WO2014136868A1 - 光学活性アルデヒドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、非特許文献5~16に記載されたロジウム、ルテニウム等の遷移金属錯体を用いた方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、基質特異性が高く、汎用的な方法であるとはいえなかった。
このため、従来より、光学活性アルデヒドを製造するための一般性の高い、しかも高選択的、高収率で製造できる、新しい合成方法の実現が望まれていた。
すなわち、本発明は、簡単で工程数が少なく、高い光学純度で、より安価、高収率で光学活性アルデヒドを製造することを可能とするものである。
[1] 式(1)
で表される光学活性アルデヒドの製造方法であって、
式(2)
で表されるアリルアルコールを、ルテニウム錯体と塩基の存在下に不斉異性化することを特徴とする、製造方法。
[RumLnWpUq]rZs (3)
(式(3)中、Lは、光学活性ホスフィン配位子であり;Wは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン又はアニオンであり;Uは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン、アニオン又はL以外の配位子であり;Zは、アニオン、アミン又は光学活性含窒素化合物であり;m、n及びrは各々独立に1~5の整数であり、p、q及びsは各々独立に0~5の整数であり、p+q+sは1以上である。)
で表されるルテニウム錯体を用いて行なうことを特徴とする、上記[1]に記載の製造方法。
本発明の光学活性アルヒデドを製造する方法は、以下に示される反応にしたがって、行われる。
これらはいずれも、その分子内に二重結合が存在するため、(E)-体および(Z)-体の幾何異性体が存在するが、本発明で行われる不斉異性化反応に用いる場合は、(E)-体および(Z)-体を単独で用いられる。
より具体的に説明すると、本発明で用いられる不斉配位子は、例えば、単座配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子等が挙げられる。例えば、光学活性ホスフィン化合物、光学活性アミン化合物、光学活性アルコール化合物、光学活性硫黄化合物、光学活性カルベン化合物等が挙げられる。好ましくは、光学活性ホスフィン化合物が挙げられる。
で表される光学活性二座ホスフィン配位子が挙げられる。
特に好ましいR10及びR11としては、水素原子、メトキシ基が挙げられる。
特に好ましいR12としては、メチル基、メトキシ基が挙げられる。
[RumLnWpUq]rZs (3)
(式中、Lは、光学活性ホスフィン配位子であり;Wは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン又はアニオンであり;Uは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン、アニオン又はL以外の配位子であり;Zは、アニオン、アミン又は光学活性含窒素化合物であり;m、n及びrは各々独立に1~5の整数をであり、p、q及びsは各々独立に0~5の整数であり、p+q+sは1以上である。)
一般式(3)のWで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(3)のWで表されるアシルオキシ基としては、例えば、フォルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
一般式(3)のWで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基、インデニル基、メシチル基、ジベンジル基等の芳香族単環、多環式基等が挙げられる。
一般式(3)のWで表されるジエンとしては、例えば、ブタジエン、シクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nod)等が挙げられる。
一般式(3)のWで表されるアニオンとしては、例えば、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、カンフルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなど)、スルファミン酸イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、グルコン酸イオン、オレイン酸イオン、シュウ酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなど)、硫化物イオン、チオシアン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、酸化物イオン、リン化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ヨウ素酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、シアン化物イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、ホウフッ化物イオン等が挙げられる。
一般式(3)のUで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(3)のUで表されるアシルオキシ基としては、例えば、フォルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
一般式(3)のUで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基、インデニル基、メシチル基、ジベンジル基等の芳香族単環、多環式基等が挙げられる。
一般式(3)のUで表されるジエンとしては、例えば、ブタジエン、シクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nod)等が挙げられる。
一般式(3)のUで表されるアニオンとしては、例えば、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、カンフルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなど)、スルファミン酸イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、グルコン酸イオン、オレイン酸イオン、シュウ酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなど)、硫化物イオン、チオシアン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、酸化物イオン、リン化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ヨウ素酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、シアン化物イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、ホウフッ化物イオン等が挙げられる。
一般式(3)のZで表されるアニオンとしては、例えば、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、カンフルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなど)、スルファミン酸イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、グルコン酸イオン、オレイン酸イオン、シュウ酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなど)、硫化物イオン、チオシアン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、酸化物イオン、リン化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ヨウ素酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、シアン化物イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、ホウフッ化物イオン等が挙げられる。
一般式(3)のZで表されるアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、s-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン類;アニリン、ジメチルアニリン等の芳香族アミン類;ピリジン(py)、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族複素環類、ピロリジン、ピペラジン等の含窒素脂肪族複素環類;エチレンジアミン(en)、プロピレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ビピリジン(bpy)、フェナントロリン(phen)等のジアミン類)、硫黄化合物(ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド等)等を挙げることができる。
一般式(3)のZで表される光学活性含窒素化合物としては、次の一般式(6);
例えば光学活性な1,2-ジフェニルエチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,2-シクロヘプタンジアミン、2,3-ジメチルブタンジアミン、1-メチル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-イソブロピル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-メチル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-ベンジル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-メチル-2,2-ジナフチルエチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジナフチルエチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジナフチルエチレンジアミン、2-メチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-エチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-n-プロピルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-i-プロピルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-n-ブチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-tert-ブチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-シクロヘキシルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ベンジルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジメチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジエチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジn-プロピルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジi-プロピルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジn-ブチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ジtert-ブチルアミノ-1-フェニルエチルアミン、2-ピロリジニル-1-フェニルエチルアミン、2-ピペリジオ-1-フェニルエチルアミンなどの光学活性ジアミン化合物を例示することができる。
(i)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Zはトリアルキルアミンであり、m=p=s=1、n=r=2、q=0を示し、(ii)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Zはピリジル基又は環置換ピリジル基であり、m=n=r=s=1、p=2、q=0を示し、(iii)Wはアシルオキシ基であり、m=n=r=1、p=2、q=s=0を示し、(iv)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Zはジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドであり、m=n=r=1、p=2、q=0、sは0~4の整数を示し、(v)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Uは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Zはジアルキルアンモニウムイオンであり、m=n=p=2、q=3、r=s=1を示し、(vi)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Uは中性配位子である芳香族化合物又はオレフィンであり、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、I3、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=p=q=r=s=1を示し、(vii)ZはBF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=q=0、s=2を示し、(viii)W及びUは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基又は他のアニオン基であり、Zはジアミン化合物であり、m=n=p=q=r=s=1を示し、(ix)Wは水素原子であり、Uは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、m=p=q=r=1、n=2、s=0を示し、(x)Wは水素原子であり、ZはBF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=p=r=s=1、q=0を示し、(xi)Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Uは一価ホスフィン配位子であり、Zは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、m=n=p=q=1、r=z=2を示し、(xii)W及びUは同一又は異なって、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、m=n=p=q=r=1、s=0を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、文献(J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、1208頁、1989年)に記載の方法に準じて、ビス[ジヨード(パラ-シメン)ルテニウム]([Ru(p-cymene)I2]2)と光学活性二座ホスフィン配位子とを有機溶媒中で加熱撹拌することにより調製することができる。更に、日本国特開平11-189600号公報に記載の方法に準じて、文献(J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、992頁、1985年)の方法に従い得られるRu2Cl4(L)2NEt3とジアミン化合物とを有機溶媒中で反応せしめて合成することができる。
Ru(OAc)2(L)、Ru(OCOCF3)2(L)、Ru2Cl4(L)2NEt3、[RuCl2(L)(dmf)n]、RuHCl(L)、RuHBr(L)、RuHI(L)、[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-Br)3][Me2NH2]、[{RuI(L)}2(μ-I)3][Me2NH2]、[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-Br)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-I)3][Me2NH2]、[RuCl[PPh3](L)]2(μ-Cl)2、[RuBr[PPh3](L)]2(μ-Br)2、[RuI[PPh3](L)]2(μ-I)2、RuCl2(L)、RuBr2(L)、RuI2(L)、[RuCl2(L)](dmf)n、RuCl2(L)(pyridine)2、RuBr2(L)(pyridine)2、RuI2(L)(pyridine)2、RuCl2(L)(2,2’-dipyridine)、RuBr2(L)(2,2’-dipyridine)、RuI2(L)(2,2’-dipyridine)、[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、[RuCl(p-cymene)(L)]Cl、[RuBr(p-cymene)(L)]Br、[RuI(p-cymene)(L)]I、[RuI(p-cymene)(L)]I3、[Ru(L)](OTf)2、[Ru(L)](BF4)2、[Ru(L)](ClO4)2、[Ru(L)](SbF6)2、[Ru(L)](PF6)2、[Ru(L)](BPh4)2、[RuCl2(L)](en)、[RuBr2(L)](en)、[RuI2(L)](en)、[RuH2(L)](en)、[RuCl2(L)](DPEN)、[RuBr2(L)](DPEN)、[RuI2(L)](DPEN)、[RuH2(L)](DPEN)、[RuCl2(L)](DAIPEN)、[RuBr2(L)](DAIPEN)、[RuI2(L)](DAIPEN)、[RuH2(L)](DAIPEN)、[RuCl2(L)](MAE)、[RuBr2(L)](MAE)、[RuI2(L)](MAE)、[RuH2(L)](MAE)、[RuCl2(L)](EAE)、[RuBr2(L)](EAE)、[RuI2(L)](EAE)、[RuH2(L)](EAE)、[RuCl2(L)](MAPE)、[RuBr2(L)](MAPE)、[RuI2(L)](MAPE)、[RuH2(L)](MAPE)、[RuCl2(L)](DMAPE)、[RuBr2(L)](DMAPE)、[RuI2(L)](DMAPE)、[RuH2(L)](DMAPE)、[RuCl2(L)](DBAE)、[RuBr2(L)](DBAE)、[RuI2(L)](DBAE)、[RuH2(L)](DBAE)、[RuCl2(L)](DBAPE)、[RuBr2(L)](DBAPE)、[RuI2(L)](DBAPE)、[RuH2(L)](DBAPE)等を挙げることができる。
Ru2Cl4(L)2NEt3、[RuCl2(L)(dmf)n]、[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-Br)3][Me2NH2]、[{RuI(L)}2(μ-I)3][Me2NH2]、[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-Br)3][Me2NH2]、[{RuBr(L)}2(μ-I)3][Me2NH2]、[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、[RuCl(p-cymene)(L)]Cl、[RuBr(p-cymene)(L)]Br、[RuI(p-cymene)(L)]I、[RuI(p-cymene)(L)]I3、[RuCl2(L)](MAE)、[RuBr2(L)](MAE)、[RuI2(L)](MAE)、[RuH2(L)](MAE)、[RuCl2(L)](EAE)、[RuBr2(L)](EAE)、[RuI2(L)](EAE)、[RuH2(L)](EAE)、[RuCl2(L)](MAPE)、[RuBr2(L)](MAPE)、[RuI2(L)](MAPE)、[RuH2(L)](MAPE)、[RuCl2(L)](DMAPE)、[RuBr2(L)](DMAPE)、[RuI2(L)](DMAPE)、[RuH2(L)](DMAPE)、[RuCl2(L)](DBAE)、[RuBr2(L)](DBAE)、[RuI2(L)](DBAE)、[RuH2(L)](DBAE)、[RuCl2(L)](DBAPE)、[RuBr2(L)](DBAPE)、[RuI2(L)](DBAPE)、[RuH2(L)](DBAPE)等を挙げることができる。
(式中、M’は、Li、Na又はKの金属を示し、Z’は、Cl、Br又はIのハロゲン原子を示す)
さらに、本発明では光学活性二座ホスフィン配位子と合わせて光学活性窒素化合物とを使用する。光学活性窒素化合物は、(S)-体及び(R)-体が存在するので、目的とする光学活性アルデヒド(1)の絶対配置に応じていずれかを選択すればよい。
すなわち、基質として、例えば、(E)-3-フェニル-4-メチル-2-ペンテノールを用いた場合、例えば、配位子としてTol-BINAPとDBAPEを用いたとき、(R)-体の光学活性3-フェニル-4-メチルペンタノールを得るには(S)-体のTol-BINAPと(R)-体のDBAPEを用い、(S)-体の光学活性3-フェニル-4-メチルペンタノールを得るには(R)-体のTol-BINAPと(S)-体のDBAPEを用いればよい。一方、基質として(Z)-体を用いた場合、(S)-体の光学活性3-フェニル-4-メチルペンタノールを得るには(R)-体のTol-BINAPと(S)-体のDBAPEを用い、(R)-体の光学活性3-フェニル-4-メチルペンタノールを得るには(S)-体のTol-BINAPと(R)-体のDBAPEを用いればよい。
また、添加する塩基の量は、遷移金属-光学活性ホスフィン錯体に対し、0.5~100当量、好ましくは、2~40当量であることが好ましい。
反応温度については、0~150℃で行うことができるが、10~70℃の範囲がより好ましい。また、反応時間は、反応基質濃度、温度等の反応条件によって異なるが、数分~30時間で反応は完結する。反応終了後は、通常の後処理を行うことにより、目的とする光学活性アルデヒド(1)を単離することができる。
(E)-3-フェニル-4-メチル-2-ペンテノールの不斉異性化
1H NMR δ=0.77(d,J=6.7Hz,3H),0.95(d,J=6.7Hz,3H),1.26(br s,1H),1.87(m,1H),2.70-2.84(m,2H),2.88-3.00(m,1H),7.13-7.23(m,3H),7.25-7.32(m,2H).
実施例1において使用した触媒、基質と触媒のモル比、反応溶媒を表1に示したように変更した以外は、原料として(E)-3-フェニル-4-メチル-2-ペンテノールを用いて実施例1と同様の方法で反応を実施した。(3R)-3-フェニル-4-メチルペンタノールの収率は、実施例1と同様に、反応終了後、溶媒を減圧下濃縮し、残渣をガスクロマトグラフィー(カラム:SPELCO SLBTM-5ms)にて測定した。光学純度も実施例1と同様に、ガスクロマトグラフィー(カラム:Varian CHIRASIL-DEX CB)を用いて測定した。実施例1~10の反応結果を表1に示す。
RuCl2[(R)-DBAPE][(S)-TolBINAP]
RuCl2[DBAE][(S)-TolBINAP]
触媒[D]:[RuCl{(S)-TolBINAP}(p-cymene)]Cl
触媒[E]:[(C2H5)2NH2][RuCl{(S)-TolBINAP}2(μ-Cl)3]
実施例1における基質と触媒のモル比、反応時間を表2に示したように変更し、表2に示した原料を用いた以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施した。反応収率は、実施例1と同様に、反応終了後、溶媒を減圧下濃縮し、残渣をガスクロマトグラフィー(カラム:SPELCO SLBTM-5ms)にて測定した。光学純度も実施例1と同様に、ガスクロマトグラフィー(カラム:Varian CHIRASIL-DEX CB,化合物(k),化合物(l)についてのみSPELCO-DEXTM225)を用いて測定した。化合物cについてのみ、生成物のアルデヒドを常法(NaBH4,次にAcCl,ピリジン)によりアルコールまで還元、アセチル化したのち、同様な手法で光学純度を決定した。反応結果を表2に示す。
[(E)-3-フェニル-4-メチル-2-ペンテノール]
化合物(b):Ra=4-CH3C6H4,Rb=i-C3H7
[(E)-3-(4-メチルフェニル)-4-メチル-2-ペンテノール]
化合物(c):Ra=4-CH3OC6H4,Rb=i-C3H7
[(E)-3-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-2-ペンテノール]
化合物(d):Ra=4-ClC6H4,Rb=i-C3H7
[(E)-3-(4-クロロフェニル)-4-メチル-2-ペンテノール]
化合物(e):Ra=C6H5,Rb=cyclo-C6H11
[(E)-3-フェニル-3-シクロヘキシル-2-プロペノール]
化合物(f):Ra=C6H5,Rb=C2H5
[(E)-3-フェニル-2-ペンテノール]
化合物(g):Ra=C6H5,Rb=CH3
[(E)-3-フェニル-2-ブテノール]
化合物(h):Ra=i-C3H7,Rb=C6H5
[(Z)-3-フェニル-4-メチル-2-ペンテノール]
化合物(i):Ra=CF3,Rb=C6H5
[(E)-3-トリフルオロメチル-3-フェニル-2-プロペノール]
化合物(j):Ra=cyclo-C6H11,Rb=CH3
[(E)-3-シクロヘキシル-2-ブテノール
化合物(k):Ra=(CH3)2C=CH(CH2)2,Rb=CH3
[ゲラニオール((E)-3,7-ジメチル-2,6-オキタジエン-1-オール)]
化合物(l):Ra=CH3,Rb=(CH3)2C=CH(CH2)2
[ネロール((Z)-3,7-ジメチル-2,6-オキタジエン-1-オール)]
化合物(m):Ra=n-C4H9,Rb=CH3
[(E)-3-メチル-2-ヘプテノール]
Claims (3)
- 式(1)
で表される光学活性アルデヒドの製造方法であって、
式(2)
で表されるアリルアルコールを、ルテニウム錯体と塩基の存在下に不斉異性化することを特徴とする、製造方法。 - 前記不斉異性化を、下記一般式(3)
[RumLnWpUq]rZs (3)
(式(3)中、Lは、光学活性ホスフィン配位子であり;Wは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン又はアニオンであり;Uは、水素原子、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アリール基、ジエン、アニオン又はL以外の配位子であり;Zは、アニオン、アミン又は光学活性含窒素化合物であり;m、n及びrは各々独立に1~5の整数であり、p、q及びsは各々独立に0~5の整数であり、p+q+sは1以上である。)
で表されるルテニウム錯体を用いて行なうことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。 - 前記塩基が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩若しくは四級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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