JP2007522814A - ウイルスの精製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、宿主細胞からウイルスを精製する方法を提供するものであって、前記方法は、a)宿主細胞を培養するステップ、b)前記宿主細胞にウイルスを感染させるステップ、c)細胞培養物をヌクレアーゼで処理するステップ、d)ウイルスを含む溶解物を提供するために前記宿主細胞を溶解するステップ、によって構成される。ウイルスは組み換えアデノウイルスであることが望ましい。さらに、本発明は、核酸を結合することができる異種タンパク質を発現する組み換えウイルスを精製する方法を提供するものであって、前記方法は、a)宿主細胞を培養するステップ、b)前記宿主細胞に前記組み換えウイルスを感染させるステップ、c)前記組み換えウイルスを含む溶解物を提供するために前記宿主細胞を溶解するステップ、d)組み換えウイルスを陰イオン交換クロマトグラフィーおよび粒径排除クロマトグラフィーにかけるステップであって、混合物を含むウイルスを、少なくとも2MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液によって、少なくとも1回バッファー交換することを特徴とするステップ、によって構成される。

Description

本発明はウイルス精製の分野に属し、より詳細には宿主細胞からの組み換えアデノウイルスの精製に関する。
ウイルスは、自然界に発生するものであれ、それらの組み換え型であれ、ワクチン接種および遺伝子治療の分野において用いられている。多数のウイルスやウイルス様粒子は、これらの宿主細胞の中で安全かつ効率的に増殖することが可能である(例えば、E1不死化網膜細胞を宿主細胞とした、様々なウイルスの増殖について記載している、WO 01/38362を参照されたい)。組み換えアデノウイルスは、遺伝子治療での使用およびワクチン接種の目的のためには、好適な種類のウイルスベクターである。このような組み換えアデノウイルスは、通常少なくともE1領域を欠損しており、例えば293細胞、またはPER.C6(登録商標)細胞のようなE1不死化網膜細胞(例えば米国特許第5,994,128号を参照)のような、E1領域を提供する補完的な細胞の中で増殖する。
宿主細胞の中でウイルスが増殖した後は、ほとんど全ての利用に際して、さらなる利用に先立ち、宿主細胞からウイルスを精製することが必要である。
国際特許出願WO 98/22588は、アデノウイルスベクターを生成して精製する方法を記載している。この方法は、宿主細胞の培養、宿主細胞へのアデノウイルスの感染、宿主細胞の回収および溶解、粗溶解物の濃縮、粗溶解物のバッファー交換、ヌクレアーゼによる溶解物の処理、さらにはクロマトグラフィーを用いたウイルスの精製を含む。
他の複数の刊行物も宿主細胞からのウイルスの精製について記載しているが、大部分は、宿主細胞溶解物からウイルスを精製するための特別なクロマトグラフィー・マトリックスの用途に焦点を当てており、例えば、米国特許第6,008,036号、第6,586,226号、第5,837,520号、第6,261,823号、第6,537,793号、および国際特許出願WO 00/50573, WO 02/44348およびWO 03/078592を参照されたい。
ほとんどの記載された方法は、ヌクレアーゼ処理ステップを、DNA不純物を分解することに適用している。異なるクロマトグラフィー・マトリックスに関して複数のプロセスが記載されているものの、宿主細胞の培養物からウイルスを精製するための、代わりとなる好適な改良法の必要性は依然として存在する。
本発明はこのような方法を提供する。
(発明の簡単な説明)
本発明は、宿主細胞からウイルスを精製する方法を提供するものであって、前記方法は、a)ウイルスを感染させた宿主細胞を培養するステップと、b)細胞培養物にヌクレアーゼを添加するステップと、c)ウイルスを含む溶解物を提供するために前記宿主細胞を溶解するステップと、によって構成される。好適な実施形態では、本方法はさらに、d) 溶解物を洗浄するステップ、から構成される。さらにより好適な実施形態では、本方法はさらに、e) 好適には少なくとも1回のクロマトグラフィー・ステップによってさらにアデノウイルスを精製するステップ、から構成される。これまでに開示された方法との最も重要な違いは、従来の方法では、細胞を溶解して初めて、または精製プロセスの後期段階において、ヌクレアーゼを添加していたことである。本発明によれば、細胞を溶解する前にヌクレアーゼを添加する。本明細書で開示するように、本発明の方法は、細胞を溶解した後に初めてヌクレアーゼを添加するプロセスを改良する結果をもたらすことが、予想外にも発見された。本発明による方法では、本プロセスに起因する精製されたウイルスバッチが含有する宿主細胞のDNA量は、細胞の溶解をヌクレアーゼの添加に先行させる方法に比べて少ない。好適な実施形態では、ウイルスを組み換えアデノウイルスとする。ある実施形態では、ステップb)で用いるヌクレアーゼをベンゾナーゼ(benzonase:商標登録)とする。ある実施形態では、宿主細胞を溶解するステップ(ステップc)を界面活性剤により行うが、そのうちの1つの実施形態では、界面活性剤をTriton-X 100とする。ある実施形態では、溶解物の洗浄(ステップd)は深層濾過(depth filtration)および膜濾過からなる。そのうちの好適な実施形態では、0.8μmおよび0.45μmの孔径を有するフィルターを組み合わせて用いることによって前記膜濾過を行うが、例えばSartopore(登録商標)2コンビネーションフィルターのような、0.8μmおよび0.45μmの孔径を有する2つの非対称ポリエーテルスルホン膜からなるコンビネーションフィルターを用いる。ある実施形態では、洗浄された溶解物(ステップdにより生じる)を限外濾過および/またはダイアフィルトレーションにかける。そのうちの好適な実施形態では、ダイアフィルトレーションを行う結果として、0.8〜2MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液に対してバッファー交換がなされる。ある好適な実施形態では、ウイルスのさらなる精製(ステップe)は陰イオン交換クロマトグラフィーから構成される。他の実施形態では、前記のウイルスのさらなる精製(ステップe)は粒径排除クロマトグラフィー・ステップから構成され、好適には群分離モードが適用される。他の好適な実施形態では、ステップe)は陰イオン交換クロマトグラフィーおよび粒径排除クロマトグラフィーの両者から構成される。本発明によるある実施形態では、洗浄された溶解物およびさらに精製されたウイルス(ステップd以降)は、界面活性剤、塩化マグネシウムおよびスクロースを含まないバッファー中に存在する。
他の態様では、本発明は、組み換えアデノウイルスのバッチを提供するが、該ウイルスバッチは、エボラウイルス核タンパク質、エボラウイルス糖タンパク質、熱帯マラリア原虫スポロゾイト周囲遺伝子、および麻疹ウイルスヘムアグルチニン、からなるグループから選択したトランス遺伝子を含み、前記バッチは1E11ウイルス粒子あたり0.1ng未満の宿主細胞DNAしか含まないことを特徴とする。
本発明はさらに、核酸結合タンパク質をコードする核酸配列を含むウイルスを生成するための方法を提供するものであって、該方法は、a)ウイルスを感染させた宿主細胞を培養するステップと、b)前記宿主細胞の培養物およびその内部で生成した前記ウイルスを、宿主細胞を溶解することによって処理し、前記ウイルスを含む溶解物を提供するステップと、c)ウイルスを陰イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップであって、陰イオン交換クロマトグラフィーによる処理後に、少なくとも1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液によって、混合物を含むウイルスをバッファー交換することを特徴とするステップと、から構成される。好適には、前記溶液は少なくとも1.5 MのNaClを含み、より好適には少なくとも2MのNaClを含み、さらに好適には少なくとも3MのNaClを含み、さらにより好適には約5MのNaClを含むか、または同等なイオン強度を供する他の塩を含む。好適には、前記ウイルスを1.2μm以下の孔径を有する親水性フィルターを通した濾過を用いて、および/または粒径排除クロマトグラフィーによって精製する。このウイルスは好適には組み換えウイルスであり、より好適には組み換えアデノウイルスである。核酸結合タンパク質を、エボラウイルス、マールブルクウイルスまたはラッサ熱ウイルスなどの出血熱ウイルスの核タンパク質としてもよく、エボラウイルスの核タンパク質とするのが好適である。
(発明の詳細な説明)
宿主細胞
本発明による宿主細胞は、所望のウイルスが増殖できるならばどのような宿主細胞としてもよい。例えば、組み換えアデノウイルスベクターは、アデノウイルス中の欠失部分を補完するような宿主細胞の中で増殖する。このような宿主細胞は、ゲノム中に少なくともアデノウイルスのE1配列を有することが望ましく、それゆえ、E1領域を欠失する組み換えアデノウイルスを補完することが可能である。さらに、アデノウイルスはE3領域を欠損している可能性があるが、Adゲノムになくても構わない領域であるため、この欠損部を補完する必要はない。例えば911細胞のようなE1不死化ヒト網膜細胞(米国特許第5,994,128号参照)、E1形質転換羊水細胞(欧州特許第1230354号参照)、E1形質転換A549細胞(例えばWO 98/39411、米国特許第5,891,690号参照)、GH329:HeLa細胞(Gao et al, 2000, Human Gene Therapy 11 : 213-219)、293細胞などの、任意のE1補完宿主細胞を用いることが可能である。好適には、PER.C6(登録商標)細胞(米国特許第5,994,128号)またはPER. C6細胞に由来する細胞を宿主細胞として用いるのが好ましい。なぜなら、これらの細胞は、組み換えアデノウイルスを含むがこれに限定されない、複数の異なるウイルスの増殖に適するためであり(例えばWO 01/38362参照)。
さらに、組み換えアデノウイルスベクターを増殖させるための細胞系および方法は、例えば米国特許第6,492,169号およびWO 03/104467に開示されている。
ウイルスを増殖させるための宿主細胞として直接用いたり、複製欠損性ウイルスのための補完宿主細胞に変換したりできる他の有効な哺乳類細胞系の例として、当業者に周知の通り、ベロ細胞、ヒーラ細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞、W138細胞、BHK細胞、COS-7細胞、HepG2細胞、3T3細胞、RIN細胞およびMDCK細胞の細胞系が挙げられる。
本発明による宿主細胞を、細胞およびウイルス数および/またはウイルス力価を増やすために培養する。本発明による興味の対象のウイルスを代謝し、および/または培養し、および/または分割し、および/または産生することを可能にするために細胞を培養する。これは、当業者に良く知られている方法によって達成可能であり、細胞の栄養源を、例えば適切な培地中に供給することを含むがこれに限定されない。この方法は、表面に付着した増殖、懸濁液中での増殖またはそれらの組合せを含む可能性がある。例えばシャーレ、ローラーボトルまたはバイオリアクターの中で、バッチ、フェドバッチ、連続システム、中空糸などを用いて培養を行うことができる。細胞培養によってウイルスをラージスケールで(持続的に)生成するためには、懸濁液中で増殖できる細胞を所持することが当技術分野において好ましく、そして、動物またはヒト由来の血清、または動物またはヒト由来の血清成分の非存在下で培養できる細胞を所持することが好ましい。細胞を培養するための適切な条件は知られている(例えば、Tissue Culture, Academic Press, Kruse and Paterson, editors (1973)、およびR. I. Freshney, Culture of animal cells: A manual of basic technique, fourth edition (Wiley-Liss Inc., 2000, ISBN 0-471-34889-9) を参照されたい)。
本発明は、ウイルスを感染させた宿主細胞を溶解することを含む。宿主細胞を培養し、それらをウイルスに感染させる方法は当業者には良く知られている。宿主細胞への感染は、例えば、ウイルスの取り込みを可能とする生理学的条件の下で、適切な宿主細胞にウイルスをさらすことによって容易に達成可能である。ある種のウイルスの場合は、ウイルスそれ自体から始める必要さえない。なぜなら、培養細胞中のウイルスを再構成するために核酸配列を用いることが可能なためである。
アデノウイルスを生成するための宿主細胞の培養に適した複数の態様およびシステムについては、WO 98/22588の11〜28ページにも記載されている。細胞を培養し、宿主細胞中でウイルスを増殖させるための方法は、例えば米国特許第6,168,944号、第5,994,134号、第6,342,384号、第6,168,941号、第5,948,410号、第5,840,565号、第5,789,390号、第6,309,650号、第6,146,873号、および国際特許出願WO 01/38362、WO 01/77304およびWO 03/084479にも開示されている。
ウイルス
本発明の方法は、広範囲のウイルスに適用可能であって、アデノウイルス、ポックスウイルス、イリドウイルス、ヘルペスウイルス、パポバウイルス、パラミクソウイルス、オルトミクソウイルス(インフルエンザなど)、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、 ワクシニアウイルス、ロタウイルスなどを含むがこれらに限定されず、特にアデノウイルスが好適である。ウイルスは組み換えウイルスであることが望ましいが、臨床分離株、弱毒化ワクチン株なども含みうる。ある実施形態では、組み換えウイルス、好適にはアデノウイルスを濃縮するために本発明を用いるが、該ウイルスは遺伝子治療での使用およびワクチン接種の目的のための非相同的トランス遺伝子(heterologous transgene)を有する。実例を挙げて説明する目的のためだけに、本発明を組み換えアデノウイルスに関してより詳細に説明するが、決してそれに限定されない。
アデノウイルス
アデノウイルスベクターは、E1領域の少なくとも1つの必須遺伝子、たとえば、ウイルス複製に必要とされる、アデノウイルスゲノムのE1a領域および/またはE1b領域を欠損していることが好ましい。ある実施形態では、ベクターは、E1領域の少なくとも1つの必須遺伝子および少なくとも1部の非必須E3領域を欠損している(例えば、E3領域のXba I欠失)。アデノウイルスベクターを「多欠失」とすることも可能であって、アデノウイルスベクターが、アデノウイルスゲノムの2つ以上の領域の各々において1つ以上の必須遺伝子の機能を欠損していることを意味する。例えば、前述したE1欠損またはE1, E3欠損アデノウイルスベクターは、E4領域の少なくとも1つの必須遺伝子および/またはE2領域の少なくとも1つの必須遺伝子(例えばE2A領域および/またはE2B領域)をさらに欠損していてもよい。全E4領域を欠損したアデノウイルスベクターは、宿主免疫応答を誘発しにくい。適切なアデノウイルスベクターの具体例として、(a)E1領域の全部または一部、およびE2領域の全部または一部、(b)E1領域の全部または一部、E2領域の全部または一部、およびE3領域の全部または一部、(c)E1領域の全部または一部、E2領域の全部または一部、E3領域の全部または一部、およびE4領域の全部または一部、(d)E1a領域の少なくとも一部、E1b領域の少なくとも一部、E2a領域の少なくとも一部、およびE3領域の少なくとも一部、(e)E1領域の少なくとも一部、E3領域の少なくとも一部、およびE4領域の少なくとも一部、を欠損するアデノウイルスベクター、および、(f)必須アデノウイルス遺伝子の全生成物を欠損するアデノウイルスベクター(例えばITRsおよびパッケージングシグナルのみを含むアデノウイルス・アンプリコン)、が挙げられる。アデノウイルスゲノムから必須領域が欠失している場合には、これらの領域にコードされる機能は、好適には宿主細胞によって相補的に(in transに)供給される必要がある。すなわち、例えばアデノウイルスからE1、E2および/またはE4領域の一部または全体が欠失している場合には、例えばゲノムに組み込まれるか、またはいわゆるヘルパーアデノウイルスやヘルパープラスミドという形で、宿主細胞にこれらの領域が存在する必要がある。複製欠損性アデノウイルスベクターは、ベクターDNAのソースとして、アデノウイルスまたはキメラアデノウイルスの、任意の種、株、亜型、または種、株、亜型の組合せを用いることにより生成可能であって(例えばWO 96/26281、WO 00/03029を参照されたい)、このことにより、例えば、アデノウイルスベクターに、ある種の所望の細胞型に感染する能力を供することができる。アデノウイルスベクターを、細胞内で増殖可能な任意のアデノウイルスベクターとすることが可能であり、かなりの部分は(必ずしも十分ではないが)アデノウイルスゲノムに由来するか、または基づいている。アデノウイルスベクターは、C群野生型アデノウイルスのアデノウイルスゲノム、特に血清型5(すなわちAd5)またはAd2のゲノムを含みうる。アデノウイルスベクターは、例えばAd11, Ad35, Ad51などのB群アデノウイルスに由来するアデノウイルスゲノム、または少なくとも線維タンパク質をも含む可能性があり(例えばWO 00/70071参照)、この実施形態には、これらのアデノウイルスベクターの親和性はAd5の親和性と異なるために、これらの血清型に対する中和抗体は集団内に見出されにくく、他の細胞型を標的とする可能性を与えるという利点がある。もちろん、当業者は他の血清型も利用可能であることを知っているだろう。当業者ならば、例えば米国特許第6,492,169号およびWO 03/104467に開示されている方法およびそこに記載の参考文献を用いれば、特定の宿主細胞の中で様々な血清型のアデノウイルスベクターが増殖する可能性があることに気がつくであろう。アデノウイルスベクター、その作製方法、およびそれを増殖させる方法は当業者にはよく知られており、例えば、米国特許第5,559,099号、第5,837,511号、第5,846,782号、第5,851,806号、第5,994,106号、第5,994,128号、第5,965,541号、第5,981,225号、第6,040,174号、第6,020,191号および第6,113,913号、およびThomas Shenk氏による"Adenoviridae and their Replication"、M.S.Horwitz氏による"Adenoviruses"のそれぞれ67章および68章、Virology誌B. N. Fields et al., eds., 3d ed., Raven Press, Ltd., New York (1996)、および本明細書で言及した他の参考文献に記載されている。アデノウイルスベクターの作製法は当業者によく理解されており、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)、Watson et al., Recombinant DNA, 2d ed., Scientific American Books (1992)、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, NY (1995)、および本明細書で言及した他の参考文献に記載されているような、標準的な分子生物学の技術を用いることを伴う。
トランス遺伝子
ある実施形態では、本発明によるウイルスは野生型ウイルスであるか、または本発明による宿主細胞の中で感染性を保つ変異体あるいはその一部分である。他の実施形態では、ウイルスは非相同的な情報を含む組み換えウイルスであり、遺伝子治療を目的とした治療設定に用いたり、ワクチン接種を目的とした抗原として用いたりすることができる。これは、例えばアデノウイルスベクターを用いた好適な実施形態である。非相同的な情報を「トランス遺伝子」と呼ぶ。本発明による方法は、任意のトランス遺伝子を含むウイルス、好適には任意のトランス遺伝子を含むアデノウイルスに適用可能であり、ゆえにトランス遺伝子の性質自体は本発明において重要ではない。
複数の可能なトランス遺伝子については、例えばWO 98/22588の42〜49ページに記載されている。本発明によるウイルス中に存在するトランス遺伝子を、治療遺伝子とすることができ、それには例えば、p53, p16, APC, DCC, NF-1, WT-1, p21, BRCA1, BRCA2などを含むがそれに限定されない癌抑制遺伝子、;シトシンデアミナーゼ、HGPRT、グルコセレブロシダーゼ、HSVチミジンキナーゼまたはヒトチミジンキナーゼなどの酵素;成長ホルモン、プロラクチン、エリスロポエチン、絨毛性ゴナドトロピン、甲状腺刺激ホルモン、レプチン、ACTH、アンジオテンシン、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、カルシトニン、バソプレシンなどのホルモン;IL-1, IL-3, IL-12, G-CSF, GM-CSF, TNFなどのインターロイキンおよびサイトカイン;ADA、第IX因子、CFTRなどの、特定の病気で欠失しているか変異している代替遺伝子;血管形成阻害薬、細胞周期阻害薬などのほかの治療遺伝子;ras, myc, jun, bcl, ablなどの、癌遺伝子の発現を抑制するアンチセンス・コンストラクト;ならびにワクチン用抗原であって、例えば、ピコナウイルス、コロナウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、オルトミクソウイルス、ポックスウイルス、肝炎ウイルス、レオウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスなどに由来するウイルス抗原;例えば、さらに具体的に言うと、インフルエンザウイルス (例えばHAおよび/またはNAを潜在的抗原とする), B型肝炎ウイルス (B 型肝炎ウイルス表面抗原を潜在的抗原とする)、ウエストナイルウイルス、狂犬病ウイルス、SARSコロナウイルス、単純ヘルペスウイルス1型および2型、麻疹、天然痘、ポリオ、HIV (例えば、HIV-1由来のgag, env, nef遺伝子または最適化された種類のコドンを含むその修正物などを抗原とする;例えばWO 02/22080参照)、 エボラウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルスに由来する抗原;または、細菌性抗原、真菌抗原、寄生虫抗原 (トリパノソーマ、 条虫、回虫、蠕虫、マラリアなどを含む)などがある。明らかに、当業者は、遺伝子治療であれワクチン接種であれ、想定された治療設定において有用な関心遺伝子を選択するだろうし、上記のリストに限定されない。トランス遺伝子の制御領域は、トランス遺伝子を発現させることを目的とした組み換えウイルスベクター中に存在することが好ましく、例えばプロモーターおよびポリアデニル化信号を含むことも明らかである。これらは当業者には良く知られており全ての態様であり、ここでさらに詳しく述べる必要はない。いくつかの制御領域については、WO 98/22588の49〜55ページにて議論されている。本発明で用いるいくつかのアデノウイルスについては、実施例においてさらに議論する。
宿主細胞の溶解
アデノウイルスを感染させた後、ウイルスは細胞内で複製し、その結果増幅される。アデノウイルスの感染は、最終的には感染した細胞の溶解を招く。アデノウイルスには細胞を溶解する特徴があることにより、ウイルス産生には2つの異なるモードが可能となる。第一のモードでは、細胞が溶解する前にウイルスを回収し、細胞を溶解するために外部因子を使用する。第二のモードでは、産生されたウイルスによって(ほぼ)完全に細胞が溶解した後にウイルス上清を回収する(外部因子によって宿主細胞を溶解することなくアデノウイルスを回収する方法について記載した、米国特許第6,485,958号を参照されたい)。後者のモードでは、完全に細胞が溶解し、それ故高収率でウイルスを回収できるようになるためには、より長いインキュベーション時間が必要とされる。さらに、宿主細胞の内容物が培地中へと徐々に流出することは、調達するウイルスの質および量にとって有害となりうる。それゆえ、本発明によれば、細胞を高い活性で溶解するためには外部因子を用いることが好ましい。
高い活性での細胞溶解のために利用可能な方法は当業者には知られており、例えばWO 98/22588の28〜35ページで議論されている。この点に関して有用な方法は、例えば、凍結融解、固体剪断、高張および/または低張溶解、液体剪断、超音波処理、高圧押出法、界面活性剤による溶解、上記の組合せなどである。本発明の1つの実施形態においては、少なくとも1つの界面活性剤を用いて細胞を溶解する。溶解のために界面活性剤を利用することは簡単な方法であり、そしてこれは簡単に計測可能であるという利点がある。他の実施形態では、WO 03/084479に記載のように、中空糸限外濾過を用いた剪断によって細胞を溶解する。
界面活性剤
本発明により使用可能な界面活性剤、およびそれらを使用する方法は、当業者には広く知られている。いくつかの具体例については、例えばWO 98/22588の29〜33ページで議論されている。本明細書において使用される界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性、および非イオン性の界面活性剤を含みうる。典型的な界面活性剤としては、これらに限定されないが、タウロコール酸塩、デオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、セチルピリジウム、ベンザルコニウム塩化物、ZWITTERGENT 3-14界面活性剤(商標登録)、CHAPS(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸塩;Aldrich社)、Big CHAP、Deoxy Big CHAP、Triton X-100(商標登録)、Triton X-114(商標登録)、C12E8、オクチル-B-D-グルコピラノシド、PLURONIC-F68(商標登録)、TWEEN-20(商標登録)、TWEEN-80(商標登録)(CALBIOCHEM(商標登録)Biochemicals社)、Thesit(商標登録)、NP-40(商標登録)、Brij-58(商標登録)、オクチルグルコシドなどが挙げられる。当業者には、界面活性剤の濃度を例えば約0.1%〜5% (w/w)の範囲内で変化させてよいことは明らかであろう。ある実施形態では、界面活性剤は約1%(w/w)の濃度で溶菌溶液中に存在する。発明者によるいくつかのパイロット実験では、Tritonを用いると、テストしたいくつかの他の界面活性剤(Tween 20, Tween 80, デオキシコール酸塩)よりも粘性の低い溶液が生じた。本発明の1つの実施形態では、使用する界面活性剤はTriton X-100である。
ヌクレアーゼ
本発明は、汚染物質(すなわち大抵は宿主細胞や核酸)を除去するためにヌクレアーゼを利用する。本発明における使用に適切な典型的なヌクレアーゼとして、ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)、パルモザイム(Pulmozyme:商標登録)、または当技術分野において一般的に使用されるその他のDNaseおよび/またはRNaseが挙げられる。本発明の好適な実施形態では、ヌクレアーゼはベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)であり、特定のヌクレオチドの間の内部リン酸ジエステル結合を加水分解することによって核酸を速やかに加水分解し、結果として細胞溶解物の粘度を減少させる。ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)はMerck KGaA(コード W214950)から市販されている。
ヌクレアーゼを使用する濃度は1〜100 units/mlの範囲であることが望ましい。
本発明によると、細胞を溶解する前にヌクレアーゼを利用する。溶解ステップのほんの数秒前に(またはほとんど同時に)ヌクレアーゼを加えてもよいが、好適には、溶解ステップの少なくとも1分前にヌクレアーゼを培養物に加える。その後、ヌクレアーゼを添加した細胞培養物を、上記の工程温度で培養することが可能であって、該温度は例えば約40℃、または培養温度(例えば約35℃〜約37℃の間)、または室温(約20℃)、またはより低温(例えば約0℃)であり、一般的には、低い温度になるほど同じ結果を得るにはより長い時間インキュベーションする必要がある(ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)の小冊子;Merck KGaA, コード W214950を参照されたい)。限定されない実施例を挙げると、例えば約37℃で約10分間インキュベーションし、その後に細胞を溶解することが可能である。明らかに、溶解ステップの後にもヌクレアーゼは高い活性で核酸を分解することが可能であるし好ましいことであって、そして本発明によるある実施形態では、細胞を溶解した後、約50分間という長時間にわたって、エンドヌクレアーゼの存在下で細胞のインキュベーションを行う(結果として、ヌクレアーゼ処理を行う総時間は1時間となる。ただし、後の精製ステップにおいて除去されるまで、ヌクレアーゼは機能を有し続けることが予想されるため、この時間は事実上もっと長くなる可能性がある。)これは、WO 98/22588に開示された一晩のインキュベーションよりもかなり短い。もちろん、本発明の方法によれば、例えば2時間、または一晩、またはもっと長いインキュベーション時間(ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)の小冊子;Merck KGaA, コード W214950には、30時間のインキュベーションまでのデータが掲載されている)というように、より長時間にわたってインキュベーションすることも可能であるが、許容可能な結果を得るためには必要ない。これらの実施形態で用いられる「溶解ステップ」(すなわち、産生したウイルスを内部に含む細胞を溶解させるステップ)は、例えば界面活性剤のような外部因子(上述の「宿主細胞の溶解」の項以下を参照)を利用する溶解ステップのことを意味することは明らかであろう。明らかに、アデノウイルスを増殖させる細胞培養の過程において、外部因子非
存在下でも、ウイルスの影響により早くも溶解してしまう細胞もある。ゆえに、好適な実施形態では、ヌクレアーゼ処理を開始する時点において、外部因子非存在下におけるこのような溶解は宿主細胞のうちの50%未満しか起こらず、好適には40%未満、より好適には30%未満、さらに好適には20%未満であることが望ましい。すなわち、細胞がそれぞれ少なくとも50%、60%、70%、80%生存している段階でヌクレアーゼを添加することが望ましい。
好適ではないものの(上記参照)、外部因子非存在下での宿主細胞の溶解に依存する方法を用いることも可能である。「自発的な」溶解を伴うプロセスについては既に公開されており、ベンゾナーゼ(Benzonase)の使用を開示している(米国特許第6,485,958号参照)。しかし、本発明によれば、このような系においては、培養の後期の段階、すなわち、ウイルスが内部で増殖している宿主細胞が少なくとも5%、より好適には少なくとも10%、さらに好適には約20%生存している(すなわちそれぞれ95%、90%、80%未満の細胞が溶解した)段階でヌクレアーゼを添加することも有益である。このステップを利用すれば、獲得したウイルスの質の観点においてプロセスが改善することが予想される。従って、本発明の他の態様は、宿主細胞を溶解できるウイルスを宿主細胞から精製する方法を提供するものであって、前記方法は、a)前記宿主細胞を溶解できるウイルスを含む宿主細胞を培養するステップと、b)外部因子による宿主細胞の溶解を伴わずにウイルスが培養液に放出された後に、ウイルスを回収するステップであって、95%の宿主細胞が溶解してしまう前にヌクレアーゼを培養物へと添加することを特徴とするステップと、から構成される。ある実施形態では、90%の宿主細胞、好適には80%の宿主細胞が溶解してしまう前にヌクレアーゼを培養物に添加する。本発明のこれらの態様においてヌクレアーゼを添加する最適な瞬間(すなわち、溶解した細胞の最適なパーセンテージに対応する)についての知見は、添加したヌクレアーゼの量、およびインキュベーション中のヌクレアーゼ比活性度の減少度に依存するものと考えられ、当業者ならば経験的に見出すことが可能であって、培養物自体にヌクレアーゼを添加することの利点をここで本発明の発明者らが開示する。明らかに、本発明の態様により得られた溶解物を、濾過やクロマトグラフィーなどの、本明細書において議論する方法およびステップを利用することでさらに精製することが可能である。
国際特許出願WO 03/097797は、細胞溶解物からアデノウイルス粒子を精製する他の方法について記載しており、不純なDNAを沈殿させるために、選択的沈殿薬剤を添加することからなる。そこでは、この方法を用いる際にはヌクレアーゼ・ステップは必要ないと述べられているが、ロバスト性を高めるために、手順の後期の段階で該ステップが利用される。宿主細胞を溶解する前にヌクレアーゼを添加するステップを含めた本発明による方法は、溶解後に選択的に沈殿薬剤を添加するステップと適切に組み合わせることが可能であって、結果としてプロセスの後期にヌクレアーゼを添加するステップ(WO 03/097797にて好適なステップ)を潜在的に不必要な過程とする可能性がある。
国際特許出願WO 02/070673は、宿主細胞からウイルスを分離するために連続遠心分離法を利用しており、すなわち、細胞をペレットへ濃縮するのに有効な条件の下で細胞培養物を連続的に遠心分離し、細胞を溶解して溶解物を得るのに有効な条件の下で、ペレット化した細胞を遠心分離機から回収容器へと排出する。明らかに、この方法によって細胞を溶解することも本発明による「宿主細胞の溶解」の範囲内にあり、ゆえにこの方法(すなわち、連続遠心分離法にかける前に細胞培養物にヌクレアーゼを添加する方法)も本発明により利益を得ることが予想されるのであって、このような改良がなされた方法では、溶解物中への核酸の混入量がより少なく、故に、最終的には精製された生成物がもたらされる。
洗浄
本発明による好適な実施形態では、ウイルスを含む宿主細胞溶解物を洗浄する。洗浄は、細胞残屑およびその他の不純物を除去する濾過ステップによって行われうる。適切なフィルターとして、セルロース・フィルター、再生セルロース・フィルター、無機フィルター(珪藻土、真珠岩、ヒュームド・シリカ など)の補助と組み合わせたセルロース・フィルター、無機フィルターによる補助および有機樹脂と組み合わせたセルロース・フィルター、またはその任意の組合せ、およびポリマー・フィルター(これらに限定されないが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホンが例として挙げられる)を利用することが可能である。一般的には、複数の段階により処理するのが望ましいが、必須ではない。典型的な2〜3段階のプロセスは、大きな沈殿物および細胞残屑を除去するコースフィルターを利用し、その後、0.2μ以上1μ未満の公称孔径を有する第二段階のフィルターによって仕上げることからなる。最適な組合せは、沈殿物の粒度分布およびその他の変数の関数となる可能性がある。さらに、洗浄の目的で、比較的タイトなフィルターまたは遠心分離を利用する単一段階からなる操作を利用することも可能である。より一般的には、全量濾過、微量濾過、遠心分離、または、全量濾過または深層濾過と組み合わせたボディフィード濾過(例;珪藻土)の補助を含む任意の洗浄方法であって、次のステップで膜および/または樹脂を汚さないような適切な清澄度の濾液を供給する該洗浄方法を、本発明の洗浄ステップにおいて用いることが許容可能である。
ある実施形態では、深層濾過および膜濾過を用いる。この点に関して有用な商業的に利用可能な製品については、例えばWO 03/097797の20〜21ページにて言及されている。使用可能な膜は複数の物質から構成されていてもよく、孔径が異なっていてもよく、組み合わせて使用してもよい。これらは複数の業者から市販されている。
ある種の膜は、他の膜と比較してはるかに洗浄が改良しており、本発明のプロセスにおいて予想外に優れた結果を生み出すことを本発明の発明者らは発見した(実施例4参照)。
従って、洗浄するために、0.8μmおよび0.45μmのフィルターを組み合わせて用いること、好適にはSartopore-2フィルターを用いることが本発明の好適な実施形態である。
限外濾過/ダイアフィルトレーション
本発明のある実施形態では、例えばウイルスの濃縮および/またはバッファー交換のために、および/または洗浄された回収物の濃縮およびダイアフィルトレーションのために、プロセスの間に少なくとも1回は、ウイルスの懸濁液を限外濾過/ダイアフィルトレーションにかける。本発明による方法によってウイルスを濃縮するために用いるプロセスは、任意の濾過プロセス(例えば限外濾過;UF)を含む可能性があり、ウイルスはフィルターを通過できずにウイルス調製物中に高濃度で残存する一方で希釈剤はウイルス調製物から除去されるような方法によって、希釈剤を濾過にかけることによって、ウイルス濃度を上昇させる。UFについては、例えば、Microfiltration and Ultrafiltration: Principles and Applications, L. Zeman and A.Zydney (Marcel Dekker,Inc., New York, NY, 1996)に詳細に記載されている。好適な濾過プロセスは、例えば、"Pharmaceutical Process Filtration Catalogue"という題のMILLIPORE社カタログの177〜202ページ(Bedford, Massachusetts, 1995/96)に記載されているような、タンジェンシャルフローフィルトレーション(Tangential Flow Filtration:TFF)である。TFFは、細胞の回収、洗浄、およびウイルスを含む生成物の濃縮のために、バイオプロセス産業では広く用いられている。システムは3つの異なるプロセスの流れ、すなわち供給液、透過液および保持液から構成される。用途により、異なる孔径のフィルターを用いることが可能である。本発明による1つの実施形態では、保持液は生成物であり、必要に応じてさらなる精製ステップのために用いることが可能である。この実施形態では、選択した個々の限外濾過膜は、不純物を効率的に除去するには十分大きいが、ウイルスを保持するのには十分に小さな孔径を有するであろう。製造業者および膜のタイプに依存して、アデノウイルスの場合は公称分子量カットオフ値(nominal molecular weight cutoffs:NMWC)が100〜1000kDaであることが適当であり、例えばNMWCが300kDaまたは500kDaの膜を用いる。膜組成は、これらに限定されないが、再生セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンまたはそれらの誘導体とする可能性がある。膜はフラット・シートまたは中空糸とする可能性がある。限外濾過とは一般に0.1μm未満の孔径を有するフィルターを用いた濾過をさす。生成物は通常保持されるが、一方で透過により体積は減少する。バイオ医薬品産業においてTFFのために最も広く利用される2つの形状は、平板型モジュ−ルおよび中空糸モジュ−ルである。今ではSpectrum社およびA/G Technology社を含む複数の業者が存在するものの、限外濾過および微量濾過に用いる中空糸ユニットは1970年代初期にAmicon社とRamicon社により開発された(Cheryan, M. Ultrafiltration Handbook)。中空糸モジュールは緻密な表面層を有する自己支持型ファイバーのアレイから構成され、膜に選択透過性をもたらす。ファイバーの直径は0.5mm〜3mmの範囲である。中空糸モジュールの利点は、小さな膜面積(約16cm2)から非常に大きな膜面積(約28cm2)のフィルターを利用できることであって、直線的で単純なスケールアップが可能となる。本発明によるある好適な実施形態では、TFFのために中空糸を用いる。これらはほとんどずれを生み出さず、平面型の膜に比べてウイルス粒子/感染単位(VP/IU)比が優れる。ある実施形態では、本発明によれば、0.05μmの中空糸を用いる。
限外濾過装置を利用したダイアフィルトレーション(DF)、すなわちバッファー交換は、塩類や糖質の除去および交換、非水溶性溶媒による結合種と未結合種との分離、低分子量物質の除去、または、イオンおよび/またはpH環境の急速な変化をもたらす理想的な方法である。微小溶質(microsolute)は、限外濾過をした溶液に、UFの速度と等しい速度で溶媒を加えることによって、最も効率的に除去される。この操作は、一定の容積の、溶液由来の微細種を洗浄し、保持されたウイルスを精製する。本発明は、溶解物のバッファーを、さらなるクロマトグラフィーまたは他の精製ステップに先立って交換するために、DFステップを利用する。本発明の1つの実施形態によれば、TFFによるDFはバッファー交換のために施行され、バッファーを加えることは保持液を除去することに相当する。
UF/DFを、精製プロセスの異なる時期に生じる本発明によるウイルス懸濁液(例えば、溶解物、および/または、例えばクロマトグラフィー処理を受けた、さらに精製された懸濁液)を、濃縮し、および/またはバッファー交換するために使用することが可能である。
本発明による1つの実施形態では、UF/DFによって溶解物を5倍に濃縮し、結果として生じた濃縮されたウイルス懸濁液を、定容ダイアフィルトレーション法を用いて、1MのNaClを含む6ダイアフィルトレーション容積(DFV)のバッファーによってバッファー交換する。このような高い塩濃度を用いることで、多くの望ましくないタンパク質がステップの途中で除去されるために、結果として生じるウイルスの質が有意に改善することがわかった(実施例2参照)。ゆえに、洗浄した溶解物を、0.8〜2.0MのNaCl(例えば約1MのNaCl)または同等なイオン強度を供するほかの塩を含む溶液に対して交換することは、本発明による好適な実施形態である。塩の陰イオンおよび陽イオンを両方とも交換可能であることは、当業者には明らかであろう。
ウイルス懸濁液を陰イオン交換クロマトグラフィーにかける前に、0.4MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含むバッファーを用いてバッファー交換することが可能である。ある実施形態では、4DFVの所望のバッファーを用いて定容ダイアフィルトレーションすることによって、この処理を遂行することができる。
さらなる精製
本発明の好適な実施形態によると、本発明による方法によって、好適には溶解物の洗浄後に得られたウイルス懸濁液を、例えば当業者に一般に知られる方法によりさらに精製する。これは、例えばWO 98/22588の59〜61ページにて議論されるように、例えば密度勾配遠心法により達成されうる。
しかし、好適には、例えばWO 98/22588の61〜70ページにて議論されるように、さらなる精製は少なくとも1つのクロマトグラフィー・ステップを利用する。ウイルスをさらに精製するための多くのプロセスを説明してきたが、クロマトグラフィー・ステップは前記プロセスに含まれる。当業者ならばこれらのプロセスについて知っていて、クロマトグラフィー・ステップを使用するための正確な方法を、本発明のプロセスを最適化するために変更することができる。
例えば、陰イオン交換および陽イオン交換クロマトグラフィー・ステップを組み合わせることで、ある種のウイルスを精製することが可能であり、これについては米国特許第6,008,036号を参照されたい。アデノウイルスを精製するためにヒドロキシアパタイト培地を使用することも可能であり、これについてはWO 02/44348を参照されたい。例えばWO 03/097797の26ページに記載されているように、逆相吸着ステップを使用することも可能である。
アデノウイルスを精製するためには、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップを用いることが好ましい。陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップの後には、ウイルスは十分に純粋となりうる。しかし、ある実施形態では、プロセスのロバスト性を高めるために、さらに粒径排除クロマトグラフィー・ステップを行う。このプロセスは、陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップの前に行っても、後に行ってもよい。明らかに、他の精製ステップを陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップと適切に組み合わせることもできる。
アデノウイルス精製のための陰イオン交換クロマトグラフィーの使用については詳細にわたって記述してきたため、本態様は当業者にとって十分に手の届く範囲にある。アデノウイルスを精製するために多くの様々なクロマトグラフィー充てん材を使用してきたし、それらは用途に適しているので、当業者はウイルスを精製するための最適な陰イオン交換物質を、例えば以下の技術に基づき、容易に見つけることができる。
米国特許第5,837,520号(Huyghe et al., 1995, Human Gene Therapy 6: 1403-1416をも参照)はアデノウイルスを精製する方法について記載しており、ここでは宿主細胞溶解物をヌクレアーゼで処理した後に、陰イオン交換および金属イオン親和クロマトグラフィーを行う。
米国特許第6,485,958号は、組み換えアデノウイルスを精製するための、強力な陰イオン交換クロマトグラフィーの用途について記載している。 アデノウイルス粒子を精製するために、陰イオン交換クロマトグラフィーは流動層カラムと共に使用されており、これについてはWO 00/50573を参照されたい。
さらに、エクスパンデッドベッド・陰イオン交換クロマトグラフィー(expanded bed anion exchange chromatography)、およびアデノウイルス粒子を精製するための陰イオン交換クロマトグラフィーのある種のクロマトグラフィー樹脂についても、米国特許第6,586,226号に記載されている。
陰イオン交換カラムに加えて、例えばPall社による製品(例;Mustang series)およびSartorius社による製品(例;Sartobind series)のような、陰イオン交換膜クロマトグラフィー製品も適切である。アデノウイルス精製におけるこれらのフィルターの用途および利点については、例えばWO 03/078592を参照されたい。明らかに、そのようなフィルターの使用も、本明細書において用いる「陰イオン交換クロマトグラフィー」という用語の範囲内に入る。
米国特許第6,537,793号は、イオン交換クロマトグラフィーを用いた宿主細胞からのアデノウイルス粒子精製について記載し、特に、この目的にはQ Sepharose XLタイプのクロマトグラフィー担体が優れることを教示する。本発明による1つの実施形態では、Q Sepharose XL カラムを用いてアデノウイルスをさらに精製する。
上述したように、このプロセスは粒径排除クロマトグラフィー・ステップをさらに適切に使用することが可能である。
国際出願WO 97/08298は、ウイルスに損害を与えるのを防ぐためにある種のクロマトグラフィー充てん材を用いたアデノウイルスの精製について記載しており、陰イオン交換および粒径排除のステップを含んでいる。
米国特許第6,261,823号は、アデノウイルスを精製する方法を記載しており、アデノウイルス調製物を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけ、続いて粒径排除クロマトグラフィーにかける。粒径排除ステップでは、低分子量の不純物からウイルス粒子を群分離する。本発明のある実施形態によれば、カラムの体積の約15〜30%、好適には約20%を粒径排除カラムに流入する(粒径排除クロマトグラフィーの群分離モード)。それゆえ、本発明の好適な実施形態では、本発明の方法により調整したアデノウイルス懸濁液を、陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップおよび粒径排除クロマトグラフィー・ステップを用いてさらに精製する。
WO 03/078592はアデノウイルス(Ad5)を精製するためのハイスループット陰イオン交換フィルター(すなわち、陰イオン交換基を含む荷電フィルター)の用途を記載している。以下の利点は、陰イオン交換カラムと比較した時のこの種の荷電フィルターの利点について記載するものである:(i) 流速がより早い、(ii) 結合能がより強い、(iii) ウイルス回収量がより多い、(iv) 臨床に用いるために包装や洗浄の評価が必要ない、(v) 使い捨て式フィルターカートリッジを使用すれば寿命や貯蔵の問題が生じない。上述の通り、このような陰イオン交換フィルターを使用することは本発明の実施形態であり、本発明における「陰イオン交換クロマトグラフィー」の範囲内に含まれると見なされる実施形態である。しかしながら、カラムクロマトグラフィーと同等であるだけでなく、本発明の発明者らは、驚くべきことに、陰イオン交換フィルターを使用してアデノウイルス血清型35(Ad35)を精製することの、陰イオン交換カラムを使用することに勝る優位性を発見した:すなわち、アデノウイルス粒子に組み込まれなかったある種のアデノウイルスタンパク質は、陰イオン交換カラムではなくて、陰イオン交換フィルターを使用することによって、アデノウイルス粒子から分離されるのである。このような遊離アデノウイルスタンパク質は、以前は組み換えアデノウイルス粒子の調製物中には見出されず、大抵は検出されずにいるものだったが、今では、遊離アデノウイルスタンパク質を含む組み換えアデノウイルス調製物を陰イオン交換基を含む荷電フィルターにかけるステップを用いることで、除去可能になった。荷電フィルターを使用することのこうした効果については、WO 03/078592には注記されていなかった。さらに、WO 03/078592は、Ad35やその他のB群アデノウイルス粒子を精製するための陰イオン交換フィルターの使用を開示していない。それゆえ、本発明は組み換えアデノウイルス調製物から遊離アデノウイルスタンパク質を除去するための方法を提供するものであって、該方法は、遊離アデノウイルスタンパク質を含む組み換えアデノウイルス調製物を、陰イオン交換基を含む荷電フィルターにかけるステップから構成される。理論に縛られるものではないが、おそらくやや安定性の低いサブグループB組み換えアデノウイルス粒子(例えばWO 2004/001032参照)は、アデノウイルス粒子に組み込まれていないように見える、従来は検出されなかった遊離アデノウイルスタンパク質を生じる可能性があると考えられる。それゆえ、本発明によるこの特殊な方法は、例えばAd35, Ad11などのサブグループB組み換えアデノウイルスの精製に特に有益である可能性がある。しかし、本方法によって、より安定なAd5やAd2に基いたアデノウイルスの精製を改良することも可能である。本発明は、組み換えアデノウイルス調製物から遊離の(すなわちウイルス粒子に組み込まれていない)アデノウイルスタンパク質を除去するための、陰イオン交換フィルターの用途を提供する。好適には、前記組み換えアデノウイルス調製物は、例えば組み換えAd35のような、組み換えサブグループBアデノウイルスからなる。本発明は、例えばAd35粒子のような、組み換えサブグループBアデノウイルス粒子を精製するための方法をも提供するものであって、該方法は、例えばAd35のような組み換えサブグループB粒子を、陰イオン交換フィルターによる精製ステップにより処理するというステップから構成される。本発明のこれらの方法における用途に適切な陰イオン交換フィルターは、当技術分野では周知であって、例えばPall社(例;Mustang(登録商標)series)およびSartorius社(例;Sartobind series)から市販されている(WO 03/078592、パラグラフ[40]-[41]参照)。
バッファー
本発明によるウイルス精製の過程で、多くのバッファーを使用することが可能である。本発明の複数の実施形態では、UF/DFおよび陰イオン交換クロマトグラフィーで使用するバッファーは、一般には0.4〜1.0M NaClおよび50mM TRIS (pH7.5)を含み、NaCl濃度は生産工程に依存していた。ある好適な実施形態では、洗浄の後に用いるバッファーは界面活性剤、塩化マグネシウムおよびスクロースを含まない。これらの添加物が存在しない点が、これらのバッファーと既存の確立されたプロトコールで使用されるバッファーが異なる点である。それにもかかわらず、本発明による方法を使用すれば、精製された、実質的に凝集していないアデノウイルスが得られる。これらの添加物を含まないバッファーを使用することの利点は、このバッファーは調製するのがより容易で、より安価ですみ、そして添加物が除去されているかどうかを試験する必要がない点である。
本発明による1つの実施形態では、アデノウイルスは群分離の間に、Adenovirus World Standard (Hoganson氏ら, Development of a stable adenoviral vector formulation, Bioprocessing March 2002, p. 43-48)でも使用されているバッファーへとバッファー交換され、最終的には該バッファー中に保存されるが、該バッファーの組成は、20mM Tris (pH8), 25mM NaCl, 2.5% glycerolである。
明らかに、他の多くのバッファーも使用可能であり、精製された(アデノ)ウイルス調製物の貯蔵および製薬管理において適切な調製方法のいくつかの具体例については、例えば欧州特許第0853660号、および国際特許出願WO 99/41416, WO 99/12568, WO 00/29024, WO 01/66137, WO 03/049763に見られる。
特定のインサートを有するベクター
当技術分野では、トランス遺伝子自体は一般に精製プロセスには無関係であると見なされる。しかしながら、本明細書で示されるように、特定の場合には、トランス遺伝子は、発現に際して宿主細胞またはウイルスの中でウイルスの特性に影響を与えたり、ウイルスを精製するプロセスに影響を与えたりする可能性がある。
本発明の発明者らが発見した、そのような1つの限定されない特定のケースは、トランス遺伝子はエボラウイルス核タンパク質であるケースである。エボラウイルス核タンパク質遺伝子を含むアデノウイルスベクターを標準的な精製手法により精製すると、発現されたエボラウイルス核タンパク質をも共精製する結果がもたらされる。複数の他のトランス遺伝子によって発現されたタンパク質の共精製は観察されなかった(例えば、エボラ糖タンパク質dTM(Sudan)、エボラ糖タンパク質dTM(Zaire)、麻疹ヘムアグルチニンタンパク質(MV-H)の共精製は観察されなかった)。このことは、エボラ核タンパク質とアデノウイルスには特別な相互作用があることを示唆しており、これはエボラ核タンパク質の特徴に依存するように思われる。他の核酸結合タンパク質も同様の特徴を有することが予期され、アデノウイルスと相互作用することにより、同様に共精製という結果を生じることが予期される。例えばエボラウイルス核タンパク質などの核タンパク質のような核酸結合タンパク質を含む、そのようなトランス遺伝子を有するアデノウイルスにおいては、1MのNaClよりもずっと高い塩濃度へとバッファーを交換し、最終生成物の質を改良するために例えば2〜5MのNaClバッファーを用いることが有益である(実施例3参照)。バッファー交換はTFFにより適切に施行されうる。
あるいは、バッファー交換するために他の方法を使用することも可能であって、例えば、固体成分または濃縮液を加えることにより、ウイルス懸濁液へ直接に徐々に塩を加えることが可能である。本発明のこのような態様を、本発明の他の態様と有益に組み合わせることも可能であり、例えば溶解の前にヌクレアーゼを加えるという態様と組み合わせることが可能であるが、これに限定されない。このような塩濃度の高いバッファーを用いても、意外にも、凝集の問題は生じないし、精製したウイルス粒子の感染力や完全性に重大な劣化は生じないことが、本明細書に記載されている。本発明のこの態様では、バッファー交換ステップを、ウイルスを陰イオン交換クロマトグラフィーから溶出した後に行うことが好ましく、好適にはさらなる精製ステップの前に行うことが望ましい。このようなさらなる精製ステップは、例えば群分離モードにおける粒径排除ステップである可能性がある。この最後のステップを、ウイルス懸濁液を仕上げる(すなわち、陰イオン交換の後にも依然として存在する微細な不純物を除去する)ために用いることが可能であるだけでなく、群分離カラム上で直接バッファー交換するために用いることも可能である。あるいは、粒径排除のかわりに、さらなる精製ステップを、高濃度の塩を含むウイルス懸濁液を、例えばDurapore PVDFフィルター(例;Millipore社のMillipac)またはSartopore 2 フィルターのような、親水性フィルターにより濾過することから構成することも可能である。フィルターは好適には1.2μmの孔径を有し、より好適には例えば1.0μmのより小さな孔径を有し、さらに好適には、例えば0.8μm、0.45μmあるいは0.22μmといった、より小さな孔径を有する。約100kDの分子量を有する核タンパク質(NP)はアデノウイルスと共にフィルターの孔を通過してしまうことが予想される一方、意外にも、こうした条件の下では、エボラウイルスの核タンパク質(NP)はフィルターにより保持され、組み換えアデノウイルスから分離されることが発見された。これらのフィルターを使用することは、核タンパク質をウイルスから分離するための迅速な解決策となる。なぜなら、これらのフィルターを使用すれば、核タンパク質をウイルスから完全に除去することが可能となる一方で、高濃度の塩の中で長時間インキュベーションする必要性がなくなるためである(図9)。もちろん、他の微細な混入物を除去するために、および/またはバッファー交換するために、このような濾過ステップの後に粒径排除クロマトグラフィー・ステップをさらに使用してもよい。
DNA結合タンパク質を除去するために高濃度の塩を使用することは本発明の態様であって、アデノウイルス以外のほかのウイルスの場合にも同様に有効であることが予想される。おそらく、こうした場合には、陰イオン交換クロマトグラフィーの代わりに、他のカラムクロマトグラフィー・ステップを適用する可能性がある。重要な要素は、高塩濃度のステップを適用する前に汚染物質を十分に除去することであるように思われ、もちろん、陰イオン交換クロマトグラフィー以外の方法によってこの除去を行うことができ、組み換えアデノウイルスの場合でも同様である。
それゆえ、本発明はさらに、核酸結合タンパク質をコードする核酸配列を含むウイルスを生成するための方法を提供するものであって、該方法は、a) ウイルスを感染させた宿主細胞を培養するステップと、b) 前記宿主細胞の培養物およびその内部で生成した前記ウイルスを、宿主細胞を溶解することによって処理し、前記ウイルスを含む溶解物を提供するステップと、c) ウイルスを陰イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップであって、陰イオン交換クロマトグラフィーによる処理後に、少なくとも1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液によって、混合物を含むウイルスをバッファー交換することを特徴とするステップと、から構成される。好適には、親水性フィルターによる濾過からなる少なくとも1つのステップ、および/または粒径排除クロマトグラフィーからなる少なくとも1つのステップを用いることよって、ウイルスをさらに精製する。これらの実施形態では、少なくとも1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液を「高塩濃度」の溶液と呼ぶ。明らかに、当業者には周知のように、沈殿や、ウイルスとの相互作用などの他の望ましくない副次的悪影響を生じることなく十分なイオン強度が供給される限りは、陰イオンおよび陽イオンを両方とも変更することが可能である。なぜなら、おそらく本方法は、DNA結合タンパク質と精製されたウイルスとのイオン相互作用を断ち切ることに依存するためである。例えば、NaClを、例えばKCl, リン酸ナトリウム, CsCl, LiCl, (NH4)2SO4, NH4Cl, NaBr, NaI, KBr, KI, KNO3, NaHCO3, KHSO4などの他の塩と、部分的または完全に置換することが可能である。本発明の実施例で用いた5倍希釈溶液(5MのNaClを含む)は、78〜79 mS/cmの伝導度であった。本発明によると、NaClと同様かより高い伝導度を有する、他の塩を含むバッファーに関して、例えば、部分的に精製されたウイルスからDNA結合タンパク質を除去する適合性があるかを、今では容易に試験することができる。本実施形態はNaClの飽和濃度(約6MのNaCl)に至るまで有効であると予期されるが、実用的な理由から、飽和していないバッファー、例えば5MのNaClを用いることが望ましい。好適には、溶液は少なくとも1.5MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む。より好適には、溶液は少なくとも2MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む。より好適には、溶液は少なくとも3MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む。より好適には、溶液は少なくとも4MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む。さらにより好適には、溶液は少なくとも5MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む。ウイルスを含む高塩濃度溶液を、一定の時間、好適には少なくとも1時間、より好適には少なくとも2時間インキュベートすることになる。一般に、本実施例は、少なくとも最高で一晩中までなら、インキュベーション時間が長ければ長いほど、ウイルスからのDNA結合タンパク質の精製は増すことを示している。さらに、イオン強度が高ければ高いほど、精製は改良するようである。そのため、イオン強度を1Mまたは1.5MのNaClとして、例えば少なくとも2日間や1週間などのように、長時間インキュベーションする場合でも、DNA結合タンパク質はウイルスから精製される可能性があると考えられる。このことは、本明細書に記載した実験によってルーチンに検査することができる。エボラウイルス核タンパク質を発現する組み換えアデノウイルスを、5MのNaClを含むバッファー中で一晩インキュベーションすると、ウイルス由来の汚染核タンパク質は検出限界以下まで除去されるため、これは本発明の好適な実施形態である。好適な実施形態では、ウイルスを組み換えアデノウイルスとする。ある種の実施形態では、前記核酸結合タンパク質をウイルスの核タンパク質とする。そのうちのある実施形態では、核酸結合タンパク質をエボラウイルス核タンパク質とする。好適な実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーの後、そして濾過および/または粒径排除クロマトグラフィー・ステップの前に、バッファー交換ステップを行う。溶解物のヌクレアーゼ処理をも含めることがさらに好適であって、この場合には、本発明の他の態様に従って、溶解が完了する前にヌクレアーゼを細胞培養物へ添加することが好ましい。汚染DNA結合タンパク質からウイルスを精製するために、高濃度の塩の代わりに、または高濃度の塩に加えて、界面活性剤を加えてもよい。1つの実験において、発明者らは、1% Tween 20を加えることによっても、エボラ核タンパク質を発現する組み換えアデノウイルス由来の汚染核タンパク質の量が有意に減少することを示した。もちろん、他の界面活性剤を適切に試験することが可能であり、本発明による組み換えウイルス調製物からDNA結合タンパク質を除去するための最適な条件を見出すために、例えば0.2%〜5%の一連の濃度の間で濃度を変更することができる。この態様では、少なくとも1%の界面活性剤を添加することが好ましい。しかし、発明者らによる第一の実験により、この目的では、高塩濃度でインキュベーションする方が再現性が高いことが示唆され、従ってこちらの方法が好適である。
組み換えアデノウイルスのバッチ
1つの態様では、本発明は組み換えアデノウイルスのバッチを提供するが、該ウイルスバッチは、エボラウイルス核タンパク質、エボラウイルス糖タンパク質、熱帯マラリア原虫スポロゾイト周囲遺伝子、麻疹ウイルスヘムアグルチニン、からなるグループから選択したトランス遺伝子を含み、前記バッチは1E11ウイルス粒子あたり0.1ng未満の宿主細胞DNAしか含まないことを特徴とする。もちろん、本発明の本態様の範囲から逸脱しない範囲で、これらのトランス遺伝子は、自然界でみられる野生型(全ての分離株および亜型を含む)の配列と比較して、欠失、付加、および/または変異を任意に含んでいても良い。明らかに、汚染宿主細胞DNAを非常に少ない量しか含まないバッチを利用できることは、規制の目的で既に必要とされているわけではないとしても、被験者に投与する目的には有益である。好適な態様では、バッチは1011ウイルス粒子あたり、0.08ng未満、より好適には0.06ng未満、さらに好適には0.04ng未満の宿主細胞DNAしか含まないことを特徴とする。
本発明による特定の実施形態を用いて本発明をさらに例示するために以下の実施例を記載するが、多少なりとも本発明の範囲を制限するとは解釈されない。
実施例1 ヌクレアーゼを、宿主細胞溶解物へではなくて、細胞培養物へと添加することによって、ウイルスを精製するプロセスは改善される
本実施例では、細胞を溶解する前にヌクレアーゼを細胞培養物へ添加することによって、最終的に精製されたバルク中の残留宿主細胞DNA量が減少することを示す。
実験1および2では、10リットルのPERC.6(商標登録)細胞の培養物にアデノウイルスベクターを感染させた後2.5日の時点で、1% Triton X-100(商標登録)(Sigma)を用いて溶解した。溶解させた30分後に、ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録) (Merck KgaA, 50 units/ml) およびMgCl2 (2mM)を添加した。さらに30分後に、Triton X-100(商標登録)/ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)(T/B)処理による回収物を、濾過により洗浄した。それゆえ、これは、当技術分野では既存のプロセスによる実験であった。
実験3〜8では、10リットルのPERC.6細胞培養物へベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)(50U/ml)およびMgCl2 (2mM)を添加し(感染後2.5日)、10分間インキュベーションした後に、1% Triton X-100(商標登録)を用いて細胞を溶解した。さらに50分インキュベーションした後、ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)/Triton X-100(商標登録)(B/T)処理による回収物を、濾過により洗浄した。
ゆえに、当技術分野で既に知られているプロセスとの違いは、ヌクレアーゼ(ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録))および界面活性剤(Triton X-100(商標登録))を添加した順序である:すなわち、従来は、最初に細胞を溶解し、次にヌクレアーゼを加えていたが(本明細書ではT/B回収物とよぶ)、本発明によるプロセスでは、最初にヌクレアーゼを加え、次に細胞を溶解する(本明細書ではB/T回収物とよぶ)。これを、図1に模式的に示す。
その後、サンプルをさらに精製した。深層濾過により洗浄し(0.5μmのClarigard フィルター、Millipore社)、その後0.8/0.45μmのSartopore 2 フィルター(Sartorius社)によってさらに洗浄した。洗浄した物質を0.05μmの中空糸(Sartorius社)によって5倍に濃縮した後、1.0M NaCl/50mM Tris (pH7.5)、および0.4M NaCl/50 mM Tris (pH7.5)を6対4で含む溶液によってダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーションした保持液を、Sepharose Q-XL (Amersham社)カラムに流入し、ウイルス分画を0.55M NaCl/50mM TRIS (pH7.5)にて溶出した。この分画をSepharose 4 FF (Amersham社)カラムによりさらに精製してバッファー交換した。生成した精製バルクを、中空糸(孔径0.05μm, Spectrum社)を用いて所望の濃度に濃縮し、0.22μmで濾過して、等分した。残留宿主細胞DNAを調べるために、精製したバルクサンプルをQ-PCRにて分析した。
T/B処理の結果、DNA量が減少してしまい、さらなる下流のプロセスを行って初めて、充填されて完成した物質中の要求仕様を満たすことができた。残留宿主細胞DNAが生存してしまうのを規制する基準は、用量あたりウイルス製剤10ng未満(1011ウイルス粒子を含む量と推定される)である。
表1に示すように、Triton X-100(商標登録)およびベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)のステップを逆にすると、精製されたバルク中の残留宿主細胞DNAの量は有意に減少した:すなわち、能動的に細胞を溶解する前にヌクレアーゼを添加することによって、残留宿主細胞DNAの量を、10倍から40倍も減少させることが可能であって、1011ウイルス粒子あたり0.1ng未満にまで減少させることができた。
さらに、SDS-PAGEによる分析(図2)によれば、B/T回収物を深層濾過および膜濾過により洗浄すると、多くの種類の宿主細胞タンパク質、とりわけ有意な量のヒストンタンパク質(ゲル上で約10〜20kDの分子量であり、質量分析法によって正体を同定する)が洗浄中に除去されたが、洗浄したT/B回収物中にはこれらのタンパク質は依然として存在することが明らかである。
それゆえ、本発明によるプロセスは、先行技術により周知のプロセスと比べて、大きな利点をもたらす。理論に縛られるわけではないが、一方では実験1および2(T/B)、もう一方では実験3〜8(B/T)の違いとして考えられる解釈として以下が挙げられる:
1. ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)を添加すると、ウイルスを生成したために溶解した細胞から放出されたDNAを、早くも消化することが可能である。Tritonによって溶解した細胞からDNAが放出されるや否や、DNAを消化するべくベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)が存在しているので、大きなDNA凝集物の形成が妨げられる。おそらく、非凝集DNAを消化することの方が、大きなDNA凝集物を消化するよりも効率的であろう。
2. ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)存在下の全インキュベーション時間は30分増加するので、より効率的な消化が可能になる(ベンゾナーゼ(Benzonase:商標登録)の小冊子;Merck KGaA, コード W214950を参照されたい)。
3. おそらく、DNAが放出されるやいなや消化されると、より大きなヒストン複合体が形成され、洗浄フィルターによってこれらの大きな粒子が保持される。洗浄している間にヒストン―DNA複合体が保持されると、残留宿主細胞DNAが減少する一因となる可能性がある。
QAE 550CおよびSuper Q 650M (Tosoh社より購入)、 Q Sepharose HP, ANX Sepharose 4FF, DEAE Sepharose, Q Sepharose XL, Q Sepharose Big Beadおよび Q Sepharose FF (Amersham社より購入)などの、複数の陰イオン交換樹脂を試験した。これらの樹脂は全て組み換えアデノウイルスの精製に適していたが、宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAからのウイルスの分離、および流量特性に基いた我々の目的には、Q Sepharose XLが最適であることが分かった。
Sephacryl S300, Sephacryl S500, Sepharose 4FF, およびSepharose 6 FF (全てAmersham社より購入)などの、複数の粒径排除樹脂を試験した。これらの樹脂は全て組み換えアデノウイルスの精製に適していたが、宿主細胞のタンパク質およびDNAからウイルスを分離する能力に基いた我々の目的には、Sepharose 4 FFが最適であることが分かった。
これらと他の結果(下記参照)に基づいて、本発明による好適なプロセスを図4に図式的に示した。
実施例2 高塩濃度のバッファーによるバッファー交換によって、ウイルス処理は改良される
PER.C6細胞を10リットルのバイオリアクター中で培養し、Ad5.Adapt.MV-H(麻疹ウイルスヘムアグルチニンをトランス遺伝子として有する;WO 2004/037294に記載されている)を感染させた。感染後2.5日の時点で、1% TritonX-100(商標登録)を用いて細胞を溶解し、30分後にベンゾナーゼ(Benzonase :商標登録)(50 units/ml) およびMgCl2 を添加し、さらに30分間培養した。回収物を0.5μmのClarigardフィルターによって洗浄し、その後Millistak DE 30/60 フィルター(Millipore社)によって洗浄した。洗浄した回収物を、等量の0.6M NaCl /50mM HEPES (pH7.5)溶液にて希釈し、NaClの最終濃度を0.3Mとした。希釈した洗浄した回収物を、500kDの平面カセット(Biomax500, Pellicon 2 モジュール Millipore社)を用いて4倍に濃縮し、その後、2ダイアフィルトレーション容積(DFV)の0.3M NaCl/50mM HEPES(pH7.5)、2DFVの0.6M NaCl/50mM HEPES(pH7.5)、2DFVの1.0M NaCl/50mM HEPES (pH7.5)、および3DFVの0.3M NaCl/50mM HEPES (pH7.5)によってダイアフィルトレーションした。生成した透過液の伝導度を測定し、サンプルをSDS-PAGEによって分析した(図3)。データは、透過液の塩濃度(故に保持液の塩濃度)が0.55〜0.85M NaClの範囲にあるかそれ以上のとき、ヒストン(ゲル上で約10〜20kDの分子量であり、質量分析法により同定する)は膜の細孔を通過してしまうことを示している。
考えられる解釈は、これらの塩の条件下では静電的相互作用が分解され、複合体からヒストンが放出されて、500kDの孔を通過することが可能になる、というものである。この実験から、UF/DFステップにおいて高塩濃度のバッファーを導入すると、宿主細胞タンパク質、特にヒストンタンパク質をより効果的に除去できる結果になるという結論に達した。
本実施例では、細胞を最初に溶解し、その後にヌクレアーゼ処理を行う(T/B)のだが、高塩濃度のバッファー(0.55M NaCl以上、例えば1M NaCl)に対するダイアフィルトレーションは、細胞を溶解する前にヌクレアーゼを添加する(B/T処理、実施例1参照)という本発明によるプロセスにおいても、B/T処理では既にヒストンによるコンタミネーションは少ないものの(図2参照)、有益であることが予想される。
ゆえに、本発明によるプロセスの好適な実施形態では、洗浄した溶解物を、0.8〜2.0MのNaClを含む溶液、好適には約1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液に対して交換する(実施例1および図4参照)。
実施例3 組み換えウイルス調製物からの汚染核タンパク質の除去
エボラ核タンパク質をトランス遺伝子として有する組み換えアデノウイルスの生成については、実施例5に記載する。本実施例では、そのようなウイルスの精製について記載する。
実験3.1
Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NPを、記載したプロトコールによって精製した(実施例1および図4参照)。この方法を行った結果、発現したエボラ核タンパク質(NP)トランス遺伝子がウイルスと共精製された。充填され完成した生成物を、5MのNaCl(最終濃度2.5M)または2%のTween 20(最終濃度1%)のうちいずれか一方を含むバッファーを用いて1対2に希釈し、Sepharose 4 FF カラムに流入する前に、室温で1時間インキュベーションした。ボイド分画(void fraction)および遅延分画(retarded fraction)をSDS-PAGEによって分析した。結果(図5)は、ボイド分画は、インタクトなNPを汚染することなく、アデノウイルス5型を含むことを示している。ここまでのところ、高い塩濃度を用いた結果には再現性があるように見えたが、界面活性剤を用いた結果には再現性がなかったため、高い塩濃度を用いることが好適である。しかし、使用する界面活性剤やその濃度を変化させることによって、界面活性剤の最適な条件を試験することができる。
結論:Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NPベクターは、2.5MのNaClまたは1% Tweenを含むバッファー中で、好適には2.5MのNaClを含むバッファー中でインキュベーションして、その後に4 FF sepharose上で分離することによって、エボラ核タンパク質から精製することが可能である。
実験3.2
Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NPを、記載したプロトコールによって精製した(実施例1および図4参照)。充填され完成した生成物を、10kDの膜を用いて、1, 2, 3または5MのNaClを含む、50mMのTRISバッファー(pH7.5)に対して透析した。Ad5.Ebo.NPを、Sepharose 4 FFカラムに流入する前に、これらのバッファー中で2時間または一晩培養した。ボイド分画および遅延分画をSDS-PAGEによって分析した。結果は、ボイド分画はアデノウイルス5型を含み、NPの量は有意に少ないことを示している。表2に示すように、NPの除去量は塩濃度およびインキュベーション時間と相関する。
結論:Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NPベクターは、2〜5Mのいずれかの濃度のNaClを含むバッファー中でインキュベーションして、その後に4 FF sepharose上で分離することによって、エボラ核タンパク質から精製することが可能である。4 FFカラムで分離する前のインキュベーション時間が長いほど、そして塩濃度が高いほど、Ad5.Ebo.NPベクターの純度は高くなる(より多くの核タンパク質が除去される)。
1Mおよび1.5Mの濃度のNaClについても、これらの塩濃度の場合にはインキュベーション時間を長くすれば十分に精製できるかどうかを見いだすために、同様の方法によるより長いインキュベーション時間(例えば、2日および1週間)を用いることにより試験した。
実験3.3
本実験を図6に図式的に示した。PER.C6細胞を10リットルのバイオリアクター中で培養し、Ad5.dE3x.Adapt.Ebo.NP.を感染させた2.5日後に、ベンゾナーゼ(Benzonase :商標登録)(50 units/ml) およびMgCl2 を細胞培養液に添加し、10分後に細胞を1% Triton(商標登録)X-100で溶解し、さらに50分間培養した。回収物を0.5μmのClarigardフィルターにより洗浄し、その後Sartopore 2 フィルター(0.8/0.45μm,Sartorius社)によって洗浄した。
洗浄した回収物を2つの部分に分割した。1つの部分を、0.5μmの中空糸(Spectrum社)を用いて、5M NaCl/50mM Tris(pH7.5)を含むバッファーによって、5倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。この結果、膜間圧力差(trans membrane pressure; 以下TMP)が増加し、透過液の流動は減少したが、保持液の外観は白色および透明性の低い色調へと変化し、タンパク質が沈殿したことを示した。
洗浄した回収物の第2の部分を、0.5μmの中空糸(Spectrum社)を用いて、6DFVの1.0M NaCl/50mM TRIS (pH7.5)、およびその後 4DFVの0.4M NaCl/50mM TRIS (pH7.5)を用いて、5倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。最終的な保持液をSepharose Q-XLカラム(Amersham社)を通して精製した。
Q-XL溶出液も2つの部分に分割した。1つの部分をさらに精製し、粒径排除カラム(Sepharose 4 FF)に通すことによって、群分離モード(カラム体積の20%を流入)によって25mM NaCl / 20mM TRIS / 2.5% グリセロール(製剤バッファー)へとバッファー交換した;これが、図6の生成物Aである。もう一方の部分を、0.05μmの中空糸(Spectrum社)を用いて、6DFVの5M NaCl/50mM TRIS (pH7.5))によって、ダイアフィルトレーションした:これを、この先、高塩濃度ウイルス分画と呼ぶ。
中空糸の孔径(0.05μm, 約 800kD)は100kDの核タンパク質を通過させるには十分に大きいにもかかわらず、透過液中に核タンパク質は検出できず、保持液中で核タンパク質量の減少は見られなかった。おそらく、1つ以上のTFFパラメーターを調整すると(例えば剪断力を増加させると)、核タンパク質の精製が改善する可能性がある。我々は、この目的を達成するために、さらに粒径排除(群分離)を用いた。
高塩濃度ウイルス分画を再び2つの部分に分割した。1つの部分は、すぐに精製して、粒径排除(群分離)カラムに通すことによって製剤バッファーへとバッファー交換し(図6の生成物B)、一方で、第2の分画を室温で一晩保存したのちに、さらに精製して、粒径排除(群分離)カラムに通すことによって製剤(formulation)バッファーへとバッファー交換した(図6の生成物C)。
3つの精製したバルクのロットを、純度、感染性、収量、およびトランス遺伝子の発現を決定するために分析した。
SDS-PAGEおよびWestern分析を図7に示すが、インタクト核タンパク質、およびNP分解産物(NP分解産物であることは質量分析法によって確認した)は、生成物A, B, Cのそれぞれから、さらに除去されることを示している。
逆相分析(RP-HPLC) (図8)は、 インタクト核タンパク質、およびNP分解産物(39分の時点で溶出する)は、高塩濃度のダイアフィルトレーションステップを導入することによって、約50%(生成物A)から、5%未満(生成物B)へと減少し、室温で5MのNaCl中で一晩保存すると、検出限界である1%未満にまでも減少した(生成物C)。両分析法を用いることによって、ウイルスタンパク質への影響は観察されなかった。
トランス遺伝子の発現は証明され、感染性は影響されず、凝集は生じなかった(生成物A, B, Cの3つ全てについて)。おそらく、組み換えウイルスを高塩濃度で、一晩もインキュベーションしても、ウイルスの質に有意な減少は生じなかった。
高塩濃度での長時間のインキュベーションおよびその後の粒径排除の代わりに、またはこれらのステップに加えて、5MのNaClを用いてバッファー交換したウイルス懸濁液を、0.45μmの親水性フィルター(Millipac 20)を用いて直接濾過した。意外なことに、NPはウイルスから完全に除去される結果となった(図9)。可能な孔径の範囲を決定するために、異なる孔径を有するフィルター(例:1.2, 1.0, 0.8, 0.22μm)を用いてこの実験を繰り返した。0.8μmおよび0.45μmの孔径のSartopore-2フィルターの組合せも試験した。この濾過ステップを、その後の粒径排除クロマトグラフィー・ステップと適切に組み合わせることが可能で、高塩濃度の溶液中でのウイルスのインキュベーション時間は短くてすみ、処理時間を倹約することが可能となる。
結論:
1. 洗浄した回収物を5MのNaClへとダイアフィルトレーションすることは、おそらく宿主細胞タンパク質の沈殿が生じるせいで、実行不可能である。
2. よく精製したAd5dE3x.Adapt.Ebo.NPを5MのNaCl中でインキュベーションし、その後にSepharose 4 FF上で分離するか、または親水性フィルターを通して濾過することによって、エボラ核タンパク質からAd5dE3x.Adapt.Ebo.NPが精製される結果となる。
3. 2時間から一晩の間でインキュベーションステップを延長することによって、残留核タンパク質は、5%未満から1%未満へとさらに減少する結果となる。親水性フィルターを通して濾過することによって、同じ結果を得るために必要とされるインキュベーション時間が減少する可能性がある。
それゆえ、例えばエボラウイルス核タンパク質などの核タンパク質のような核酸結合タンパク質を、このようなタンパク質を発現する組み換えウイルスから除去することは、このようなウイルスのバッチを精製する目的で、少なくとも2MのNaCl、好適には少なくとも3MのNaCl、より好適には5MのNaClの中でインキュベーションすることによって実行可能である。
実施例4 洗浄のための異なるフィルターの試験
PER.C6細胞を10リットルのバイオリアクター中で培養し、別個の実験において異なる組み換えアデノウイルスを感染させた。感染させた2.5日後に、1% TritonX-100(商標登録)を用いて細胞を溶解し、30分後に、ベンゾナーゼ(Benzonase :商標登録)(50 units/ml) およびMgCl2を添加して、さらに30分間培養した。回収物を洗浄実験のために用いた。
ClarigardおよびPolygardなどの深層フィルターは高い回収率(90%以上)を有し、細胞残屑をきれいに除去する(顕微鏡による分析による)ため、最初の洗浄フィルターとして適切であることが分かった。しかし、濾液は依然として乳白色に見えた。
Millistak DE 30/60およびCE50は、ウイルスを喪失してしまう(20〜45%)ため、 T/B回収物を濾過するにはあまり適切ではないことが分かった。その後の分画では、収率は増加したが乳白色の保持率は減少し、フィルターの容量が限界に達したことを示した。
Clarigard濾過によって生成した濾液をさらに洗浄するために、例えば、Milligard 0.5μm, 1.2μm, および1.2/0.22μm、Durapore 0.22μmおよび0.65μm、Lifegard 1.0μmおよび2.0μm(全てMillipore社)およびSartopore-2 0.8/0.45μm(Sartorius社)などの、複数の膜フィルターを試験した。Sartopore 2フィルターは、試験したフィルターの中で、乳白色を良く保持し、高い容量を有する(> 20 ml/cm2)と共に、ウイルスの収率が高い(> 95%)、唯一のフィルターであった。
洗浄した回収物を平面または中空糸モジュールを用いて濃縮し、ダイアフィルトレーションした。クロマトグラフィーを行うのに適切な最終的な保持液を作ることを目的として、最終的な保持液を濾過するために、例えば、Millipack 20, Lifegard 1.0μm, Polygard 0.6μm, Intercept Q, Milligard 1.2/0.5μmなどの、好適には0.45μmの孔径を有する複数のフィルターを試験した。ここでも、Sartopore 2フィルターは、試験したフィルターの中で、乳白色を良く保持し、高い容量を有すると共に、ウイルスの収率が高い(> 95%)、唯一のフィルターであった。
これらの実験はT/B回収物を用いて行ったが、後に、本発明によるB/T回収物でも上記の結果となることが実験によって確認された。ゆえに、Sartopore 2フィルターは、本発明による方法では非常によい結果を与える。
それゆえ、本発明による方法における洗浄においては、好適には0.8μmおよび0.45μmのフィルターの組み合わせて用い、好適にはSartopore 2フィルターを用いる。
実施例5 異なる組み換えアデノウイルスの生成および精製
本発明による方法により、様々な組み換えアデノウイルスを精製した。このようなウイルスを生成することは、例えばEP 0955373, WO 03/104467およびWO 2004/001032に記載されている、当技術分野では周知の方法によって、例えば、パッケージング細胞内でゲノムの左端部分(時々「アダプタープラスミド」と呼ばれ、トランス遺伝子を簡単にクローニングするのに有用である)および右端部分を相同組み換えすることによって可能である。ウイルスは、例えば、293細胞、PER.C6(登録商標)細胞(ECACCにNo.96022940の名前で登録されている細胞が例として挙げられる;米国特許第5,994,128号参照)またはAd35からE1B 55Kタンパク質を発現するPER.E1B55K細胞(米国特許第6,492,169号参照)のような、当技術分野では周知のパッケージング細胞内で増殖することが可能である。本発明の方法によって精製されたか精製される、複数の組み換えアデノウイルスのコンストラクションを本実施例に記載する。
エボラウイルス・トランス遺伝子を有するアデノウイルス
pAdapt. Ebola NPの生成
エボラウイルスザイール株の核タンパク質をコードする遺伝子を、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅したが、ここで、pAdApt(登録商標)ベクター内でダイレクショナル・クローニング(directional cloning)を行うため(EP 0955373参照)、制限酵素認識部位および最適な翻訳開始に必要なコンセンサス配列を導入するために(Kozak M, 1987, At least six nucleotides preceding the AUG initiator codon enhance translation in mammalian cells. J Mol Biol. 20: 947-950)、プライマーとして、forward配列;6401 5' GCA CCG GTG CCG CCA TGG ATT CTC GTC CTC A 3' (配列番号1)および reverse配列;6401 5'GCG CTA GCT CAC TGA TGA TGT TGC AG 3' (配列番号2)を用いた。PCR反応は、プライマー各々10μM,VRC6401(WO 03/028632参照)のminiprep DNA 0.75μl,Pwo DNA polymerase 1.5単位,10×PCRバッファー5μl,および20mM dNTP 0.5μl を用いて、Biometra社のT1またはT3サーマルサイクラーを用いて行った。PCRの条件は、94℃ 5分,50℃ 1分,72℃ 4分を1サイクル、94℃ 1分,50℃ 1分,72℃ 4分を5サイクル、94℃ 1分,62℃ 1分,72℃ 4分を20サイクル、94℃ 1分,62℃ 1分,72℃ 10分を1サイクルとした。次に、正しい大きさのPCR産物をPinA I (Age Iのイソ制限酵素)を用いて切断し、PinA IおよびHpa Iを用いて切断したpAdApt(登録商標)ベクターにライゲーションした。断片を室温にて2時間ライゲーションした後、ヒートショック形質転換法により、50%の混合物を大腸菌DH5α T1R細胞へ形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを追加したLBアガープレート上へ平板培養した。20個のコロニーを選び、アンピシリンを付加したLB培地で、37℃で一晩培養した。Qiagen社のminiprep Spin kitを用いて、メーカーの記載の通りに、Miniprep DNAを抽出した。Hind IIIおよびXba Iを用いた制限酵素分析によって正しいクローンを選択した後、さらにDNAシークエンス分析によって確認した。
pAdapt.Ebola GP (Z)の生成
エボラウイルスザイール株の糖タンパク質全長をコードする遺伝子を、プライマーとして、forward配列;6001(5' CCC AAG CTT GCC GCC ATG GGC GTT ACA GG 3') (配列番号3)および reverse配列;6001(5' GGC TCT AGA TTA CTA AAA GAC AAA TTT GC 3') (配列番号4)を用いて、PCR法によって増幅した。PCR反応は、プライマー各々10μM,VRC6001(WO 03/028632参照)のDNA100ngおよび25ng,Pwo DNA polymerase 1.5単位,10×PCRバッファー5μl,および20mM dNTP 0.5μlを用いて、Biometra社のT1またはT3サーマルサイクラーを用いて行った。PCRの条件は、94℃ 5分,55℃ 1分,72℃ 4分を1サイクル、94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 4分を5サイクル、94℃ 1分,64℃ 1分,72℃ 4分を20サイクル、94℃ 1分、64℃ 1分、72℃ 10分を1サイクルとした。次に、正しい大きさのPCR産物をHind IIIおよびXba Iを用いて切断し、同様に切断したpAdApt(登録商標)ベクターにライゲーションした。断片を室温にて2時間ライゲーションした後、ヒートショック形質転換法により、50%の混合物を大腸菌DH5α T1R細胞へ形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを追加したLBアガープレート上へ平板培養した。コロニーを選択し、アンピシリンを付加したLB培地で、37℃で一晩培養した。Qiagen社のminiprep Spin kitを用いて、メーカーが記載の通りに、Miniprep DNAを抽出した。Hind IIIおよびXba Iによる制限酵素分析によって正しいクローンを選択した後、さらにDNAシークエンス分析によって確認した。
pAdapt.Ebola GPdTM (Z) およびpAdapt.Ebola GPdTM (S) の生成
上述の方法と同様にして、C末端の29個のアミノ酸の長さの膜貫通領域を欠失した、エボラウイルスのザイール株およびスーダン/グール株の糖タンパク質の1つをコードするコドン最適化配列(それぞれ、GPdTM (Z)およびGPdTM (S)、WO 03/028632をも参照されたい)をpAdaptベクターへクローニングした。
エボラウイルス・トランス遺伝子を有する組み換えアデノウイルスの生成
例えば、EP 0955373に記載されている周知の方法により、異なるインサートを有するpAdaptプラスミド(pAdapt.Ebola NP, pAdapt.Ebola GP (Z), pAdapt.Ebola GPdTM (S), pAdapt.Ebola GPdTM (Z))を、アデノウイルス5型ゲノムの残余部分から構成されるプラスミド(pWE/Ad.AflII-rITRsp(EP 0955373参照)のE3領域(XbaI領域)から1878塩基が欠失した、pWE/Ad.AflII-rITRsp△E3プラスミドをアデノウイルスゲノムの右端に使用したもの)との相同組み換えにより、組み換えアデノウイルスを作製するために使用したところ、結果として、それぞれ、Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NP, Ad5dE3x.Adapt.Ebo.GP (Z), Ad5dE3x.Adapt.Ebo.GPdTM (S) および Ad5dE3x.Adapt.Ebo.GPdTM (Z)という名前のウイルスが生じた。もちろん、トランス遺伝子を、Ad35のような、異なる血清型のアデノウイルスベクターに同様にクローニングして、これらの血清型に由来する組み換えアデノウイルスを生成することも可能である(例えば、WO 00/70071参照)。
マラリア原虫トランス遺伝子を有するアデノウイルス
pAdapt.CS.pFalcおよびpAdapt535.CS.Pfalcの生成
コドン最適化した、熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト周囲(CS)遺伝子を合成し、pCR-script(Stratagene社)へとクローニングすることによって、WO 2004/055187に記載のような、クローン02-659を提供する。CS遺伝子を、pAdaptおよびpAdapt535(WO2004/001032参照)へとクローニングして、それぞれ組み換えAd5および組み換えAd35ベクターを生成した。クローン02-659および両pAdaptベクターをHind IIIおよびBam HIによって切断し、ライゲーションにより結合した。断片を室温にて2時間ライゲーションした後、ヒートショック形質転換法により、50%の混合物を大腸菌DH5α T1R細胞へ形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを追加したLBアガープレート上へ平板培養した。
コロニーを選択し、アンピシリンを付加したLB培地で、37℃で一晩培養した。Qiagen社のminiprep Spin kitを用いて、Miniprep DNAを抽出した。Hind IIIおよびXba Iを用いた制限酵素分析によって正しいクローンを選択した後、さらにDNAシークエンス分析によって確認した。
熱帯熱マラリア原虫のCS遺伝子を有する、組み換え5型アデノウイルスを以下のように生成した(例えば、EP 0955373を参照されたい;WO 2004/055187にも記載がある)。Adゲノムの左端部分を解放するために、Pac I制限酵素によってpAdapt.CS.Pfalcを切断した。Ad5ゲノムの右端部分を含むpWE/Ad.AflII-rITRsp△E3プラスミドは、E3領域から1878塩基が欠失しているが(XbaI欠失)、同じくPacI制限酵素によって切断した。切断したコンストラクトを、例えばECACCにNo.96022940の名前で登録されている、PER.C6細胞へと共トランスフェクションした。重複する配列の相同組み換えが起こるのと同時に、Ad5△E3.CS.Pfalcという名前の組み換えウイルスが形成された。
熱帯熱マラリア原虫のCS遺伝子を有する、組み換え35型アデノウイルスを同様に生成したが、ここでは、Pac I制限酵素によって切断したpAdapt535.CS.Pfalcをウイルスゲノムの左端に使用し、Not I制限酵素によって切断したpWE.Ad35.pIX-rITR△E3(WO 2004/001032参照)をウイルスゲノムの右端に使用して、両者をPER-E1B55K生成細胞(Ad35由来のE1B-55K配列を有し、米国特許6,492,169号に記載された細胞である)へとトランスフェクションした。重複する配列の相同組み換えが起こるのと同時に、Ad35△E3.CS.Pfalcという名前の組み換えウイルスが作られた。もちろん、Ad35ウイルスのバックボーンであるE4-orf6タンパク質を、Ad5ウイルスのE4-orf6へと変化させることも可能であって、これによって、例えばPER.C6細胞や293細胞(WO 03/104467参照)などの、Ad5のE1Bタンパク質を発現するパッケージング細胞上で、そのようなウイルスが増殖することが可能となる。Ad5△E3.CS.PfalcおよびAd35△E3.CS.Pfalcを、本発明の方法によって精製する。
さらに、Ad35のバックボーンを有するpAdapt535.CS.Pfalcに基いた、CS遺伝子を有するAd35ベクターを作製した。このベクターはE3領域に欠失を有し、さらにAd5のE4-orf6を含有しており、本ベクターをさらにAd35.CS.と呼ぶことにする。
Ad5dE3x.Adapt.Ebo.GPdTM(Z) 、Ad5dE3x.Adapt.Ebo.GPdTM (S)、 Ad5dE3x.Adapt.Ebo.NP、 およびAd5dE3x.Adapt.Emptyからなる複数のアデノウイルスベクターを、記載したプロセス(実施例1および図4)によって、2〜20リットルのスケールで精製した。充填され完成した(filled and finished (F&F))生成物を、逆相分析およびSDS-PAGEによって純度を分析し、(トランス遺伝子としてエボラ核タンパク質を有するベクターの調整物中にエボラ核タンパク質が存在することを除けば)ほぼ均一に精製されたことを発見した。残留した宿主細胞DNAをQ-PCRによって測定したところ、1E11ウイルス粒子あたり100pg DNA未満であった(表1に示す)。
320nmおよび260nmの吸光度測定法、および更にディスク遠心分離法によって凝集を測定した。どのバッチでも、凝集は認められなかった。全てのバッチで、ウイルス粒子/感染単位(VP/IU)比10未満という力価が示され、A549細胞でトランス遺伝子の発現が認められた。
最終収率はスケールに依存して20〜50%の範囲となり、2Lでは24〜26%(n=2), 10 Lでは30〜37% (n=3)、20Lでは46%(n=1)であった。
実施例6 陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた場合対荷電フィルターを用いた場合のAd35の精製
PER.C6細胞を、約100万細胞/mlの細胞濃度となるまで、撹拌槽の中で培養した。この細胞にMOI40のAd35.CSベクターを感染させた。ウイルスが生成された4日後に、感染させた細胞培養液を、実施例1に記載のように、ベンゾナーゼ(Benzonase)およびTriton X-100(B/T法)によって処理した。実施例1に記載の通りに、B/T回収物を洗浄した。洗浄した回収物をTFFによって5倍に濃縮して(0.05μmの中空糸を使用する)、その後10ダイアフィルトレーション容積の0.1M NaCl, 0.05% PS80 および 50mM Tris pH7.5によってダイアフィルトレーションした。濃縮し、ダイアフィルトレーションした保持液を0.45μmのフィルター上で濾過して、捕獲用のカラムまたはフィルター上へ流入した。捕獲ステップとして、Q-XLカラム(3mlカラム,ベッド高15cm)またはSartobind 75 filter(陰イオン基を含む荷電フィルター;Sartorius社)を試験した。結合成分を、TRISを基本とするバッファー中に0〜1Mの勾配でNaClを含む溶液によって溶出した。荷電フィルターの溶出プロファイルは、勾配の初めに付加的なピークを示すが、このピークはAd35のピークとは区別される。Ad35ウイルスのピークは、荷電フィルターの場合には、塩濃度が高いほどより急なピークとして溶出し、ピークは0.44M NaCl(溶出開始−0.41M, 終了−0.49M NaCl)であったが、Q-XL樹脂の場合は0.39M NaCl(溶出開始−0.19M, 終了−0.53M NaCl)であった。溶出された分画を、SDS-PAGE、HPLC-AEX、ディスク遠心分離法およびTCID50によって分析した。
HPLC-AEXクロマトグラフィーおよびディスク遠心分離法によって分析した際には、付加的なピークは、インタクトAd35ウイルス粒子のような振る舞いはしなかった(図11)。クロマトグラフィー分画をSDS-PAGEにより分析すると、以下の結果となった(図12)。すなわち、両実験で、カラムに吸着しなかった流出物質中に、目に見えるタンパク質は存在しないかごく僅かであった。荷電フィルタークロマトグラム由来の付加的なピークには、全てではないが若干のAd35タンパク質が認められた。付加的なピークには、ウイルス粒子IIIa, V, VI およびVIIは存在しないように見えるが、ウイルス粒子II, III, IVおよび52.55k は存在する。
これらの分析データから、荷電フィルターはウイルスタンパク質をインタクトウイルス粒子から分離することができるが、Q-XL セファロースは分離できないと結論できる。もしも分離が生じないならば、これらのタンパク質は、RP-HPLCまたはSDS-PAGEのような、純度を評価するためのアッセイによってはおそらく検出されないだろう。なぜなら、付加的なピークに存在する全てのタンパク質は、インタクトウイルス粒子中にも存在するためである。
細胞を回収するための既存の方法(T/B)および本発明による方法(B/T)を対比して示す模式図であり、実施例1を参照されたい。TはTriton、Bはベンゾナーゼ(Benzonase)、p. i.は感染後を表す。 T/BまたはB/Tによる処理後の、洗浄による宿主細胞タンパク質の除去を対比して示す(図1の模式図を参照されたい)。処理中の5つの異なる精製サンプルを、SDS-PAGE(4-12% bis-tris NuPAGE, Invitrogen)の銀染色により分析した結果を示す(サンプルについては実施例1および表1を参照されたい)。パネル2はT/B処理による回収物に由来するが、本処理では溶解の後にヌクレアーゼを添加した。パネル3〜7はB/T処理による回収物に由来するが、本処理では溶解の前にヌクレアーゼを添加した。回収物(レーン1)を、0.5μmの精製フィルターによって洗浄し(レーン2)、その後0.8/0.45μmのSartopore 2 フィルターによって洗浄した(レーン3)。Mはマーカーであり、kD単位の分子量を横に記した。 高塩濃度でのダイアフィルトレーションにより、処理中にヒストンは除去される(実施例2を参照されたい)。SDS-PAGEの銀染色を示す。 A. 透過液 サンプル: 1: 初めの透過液、2: 4倍に濃縮後、3: 第1のDFV, 0.3M NaCl、4: 第3のDFV, 0.6M NaCl、5 :第4のDFV, 0.6M NaCl、6: 第5のDFV, 1.0M NaCl、7: 第6のDFV, 1.0M NaCl、8: 第7のDFV, 0.3M NaCl、9: 第9のDFV, 0.3M NaCl。Mはマーカーであり、kD単位の分子量を横に記した。 B. 保持液 サンプル: 1: 初めのサンプル、2: 4倍に濃縮後、3: 第1のDFV, 0.3M NaCl、4: 第2のDFV, 0.6M NaCl、5 :第6のDFV, 0.6M NaCl、6: 第7のDFV, 1.0M NaCl、7: 第8のDFV, 1.0M NaCl、8: 第9のDFV, 0.3M NaCl、9: 第9のDFVをmillex処理(サンプル8を0.22μmフィルターにより濾過)。Mはマーカーであり、kD単位の分子量を横に記した。 本発明による好適なプロセスの模式図である(実施例1参照)。 組み換えウイルス調製物からのエボラ核タンパク質(NP)の除去について示す(詳細については、実施例3および実験3.1を参照されたい)。SDS-PAGE(4-12% bis-tris NuPAGE, Invitrogen)の銀染色を示す。A: 出発物質、B: 1% Tween 20と共にインキュベーション、C: 2.5MのNaClと共にインキュベーション。 矢印はNPを示す。 組み換えウイルス調製物からエボラ核タンパク質を除去する実験を示す(詳細については、実施例3および実験3.3を参照されたい)。 組み換えウイルス調製物からのエボラ核タンパク質(NP)の除去についての、非還元SDS-PAGE(パネル1)およびウェスタンブロット(パネル2)による分析を示す(詳細については、実施例3および実験3.1を参照されたい)。レーンA, B, Cはそれぞれ生成物A, B, Cを含む(図6および実験3.3を参照されたい)。ウェスタンブロット解析には、NPを認識する抗体を用いた。矢印はNPを示す。 組み換えウイルスからのエボラ核タンパク質(NP)の除去についての、RP-HPLCによる分析を示す。生成物A, B, Cを分析した。詳細については、実施例3および実験3.3を参照されたい。縦軸はAU(×10-3)を表す。横軸(溶出時間)の下の矢印1はヘキソンタンパク質のピークを示し、矢印2はNPのピークを示す。 高塩濃度および濾過を用いた、組み換えウイルス調製物からのエボラ核タンパク質(NP)の除去について示す、SDS-PAGE(パネルA)およびウェスタンブロット(パネルB)の結果である。陰イオン交換クロマトグラフィーを行った後に、5MのNaClを含む溶液を用いてサンプルをバッファー交換した。サンプルを0.45μmのMillipac 20 フィルター(Millipore社)に通して直接濾過した。レーン1:濾過前、レーン2:濾過後。ウェスタンブロットでは、NPを認識する抗体を用いた。矢印はNPを示す。 Ad35をTFF処理した保持液(実施例6)を、Q-XLカラム(パネルA)および荷電フィルター(パネルB)に流入した時のクロマトグラムを示す。パネルBの円は付加的なピークを示しており、荷電フィルターを用いた場合のみウイルスのピークから分離される。 荷電フィルタークロマトグラムの2つの分画の、ディスク遠心分離法による分析を示す。パネルAはAd35ウイルスピークの沈降プロファイルを示し、パネルBは付加的なピーク(図10で囲んだ円)の沈降プロファイルを示す。 Ad35のクロマトグラフィー分画(実施例6参照)のSDS‐PAGEによる分析を示す。4〜12%のビス‐トリスゲルを、銀染色した。 ゲルAは、荷電フィルターによる実験の泳動を示す。1. マーカー、2. 出発材料、3. カラムに吸着しなかった流出物質、4. ピーク1(図10で囲んだ円)、5. Ad35のピーク ゲルBは、Q-XLによる実験の泳動を示す。1. 出発材、2. カラムに吸着しなかった流出物質、3. Ad35のピーク

Claims (32)

  1. 宿主細胞からウイルスを精製する方法であって、
    a) ウイルスに感染させた宿主細胞を培養するステップと、
    b) 細胞培養物にヌクレアーゼを添加するステップと、および、
    c) ウイルスを含む溶解物を提供するために前記宿主細胞を溶解するステップと、
    を所定の順序で含む前記方法。
  2. さらに、d) 溶解物を洗浄するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. さらに、e) 少なくとも1回のクロマトグラフィー・ステップによりウイルスをさらに精製するステップを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記ウイルスが組み換えアデノウイルスであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ステップb)のヌクレアーゼがベンゾナーゼ(Benzonase)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 宿主細胞を溶解するステップc)を、界面活性剤により行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 界面活性剤をTriton-X 100とすることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. ステップd)は深層濾過および膜濾過からなることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 膜濾過を0.8μmおよび0.45μmのフィルターを組み合わせて用いることによって行うことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. ステップe)に先立って、洗浄した溶解物を、限界濾過および/またはダイアフィルトレーションにかけることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ダイアフィルトレーションにかけた洗浄した溶解物を、0.8〜2.0MのNaClを含む溶液、好適には約1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液に対して交換することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. ステップe)は陰イオン交換クロマトグラフィーを含むことを特徴とする、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記陰イオン交換クロマトグラフィーを、陰イオン交換基を含む荷電フィルターを用いて行うことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. ステップe)は粒径排除クロマトグラフィーを含むことを特徴とする、請求項4〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ステップe)は、
    ステップe,i) 陰イオン交換クロマトグラフィー、および
    ステップe,ii) 粒径排除クロマトグラフィー
    によって構成されることを特徴とする、請求項4〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 組み換えアデノウイルスを含む混合物を、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび粒径排除クロマトグラフィーからなる前記ステップの間に、少なくとも2MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液によってバッファー交換することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. ステップd)およびその後のステップで用いるバッファーには、界面活性剤、塩化マグネシウムおよびスクロースを含まないことを特徴とする、請求項4〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
  18. 宿主細胞を溶解することが可能なウイルスを精製するための方法であって、
    a) 宿主細胞を溶解することが可能な前記ウイルスを含む宿主細胞を培養するステップと、
    b) 外部溶解因子を添加することなく、ウイルスが培養液中に放出された後にウイルスを回収するステップであって、95%の宿主細胞が溶解してしまう前にヌクレアーゼを培養物へと添加することを特徴とする該ステップと、
    によって構成される前記方法。
  19. 出血熱ウイルスの核タンパク質をコードする核酸配列を含むウイルスを生成するための方法であって、
    a) 前記ウイルスを感染させた宿主細胞を培養するステップと、
    b) 前記ウイルスを含む宿主細胞の前記培養物を、宿主細胞を溶解することによって処理し、前記ウイルスを含む溶解物を提供するステップと、
    c) ウイルスを陰イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップであって、陰イオン交換クロマトグラフィーによる処理後に、混合物を含むウイルスを、少なくとも1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液、および/または少なくとも1%の界面活性剤を含む溶液によってバッファー交換することを特徴とするステップ、
    とによって構成される方法。
  20. 混合物を含むウイルスを、少なくとも1MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含む溶液によって、少なくとも1回バッファー交換することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ウイルスが組み換えアデノウイルスであることを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の方法。
  22. 前記出血熱ウイルスがエボラウイルスである特徴とする、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記溶液は、少なくとも1.5MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含むことを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記溶液は、少なくとも2MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  25. 前記溶液は、少なくとも3MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 前記溶液は、約5MのNaClまたは同等なイオン強度を供する他の塩を含むことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
  27. 1.2μm又はそれ以下の孔径を有する親水性フィルターを通してバッファー交換した、混合物を含むウイルスを、さらに濾過することを特徴とする、請求項19〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記孔径は約0.45μmまたは約0.22μmであることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
  29. バッファー交換した混合物を含むウイルスを、粒径排除クロマトグラフィーにかけるステップをさらに備えることを特徴とする、請求項19〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 組み換えアデノウイルス調製物から遊離アデノウイルスタンパク質を除去するための方法であって、遊離アデノウイルスタンパク質を含む組み換えアデノウイルス調製物を、陰イオン交換基を含む荷電フィルターにかけるステップを備えることを特徴とする方法。
  31. 前記組み換えアデノウイルス調製物は、サブグループBの組み換えアデノウイルスを含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  32. 前記組み換えアデノウイルスがAd35組み換えアデノウイルスである、請求項30または請求項31に記載の方法。
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