(12)で触媒したアセトフェノンのエナンチオマー選択的還元の工程について、述べる。これと同様の方法を、複合体(11〜15)について使用し、その結果を表3に示すとともに、表4において、複合体(12)を用いて、アルゴン又は水素雰囲気下で実行したこの反応の結果を示す。
a)複合体(12)で触媒した、アセトフェノンの1−フェニルエタノールへのエナンチオマー選択的還元
対掌性を有する触媒(12)(3.6mg、0.005ミリモル)を、10mLのSchlenkにおいて、3mLの2−プロパノールに懸濁し、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノール2mLを添加し、産物を溶解する。
別に、50mLのSchlenkにおいて、アセトフェノン(240μL、2ミリモル)を19mLの脱気した2−プロパノールに溶解する。この系を、還流下加熱し、上述の通り調製した触媒を含有する溶液1mLを添加する。
アセトフェノン/触媒/NaOHのモル比は、2000/1/40である。反応の開始時点は、この複合体を添加した時であるものとする。ガスクロマトグラフィー分析より得た結果を表3に示す。
表3 対掌性を有するルテニウムの複合体の存在下における、アセトフェノンの1−フェニルエタノールへのエナンチオマー選択的還元
この反応は、[a]印では、40℃で、[b]印では、70℃で、[c]印では、40℃で、それぞれ行った。塩基は、KCOである。
表4 複合体(12)の存在下、30℃で、アルゴン又は水素雰囲気下、アセトフェノンの1−フェニルエタノールへのエナンチオマー選択的還元
(例13)
対掌性を有する複合体(12)で触媒した、ケトン類のエナンチオマー選択的還元
対掌性を有する触媒(12)(3.6mg、0.005ミリモル)を、10mLのSchlenkにおいて3mLの2−プロパノールに懸濁し、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノール2mLを添加し、この産物を溶解する。
別に、50mLのSchlenkにおいて、ケトン(2ミリモル)を19mLの脱気した2−プロパノールに溶解する。この系を、還流下加熱し、上述の通り調製した触媒を有する溶液1mLを添加する。
アセトフェノン/触媒/NaOHのモル比は、2000/1/40である。ガスクロマトグラフィー分析から得た結果を表5に示す。
表5 複合体(12)で触媒した、ケトン類のアルコール類へのエナンチオマー選択的還元。基質/触媒/塩基のモル比は、2000/1/40である。
(例14)
(S)−2’−クロロ−フェニルエタノールの合成
脱気した2−プロパノール46mLを、窒素雰囲気下、100mLのフラスコに導入し、1.3mLの2−クロロアセトフェノン(10ミリモル)を添加し、その後、この系を、還流下、加熱する。別に、10mLのSchlenkにおいて、触媒(12)(2.1mg、0.003ミリモル)を、0.1MのNaOH溶液を有する2−プロパノール3mLに溶解する。この複合体は、急速に溶解し、約1分後、この溶液2mLを上述の反応フラスコに導入する。2−クロロアセトフェノン/触媒/NaOHのモル比は、5000/1/100である。15分及び30分において、この反応について、ガスクロマトグラフィー分析を用いてチェックする。還流下1時間後、H NMR分析により、ケトン類がアルコール類へと完全に変換されたことを示した。溶媒を留去して、油状物を得、これに20mLのエチルエーテルを添加し、この溶液をシリカ充填カラムに通して濾過し、触媒及びNaOHを除く。この溶液をNaSO上で乾固し、上述の濾液を前もって計量した小型フラスコに載置する。減圧下、周囲温度で上述のエーテルを除去した後、上述の油状物を110℃に約2時間再度加熱して、微量の2−プロパノールを除いた。S配置のアルコール1.28g(収量84%)(91%ee)を得た。
(例15)
(S)−2’−メトキシ−1−フェニルエタノールの合成
(S)−2’−クロロ−1−フェニルエタノールで用いたものと同様の工程を用いて、2−メトキシアセトフェノンを出発物質として、(S)−2’−メトキシ−1−フェニルエタノールの合成を行った。ケトン/触媒(12)/塩基のモル比は、5000/1/100である。1.4mLの2−メトキシアセトフェノン(10ミリモル)を出発物質として、S配置のアルコール1.24g(収量80%)(94%ee)を得た。

Claims (15)

  1. 下記一般式(I)

    のルテニウム(II)複合体であって、
    式中、X、Y、L、L’について、
    Xは、同一又は異なって、ハロゲン又は水素であり、
    Lは、下記a)乃至c)からなる群
    a)一般式PRの単座配位子のフォスフィンであって、R、R及びRが、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
    b)一般式PR’(CHPR’’の二座配位子のフォスフィンであって、xが、2、3又は4であり、R’及びR’’が、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
    c)光学活性を有するジフォスフィンである;
    から選択されたリガンドであり、
    mは、リガンドLが上記群b)又はc)から選択される場合にはmが1であり、リガンドLが上記群a)から選択される場合には2であり、且つリガンドが同一であっても異なってもよいという条件の下、1又は2であり、
    L’は、下記一般式(II)

    で示されるタイプの2−(アミノメチル)ピリジンの二座配位子のリガンドであり、一般式(II)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、脂肪族又は芳香族である、
    ことを特徴とするルテニウム(II)複合体。
  2. リガンドX及びYは、トランス又はシスであることを特徴とする請求項1に記載のルテニウム(II)複合体。
  3. 下記一般式(III)

    であって、
    式中、X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
    Lは、上記群a)から選択された、同一又は異なった、単座配位子であるフォスフィンであり、
    L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のルテニウム(II)複合体。
  4. 下記一般式(III)

    であって、
    X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
    Lは、上記群a)から選択された、同一又は異なった、単座配位子のフォスフィンであり、
    L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のルテニウム(II)複合体。
  5. X及びYは、独立に塩素又は水素であり、
    Lは、単座配位子のフォスフィンであるPPhであり、
    L’は、2−(アミノメチル)ピリジンであることを特徴とする請求項3又は4に記載のルテニウム(II)複合体。
  6. 下記一般式(IV)

    であって、
    X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
    Lは、上記群b)から選択された二座配位子であるフォスフィン、又は上記群c)から選択された光学活性を有するジフォスフィンであり、
    L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のルテニウム(II)複合体。
  7. 下記一般式(IV)

    であって、
    X及びYは、独立にハロゲン又は水素であり、
    Lは、上記群b)から選択された二座配位子であるフォスフィン、又は上記群c)から選択された光学活性を有するジフォスフィンであり、
    L’は、上記一般式(II)の2−(アミノメチル)ピリジン型の二座配位子のリガンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のルテニウム(II)複合体。
  8. X及びYは、塩素であり、
    Lは、PPh(CHPPh、PPh(CHPPh、及びPPh(CHPPhでからなる群から選択されたジフォスフィンであり、
    L’は、2−(アミノメチル)ピリジンであることを特徴とする請求項6又は7に記載のルテニウム(II)複合体。
  9. X及びYは、塩素であり、
    Lは、(2S,3S)−(−)−2,3−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、(S)−(−)−2,2’−ビス−(ジ−p−トリルフォスフィノ)−1,1’−バイナフチル(Tol−BINAP)、(2S,4S)−(−)−2,4−ビス−(ジフェニルフォスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、(4R,5R)−(−)−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキソ−1,4−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン(DIOP)、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルフォスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルフォスフィン(JOSIPHOS)からなる群から選択された光学活性を有するジフォスフィンであり、
    L’は、2−(アミノメチル)ピリジンであることを特徴とする請求項6又は7に記載のルテニウム(II)複合体。
  10. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のルテニウム(II)複合体の、合成方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のルテニウム(II)複合体の、in situにおける合成方法。
  12. 下記一般式(I)

    のルテニウム(II)複合体であって、
    式中、X、Y、L、L’について、
    X及びYは、同一又は異なって、ハロゲン又は水素であり、
    Lは、a)乃至c)からなる群
    a)一般式PRの単座配位子のフォスフィンであって、R、R及びRが、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
    b)一般式PR’(CHPR’’の二座配位子のフォスフィンであって、xが、2、3又は4であり、R’及びR’’が、同一又は異なって、脂肪族又は芳香族であるものであり;
    c)光学活性を有するジフォスフィンである;
    から選択されたリガンドであり、
    mは、リガンドLが上記群b)又はc)から選択される場合にはmが1であり、リガンドLが上記群a)から選択される場合には2であり、且つリガンドが同一であっても異なってもよいという条件の下、1又は2であり、
    L’は、下記一般式(II)

    で示されるタイプの2−(アミノメチル)ピリジンの二座配位子のリガンドであり、一般式(II)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、脂肪族又は芳香族であって、
    in situにおける合成工程により取得可能なものであることを特徴とするルテニウム(II)複合体。
  13. 請求項1乃至9及び12のいずれか一項に記載のルテニウム(II)複合体の使用であって、
    水素転移を介して、ケトン類に対応するアルコール類を調製する、アルコールからケトン類へのケトン類のエナンチオマー選択的又はエナンチオマー非選択的な還元用の触媒としての、ルテニウム(II)複合体の使用。
  14. 請求項1乃至9及び12のいずれか一項に記載のルテニウム(II)複合体の使用であって、
    ガス状の水素と反応してケトン類に対応するアルコール類を調製する、ケトン類のエナンチオマー選択的又はエナンチオマー非選択的な還元用の触媒としての、ルテニウム(II)複合体の使用。
  15. 請求項1乃至9及び12のいずれか一項に記載のルテニウム(II)複合体の使用であって、
    ケトン類に対応するアルコール類へのエナンチオマー選択的又はエナンチオマー非選択的還元が、水素転移を介したアルコール類から前記ケトンへの還元とガス状水素を用いた水素化による還元とを組み合わせて取得され得る工程における触媒としての、ルテニウム(II)複合体の使用。
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