JP5546294B2 - 軸不斉ホスフィン化合物とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は金属触媒の配位子として有用な軸不斉ホスフィン化合物及びその製造方法に関する。
従来から、不斉水素化反応、不斉異性化反応、不斉ヒドロシリル化反応等の不斉反応の触媒として利用できる遷移金属錯体については数多くの報告がなされている。中でもルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム等の遷移金属に光学活性ホスフィン化合物が配位した錯体は、不斉合成反応の触媒として優れた性能を有するものとして広く知られている。このような光学活性ホスフィン化合物の中で軸不斉構造を有する光学活性ビアリールホスフィン化合物は不斉反応触媒の光学活性配位子として有用である。光学活性ビアリール化合物を合成する手法としてアルキン類を用いたエナンチオ選択的な[2+2+2]付加環化反応による方法が最近開発されている(特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2)。
特開2009−235067号公報 Organic Letters,2006,Vol.8,3489-3492 Organic Letters,2008,Vol.10,2849-2852
上記したように、エナンチオ選択的[2+2+2]付加環化反応で軸不斉をとり得る構造を有するビアリール化合物の合成は知られており、エナンチオ選択的に該ビアリール骨格の2,2'位にリン原子部位を導入した化合物の合成法は知られているが、二環型ビアリール骨格の化合物のみしか報告されていない。様々な不斉反応に対しては、より多くの種類の軸不斉ホスフィン化合物が必要である。
そこで、比較的入手が容易な基質を用い、少ない工程数にて、高い光学純度で軸不斉ビアリールホスフィン化合物を合成できれば、従来法ではほぼ必須の工程であった光学分割の工程を経ることなく、軸不斉光学活性体が簡便に得られる。そのような製造法を提供すること、並びにそのようにして製造できる新規な軸不斉ビアリールリン化合物を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、複数の三重結合を同一分子内に有する化合物を、ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒の存在下でエナンチオ選択的[2+2+2]付加環化反応させることにより、1工程でかつ高い光学純度を有する軸不斉ビアリールリン化合物を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は以下の[1]〜[5]の内容を包含するものである。
[1]ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒を用いて、一般式(2)
Figure 0005546294
(式(2)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
で表される化合物を分子内で付加環化反応させる一般式(1)で表される軸不斉リン化合物の製造方法。
Figure 0005546294
(式(1)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。*は軸不斉であることを表す。)
[2]ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒が下記一般式(3)で表される化合物である前記[1]に記載の製造方法。
[Rh(L)(Y)]X (3)
(式(3)中、Lは下記式(4)で表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のときn=0又はn=1であり、m=2のときn=0である。)
P−Q−PR (4)
(式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基を表すか、RとRとで及び/又はRとRとで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基を表す。)
[3]ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒を調製する際に、水素ガスを用いて非共役ジエン化合物を脱離させることを特徴とする前記[2]に記載の製造方法。
[4]下記一般式(2)で表されるヘキサイン化合物。
Figure 0005546294
(式(2)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
[5]上記[1]から[3]の製造方法を用いて合成される下記一般式(5)で表される光学活性化合物。
Figure 0005546294
(式(5)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。a1及びa2はそれぞれ0又は1を表す。*は軸不斉であることを表す。)
本発明の方法によれば、同一分子内に三重結合を複数有する化合物を有するリン化合物をロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒の存在下で反応させることにより、1工程でエナンチオ選択的に光学活性ビアリールリン化合物を製造することができるので、光学分割の工程を経ることなく軸不斉光学活性体を得ることができる。また、本発明に係わる光学活性ビアリール化合物は比較的入手が容易な基質を原料として製造することができ、金属触媒の配位子として有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るリン化合物は、上記した一般式(1)、(2)及び(5)で表されるリン化合物であり、後に詳しく述べる本発明の製造方法により製造することができる。
一般式(1)、(2)及び(5)において、R及びRは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。
ここで、R及びRで表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。これらアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
及びRで表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜12のシクロアルキル基が挙げられ、具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。これらシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
及びRで表されるアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子などが挙げられ、これら置換基は該アリール基上に複数置換されていてもよい。これら置換を有するアリール基の具体例としては、例えば、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基等が挙げられる。
及びRで表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
及びRで表されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。これらアリールオキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子などが挙げられ、これら置換基は該アリール基上に複数置換されていてもよい。
次に本発明の軸不斉光学活性ホスフィン化合物の製造方法(単に「本発明の製造方法」ということがある)について説明する。
本発明の軸不斉光学活性ホスフィン化合物の製造方法は、以下のスキーム1に記載するように、ロジウム及び光学活性ビスホスフィン化合物を含む触媒の存在下に反応を行い、詳しくはエナンチオ選択的に[2+2+2]付加環化させるものである。
(スキーム1)
Figure 0005546294
スキーム中にも記載されている記号の表す意味および該記号で表される基などの例は、上記で説明したそれぞれの意味および例と同じである。
続いて、本発明の製造方法で用いられるロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒について説明する。
本発明に用いられる触媒成分の一つであるロジウム源としては、ロジウム化合物が用いられ、好ましいロジウム化合物としては、オレフィン性配位子が配位したロジウム(I)の錯体が挙げられる。具体的なロジウム(I)錯体としては、[Rh(COD)]X、[Rh(NBD)]X、[Rh(エチレン)Cl]、[Rh(COE)2Cl]2[Rh(COD)Cl]、[Rh(NBD)Cl]等が挙げられる。前記錯体化学式中、XはCl、Br、I、BF、OTf、ClO、SbF、PF、BPh、B(3,5−(CF等のカウンターアニオンを表し、COEはシクロオクテン、CODは1,5−シクロオクタジエン、NBDはノルボルナジエンを表す(以下、同様)。
本発明に用いられるもう一つの触媒成分である光学活性ビスホスフィンとしては、例えば下記の一般式(4)で表されるものが挙げられる。
P−Q−PR (4)
(式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基を表すか、RとRとで及び/又はRとRとで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基を表す。)
上記式中、R、R、R及びRで表される、置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アリール基の置換基としてのアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
アリール基の置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等が挙げられる。
アリール基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
また、RとR及び/又はRとRとで形成してもよい環としては、R、R、R及びRが結合しているリン原子を含めた環として、四員環、五員環又は六員環の環が挙げられる。具体的な環としては、ホスフェタン環、ホスホラン環、ホスファン環、2,4−ジメチルホスフェタン環、2,4−ジエチルホスフェタン環、2,5−ジメチルホスホラン環、2,5−ジエチルホスホラン環、2,6−ジメチルホスファン環、2,6−ジエチルホスファン環等が挙げられ、これらの環は光学活性体でもよい。
また、Qで表される、置換基を有していてもよい二価のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ビナフタレンジイル基等が挙げられる。フェニレン基としては、o又はm−フェニレン基が挙げられ、該フェニレン基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;水酸基、アミノ基又は置換アミノ基等で置換されていてもよい。ビフェニルジイル基及びビナフタレンジイル基としては、1,1'−ビアリール−2,2'−ジイル型の構造を有するものが好ましく、該ビフェニルジイル基及びビナフタレンジイル基は、前記したようなアルキル基、アルコキシ基、例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、水酸基、アミノ基、置換アミノ基等で置換されていてもよい。
一般式(4)で表される光学活性ビスホスフィンの具体例としては、例えば公知のビスホスフィン類が挙げられ、その内の一つとして下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005546294
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
上記のR及びRにおける、フェニル基の置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、これら置換基は該フェニル基上に複数置換していてもよい。
及びRの具体例としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、一般式(6)で表される化合物の基本骨格であるビナフチル環は、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基及びトリフェニルシリル基等のトリアリールシリル基が挙げられる。
また、一般式(4)で表される光学活性ビスホスフィンの他の具体例としては、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005546294
(式中、R及びR10は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基を示す。R11及びR13は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、R12及びR14は、同一又は異なっていてもよく、アルキル基又はアルコキシ基を示す。また、R11とR12とで、及び/又は、R13とR14とで、置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。)
上記のR及びR10における、フェニル基の置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、これら置換基は該フェニル基上に複数置換していてもよい。R及びR10の具体例としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、R11、R12、R13及びR14で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
11及びR12とで、及び/又は、R13及びR14とで、置換基を有していてもよいメチレン鎖を形成する場合のメチレン鎖としては、例えば、炭素数3〜5のメチレン鎖が好ましく、具体的にはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。また、該置換基を有していてもよいメチレン鎖における置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
また、R11及びR12とで、及び/又は、R13及びR14とで、置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成する場合の(ポリ)メチレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等が挙げられる。また、該(ポリ)メチレンジオキシ基に置換する置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
一般式(6)及び(7)で示される光学活性ビスホスフィン化合物の具体例としては、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(BINAP)、2,2'−ビス[ジ(p−トリル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(tol−BINAP)、2,2'−ビス[ジ(m−トリル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(Xyl−BINAP)、2,2'−ビス[ジ(p−t−ブチルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[ジ(p−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[ジ(シクロペンチル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[ジ(シクロヘキシル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1、1'−ビナフチル(H−BINAP)、2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1、1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1、1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−p−t−ブチルフェニルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−p−クロロフェニルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル、((4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(Segphos)、(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)、((4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン)、((4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ジ(4−メトキシフェニル)ホスフィン)、((4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ジシクロヘキシルホスフィン)、((4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5'−ジイル)ビス(ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィン)、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジ−o−トリルホスフィノ)−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジ−o−トリルホスフィノ)−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジ−m−フルオロフェニルホスフィノ)−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5',6,6'−テトラメトキシ−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−6,6'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル、1,2−ビス(2,5−ジメチルホスホラノ)ベンゼン、1,2−ビス(2,5−ジエチルホスホラノ)ベンゼン、1,2−ビス(2,5−ジイソプロピルホスホラノ)ベンゼン、1−(2,5−ジメチルホスホラノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,1'−ビス(2,4−ジエチルホスフォタノ)フェロセン等が挙げられる。
本発明で用いられる触媒は、触媒成分として上記で説明したようなロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒であり、例えば、下記一般式(3)で表される化合物である。
[Rh(L)(Y)]X (3)
(式(3)中、LはRP−Q−PRで表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のときn=0又はn=1であり、m=2のときn=0である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、RとRとで及び/又はRとRとで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基又はフェロセンジイル基を表す。)
上記式中、Lで表されるRP−Q−PRなる光学活性ビスホスフィンについては、前述した通りである。
続いて、本発明で用いられるロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒の例である一般式(3)で表される化合物について、さらに詳しく説明する。
一般式(3)において、Yで表される非共役ジエン化合物としては、環状でも非環状でもよく、非共役ジエン化合物が環状非共役ジエン化合物である場合には、単環状、多環状、縮環状、架橋環状のいずれであってもよい。また、非共役ジエン化合物は、置換基で置換されていてもよく、該置換基は、本発明の製造方法に悪影響を与えない置換基であれば特に限定されない。好ましい非共役ジエン化合物としては、例えば、COD、NBD、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。
一般式(3)において、Xで表されるカウンターアニオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、BF、ClO、CFSO(以下、OTfと略記する)、PF、SbF、B(3,5−(CF及びBPh等が挙げられる。
本発明で用いられる、一般式(3)で表される化合物は、例えば、下記スキーム2に示すように、不活性ガス雰囲気下、公知の方法で得られるか、又は市販されているロジウム−オレフィン配位錯体に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で、例えばMX(Mは一価の金属陽イオンを示し、Xは前記と同じ意味を表す。以下、同様。)を用いてカウンターアニオンの交換反応を行った後、前記のLで表される光学活性ビスホスフィンを反応させることにより(これによりスキーム2中の(A)又は(B)の化合物が得られる)、あるいは更に水素ガスを作用させて非共役ジエン化合物を脱離させる(これによりスキーム2中の(C)の化合物が得られる)ことにより得ることができる。あるいはロジウム−オレフィン配位錯体に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で前記のLで表される光学活性ビスホスフィンを2当量反応させたのち、MXでカウンターアニオンの交換反応を行う(これによりスキーム2中の(B)の化合物が得られる)ことにより得ることができる。
Figure 0005546294
本発明で用いられる、一般式(3)で表される化合物は、また、下記スキーム3に示すように、予めカウンターアニオンの交換反応を行ったロジウム−ビスオレフィン錯体にLで表される光学活性ビスホスフィンを反応させることにより、あるいは更に水素ガスで非共役ジエン化合物を脱離させることによっても得ることができる。
Figure 0005546294
スキーム2及びスキーム3に示されるようなロジウム−オレフィン配位錯体の中心金属モル数に対しての、Lで表される光学活性ビスホスフィンの添加量は、ビスホスフィンの一部が酸化を受ける場合があるので、1.0〜2.4倍モル、より好ましくは1.05〜2.2倍モルであることが望ましい。
本発明において、一般式(3)で表される化合物を触媒として調製する際に用いられるロジウム−オレフィン配位錯体としては、オレフィン配位子の選択によって種々の錯体を取り扱うことが可能であるが、入手の容易性より、1,5−シクロオクタジエンのロジウム錯体である[Rh(COD)Cl]や、ノルボルナジエンのロジウム錯体である
[Rh(NBD)Cl]が特に好ましい。
また、カウンターアニオン交換反応においては、MXとして例えば銀塩(AgX)を用いて行うことが、取り扱いの面で好ましい。
なお、一般式(3)で表される化合物における触媒活性種は[Rh(L)]Xであるが、その前駆体である化合物、例えば前記スキームに記載の(A)の化合物[Rh(L)(COD)]Xも本発明の製造法において用いることができる。
例えば前記スキームに記載の(A)、(B)及び(C)の化合物などの一般式(3)で表される化合物は、触媒として調製後は、特に精製することなく本発明の製造法に用いることができる。さらにいえば、本発明の製造方法においては、ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒を調製後即時使用することができ、具体的には、ロジウム化合物と光学活性ビスホスフィンとを反応させて該触媒を調製し、続いて反応基質を加えればよい。
本発明の製造方法において用いられる反応溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限は無いが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、例えばtert−ブタノール等の非求核性のアルコール類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類及び例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら反応溶媒は、夫々単独で用いてもよく、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法において、ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒の、ロジウム金属換算での使用量としては、一方の反応基質に対し、通常1〜10mol%程度で充分である。
本発明の製造方法における、[2+2+2]付加環化反応の反応温度としては、使用する基質により自ずから異なるが、通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃の範囲である。また、反応時間としては、使用する基質により自ずから異なるが、通常30分〜30時間、好ましくは1時間〜20時間である。なお、反応は、窒素又はアルゴン等の不活性ガス中で行うことが好ましい。
なお、一般式(5)で表わされるホスフィン化合物において、a1及びa2が0である化合物は、対応するa1及びa2が1である化合物を常法(例えばトリクロロシランによる還元などの方法)に付することによって容易に製造できる。
該反応終了後は、濾過やシリカゲルカラムクロマトグラフィー等、この種分野で通常行われる後処理操作を行い、結晶化、蒸留、各種クロマトグラフィー等の精製法を単独又は適宜組み合わせることにより目的の光学活性リン化合物を得ることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。また、特に記載の無い場合の全ての実験操作はアルゴン又は窒素雰囲気下で行った。
(実施例1)光学活性ビアリールホスフィンの製造
(1)ジフェニルホスフィノイルトリイン化合物の製造
Figure 0005546294
1,4−ビス(プロピン−2−イルオキシ)−2−ブチン(5.45g、33.6mmol)、ヨウ化銅(0.213g、1.12mmol)及びトリエチルアミン(9.37ml、67.2mmol)のトルエン100ml溶液に、室温でクロロジフェニルホスフィン(4.95g、22.4mmol)を加え、20時間撹拌した。加水後、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及び食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣に塩化メチレン80mlを加え、0℃にて30%過酸化水素水(7.0ml)を加えた後、室温で3時間撹拌した。加水後、塩化メチレンを加えて抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。続いて、溶媒を留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより2.15gのトリイン化合物を淡黄色油として得た。収率33%。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz):δ 7.89 - 7.76 (m, 4H), 7.60 - 7.43 (m, 6H), 4.46 (d, J = 3.0 Hz, 2H), 4.32 (t, J = 1.7 Hz, 2H), 4.30 (t, J = 1.7 Hz, 2H), 4.24 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 2.46 (t, J = 2.4Hz, 1H); 31P-NMR (CDCl3, 121 MHz):δ 8.61
(2)ビスジフェニルホスフィノイルヘキサイン化合物の製造
Figure 0005546294
酢酸銅1水和物(1.60g、8.00mmol)のアセトニトリル5.0ml懸濁液に、実施例1(1)で得られたトリイン化合物(0.644g、1.777mmol)のアセトニトリル5.0ml溶液を加え、室温で6.5時間撹拌した。飽和重曹水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和重曹水及び食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより0.368gのヘキサイン化合物を淡黄色油として得た。収率57%。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz):δ 7.89 - 7.76 (m, 8H), 7.61 - 7.42 (m, 12H), 4.46 (d, J = 3.0 Hz, 4H), 4.32 (t, J = 1.7 Hz, 4H), 4.30 (s, 4H), 4.28 (t, J = 1.7 Hz, 4H); 13C-NMR (CDCl3, 121 MHz):δ 133.0, 132.6 (d, J = 1.9Hz), 131.8, 131.0 (d , J = 11.5 Hz), 128.8 (d, J = 13.4 Hz), 101.9 (d, J = 26.7 Hz), 82.8, 82.3, 81.9, 80.7, 74.8, 71.0, 57.5, 57.1, 57.0, 56.9 (d, J = 2.9 Hz); 31P-NMR (CDCl3, 121 MHz):δ 8.62;
(3)光学活性ビアリールホスフィンオキサイドの製造
Figure 0005546294
(S)−tol−binap(3.4mg、0.0050mmol)の塩化メチレン1.0ml溶液を、[Rh(COD)]BF(2.0mg、0.0050mmol)の塩化メチレン1.0mL溶液に加え、室温で30分間撹拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入して1時間撹拌した。続いて、反応液を減圧濃縮して乾固し、得られた濃縮乾固物に塩化メチレン0.5mLを加え、これに実施例1(2)で得られたヘキサイン化合物(36.1mg、0.0500mmol)の塩化メチレン1.5mL溶液を加え、室温で16時間撹拌した。得られた反応溶液を濃縮し、薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=20/1)で精製することにより46%の収率で16.6mgの目的物を無色固体として得た。得られた目的物の光学純度を測定したところ91%eeであった。
(4)光学活性ビアリールホスフィンオキサイド
実施例1(3)で得られた光学活性ビアリールホスフィンオキサイド28.8mg(91%ee)を酢酸エチルから再結晶することにより、23.9mg(99%ee以上)得た。
融点185℃;[α]25 D −5.66O (c 0.995, CHCl3, >99% ee); IR (KBr): 3054, 2925, 2852, 1231, 1185 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 7.86 - 7.74 (m, 4H), 7.69 - 7.38 (m, 12H), 7.37 - 7.28 (m, 4H), 5.04 - 4.78 (m, 8H), 4.50 - 4.36 (m, 4H), 4.27 (d, J = 12.6Hz, 2H), 3.78 (d, J = 13.4 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 75 MHz): δ 142.6, 142.4, 139.0, 138.8, 137.99, 137.95, 137.90, 137.85, 135.9, 135.8, 135.1, 133.7, 132.7, 132.64, 132.56, 132.5, 132.2, 132.1, 132.0, 131.9, 131.74, 131.70, 130.8, 128.8, 128.7, 128.6, 128.4, 123.7, 122.4, 74.6, 74.5, 73.50, 73.49, 72.8, 71.5; 31P NMR (CDCl3, 121 MHz): δ 28.9; HRMS (ESI) calcd for C44H36O6P2Na [M+Na]+ 745.1879, found 745.1871; CHIRALPAK AD-H, hexane/IPA = 80:20, 0.8 mL/min, retention times: 22.4 min (minor isomer) and 30.1 min (major isomer).
(5)光学活性ビアリールホスフィンの製造
Figure 0005546294
トリクロロシラン670mg(4.91mmol)、N,N−ジメチルアニリン41.9mg(0.346mmol)及びキシレン10mlの混合物を室温で30分間撹拌後、前記実施例1(4)で得られた光学活性ビアリールホスフィンオキサイド25.0mg(0.0350mmol、99%ee以上)のキシレン4.0ml溶液に室温で加えた後、21時間還流した。反応液を0℃に冷却後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、60℃で1時間撹拌した。室温まで放冷後、加水して酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層を食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、溶媒を留去して得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製することにより21.3mgの目的物を無色固体として得た。収率89%、光学純度99%ee以上。
融点160.2−161.5℃;[α]25 D +31.6O (c 0.995, CHCl3, >99% ee); IR (KBr): 3051, 2940, 2845, 1434 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 7.39 - 7.33 (m, 6H), 7.28 - 7.15 (m, 14H), 5.05 - 4.84 (m, 8H), 4.48 (d, J = 12.6Hz, 2H), 4.28 (d, J = 13.4 Hz, 2H), 4.14 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 3.82 (d, J = 13.4 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 75 MHz): δ 145.6, 145.54, 145.51, 139.82, 139.80, 139.5, 139.3, 139.23, 139.20, 139.18, 139.15, 136.2, 136.09, 136.06, 136.0, 135.8, 134.3, 133.93, 133.86, 133.8, 133.5, 133.4, 133.25, 133.19, 133.1, 133.0, 132.0, 131.9, 131.8, 131.6, 131.5, 129.1, 128.9, 128.84, 128.80, 128.6, 128.53, 128.50, 128.45, 128.39, 128.35, 128.30, 128.2, 73.6, 73.4, 72.6, 71.3; 31P NMR (CDCl3, 121 MHz): δ 294.4; HRMS (ESI) calcd for C44H36O4P2Na [M+Na]+ 713.1981, found 713.1960
(実施例2〜5)
実施例1(3)の方法に準じて光学活性ビアリールホスフィンオキサイドを製造し、実施例5の方法に準じて光学活性ビアリールホスフィンを製造した結果を以下の表1に示す。
Figure 0005546294
(実施例6)不斉水素化反応への適用
(1)ロジウム錯体を用いたエナミドの不斉水素化
Figure 0005546294
(スキーム中のMeはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、r.t.は室温を表す。)
上記の実施例5で得られた光学活性ビアリールホスフィン(4.5mg、0.0065mmol)の溶液(0.5mL)を[Rh(COD)]BF(2.6mg、0.0065mmol)の溶液(0.5mL)に加え室温にて15分間攪拌した。これに2−アセトアミドアクリル酸メチル(18.6mg、0.13mmol)の溶液(1.5mL)を加え、室温にて1時間攪拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入した。室温にて16時間攪拌後、反応溶液を濃縮し、薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより得られた化合物を直接GCにより分析した。その結果を下記表2に示す。なお、得られた生成物の立体配置は(R)体であった。
Figure 0005546294
(2)ルテニウム錯体を用いたエナミドの不斉水素化
実施例5で得られた光学活性ビアリールホスフィン(47.4mg、0.069mmol)と[RuCl(p−cymene)](21.0mg、0.034mmol)にエタノール(2.0mL)及びトルエン(1.0mL)を加え50℃で2時間攪拌した。反応液を乾固し、得られた化合物(3.4mg、0.0034mmol)と2−アセトアミドアクリル酸メチル(510mg、3.56mmol)をオートクレーブに加えた。窒素置換後にメタノール1.5mLを加え、水素圧3.0MPaで90℃、3.5時間撹拌した。この反応液をGCにて分析した結果、転化率100%、光学純度82%eeで(R)体の生成物が得られた。

Claims (5)

  1. ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒を用いて、一般式(2)
    Figure 0005546294
    (式(2)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
    で表される化合物を分子内で付加環化反応させる、一般式(1)で表される軸不斉リン化合物の製造方法。
    Figure 0005546294
    (式(1)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。*は軸不斉であることを表す。)
  2. ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒が下記一般式(3)で表される化合物である請求項1に記載の製造方法。
    [Rh(L)(Y)]X (3)
    (式(3)中、Lは下記式(4)で表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のときn=0又はn=1であり、m=2のときn=0である。)
    P−Q−PR (4)
    (式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基を表すか、RとRとで及び/又はRとRとで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基を表す。)
  3. ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒を調製する際に、水素ガスを用いて非共役ジエン化合物を脱離させることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 一般式(2)で表されるヘキサイン化合物。
    Figure 0005546294
    (式(2)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
  5. 請求項1から3に記載の製造方法を用いて合成される下記一般式(5)で表される光学活性化合物。
    Figure 0005546294
    (式(5)中、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。a1及びa2はそれぞれ0又は1を表す。*は軸不斉であることを表す。)
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