JPH11189600A - ルテニウム錯体とこれを触媒とするアルコール化合物 の製造方法 - Google Patents
ルテニウム錯体とこれを触媒とするアルコール化合物 の製造方法Info
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- JPH11189600A JPH11189600A JP9359654A JP35965497A JPH11189600A JP H11189600 A JPH11189600 A JP H11189600A JP 9359654 A JP9359654 A JP 9359654A JP 35965497 A JP35965497 A JP 35965497A JP H11189600 A JPH11189600 A JP H11189600A
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Abstract
物等を製造する。 【解決手段】 カルボニル化合物の水素還元触媒用の、
単座または二座のホスフィン配位子とともに単座または
二座アミン配位子をもつ一般式1の新規光学活性ルテニ
ウム錯体、およびこれを用いたカルボニル化合物の水素
還元による光学活性ないしアキラルなアルコール化合物
の製造方法。 RuXY(PR1R2R3)n(NR6R7R8)m
(1) (X、Yは同じでも異なってもよく、水素、ハロゲンや
カルボキシル基又は他のアニオン基、R1、R2、R3
は同じでも異なってもよく、置換基を有してもよい炭化
水素基であり、R1とR2が一緒に置換基を有してもよ
い炭素鎖環を形成してもよく、nは0〜4の整数、
R6、R7、R8は同じでも異なってもよく、水素又は
置換基を有してもよい炭化水素基、mは0〜4の整数で
ある。)
Description
ム錯体とこれを触媒とするアルコール化合物の製造方法
に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、医薬、農薬、あるいは多くの汎用化学品の合成中間
体等としてのアルコール化合物、そしてまた、アキラル
及び光学活性アルコール化合物を製造するのに有用な高
効率触媒である新規ルテニウム錯体と、このルテニウム
錯体を触媒とするアルコール化合物、アキラル及び光学
活性アルコール化合物の製造方法に関するものである。
は、様々な均一系或いは不均系触媒反応の有効な触媒と
しての実績を有しているが、カルボニル化合物の高効率
かつ高選択的な水素化ないし還元反応のための触媒は開
発されていない。均一系触媒を使用してカルボニル化合
物類の水素化により対応するアルコール類を製造する方
法はこれまでによく知られている。例えば(1)Compre
hensiveOrganometallic Chemistry, Vol.4,931頁
(1982)、Eds.G.Wilkinson,F.G.A.Stone and E.W.
Abel に記載されたルテニウム錯体を用いるた方法や、
(2)Inorg.Nucl.Chem.Letters, Vol. 12,865頁
(1976);J.Organomet.Chem., Vol. 129,23
9頁(1977);Chem. Letters,261頁(198
2)およびTetrahedron Letters, Vol. 35,4963
頁(1994)に記載されたロジウム錯体を用いる方
法、(3)J.Am.Chem.Soc., Vol.115,3318頁
(1993)に記載されたイリジウム錯体を用いる方法
等が知られている。
として用いる金属が比較的高価なロジウム、イリジウ
ム、パラジウム、白金などのいわゆる貴金属錯体触媒で
あり、しかも水素化活性が低く比較的高温あるいは高い
水素圧を必要とするため実用には必ずしも適さないとい
う問題点があった。一方、光学活性アルコールの取得に
着目した場合、1)パン酵母などの酵素を用いる方法
や、2)金属錯体触媒を用いてカルボニル化合物を不斉
水素化する方法などが知られている。とくに後者の方法
においては、これまでにも多くの不斉触媒反応の例が報
告されている。例えば、(1)Asymmetric Catalysis i
n Organic Synthesis,56−82頁(1994)Ed.R.N
oyori に詳細に記載されている光学活性ルテニウム触媒
による官能基を有するカルボニル化合物の不斉水素化方
法や、(2)Chem.Rev.,Vol.92,1051−1069
頁(1992)に記載されているルテニウム、ロジウ
ム、イリジウムの不斉錯体触媒による水素移動型還元反
応による方法、(3)油化学822−831頁(198
0)およびAdvancesin Catalysis,Vol.32,215頁
(1983)Ed.Y.Izumiに記載されている酒石酸を修飾
したニッケル触媒を用いて不斉水素化する方法、(4)
Asymmetric Synthesis,Vol. 5,Chap. 4(1985)
Ed.J.D.Morrison およびJ.Organomet,Chem, Vol.34
6,413−424頁(1988)に記載されている不
斉ヒドロシリル化による方法、(5)J.Chem.Soc.,Perk
in Trans, 1,2039−2044頁(1985)およ
びJ.Am.Chem.Soc., Vol.109,5551−5553頁
(1987)に記載されている不斉配位子の存在下にボ
ラン還元する方法、(6)J.Am.Chem.Soc., Vol.11
7,2675−2676頁(1995)に記載されてい
るホスフィンおよびジアミン不斉配位子の存在下に不斉
水素化する方法などが知られている。
高い光学純度のアルコール類を得ることができるものの
反応基質の種類に制約があり、しかも得られるアルコー
ル類の絶対配置も特定のものに限られるという欠点があ
る。また、遷移金属の不斉水素化触媒による従来の方法
の場合には、分子内に官能基を含む、例えばケト酸のよ
うな基質に対しては高い選択性で光学活性アルコール類
は製造できるものの、官能基を持たない単純構造のカル
ボニル化合物の水素化においては反応速度に難点があっ
た。さらに、前記(6)文献記載の方法は、選択性およ
び活性の点で優れているものの、ルテニウムホスフィン
錯体、ジアミン、及び塩基の3成分を混合して用いてお
り、操作が煩雑であるという難点があった。
製造するための、一般性が高く、しかも高活性、かつ、
高選択的な触媒と、これを用いてアルコール化合物、ア
ラルキル及び光学活性アルコール化合物を製造するため
の方法が求められていた。
のとおりの課題を解決するものとして、次のとおりの新
規ルテニウム錯体を提供する。 <1>一般式(1)
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子や、カルボキシル
基または他のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R3 は、
同じであっても互いに異なってもよく、置換基を有して
もよい炭化水素基であり、R1とR2 が一緒になって置
換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示
し、nは0から4の整数であり、R6 ,R7 ,R8 は、
同じかもしくは異なっていてもよく、水素原子、または
置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは0から4
の整数である。)で表わされるルテニウム錯体。 <2>一般式(2)
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル
基または他のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R3 は、
同じであっても異なっていてもよく、置換基を有しても
よい炭化水素基であり、R1 とR2 が一緒になって置換
基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示
し、nは0から4の整数であり、R6 ,R7 ,R9 ,R
10は、同じかもしくは異なっていてもよく、水素原子、
または置換基を有してもよい炭化水素基を示し、Zは、
炭化水素基を示し、mは、0から4の整数である。)で
表わされるルテニウム錯体。 <3>一般式(3)
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル
基または他のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R4 ,R
5 は、同じであっても互いに異なってもよく、置換基を
有してもよい炭化水素基であり、R1 とR2 が一緒にな
って置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいこ
とを示し、またR4 とR5 が一緒になって置換基を有し
てもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、Wは、
置換基を有してもよい、炭化水素基を示し、nは、0か
ら4の整数であり、R6 ,R7 ,R8 は、同じかもしく
は異なっていてもよく、水素原子または置換基を有して
もよい炭化水素基を示し、mは、0から4の整数であ
る。)で表わされるルテニウム錯体。 <4>一般式(4)
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル
基または他のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R4 ,R
5 は、同じであっても互いに異なってもよく、置換基を
有してもよい炭化水素基であり、R1 とR2 が一緒にな
って置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいこ
とを示し、またR4 とR5 が一緒になって置換基を有し
てもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、Wは、
置換基を有してもよい炭化水素基を示し、nは0から4
の整数であり、R6 ,R7 ,R9 ,R10は、同じかもし
くは異なっていてもよく、水素原子、または置換基を有
してもよい炭化水素基を示し、Zは、置換基を有しても
よい炭化水素基を示し、mは、0から4の整数であ
る。)で表わされるルテニウム錯体。
テニウム錯体、なかでも、一般式(1)(2)(3)
(4)において、ホスフィン配位子およびアミン配位子
の少くとも一方が光学活性基であるルテニウム錯体を触
媒に用いて、カルボニル化合物を水素あるいは水素を供
与する化合物の存在下に還元してアルコール化合物を製
造する方法、特に光学活性アルコール化合物を製造する
方法をも提供する。
ニウム触媒と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
塩、ないしは四級アンモニウム塩とからなる二成分系の
触媒によりアルコール化合物、光学活性アルコール化合
物を製造する方法も提供する。
特徴をもつものであるが、以下に詳しくその実施の形態
について説明する。まず、この発明の新規ルテニウム錯
体を表わす一般式(1)(2)(3)(4)において、
符号XおよびYは、同じであっても異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子やカルボキシル基またはそ
の他のアニオン基を示すが、この場合の、その他のアニ
オン基としては各種のものであってよく、たとえばアル
コキシ基、ヒドロキシ基等が例示される。
で表わされるこの発明のルテニウム錯体は、ホスフィン
配位子とアミン配位子を持つが、このうちのホスフィン
配位子は、PR1 R2 R3 、およびR1 R2 P−W−P
R4 R5 で示されている。PR1 R2 R3 においては、
R1 ,R2 ,R3 は、同じであっても互いに異なっても
よく、置換基を有してもよい炭化水素基であり、R1 と
R2 が一緒になって置換基を有してもよい炭素鎖環を形
成してもよいことを示し、R1 R2 P−W−PR4 R5
においては、R1 ,R2 ,R4 ,R5 は、同じであって
も互いに異なってもよく、置換基を有してもよい炭化水
素基であり、R1 とR2 が一緒になって置換基を有して
もよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、またR4
とR5 が一緒になって置換基を有してもよい炭素鎖環を
形成してもよいことを示し、Wは、置換基を有してもよ
い炭化水素基を示す。
5 の置換基を有してもよい炭化水素基は、脂肪族、脂環
族の飽和または不飽和の炭化水素基、単環または多環の
芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素、あるいは置換基
をもつこれら炭化水素基の各種のものであってよい。た
とえばアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロ
アルケニル、フェニル、ナフチル、フェニルアルキル等
の炭化水素基と、これら炭化水素基に、さらにアルキ
ル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキ
シ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、
シアノ基等の許容される各種の置換基を有するもののう
ちから選択されるものである。
成する場合には、R1 とR2 ,R4とR5 は、結合して
炭素鎖を形成し、この炭素鎖上にアルキル、アルケニ
ル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステ
ル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ基等
の許容される各種の置換基をもつものから選択される。
Wについては、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 の各種の
炭化水素基のうちから2価基を構成するものとして適宜
に選ばれて2座ホスフィン配位子を形成する。
フィン配位子の例としては、たとえば、トリメチルホス
フィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホス
フィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、ジフェニルメ
チルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィンなどの三
級ホスフィンが好適なものとして例示される。さらにR
1 R2 R3 が三種とも異なる置換基からなる光学活性ホ
スフィン配位子、もしくは少なくとも一つの基が光学活
性基である光学活性ホスフィン配位子を用いてもよい。
れる2座ホスフィン配位子の例としては、ビスジフェニ
ルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタ
ン、ビスジフェニルホスフィノプロパン、ビスジフェニ
ルホスフィノブタン、ビスジメチルホスフィノエタン、
ビスジメチルホスフィノプロパンなどの2座配位の3級
ホスフィン化合物等が好適なものとして例示される。さ
らに、光学活性2座ホスフィン配位子の例としては、例
えば、BINAP:2,2′−ビス−(ジフェニルホス
フィノ)−1,1′−ビナフチル、およびBINAPの
ナフチル環にアルキル基やアリール基等の置換基をもつ
BINAP誘導体、たとえばH8 BINAP、BINA
Pのリン原子上の1個のベンゼン環にアルキル基置換基
を1〜5個有するBINAP誘導体、たとえば、Tol
−BINAP:2,2′−ビス−(ジ−p−トリルホス
フィノ)−1,1′−ビナフチル、キシリル−BINA
P:2,2′−ビス〔ビス(3,5−ジメチルフェニ
ル)ホスフィノ〕−1,1′−ビナフチルさらにフッ素
置換基をもつBINAP誘導体、BICHEP:2,
2′−ビス−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6,
6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル、BPPFA:
1−〔1′,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロ
セニル〕エチルジアミン、CHIRAPHOS:2,3
−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、CYCPH
OS:1−シクロヘキシル−1,2−ビス−(ジフェニ
ルホスフィノ)エタン、DEGPHOS:1−置換−
3,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン、
DIOP:2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジ
ヒドロキシ−1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)
ブタン、DIPAMP:1,2−ビス〔(O−メトキシ
フェニル)フェニルホスフィノ〕エタン、DuPHO
S:(置換−1,2−ビス(ホスホラノ)ベンゼン)、
NORPHOS:5,6−ビス−(ジフェニルホスフィ
ノ)−2−ノルボルネン、PNNP:N,N′−ビス−
(ジフェニルホスフィノ)−N,N′−ビス〔1−フェ
ニルエチル〕エチレンジアミン、PROPHOS:1,
2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)プロパン、SKE
WPHOS:2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)
ペンタンなどが挙げられる。もちろんこの発明に用いる
ことのできるホスフィン配位子はこれらに何ら限定され
るものではない。
表されるルテニウム錯体のアミン配位子においては、R
6 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10は、同じかもしくは異なっ
ていてもよく、水素原子、または置換基を有してもよい
炭化水素基を示し、Zは、置換基を有してもよい炭化水
素基から選ばれる基を示す。ここで、置換基を有しても
よい炭化水素基は、前記のR1 ,R2 ,R3 ,R4,R
5 と同様のもののうちから適宜に選択されたものであっ
てよい。
ン配位子としては、メチルアミン、エチルアミン、プロ
ピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシル
アミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロペ
ンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルア
ミン、ジフェニルアミン、フェニルエチルアミン、ピペ
リジン、ピペラジンなどのモノアミン化合物が例示さ
れ、さらに、光学活性モノアミン配位子としては、光学
活性フェニルエチルアミン、ナフチルエチルアミン、シ
クロヘキシルエチルアミン、シクロヘプチルエチレンジ
アミン等の光学活性モノアミン化合物を例示することが
できる。
チレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノ
プロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミ
ノブタン、2,3−ジアミノブタン、1,2−シクロペ
ンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N
−メチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレ
ンジアミン、N,N,N′−トリメチルエチレンジアミ
ン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン
などが例示される。また、光学活性ジアミン化合物も用
いることもできる。例えば光学活性1,2−ジフェニル
エチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、
1,2−シクロヘプタンジアミン、2,3−ジメチルブ
タンジアミン、1−メチル−2,2−ジフェニルエチレ
ンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジフェニルエチ
レンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジフェニル
エチレンジアミン、1−メチル−2,2−ジ(p−メト
キシフェニル)エチレンジアミン、1−イソブチル−
2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミ
ン、1−イソプロピル−2,2−ジ(p−メトキシフェ
ニル)エチレンジアミン、1−ベンジル−2,2−ジ
(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−メチ
ル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソブ
チル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソ
プロピル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、など
の光学活性ジアミン化合物を例示することができる。
ン化合物は例示した光学活性エチレンジアミン誘導体に
限るものでなく光学活性なプロパンジアミン、ブタンジ
アミン、フェニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン
誘導体等を用いることができる。一般式(1)、
(2)、(3)、(4)で表されるルテニウム錯体の合
成は、ホスフィン配位子、およびアミン配位子を順に、
もしくは逆の順で、または、同時に、原料であるルテニ
ウム錯体と反応することにより合成することができる。
ム錯体には、0価、1価、2価、3価及び、さらに高原
子価の錯体を用いることができる。0価、及び1価のル
テニウム錯体を用いた場合には、最終段階までにルテニ
ウムの酸化が必要である。2価の錯体を用いた場合に
は、ルテニウム錯体とホスフィン配位子、及び、アミン
配位子を順次もしくは逆の順で、または、同時に反応す
ることにより合成できる。3価、及び4価以上のルテニ
ウム錯体を出発原料に用いた場合には、最終段階まで
に、ルテニウム原子の還元が必要である。
塩化ルテニウム(III) 水和物、臭化ルテニウム(III) 水
和物、沃化ルテニウム(III) 水和物等の無機ルテニウム
化合物、〔2塩化ルテニウム(ノルボルナジエン)〕多
核体、〔2塩化ルテニウム(シクロオクタジエン)〕多
核体、ビス(メチルアリル)ルテニウム)シクロオクタ
ジエン)等のジエンが配位したルテニウム化合物、〔2
塩化ルテニウム(ベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニ
ウム(p−シメン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(ト
リメチルベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(ヘ
キサメチルベンゼン)〕二核体等の芳香族化合物が配位
したルテニウム錯体、また、シクロロトリス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウム等のホスフィンが配位した
錯体等が用いられる。さらには、上記の中性ルテニウム
錯体以外にも、〔クロロルテニウム(BINAP)(ベ
ンゼン)〕クロライド、(クロロルテニウム(BINA
P)(p−シメン)〕クロライド等のカチオン性ルテニ
ウム錯体〔J.Org.Chem.,59,3064(199
4)〕、また、アニオン性錯体も用いることができる。
この他、ホスフィン配位子、アミン配位子と置換可能な
配位子を有するルテニウム錯体であれば、特に、上記に
限定されるものではない。例えば、COMPREHENSIVEORGAN
OMETALLIC CHEMISTRY II 7巻 294−296ページ
(PERGAMON)に示された、種々のルテニウム錯体を出発原
料として用いることができる。
いる場合には、たとえば、ハロゲン化ルテニウム(III)
を過剰のホスフィンと反応することにより、ホスフィン
−ルテニウムハライド錯体を合成することができる。次
いで、得られたホスフィン−ルテニウムハライド錯体
を、アミンと反応する事により、目的とするアミン−ホ
スフィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができ
る。例えば、この合成については一例だけ文献(J.Mol.C
at.,15,297(1982))に記述がある。
(1970)記載の方法により合成されたRuCl
2 (PPh3 )3 を、ベンゼン中、エチレンジアミンと
反応させて、RuCl2 (PPh3 )2 (en)が得ら
れている(ただし、収率の記載はない)。ただ、この方
法では、反応系が不均一系であり、未反応の原料が残存
する傾向が見られる。一方、反応溶媒を塩化メチレン、
クロロホルム等の溶媒に変更する場合には、反応を均一
状態で行うことができ、操作性が向上する。
との反応は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、
塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノ
ール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニト
リル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘ
テロ原子を含む有機溶媒中、反応温度−100℃から2
00℃の間で行われ、ホスフィン−ルテニウムハライド
錯体を得ることができる。
錯体とアミン配位子との反応は、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂
肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭
化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエー
テル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール
系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリド
ン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、反応温
度−100℃から200℃の間で行われアミン−ホスフ
ィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
テニウムハライド錯体を、水素化、または、水素移動型
還元反応条件にて水素化することにより、アミン−ホス
フィン−ルテニウムヒドリド錯体を得ることができる。
たとえば、アミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯
体を、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、
ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メ
チレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、
エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジル
アルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、
DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原
子を含む有機溶媒中、反応温度−100℃から200℃
の間で、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウ
ムアルミニウム等の金属水素化物、臭化メチルマグネシ
ウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマグネシ
ウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチ
ウム等の有機金属化合物または、KOH、KOCH3 、
KOCH(CH3 )2 、KC10H8 、LiOH、LiO
CH3 、LiOCH(CH3 )2 等のアルカリ、アルカ
リ土類金属の塩あるいは4級アンモニウム塩等と反応す
ることで、アミン−ホスフィン−ルテニウムヒドリド錯
体を得ることができる。
ライド錯体を、ホスフィン−ルテニウムヒドリド錯体に
変換した後、アミンと反応してアミン−ホスフィン−ル
テニウムハライド錯体を得ることができる。たとえば、
RuCl2 (PPh3 )3 を、RuH2 (PPh3 )3
に変換後、enと反応しRuH2 (en)(PPh3)
3 を得ることができる。ホスフィン−ルテニウムハライ
ド錯体を、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶
媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩
化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノ
ール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニト
リル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘ
テロ原子を含む有機溶媒中、反応温度−100℃から2
00℃の間で、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化
リチウムアルミニウム等の金属水素化物、臭化メチルマ
グネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマ
グネシウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピ
ルリチウム等の有機金属化合物または、KOH、KOC
H3 、KOCH(CH 3 )2 、KC10H8 、LiOH、
LiOCH3 、LiOCH(CH3 )2 等のアルカリ、
アルカリ土類金属の塩あるいは4級アンモニウム塩等と
反応することで、ホスフィン−ルテニウムヒドリド錯体
を得ることができる。
錯体とアミン配位子の反応は、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪
族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化
水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール
系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリド
ン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、反応温
度−100℃から200℃の間で行われ、アミン−ホス
フィン−ルテニウムヒドリド錯体を得ることができる。
い、これと、ホスフィン配位子、アミン配位子を順次、
もしくは逆の順で、又は、同時に、反応する方法も用い
られる。一例として、〔2塩化ルテニウム(ノルボルナ
ジエン)〕多核体、〔2塩化ルテニウム(シクロオクタ
ジエン)〕多核体、ビス(メチルアリル)ルテニウム
(シクロオクタジエン)等のジエンが配位したルテニウ
ム化合物、または、〔2塩化ルテニウム(ベンゼン)〕
二核体、〔2塩化ルテニウム(p−シメン)〕二核体、
〔2塩化ルテニウム(トリメチルベンゼン)〕二核体、
〔2塩化ルテニウム(ヘキサメチルベンゼン)〕二核体
等の芳香族化合物が配位したルテニウム錯体、また、ジ
クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等
のホスフィンが配位した錯体を、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂
肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭
化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエー
テル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール
系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリド
ン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、反応温
度−100℃から200℃の間で、ホスフィン配位子と
反応し、ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を得るこ
とができる。
錯体とアミン配位子の反応は、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪
族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化
水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール
系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリド
ン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、反応温
度−100℃から200℃の間で反応し、アミン−ホス
フィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
また、同様の条件で、〔クロロルテニウム(BINA
P)(ベンゼン)〕クロライド等のカチオン性ルテニウ
ム錯体をアミン配位子と反応させてアミン−ホスフィン
−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
ハライド錯体は、前記の方法と同様にして、アミン−ホ
スフィン−ルテニウムヒドリド錯体に変換することがで
きる。たとえば以上のようにして合成される一般式
(1)(2)(3)(4)で表されるルテニウム錯体を
水素化触媒として用いる場合、その使用量は反応容器や
経済性によって異なるが反応基質であるカルボニル化合
物に対して1/100〜1/1,000,000用いる
ことができ、好ましくは1/500〜1/100,00
0の範囲でとする。一般式(1)(2)(3)(4)で
表されるルテニウム錯体は、X,Yが水素の場合は、塩
基を添加することなしに、カルボニル化合物と混合後、
水素圧をかけるか、または、水素供与体の存在下に攪拌
する。これにより、カルボニル化合物の水素化を行うこ
とができる。触媒に対してカルボニル化合物を大過剰に
用いた場合には、塩基を展開した方が望ましい場合もあ
る。一方、X,Yが、水素以外の基である場合には、塩
基存在下、カルボニル化合物と混合後、水素圧をかける
か、または、水素供与剤の存在下に攪拌することによ
り、カルボニル化合物の水素化を行うことが有効でもあ
る。
−ルテニウム錯体に対し、0.5−100当量、好まし
くは、2−40当量である。塩基の種類としては、KO
H、KOCH3 、KOCH(CH3 )2 、KC10H8 、
LiOH、LiOCH3 、LiOCH(CH3 )2 等の
アルカリ、アルカリ土類金属の塩あるいは4級アンモニ
ウム塩等が用いられる。また、アミン−ホスフィンルテ
ニウムヒドリド体を発生させるものであれば、塩基に限
定されることはなく、例えば、水素、水素化ホウ素ナト
リウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化
物、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウ
ム、臭化プロピルマグネシウム、メチルリチウム、エチ
ルリチウム、プロピルリチウム等の有機金属化合物も用
いることができる。
するものであれば適宜なものを用いることができる。例
としてトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、
ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メ
チレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、
エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジル
アルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、
DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原
子を含む有機溶媒を用いることができる。反応生成物が
アルコール化合物であることから、アルコール系溶媒が
より好適でもある。反応基質が溶媒に可溶化しにくい場
合は上記溶媒から選択して混合溶媒として用いることが
できる。溶媒の量は反応基質の溶解度および経済性によ
り判断される。たとえば、2−プロパノールの場合、基
質濃度は、基質によっては1%以下の低濃度から無溶媒
に近い状態で反応を行うことができ、通常は、20〜5
0重量%で用いることが望ましい。
本触媒系が極めて高活性であることから1気圧で十分で
あるが、経済性を考慮すると1〜200気圧の範囲で、
好ましくは3〜100気圧の範囲が望ましいが、プロセ
ス全体の経済性を考慮して50気圧以下でも高い活性を
維持することも可能である。反応温度は経済性を考慮し
て15℃から100℃で行うことが好ましいが、25〜
40℃の室温付近で反応を実施することもできる。た
だ、発明においては、−30〜0℃の低温でも反応が進
行することを特徴としてもいる。反応時間は反応基質濃
度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが数分から
1日で反応は完結する。実施例で具体的に例示する。
化反応は反応形式がバッチ式においても連続式において
も実施することができる。以下実施例を示し、さらに詳
しくこの発明の方法について説明する。もちろん、この
発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、下記の実施例においては、反応はすべてアルゴン
ガスまたは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行った。
また、反応に使用した溶媒は乾燥、脱気したものを用い
た。カルボニル化合物の水素化の反応は、オートクレー
ブ中、水素を加圧して行った。
善株式会社発行)の方法に従い、RuCl2 (PP
h3 )3 を合成した。塩化メチレン中、RuCl2(P
Ph3 )3 とエチレンジアミン(enと略記)を反応さ
せて、RuCl2 (PPh3 )2 (en)を得た。収率
63% 次いで、アルゴン置換した50mlシュレンクに、Ru
Cl2 (PPh3 )2(en)(225mg,0.30
mmol)、KOt−Bu(66mg,0.59mmo
l)、2−プロパノール5ml、トルエン5mlを仕込
んだ。脱気後、2時間攪拌、次いで、濃縮した。トルエ
ン10mlで抽出、トルエン層を濾過した後、濃縮し、
オレンジ−赤色の化合物53mgを得た。この化合物は
2種の異性体からなり、それぞれのH−NMR,31P
−NMRスペクトルは、以下の様である。それぞれは、
ジヒドリド錯体RuH2 (PPh3 )2 (en)の構造
異性体であった。 異性体1:H−NMR(C6 D6 )δ−15.81(d
t,J=5.8Hz,23.9Hz),−6.22(d
dd,J=5.9Hz,33.7Hz,8.7Hz),
1.35,1.49,1.54,1.78,2.02,
2.36,6.96,7.05,7.7631 P−NMR(C6 D6 )δ56.4,57.7,8
4.2 異性体1は、cis−ジヒドリド−cis−ビス(トリ
フェニルホスフィン)(エチレンジアミン)ルテニウム
であることが、推定された。 異性体2:H−NMR(C6 D6 )δ−18.36
(t,J=26.9Hz),1.35,1.50,1.
75,2.00,2.30,7.03,7.15,8.
08, 31 P−NMR(C6 D6 )δ66,6ppm 異性体2は、X線構造解析の結果から、cis−ジヒド
リド−trans−ビス(トリフェニルホスフィン)
(エチレンジアミン)ルテニウムであることが確認され
た。実施例2 Org.Synth., 71,1(1993)の方法に従い、〔R
uCl2 (S)−Binap〕(dmf)n (dmf
は、ジメチルホルムアミドの略である。)を合成した。
レンクに、〔RuCl2 (S)−Binap〕(dm
f)n (524mg,0.52mmol),(S,
S)−ジフェニルエチレンジアミン(以下、DPENと
略記する)(0.117mg,0.55mmol)、ジ
メチルホルムアミド15mlを仕込んだ。脱気後、一
晩、室温で攪拌した。−50℃に冷却し、析出した固体
を、トルエン/ヘキサンから再結晶し、(S)−Bin
ap RuCl2 (S,S)−DPEN 361mgを
得た。
上、47.4ppmにシングレットが観測された。実施例3 アルゴン置換した50mlシュレンクに、(S)−Bi
nap RuCl2 (S,S)−DPEN(229m
g,0.227mmol)、KOt−Bu(80mg,
0.713mmol)、2−プロパノール10ml、ト
ルエン10mlを仕込んだ。脱気後、一晩攪拌、次い
で、濃縮した。トルエン20mlで抽出、液層を濾過し
た後、濃縮し、濃赤色の化合物130mgを得た。この
粉末は、H−NMR(C6 D6 )上、−11.9pp
m、−12.6ppm、及び−15.3ppmにヒドリ
ドに帰属されるシグナルを与えた。実施例4 〔RuCl2 (S)−Binap〕(dmf)nに変え
て〔RuCl2 (R)−Binap〕(dmf)nを、
(S,S)−DPENに変えて(R,R)−DPENを
用いた以外は、実施例2と同様に反応を行い、(R)−
Binap RuCl2 (R,R)−DEPNを350
mg得た。
上、47.4ppmにシングレットが観測された。実施例5 アルゴン置換した50mlシュレンクに、(R)−Bi
nap RuCl2 (R,R)−DPEN(300m
g,0.298mmol)、KOt−Bu(85mg,
0.745mmol)、2−プロパノール10ml、ト
ルエン10mlを仕込んだ。脱気後、一晩攪拌、次い
で、濃縮した。トルエン20mlで抽出、液層を濾過し
た後、濃縮し、濃赤色の化合物100mgを得た。実施例6 (S,S)−DPENに変えて(R,R)−DPENを
用いた以外は、実施例2と同様に反応を行い、(S)−
Binap RuCl2 (R,R)−DPEN320m
gを得た。
(d,2H),4.40(m,2H),4.70(m,
2H),6.4−7.7(m),7.43,7.72,
8.20,8.47,8.70 この化合物は、P31−NMR(C6 D6 )上、46.9
ppmにシングレットが観測された。実施例7 アルゴン置換した50mlシュレンクに、(S)−Bi
nap RuCl2 (R,R)−DPEN(381m
g,0.378mmol)、KOt−Bu(112m
g,0.998mmol)、2−プロパノール10m
l、トルエン30mlを仕込んだ。脱気後、一晩攪拌、
次いで、濃縮した。ヘキサン ml、トルエン60m
lで抽出、液層を濾過した後、濃縮し、濃赤色の化合物
190mgを得た。この化合物は、H−NMR(C6 D
6 )上、−14.2ppm、−14.5ppm、及び−
19.0ppmにヒドリドに帰属されるシグナルを与え
た。実施例8 〔RuCl2 (S)−Binap〕(dmf)nに変え
て〔RuCl2 (R)−tol−Binap〕(dm
f)nを、また、(S,S)−DPENに変えて(R,
R)−DPENを用いた以外は、実施例2と同様に反応
を行い、(R)−tol−Binap RuCl
2 (R,R)−DPENを360mg得た。
69,1.86,3.30,3.46,4.55,6.
39,6.72,6.96,7.40,7.75,8.
37,8.67,8.77,31 P(C6 D6 )δ46.21ppm この錯体は、X線構造解析から、目的とする錯体であ
り、塩素基がトランスに配位した構造であることが確認
された。実施例9 〔RuCl2 (S)−Binap〕(dmf)nに変え
て〔RuCl2 (R)−tol−Binap〕(dm
f)nを用いた以外は、実施例2と同様に反応を行い、
(R)−tol−Binap RuCl2 (S,S)−
DPEN 370mgを得た。
69,1.80,3.10,4.40,6.44,6.
62,6.74,6.93,7.38,7.72,8.
09,8.44,8.53,31 P(C6 D6 )δ45.51 この錯体は、X線構造解析から、目的とする錯体であ
り、塩素基がトランスに配位した構造であることが確認
された。実施例10 J.Chem.Soc.,Chem.Commun., 992(1985)の方法
に従い、〔RuCl2(COD)〕n(CODは、1,
5−シクロオクタジエンの略である。)と(S)−Bi
napを反応させ、〔(S)−Binap〕2 Ru2 C
l4 ・Et3 Nのトルエン溶液を得た。これを精製せず
に、このまま、次の反応に用いた。
ュレンク中に〔(S)−Binap〕2 Ru2 Cl4 ・
Et3 Nのトルエン溶液 80ml(1.98mmo
l)を仕込み、これに、トルエン10mlに溶解した
(R,R)−DPEN(462mg,2.718mmo
l)を添加した。80℃で2時間攪拌した後、室温まで
冷却した。濃縮後、トルエン/ヘキサンから再結晶し、
(S)−Binap RuCl2 (R,R)−DPEN
1200mgを得た。
られた錯体のスペクトルと一致した。実施例11 RuCl2 (PPh3 )2 (en)(7.6mg,0.
01mmol)とKOH(0.02mmol)とアセト
フェノン(60mg,5.0mmol)を3mlの2−
プロパノールに溶解させ脱気し、アルゴン置換した後1
00mlのガラス製オートクレーブに全量を移した後水
素を所定圧(3気圧)まで仕込み反応を開始した。反応
液を30分間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどした。反
応液のガスクロマトグラフィーおよびNMRにより生成
物であるフェネチルアルコールの同定と定量を行った。
反応基質はすべて消費され、生成物の収率は99%以上
であった。実施例12 RuH2 (PPh3 )2 (en)(17.2mg,0.
025mmol)とアセトフェノン(600mg,5.
0mmol)を3mlの2−プロパノールに溶解させ脱
気しアルゴン置換した後100mlのガラス製オートク
レーブに全量を移した後水素を所定圧(3気圧)まで仕
込み反応を開始した。反応液を30分間攪拌の後、反応
圧力を常圧にもどし反応液のガスクロマトグラフィーお
よびNMRにより生成物であるフェネチルアルコールの
同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成
物の収率は99%以上であった。実施例13 (S)−Binap RuCl2 (S,S)−DPEN
(12.2mg,0.0121mmol)、KO−t−
Bu(11.5mg,0.102mmol)を5mlの
2−プロパノールに溶解、脱気アルゴン置換した後、1
00mlのガラス製オートクレーブに全量を移した。3
0分攪拌した後、2−プロパノール5mlに溶解したア
セトフェノン(600mg,5.0mmol)を添加
し、脱気後、水素を所定圧(3気圧)まで仕込み反応を
開始した。反応液を50分間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液のガスクロマトグラフィーおよびNMR
により生成物であるフェネチルアルコールの同定と定量
を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は
99%以上であった。また、光学活性カラムを用いる生
成物の分析から、得られたフェネチルアルコルは、
(R)−体が81.7%eeで生成していた。実施例14 実施例3で得た(S)−Binap RuH2 (S,
S)−DPEN(25.9mg,0.0276mmo
l)とアセトフェノン(600mg,5.0mmol)
を3mlの2−プロパノールに溶解させて脱気し、アル
ゴン置換した後100mlのガラス製オートクレーブに
全量を移した後水素を所定圧(3気圧)まで仕込み反応
を開始した。反応液を40分間攪拌の後、反応圧力を常
圧にもどした。反応液のガスクロマトグラフィーおよび
NMRにより生成物であるフェネチルアルコールの同定
と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の
収率は99%以上であった。また、光学活性カラムを用
いる生成物の分析から、得られたフェネチルアルコール
は、(R)−体が81.3%eeで生成していた。実施例15 実施例5で得た(R)−Binap RuH2 (R,
R)−DPEN(23.0mg,0.0245mmo
l)、KO−t−Bu(82mg,0.73mmo
l)、アセトフェノン(16.86g,0.140mo
l)を35mlの2−プロパノールに溶解させて脱気
し、アルゴン置換した後200mlのガラス製オートク
レーブに全量を移した後水素を所定圧(3気圧)まで仕
込み反応を開始した。水素圧が常時3気圧になる様に、
水素を供給した。反応液を1日攪拌した後、反応圧力を
常圧にもどした。反応液のガスクロマトグラフィーおよ
びNMRにより生成物であるフェネチルアルコールの同
定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物
の収率は99%以上であった。また、光学活性カラムを
用いる生成物の分析から、得られたフェネチルアルコー
ルは、(S)−体が83.3%eeで生成していた。
発明のルテニウム錯体を触媒とすることによって、高収
率、高選択率でアルコール化合物を得ることができる。
特に、この発明の方法で、高効率で光学活性アルコール
化合物を得ることができる。
Claims (34)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中X、Yは、同じであっても異なっていてもよく、
水素原子、ハロゲン原子やカルボキシル基または他のア
ニオン基を示し、R1 ,R2 ,R3 は、同じであっても
異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭化水素基
であり、R1 とR 2 が一緒になって置換基を有してもよ
い炭素鎖環を形成してもよいことを示し、nは0から4
の整数であり、R6 ,R7 ,R8 は、同じかもしくは異
なっていてもよく、水素原子または置換基を有してもよ
い炭化水素基を示し、mは0から4の整数である。)で
表わされるルテニウム錯体。 - 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 (式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他
のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R3 は、同じであっ
ても異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭化水
素基であり、R1 とR2 が一緒になって置換基を有して
もよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、nは0か
ら4の整数であり、R6 ,R7 ,R9 ,R10は、同じか
もしくは異なっていてもよく、水素原子または置換基を
有してもよい炭化水素基を示し、Zは、置換基を有して
もよい炭化水素基を示し、mは、0から4の整数であ
る。)で表わされるルテニウム錯体。 - 【請求項3】 一般式(3) 【化3】 (式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他
のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R4 ,R5 は、同じ
であっても互いに異なってもよく、置換基を有してもよ
い炭化水素基であり、R1 とR2 が一緒になって置換基
を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、
またR4 とR5 が一緒になって置換基有してもよい炭素
鎖環を形成してもよいことを示し、Wは、置換基を有し
てもよい炭化水素基であり、nは0から4の整数を示
し、R6 ,R7 ,R8 は、同じかもしくは異なっていて
もよく、水素原子または置換基を有してもよい炭化水素
基を示し、mは、0から4の整数である。で表わされる
ルテニウム錯体。 - 【請求項4】 一般式(4) 【化4】 (式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他
のアニオン基を示し、R1 ,R2 ,R4 ,R5 は、同じ
であっても互いに異なってもよく、置換基を有してもよ
い炭化水素基であり、R1 とR2 が一緒になって置換基
を有してもよい炭素環を形成してもよいことを示し、ま
たR4 とR5 が一緒になって置換基を有してもよい炭素
環を形成してもよいすることを示し、Wは、置換基を有
してもよい炭化水素基を示し、nは0から4の整数であ
り、R6 ,R7 ,R9 ,R10は、同じかもしくは異なっ
ていてもよく、水素原子または置換基を有してもよい炭
化水素基を示し、Zは、置換基を有してもよい炭化水素
基を示し、mは、0から4の整数である。)で表される
ルテニウム錯体。 - 【請求項5】 PR1 R2 R3 が、光学活性基である請
求項1記載のルテニウム錯体。 - 【請求項6】 NR6 R7 R8 が、光学活性基である請
求項1記載のルテニウム錯体。 - 【請求項7】 PR1 R2 R3 並びにNR6 R7 R8
が、共に光学活性基である請求項1記載のルテニウム錯
体。 - 【請求項8】 PR1 R2 R3 が、光学活性基である請
求項2記載のルテニウム錯体。 - 【請求項9】 次式の基が、光学活性基である請求項2
記載のルテニウム錯体。 【化5】 - 【請求項10】 PR1 R2 R3 と次式の基が、共に光
学活性である請求項2記載のルテニウム錯体 【化6】 - 【請求項11】 PR1 R2 −W−PR4 R5 が、光学
活性基である請求項3記載のルテニウム錯体 - 【請求項12】 NR6 R7 R8 が、光学活性基である
請求項3記載のルテニウム錯体 - 【請求項13】 PR1 R2 −W−PR4 R5 並びにN
R6 R7 R8 が、共に光学活性基である請求項3記載の
ルテニウム錯体 - 【請求項14】 PR1 R2 −W−PR4 R5 が、光学
活性基である請求項4記載のルテニウム錯体 - 【請求項15】 次式の基が、光学活性基である請求項
4記載のルテニウム錯体 【化7】 - 【請求項16】 PR1 R2 −W−PR4 R5 と次式の
基が、共に光学活性基である請求項4記載のルテニウム
錯体 【化8】 - 【請求項17】 請求項1記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元してアルコール化合物を製造する
ことを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 - 【請求項18】 請求項2記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元してアルコール化合物を製造する
ことを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 - 【請求項19】 請求項3記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元してアルコール化合物を製造する
ことを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 - 【請求項20】 請求項4記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元してアルコール化合物を製造する
ことを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 - 【請求項21】 請求項5記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物を
製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物の
製造方法。 - 【請求項22】 請求項6記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物を
製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物の
製造方法。 - 【請求項23】 請求項7記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物を
製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物の
製造方法。 - 【請求項24】 請求項8記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物を
製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物の
製造方法。 - 【請求項25】 請求項9記載のルテニウム錯体を触媒
としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与する
化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物を
製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物の
製造方法。 - 【請求項26】 請求項10記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項27】 請求項11記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項28】 請求項12記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項29】 請求項13記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項30】 請求項14記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項31】 請求項15記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項32】 請求項16記載のルテニウム錯体を触
媒としてカルボニル化合物を水素あるいは水素を供与す
る化合物の存在下に還元して光学活性アルコール化合物
を製造することを特徴とする光学活性アルコール化合物
の製造方法。 - 【請求項33】 請求項17ないし20のいずれかの方
法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
もしくは四級アンモニウム塩との二成分触媒系により還
元するアルコール化合物の製造方法。 - 【請求項34】 請求項21ないし32のいずれかの方
法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
もしくは四級アンモニウム塩との二成分触媒系により還
元するアルコール化合物の製造方法。
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