JPH09294932A - ルテニウム−ホスフィン錯体 - Google Patents

ルテニウム−ホスフィン錯体

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JPH09294932A
JPH09294932A JP8269138A JP26913896A JPH09294932A JP H09294932 A JPH09294932 A JP H09294932A JP 8269138 A JP8269138 A JP 8269138A JP 26913896 A JP26913896 A JP 26913896A JP H09294932 A JPH09294932 A JP H09294932A
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binap
bis
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ruthenium
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JP8269138A
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English (en)
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Hidemasa Takatani
秀正 高谷
Kyoko Tamao
京子 玉尾
Kazuyuki Majima
和志 真島
Tetsuo Ota
哲男 太田
Noboru Sayo
昇 佐用
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Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般合成触媒および不斉合成触媒として有用
な新規なルテニウム−ホスフィン錯体を提供する。 【解決手段】 一般式(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) (式中、Rは水素、炭素数1〜5のアルキル基、シクロ
アルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、置換基
を有しても良いベンジル基を表し、Lは三級ホスフィン
を表し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表されるル
テニウム−ホスフィン錯体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記の一般式
(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) で表される新規なルテニウム−ホスフィン錯体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、遷移金属錯体を触媒とする有機合
成反応が数多く開発され、多くの目的のために活用され
てきた。特に、不斉水素化反応等に用いられる不斉触媒
について数多くの報告がなされている。不斉水素化触媒
として、ロジウム原子と光学活性ホスフィンを配位子と
する錯体を選択使用し、光学純度の高い不斉水素化物を
調製することが報告されてから、遷移金属原子と光学活
性ホスフィンとから構成される錯体を不斉水素化触媒と
する研究が数多く報告されている。
【0003】例えば、J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1
985 年、922 頁及びJ. Chem. Soc.Perkin Trans. I, 19
87 年、1571頁には、2,2'- ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)-1,1'-ビナフチル−ルテニウム錯体(以下、BINAP
−Ru錯体という)を使用し、アシルアミノアクリル酸誘
導体を水素化して、光学活性なアミノ酸誘導体を製造す
る技術が開示されている。
【0004】しかしながら、従来知られているいくつか
のルテニウム錯体は、錯体の調製が繁雑であったり、錯
体の収率、安定性に問題があったり、複雑な混合物にな
ったりし、触媒活性及び、その持続性についても充分で
あるとはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ルテニウム金属は、遷
移金属のなかでは比較的安価であり、工業的に有利な触
媒として期待されるが、反応の精密化及び応用の点で、
問題が残されている。従って、容易に作ることができ、
安価で活性が高く、かつ持続性があり、しかも不斉反応
における高い不斉収率、すなわち、生成物の光学純度の
高いものを得ることができる触媒が要求されている。
【0006】本発明者らは、先にMeO-BINAP とルテニウ
ム原子とを含む錯体を合成し、再結晶を行い、得られた
単結晶を元にX線構造解析を行った結果、ルテニウム原
子にMeO-BINAP と塩素原子が配位したものが特別の構造
を取っている新規な化合物であることを確認した。そし
て、このようにして得られた新規化合物が、不斉反応に
関する触媒作用を有することを確認した。
【0007】本発明は、上記新規化合物にひきつづき、
さらに研究の範囲を広げて見出された新規な構造を有す
る新規なルテニウム−ホスフィン錯体について、これら
の新規化合物も、先に見出された新規化合物と同様、不
斉反応に関する触媒作用を有するかを確認することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
MeO-BINAPとルテニウム原子とを含む錯体を合成し、再
結晶を行うことにより単結晶を得、X線構造解析を行
い、そして、本発明者らによって創成された新規化合物
が、不斉反応に関する触媒として有用であることを確認
したのにつづき、さらに、上記 MeO-BINAPとルテニウム
原子とを含む新規な錯体と構造的に類似の他の新規なル
テニウム錯体を合成することに成功した。そして、この
ようにして得られた新規なルテニウム錯体も、不斉反応
に関する触媒作用を有することを確認して、本発明を完
成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、以下に示す通りであ
る。(1)
【請求項1】 一般式(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) (式中、Rは水素、炭素数1〜5のアルキル基、シクロ
アルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、置換基
を有しても良いベンジル基を表し、Lは三級ホスフィン
を表し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表されるル
テニウム−ホスフィン錯体(ただし、下記のルテニウム
−ホスフィン錯体を除く。)。 [{RuCl(BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(Tol-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +
【0010】(2) Rがエチル基、Lが、DM-BINAP、
H8-BINAP、MeO-BINAP 、BIPHEMP 、Tol-BIPHEMP 、MeO-
BIPHEP、p-Tol-MeO-BIPHEPの群から選ばれた1種の三級
ホスフィン、Xが塩素である、上記第1項の一般式
(I)で示されるルテニウム−ホスフィン錯体(ただ
し、 [{RuCl(Tol-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +
除く。)。(上記のDM-BINAPは2 ,2'-ビス( ジ-3,5- ジ
キシリルホスフィノ)-1,1'- ビナフチル、H8-BINAPは2
,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-5,5',6,6',7,7',8,
8'-オクタヒドロ-1,1'-ビナフチル、MeO-BINAP は2 ,2'
-ビス[ ジ( 4-メトキシフェニル) ホスフィノ]-1,1'-
ビナフチル、BIPHEMP は2 ,2'-ビス( ジフェニルホスフ
ィノ)-6,6'- ジメチル-1,1'-ビフェニル、Tol-BIPHEMP
は2 ,2'-ビス( ジ-p- トリルホスフィノ)-6,6'- ジメチ
ル-1,1'-ビフェニル、MeO-BIPHEPは2 ,2'-ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)-6,6'- ジメトキシ-1,1'-ビフェニル、
p-Tol-MeO-BIPHEPは2 ,2'-ビス( ジ-p- トリルホスフィ
ノ)-6,6'- ジメトキシ-1,1'-ビフェニル、を意味す
る。)
【0011】(3) 上記第1項または第2項のルテニ
ウム−ホスフィン錯体からなる不斉水素化触媒。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。一般式
(I)中の三級ホスフィン(L)としては、以下に示す
通りである。まず、一般式(V)で示される三級ホスフ
ィンは、次の通りである。
【0013】
【化1】
【0014】(式中、R2はフェニル基、4-メチルフェニ
ル基、3- メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル
基、3,5-tert- ブチルフェニル基、4-クロロフェニル
基、4-フロロフェニル基、4-トリフロロメチルフェニル
基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル
基、3,4-メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4
- メトキシフェニル基、2-ナフチル基、1-ナフチル基、
シクロヘキシル基、シクロペンチル基を示す)。
【0015】また、一般式(VI)で示される三級ホスフィ
ンは、次の通りである。
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R3はフェニル基、4-メチルフェニ
ル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメチルフェニル
基、3,5-ジメチル-4- メトキシフェニル基、シクロヘキ
シル基を示す)。
【0018】また、一般式(VII) で示される三級ホスフ
ィンは、次の通りである。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、R3はフェニル基、4-メチルフェニ
ル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメチルフェニル
基、3,5-ジメチル-4- メトキシフェニル基、シクロヘキ
シル基を示し、R4は水素、メチル基、メトキシ基を示
し、R5は水素、メチル基、メトキシ基、塩素を示し、R6
はメチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基を表
す)。
【0021】一般式(VII) において、光学活性三級ホス
フィンとしては、Chem.Pharm.Bull.,1991 年、39巻、10
85頁に示される、例えば、(2,2'- ビス(ジフェニルホ
スフィノ)-4,4',6,6'- テトラメチル-5,5'-ジメトキシ
ビフェニル、
【0022】
【化4】
【0023】(2,2'- ビス[ ビス(p- メトキシフェニ
ル) ホスフィノ] -4,4',6,6',-テトラメチル-5,5'-ジメ
トキシビフェニル、
【0024】
【化5】
【0025】を挙げることができる。また、Synlett,19
91年、827 頁に示される、例えば、2,2'- ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)-4,4',6,6'- テトラトリフルオロメチ
ルビフェニル、
【0026】
【化6】
【0027】2,2'- ビス(ジフェニルホスフィノ)-4,6
- ジトリフルオロメチル-4,6'-ジメチル-5'-メトキシビ
フェニル、
【0028】
【化7】
【0029】を挙げることができる。また、Tetrahedro
n:Asymmetry, 1992 年、3 巻、13頁に示される、2-ジシ
クロヘキシルホスフィノ-2'-ジフェニルホスフィノ-4,
4',6,6'- テトラメチル-5,5'-ジメトキシビフェニル、
【0030】
【化8】
【0031】を挙げることができる。
【0032】さらに、光学活性三級ホスフィンとして、
特公平4-15796 号公報に開示されている以下に例示する
ものも用いることができる。例えば、2,2'- ジフェニル
ホスフィノ-4,4',6,6'- テトラメチルビフェニル、
【0033】
【化9】
【0034】2,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-4,4',
6,6'-テトラメチルビフェニル、
【0035】
【化10】
【0036】2,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-3,3',
6,6'-テトラメチルビフェニル、
【0037】
【化11】
【0038】2,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-4,4'-
ジフルオロ-6,6'-ジメチルビフェニル、
【0039】
【化12】
【0040】2,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-4,4'-
ビス(ジメチルアミノ)-6,6'-ジメチルビフェニル、
【0041】
【化13】
【0042】2,2'-ビス( ジ-p- トリルホスフィノ)-6,
6'- ジメチルビフェニル、
【0043】
【化14】
【0044】2,2'-ビス( ジ-o- トリルホスフィノ)-6,
6'- ジメチルビフェニル、
【0045】
【化15】
【0046】2,2'-ビス[ ビス(m- フルオロフェニル)
ホスフィノ] - 6,6'- ジメチルビフェニル、
【0047】
【化16】
【0048】1,11- ビス{ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)-5,7- ジヒドロジベンゾ[c,e ]オキセピン、
【0049】
【化17】
【0050】等である。また、特開平3-5492号公報に開
示されている以下に例示するものも用いることができ
る。例えば、2,2'- ビス( ジフェニルホスフィノ)-6,6'
- ジメトキシビフェニル、
【0051】
【化18】
【0052】2,2'- ビス( ジフェニルホスフィノ)-5,
5',6,6'-テトラメトキシビフェニル、
【0053】
【化19】
【0054】2,2'- ビス( ジフェニルホスフィノ)-4,
4',5,5',6,6'- ヘキサメトキシビフェニル、
【0055】
【化20】
【0056】2,2'- ビス(ジ-p- トリルホスフィノ)-4,
4',6,6' −ジメトキシビフェニル、
【0057】
【化21】
【0058】2,2'- ビス(ジ-p- トリルホスフィノ)-
5,5',6,6'-テトラメトキシビフェニル、
【0059】
【化22】
【0060】等である。
【0061】また、一般式(VII) 以外の化合物として
は、2,3-ビス( ジフェニルホスフィノ) ブタン(CHIRAPH
OS(VIII)) 、
【0062】
【化23】
【0063】2,3-O-イソプロピリデン-2,3 -ジヒドロキ
シ-1,4- ビス( ジフェニルホスフィノ) ブタン( DIOP(I
X)) 、
【0064】
【化24】
【0065】2,4-ビス( ジフェニルホスフィノ) ペンタ
ン( BDPP(X))、
【0066】
【化25】
【0067】1-tert- ブトキシカルボニル-4- ジフェニ
ルホスフィノ-2- ジフェニルホスフィノメチルピロリジ
ン( BPPM(XI)) 、
【0068】
【化26】
【0069】1-[1',2-ビス( ジフェニルホスフィノ) フ
ェロセニル] エタノール(BPPHFOH(XII))、
【0070】
【化27】
【0071】等が挙げられる。
【0072】また、光学活性ではない三級ホスフィンと
しては、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビスジフェ
ニルホスフィノプロパン、ビスジフェニルホスフィノブ
タン、ビスジフェニルホスフィノペンタン、ビスジフェ
ニルホスフィノヘキサン等が挙げられる。
【0073】一般式(I)中のRとしては、水素、低級
アルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基
を有しても良いベンジル基である。低級アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロヘキ
シル基が好ましい。置換基を有しても良いベンジル基と
してはベンジル基、1-フェニルエチル基が好ましい。
【0074】好ましいジアルキルアミン(HNR2)として
は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブ
チルアミン、ジ- tert- ブチルアミン、ジシクロヘキシ
ルアミン、ジベンジルアミン、1-フェニルエチルアミ
ン、ビス(1- フェニルエチル) アミン、ピロリジン、ピ
ペリジン、モルホリン、L-プロリンメチルエステル等が
挙げられる。
【0075】また、一般式(I)中のXとしては、塩
素、臭素、ヨウ素が挙げられる。そして、一般式(I)
の特に好ましい錯体としては以下のものが挙げられる。 [{RuCl(DM-BINAP)}2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(H8-BINAP)}2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(BIPHEMP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(BICHEP)}2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(MeO-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(Tol-BIPHEMP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(MeO-BIPHEP)}2(μ-Cl)3]- [Et2NH2]+ [{RuCl(p-Tol-MeO-BIPHEP)}2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +
【0076】本発明の錯体の合成方法について説明す
る。本発明の錯体は、本発明の錯体を含む複数の生成物
の混合物から本発明の錯体を精製して調製する方法、及
び本発明らによって開発された精製をすることなく本発
明の錯体を純粋かつ単一の生成物として調製する方法に
よって、調製または合成することができる。
【0077】本発明の錯体を含む複数の生成物の混合物
から本発明の錯体を精製して調製する方法は、実施例1
にも記載するように、溶媒中で、MeO-BINAP などの三級
ホスフィンと [Ru(cod)Cl2]n(式中、 codは 1,5- シク
ロオクタジエンを示す。)で表されるルテニウム化合物
とを、塩基の存在下で反応させることにより調製され
る。
【0078】この反応において、反応温度は100〜1
40℃、好ましくは110〜130℃である。また、反
応時間は6〜12時間、好ましくは7〜9時間である。
塩基としては、トリエチルアミンが用いられる。又、反
応時の溶媒はトルエン,キシレンのような溶媒が好まし
く用いられる。反応後、溶媒を留去し、塩化メチレンと
ジエチルエーテルを用いて再結晶することにより、本発
明の錯体が深紅の透明な結晶として得られる。
【0079】例えば、実施例1に示すように、MeO-BINA
P と[Ru(cod)Cl2]n (式中、cod は1,5- シクロオクタ
ジエンを示す。)で表されるルテニウム化合物とを、 E
t3Nの存在下で反応させることにより、本発明の錯体で
ある [{RuCl(L) }2(μ-Cl)3 ] Et2NH2(I)の他、Ru
ClH(L)2 (III) の構造を持つ錯体等、複数の生成物が生
成される。ただし、Lは、MeO-BINAP を表す。この場合
は、本発明の錯体は、再結晶収率が37%で、主要な生
成物として得られる。
【0080】上記の合成法において、このような複数の
生成物が得られるのは、[RuCl2(cod)]n 錯体が高分子状
の錯体であるため、無限に切断の可能性があるからであ
ろうと推定される。又、Et3NがEt2NH2( アンモニウム
塩) になる機構も、トリエチルアミンのエチル基がはず
れてプロトンとエチレンとなる分解の過程で生成するか
らであろうと考えられる。
【0081】また、本発明者らの2人によって開発され
た本発明の錯体を精製をすることなく純粋かつ単一の生
成物として調製する方法は、以下の(1)及び(2)の
2種の方法である。
【0082】(1) 一般式(II) [RuX(arene)(L)]X (II) (式中、Xはハロゲン原子を表し、arene は置換基を有
してもよいフェニル基を表し、Lは三級ホスフィンを意
味する。)で表されるルテニウム錯体と、一般式(III) R2NH・ HX (III) (式中、Rは水素、低級アルキル基、置換基を有しても
よいフェニル基、置換基を有しても良いベンジル基を表
し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表されるアンモ
ニウム塩を反応させることにより、一般式(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) で表される錯体を調製する方法。
【0083】(2) 一般式(IV) [RuX2(arene)]2 (IV) (式中、Xはハロゲン原子を表し、arene は置換基を有
してもよいフェニル基をを意味する。)で表されるルテ
ニウム錯体と、一般式(L)で表される三級ホスフィン
と、一般式(III) R2NH・ HX (III) (式中、Rは水素、低級アルキル基、置換基を有しても
よいフェニル基、置換基を有しても良いベンジル基を表
し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表されるアンモ
ニウム塩を反応させることにより、一般式(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) で表される錯体を調製する方法。
【0084】上記(1)及び(2)の2種の方法におい
て、一般式(II)中のarene としては、置換基を有しても
よいフェニル基である。好ましくは、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、p-シメン、クメン、ヘキサ
メチルベンゼン、エチルベンゼン、安息香酸メチル、安
息香酸エチル、アニソール、クロルベンゼン、ジクロロ
ベンゼン、ブロモベンゼン、フロロベンゼン等が挙げら
れる。また、一般式(II)中のXとしては、塩素、臭素、
ヨウ素が挙げられる。一般式(II)中のLとしては、一般
式(I)中の三級ホスフィンLと同様である。
【0085】一般式(III) 中のRは一般式(I)中のR
と同一である。また、一般式(III)中のXは一般式
(I)に示したものと同一である。一般式(IV)中のXは
一般式(I)中のXと同一である。また、arene は一般
式(II)中のarene と同一である。
【0086】一般式(II)で表される化合物、[RuX(aren
e)(L)]X(arene が置換基を有してもよいフェニル基)
である錯体は、次のようにして製造することができる。
【0087】Xが塩素原子の場合、すなわち、[RuCl(ar
ene)(L)]Clは、例えば、文献 G. Wikhaus, J. Org. Che
m., 41巻、487 頁1976年、あるいはR. A. Zelonka, Ca
n. J.Chem., 50巻、3643頁、1972年の方法により調製し
た[RuCl2(arene)]2 を原料とし、これとLを、メタノー
ル、エタノール、ベンゼン、塩化メチレンのような溶媒
単独かあるいはこれらの混合溶媒中、20〜50℃で1
〜3時間反応せしめた後、溶媒を減圧下にて留去するこ
とで定量的に合成することができる。
【0088】また、Xが臭素原子あるいはヨウ素原子の
場合、すなわち、[RuBr(arene)(L)]Br、[RuI(arene)
(L)]Iは、次のようにして製造することができる。
【0089】まず、例えば[RuCl2(arene)]2 を原料と
し、これに式(XII) M1Z (XII) (式中、M1はLi、Na又はK の金属を意味し、ZはBrまた
はI を意味する)で表される塩を、溶媒として水を用い
て反応させるか、あるいは、[RuCl2(arene)]2 とM1Z と
を、溶媒として塩化メチレンを用いて、次式(XIII) R4R5R6R7QX (XIII) (式中、 R4 、R5、R6、R7は炭素数1 〜16のアルキル
基、ベンジル基を意味し、Qは窒素原子、又はリン原子
を意味し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表される
四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩を相間移動
触媒として使用し、室温で撹拌することにより真島らJ.
Org.Chem.1994 年59卷3064頁の方法で[RuZ2(arene)]2
を得る。ここで相間移動触媒(XIII)としては、例えば、
Et4NCl、Et4NBr、Et4NI 、Bu4NCl、Bu4NBr、Bu4NI 、(B
enzyl)Et3NCl、(Benzyl)Et3NBr、(Benzyl)Et3NI 、(Ben
zyl)Pr3NCl、(Benzyl)Pr3NBr、(Benzyl)Pr3NI 、(C
8H17)Me3NCl 、(C8H17)Me3NBr 、(C8H17)Me3NI、(C16H
33)Me3NCl、(C16H33)Me3NBr、(C16H33)Me3NI 、MePh3PC
l、MePh3PBr、MePh3PI 、EtPh3PCl、EtPh3PBr、EtPh3PI
、BuPh3PCl、BuPh3PBr、BuPh3PI 、(C8H17)Ph3PCl 、
(C8H17)Ph3PBr 、(C8H17)Ph3PI、(C16H33)Ph3PCl、(C16
H33)Ph3PBr、(C16H33)Ph3PI 、(C16H33)Bu3PCl、(C16H
33)Bu3PBr、(C16H33)Bu3PI 、等が使用される。
【0090】次いで、得られた[RuZ2(arene)]2 とLと
を、メタノール、エタノール、ベンゼン、塩化メチレン
のような溶媒単独かあるいはこれらの混合溶媒中20〜
50℃で1〜3時間反応せしめた後、溶媒を減圧下にて
留去することで定量的[RuBr(arene)(L)]Br又は[RuI(are
ne)(L)]Iを合成することができる。
【0091】かくして得られた [RuX(arene)(L)]X を中
間体として、例えば、本発明の錯体[{RuCl(BINAP) }2
(μ-Cl)3] - [Et2NH2] + は、次のごとくして製造する
ことができる。
【0092】すなわち、 [RuCl(benzene)(BINAP)]Cl 錯
体とジエチルアミン塩酸塩(Et2NH・ HCl )とを、TH
F、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチ
ルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジオキソランなどの溶媒中、50〜100℃で
5〜20時間反応せしめた後、溶媒を留去することによ
り定量的に製造できる。
【0093】また、[RuZ2(arene)]2を中間体として、例
えば、本発明の錯体 [{RuCl(BINAP) }2(μ-Cl)3] -
[Et2NH2] + は、次のごとくして製造することができ
る。すなわち、 [RuCl2(benzene)]2錯体とBINAP とEt2N
H ・ HCl とを、THF、ジオキサン、ジメトキシエタン
(DME)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジオキソランなどの溶媒
中、50〜100℃で5〜20時間反応せしめた後、溶
媒を留去することにより、定量的に製造できる。
【0094】このような製造方法によって得られた本発
明のルテニウム−ホスフィン錯体は、31P-NMR 等の分析
により純粋な錯体であることが確認された。
【0095】本発明のルテニウム−ホスフィン錯体の構
造は、その詳細については実施例に記載されているとこ
ろであるが、次のようにして確定した。例えば、 [{Ru
Cl(MeO-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +又は下記構造
式、
【0096】
【化28】
【0097】で示される本発明のルテニウム−ホスフィ
ン錯体のX線構造解析は、アルゴン下、ガラスキャピラ
リー中に封入して行った。結晶はAFC−5R(理学)
4軸X線回折計のゴニオメーターに固定し、線源として
MoKαを用いて反射データーを計測した。20℃で2
5の強い反射を選び、それぞれの反射の2θ値を用いて
最小二乗法によってこの錯体の結晶格子定数を決定し
た。反射データーの測定中、三つの標準反射を選び、1
50反射ごとに観測した。そのデーター採取中に重大な
強度の減衰は見られなかった。また、吸収補正は線吸収
係数μ値が小さいことから行わず、それぞれの反射デー
ターは偏光因子及びローレンツ因子の補正を行った。計
算はTEXSANのソフト、構造の図はORTEPのソ
フト、結晶構造は直接法(SHELXS86ソフト)を
用いて錯体をX線構造解析することにより構造を確定し
た。
【0098】本発明のルテニウム−ホスフィン錯体は、
安定な錯体であり、これを不斉水素化反応に用いれば、
非常に高い活性を示す。すなわち、基質に対して1/100
〜1/10000 モル濃度の錯体を用いることにより反応は速
やかに進行し、生成する水素化物の純度、光学純度の優
れた結果を得ることができる。
【0099】本不斉水素化に用いられる基質としては、
ゲラニオ−ル、ネロ−ル等のアリルアルコールやチグリ
ン酸、デヒドロナプロキセン、イタコン酸等のα, β-
不飽和カルボン酸等のオレフィン酸及びアセト酢酸メチ
ル、2-オキソプロパノール、2,4-ペンタンジオン等のケ
トン類の基質が挙げられる。本発明の錯体は、単独で又
は他の反応生成物と一緒に、触媒として使用することが
できる。
【0100】例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エ
チル、4-クロロアセト酢酸エチルのようなβ- ケトエス
テルと本発明の錯体及び/又は他の反応生成物とを溶媒
中で水素雰囲気下で撹拌することにより不斉水素化が行
われる。この不斉水素化においては、β- ケトエステル
と錯体との量割合は、錯体1モルに対してβ- ケトエス
テル1000〜10000 モルとすることが好ましい結果をもた
らす。水素化の温度は10〜50℃が好ましい。又、溶
媒はメタノール、エタノールを単独でもしくは塩化メチ
レンとの混合溶媒で用いることが好ましい。
【0101】これらの不斉水素化反応において、第三級
ホスフィンのR体あるいはS体を選択することにより、
R体の不斉水素化物、あるいはS体の不斉水素化物を自
由に調製することができ、しかもその光学純度が95%
e.e.以上のものを容易に得ることができる。
【0102】
【発明の効果】本発明の新規なルテニウム−ホスフィン
錯体は、不斉水素化触媒として用いることができ、しか
も、この新規な触媒を採用することにより、例えば、置
換ケトン類の不斉水素化物である光学活性アルコールを
高い光学純度で、容易にしかも効率よく調製することが
できる。
【0103】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。この実施例に示す数字は、特に説明のない
限り重量基準である。
【0104】以下の合成例及び実施例において、本発明
のルテニウム−ホスフィン錯体を取得するに際し、合成
例1(第三級ホスフィンの一つの合成例を示す。)及び
実施例1は、まず本発明のルテニウム−ホスフィン錯体
を含む複数の生成物を合成し、ついでその複数の混合生
成物の中から精製によって本発明の錯体を取得した例を
示すものであり、一方、実施例2〜20は、本発明者ら
によって開発された精製を必要とせずに純粋かつ単一の
生成物を合成する方法によって本発明のルテニウム−ホ
スフィン錯体を取得した例を示すものである。
【0105】なお、以下に説明する合成例及び実施例に
おいて、物性の測定に用いた装置は次の通りである。 NMR 1H-NMR JMN-GX400 (日本電子(株)製) 31P-NMR WEX-270 (日本電子(株)製) GLC (ガスクロマトグラフィー) GC-15A ((株)島津製作所製) HPLC(高速液体クロマトグラフィー) LC-4A((株)島津製作所製) X線解析 AFC-5R((株)リガク製) 元素分析 YANAKO MT-5CHN CORDER ((株)柳本製作所製) 旋光度測定 DIF-360 (日本分光(株)製)
【0106】ただし、実施例2〜20におけるNMR 及び
GLC の測定に用いた装置は、次の通りである。 NMR 1H-NMR AM400 (Bruker社製) (400MHz;内部標準:テトラメチルシラン) 31P-NMR AM400 (Bruker社製) (162MHz;内部標準:85%リン酸) GLC (ガスクロマトグラフィー) 5890-II (Hewlett Packard 社製)
【0107】
【合成例1】 2,2'- ビス{ジ(4- メトキシフェニル) ホスフィノ}-
1,1'-ビナフチル( MeO-BINAP)の合成
【0108】(1) ジエチルホスフィノアミダスジク
ロリドの合成 ジエチルアミン(120ml,1.16mol) のエーテル(80ml)溶液
を0〜−5℃で3時間かけ、オキシ塩化リン(58ml,0.62
2mol) のエーテル(220ml) 溶液に滴下した。混合物を一
晩かき混ぜた後、白色固体を濾過で除き、濃縮した後蒸
留で生成物を得た(収率75%)。 bp. 81-82℃/5mmHg
【0109】(2) ビス(4- メトキシフェニル) ホス
フィニック酸の合成 ヨウ素で活性化したマグネシウム(28.2g,1.16mol) のテ
トラヒドロフラン( THF)(300ml)溶液に、p-ブロモア
ニソール(216g,1.15mol)を滴下することによりグリニア
試薬を調製した。そこへ、上記で合成したジエチルホス
フィノアミダスジクロリド(82ml,544mmol)をゆっくりと
滴下し、滴下終了後さらに4 時間撹拌した。THFを濃
縮により取り除いた後、塩化アンモニウム水溶液(500m
l) で処理し、有機層を分離、水で洗った後、溶媒を留
去した。残査に濃塩酸(82ml,984mmol) を加えた。発熱
反応が起こり、オレンジ色になった。析出した固体をEt
OH(300ml) 、水(100ml) から再結晶を行うことにより白
色結晶を得た。目的物が93.36g、収率68.5%
で得られた。
【0110】(3) ビス(4- メトキシフェニル) ホス
フィニック酸クロリドの合成 ビス(4- メトキシフェニル) ホスフィニック酸(Bis(4-M
ethoxyphenyl)phosphinic acid)(57.4g,206mmol)と塩化
チオニル(600ml) を加熱し、30分還流した後、過剰の
塩化チオニルを減圧下留去した。ベンゼンとヘキサンか
ら再結晶を行い97%の収率で白色固体を得た(59
g)。1 H NMR (CDCl3) δ 3.92 (s, 6H, OCH3), 7.03 (d, 2
H, J = 9Hz),7.06 (d,2H, J = 9 Hz), 7.78 (d, 2H,J =
9 Hz), and 7.95 (d, 2H, J = 9 Hz) Mass spectrum m/e 296 (M+), 261 ((M - Cl)+), 173
((CH3OC6H4PCl)+)
【0111】(4) 2,2'-ビス{ジ(4- メトキシフェ
ニル) ホスフィノ}-1,1'-ビナフチル( MeO-BINAP)( 2,
2'-Bis(di(4-methoxyphenyl)phosphinyl)-1,1'-binapht
hyl)の合成 2,2'- ジブロモ-1,1'-ビナフチル(21.87g,53.1mmol) を
THF(300ml)に溶かした溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuL
i)(90ml ヘキサン中, 132mmol)、を−64〜−68℃で
20分かけて滴下した。−40℃で30分かき混ぜた
後、−65℃で3時間かきまぜた。この液をビス(4- メ
トキシフェニル) ホスフィニック酸クロリド(Bis(4-Met
hoxyphenyl)phosphinic chloride)(40.1g,135mmol)のTH
F(700ml)溶液に−58〜−62℃で20分かけて滴下
し、その後一晩撹拌した。THFを留去した後、クロロ
ホルムと1Nカセイソーダ水溶液を用い、抽出を行う。
水層をクロロホルムで更に抽出した後、有機層を合わせ
て濃縮し、生成物を得た。四塩化炭素より再結晶を行い
白色固体を得た(収率76%、31.3g)。 mp. >300℃1 H NMR (CDCl3) δ 3.76 (s, 6H, OCH3), 3.78 (s, 6
H, OCH3), 6.7- 7.84(m, 28H).31 P NMR (CDCl3) δ 29.35. Mass spectrum m/e 774 (M+), 513 ((M - C6H4OCH3)
+). 元素分析値 C48H40O6P2: C 74.41, H 5.20. 実測値: C
73.84, H 5.02.
【0112】(5) 光学分割 2,2'- ビス{ジ(4- メトキシフェニル) ホスフィノ}-
1,1'-ビナフチル(2,2'-Bis(di(4-methoxyphenyl)phosph
inyl)-1,1'-binaphthyl)(19.3g,25mmol) とジベンゾイ
ル-L- 酒石酸(9.4g,25mmol) を酢酸エチル(700ml) とク
ロロホルム(80ml)に環流温度で溶解し、徐々に温度を下
げて結晶化を行い4.27g の白色固体を得た。これを1NNa
OH(100ml) 中でかき混ぜ、クロロホルム50mlで三回抽出
したところ、2.85g、収率30%の白色固体が得ら
れた。 mp. >300℃ [ α] D 25 +169.6 °(c 0.5, THF).
【0113】(6) (R)-2,2'-ビス{ジ(4- メトキシフ
ェニル) ホスフィノ}-1,1'-ビナフチル ((R)-2,2'-Bis
(di(4-methoxyphenyl)phosphino)-1,1'-binaphthyl) の
合成 2,2'- ビス{ジ(4- メトキシフェニル) ホスフィノ}-
1,1'-ビナフチル(2,2'-Bis(di(4-methoxyphenyl)phosph
inyl)-1,1'-binaphthyl)(1.91g,2.5mmol)、トリクロロ
シラン(2.5ml,25mmol)、トリエチルアミン(3.5ml,25mmo
l)、キシレン(40ml)を128℃で9時間撹拌した。反応
混合物に25%NaOHをくわえ、分液した。水層をク
ロロホルムで抽出し、有機層を集め、濃縮した。残査を
トルエン−エタノールから再結晶し、1.5g(収率8
0%)の白色固体を得た。 mp 167-169℃ [ α] D 25 +109.2 °(c 0.53, benzene)1 H NMR ( CDCl3) δ 3.73 (s, 12H, OCH3), 6.55-7.97
(m, 28H, aromatic)31 P NMR ( CDCl3) δ -17.2 (s) Mass spectrum m/e 742 (M+), 727 ((M - CH3)+), 63
5 ((M - C6H4OCH3)+),497 (base peak, (M-P(C6H4OCH3)
2)+) 元素分析 C48H40O4P2: C 77.62, H 5.43. 実測値: C 7
7.68, H 5.24.
【0114】
【実施例1】 [{RuCl(MeO-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [ Et2NH2] + の調
製 〔合成例1〕の(6)で調製したMeO-BINAP (202 mg,
0.27 mmol) 、[RuCl2(cod)]n (76 mg, 0.27 mmol,NEケ
ムキャット製)、トルエン(30 ml) 及びトリエチルアミ
ン(1 ml)を、110℃で8時間加熱撹拌した。反応溶液
を濃縮し、塩化メチレン(3 ml)とジエチルエーテル(20
ml) とから再結晶を行ったところ、深紅の結晶が97m
g、37%の収率で得られた。 mp 120 ℃(分解)1 H NMR (CDCl3) δ 1.42(t, 6H, J = 7.4Hz), 3.05
(m, 2H), 3.26(m, 2H),3.42(s, 6H), 3.44(s, 6H), 3.5
8(s, 6H), 3.71(s, 6H), 5.95(dd, J = 1.3 and8.6Hz,
4H), 6.05-6.15(m, 8H), 6.55-6.7(m, 6H), 6.85-6.95
(m, 2H), 7.0-7.2(m, 6H), 7.2-7.35(m, 4H), 7.35-7.6
(m,20H), 7.8-7.95(m, 2H), 7.95-8.1(m,4H), 8.56(br
s, 2H)(塩化メチレン1分子とジエチルエーテル2分子
含む)31 P NMR(CDCl3) δ 52.0 and 49.5(J = 38.0 Hz) 元素分析 C100H92Cl5O8NP4Ru2(CH2Cl2)(OC4H10)2 計算値 C, 60.26; H, 5.20; N, 0.64 実測値 C, 60.78; H, 4.97; N, 0.62
【0115】X線構造解析は、再結晶した錯体をアルゴ
ンを注入したガラスキャピラリー中に封入し、MoKα
をX線源として用い構造解析を行った。測定データ及び
解析結果に関するデーターを下記の表にまとめて示し
た。測定した反射データの中で、3.0σより強い強度
の反射を用いて解析を行った。結晶構造は直接法(SHELX
S86 のソフト) によって解き、フルマトリックスの最小
二乗法で以下の式で定義される値が最小となるように計
算を行った。 R= Σ||F o | -|F c ||/ Σ|F o |and Rw =[Σω( |F o |- |F c |)2/ Σω( |F o |)2]
1/2 ここで|F o |と|F c |は、構造因子の実測値と計算
値である。重みwは以下のように定義する。ω-1=σ
2(F O ) =σ2(F O 2)/(4FO 2 ) 。水素以外の全ての原
子の座標は差フーリエにより決定し、異方性熱振動とし
て計算した。又、芳香環に結合している水素原子は理想
的な長さ(C-H=0.95 Å) の位置に固定して計算に含め
た。以上の計算はTEXSANのソフトを用いて行っ
た。そのデータを元に描いたORTEP図を図1に示
す。
【0116】 測定データ及び解析結果に関するデータ formula (分子式) C109H114Cl7O10NP4Ru2 formula weight(分子量) 2172.31 crystal system(結晶系) orthorhombic space group (空間群) C2221 a,Å 21.464(4) b,Å 22.770(4) c,Å 25.656(4) Z (単位胞中の分子数) 4 V (単位胞の体積), Å3 12538(3) D calcd.(密度の計算値), g/cm3 1.151 F(000)(単位胞内に含まれる電子の総数) 4488 radiation (線源) Mo Kα crystal size(結晶の大きさ), mm 0.6 x 0.3 x 0.2 abs. coeff. (線吸収係数), cm-1 4.89 scan mode (走査方法) ω-2θ temp(測定温度), ℃ 20 scan speed(走査速度), deg./min 16 scan width(走査範囲), deg. 0.89 + 0.35tanθ 2qmax, deg. 55.3 unique data (観測値) 7789 unique data (I>3σ(I)) 5444 no. of variables 555 R (RT値又はR 因子) 0.062 Rw 0.062 Δ eÅ-3 0.74, -1.47
【0117】 xyz座標 原子 x y z Beq Ru(1) 0.9473 (4) 0.0699 (3) 0.01912 (3) 2.66 (2) Cl(1) 1.0302 (2) 0.0000 0.0000 3.03 (8) Cl(2) 0.8468 (1) 0.1158 (1) 0.0327 (1) 3.73 (7) Cl(3) 0.9036 (1) -0.0202 (1) 0.0605 (1) 3.27 (6) Cl(4) 0.5156 (7) 0.0691 (6) 0.0499 (5) 26.4 (7) P(1) 0.9894 (1) 0.1041 (1) 0.0945 (1) 3.01 (7) P(2) 0.9767 (1) 0.1518 (1) -0.0249 (1) 3.13 (7) O(1) 1.1110 (5) -0.0546 (4) 0.2489 (4) 6.9 (3) O(2) 0.8175 (8) 0.2019 (7) 0.2573 (5) 12.3 (5) O(3) 1.2367 (4) 0.2014 (5) -0.0982 (4) 6.8 (3) O(4) 0.8399 (6) 0.1984 (5) -0.2255 (4) 8.1 (4) O(5) 0.722 (2) 0.052 (2) 0.702 (2) 27 (1) N(1) 0.7723 (8) 0.0000 0.0000 7.3 (5) C(1) 1.0529 (6) 0.2088 (6) 0.0666 (4) 3.8 (3) C(2) 1.0562 (6) 0.1524 (5) 0.0843 (4) 3.4 (3) C(3) 1.1166 (6) 0.1294 (6) 0.0893 (5) 4.6 (4) C(4) 1.1693 (6) 0.1586 (7) 0.0786 (6) 5.3 (4) C(5) 1.1666 (7) 0.2146 (8) 0.0624 (6) 5.7 (4) C(6) 1.2209 (7) 0.2509 (10) 0.0496 (7) 8.1 (6) C(7) 1.2161 (9) 0.3055 (9) 0.0298 (8) 8.4 (6) C(8) 1.1561 (9) 0.3323 (7) 0.0223 (8) 8.5 (5) C(9) 1.1032 (7) 0.3030 (6) 0.0357 (6) 6.7 (5) C(10) 1.1076 (7) 0.2443 (7) 0.0557 (5) 4.7 (4) C(11) 0.9917 (6) 0.2389 (5) 0.0546 (5) 3.9 (3) C(12) 0.9570 (5) 0.2190 (5) 0.0133 (5) 3.7 (3) C(13) 0.8992 (5) 0.2510 (6) 0.0008 (5) 4.8 (3) C(14) 0.8787 (6) 0.2976 (6) 0.0315 (6) 5.7 (4) C(15) 0.9113 (7) 0.3158 (6) 0.0747 (7) 6.4 (5) C(16) 0.8888 (9) 0.3615 (8) 0.1041 (7) 9.5 (6) C(17) 0.919 (1) 0.3824 (8) 0.1442 (9) 10.4 (7) C(18) 0.981 (1) 0.3558 (7) 0.1570 (7) 9.3 (6) C(19) 1.0048 (7) 0.3107 (6) 0.1287 (6) 6.6 (4) C(20) 0.9696 (6) 0.2889 (6) 0.0848 (5) 4.9 (4) C(21) 1.0253 (5) 0.0531 (5) 0.1407 (4) 3.4 (3) C(22) 1.0471 (7) 0.0733 (6) 0.1881 (4) 5.1 (3) C(23) 1.0763 (7) 0.0355 (7) 0.2246 (5) 5.3 (4) C(24) 1.0854 (7) -0.0191 (6) 0.2164 (5) 4.7 (4) C(25) 1.0656 (7) -0.0403 (5) 0.1707 (5) 5.7 (4) C(26) 1.0350 (6) -0.0061 (6) 0.1326 (5) 4.7 (3) C(27) 1.1302 (7) -0.0292 (6) 0.2995 (5) 7.1 (5) C(31) 0.9384 (6) 0.1406 (5) 0.1398 (4) 3.6 (3) C(32) 0.9548 (7) 0.1849 (5) 0.1708 (5) 4.5 (3) C(33) 0.9172 (9) 0.2093 (8) 0.2106 (7) 7.4 (6) C(34) 0.860 (1) 0.1857 (8) 0.2206 (7) 6.6 (6) C(35) 0.8421 (7) 0.1410 (8) 0.1876 (7) 6.8 (5) C(36) 0.8799 (6) 0.1158 (7) 0.1487 (4) 5.1 (4) C(37) 0.831 (2) 0.243 (1) 0.2878 (9) 21 (1) C(41) 1.0571 (6) 0.1679 (5) -0.0446 (4) 3.3 (3) C(42) 1.0741 (6) 0.2243 (6) -0.0624 (5) 4.6 (4) C(43) 1.1345 (7) 0.2359 (6) -0.0799 (5) 5.1 (4) C(44) 1.1786 (6) 0.1920 (7) -0.0805 (5) 4.4 (4) C(45) 1.1615 (5) 0.1377 (6) -0.0629 (6) 5.5 (4) C(46) 1.1020 (6) 0.1265 (5) -0.0455 (5) 3.8 (3) C(47) 1.2584 (7) 0.2558 (7) -0.1171 (6) 6.7 (5) C(51) 0.9365 (5) 0.1620 (5) -0.0873 (4) 3.2 (3) C(52) 0.8714 (6) 0.1601 (5) -0.0919 (5) 3.6 (3) C(53) 0.8410 (6) 0.1726 (6) -0.1366 (5) 4.5 (4) C(54) 0.8708 (7) 0.1869 (7) -0.1808 (6) 5.3 (4) C(55) 0.9331 (8) 0.1870 (6) -0.1795 (5) 5.9 (4) C(56) 0.9669 (6) 0.1747 (6) -0.1336 (5) 5.2 (4) C(57) 0.8730 (10) 0.2084 (8) -0.2752 (6) 8.8 (6) C(61) 0.735 (1) 0.019 (1) -0.047 (1) 16 (1) C(62) 0.729 (2) 0.001 (2) -0.078 (2) 24 (1) C(71) 0.536 (2) 0.0000 0.0000 26 (1) C(81) 0.662 (2) 0.120 (2) 0.814 (2) 26 (1) C(82) 0.691 (2) 0.087 (2) 0.753 (2) 24 (1) C(83) 0.753 (2) 0.020 (2) 0.658 (2) 23 (1) C(84) 0.733 (2) 0.009 (3) 0.597 (2) 24 (2) H(1) 1.1204 0.0905 0.1013 5.5878 H(2) 1.2087 0.1398 0.0820 6.7367 H(3) 1.2613 0.2344 0.0567 10.0040 H(4) 1.2525 0.3255 0.0209 10.7519 H(5) 1.1530 0.3707 0.0074 10.8575 H(6) 1.0639 0.3210 0.0314 8.0922 H(7) 0.8748 0.2391 -0.0279 5.4245 H(8) 0.8422 0.3173 0.0215 6.6911 H(9) 0.8504 0.3783 0.0960 11.4490 H(10) 0.9031 0.4135 0.1646 12.4200 H(11) 1.0044 0.3714 0.1849 11.0598 H(12) 1.0438 0.2943 0.1373 7.8860 H(13) 1.0427 0.1140 0.1964 6.2110 H(14) 1.0889 0.0514 0.2575 6.3302 H(15) 1.0720 -0.0810 0.1638 7.0582 H(16) 1.0218 -0.0237 0.1007 5.7020 H(17) 0.9953 0.2009 0.1659 5.4997 H(18) 0.9317 0.2426 0.2296 8.9345 H(19) 0.8011 0.1268 0.1914 8.1463 H(20) 0.8659 0.0826 0.1294 6.1492 H(21) 1.0444 0.2546 -0.0626 5.5716 H(22) 1.1453 0.2744 -0.0916 6.0719 H(23) 1.1914 0.1069 -0.0624 6.7403 H(24) 1.0921 0.0874 -0.0342 4.4220 H(25) 0.8472 0.1496 -0.0621 4.3879 H(26) 0.7962 0.1716 -0.1364 5.4485 H(27) 0.9546 0.1950 -0.2107 7.1867 H(28) 1.0108 0.1764 -0.1344 6.4268
【0118】
【実施例2】 [{RuCl((R)-BINAP) }2(μ-Cl)3] - [Et2NH2] + の合
成 [RuCl(benzene)((R)-BINAP)]Cl (0.43g, 0.5mmol) とジ
エチルアミン塩酸塩 (54mg, 0.5mmol)とをシュレンク管
に秤取り、窒素置換をし脱気したTHF(20ml)を加え、
環流下16時間撹拌した。反応溶液を濃縮したところ、
茶褐色の固体({ビス〔ルテニウム−クロロ{(R)-2,2'
- ビス( ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル}]
ミュトリクロロ}ジエチルアンモニウム)が得られた
(0.42g、収率98%)。なお、この反応では、精
製を必要としなかった。31 P-NMR(CDCl3)δ;52.12(d, J = 38Hz), 54.76(d, J =
39Hz)
【0119】
【実施例3】 [{RuCl((R)-H8-BINAP)}2(μ-Cl)3] - [Et2 NH2] +
合成 [RuCl(benzene)((R)-H8-BINAP)]Cl (0.44g, 0.5mmol)と
ジエチルアミン塩酸塩(274 mg, 2.5 mmol) とをシュレ
ンク管に秤取り、窒素置換をし、脱気THF(20ml)を加
え、環流下16時間撹拌した。反応溶液をセライト上で
濾過して固体を除去し、炉液を濃縮すると、茶褐色の固
体({ビス〔ルテニウム−クロロ{(R)-2,2'- ビス( ジ
フェニルホスフィノ)-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒド
ロ-1,1'-ビナフチル}] ミュトリクロロ}ジエチルアン
モニウム)が得られた(0.82g、収率96%)。な
お、この反応では、精製を必要としなかった。31 P-NMR(CDCl3)δ;44.69(d, J = 42Hz),50.96(d, J =
41Hz)
【0120】
【実施例4〜18】実施例4〜18は、一般式(II)で示
される[RuX(arene)(L)]X 中のL(第三級ホスフィ
ン)、arene 及びX、並びに一般式 (III)で示されるR2
NH・ HX中のR2NH及びXを、それぞれ変化させて、実施例
3と同様に反応させた例を示すものである。表1に、得
られた本発明の錯体の 31P-NMRを合わせて示す。いずれ
の反応も、精製は必要としなかった。なお、表2に、表
1で用いた三級ホスフィン(F)の化学構造式を示し
た。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【実施例19】[{RuCl((S)-BINAP) }2(μ-Cl)3] - [M
e2NH2] + の合成 [RuCl2(benzene)]2 (50mg, 0.2 mmol)、(S)-BINAP(124m
g, 0.2 mmol)とジメチルアミン塩酸塩 (16 mg, 0.2 mmo
l)とをシュレンク管に秤取り、窒素置換をし、脱気THF
(10ml)を加え、環流下16時間撹拌した。反応溶液を濃
縮したところ、茶褐色の固体( {ビス〔ルテニウム−ク
ロロ{(S)-2,2'- ビス( ジフェニルホスフィノ)-1,1'-
ビナフチル}] ミュトリクロロ}ジメチルアンモニウ
ム)が得られた(0.16g、収率95%)。なお、こ
の反応でも、精製を必要としなかった。31 P-NMR(CDCl3)δ;51.82(d, J = 38Hz), 53.13(d, J =
38Hz)
【0124】
【実施例20〜21】実施例20〜21は、一般式(IV)
で示される[RuX2(arene)]2中のL(第三級ホスフィン)
として(R)-BINAP 、arene としてベンゼン及びXとして
塩素、並びに一般式 (III)で示されるR2NH・ HX中のR2NH
としてMe2NH 、ピペリジン及びXとして塩素を、それぞ
れ用いて、実施例2と同様に反応させた例を示すもので
ある。表3に、得られた本発明の錯体の 31P-NMRを合わ
せて示す。いずれの反応も、精製は必要としなかった。
【0125】
【表3】
【0126】
【応用例1】 アセト酢酸メチルの不斉水素化 アセト酢酸メチル(0.70g, 6.0 mmol) と実施例1で得ら
れた錯体(3.1mg, 1.5μmol)を、メタノール(3ml) と塩
化メチレン(1 ml)中で水素圧100atm 、30℃、27
時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーで反応が完結し
ているのを確認後、溶媒を留去し、MTPAエステルと
し、高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、9
9%e.e.であることが分かった。
【0127】
【応用例2】 チグリン酸の不斉水素化 チグリン酸(2-メチル-2- ブテン酸(6.0g, 60 mmol) と
実施例3で得られた錯体 [{RuCl((R)-H8-BINAP)}2
-Cl)3] - [Et2NH2] + (2.4mg, 1.4 μmol)をメタノール
(2.4ml) とH2O (9.6 ml)中で水素圧4atm 、40℃、1
6時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーで反応が完結
しているのを確認後、溶媒を留去し、蒸留を行ったとこ
ろ5.8g(96%収率)の2−メチルブタン酸を得
た。 bp 78℃(15mmHg) [ α] D 25 :-17.93°(neat) 旋光度の値より、生成したのは(R)-(-) 体で光学純度9
4.4%e.e.と決定した。
【0128】
【応用例3】 2−オキソプロパノールの不斉水素化 実施例2で得られた錯体 [{RuCl((R)-BINAP) }2(μ-C
l)3] - [Et2NH2] + (11.4 mg, 6.8 μmol)、 2- オキソ
プロパノール(2.0g, 27mmol)、メタノール6mlを100
mlのステンレスオートクレーブに入れ、水素圧30 atm
,54℃、17時間かき混ぜた。反応物をガスクロマト
グラフィーで測定したところ転化率100%、光学純度
92.8%であった。なお、応用例においては、GLC カ
ラムとして、以下のものを用いた。 転化率: FFAP(GLサイエンス(株)製) 25m x
0.35mm 光学純度: α-DEX120(スペルコ社製) 30m x 0.25
mm
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明の錯体のORTEP
図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 哲男 京都府京都市左京区田中野上町6−20−1 F (72)発明者 佐用 昇 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) [{RuX(L)}2(μ-X)3] - [R2NH2] + ( I ) (式中、Rは水素、炭素数1〜5のアルキル基、シクロ
    アルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、置換基
    を有しても良いベンジル基を表し、Lは三級ホスフィン
    を表し、Xはハロゲン原子を意味する。)で表されるル
    テニウム−ホスフィン錯体(ただし、下記のルテニウム
    −ホスフィン錯体を除く。)。 [{RuCl(BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] + [{RuCl(Tol-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +
  2. 【請求項2】 Rがエチル基、Lが、DM-BINAP、H8-BIN
    AP、MeO-BINAP 、BIPHEMP 、Tol-BIPHEMP 、MeO-BIPHE
    P、p-Tol-MeO-BIPHEPの群から選ばれた1種の三級ホス
    フィン、Xが塩素である、請求項1の一般式(I)で示
    されるルテニウム−ホスフィン錯体(ただし、 [{RuCl
    (Tol-BINAP) }2(μ-Cl)3]- [Et2NH2] +を除く。)。
    (上記のDM-BINAPは2 ,2'-ビス( ジ-3,5- ジキシリルホ
    スフィノ)-1,1'- ビナフチル、H8-BINAPは2 ,2'-ビス(
    ジフェニルホスフィノ)-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒ
    ドロ-1,1'-ビナフチル、MeO-BINAP は2 ,2'-ビス[ ジ(
    4-メトキシフェニル) ホスフィノ]-1,1'- ビナフチル、
    BIPHEMP は2 ,2'-ビス( ジフェニルホスフィノ)-6,6'-
    ジメチル-1,1'-ビフェニル、Tol-BIPHEMP は2 ,2'-ビス
    ( ジ-p- トリルホスフィノ)-6,6'- ジメチル-1,1'-ビフ
    ェニル、MeO-BIPHEPは2 ,2'-ビス(ジフェニルホスフィ
    ノ)-6,6'- ジメトキシ-1,1'-ビフェニル、p-Tol-MeO-BI
    PHEPは2 ,2'-ビス( ジ-p- トリルホスフィノ)-6,6'- ジ
    メトキシ-1,1'-ビフェニル、を意味する。)
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のルテニウム−
    ホスフィン錯体からなる不斉水素化触媒。
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