JP2007515363A - パイ共役基材の可逆的水素化による水素貯蔵 - Google Patents

パイ共役基材の可逆的水素化による水素貯蔵 Download PDF

Info

Publication number
JP2007515363A
JP2007515363A JP2006532795A JP2006532795A JP2007515363A JP 2007515363 A JP2007515363 A JP 2007515363A JP 2006532795 A JP2006532795 A JP 2006532795A JP 2006532795 A JP2006532795 A JP 2006532795A JP 2007515363 A JP2007515363 A JP 2007515363A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
conjugated
hydrogen
conjugated substrate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006532795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5431647B2 (ja
Inventor
グイド ペズ ペテル
アアロン スコット ライモンド
アラン コオペル チャルレス
チェング ハンソング
ラルリー バグジス ダビド
ジョホン アップレビー ブルセ
Original Assignee
エアー.プロダクツ.アンド.ケミカルス.インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US10/430,246 external-priority patent/US7101530B2/en
Priority claimed from US10/833,467 external-priority patent/US20050013767A1/en
Application filed by エアー.プロダクツ.アンド.ケミカルス.インコーポレーテッド filed Critical エアー.プロダクツ.アンド.ケミカルス.インコーポレーテッド
Publication of JP2007515363A publication Critical patent/JP2007515363A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5431647B2 publication Critical patent/JP5431647B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B3/00Hydrogen; Gaseous mixtures containing hydrogen; Separation of hydrogen from mixtures containing it; Purification of hydrogen
    • C01B3/0005Reversible uptake of hydrogen by an appropriate medium, i.e. based on physical or chemical sorption phenomena or on reversible chemical reactions, e.g. for hydrogen storage purposes ; Reversible gettering of hydrogen; Reversible uptake of hydrogen by electrodes
    • C01B3/001Reversible uptake of hydrogen by an appropriate medium, i.e. based on physical or chemical sorption phenomena or on reversible chemical reactions, e.g. for hydrogen storage purposes ; Reversible gettering of hydrogen; Reversible uptake of hydrogen by electrodes characterised by the uptaking medium; Treatment thereof
    • C01B3/0015Organic compounds; Solutions thereof
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J3/00Processes of utilising sub-atmospheric or super-atmospheric pressure to effect chemical or physical change of matter; Apparatus therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J3/00Processes of utilising sub-atmospheric or super-atmospheric pressure to effect chemical or physical change of matter; Apparatus therefor
    • B01J3/02Feed or outlet devices therefor
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/32Hydrogen storage

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】拡張パイ共役の実質的に可逆的な触媒水素化により水素の貯蔵および放出を行うための方法を提供する。
【解決手段】少なくとも部分的に水素化された形態の拡張パイ共役系に含まれる水素を、水素ガス圧を一般には0.1バールを超える圧力まで下げ、または温度を250℃を下回る温度以下まで上昇させ、またはこれら2つの処理パラメーターを組み合わせることによって行うことができる脱水素化触媒の存在下での該拡張パイ共役系の接触脱水素化によって、使用に向けて容易に放出することが可能である。第1の液体を分配し、第2の液体を回収するのに有用なディスペンサであって、第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、第1の液体に向流する方向の第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えたディスペンサ、ならびにその使用方法も開示する。一実施形態において、本発明は、燃料供給プロセスにおける該ディスペンサの使用にも関する。
【選択図】図1

Description

本出願は、(a)2003年5月6日に出願された米国特許出願第10/430,246号の一部継続である、2004年4月27日に出願され、「パイ共役基材の可逆水素化による水素貯蔵(Hydrogen Storage by Reversible Hydrogenation of Pi-Conjugated Substrates)」と題する米国特許出願第 号の一部継続;および(b)2003年5月6日に出願された米国特許出願第10/430,246号の一部継続である、2004年4月27日に出願され、「可逆水素貯蔵燃料を可動または固定燃料源に供給する方法(Method of Delivering a Reversible Hydrogen Storage Fuel to a Mobile or Stationary Fuel Source)と題する米国特許出願第 号の一部継続であり、前述の出願のそれぞれの全開示内容が参照により全面的に本明細書に組み込まれている。
(1.発明の分野)
本発明は、実用的な動作温度および圧力で水素を貯蔵および放出し、特には水素を燃料電池に供給するパイ共役基材の可逆水素化のための方法に関する。水素は、化学および石油精製産業において広く使用されている化学製品であるが、比較的最近の燃料電池の開発により、実現可能な「クリーン」エネルギー源と見なされることも多くなっている。現場の天然ガス改質装置から、または既存の水素パイプライン源を介して固定燃料電池に水素を供給することが可能である。しかし、可動車両系では、車載燃料電池または水素燃料内燃機関に動力を供給する水素を貯蔵するための実用的かつ効果的な方法が必要とされる。極低温液体としての水素の輸送は、技術的に十分に確立されているものの、供給ガスのコストを著しく高めるエネルギー集中的な方法である。水素は、従来的に、ボンベで圧縮ガスとしても輸送されるが、貯蔵量は比較的小さい。今では、非常に高強度の複合材料で構成された軽量容器における10000psi(690バール)までの非常に高圧の水素ガスにより、より大きい重量貯蔵量を、比較的体積密度が低いが、達成することが可能である。そのように気体を圧縮する上での著しいエネルギーコスト、ならびにそのような高圧の水素を含む系に対する消費者の承認に関する潜在的問題がある。
したがって、十分な重量および体積貯蔵密度で、かつ最小のエネルギー消費で水素を安全に貯蔵/供給する手段が必要とされ、大いに所望されている。これは、好適な固体、または潜在的にはさらに液体の吸着媒体、すなわち実質的であるが可逆的な気体に対する親和性を有する複合体に水素を「収容する」ことによって達成できる。気体を控えめな温度および水素圧で吸着剤と接触させ、同じまたはより高い温度で系の水素分圧を下げることによって適宜使用に応じて放出させる。吸着剤による水素の吸収は、通常は発熱過程であるのに対して、使用に応じた水素の放出は、燃料電池または内燃機関の廃熱から満たすことが可能な熱エネルギーの相当投入を少なくとも必要とする。したがって、圧縮水素をベースとした貯蔵系とは対照的に、水素を収容するために必要な必要エネルギー(すなわちその吸着熱)を、圧縮のための高グレードの電気エネルギーを著しく消費することなく大いに満たすことが可能である。また、吸着水素における安全率は相当に高い。いかなる脱離過程も吸熱であるため、それは、本質的に自己抑制的で、水素は、外的な熱の投入なくして自然に完全脱離することはない。
本発明は、第1の液体の分配および第2の液体の回収を可能にする分配デバイス、ならびにその使用方法にも関する。一実施形態では、分配デバイスを使用して、少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材を含む第1の液体を分配し、パイ共役基材を含む第2の液体を回収する。
(2.発明の背景)
水素貯蔵に対するこの吸着手法における課題は、適切な機能吸着媒体を考案することにある。このようにして水素を収容することに関する研究の多くは、水素と可逆的に化学結合して、金属水素化物を形成する様々な金属および金属合金の特性に焦点がおかれてきた。代表的な例は、FeTi;TiV合金;LaNi;様々なマグネシウム−ニッケル結合体;ならびにある触媒の存在下でAl、NaHおよびHに可逆的に分解しうるナトリウムアラネート、NaAlHである。金属水素化物に関する実質的な文献が存在し、例えば三および多金属水素化物に関して、この分野で研究が活発に遂行されているが、実証された重量水素量は、車上水素貯蔵に必要とされる6+重量%水素をまだかなり下回っている。
A. C. Dillonらの論文(Nature 386、377〜379ページ(1997年))による単一壁ナノチューブ;およびChambersらの論文(J. Phys. Chem. B 102、4253〜4256ページ(1998年))による黒鉛ナノ繊維のような様々な形の炭素による水素貯蔵についての多数の主張がなされてきた。しかし、炭素による実質的な水素封じ込めについてのこれらおよび他の文献の主張[A. C. DillonおよびM. J. Hebenの論文(Appl. Phys. A 72、133〜142ページ(2001年))を参照のこと]は、他の研究者によって具体的に確認されておらず、炭素による水素吸着の分野は、まだ研究が進んでいない。これに関連して、CooperおよびPezは、米国特許出願第20020096048号において、水素反応性金属または金属合金、あるいは金属水素化物と様々な形の実質的に黒鉛状の炭素、すなわち炭素−金属ハイブリッドとの密接結合体は、ほぼ大気条件において水素の可逆吸収を示し、水素貯蔵のための圧力スイングおよび温度スイング吸着剤として有用であると報告している。観察された可逆的な容易な水素反応性は、「水素溢流」機構、または不飽和黒鉛状炭素構造体の部分化学的金属触媒水素化によって生じるものと理論づけられる。
S. J. Choらの論文(ACS Fuel Chemistry Division Preprints 47 (2)、790〜791ページ(2002年))による最近の報告では、塩酸ドープ導電性ポリマー、ポリアニリンおよびポリピロールによる水素の吸着が主張されている。これらのポリマーを25℃で高圧(1350psia、93バール)水素に接触させると、水素ガスの吸収が明らかに遅くなる。水素ガスは、不特定のガス圧でサンプルを200℃まで加熱することによって脱離される。その著者は、水素は、多孔質導電性ポリマーに物理的に吸着される(すなわち、H−H結合はそのままである)と想定している。塩酸で処理されなかったサンプルは、ポリマーサンプルにおいて明らかに多孔性を生じ、水素の吸収をまったく示さなかった。その物質中の金属触媒の存在は報告されておらず、この出版物には、水素の化学的吸着またはポリマーの触媒水素化についてはまったく示唆されていない。
触媒水素化、およびその後のベンゼンまたはトルエンなどの一般的な芳香族分子の脱水素化により水素を貯蔵する可能性は、水素を貯蔵する手段として長期にわたって開示されてきた。理論的な水素貯蔵量が約7重量パーセントであるため、それらの系は魅力的である。しかし、この化学作用は化学工場で日常的に実施されるが、実用的な水素貯蔵デバイスにそれを利用する上で多くの問題がある。
主な障害は以下の通りである。
適切な金属触媒により、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、および関連する1つまたは2つの六員環芳香族の、それぞれ対応する飽和環状炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカリンへの水素化を比較的穏やかな条件、例えば100℃以下、100psi(6.9バール)以下の水素圧で実施することができ、それは熱力学的に非常に好ましい。しかし、現在実施されている、燃料電池での使用に必要とされる約20psia(1.5バール)以上の供給圧で水素ガスを製造するための上記に引用した対応するアルカンの脱水素化は、吸熱性の高いプロセスであるため、燃料電池、特に現在車両で使用されている燃料電池から容易に入手できないものよりも高い反応温度を用いること、ならびに著しいエネルギーの投入を必要とする。したがって、Kestenらの米国特許第4,567,033号には、メチルシクロヘキサンから316℃でそれをトルエンへ脱水素化することによって分子水素を「遊離させる」方法であって、副生成物の水素の相当の部分の燃焼によって必要な熱の投入を補給する方法が記載されている。
加えて、一般的な1つまたは2つの六員環芳香族分子は、それらの水素化生成物のように極めて揮発性が強い。水素化は閉鎖系で実施されうるが、逆反応による生成物水素の製造は、基本的には、反応の有機揮発性化合物から気体を完全に分離させる何らかの手段が存在することを必要とする。技術的には可能であるが、これは、複雑さを増し、それによって水素貯蔵過程のコストを高めるさらなる単位操作を必要とする。
芳香族の可逆水素化を介して水素を貯蔵するための実用的な方法を提供するためのいくつかの試みがなされてきた。Jensenらの米国特許第6,074,447号には、好ましくは190℃以上で、特定のイリジウムをベースとした分子錯体触媒の存在下で、炭化水素を芳香族および水素に脱水素化する手段が記載されている。具体的に記載されている炭化水素は、メチルシクロヘキサン、デカリン、ジシクロヘキシルおよびシクロヘキサン(それらについての対応する芳香族生成物は、トルエン、ナフタレン、ビフェニルおよびベンゼンである)であるが、より大きい水素化炭化水素または多環式芳香族炭化水素、あるいは本発明の他のパイ共役分子については一切言及されていない。加えて、この先行技術の想定される基材は、反応温度で明らかに揮発性を有し、反応室に保持される他の揮発性反応成分に対して、水素を通過させるための高度に選択的な膜を反応室に設ける必要がある。
N. Kariyaらは、最近、Applied Catalysis A、233、91〜102ページ(2002年)において、炭素に支持される白金および他の白金含有触媒に対して、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカリンなどの液体シクロアルカンからの水素の効率的な生成と記述されるべきものを報告している。その方法は、「湿−乾多相条件」下において約200℃から400℃で実施され、触媒が交互に湿潤/乾燥するように、飽和液体炭化水素を加熱固体触媒に断続的に接触させることを含む。局部的な過熱および他の引用要因により、脱水素反応は、反応動力学の向上の観点からより効率的になるが、反応熱力学(以下参照)により、シクロヘキサンを対応する芳香族分子に高度に変換するために比較的高い温度を用いることが必要になる。この基本的な方法は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナントレン、および可能な芳香族基材としてのそれらのアルキル誘導体を燃料電池用水素を製造するための手段として引用し、それを適用するいくつかの日本特許(例えば、特開第2000−1110437号および特開第2002−134141号)において考察されている。しかし、その方法のこの実施態様および他の実施態様に対して、その方法の揮発性成分から生成物水素を完全に分離する能動的な手段を採用する必要があることは明らかである。
R. O. LouftyおよびE. M. Veksterは、「液体有機水素化物における水素貯蔵の調査(Investigation of Hydrogen Storage in Liquid Organic Hydrides)」、Proceedings of the International Hydrogen Energy Forum 2000、Munich Germany、2000;335〜340ページにおいて、300℃でもデカリンの非常に低い変換率(15%以下)が、膜による水素の選択的分離およびその反応器からの除去によって著しく高められる膜反応器におけるデカリンの脱水素化について報告している。
特開第2002−134141号には、フェニル置換シラン;アリール置換オリゴマーおよびエチレンの低分子量ポリマー;フェニレンの低分子量ポリマー;アリール基がフェニル、トリル、ナフチルおよびアントラシル基であるアリールおよびビニル置換シロキサンのオリゴマーに基づく「液体水素化物」が記載されている。
上記の仕事にもかかわらず、実用的な動作温度および圧力で水素の貯蔵および放出を行い、特に燃料電池へ水素を供給するためのパイ共役基材の可逆水素化のための方法に対する必要性が残っている。
水素化基材を燃料電池に効率的に分配するのに新規の方法およびデバイスが必要とされうる。
ガソリン分配ノズルと呼ばれる、自動車等のガソリンを分配するのに使用されるもののような一般的な燃料分配デバイスは、ガソリン供給手段に連通するハンドルと、車両への燃料の流れを制御するための手動操作レバーと、1つまたは複数の車両搭載ガソリンタンクにガソリンを分配するための分配導管とを備える。一般的なガソリン分配ノズルは、Finkらの米国特許第5,197,523号およびRabinovichの米国特許第5,435,356号に記載されている。
そのような燃料分配および車上貯蔵タンクは、燃焼過程の副生成物は大気中に放出されるため、ガソリン、ディーゼルまたはアルコールに対しては十分である。しかし、従来の燃料分配および車上タンクは、消費された燃料を、回収/再生できるまで車上で貯蔵しなければならないリサイクル可能液体燃料に対してはさほど魅力的ではない。
最近関心を生んでいるリサイクル可能液体燃料としては、可逆水素化して、それぞれシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカリン(「水素化基材」)を形成するベンゼン、トルエンおよびナフタレン(「芳香族基材」)などの液体芳香族化合物が挙げられる。水素化基材は、脱水素化系および水素燃料電池に供給され、好適な条件下で、水素化基材は脱水素化して、燃料電池に使用される水素を形成し、芳香族基材が回収される。例えば、Jensenの米国特許第6,074,447号には、好ましくは190℃以上の温度にて、特定のイリジウムをベースとした分子錯体触媒の存在下で、メチルシクロヘキサン、デカリン、ジシクロヘキシルおよびシクロヘキサンをそれぞれトルエン、ナフタレン、ビフェニルおよびベンゼンに脱水素化することが記載されている。
液体芳香族化合物に基づく水素担体を使用することの魅力的な特徴は、液相水素担体の水素化、供給および貯蔵を行うための既存の液体炭化水素燃料基盤を用いる可能性を提供することである。対照的に、極低温液体または圧縮ガスとしての水素の供給および貯蔵には、貯蔵および輸送の異なる方法が必要になる。加えて、圧縮水素の使用は、気体を圧縮する上での相当のエネルギーコスト、ならびにそのような高圧の水素を収容する系に対する消費者の承認に関する潜在的な問題を招くことになる。
基本的に、液体水素化基材は、従来の液体輸送および供給方法(パイプライン、貨車、タンカーおよびトラック)を用いて容易に輸送される。同様に、従来のガソリン分配ノズルを使用して、液体水素化基材を可動または固定燃料電池に供給することが可能である。使用時点において、脱水素化反応を実施して、燃料電池に使用される水素、および脱水素化基材(すなわち芳香族基材)を生成する。芳香族基材は、回収タンクに回収され、後に水素化施設に戻され、そこで水素と反応して、水素化基材を再生する。
Chem. Eng.、21(2003年3月)には、ベンゼンおよびナフタレンを水素化して、シクロヘキサンおよびデカリンを形成し、水素化化合物を使用者の拠点に輸送することによる液体有機水素化物の使用が記載されている。
既存の化石燃料基盤を用いて、液体基材(「液体水素化物」)によって収容される水素を燃料電池車両または固定動力源に供給するための方法が、G. Pezの論文(「水素の収容、輸送および供給のための新しい固体および液相系に向けて(Toward New Solid and Liquid Phase Systems for the Containment, Transport and Deliver of Hydrogen)」、2003年5月)に記載されている(http://www.eere.energy.gov/hydrogenandfuelcells/pdfs/solid_liquid_carriers_pres_air_prod.pdfを参照のこと)。Pezの文献には、液体基材を水素化工場にて水素化し、既存のガソリンまたはディーゼル供給方法を用いて、得られた液体水素化物を多重車両給油ステーションまたは固定動力源に供給する方法が記載されている。Pezの文献には、約1g/ccの密度を有し、6重量%の脱離可能水素を含有する18ガロンの液体水素化物で、軽量の中型燃料電池車を400マイル走行させることが可能であると記載されている。
S. Hodoshimaらの論文(Int. J. Hydrogen Energy 28: 1255〜1262ページ(2003年))には、デカリンおよびナフタレンをそれぞれ水素化基材および芳香族基材として使用することが記載されている。Hodoshimaの文献には、風力などの再生可能エネルギー源を用いた水の電気分解によって生成された水素でナフタレンを水素化することが可能であることがさらに教示されている。
E. Newsomeらの論文(Int. J. Hydrogen Energy 23: 905〜909(1998年))には、それぞれ水素化基材および芳香族基材としてメチルシクロヘキサンおよびトルエンを使用することが記載されており、液体水素化物を形成し、冬季での使用に向けて夏季に貯蔵することが可能であることがさらに教示されている。
典型的には、水素化基材は、可動燃料電池を有する車両に搭載された貯蔵タンク、または水素が必要とされるまで水素化基材を貯蔵する付近の固定燃料電池に供給される。次いで、水素化基材は、脱水素化条件下で好適な脱水素化触媒に接触されて、燃料電池用水素を提供し、対応する芳香族基材は回収タンクに導かれる(G. Pezの論文(「水素の収容、輸送および供給のための新しい固体および液相系に向けて(Toward New Solid and Liquid Phase Systems for the Containment, Transport and Deliver of Hydrogen)」、2003年5月)、http://www.eere.energy.gov/hydrogenandfuelcells/pdfs/solid_liquid_carriers_pres_air_prod.pdfを参照のこと)。恐らく、車上液体水素化物貯蔵タンクが十分に空き、かつ/または回収タンクが十分に満たされたときに、液体担体の脱水素化形態が回収タンクから除去され、液体水素化物が貯蔵タンクに加えられる。
以下は、水素化基材、および対応する芳香族基材を貯蔵する方法に関するものである。
特開第2003−321201号には、液体水素化物の貯蔵タンクと、得られた液体担体の脱水素化形態を保持するための回収タンクとを有する液体水素化物貯蔵および供給系が記載されている。しかし、液体水素化物燃料に対して二重タンク貯蔵および回収機構を使用すると、単一のタンクの二倍の貯蔵体積が必要となる。よって、スペースが貴重な用途(例えば車上燃料電池)では、液体水素化物担体、および対応する脱水素化液体担体を貯蔵するための単一のタンクを使用することが望ましいであろう。
特開第2004−026582号には、液体水素化物燃料を貯蔵するための第1の隔室と、液体担体の脱水素化形態を貯蔵するための第2の隔室とを有し、第1および第2の隔室は可動の隔壁によって隔てられる液体燃料貯蔵デバイスが記載されている。
Hockadayらの米国特許第6,544,400号には、水素燃料源を貯蔵するためのブラダと、反応室とを備え、弾性膜が燃料ブラダと反応室とを隔てる二室貯蔵デバイスが記載されている。
本技術を用いて、車上燃料電池に燃料を補給するための方法は、液体水素化物燃料分配ノズルを貯蔵隔室に取り付けて、水素化基材を分配することを含む(例えば、Fink, Jr.らの米国特許第5,197,523号を参照のこと)。恐らく、芳香族基材は、個別の回収手段によって「汲み出す」ことによって回収タンクから除去される。これは、補給過程を複雑にし、補給時間を長くし、これらは消費者の抵抗に遭うものと想定される。
よって、第1の液体を分配するとともに、第2の液体を回収することができるディスペンサが必要である。
セクション2におけるいかなる参考文献の引用も、参考文献が本出願に対する先行技術であることを認めるものではない。
(3.発明の簡単な概要)
本発明は、本明細書に定められる拡張パイ共役分子構造を有する基材と、触媒の存在下で、控えめな温度で実施して、パイ共役系の対応する実質的な水素化形態を生成するその化学反応により水素を取り込むことによって貯蔵する手段を提供する。本明細書に用いられるように、「水素化する」とは、その様々な形態を含み、水素を添加して、不飽和二重結合を飽和することを意味し、分子の水素開裂または水素化分解(すなわち、炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子結合)を含まない。貯蔵水素の供給は、単に、そのいずれもが脱水素化反応を促進させる水素圧力の低減および/または昇温によって遂行される。
一実施形態において、我々の発明のパイ共役基材は、先行技術、すなわち主にベンゼン、トルエンおよびナフタレンの場合よりも穏やかな反応条件で、かつ少ないエネルギー消費で可逆的に触媒により水素化することが可能である。拡張パイ共役基材、およびその水素化誘導体は、大抵は比較的大きい分子であるため、比較的不揮発性で、生成物水素流から容易に分離可能である。高度な水素化および脱水素化は、効果的かつ実用的な水素貯蔵系であるのに有利であるが、好ましくは少なくとも部分的に水素化された基材の可逆水素吸収量が少なくとも部分的に水素化された基材の少なくとも1.0重量%である少なくとも部分的な水素化および脱水素化は、効果的かつ実用的な水素貯蔵経済性をもたらす。
量子力学をベースとした熱力学計算および裏付けする実験データにより本明細書で実証されるように、拡張パイ共役芳香族分子の可逆水素化は、一般に熱力学的により好ましく、セクション2で引用した広く使用されているもの、すなわち先行技術の1つ、2つまたは3つの六員環芳香族基材で可能である温度より低い温度で実施することが可能である。本質的に、(発熱)水素化反応および(吸熱)脱水素化ステップの熱またはエンタルピーの係数が減じられるため、水素化/脱水素化系が、控えめで実用的な温度でより容易に可逆的となる。拡張パイ共役基材を使用することの追加的な利点は、それらおよびそれらの水素化誘導体ははるかに揮発性が弱いため、生成物水素からこれらを完全に分離するための単位操作の必要性を排除するため、全体的な水素貯蔵設備およびその操作過程が著しく簡潔化されることである。
一実施形態において、本発明は、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するためのディスペンサを使用するための方法にも関する。
本発明は、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するための本発明のディスペンサを使用するための方法にも関する。
一実施形態において、本発明は、第1の液体を第1の隔室に分配し、第2の隔室に存在する第2の液体を回収するための方法であって、
ディスペンサを第1の隔室および第2の隔室に連通させて配置するステップであって、ディスペンサは、第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、第1の液体と向流する方向の第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えるステップと、
第1の液体を、第1の導管を通じて第1の隔室に移送するステップと、
第2の隔室に存在する第2の液体を第2の導管に移送するステップとを含む方法に関する。
本発明は、燃料供給方法にも関する。一実施形態において、本発明は、
少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材を含む第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、第1の隔室および第2の隔室に流動連通するパイ共役基材を含む第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えたディスペンサを配置するステップと、
第1の隔室に存在する第1の液体の一部を水素生成器に移送し、貯蔵された第1の液体の一部を、水素および第2の液体を提供するのに十分な脱水素化条件の下で脱水素化触媒と接触させるステップと、
第2の液体の少なくとも一部を第2の隔室に移送するステップと、
第1の液体を、第1の導管を通じて第1の隔室に移送するステップと、
第2の液体を、第2の導管を通じて移送するステップとを含む燃料供給方法に関する。
本発明は、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するのに有用なディスペンサにも関する。
一実施形態において、本発明は、第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、第1の液体と向流する方向の第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備える、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するためのディスペンサに関する。
本発明の詳細は、添付の図面、詳細な説明および以下の実施例に記載されている。本明細書に記載されているものと同様または同等のいかなる方法および材料も本発明の実践および試験に用いることができるが、ここでは例示的な方法および材料について説明する。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および請求項から明らかになるであろう。
(5.発明の詳細な説明)
5.1 パイ共役基材を使用した水素の貯蔵
ここでは、拡張パイ共役基材とのその可逆化学反応による水素の貯蔵のための方法を提示する。それは、本明細書に定められる拡張パイ共役基材、および以下の演算および実験例によって例示される反応パラメーターを用いて実施することができる。
パイ共役(文献では、しばしばギリシャ文字Πを用いて記される)分子は、一連の交互の一重および二重結合で特徴的に描かれる構造である。しかし、この化学結合の表現は、それらの古典的な原子価結合によって当該分子を認識する手段にすぎない。それだけでは、近代的な結合の分子軌道理論の概念を引用する必要がある本発明の脈絡におけるそれらの有用な特性の説明を示すものではない。
分子軌道理論では、古典的に記される2つの原子間の一重結合はσ−結合と称し、2つのダンベル形の「p」電子軌道の結合先端重なりから生じる。それは、分子軸に沿って対称で、2つの結合電子を含む。「二重」結合では、さらに、分子軸に垂直である2つの「p」軌道の側面重なりが存在し、パイ結合(またはΠ結合)と記される。それは、また、2つの電子によって占有されるが、これらの電子は、通常は保持される度合いがさほど強くなく、より移動しやすい。一連の交互の一重および二重結合を含む(として描かれる)分子は、二重結合のパイ電子を分子全体のこの配列にわたって非局在化させることができるという意味において、「パイ共役系」と記される。この結果、パイ共役分子は、より低い全体エネルギーを有し、すなわちそのパイ電子が二重結合に制限または局在化される場合よりも安定する。これは、最も単純なパイ共役系、すなわちトランス−1,3−ブタジエンにおいて実験でかなり明らかになっている。2つの二重結合を水素化してブタンを生成するための標準的な条件(1atm.圧、25℃)における熱(エンタルピー)変化は、1−ブタンの2つの分子を同じ最終生成物に水素化するための合計−60.06kcal/モルに対して、−56.24kcal/モルである。したがって、負の水素化エンタルピーのより低い係数(絶対値)によって実証されるように、1,3−ブタジエンは、内部共役のため、3.82kcal/モルだけより安定している。図1に例示されるように、シクロヘキサンと比較して、35.6kcal/モルのパイ共役からのはるかに大きい安定化をベンゼンについて同様に計算することができ、それは芳香族安定化エネルギーと称する。
拡張パイ共役基材によって達成できるこの追加的な安定性の実用的な結果は、これらのエネルギーをそれらの対応する飽和または完全水素化誘導体に近づけ、すなわち図1の△Hを最小にするため、穏やかな温度でより容易に可逆的になり、エネルギー集中の度合いがより小さい触媒水素化/脱水素化過程を介する水素貯蔵が可能になる。
この概念を、基材AのA−H2nへの可逆水素化反応に対する基本的な熱力学パラメーター、すなわちエンタルピー(△H)、エントロピ(△S)、ギブス自由エネルギー(△G)および平衡定数Kの観点で完全に定量化することが可能である:
Figure 2007515363
よく知られている熱力学関係式により:
△G=−RTInK=△H−T△S −−−(2)
上式において、Rは理想気体定数で、Tは反応温度(ケルビン度)、かつ
K=[A−H2n]/[A]P H2 −−−(3)
上式において、[]内の項は、AおよびA−H2nの濃度または分圧を示し、PH2は、水素分圧を示す。
25℃で1atm.Hの標準状態におけるAのA−H2nへの水素化に対するエンタルピー変化(△H)を、以降△H H2と記す。特に指定のない限り、ここでの実験および演算による△H H2データは、1atm.、25℃の気体としてのそれらの標準状態における組成を示す。最も一般的な高度の共役した基材は、芳香族化合物、すなわちベンゼンおよびナフタレンである。これらは、適切な触媒の存在下において、例えば10〜50atm.Hおよび約150℃の条件にて容易に水素化されうるが、逆反応−約1atm.Hでのシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレン(デカリン)の広範な触媒脱水素化は、はるかに高い温度でのみ可能である(以下参照)。実用的なH貯蔵系では、1〜3atm.で、水素内燃機関との潜在的な併用に対応する約200℃、好ましくはより低い温度、例えば現行のPEM燃料電池が動作する80℃から120℃の脱水素化でHを提供するのが望ましい。反応系を凝縮状態(固体、または好ましくは液体)に維持し、コーキング、およびより高温の触媒脱水素化反応においてしばしば遭遇する他の問題を最小限にするためには、より低い脱水素化温度も好ましい。
ベンゼンのシクロヘキサンへの水素化、すなわち水素貯蔵の先行技術で記載した系では、標準的な条件(1atm.の気体圧力、25℃)における実験的エンタルピー変化△Hは、−16.42kcal/モルHで、80℃における△Gは、対応するK=2.91×1011atm.−1として−6.17kcal/モルHで、約280℃(K=1.1atm.−3)でのみ0に近づく。図5に示されるように、シクロヘキサンのベンゼンへの95.24%変換(1)に必要な温度は、1atm.Hにおけるこの系に対する平衡状態(K=0.05)で、319℃である(表1a)。
ナフタレン(液体)、C10のシス−デカリン(液体)、C1018(水素貯蔵系として調査された)への水素化では、実験的△H=−15.13kcal/モルHで、80℃での△Gは−4.87kcal/モルHであり、約235℃(K=0.8atm.−1)でのみ0に近づく。1atm.Hでのこの系に対する平衡状態(K=0.05)におけるナフタレンC10のシス−デカリンC1018への95.24%変換に対する温度は、319℃である(表1a、2を参照のこと)。したがって、先行技術の可逆水素化系では、水素化により貯蔵される水素の回収は極めて高温でのみ可能になることが極めて明らかである。加えて、先に述べたように、これら先行技術の系は、どれも、水素からのそれらの分離のための他の単位操作を必要とする揮発性の高い成分を含む。
ここでは、ベンゼンおよびナフタレンに対する条件よりもはるかに穏やかな条件で有利に可逆的に水素化することが可能で、揮発性が認められないため、放出される回収水素に対する複雑な分離過程の必要性を排除する拡張パイ共役基材について説明する。一実施形態では、約250℃未満の温度で、約1.449psia(0.1バール)を超える水素分圧、さらには実施例に示すように14.49psia(1.0バール)を超える圧力で、これらの水素化拡張パイ共役基材を脱水素化することが可能である。これは、水素分圧が上昇するとともに脱水素化を行うのに必要な温度が著しく上昇するため、極めて意外である。本発明の拡張パイ共役基材の追加的な利点は、水素化および脱水素化状態の両方において基材が比較的不揮発性であるため、後の使用に向けた放出水素の分離が容易になることである。
他の実施形態では、約300℃未満の温度で、約1.449psia(0.1バール)を超える水素分圧、さらには実施例に示すように14.49psia(1.0バール)を超える圧力で、これらの水素化拡張パイ共役基材を脱水素化することが可能である。
式2および3は、式1における基材Aの可逆水素化に対する熱力学的境界を定める。式1についてのエンタルピーおよびエントロピ変化の項、△Hおよび△Sは、それぞれ、反応成分A、A−H2nおよび水素に対する実験または演算で導かれた対応する熱力学関数より求められる。温度および水素圧は、処理パラメーターで、△Hおよび△Sの集合体に対して、反応平衡状態でAからA−H2nへの高度な変換を達成するように選択することができる:例えば、H貯蔵ステップに対しては[A−H2n]/[A]>20が選択され、その逆に、逆反応については[A−H2n]/[A]<0.05が選択される。パイ共役系についての△Hおよび△Sの情報が与えられると、好適な水素基材を選択し、H貯蔵および供給方法を設計することが可能になるはずである。残念なことには、そのようなデータは、非常に少ない系、すなわちベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピロール、および対応する過水素化分子に対してのみ入手可能である(表1aおよび1bを参照のこと)。芳香族基材の水素化については、水素分子の並進エネルギーの損失を概ね表す△Sは、Hの−30cal/deg.モルに近いことを入手可能なデータの解析より注記した(そして、後の計算によって確認した)。したがって、式1におけるエンタルピー変化△H(kcal/モルHで表される)は、特定の水素化および脱水素化処理パラメーターにおけるこの化学作用の可逆性をパイ共役基材についてほぼ決定する量である。△Hは、温度によりわずかしか変化しないため、△H、すなわちすべての成分が標準状態(1atm.、25℃)にあるときの反応に対するエンタルピーをここでは可逆性の一次指標、つまりはH貯蔵および供給のための所定の水素化/脱水素化反応系の有用性として採用する。
一実施形態では、本発明は、基材の水素化の標準状態におけるエンタルピーの変化(以降、標準状態を25℃、1atm.とする△H H2で示す)が、約−15.0kcal/モルH2未満(ベンゼンに対する△H H2、またはナフタレンに対する△H H2を包括しない、それらの対応する炭化水素への水素化のエンタルピー変化の範囲)であるパイ共役系の可逆水素化を介して動作する実用的な水素貯蔵デバイスに関する。水素化の負の標準エンタルピー変化の係数(絶対値)が小さい基材は、より容易に脱水素化されることになる。△H H2の係数を以降|△H H2|として示す。|△H H2|<約−15.0kcal/モルHの基材は、より容易に脱水素化されることになる。
他の実施形態では、本発明は、パイ共役系の可逆水素化を介して動作する実用的な水素貯蔵デバイスに関し、実験で決定される基材の水素化の標準状態でのエンタルピー変化は、約−7.0から約−20.0kcal/モルHの範囲内である。
パイ共役基材分子の水素化は、場合によっては、全化学組成が同一の2つ以上の生成物を生成することができる。炭素−水素結合または分子内の他の原子もしくは原子の基の相対的配置のみが異なる分子生成物の構造異性体または配座異性体を見出すことができる。配座異性体は、それぞれ異なるエネルギー(標準的な生成熱△H )を有することになり、熱力学的に最も安定な配座異性体は、△H が最も低い。これは、図2によって例示されるように、共通の炭素−炭素結合に沿う2つのC−H結合の相対的配置が異なる2つの配座異性体、すなわちともに飽和分子であるシス−デカリンおよびトランス−デカリンを形成することが可能であるナフタリンの水素化において生じる。市販のデカリンは、67:33の分配比のシス配座異性体およびトランス配座異性体を含み、C−H結合が共通のC−C結合の対向する側にある後者の方が、約3kcal/モルだけ安定している。より大きい完全水素化パイ共役分子、特に窒素へテロ原子を含む分子は、最も安定した異性体に比べて数kcal/モルだけエネルギー(△H)が異なりうる無数の配座異性体を潜在的に有することが可能である。実際には、配座異性体の形成は、パイ共役基材の触媒水素化が行われる条件、すなわち最も安定性の低い配座異性体分子に有利なより低い水素化反応温度に依存することになる。(図2の)ナフタレンについての例示より明らかなように、ここで水素化生成物をより不安定にすることで、より低温で脱水素化過程が生じることを可能にすることによって、パイ共役不飽和分子の水素化エンタルピー△H H2を望ましく低下させる手段を与える。場合によっては、触媒脱水素機構にもよるが、より高エネルギーの非平衡配座異性体の脱水素化が動力学的により容易になるというさらなる利点も存在しうる。
(5.1.1 熱力学的計算)
水素貯蔵のための好適なパイ共役基材を規定する上での困難さは、実験で導かれる水素化エンタルピー変化データが、比較的小さいパイ共役分子についてしか入手できないことである。我々の発明の可逆水素化/脱水素化過程に好適な以下の拡張パイ共役基材群を規定するための我々の根拠は、量子力学(QM)的計算から導かれるそれら水素化のエンタルピーにある。それらの計算は、2つのレベルの理論、すなわち1)式1で表される水素化反応に対する△Hの予測のためのPM3(パラメーター法3)半経験QMアルゴリズムを用いること、および2)実験データを入力せずに、任意の温度での水素化反応に対する△Hと△Sの両方を予測することを可能にした密度関数理論(DFT)を利用するアブイニシオ(「最初からの」)QMアルゴリズムを採用することで行われた。これらの演算技術を吟味するには、その全内容が参照により本明細書に特に組み込まれているD. Young, Wileyの論文(「演算化学−実世界の問題に対する応用技術の実用的手引き(Computational Chemistry - A Practical Guide for Applying Techniques to Real World Problems)」- Interscience、NY、2001年)を参照されたい。
(5.1.1.1 半経験的PM3アルゴリズムを用いて実施される熱力学的計算)
PM3法は、Wavefunction Inc.、Irvine、CAによる市販のソフトウェアパッケージSpartan 02およびSpartan 04を用いて実施された。計算を行う上で、第1に、エネルギー最小化手順によりすべての構造体の分子構造を十分に最適化した。隣接する水素原子が芳香族平面の対向する側に交互に存在するように、水素化化学種の配座を慎重に選択し、究極的な基準を最も低いエネルギーの配座異性体の選択とした。PM3は、H分子の形成熱を不正確に生成することが知られている。しかし、それを、標準状態でのHの形成熱の実験値と置換することによって、入手可能な実験データと十分に一致する水素化に対する標準状態での反応熱の値△Hを得る。例えば、ベンゼン(気体)のシクロヘキサン(気体)への水素化では、△Hの計算値は−18.16kcal/モルH(exp.−16.42kcal/molH)であり、ナフタレン(気体)のトランス−デカリン(気体)への水素化では、計算値は−17.03kcal/モルH(exp.−15.96kcal/molH)である。他のすべての炭素−水素のみの芳香族化合物についても同様の精度レベルが認められたが、その技術は、アブイニシオDFT法がはるかに信頼できる窒素または他のヘテロ原子を有する化合物に適用されるときは幾分不十分のようである(以下参照のこと)。しかしながら、PM3は、同様の分子の範囲に対しては、正確な△H 値の動向を与えるように十分に機能する。そして、それは、より精密で高精度なアブイニシオ法の演算コストが非実用的になる非常に大きい系(約七、五または六員環を上回る系)について入手可能な唯一の方法である。したがって、アブイニシオDFT手法の演算コストが法外に高くなる比較的大きい分子(約七、五または六員環を上回る分子)を含む多環式芳香族炭化水素群(図6および7)に対する水素化の△Hを計算するためのPM3法のみを用いた。
(5.1.1.2 アブイニシオ密度関数理論演算手法を用いて実施される熱力学的計算)
アブイニシオDFT演算手法では、最も低いエネルギーの配座異性体が選択されるように、分子構造を先述のように慎重に選択する。最終的な構造最適化は、6−311G**またはより高度な基底系によるB3LYP汎関数を用いて実施される(上記「演算化学」参考文献のそれぞれ第5章および10章を参照のこと)。この計算によって、分子の電子エネルギーEも求められる。分子の通常の振動周波数は、エネルギーの二次導関数から導かれる調和波動近似値を用いて推定される。周波数は、分子の振動エネルギーの測度で、それにより、分子を理想気体として扱う統計力学の標準的な方法を用いて、全振動エンタルピーHvおよびエントロピSvが温度の関数として求められる。エンタルピー(H、H)およびエントロピ(S、S)ならびに分子の外部エネルギー(Rを気体定数とするRT)に対する回転および並進寄与率も含められる。以上のことをまとめると、基材AのA−H2nの水素化に対するエンタルピー変化(式1)は、以下の式で与えられる。
△H=△E+sHv(A−H2n)−sHv(A)−[Hv(H)+H(H)+H(H)+RT] −−−(4)
調和波動近似値は、振動周波数および振動エンタルピーHの過大評価をもたらすことが知られている。この状況は、一般には、芳香族分子の水素化では、我々は経験的に0.8と決定した換算係数sにより、有機分子の計算されたH’sを修正することによって修復される(「演算化学(Computational Chemistry)第11章」を参照のこと)。アブイニシオ演算法と記されるこの方法は、入手可能な実験データ(ベンゼン(1)、ナフタレン(2cis、3trans)等に対する表1のデータ)とよく一致する(+1kcal/モルHの範囲内)水素化エンタルピー△Hを提供する。水素化についてのエントロピ変化△Sは以下の式で与えられる。
△S=S(A−H2n)−S(H)−[S(H)+S(H)+S(H)] −−−(5)
実際には、パイ不飽和化合物の水素化については、水素の並進エンタルピーS(H)が主として支配的となり、先に想定したように、多くの系に対する標準状態での△SH2は、−30cal/度・モルに近い。式2および3に沿ってこのように推定された△Hおよび△Sを用いて、Hの圧力が1atm.、すなわちこの温度およびH圧力での反応平衡状態におけるK=[A−H2n]/[A](式3)が0.05atm.−nの条件で、水素化担体A−H2nの95.24%がパイ共役基材Aに再変換される温度を推定した。選択された担体についての対応する温度を、HSC5 Chemistry for Windowsソフトウェアプログラムパッケージ(Outokumpu Research、Finland)を用いて、公開された実験データ(利用可能な場合は、例えばNIST標準参照データベースNo.69(2003年3月))から推定した。(a)上記の具体的なアブイニシオDFT法および(b)実験データ(利用可能な場合はNISTデータベースを含む)を用いて、このように計算した脱水素化温度の結果を、いくつかのパイ共役基材について図5に集約する。
当技術分野において知られている方法、または本出願の実施例13に記載されている方法を用いて、熱力学特性が知られている生成物(すなわち、CO、HO、NOまたはN)への水素化および脱水素化基材の燃焼の熱を測定することにより、実験で求めた水素化エンタルピーの値を得ることができる。
本文および請求項の目的では、「拡張パイ共役基材」は、拡張多環式芳香族炭化水素、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、パイ共役有機ポリマーまたはオリゴマー、イオン性パイ共役基材、多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材、少なくとも1つの三重結合基を有するパイ共役基材、および上記種類のパイ共役基材を主要成分として有するコールタールまたはピッチの選択された留分、または2つ以上の前記物質の任意の組合せを含むように規定される。これらの種類を以下にさらに規定し、これらの種類に含まれる化学種の非限定的な実施形態を提示する。
一実施形態において、実験で(上記燃焼法によって)またはアブイニシオDFT法によって求められた、拡張パイ共役基材のそれらの対応する飽和拡張パイ共役基材(例えば少なくとも部分的に水素化された拡張パオ共役基材)への水素化の標準エンタルピー変化|△H H2|の係数は、15.0kcal/モルHである。よって、そのような分子は、本発明による、水素を貯蔵するための可逆水素化基材として好適である。
図3、表1a〜1dおよび脱水素温度データ(図5)における△H H2は、水素貯蔵に対する適性の観点で、有益かつ有用な分類法を提供する。図3におけるデータの「Exp.」列を参照すると、基材/反応系1、2、3および5(それぞれ、ベンゼン/シクロヘキサン;ナフタレン/シス−デカリン;ナフタレンからトランス−デカリンおよびピリジンからピリミジン)では、△H H2の係数は、H貯蔵に対する先行技術で強調されていたこれら系の少なくとも最初の3つについては、約15kcal/モルを上回る。それらの分子(1、2、3および5)は、実験で導かれたデータとの一致性(1kcal/モルH以内)が優れている、アブイニシオDFT法によって計算された△H H2データに基づいて、この分類法の下でも適合する。
アブイニシオDFT法の信頼性により、我々は、分子の△H H2の係数が15kcal/モルH未満である本発明のパイ共役基材の使用を主張する。次に図5を参照すると、実験的計算とアブイニシオDFT法の計算の両方に基づいて、分子1〜5の水素化形態は、約240℃を超える温度で脱水素化形態の約95%と平衡するものと想定され、それは、1atm.H圧力での水平の点線で示されている。パイ共役基材6〜19による図5に例示された本発明の完全水素化反応系は、約250℃未満の温度で1atm.Hにおいて約95%の脱水素化を受けるものと想定される。驚くべきことに、これらの分子のいくつかは、100℃未満でも脱水素化するものと想定される(これには、適切な反応性を有する触媒が必要である)。
他の実施形態において、我々は、△H H2の係数が20kcal/モルH未満である本発明のパイ共役基材の使用を主張する。
本発明による可逆水素化に有用な拡張パイ共役基材は、基材分子の未水素化形態として示されているが、水素化される実際の基材は、すでにある程度水素化されている場合もある。水素の貯蔵および放出を行い、基材を再水素化するための水素化/脱水素化サイクルの目的では、水素化および脱水素化反応の変換の度合いに応じて、個別的な分子または基材の束に関する完全または部分水素化および脱水素化の異なるレベルの間で、拡張パイ共役基材が存在し、循環されうる。開始拡張パイ共役基材、および少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の水素化および脱水素化のレベルは、実用的な動作条件および要件の下での必要なレベルの水素貯蔵および放出を提供するように選択されることになる。本発明による有用な基材は、基材の融解温度のようないくつかの特性を向上させることができる一方で、それと同時に水素化/脱水素化平衡に悪影響を及ぼさないが、重量増加により、基材のH貯蔵水素貯蔵容量をいくらか低下させるn−アルキル、分枝鎖アルキル、アルコキシ、ニトリル、エーテルおよびポリエーテルのような様々な環状置換基を有することができる。好ましくは、そのような置換基はどれも12以下の炭素を有することになる。以下の「多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役基材」のセクションに説明されているように、アルキル置換基は、水素化の熱の係数△H H2を実際には有利にわずかに低下させることになる(また、アルコキシ置換基も同様であると想定される)。
(5.1.2 拡張パイ共役基材)
本発明の方法に好適な拡張パイ共役基材の種類をさらにより具体的に以下に定める。
拡張多環式芳香族炭化水素(EPAH)。本文および請求項の目的では、「拡張多環式芳香族炭化水素」は、(1)縮合環系のすべての環が六員環芳香族六重線構造として表される少なくとも4つの環を有する縮合環系を含む多環式芳香族炭化水素、または(2)五員環で縮合された六員環芳香族六重線環を含む3つ以上の環の多環式芳香族炭化水素を有する分子であると規定される。
EPAH分子は、それらのパイ電子が分子にわたって概ね非局在化されているため、特定の種類の拡張パイ共役基材を表す。熱力学的根拠では、一般に好ましいのは、より大きい分子(すなわち4つよりはるかに多い環を有する分子)であるが、水素化の標準エンタルピー変化△H H2の値、および可逆水素化の容易さはEPAH分子の「外的」形状または構造に大きく依存しうる。基本的には、最も高い芳香族共鳴安定化エネルギーを有するEPAH分子は、水素化の標準エンタルピー変化△H H2の係数(絶対値)が最も低くなる。「多環式炭化水素(Polycyclic Hydrocarbons)」、Academic Press、1984年、第6章においてE. Clarが教示しているように、縮合環基材の異性体の安定性は芳香族六重線の数が増加するにつれて高まることは一般的な原則である。例えば、アントラセン
Figure 2007515363
は、ベンゼンに対して、1つの芳香族六重線(従来的には単一環における3つの交互の一重および二重結合、または内部管によって表される)を有するのに対し、フェナントレン、
Figure 2007515363
は2つの芳香族六重線を有し、その結果、フェナントレンの方が(分子の相対的な形成熱に基づいて)4.4kcal/モルだけ安定している。
したがって、本発明によれば、所定の数の縮合環のEPAHについては、最大数の芳香族六重線で表される構造異性体は、水素化/脱水素化拡張パイ共役基材として好ましい。多数の芳香族六重線を有するEPAHは、本発明による好ましい構造体である。これらの2つの基準は、異なるサイズの一連のEPAH異性体およびEPAH分子の水素化の相対的な△H H2の有用であるが、定性的にすぎない指標を提供する。
PM3手法を利用した量子力学の計算は、代表される分子に対して図6に要約されている水素化についての△H H2値のより有用かつ定量的であるが、近似的にすぎない指標を提供する。
図6において、曲線Iは、第1の3つの要素がベンゼン、ナフタレンおよびアントラセンである一連の線形ポリアセンについての水素化の△H H2の変化を示す。水素化の熱またはエンタルピーは、ナフタレン(二環)においてその最小負値(最小でより好ましい|△H H2|)に達し、芳香族環の数が増加するに従ってますます負が大きくなる。我々は、芳香族環をねじれ型(アームチェア型)線形構造に縮合すると、環の数が増加するに従って、水素化の△H H2の負が小さくなることを発見した(図6、曲線II)。我々は、一連のほぼ円形の多環式芳香族炭化水素についての水素化の△H H2に対する縮合環数のより顕著な影響を確認した(図6、曲線III)。ピレン(4環)からコロネン(7環)へ縮合環の数を増やすと、水素化の△Hの係数が1.72kcal/モルHだけ低下する。大きく、さらに大きい多環式芳香族炭化水素を示す曲線は、一枚の黒鉛の水素化の△Hが約−8から約−11kcal/モルHのオーダになることを示唆し、大きい分子サイズの(理想的でなくても)潜在的に可逆的に水素化可能な多環式芳香族炭化水素における極致を表す。水素化の△Hに対する多環式芳香族炭化水素形状の影響が大きいことは、図6における3つの13環多環式芳香族炭化水素について水素化の△H値を比較することによって実証することも可能である。ヘキサベンゼンゾコロネン(C4218、−12.9kcal/モルH):
Figure 2007515363
および水素化の(PM3)△Hが−18.4kcal/モルHである図6の曲線Iの13環線形ポリアセンの水素化の(PM3誘導)△Hの間には5.5kcal/モルH以上のスパンが存在する。
本発明による特に有用な多環式芳香族炭化水素の他の非限定的な例としては、ピレン、ペリレン、コロネン、オバレン、ピセンおよびルビセンが挙げられる。
上述したように、五員環を含むEPAHは、五員環と縮合された六員芳香族六重線環を含む分子であると規定される。我々は、驚くべきことに、五員環を含むこれらのパイ共役基材は、六員環における対応する共役系よりも水素化の△Hが小さいため、本発明による効果的な可逆水素貯蔵基材を提供することも発見した。3つの線形縮合六員環(アントラセン)の水素化に対する計算された(PM3)△Hは、−17.1kcal/モルHである。中央の六員環を五員環に代えると、15.4kcal/モルHの水素化の(PM3)の計算された標準エンタルピー△Hを有する分子(フルオレン、C1310)が与えられる。より厳密なアブイニシオDFT法によって求められるこの△H H2の対応する値は、アントラセンでは−15.8kcal/モルHで、フルオレンでは−14.4kcal/モルHである。五員環を有する縮合環構造の非限定的な例としては、フルオレン、インデンおよびアセナナフチレンが挙げられる。
Figure 2007515363
本文および請求項の目的では、拡張多環式芳香族炭化水素としては、当該炭素環構造の少なくとも1つが、環構造にケトン基を含み、ケトン基を有する環構造は、芳香族六重線として表される少なくとも1つの炭素環構造に縮合される構造も挙げられる。
水素貯蔵容量が比較的小さい、対応するアルコールへの単純なケトン、例えばアセトン[DE100557MA1(2002)]の可逆触媒水素化を利用する水素貯蔵に関する先行技術の教示がある。しかし、我々は、水素化可能ケトン置換基を、それが共役する多環式芳香族基材に導入することによって、許容可能な熱および水素貯蔵容量が達成可能であることを発見した。したがって、顔料ピラントロン
Figure 2007515363
について、水素化の標準エンタルピーをPM3によって計算すると、−14.4kcal/モルHになる。
拡張多環式芳香族炭化水素は、ウィスコンシン州MilwaukeeのAldrich Chemical Company;ニューハンプシャー州WindhamのLancaster Synthesis;およびペンシルベニア州PittsburghのAcros Organicsより入手可能であり、知られている方法によって調製できる(E. Clarの論文、「多環式炭化水素(Polycyclic Hydrocarbons)」、Academic Press、New York、1964年、第19章を参照のこと)。
窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材。本文および発明の目的では、「窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材」は、(1)五員芳香族環に窒素原子を含む五員環不飽和炭化水素と、(2)六員芳香族環に窒素原子を含み、N−多環式分子が、やはり窒素ヘテロ原子を含むことができる少なくとも1つの六員芳香族六重線構造に縮合される六員環芳香族炭化水素とを有するN−多環式分子として規定される。
ピリジンは、ベンゼンより大きい芳香族安定化エネルギーを有するため、△H H2が低いことが知られている(表1)。我々は、多環式芳香族炭化水素におけるNヘテロ原子の導入(すなわち炭素の置換)によっても、一般に、水素化の標準エンタルピー、△H H2の係数(絶対値)が、それらの対応するすべての炭素対応物より小さくなり、すなわち芳香族(またはパイ共役)安定化エネルギーが高くなる。この傾向は、図7に例示されており、そこでは、H H2は、DFTより精度が劣るが、いくつかのより小さい分子に対するより高精度のDFT計算によってともに検証された水素化エンタルピーの相対的傾向を正確に示すPM3法を用いて計算されたことに留意されたい(表1および2を参照)。六員六重線構造における炭素原子を窒素ヘテロ原子で置換すると、六重線構造が保持される。我々は、芳香族環毎に1つのNヘテロ原子で置換されたねじれ型(「アームチェア型」)線形多環式芳香族炭化水素について、水素化の標準エンタルピー△Hのさらに顕著な低下を確認した。3から14環の一連のねじれ型(「アームチェア」型)線形多環式芳香族炭化水素(図7の曲線IIIおよびIV)について、1環当たり炭素原子の1つが窒素原子によって置換されている場合に、約3.5kcal/molHのより負の小さい(PM3算出)△H H2が存在する。そして、ここでも、我々は、分子の全体的な「外的」形状が、水素化の標準エンタルピー△Hに著しく影響しうることを確認した。最大数のピリジン状芳香族六重線を含むNヘテロ原子多環式炭化水素は、最も好ましい構造であり、水素化の標準エンタルピー△H H2の係数が最も小さい構造を有することになる。2つのN原子を六員環に導入する(すなわち炭素を置換する)と、さらなる利点が提供され、△H H2に対する影響は、窒素の相対的な位置的置換パターンに依存する。特に適切な例は、対応する全炭素トリフェニレン、過水素トリフェニレン系に対する水素化の(DFT算出)△H H2が−14.2kcal/モルHであるのに比べて、その水素化の(DFT算出)△H H2が−11.5kcal/モルHである1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンC18
Figure 2007515363
およびその過水素化誘導体C1224
Figure 2007515363
によって提供される。他の代表的な例は、水素化の(DFT算出)△H H2が−12.5kcal/モルHであるピラジン[2,3−b]ピラジン:
Figure 2007515363
である。これは、環系における4つの窒素原子の存在により、全炭素ナフタレン(シス−デカリンでは−15.1kcal/モルHおよびトランス−デカリンでは−15.8kcal/モルH)に対する水素化の△HのDFT計算値より実質的に小さい。
上記に特定した五員環基材類を含み、特に窒素ヘテロ原子が五員環に含まれるパイ共役芳香族分子は、この種類の化合物の最も低い潜在的な水素化の△H H2の潜在的係数を示すため、本発明による水素化/脱水素化に対する効果的な基材である。この実験例は、水素化の(DFT算出)△H=−12.2kcal/モルHである実施例7におけるカルバゾール
Figure 2007515363
および水素化の(DFT算出)△H H2が−12.1kcal/モルHで、実験で測定された水素化(実施例13)の△H H2が−11.8と−12.4kcal/モルHの間であるN−エチルカルバゾールなどのN−アルキルカルバゾール
Figure 2007515363
によって提供される。
この種類に適合する五員環に窒素ヘテロ原子を有する多環式芳香族炭化水素の他の非限定的な例としては、N−メチリンドール、1−エチル−2−メチリンドール(表2の21を参照)などのN−アルキルインドール;N−メチルカルバゾールおよびN−プロピルカルバゾ−ルなどのN−アルキルカルバゾール;インドロ[2,3−b]カルバゾール(表2の12を参照)およびインドロ[3,2−a]カルバゾールなどのインドロカルバゾール;ならびにN,N’,N”−トリメチル−6,11−ジハイドロ−5H−ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール(表2の42を参照)、1,7−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール(表2の14を参照)、および4H−ベンゾ[デフ]カルバゾール(表2の30を参照)などの五および六員環に窒素原子を有する他の多環式構造が挙げられる。これらの化合物はどれも、15kcal/モルHより小さい|△H H2|値を有し、多数のヘテロ原子を含むこの種類の分子(例えば表2の43、41および19を参照)は、11kcal/モルHよりさらに小さい|△H H2|を有する。
窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材は、環構造にケトン基を有する構造をも含み、ケトン基を有する環構造は、芳香族六重線として表される少なくとも1つの炭素環に縮合される。当該構造の例は、市販のバット染料であるフラバントロン分子
Figure 2007515363
すなわち環構造に窒素ヘテロ原子およびケト基の両方を含み、酸素原子を含むあらゆる位置に1つの水素原子を加えた場合に−13.8kcal/モルHの好ましい水素化の(PM3算出)△Hを有する多環式芳香族である。
窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材は、Aldrich Chemical、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能であり、または知られている方法(Tetrahedron 55、2371(1999)およびその中の参考文献を参照のこと)によって調製することが可能である。
窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材。本文および発明の目的では、「窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材」は、少なくとも2つの環を有する縮合環系を含み、縮合環系の当該環の少なくとも2つは六員芳香族六重線構造または五員五重線として表され、少なくとも1つの環窒素以外のヘテロ原子を含む多環式芳香族炭化水素を有する分子として規定される。酸素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材の例は、水素化の(DFT算出)△H H2が−13.5kcal/モルHであるジベンゾフランC12
Figure 2007515363
である。
リンヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材の例は、水素化のアブイニシオDFT算出△H H2が−17kcal/モルHであるホスフィンドール−1−オール(表3の55を参照):
Figure 2007515363
である。
珪素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材の例は、水素化のDFT算出△Hが−16.4kcal/モルHであるシラインデン(表3の56を参照):
Figure 2007515363
である。ホウ素ヘテロ原子を有する拡張パイ基材の例は、水素化のアブイニシオDFT算出△Hが−10.2kcal/モルHであるボラフルオレン(表3の29を参照):
Figure 2007515363
である。
窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材の他の非限定的な例としては、ジベンゾチオフェン、1−メチルホスフィンドール、1−メトキシホスフィンドール、ジメチルシラインデンおよびメチルボレインドールが挙げられる。
窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材は、Aldrich Chemical、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能である。
ヘテロ原子を含むパイ共役有機ポリマーおよびオリゴマー。本文および請求項の目的では、「ヘテロ原子を含むパイ共役有機ポリマーおよびオリゴマー」は、少なくとも2つの反復単位を含み、共役結合の芳香族六重線または2つの二重結合を有する五員環構造として表される少なくとも1つの環構造、ならびにホウ素、窒素、酸素、珪素、リンおよび硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を含む分子として規定される。オリゴマーは、通常は3から12の反復単位を有する分子である。この種類の物質は、典型的にはプロトン源または酸化剤で「ドーピング」した後に導電体または半導体になる多くの有機ポリマーを代表するが、後者(ドーピング)は、本発明の必要条件ではない。モノマーの化学構造には広範な変形が存在することが多く、モノマー単位における環構造に炭素を置換するヘテロ原子(例えばN、S、O)がしばしば含められるが、これらのパイ共役ポリマーおよびオリゴマーは、化学的不飽和および拡張共役の共通の構造的特徴を有する。一般には、硫黄へテロ原子を有する分子は、脱水素化を容易にするという特徴を保有できるが、硫黄原子の存在による潜在的な影響のため、燃料電池用途では敬遠されることがある。この種類のポリマーおよびオリゴマーに固有の化学的不飽和および共役は、拡張パイ共役系を代表するため、これらのパイ共役ポリマーおよびオリゴマー、特に環構造の炭素原子を置換する窒素または酸素ヘテロ原子を有するものは、水素化に対して潜在的に好適な基材である。これらのパイ共役有機ポリマーおよびオリゴマーは、共役結合の少なくとも1つの芳香族六重線を含む反復単位を含むことができ、または五員環構造を含む反復単位を含むことができる。芳香族環および小さい多環式芳香族炭化水素(例えばナフタレン)成分は、しばしばヘテロ原子および/またはオレフィンと共役した形で、これらの導電ポリマーおよびオリゴマーに広く見られる。例えば、
Figure 2007515363
などの反復単位を含むヘテロ原子はしご形ポリマーまたはオリゴマーは、窒素原子を含む不飽和結合と共役したナフタレン成分を有するモノマーを含む。五員環を含み、窒素原子で共役された拡張パイ共役基材に伴う水素化の△H H2の係数が小さいことをすでに述べた(上記のカルバゾールを参照のこと)。誘導カルバゾールモノマー反復単位
Figure 2007515363
から形成されたパイ共役ポリマーまたはオリゴマーも水素化の△Hの係数が小さく、オリゴマーおよびポリマーの共役がより大きいために、少なくともモノマー単位N−メチルカルバゾールについて確認された△Hの係数より小さいものと想定される。窒素原子を有する五員環構造を含む他のオリゴマーも本発明の対象となる。例えば、メチル基で終端する4つのピロールモノマーを有する
Figure 2007515363
などのピロールのオリゴマーは、水素化のアブイニシオDFT算出△H H2が−12.5kcal/モルHである。本発明による特に有用なこの種類のパイ共役有機ポリマーおよびオリゴマーの他の要素は、ポリインドール、ポリアニリン、ポリ(メチルカルバゾール)およびポリ(9−ビニルカルバゾール)である。これらの組成のモノマーは、|△H H2|が15.0kcal/モルH未満で、対応するより拡張したパイ共役オリゴマーまたはポリマー系(例えばポリインドールおよびポリカルバゾール)は、|△H H2|の値がさらに小さいものと想定される。
共役有機ポリマーおよびオリゴマーは、Aldrich Chemical Company、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能であり、または知られている方法(T. A. Skotheimらの論文、「導電ポリマーハンドブック(Handbook of Conducting Polymers)」、第2版(1998年)、Marcel Dekker、第11章を参照のこと)によって調製できる。
イオン性パイ共役基材。本文および請求項の目的では、「イオン性パイ共役基材」は、不飽和環系および/または基間の不飽和結合を含むパイ共役カチオンおよび/またはアニオンを有する基材として規定される。二級アミン官能基HNRを含むパイ共役系を水酸化リチウムまたはカリウムなどの強塩基との反応によって容易に脱プロトン化して、対応するリチウムアミドまたはカリウムアミド塩を生成することができる。そのような系の例は、カルバゾール、イミダゾールおよびピロールである。この結合の想定される高極性部分イオン性の性質に対応した比較的長いN−Li結合距離の窒素結合リチウム原子を有する幾何最適化構造を与えた同じアブイニシオDFT手法を用いて、N−リチウムカルバゾールおよびその完全水素化リチウム塩誘導体をモデル化した。驚くべきことに、N−リチウムカルバゾールの水素化では、|△H H2|=8.4kcal/モルHは、カルバゾールの|△H H2|(|△H H2|=12.4kcal/モルH)より著しく小さい。自由アニオンに対して同じ計算を実施すると、この理想化された気相の化学種ではさらに小さい|△H H2|が示された。しかし、この自由アニオンは、実際には得ることができないが、より極性の高い(すなわちイオン性の強い)金属−窒素結合をもたらすものと想定されるリチウムに対するより大きい非プロトン性カチオン置換基、例えばNa、Kおよび(CHを採用することによって、リチウム化合物の|△H H2|よりさらに小さい|△H H2|を実現することが可能になるはずであることが計算によって教示される。代替的な方法は、リチウムを中性供与体溶媒またはリガンドで溶媒和化またはキレート化することで、金属−窒素結合をさらに極性化することによって、パイ共役アニオンに対する有効帯電を増加させ、△H H2を低下させることである。|△H H2|が13.2kcal/モルHであるN−リチウムジフェニルアミン塩CN(Li)Cにおける2つの芳香族環の水素化は、ベンゼンの|△H H2|=16.4kcal/モルHより著しく小さく、水素化の標準エンタルピーに対するリチウムの好ましい影響のさらなる例を提供する。ここでもまた、より大きいカチオンおよび極性溶媒またはキレートリガンド;あるいはパイ共役アニオンに対する全有効負帯電を増加させる当該添加剤を使用すると、親非イオン性パイ共役構造に比べて|△H H2|が低下するものと想定される。
この亜類のイオン性パイ共役系は、塩として存在するパイ共役分子、または後者のアニオンがパイ共役系を構成するカチオン−アニオン対化学種である。後者は、アミド、−NRまたは−NHRアニオン、および−Rが、パイ共役系の一部である任意の有機基でありうるアルコキシド−ORアニオンを含む。後者の例は、1,4−ジヒドロキシベンゼンの△H H2が−15.1kcal/モルHであるのに対して、△H H2=−11.6kcal/モルHである1,4−ジヒドロキシベンゼンLiO(C)OLiのジリチウム塩である。
イオン性パイ共役基材の非限定的な例としては、N−リチオカルバゾール、N−リチオインドールおよびN−リチオジフェニルアミン、ならびに対応するN−ナトリウム、N−カリウムおよびN−テトラメチルアンモニウム化合物が挙げられる。
イオン性パイ共役基材は、Aldrich Chemical、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能であり、当技術分野で広く実施されている方法によって調製できる。例えば、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中での二級アミンとLiH、NaH、KH、メチルリチウムまたはn−ブチルリチウムなどの強塩基との反応である。
多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材。本文および請求項の目的では、「多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材」は、芳香族環構造に2つ以上の窒素原子を有する五員または六員芳香族環を有し、芳香族環は、他の芳香族環に縮合されていない分子として規定される。多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材は、アルキル、N−モノアルキルアミノおよびN、N−ジアルキルアミノ置換基を環上に有することができる。
ピリジンは、ベンゼンより高い共鳴安定化エネルギーを有することがよく知られており、これに対応して、その約15kcal/モルHである標準状態におけるピペリジンへの水素化のエンタルピーの係数|H H2|は、ベンゼンの水素化の|H H2|より1.4kcal/モルH小さい。我々は、2つ以上の隣接しない窒素ヘテロ原子を導入することにより(すなわち六員環における炭素を置換することにより)、パイ共役単環式分子は、有利にはさらに低い水素化熱を示しうることを見出した。したがって、1,4−ジアゼンの椅子形の1−4−ジアザシクロヘキサンへの水素化では、ピリジンでは|△H H2|=15.2kcal/モルHであるのに対して、|△H H2|=13.5kcal/モルHである。
一般に、水素原子に対するアルキル基の置換は、△H H2のわずかな低下をもたらす。しかし、最も大きな水素化エンタルピーの低下は、パイ共役単環式化合物に対する全体的な電子供与基として作用するため、パイ共役を効果的に拡張するアミノ−NH、アルキルアミノ−NHRまたはジアルキルアミノ−NHR置換基について認められる。△H H2が、ベンゼンでは−16.42kcal/モルHであるのに対して−13.5kcal/モルHである1,4−ビス(メチルアミノ)ベンゼンによって例が提示される。しかし、他の基に対する水素基の置換は、より好ましい、△H H2、およびより望ましい水素担体の物理的特性をもたらすことができるが、重量貯蔵量の観点で不利益が生じることになり、置換基は、性能に応じた最小分子量のものとすべきである。
表2に見られるように、パイ共役五員環分子ピロール(4)は、我々のアブイニシオDFT演算法により13.1kcal/モルHとして良好に予測される13.37kcal/モルHの著しく小さい|△H H2|を有する。出願人は、理論に制限されることなく、ピロールの|△H H2|が小さいことは、環歪みおよびNヘテロ原子の影響に関連づけられるものと考える。例えば、ピロールの|△H H2|は、1,3−シクロペンタジエンのシクロペンタンへの水素化の熱(|△H H2|=25.3kcal/モルH)および1−ペンテンのn−ペンテンへの水素化の熱(|△H H2|=29.8kcal/モルH)より著しく小さい。イミダゾール(表2の40)のような五員環に挿入された第2の窒素原子は、|△H H2|をさらに8.8kcal/モルHに低下させる効果を有する。|△H H2|=8.6kcal/モルHであるN−メチルイミダゾールの場合のように水素に対して窒素上のアルキル基を置換することによってエンタルピーをさらに低下させることができる。
多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材の他の非限定的な例はピラジンである。
多数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材は、Aldrich Chemical、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能である。
三重結合基を有するパイ共役基材。本文および請求項の目的では、「三重結合を有するパイ共役基材」は、炭素−炭素および炭素−窒素三重結合を有する分子として規定される。このように記述されるパイ共役分子は、場合によっては炭素−窒素二重結合、すなわちC−C=N−C=C−配列のようなイミノ基を導入した交互の炭素−炭素一重および炭素−炭素二重結合、すなわちC−C=C−C=C−等として従来的に記述される原子配列を含む。ここでの平均ホルマール結合次数は1.5で、最大水素貯蔵量は、完全水素化担体に対するC:H=1:1または7.6重量%Hに対応する量である。ここで提示するのは、望ましくは多共役三重結合シアノ(−C≡N)およびアルキニル(−C≡C−)基を担体分子に好適に導入することによって、平均結合次数を1.5より大きくし、それにより基材の水素担持能力を高めるための方法である。
一実施形態において、本発明は、シアノまたはニトリル−C≡N基を含む分子の可逆触媒水素化(後者はアルキルアミノ基−CHNHに変換される)によって水素を貯蔵するための方法に関する。例としては、非常に控えめなほぼ9重量%の理論水素貯蔵量を与えるエチルアミンCHCHNHへのアセトニトリルCHCNの水素化である。同じアブイニシオDFT法を用いて計算されたこの反応の標準エンタルピー(△H H2=−16.5kcal/モルH)は、−16.0kcal/モルHの実験値と良く一致する。アセトニトリルのより高分子量の類似体、例えば△H H2=−17.2kcal/モルHである1,2−ジシアノエタンは、揮発性がより低いため好ましく、ニトリル基が他の不飽和基と強く共役し、|△H H2|を低下させる傾向がある化合物が好ましい。1,4−アミノメチルシクロヘキサン:
Figure 2007515363
に可逆水素化されうる1,4−ジシアノベンゼン:
Figure 2007515363
によって例が提供される。
この反応に対するエンタルピー△H H2は、−16.0kcal/モルHであるが、その値は、さらに拡張パイ共役された基材、概して芳香族環が1から3の窒素ヘテロ原子を含むことができる芳香族ニトリル、ジニトリルおよびトリニトリルによってさらに小さくできるものと想定される。
−C≡N基含有分子に対する△H H2を小さくするための他の手法は、アニオンまたは金属有機系の使用を含む。上記(「イオン性パイ共役基材」のセクション)に開示したように、後者の系は、はるかに小さいエンタルピー値を有することが可能であり、これは、ニトロ基を含む共役基材にも適用される。リチウムジシアナミドN≡C−N(Li)C≡Nを、△H H2=−15.4kcal/モルHであるリチウムジエチルアミドHNCHN(Li)CHNHへ水素化することは、ここでは、より大きいNa、Kまたは(CHカチオンを使用することによってさらに小さくできるより小さい|△H H2|の系を提供するリチウムの例となる。
遊離アルキン、−C≡C−基のアルカンへの水素化は、高エネルギーを要するプロセスであり(|△H H2|>>30kcal/モルH)、高い温度でのみ逆転することが可能である。しかし、我々は、意外にも、負電荷がアニオン上に「拡散」または高度に共役する高度にリチウム化されたアセチレン分子、好ましくは窒素含有官能基をも有する分子は、水素化エンタルピーがはるかに小さいことを見出した。これは、アセチレンのエタンへの水素化に対する−37.3kcal/モルHの対応する標準エンタルピーと対照させることができる|△H H2|=17.4kcal/モルHの1,2−ジリチウムエタンへの水素化にも認められる。アルキン結合を水素化するための|△H H2|は、アルキンと強く相互作用(共役)する電子供与基を結合させることによっても低減されうる。これは、△H H2が−13.8kcal/モルHであるLiNHCHCHNHLiへのLiHN−C≡C−NHLiの水素化によって例示される。
一実施形態において、本発明は、△H H2の係数の値が|△H H2|<20kcal/モルH、好ましくは<18kcal/モルHである、ニトリルおよびアルキニル官能基を可逆水素源として含むパイ共役機材を使用するための方法に関する。多重結合鎖および基を有するパイ共役基材の非限定的な例としては、テレフタロニトリル(1,4−ジニトリロベンゼン)、ベンゾニトリルおよび1,3,5−トリニトリロベンゼンが挙げられる。
多数の窒素ヘテロ原子を有する三重結合基を有するパイ共役基材は、Aldrich Chemical、Lancaster SynthesisおよびAcrosから入手可能である。対応するリチウム誘導体は、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中での三重結合基を有するパイ共役基材とLiH、メチルリチウムまたはn−ブチルリチウムなどの強塩基との反応によっても調製できる。
表1a〜1dは、拡張パイ共役基材、ならびにそれらの対応する、上述のアブイニシオDFT法を用いて計算された300Kにおける水素化のエンタルピー△H H2(300K)(cal.)、および実験で求められたエンタルピー△H H2(298K)(exp.)の実例を示す。表1a〜1dは、また、選択された系について、上述のアブイニシオ法を用いて計算された、また実験で導かれたデータ(exp.)から計算された、1atm.Hにおいて完全水素化担体の95.24%(名目上は95%)がパイ不飽和基材に逆変換される([A−H2n]:[A]=0.05:1)推定温度(T95%)atm.を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
Figure 2007515363
Figure 2007515363
Figure 2007515363
Figure 2007515363
(5.1.3 可逆水素担体としての拡張パイ共役機材の使用)
特定の実施形態において、上記に特定された拡張パイ共役基材は、大抵は、大気条件におけるそれらの比較的純粋な状態では固体である。実施例1〜7より、好適な触媒との混合物では、実は驚くべきことであるが、基材の溶融温度を十分に下回る温度、およびこれらの例のほとんどの場合においてはやはり水素化基材の溶融温度を十分に下回る温度で水素化および脱水素化化学反応を実施することが可能であることが明らかである。
しかし、状況によっては、少なくとも水素化および脱水素化条件において液体である、すなわち触媒に接触している間は連続的な液相に留まっている拡張パイ共役基材を使用することが好ましいこともある。後者の場合は、機械的な混合によって基材分子と、分散(または溶解)触媒と、水素の間に良好な質量移動が保証され、最小質量移動制限によって高速運動が保証される従来の攪拌槽反応器で水素貯蔵および放出化学反応を実施することが可能である。あるいは、水素化または脱水素化を流動反応器で実施することも可能である(実施例12を参照のこと)。液相水素化基材を使用して、水素化パイ共役分子としての気体を、規模の節約が存在する大規模な水素工場から、水素が、燃料電池または他のデバイスでの使用に向けて、穏やかな条件で触媒により液体担体から解放される流通および使用拠点まで安全かつ経済的に輸送することが可能である。好ましくは、水素化または脱水素化状態の基材は、寒い気象条件で輸送可能とするために、約−10℃未満の融点を有し、補足的に加熱しながら輸送または移動される場合は、約100℃未満の融点を有するものとする。一般には、基材は、粘度が約2000cSt(センチストークス)未満である場合は、本発明の目的では液体であるため移動可能であると見なされる。
拡張パイ共役基材を液体とするための1つの方法は、そのうちの1つ以上の成分が拡張パイ共役基材を含む2つ以上の成分の混合物を利用することである。場合によっては、混合物が共融混合物を形成しうる。例えば、クリセン(1,2−ベンゾフェナントレン、融点250℃)およびフェナントレン(融点99℃)は、95.5℃で共融物を形成することが報告されており、クリセン、アントラセンおよびカルバゾール(融点243℃)よりなる三成分系については、192℃で共融が確認されている(Pascalの論文、Bull. Soc. Chim. Fr. 1921、648)。n−アルキル、アルキル、アルコキシ、エーテルまたはポリエステル基を多環式芳香族分子の環構造上の置換基として導入すること、特に約12の炭素原子まで鎖の長さが異なる当該置換基を使用することにより、それらの融点を下げることが可能であるが、「死重」および系の水素吸着能力の低下というある種の犠牲を伴う。上述したように、特定の置換基、例えばニトリルおよびアルキンは、各々のニトリル基が2つの水素のモル等価物を受け入れることができるため、さらなる水素吸着能力を提供することが可能である。
車上燃料電池、そして特に、動作温度が200℃未満であるため、容易に利用可能な熱もこの温度を下回るポリマー電解質膜燃料電池の重要性が増すとともに、特に、凝固点が低下した混合物は、主として、水素化/脱水素化の最大の可逆性および最大の水素貯蔵量を提供する2つ以上の拡張パイ共役基材の混合物であった場合には、約200℃未満の凝固点を有する混合物中に存在する間に、約200℃を超える通常の溶融点を有する基材を水素化する能力が有利になる。上述の拡張パイ共役基材および混合物は、そのような利点を提供する。
J. C. Fetzerの論文、「大形(C>=24)の多環式芳香族炭化水素(Large (C>=24) Polycyclic Aromatic Hydrocarbons)、206〜212ページによって教示されているように、コールタールおよびピッチ材料は、非常に大きな比率の拡張多環式芳香族を含む高度に複合した混合物である。本明細書および請求項に用いられるように、「ピッチ」という用語は、しばしば「タール」と称する複合混合物を含むように用いられる。ピッチにおけるアルキル置換EPAHを含む多環式芳香族成分の複雑さおよび多様性により、恐らく流動性が観察される。適切に選択されたコールまたは石油誘導ピッチ組成物を採用することが可能であるが、より好ましい「クリーンな」(すなわち硫黄を含まない)合成ピッチ基材を利用することもできる。I. Mochidaらの論文、カーボン38(Carbon 38)、2000年、305〜328ページ、およびカーボン26(Carbon 26)、1988年、843〜852ページに記載されているように、ダイマーからナフタレン、アントラセン、フェナントレン等のペンタマーの混合物よりなる合成ピッチを、これらの多環式芳香族炭化水素のHF/BF3酸触媒縮合、オリゴマー化によって調製することが可能である。調製されたピッチ組成物は、63℃から114℃の範囲の軟化点を有し、流動性を高めるために少量の添加剤(すなわち低揮発性液体炭化水素またはある種の水素化液体LPAH)を添加する必要性が示された場合でも、本発明によるそれらの可逆触媒水素化による水素の貯蔵に対応した一群の低揮発性液体LPAH基材になる。「ピッチ」という用語は、天然ピッチおよび合成ピッチをも含む。一実施形態において、本発明の方法に有用な拡張パイ共役基材は、天然ピッチ、合成ピッチ、窒素ヘテロ原子を有する合成ピッチ含有分子、およびそれらの組合せからなる群から選択されるピッチまたはピッチ留分である。
我々は、窒素ヘテロ原子を有する多環式芳香族炭化水素は、それらの水素化の△Hの係数が低いと想定されるため、特に好ましいことを示唆した。Mochidaによる上記引用文献(カーボン28(Carbon 28)、2000年)において、AlClによる触媒重合は、本発明による水素貯蔵のための有用な水素化基材である液体水素含有多環式芳香族炭化水素の混合物としてトリマーおよびより高度な同族体を生成すると言われている。
本発明による拡張パイ共役基材の可逆水素化による水素の貯蔵方法は、その最も一般的な形態において、以下の一連のステップ、すなわち
a)水素を水素化条件において水素化触媒の存在で拡張パイ共役基材に接触させて、少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材を形成することにより、水素の貯蔵を行うステップと、その後の
b)少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材を有効量の脱水素化触媒の存在下において脱水素化条件で接触させて、少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材から水素を放出させるステップとを含む。
本発明の他の実施形態において、水素化触媒は、ステップb)を実施する前に、ステップa)より得られた少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材から除去される。
実施例において以下に記載するように、水素化および脱水素化を単一の容器で実施することが可能である。水素化触媒は、脱水素化触媒として機能することが知られており、本明細書に記載されている。したがって、基材、ならびに水素化触媒および脱水素化触媒の両方として機能する触媒を単一の容器に含め、適切な温度および水素分圧下で、同一の容器内で水素化および脱水素化を連続的に実施することが可能である。
他の実施形態において、少なくとも部分的に水素化された拡張共役基材を、それが水素化される容器から除去し、他の容器で脱水素化することが可能である。これは、拡張パイ共役基材および水素化基材が液体の形態で存在するため、液体として移動、輸送できる場合に特に好ましい。水素化および脱水素化基材が約−10℃を超える融点を有する場合には、それらを液体状態に維持するために補足的な熱を用いることなく、大抵の気象条件において液体として輸送することが可能である。融点が100℃以下であっても、基材を移動させ、低レベルの加熱によって液体として利用することが可能である。
一実施形態において、本発明は、水素化条件下において有効量の水素化触媒の存在下で、水素ガスを固体の拡張パイ共役基材に接触させて、拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化することを含む水素の貯蔵方法に関する。
他の実施形態において、本発明は、約6.7バールを超える水素分圧において、約50℃と約300℃の間の温度で、水素ガスを有効量の水素化触媒の存在下で固体の拡張パイ共役基材に接触させて、拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化することを含む水素の貯蔵方法に関する。
水素を水素化触媒の存在下で、本発明の基材の多くの場合では反応条件において比較的不揮発性の固体または液体である拡張パイ共役基材に効率的に接触させるために、基材と水素化触媒の均質な物理的混合物を調製するのが一般に好ましい。基材は、固体であっても液体であってもよく、そのバルク分離、あるいは気体の水素生成物からのあらゆる反応生成物および中間体の分離の必要性を排除するように、少なくとも大気温度、好ましくはより高温の反応条件において十分に不揮発性であることが好ましい。しかし、場合によっては予防的ステップとして、放出された水素からあらゆる微量の揮発性含有物を排出させることで除去することができる吸収剤を含むトラップを設けることが必要になる。
特定の好適な基材のいくつかは、分子サイズが比較的大きい(例えば3つ以上の五または六原子環である)ため、本質的には約250℃未満の好ましい反応温度の固体である。しかし、上述のように、これらのいくつかの物理的な(共融を含む)混合物は、少なくとも反応温度において、触媒と反応成分を十分に混合するのに有利であるといえる液体であってもよい。そのような混合物において、成分の一方は、溶媒と水素化基材の両方と見なすことができる。やはり上述したように、多くの拡張多環式芳香族炭化水素の液体混合物よりなる天然および合成ピッチ材料は、好適な基材と見なされる。
一実施形態において、本発明は、水素の貯蔵およびその後の放出のための方法であって、
a)水素化条件下において水素化触媒の存在下で、水素を拡張パイ共役基材に接触させて、少なくとも部分的に水素化された拡張共役基材を形成することにより水素の貯蔵を行うこと、およびその後に
b)有効量の脱水素化触媒の存在下で脱水素化条件において、少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材を接触させて、少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材から水素を放出することを含み、
拡張パイ共役基材および少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において液体である。
広く知られており、一般には本発明の目的に対応する脱水素触媒としても機能する水素化触媒は、国際純正および応用化学連合による周期表第4、5、6および8、9、10族の微細分割金属、ならびにそれらの酸化物および水素化物を含むことになる。好ましいのは、国際純正および応用化学連合による周期表の第4族のチタン、ジルコニウム;第5族のタンタルおよびニオビウム;第6族のモリブデンおよびタングステン;第8族の鉄、ルテニウム;第9族のコバルト、ロジウムおよびイリジウム;第10族のニッケル、パラジウムおよび白金である。これらのうちで最も好ましいのは、ジルコニウム、タンタル、ロジウム、パラジウムおよび白金、またはPtOなどのそれらの酸化物先駆体である。これらの金属は、触媒、ならびに微粉末または白金ブラックもしくはラネーニッケルなどの骨格構造としての、あるいは炭素、アルミナ、シリカ、ジルコニアまたは他の媒体あるいは大表面積支持体、好ましくは炭素またはアルミナ上に十分に分散された微細分割形態の金属、酸化物および水素化物としての触媒先駆体として使用されうる。遷移金属脱水素化触媒と組み合わせた酸性支持体、または場合によっては酸性支持体単体が、脱水素化触媒に好ましい場合もある。酸性支持体の例は、シリカ−アルミナ、γ−アルミナ、プロトン交換形態のゼオライト、スルホン化ジルコニア、および固体の過フッ化ポリマースルホン酸である。場合によっては、脱水素化は、遷移金属の不在下で固体状態のブレンステッドまたはルイス酸によって触媒されうる。上記に列記した支持体は、大抵は、ブレンステッドまたはプロトン酸型である。好適なルイス酸触媒としては、三フッ化アルミニウム、クロロフッ化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化錫、トリフルオロメタンスルホン酸銅、三塩化スカンジウム、ならびにランタンの錯体のヘキサフルオロアセチルアセトネート、および国際純正および応用化学連合による周期表による原子のランタニド群の他の構成要素が挙げられる。P. V. Ryabschenkoらの文献、Khimiya Tverdogo Topliva 19、129〜134ページ(1985年)に記載されているように黒鉛の非常に高温(500℃以下)での(CHへの)水素化分解のための触媒または触媒先駆体として使用されたZnNiH2.8およびZrCoH2.8などの金属間水素化物も同様に使用できる。
パイ不飽和基材および触媒混合物と水素との反応。従来、パイ共役基材(例えば、室温で固体であるナフタレン、フェナントレン、ピレン等)の触媒水素化は、不均一触媒のスラリを含む水素化不活性溶媒にそれらの化合物を溶解させて実施される。例えば、これらの条件は、酢酸エチルを溶媒として使用し、10%の炭素上白金触媒を採用したJ. Org. Chem. 4. 2797(1980年)に記載されている。反応温度で液体である基材を含有スラリ触媒の存在下で水素化することが可能である。溶液および液体基材の場合は、水素過圧が利用され、水素は液相の溶解度が非常に小さいため、それは、混合物を攪拌し、外的な揺動を反応器に加え、あるいは水素を基材/触媒混合物に吹き込む、または散布する、あるいは水素を利用して基材/触媒混合物を流動化または沸騰させること等によって、水素ガスと基材/触媒界面との均一な接触を保証するための十分な質量移動を実現するために不可欠である。
本発明の一実施形態において、(固体触媒とともに)固体として反応器に充填される拡張共役基材は、溶媒の不在下で水素化される。これは、溶融点が442℃および700+℃の基材、すなわちコロネンおよびヘキサベンゾコロネンは、それぞれ140℃および200℃の反応温度でも固体である実施例2〜5によって明確に示される。固体基材をこのように気相水素化することで、新規の気体/液体水素化方法が提供される。
他の実施例において、水素化条件において有効量の水素化触媒の存在下で、本文に規定されている固体の拡張パイ共役基材に水素ガスを接触させて、拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化する方法として、より具体的には、約100psia(6.7バール)を超える水素分圧、および約50℃と約300℃の間の温度で、水素ガスを有効量の水素化触媒の存在下で本文に規定されている固体の拡張パイ共役基材に接触させて、拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化する方法として、新規の気体/固体水素化方法を記載することができる。
脱水素化ステップを実施するために、水素化ステップに対して通常は500〜1000psia(34.5バールから69バール)の包括的範囲の水素ガスオーバーヘッド圧力を、反応器をまだその温度に保ちながら水素を燃料電池に供給するのに概ね十分な圧力である約1.5〜50psia(0.1〜3.3バール)まで低下させる。系における水素圧力の上昇は、時間の関数として監視される。
可能な場合は、可溶サンプルについては核磁気共鳴(NMR)を用いた化学分析により、そうでない場合は質量分析によって、計算された全水素吸収および放出量を確認した。比較的不揮発性の高いより大きいパイ共役基材については、行列支援レーザ遊離質量分析(MALDI)が、この目的に極めて有用であることが確認された。
(5.2 可逆水素貯蔵燃料を自動車または定置燃料源に配達するための方法)
上で言及したように、本発明は、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するために有用なディスペンサに関する。本発明のディスペンサは、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するための安全で、便利かつ有効な手段を用意する。
図面(図20〜27)においては、第1の液体を分配し、第2の液体を回収するための本発明の典型的なディスペンサが、10として一般的に示される。ディスペンサは筐体60を含む。筐体の後部は、第1の液体供給手段と連通している燃料ホース70および戻りの第2の液体保持手段と連通している戻りホース80に接続されている。
図20においては、本発明のディスペンサ10は、分配導管20、分配オリフィス30、回収導管40および回収オリフィス50を含む。分配導管20は、第1の隔室(図示せず)と連通し、回収導管40は、第2の隔室(図示せず)と連通している。分配オリフィス30は、回収オリフィス50に隣接して位置している。使用する場合、第1の液体は、第1の導管20から第1の隔室に分配され、第2の隔室における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2の導管40により回収される。
図21においては、本発明のディスペンサ10は、分配導管20、分配オリフィス30、回収導管40および回収オリフィス50を含む。分配導管20は、第1の隔室(図示せず)と連通し、回収導管40は、第2の隔室(図示せず)と連通している。分配導管20および第2の導管40は、筐体60の中に位置し、第1の導管20は、第2の導管40を伴わずに位置している。使用する場合、第1の液体は、第1の導管20から第1の隔室に分配され、第2の隔室における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2の導管40により回収される。
図22aは、分配導管20および分配オリフィス30を含む、本発明の典型的なディスペンサ10を示す。図22aにおいては、回収オリフィス50は、ハンドル60の直前にある。分配導管20は、第1の隔室(図示せず)と連通し、回収オリフィス50は、係合、固定またはシールする手段(図示せず)を介して第2の隔室(図示せず)に連通している。使用する場合、第1の液体は、第1の導管20から第1の隔室に分配され、第2の隔室における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2のオリフィス50導管40により回収される。はめ込み、固定または密閉方法は当技術分野で公知である。
図22bは、回収導管40および回収オリフィス50を含む、本発明の典型的なディスペンサ10を示す。図22bにおいては、分配オリフィス30は、ハンドル60の直前にある。回収導管40は、第2の隔室(図示せず)に連通し、分配オリフィス30は、係合、固定またはシールする手段(図示せず)を介して第1の隔室に連通している。使用する場合、第1の液体は、第1のオリフィス30から第1の隔室に分配され、第2の隔室における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2の導管40により回収される。
図23aは、図20のディスペンサ10の一実施形態の分配オリフィス30および回収オリフィス50の断面図である。分配導管20(図示せず)および分配導管40(図示せず)は、ハウス60に取り付けられている。図4aにおいては、回収オリフィス50は分配オリフィス30に隣接している。
図23bは、図21のディスペンサ10の一実施形態の分配オリフィス30および回収オリフィス50の断面図である。分配導管20(図示せず)および分配導管40(図示せず)は、筐体60に取り付けられている。図23bにおいては、回収オリフィス50は分配オリフィス30を持たない。
図24aは、図20のディスペンサ10の一実施形態の分配オリフィス30および回収オリフィス50の断面図である。分配導管20(図示せず)および分配導管40(図示せず)は、筐体60に取り付けられている。図24aにおいては、回収オリフィス50の直径は分配オリフィス30の直径よりも大きい。
図24bは、図20のディスペンサ10の一実施形態の分配オリフィス30および回収オリフィス50の断面図である。分配導管20(図示せず)および分配導管40(図示せず)は、筐体60に取り付けられている。図24bにおいては、回収オリフィス50の直径は分配オリフィス30の直径よりも小さい。
図22a〜24aにおいて描かれたディスペンサは、分配導管20および/または分配オリフィス30が第1の隔室と連通し、回収導管40および/または回収オリフィス50が第2の隔室と連通し、それによって、例えば、第1の液体を第2の隔室の中に分配する可能性を減少または排除することを保証するのに有用である。
図25aは、分配オリフィス30が回収オリフィス50内に存在する本発明のディスペンサ(図示せず)の典型的な実施形態の断面図である。分配オリフィス30は、仕切り手段35により回収オリフィス50から仕切られていて、回収オリフィスは、仕切り手段55内に含まれる。仕切り手段35および仕切り手段55は、筐体60に取り付けられている。使用する場合、第1の液体は、第1のオリフィス30から第1の隔室(図示せず)に分配され、第2の隔室(図示せず)における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2のオリフィス40により回収される。
図25bは、回収オリフィス50が分配オリフィス30内に存在する本発明のディスペンサ(図示せず)の典型的な実施形態の断面図である。回収オリフィス50は、仕切り手段55により分配オリフィス30から仕切られていて、回収オリフィスは、仕切り手段35内に含まれる。仕切り手段55および仕切り手段35は、筐体60に取り付けられている。使用する場合、第1の液体は、第1のオリフィス30から第1の隔室(図示せず)に分配され、第2の隔室(図示せず)における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2の導管40により回収される。
本発明において有用な仕切り手段としては、燃料パイプホース、プラスチックパイプおよび金属パイプ等のホースを含めた、当技術分野において知られているものが挙げられるがこれらに限定されない。
図25aおよび25bにおいて描かれたディスペンサは、分配オリフィス30が第1の隔室と連通し、回収オリフィス50が第2の隔室と連通し、それによって、例えば、第1の液体を第2の隔室の中に分配する可能性を減少または排除することを確実にするのに有用である。
図26は、図20のディスペンサ10が、第1の液体を保持するための第1の隔室100および第2の液体を保持するための第2の隔室110を有するタンク90と連通している、本発明の典型的な実施形態を示す。可動の隔壁120は、第1の隔室100および第2の隔室110を分離する。可動の隔壁120は、隔室100における第1の液体の体積変化および隔室110における第2の液体の体積変化に伴って移動することができる。第1の液体は、第1の液体出口105により第1の隔室90から除去できる。第2の液体は、第2の液体入口115により第2の隔室110に配達することができる。使用する場合、第1の液体は、第1の導管20から第1の隔室100に分配され、第2の隔室110における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かあるいは後に第2の導管40により回収される。
図27は、図20のディスペンサ10が、第1の液体を保持するための第1のタンク130および第2の液体を保持するための第2のタンク140と連通している、本発明の典型的な実施形態を示す。第1の液体は、第1の液体出口135により第1のタンク130から除去できる。第2の液体は、第2の液体入口145により第2の隔室140に配達することができる。使用する場合、第1の液体は、第1の導管20から第1の隔室100に分配され、第2の隔室110における第2の液体は、第1の液体の分配の前か、同時かまたは後に第2の導管40により回収される。
本発明はまた、第1の液体を分配しかつ第2の液体を回収するための本発明のディスペンサを使用する方法に関する。
一実施形態において、本発明は、第1の液体を第1の隔室に分配し、第2の隔室に存在する第2の液体を回収するための方法であって、
第1の隔室および第2の隔室に連通するようにディスペンサを配置するステップであって、ディスペンサは、第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、第1の液体に対して向流する方向の第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えるステップと、
第1の液体を、第1の導管を通じて第1の隔室に移送するステップと、
第2の隔室に存在する第2の液体を第2の導管に移送するステップとを含む方法に関する。
その他の実施形態においては、第1の導管および第2の導管は筐体中に位置し、第1の導管は第2の導管の外に位置している。
一実施形態においては、第1のオリフィスは第1の隔室上のオリフィスの中に挿入される。
その他の実施形態においては、第2のオリフィスは、第2の液体中に浸漬され、第2の液体が回収される。その他の実施形態においては、第2のオリフィスは、第2の隔室において存在する第2の液体の中に浸漬され、第2の液体が回収される。
一実施形態においては、第2の液体は第2の導管から回収タンクの中に移送される。
その他の実施形態においては、第1の液体の移送および第2の液体の移送は同時に行われる。
その他の実施形態においては、第1の液体の移送は、第2の液体の移送前に開始される。
その他の実施形態においては、第1の液体の移送は、第2の液体の移送後に開始される。
本発明の装置との組合せにおいて有用な隔室は当技術分野において知られているもので、例えば、二重タンク;固定の隔壁で分離された、第1の液体用隔室および第2の液体用隔室を有する一重タンク;および可動の隔壁で分離された、第1の液体用隔室および第2の液体用隔室を有する一重タンクが挙げられるがこれらに限定されない。
可動の隔壁で分離された、第1の液体用隔室および第2の隔室のための隔室を有する一重タンクの使用は、空間が制限される場所、例えば、液体水素化物担体を使用する水素燃料電池により作動する乗り物に特に有用である。その様な用途においては、第2の液体(例えば、脱水素担体)は、第1の液体の容積を「占有する」ものと見ることができる。第1の液体隔室および第2の液体隔室を有する一重タンクの非限定的例は知られており、可動の隔壁で分離された隔室;ブラダにより分離された隔室であって、第1の液体がブラダ内に含まれ、第2の液体がブラダの外側のタンク中に含まれる隔室;ブラダにより分離された隔室であって、第1の液体がブラダ内に含まれ、第2の液体がブラダの外側のタンク中に含まれる隔室;または不透過性膜により分離された隔室(米国特許第6544400号明細書、Hockadayら参照)が挙げられるがこれらに限定されない。
一実施形態においては、第1の隔室および第2の隔室は膨張性ブラダにより分離される。
その他の実施形態においては、第1の隔室および第2の隔室は不透過性膜により分離される。
第1および第2の隔室が可動の隔壁で分離される場合、第1の流体の分配は、第2の流体の置換を引き起すことができる。一実施形態において、本発明は、第1の液体を分配する方法であって、ディスペンサを、第1の液体を有する第1の隔室および第2の液体を有する第2の隔室と連通した状態に置くステップであって、第1および第2の隔室が、可動の隔壁で分離され、ディスペンサが、第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管および第1の液体に対して向流方向において第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管を含むステップ、第1の液体を第1の導管を介して第1の隔室に移送するステップおよび第2の隔室に置かれた第2の液体を第2の導管に移送するステップを含む方法において、第1の隔室における第1の液体の増加容積が、第2の隔室からのそして第2の導管中への第2の液体の置換を引き起す方法に関する。
任意の第1または第2の液体は、液体が分配/回収装置およびその関連構成部品に適合することを条件として本発明の装置で分配または回収することができる。分配/回収装置およびその関連構成部品に有用な材料は、液体に対して化学的に不活性であり、運転温度で劣化せずかつ運転圧力で破裂または漏洩しないものである。適当な構造材料は当技術分野において知られている。
本発明のディスペンサと関連して使用される際の「液体」という用語は、溶液、懸濁液、エマルション、分散液および溶融体を含む、ディスペンサを介して流動させることのできる任意の材料を意味する。一般的に、本発明において有用な液体は、ディスペンサの運転温度において約2000cSt(センチストークス)までの粘度を有する。材料の要件は、周囲温度、例えば、25℃で液体ではないことである。例えば、いくつかの実施形態においては、材料は、加熱後に、例えば、溶融体を形成して流動させることができる。
本発明のディスペンサで分配することのできる第1の液体の非限定的例としては、酸性液体、塩基性液体、約7のpHを有する液体、血液等の体液および病状を治療または予防するための活性剤等の薬剤を含む液体等の水性液体;以下において定義される少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材;(C〜C20)アルカン、(C〜C20)アルケンおよび(C〜C20)アルキン等(いずれも非置換であることもできるし、1つまたは複数の−Rで置換されることもできる)の直鎖および分岐鎖炭化水素;シプロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびデカリン等(いずれも非置換であることもできるし、1つまたは複数の−Rで置換されることもできる)の環状炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンおよびナフタレン等(いずれも非置換であることもできるし、1つまたは複数の−Rで置換されることもできる)の芳香族炭化水素;ガソリン、暖房油No.2(すなわち、ディーゼル油)、航空燃料および液化石炭等の液化化石燃料;エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のグリコール;シリコーン流体;イオン液体;および前述の2つ以上の任意の混合物が挙げられる(ここで、Rは、−OH、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、=O、=S、−C≡N、−NH、−NHR、−NRであり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキルである)。
本発明のディスペンサにより回収することのできる第2の液体の非限定的例としては、第1の液体に対して上で記載したものが挙げられる。第2の液体のその他の非限定的例としては、化学ステップからの使用済み処理液体;使用済みモーターオイル等の劣化液体;以下において定義されるパイ共役基材;および汚水または動物の排泄物(例えば、尿)等の汚物を含む液体が挙げられる。
第1の液体を分配するための手段としては、重力;第1のオリフィスの外へ液体を押出すために第1の液体に圧力を適用する;第1の隔室のオリフィスの第1のオリフィスを密閉して第1の液体を第1の隔室中へ引き込むために第1の隔室を真空排気する;または前述の2つ以上の任意の組合せ等の当技術分野において知られている方法が挙げられる。
第2の液体を回収するための手段としては、重力;第2のオリフィスを第2の液体中に浸漬し、第2の液体を第2のオリフィス中に引き込むために真空を使用する;第2の隔室のオリフィスの第2のオリフィスを密閉して第2の液体を第2の隔室の外へおよび第2のオリフィスの中へ進ませるために圧力を使用する;または前述の2つ以上の任意の組合せ等の当技術分野において知られている方法が挙げられる。
一実施形態においては、分配の前に、第1の液体は、第1の液体がディスペンサオリフィスを介して分配されるのに十分な温度にまで加熱される。
その他の実施形態においては、回収前に、第2の液体は、第2の液体が回収オリフィスを介して回収されるのに十分な温度まで加熱される。
第1または第2の液体が加熱される時は、第1または第2の液体の温度は、約250℃までの範囲であることができる。その他の実施形態においては、第1または第2の液体が加熱される時は、第1または第2の液体の温度は、約200℃までの範囲であることができる。その他の実施形態においては、第1または第2の液体が加熱される時は、第1または第2の液体の温度は、約100℃までの範囲であることができる。
一実施形態においては、第1の液体は、少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材であり、第2の液体はパイ共役基材である。
本明細書において使用される「パイ共役基材」という用語は、例えば、芳香族化合物等の不飽和化合物を意味する。
本明細書において使用される「少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材」という用語は、少なくとも部分的に水素化、例えば、上記5.1項において記載されたようなパイ共役基材の触媒的水素化により水素化されているパイ共役基材を意味する。
有用なパイ共役基材の非限定的例としては、ベンゼン、トルエン、ナフタレンおよびアントラセンを含む、小環状芳香族炭素環および3つ以下の縮合環を有する縮合環炭素環;小環状芳香族炭素環および3つ以下の縮合環を有する縮合環炭素環(その炭素環原子の少なくとも1つが、B、N、O、P、Si、Sまたはそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択されるヘテロ原子で置換される)の複素環類似体;フェニル置換シラン、アリール置換オリゴマーおよびエチレンの低分子量ポリマー、アリールおよびビニル置換シロキサン(ここで、アリール基は、フェニル、トリルおよびアンスラシル基である)のオリゴマー(特開第2002−134141号参照);およびフェニレンの低分子量ポリマー(特開第2002−134141号参照));ならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せが挙げられる。
有用なパイ共役基材のその他の非限定的例としては、上記5.1.2項において記載された拡張パイ共役基材が挙げられる。一実施形態においては、拡張パイ共役基材は、拡張多環式芳香族炭化水素、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、パイ共役有機ポリマーおよびオリゴマー、イオン性パイ共役基材、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材、少なくとも1つの三重結合基を伴うパイ共役基材、ピッチおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
一実施形態においては、パイ共役基材は、ピレン、ペリレン、コロネン、オバレン、ピセンおよびルビセン、フルオレン、インデンおよびアセナナフチレン、ピランスロンならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される拡張多環式芳香族炭化水素である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、フルオレン、インデン、アセナナフチレンおよび2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される5員環を含むパイ共役芳香族分子である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、フェナンスロリン、キノリン、N−メチルインドール、1,2−ジメチルインドール、1−エチル−2−メチルインドール;カルバゾール、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−n−プロピルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール;アクリジン;インドロ[2,3−b]カルバゾール、インドロ[3,2−a]カルバゾール、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン、ピラジン[2,3−b]ピラジン、N,N’,N”−トリメチル−6,11−ジヒドロ−5H−ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、1,7−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール、4H−ベンゾ[def]カルバゾールおよび2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材(EPAH)である。
その他の実施形態においては、6員環および5員環を含み、5員環構造において窒素または酸素ヘテロ原子を有するパイ共役芳香族分子であるパイ共役基材は、ジベンゾチアフェン、ホスフィンドール、P−メトキシホスフィンドール、P−メチルホスフィンドール、ジメチルシラインデン、ボラインドール、ボラフルオレン、メチルボラインドールおよび2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、ポリピロール、ポリインドール、ポリ(メチルカルバゾール)、ポリアニリン、ポリ(9−ビニルカルバゾール)および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択されるパイ共役有機ポリマーまたはオリゴマーである。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、ピラジン、N−メチルイミダゾールおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、N−リチオカルバゾール、N−リチオインドール、N−リチオジフェニルアミン、N−ナトリウムカルバゾール、N−カリウムカルバゾール、カルバゾールのテトラメチルアンモニウム塩および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択されるイオン性パイ共役基材である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、テレフタロニトリル(1,4−ジニトリロベンゼン)、ベンゾニトリル、1,3,5−トリニトリロベンゼンおよび2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの三重結合基を伴うパイ共役基材である。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、天然または合成ピッチであってもよいピッチである。調製されたピッチ組成物は、63℃〜114℃の範囲の軟化点を有する。一実施形態においては、本発明の方法において有用な拡張パイ共役基材は、天然ピッチ、合成ピッチ、窒素ヘテロ原子を有する分子を含む合成ピッチおよびそれらの組合せからなる群から選択されるピッチまたはピッチ画分である。
一実施形態においては、低揮発性炭化水素流体またはいくつかの水素化液体EPAH等の添加剤は、流動性を増加させるために拡張パイ共役流体に添加される。
多環式芳香族分子の環構造上の置換基としてn−アルキル、アルキル、アルコキシ、エーテルまたはポリエーテル基の導入、特に、約12個の炭素原子までの鎖長の変わる置換基の使用は、その系の「死荷重」および低減された吸着水素容量におけるいくらかの犠牲においてそれらの融点を下げることができる。また、ある種の置換基、例えば、ニトリルおよびアルキンは、各ニトリル基が、水素の2モル当量に対応できるのでさらなる吸着水素容量を与えることができる。
その他の実施形態においては、パイ共役基材は、2つ以上の成分の混合物で、その内の1つ以上がパイ共役基材を含む混合物である。いくつかの場合においては、混合物は共晶混合物を形成してもよい。例えば、クリセン(1,2−ベンゾフェナントレン、融点250℃)およびフェナントレン(融点99℃)は、95.5℃で融解する共晶を形成することが報告されており、クリセン、アントラセンおよびカルバゾール(融点243℃)からなる3成分系に対しては、共晶が192℃で観察されている(Pascalの論文、Bull. Soc. Chim. Fr. 1921、648)。
一実施形態においては、少なくとも2つの異なる少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材の混合物は共晶混合物である。
その他の実施形態においては、共晶混合物は、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材およびそれらの任意の組合せの混合物を含む。
その他の実施形態においては、共晶混合物は、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−プロピルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾールまたは2つ以上の前記物質の任意の組合せを含む。
その他の実施形態においては、共晶混合物は、1−エチル−2−メチルインドールおよび1,2−ジメチルインドールを含む。
本発明はまた、液体燃料補給方法に関する。
一実施形態においては、本発明は、
少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材を含む第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、パイ共役基材を含む第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えたディスペンサを第1の隔室および第2の隔室に流動連通させて配置するステップと、
第1の隔室内に存在する第1の液体の一部を水素生成器に移送し、水素および第2の液体を提供するのに十分な脱水素化条件下で、貯蔵された第1の液体の部分を脱水素触媒に接触させるステップと、
第2の液体の少なくとも一部を第2の隔室に移送するステップと、
第1の液体を、第1の導管を通じて第1の隔室に移送し、第2の液体を前記第2の導管を通じて移送するステップとを含む燃料供給方法、に関する。
本発明における使用に適する脱水素方法は、R. O. LouftyおよびE. M. Veksterの論文(「液体有機水素化物における水素貯蔵の研究(Investigation of Hydrogen Storage in Liquid Organic Hydrides)」、Proceedings of the International Hydrogen Energy Forum 2000、Munich Germany、2000年; 335〜340ページ);米国特許第6074447号明細書(Jensenら);およびHodoshimaらの論文(Int. J. Hydrogen Energy 28: 1255〜1262ページ(2003年))に記載されており、前述の引用文献のそれぞれの全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明において有用な脱水素方法としては、「乾湿多相条件」下で約200℃〜400℃で行われる方法であって、飽和液体炭化水素を、N. Kariyaらの論文(Applied Catalysis A 233: 91〜102ページ(2002年)、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている、触媒が交互に湿性および乾性であるような方法において加熱された固体触媒と断続的に接触させることを含む方法が挙げられる。好ましい脱水素方法は、連続液相方法であって、5.1.3項において記載されている水素化パイ共役基材およびパイ共役基材の沸点より低い温度で行われる方法である。脱水素方法との関連において使用される場合の「水素化パイ共役基材およびパイ共役基材の沸点より低い温度で」と言う文句は、方法が、反応温度で沸騰することから水素化パイ共役基材およびパイ共役基材を守るのに十分な圧力で行われることを意味する。
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために開示されるものであって、本明細書に記載されかつ特許請求されている本発明を限定するものではない。現に知られているか後に開発されるすべての均等物による置換および組成の変化または実験法のわずかな変化を含めた本発明のそのような変形は、本発明の範囲内に含まれる。
(6. 実施例)
(実施例1):ピレンの可逆水素化
ピレンのサンプル(>99%、Fluka)0.2gおよび炭素触媒上のロジウム(5%Rh、Acros Organics)0.1gを、均一な色の混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psia(69バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。次いで、反応器系を1000psia(69バール)水素まで2度加圧し、脱気した。パージングが完了したら、サンプル混合物を、95℃および1000psia(69バール)水素で1.5時間粉砕することによって水素化した。反応時間後に、反応器を、次いで、室温まで素早く冷却し、脱気した。サンプル混合物の半分を反応器から除去し(h−ピレン)、残りの材料を、脱水素のために反応器に残した。脱水素される材料を上述のようにパージし、反応器が室温まで冷却される前に、95℃および15psia(1バール)水素で3時間粉砕した。次いで、サンプルが分析のために除去された(dh−ピレン)。水素化ピレン(h−ピレン)および脱水素h−ピレン(dh−ピレン)の両方のサンプルをクロロホルム(HPLC等級)抽出および不溶性触媒のろ過により触媒から分離した。次いで、クロロホルムを真空下で除去して純粋生成物を得た。ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)およびプロトン核磁気共鳴(NMR)分光分析を、水素化および脱水素h−ピレンについて行った。GC−MSは、出発物質のピレンの>99%が、全サンプル重量(ピレン+触媒)に基づいて2.3重量%の水素の重量貯蔵容量を有する水素化生成物の混合物に転換したことを示した。脱水素については、GC−MSは、転換した水素化材料の約25%がピレンに戻ることを示した。プロトンNMRは、ピレンの水素化/脱水素を検証するために使用された。プロトンNMRスペクトルは、個々の水素化ピレン生成物のピーク割当てにとって複雑過ぎるが、ピレンのピーク強度の積分対スペクトルにおける新しい共鳴は、水素化中の実質的な転換および脱水素後のピレンの部分的再生成を示した。表2および3は、これらの質量に対して正規化された面積からGC−MSから計算されたh−ピレンおよびdh−ピレンの生成物分布を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
(実施例2):炭素触媒上の5%Rhおよび機械的粉砕によるコロネンの可逆水素化
コロネンのサンプル(95%、Acros Organics)0.125gおよび炭素触媒上のロジウム(5%Rh、Acros Organics)0.065gを、均一な色の混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psia(69バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。次いで、反応器系を、1000psia(69バール)水素まで2度加圧し、脱気した。コロネンは、混合物を4時間、連続的に粉砕しながらサンプル混合物を1045psia(72バール)水素下で150℃まで加熱することによって水素化された。次いで、反応器を室温まで素早く冷却し、大気圧まで脱気した。混合物を反応器から除去し、計量し、材料の半分を脱水素のために反応器に戻した。水素化コロネン(h−コロネン)を、クロロホルム抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により混合物から除去した。脱水素は、150℃で15psia(1バール)水素下で16時間の連続粉砕により行われた。反応器を室温まで冷却後、サンプル混合物を反応器から除去し、脱水素h−コロネン(dh−コロネン)を、クロロホルム抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により単離した。h−コロネンおよびdh−コロネンの両方のサンプルが、プロトンNMRおよびDEPプローブCI(イソブタン)分光分析により分析された。コロネン親イオン(MW=300)は、h−コロネンの質量スペクトルにおいては存在しなかった。質量スペクトルは、主として、318、314および310質量からなっていた。dh−コロネンの質量スペクトルは、310、314および318における3つの質量が強度において減少し、新たなピークが、コロネンの分子量の300m/zにおいて形成されたことを示した。それぞれの生成物に対する応答ファクターは同じものと仮定して、水素化によるコロネンのスペクトルおよび重量増加に対する特定イオンの寄与が計算された。水素化により、コロネンは3.5重量%の水素を付加し、これらの水素化生成物の80%が、脱水素により元のコロネンに転換した。不可逆水素化生成物は、主に、318質量の異性体からなっていた。プロトンNMR分光分析は、質量分光分析結果と良く一致した。コロネン共鳴(9ppmにおける一重項)は、水素化後に著しく縮小し、メチレン水素に割当てられる新たな高磁場共鳴が現れた。コロネン共鳴の強度は、脱水素後に回復され、メチレン共鳴が縮小した。表4および5は、h−コロネンおよびdh−コロネンの質量スペクトルにおける各質量シグナルの相対発生量を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
(実施例3):炭素触媒上の5%Rhによるコロネンの可逆水素化
コロネンのサンプル(95%、Acros Organics)0.066gおよび炭素触媒上のロジウム(5%Rh、Acros Organics)0.033gを、均一な暗緑色の混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で15分間粉砕した。次いで、サンプルを異なる加圧吸着装置に入れた。吸着装置は、異なる圧力ゲージにより橋渡しされた2つの同じ圧力セルからなっていた。2つのセルの絶対圧力は、圧力変換機により独立に測定された。サンプルによる水素の吸着は、2つのセル間で同じ温度を維持しながら対照セルと関連するサンプルセルにおける圧力の相対的減少により特徴付けられた。サンプルは、周囲温度で30分間、真空下で脱気された。サンプルセルおよび対照セルの両方を970psia(67バール)水素下に置き、150℃まで加熱した。サンプルセルにおける水素圧は、対照セルに比べて、17時間にわたり低下し、サンプルによる3.2重量%の水素吸着を示した(図8)。17時間後、セルを周囲温度まで冷却し、両方のセルの圧力を20psia(1.4バール)まで減少した。両方のセルを150℃まで加熱することにより、対照セルに比べてサンプルセルの圧力が増加し、サンプルからの水素の脱着を示した(図9)。70時間後、サンプルは1.0重量%の水素(吸着された水素の31%)を脱着した。
(実施例4):パラジウムによるコロネンの可逆水素化
コロネンのサンプル(95%、Acros Organics)0.1gを、RFスパッタリングによりパラジウム金属粒子で含浸させた。その後のTGA燃焼分析で、コロネン固体に3%のパラジウム金属が負荷されたことが証明された。次いで、サンプルを異なる圧力吸着装置に入れた。吸着装置は、異なる圧力ゲージにより橋渡しされた2つの同じ圧力セルからなっていた。2つのセルの絶対圧力は、圧力変換機により独立に測定された。サンプルによる水素の吸着は、2つのセル間で同じ温度を維持しながら対照セルと関連するサンプルセルにおける圧力の相対的減少により特徴付けられた。サンプルは、周囲温度で20分間、真空下で脱気された。サンプルセルおよび対照セルの両方を995psia(69バール)水素下に置き、150℃まで加熱した。サンプルセルにおける水素圧は、対照セルに比べて、63時間にわたり低下し、サンプルによる4.9重量%の水素吸着を示した(図10、サイクル#1)。63時間後、両方のセルの圧力は20psia(1.4バール)まで減少した。150℃で約24時間後、両方のセルを200℃まで加熱した。40時間までの加熱期間を通して、対照セルに比べてサンプルセルの圧力が増加し、サンプルからの水素の脱着を示した(図11)。40時間後、サンプルは4.5重量%の水素(吸着水素の92%)を脱着した。次いで、セルを150℃まで冷却し、両方のセルにおける水素圧を1005psia(69バール)まで上昇させた。サンプルセルにおける水素圧は、対照セルに比べて、91時間にわたり低下し、サンプルによる3.9重量%の水素吸着を示した(図10、サイクル#2)。両方のセルにおいて圧力を20psia(1.4バール)まで下げ、温度を200℃まで上昇させた。9時間までの加熱期間を通して、対照セルに比べてサンプルセルの圧力が増加し、サンプルから3.5重量%の水素の脱着を示した(サイクル#2における吸着水素の90%、図12)。
(実施例5):炭素上の5%Rhおよび機械的粉砕によるヘキサベンゾコロネン(HBC)の可逆水素化
ヘキサベンゾコロネン(HBC)のサンプル0.06gおよび炭素触媒上のロジウム(5%Rh、Acros Organics)0.03gを、均一な暗緑色の混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチール挿入物を含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psia(69バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。次いで、反応器系を、1000psia(69バール)水素まで2度加圧し、脱気した。HBCは、混合物を8時間、連続的に粉砕しながらサンプル混合物を1130psia(78バール)水素下で200℃まで加熱することによって水素化された。次いで、反応器を室温まで素早く冷却し、大気圧まで脱気した。サンプル混合物の半分を反応器から除去し(h−HBC)、残りの材料を脱水素のために反応器に残した。脱水素される材料を上述のようにパージし、反応器が室温まで冷却される前に、200℃および15psia(1バール)水素で16時間粉砕した。次いで、サンプルが分析のために除去された(dh−HBC)。水素化HBC(h−HBC)および脱水素h−HBC(dh−HBC)の両方のサンプルをクロロホルム抽出および不溶性触媒のろ過により触媒から分離した。次いで、クロロホルムを真空下で除去して、マトリックスとしてテトラシアノキノジメタンを使用するMALDI質量分光分析により分析された純粋生成物を得た。HBC(MW=522)の水素化により新たな質量が540m/zに生じた。この新たな質量は、9個の水素分子の付加に相当した。脱水素h−HBCのスペクトルは、HBCの再生成および540m/zにおける水素化生成物の縮小を示した。水素化中のHBCからh−HBCへの転換は約70%であったが、脱水素中のh−HBCからHBCへの戻り転換は約63%であった。したがって、水素化中のHBCの水素貯蔵能力は約2.4重量%であった。HBCの水素化(表6)およびそれに続く脱水素(表7)の結果が以下に示される。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
(実施例6):水素化チタンおよび機械的粉砕によるコロネンの可逆水素化
アルゴングローブボックス中で、コロネンのサンプル0.1gおよび水素化チタン(TiH、Alfa Aesar)0.047gを、均一な混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、グローブボックス中で、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psia(69バール)水素まで加圧し、脱気した。コロネンは、混合物を2時間、連続的に粉砕しながらサンプル混合物を1185psia(82バール)水素下で200℃まで加熱することによって水素化された。次いで、反応器を室温まで素早く冷却し、大気圧まで脱気した。混合物を反応器から除去し、水素化コロネン(h−コロネン)を、クロロホルム抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により混合物から除去した。プロトンNMR分光分析は、コロネン共鳴(9ppmにおける一重項)が水素化後に著しく縮小し、メチレン水素に割当てられる新たな高磁場共鳴が現れたことを示した。これらのメチレン共鳴対非水素化コロネンの積分は、コロネンの水素化コロネン生成物への44%転換を証明するものである。
水素化チタン触媒を使用してh−コロネンの脱水素を検討するために、52%のコロネンおよび48%の水素化コロネンを含むh−コロネン混合物0.03gを、アルゴングローブボックス中で、水素化チタン(TiH、Alfa Aesar)0.03gと一緒に、均一な混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、グローブボックス中で、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系を1000psia(69バール)水素まで加圧し、15psia(1バール)まで脱気した。h−コロネンは、混合物を7時間、連続的に粉砕しながらサンプル混合物を15psia(1バール)水素下で150℃まで加熱することによって脱水素された。次いで、反応器を室温まで素早く冷却した。混合物を反応器から除去し、脱水素コロネン(dh−コロネン)を、クロロホルム抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により混合物から除去した。GC−MS分析が脱水素h−コロネンについて行われ、その結果は、水素化チタンでの脱水素によりh−コロネンの約90%がコロネンに転換したことを示した。
(実施例7):炭素触媒上の5%Rhおよび機械的粉砕によるカルバゾールの可逆水素化
カルバゾール(96%、Aldrich)0.2gのサンプルおよび炭素触媒上のロジウム(5%Rh、Acros Organics)0.1gを、均一な混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で手で粉砕した。次いで、混合物を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psiaまで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。次いで、反応器系を、1000psia(69バール)水素まで2度加圧し、脱気した。カルバゾールは、混合物を4時間、連続的に粉砕しながらサンプル混合物を1050psia(72.4バール)水素下で125℃まで加熱することによって水素化された。次いで、反応器を室温まで素早く冷却し、大気圧まで脱気した。反応器をアルゴングローブボックスの中に持ち込み、混合物を反応器から除去し、計量し、材料の半分を脱水素のために反応器に戻した。水素化カルバゾール(h−カルバゾール)を、アセトン抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により混合物から除去した。反応器系を、1000psia(69バール)水素まで加圧し、15psia(1バール)まで脱気した。h−カルバゾールは、4時間、機械的粉砕なしで、15psia(1バール)下で125℃にサンプル混合物を加熱することによって脱水素された。次いで、反応器を素早く室温まで冷却した。反応器をアルゴングローブボックスの中に持ち込み、混合物を反応器から除去した。脱水素カルバゾール(dh−カルバゾール)は、アセトン抽出、不溶性触媒のろ過および真空下での乾燥により混合物から除去された。表8および9は、これらの質量に対して正規化された面積からGC−MSから計算されたh−カルバゾールおよびdh−カルバゾールの生成物分布を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
(実施例8):0.15〜0.26バールの水素圧下での液体ピレンの脱水素
実質的に水素化されたピレン(25℃で無色液体、h−ピレン)のサンプル0.4gおよび炭素触媒上の白金0.2g(10%Pt、Strem)を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、系をヘリウムで700psia(48.3バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。系を再度排気し、15%の水素/85%のヘリウム混合物で満たした。サンプルは、15%の水素/85%のヘリウム混合物の下で160℃で24時間、初めに、2.25psia(0.1バール)の水素分圧に対して15psia(1バール)で、そして、加熱過程および脱水素反応からの水素の放出の間は、約3.6psia(0.26バール)の水素分圧に対して24psia(1.7バール)まで増加した圧力で粉砕することにより脱水素された。反応後、反応器を素早く室温まで冷却し、脱気した。サンプル混合物(dh−ピレン)を反応器から除去し、クロロホルム(HPLC等級、Fisher)での抽出および不溶性触媒のろ過により触媒から分離した。次いで、クロロホルムを真空下で除去し純粋生成物を得た。GC−MSは、水素化ピレンおよび脱水素h−ピレンを分析するために使用された。表10および11は、これらの質量に対して正規化された面積からGC−MSから計算されたh−ピレンおよびdh−ピレンの生成物分布を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
上の表10および11から計算されるように、水素化ピレン+触媒の重量水素貯蔵容量は4.7重量%であり、脱水素後の容量は3.7重量%水素まで減少した。これは、h−ピレンの脱水素中に放出されている貯蔵水素の約21%に相当する。
(実施例9):1バールの水素圧下での液体ピレンの脱水素
実質的に水素化されたピレン(25℃で無色液体、h−ピレン)のサンプル0.4gおよび炭素触媒上のロジウム0.2g(5%Rh、Acros Organics)を、特別注文による粉砕装置を備えた50cc高圧反応器(Parr instruments)に入れた。粉砕装置は、円弧形状パドルを持つ細長い攪拌軸からなるものであった。反応器の底部は、攪拌軸のパドルが1/8インチ(3.175mm)の間隔で反応器の底を掃くことができるように凹形底部を伴うステンレススチールインサートを含んでいた。サンプル混合物の機械的攪拌は、サイズを変えた(1/16インチ(1.58mm)〜1/4インチ(6.35mm)直径)5−8ステンレススチールボールベアリングを添加して行われた。攪拌モーターは、サンプル混合物のすべてが粉砕ボールと接触することを確実にするために、攪拌機の回転方向が、反応過程において時計回りと反時計回りとの間で交互に変化するようにプログラム化された。サンプル混合物および粉砕ボールを反応器に充填したら、5分間排気し、系をヘリウムで1000psia(69バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムでの加圧および脱気を3回繰り返した。系を、14.5psia(1バール)の水素で満たした。サンプルは、150℃で,23psia(1.6バール)の水素圧下で16時間粉砕することにより脱水素された。反応後、反応器を素早く室温まで冷却し、脱気した。未だ液体のサンプル混合物(dh−ピレン)を反応器から除去し、クロロホルム(HPLC等級、Fisher)での抽出および不溶性触媒のろ過により触媒から分離した。次いで、クロロホルムを真空下で除去し純粋生成物を得た。GC−MSは、水素化ピレンおよび脱水素h−ピレンを分析するために使用された。表12および13は、これらの質量に対して正規化された面積からGC−MSから計算されたh−ピレンおよびdh−ピレンの生成物分布を示す。
Figure 2007515363
Figure 2007515363
上の表12および13から計算されるように、水素化ピレン+触媒の重量水素貯蔵容量は4.7重量%であり、脱水素後の容量は3.5重量%水素まで減少した。これは、h−ピレンの脱水素中に放出されている貯蔵水素の約25%相当する。
(実施例10):単一反応器系におけるN−エチルカルバゾールの水素化および脱水素
不活性雰囲気下で、N−エチルカルバゾール8.0g、アルミン酸リチウム上の5%ルテニウム(水素化触媒)0.2gおよびアルミン酸リチウム上の4%パラジウム(脱水素触媒)0.2gを、20cc攪拌タンク反応器に入れ、反応器を密閉した。反応器を、真空源、高圧水素源、高圧バラストおよび、調整された100sccm流量計からなる流量測定系を含むマニホールドに接続した。残留空気をマニホールドラインから排気後、反応器を通して水素をパージし、反応器の上部空間からアルゴンを追い出した。反応器およびバラストを、水素で1000psiaまで満たし、内容物を急速攪拌しながら160℃まで加熱した。加熱は、系の圧力低下が終わるまで約250分間続けられた。反応器を50℃まで冷却し、水素圧は15psia(約1気圧)まで減少した。次いで、反応器は流量計に向けて開放された。反応器を、1気圧の水素下で、3℃/分の速度で、50℃〜197℃まで加熱した。加熱により、水素化N−エチルカルバゾール液体から水素が発生し、この水素ガスは、測定のために流量計に通された。系の圧力は、脱水素中、一定の15psiaに維持された。約220分後、流量は<2sccmまで縮小し、流量計は反応器から分離され、反応器は160℃まで冷却された。発生した水素の合計量は4.99リットル(標準温度および圧力において)であり、液体から5.6重量%の水素の脱着に相当する。反応器における水素圧を1000psiaまで増加し、N−エチルカルバゾールを、160℃で再水素化した。水素化(1000psiaの水素、160℃)および脱水素(15psiaの水素、197℃)の手順が、反応器の開放、反応器への何らの内容物の添加または反応器の何らの内容物の除去なしに、合計5回のサイクルで繰り返された(図13)。5番目のサイクル後に、N−エチルカルバゾールは、反応器において水素化され(1000psia水素、160℃)、内容物が分析のために除去された。水素化N−エチルカルバゾールのGC/MS分析は、検出可能な劣化または反応副生成物の形成を示さなかった。
(実施例11):分離反応器系におけるN−エチルカルバゾールの水素化およびN−エチルカルバゾールの脱水素
100ccのステンレススチール圧力反応器に、50gのN−エチルカルバゾールおよびアルミン酸リチウム上5%ルテニウム2.0gを充填した。水素で上部空間をパージした後、水素圧を800psiaまで増加した。反応器を160℃まで加熱し、水素圧を1000psiaまで増加した。2.5時間後、反応器を25℃まで冷却し、内容物をろ過して触媒を分離した。GC/MS分析は、ペルヒドロ−N−エチルカルバゾールへの完全な転換を示した。また、GC/MS分析は、ペルヒドロ−N−エチルカルバゾールが、GCカラムで解明された3つの異なる配座異性体として水素化混合物において存在したことを明らかにした。ペルヒドロ−N−エチルカルバゾールは、20℃、20分間の排気(1.0×10−3torr)により脱気された。不活性雰囲気下で、N−エチルカルバゾール4.0gおよびアルミン酸リチウム上4%パラジウム(脱水素触媒)0.1gを、20cc攪拌タンク反応器に入れ、反応器を密閉した。反応器を、真空源、水素源および、一連の調整された10および100sccm流量計からなる流量測定系を含むマニホールドに接続した。残留空気をマニホールドラインから排気後、反応器を通して水素をパージし、反応器の上部空間からアルゴンを追い出した。反応器を、1atm.水素下で攪拌(300rpm)しながら150℃まで加熱した。150℃で15分後に、測定された水素流量は、0.2重量%の水素の脱着に相当した。次いで、水素化N−エチルカルバゾーの急速脱水素を達成するために、温度を200度まで上昇させた。197℃で最初の60分において、3.8重量%の水素が脱着した。200℃で260分後に、5.35重量%の水素が脱着し、合計で5.55重量%の水素の水素脱着を与えた(図14)。
(実施例12):連続流通反応器系におけるN−エチルカルバゾールの脱水素
管状反応器(直径3/8インチ(9.525mm)、長さ7インチ(177.8mm))に、少量のガラスビーズ、必要量の触媒(アルミナ球体(直径3mm)上の5%Pd)を充填し、少量のガラスビーズで頂部を覆った。反応器を垂直方向に置き、環状炉を使用して所望の温度まで加熱した(図15)。反応器を通して貯蔵タンクからペルヒドロ化N−エチルカルバゾールの所望の流動を得るためにピストンポンプが使用された。脱水素液体反応生成物は、背圧調整器を通して気液分離機(1リットルの円筒容器)に通された。液体流を受け入れ容器に落下させながら、水素ガスを分離機頂部から流出させ、流量計で測定した。別の実験においては(表14)、水素化N−エチルカルバゾールは、反応器の頂部から底部へ(下降流)および反応器の底部から頂部へ(上昇流)と流動された。反応器における圧力は背圧調整器を使用して調節された。
Figure 2007515363
(実施例13):N−エチルカルバゾールの水素化の反応熱測定
水素化熱量測定実験は、HP100ステンレススチール反応器を伴うメトラーRC1e反応熱量計を使用して行われた。反応器には、1800rpmで操作されるガス誘導インペラーが装着された。消費水素量の正確な測定を行うために、ビュッキ圧入流動ガスコントローラ(Buchi PressFlow gas controller)を使用して水素を反応器に配達した。反応熱量計は、ジャケット温度および反応温度との間の差に反応系に対する熱伝導率を掛けることによって反応器の中へのまたは外への熱流量を計算する。この熱伝導率Uは、反応器における液体、反応器内部の物(インペラー、バッフル等)および攪拌速度の性質で変動する。反応による熱生成速度は、熱収支におけるその他の条件を考慮して全体の熱流量から計算された。バッチ実験においては、最も重要なその他の条件は、反応器における顕著な熱変化、例えば、反応の始めにおける温度の立ち上げまたは温度の行過ぎ中の熱変化である。この条件を計算するためには、反応器の内容物の熱容量cが必要である。最高品質の熱量データのためには、Uの値およびcの値は、温度および液体組成物の関数として測定されなければならず、基準線は反応相前および後に確定されなければならない。N−エチルカルバゾールの出発物質にとって必要なパラメーターのいくつかを確定するために別の実験が反応バッチ前に行われた。Uおよびcの値は、100℃〜160℃の範囲の温度で20℃間隔でRC1を使用して測定された。これらの測定は、反応器において触媒の存在なしで行われた。
反応器に、1150gのN−エチルカルバゾールを充填し、150℃まで加熱した。実験の前部で良好な基本線および正確なU測定を達成するために、触媒は、これらの目的が達成された後、すなわち、反応温度の達成後にのみ添加された。反応器には、アルミン酸リチウム触媒上の5%ルテニウム40gが、150℃で、液体N−エチルカルバゾールに直接添加され、その後、攪拌が開始され、反応器は1000psiaまで素早く加圧された。水素化は、1000psiaの水素圧を一定に維持しながら、150℃で20時間行われた。20時間後、測定された水素摂取はほぼ完全な水素化を示唆した。水素化中、計算された反応熱は、1.5<H/N−エチルカルバゾール<3.5に対して約12.4kcal/molHで安定して持続し、次いで、H/N−エチルカルバゾール=5で約11.8kcal/molHまで直線的に減少した。
(実施例14):1−エチル−2−メチルインドール/1,2−ジメチルインドール混合物の可逆水素化
1,2−ジメチルインドール4.2gおよび1−エチル−2−メチルインドール1.8gの混合物を20ccステンレススチール反応器に入れた。この混合物は20℃で自由流動液体であった。この液体混合物に、アルミン酸リチウム上の5%ルテニウム1.0gを添加した。反応器を密閉し、上部空間を水素でパージした。混合物を、3時間、攪拌(500rpm)しながら700psia水素下で170℃まで加熱した。反応器を周囲温度まで冷却し、内容物を100ccのクロロホルムに溶解した。触媒をろ過により除去した。水素化1,2−ジメチルインドール/1−エチル−2−メチルインドール混合物は、真空下でクロロホルムを除去することによって単離された。液体水素化混合物のGC/MS分析は、1,2−ジメチルインドールおよび1−エチル−2−メチルインドール両方の完全な水素化を示した(表15)。
Figure 2007515363
アルゴン雰囲気下で、20ccステンレススチール反応器に、4.8gの水素化1,2−ジメチルインドール/1−エチル−2−メチルインドール混合物およびアルミナ上の5%パラジウム0.5gを充填した。マニホールドラインから残留空気を排気後、反応器上部空間からアルゴンを追い出すために反応器を通して水素がパージされた。混合物を、13時間、1atm.水素下で攪拌しながら175℃まで加熱した。25℃まで冷却後、反応器をアルゴン下で開放し、反応器の内容物をGS/MSで分析した(表16)。
Figure 2007515363
脱水素混合物における化合物の分布から、脱着水素の計算量は4.5重量%であった。反応器を再密閉し、反応器上部空間からアルゴンを追い出すために反応器を通して水素がパージされた。混合物を、3.0時間、1atm.水素下で攪拌しながら185℃まで加熱した。25℃まで冷却後、反応器をアルゴン下で開放し、反応器の内容物をGS/MSで分析した(表17)。
Figure 2007515363
脱水素混合物における化合物の分布から、脱着水素の計算量は5.03重量%であり、99%の利用可能な水素が回収された。
(実施例15):1−エチル−2−メチルインドールの可逆水素化
100ccのステンレススチール圧力反応器に、1−エチル−2−メチルインドール55gおよびアルミン酸リチウム上の5%ルテニウム2.5gを充填した。水素で上部空間をパージした後、反応器を160℃まで加熱し、水素圧を、攪拌(1000rpm)しながら1000psiaまで増加した。2時間後、反応器を周囲温度まで冷却した。反応器内容物のGC−MS分析は、水素化生成物が、95%のペルヒドロ化1−エチル−2−メチルインドール(h−1−エチル−2−メチルインドール)、2%の1−エチル−2−メチルインドール出発物質および3%の水素化中間体を含んでいることを示した。不活性雰囲気下で、4.0gの水素化混合物、アルミナ上の5%パラジウム0.1gを、20cc攪拌タンク反応器に入れ、反応器を密閉した。反応器を、真空源、水素源および、一連の調整された10および100sccm流量計からなる流量測定系を含むマニホールドに接続した。残留空気をマニホールドラインから排気後、反応器を通して水素をパージし、反応器の上部空間からアルゴンを追い出した。反応器を1atm.水素下で攪拌(300rpm)しながら180℃まで加熱した。180℃で17.5時間後、測定された水素流量は、4.55重量%の水素の脱着に相当した(図16)。最初の4重量%の水素は、180℃で最初の5時間後に脱着された。脱水素サンプルは、GC/MSで分析された(表18)。
Figure 2007515363
脱水素混合物における化合物の分布から、脱着水素の計算量は4.6重量%であった。不活性雰囲気下で、水素化混合物4.0g、アルミナ上の5%パラジウム0.1gを、20cc攪拌タンク反応器に入れ、反応器を密閉した。反応器を、真空源、水素源および、一連の調整された10および100sccm流量計からなる流量測定系を含むマニホールドに接続した。残留空気をマニホールドラインから排気後、反応器を通して水素をパージし、反応器の上部空間からアルゴンを追い出した。反応器を1atm.水素下で攪拌(300rpm)しながら160℃まで加熱した。160℃で24時間後、測定された水素流量は、3.55重量%の水素の脱着に相当した(図17)。脱水素サンプルは、GC/MSで分析された(表19)。
Figure 2007515363
脱水素混合物における化合物の分布から、脱着水素の計算量は3.6重量%であった。
(比較例1):炭素触媒上の5%Rhによるペンタセンの可逆水素化
ペンタセンのサンプル(Aldrich)0.100gおよび炭素触媒上のロジウム0.050g(5%Rh、Acros Organics)を、均一な混合物が形成されるまで瑪瑙乳鉢と乳棒で15分間粉砕した。次いで、サンプルを異なる加圧吸着装置に入れた。吸着装置は、異なる圧力ゲージにより橋渡しされた2つの同じ圧力セルからなっていた。2つのセルの絶対圧力は、圧力変換機により独立に測定された。サンプルによる水素の吸着は、2つのセル間で同じ温度を維持しながら対照セルと関連するサンプルセルにおける圧力の相対的減少により特徴付けられた。サンプルは、周囲温度で20分間、真空下で脱気された。サンプルセルおよび対照セルの両方を980psia(67.6バール)水素下に置き、150℃まで加熱した。サンプルセルにおける水素圧は、対照セルに比べて、約8時間の間低下し、サンプルによる5.5重量%の水素吸着を示した(図18)。14時間後、セルを周囲温度まで冷却し、両方のセルの圧力を18psia(1.25バール)まで減少した。両方のセルを150℃まで加熱することにより、対照セルに比べてサンプルセルの圧力が増加し、サンプルからの水素の脱着を示した(図19)。70時間後、サンプルは0.15重量%の水素(吸着された水素の2.7%)を脱着した。
(比較例2):炭素触媒上の5%Rhによるデカヒドロナフタレン(デカリン)の脱水素を試みた
デカヒドロナフタレン(33%シス−および66%トランス−デカリン、99+%、Aldrich)のサンプル4.0gおよび炭素触媒上のロジウム2.0g(5%Rh、Acros Organics)を、25ccの高圧反応器(Parr instruments)に入れた。サンプル混合物を反応器に充填したら、系をヘリウムで1000psia(69バール)まで加圧し、脱気した。ヘリウムで加圧および脱気を3回繰り返した。触媒を活性化させるために、反応器を、1時間、攪拌しながら150℃で1000psia(69バール)水素で加圧した。反応器系を排気して、15psia(1バール)水素圧まで下げた。16時間、15psia(1バール)水素下で150℃で連続的に加熱することによって脱水素を試みた。反応器を室温まで冷却後、クロロホルム抽出、触媒のろ過および真空下での乾燥によりサンプルを単離した。GC−MSは、サンプルが、100%未反応のデカヒドロナフタレンを含み、検出できる脱水素は起こらなかったことを示した。
(6.1 実施例の検討)
実施例1は、ピレン(C1610)の可逆水素化が、固体ピレンおよび固体混合触媒から開始して、穏やかな条件下でかつ短い反応時間で達成されることを証明する。中程度の機械的粉砕で、95℃で1000psia(69バール)の水素ガス圧下で、ピレンの水素化ピレン化合物(C1612〜C1626)への転換は、1.5時間において99.5%である(表2)。これは、全サンプル重量基準(ピレン+触媒)で2.3重量%の重量水素容量の増加である。水素化が行われる温度は、ピレンの融点(149℃)よりも十分に低い。水素化ピレンは、約110℃の融点兆候を示す室温で固体の物質として単離できる。したがって、水素化の初期において固体のピレンは、95℃で行われる水素化反応中固体のままであると思われる。水素化ピレン化合物の混合物は、中程度の機械的攪拌で、95℃で15psia(1バール)水素下で脱水素できる。これらの条件下で3時間後には、サンプルの25%が元のピレンに転換され、ジヒドロピレン(C1612)の発生量が、さらに水素化の進んだ種に比例して増加した。
実施例2は、コロネン(C2412)の可逆水素化が、固体コロネンおよび固体混合触媒から開始して、穏やかな条件下でかつ短い反応時間で達成されることを教示する。中程度の機械的粉砕で、150℃で1045psia(72バール)の水素ガス圧下で、コロネンの水素化コロネン化合物(C2422〜C2430)への転換は、4時間において99+%である(表4)。これは、全サンプル重量基準(コロネン+触媒)で3.5重量%の重量水素容量の増加である。水素化が行われる温度は、コロネンの融点(442℃)よりも遥かに低い。水素化コロネンは、約280℃の融点兆候を示す室温で固体の物質として単離できる。したがって、水素化の初期において固体のコロネンは、150℃で行われる水素化反応中固体のままであると思われる。水素化コロネン化合物の混合物は、中程度の機械的攪拌で、150℃で15psia(1バール)水素ガス圧下で脱水素できる。これらの条件下で16時間後には、サンプルの91%が元のコロネンに転換された(表5)。
実施例3は、コロネンの可逆水素化が、固体コロネンおよび固体混合触媒を使用して、温度および圧力の穏やかな条件下でかつ機械的粉砕なしで水素を貯蔵するために使用できることを証明する。150℃で970psia(67バール)の水素ガス圧下で、全サンプル重量基準(コロネン+触媒)で3.2重量%の重量水素容量の増加が17時間の期間にわたって観察される(図8)。水素化コロネン化合物の混合物は、機械的攪拌なしで、150℃で20psia(1.4バール)の水素ガス圧下で脱水素できる。これらの条件下で70時間後には、サンプルは1.0重量%の水素を脱着した(図9、吸着水素の31%)。
実施例4は、コロネンの可逆水素化が、固体コロネンおよび固体混合触媒を使用して、温度および圧力の穏やかな条件下でかつ機械的粉砕なしで多量の水素を貯蔵するために使用できることを証明する。吸着剤を水素化および脱水素の複数サイクルに掛けて、循環水素貯蔵プロセスの基礎を形成することができる。150℃で、995psia(68.6バール)の水素ガス圧下で、全サンプル重量基準(コロネン+触媒)で4.9重量%の重量水素容量の増加が、63時間の期間にわたって観察される(図10、サイクル#1)。水素化コロネン化合物の混合物は、機械的攪拌なしで、150℃〜200℃の間で、20psia(1.4バール)の水素ガス圧下で脱水素できる(図7)。150℃で24時間および200℃で14時間後に、サンプルは、4.5重量%の水素(吸着水素の92%)を脱着した。サンプルは、2度水素化された。150℃で、1005psia(69.4バール)の水素ガス圧下で、全サンプル重量基準(コロネン+触媒)で3.9重量%の重量水素容積の増加が、91時間の期間にわたって観察される(図10、サイクル#2)。水素化コロネン化合物の混合物は、機械的攪拌なしで、200℃で20psia(1.4バール)の水素ガス圧下で脱水素できる(図11)。200℃で9時間後には、サンプルは、3.5重量%の水素(吸着水素の90%)を脱着した。図11および12は、さらに、固体の水素化および脱水素が、平衡条件下で容易かつ有効に完結できる点で、2成分固体系(固体基材の水素化および脱水素形態)のガス/固体水素化および脱水素の利点を証明する。
実施例5は、ヘキサベンゾコロネン(C4218)の可逆水素化が、固体ヘキサベンゾコロネンおよび固体混合触媒から開始して達成できることを教示する。中程度の機械的粉砕で、200℃で1130psia(78バール)の水素ガス圧下で、ヘキサベンゾコロネンの水素化ヘキサベンゾコロネン化合物(C4224〜C4236)への転換は、8時間において72%である(表6)。これは、全サンプル重量基準(ヘキサベンゾコロネン+触媒)で1.65重量%の重量水素容量の増加を表す。水素化が行われる温度は、ヘキサベンゾコロネンの融点(700+℃)よりも低い500+℃である。したがって、水素化の初期において固体のヘキサベンゾコロネンは、200℃で行われる水素化反応中固体のままであることは間違いないと思われる。水素化ヘキサベンゾコロネン化合物の混合物は、中程度の機械的攪拌で、200℃で15psia(1バール)水素ガス圧下で脱水素できる。これらの条件下で16時間後には、水素化ヘキサベンゾコロネンの58%が元のヘキサベンゾコロネンに転換された。
実施例6は、コロネン(C2412)の可逆水素化が、固体コロネンおよび初めの遷移金属(Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta)の群からの固体混合触媒から出発して、穏やかな条件下でかつ短い反応時間で達成することができることを証明する。これは、後の遷移金属(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt)の金属および金属合金が、一般的に、水素化および/または脱水素用の触媒として使用される点で注目に値する。さらに、この実施例は、安定な金属水素化物(MH)の形態における触媒が、拡張パイ共役基材の可逆水素化に利用することができることを教示する。中程度の機械的粉砕で、200℃で1185psia(82バール)の水素ガス圧下で、コロネンの水素化コロネン化合物(h−コロネン)への転換は、たった2時間で44%である。水素化コロネン化合物の混合物は、中程度の機械的攪拌で、150℃で15psia(1バール)水素ガス圧下で脱水素できる。これらの条件下で7時間後には、h−コロネンの90%が元のコロネンに転換された。
実施例7は、ヘテロ原子(例えば、N、O、S)を含む拡張パイ共役基材の可逆水素化が、水素の貯蔵のために、固体状態において穏やかな条件下でかつ短い反応時間で行うことができることを教示する。固体カルバゾール(C12N)および固体触媒の混合物は、4時間以下で、125℃で、1050psia(72.4バール)の水素ガス圧下で水素を有効に吸着するのに使用できる。この温度は、水素化が固体状態において簡単に生起することを示唆するカルバゾールの融点(246℃)より低い約120℃である。カルバゾールの定量的水素化およびペルヒドロ化形態のドデカヒドロカルバゾール(C1221N)の非常に高い転換(94%)は、大きな6.6重量%の水素貯蔵容量をもたらす。少量の水素化分解は、水素化反応中のジシクロヘキシルの形成において観察される。これは、反応時間の減少および/またはカルバゾールの完全な転換後直ちに水素化反応を停止することによって軽減することができる。Nヘテロ原子を含むポリ芳香族炭化水素に対して予測される水素化の一般的に小さい△H(図7および関連の検討)は、水素化カルバゾールの平易な脱水素において明らかにされる。脱水素は、機械的攪拌なしで、15psia(1バール)の水素ガス圧下でたった125℃で遂行され、わずか4時間後に3.1重量%の水素ガスを生成する。少量のさらなる水素化分解が、脱水素反応中に観察され、ジシクロヘキシル、シクロヘキシルベンゼンおよびトリブチルアミンの観察につながる。
実施例8は、本発明により教示される水素化液体の拡張パイ共役基材の脱水素が穏やかな条件下で達成できることを証明する。中程度の機械的攪拌で、160℃で、24psia(1.7バール)の15%水素/85%ヘリウムガス圧下で、液体水素化ピレンおよび固体混合触媒から出発する、水素化ピレン(C1620〜C1626)の脱水素ピレン化合物(C1610〜C1626)への転換は、貯蔵水素の21%の解放をもたらす(表11)。ピレンの広範囲にわたる水素化により(表9)、出発液体の融点は25℃より低い。脱水素が終了後、脱水素ピレン化合物の混合物(C1610〜C1626)は、25℃で未だ液体であることが分かった。
実施例9は、水素化液体基材の脱水素が、約1バールを超える水素分圧下で穏やかな温度で達成できることを証明する。中程度の機械的攪拌で、150℃で、23psia(1.7バール)の水素ガス圧下で、液体水素化ピレンおよび固体混合触媒から出発する、水素化ピレン(C1620〜C1626)の脱水素ピレン化合物(C1610〜C1626)への転換は、貯蔵水素の25%の解放をもたらす(表13)。ピレンの広範囲にわたる水素化により(表12)、出発液体の融点は25℃より低い。脱水素が終了後、脱水素ピレン化合物の混合物(C1610〜C1626)は、25℃で未だ液体であることが分かった。液体水素化ピレンの脱水素の範囲は、比較例2における液体デカリンの範囲と比較することができる。同じ温度(150℃)で、しかも低い水素圧(15psia)でも、デカリンの脱水素は、16時間後に、検知されない転換(<0.5%)まで進んだ。
実施例10は、N−エチルカルバゾールの可逆水素化が、温度および圧力の穏やかな条件下で水素の実質的な量を貯蔵するために使用できることを教示する。さらに、パイ共役N−エチルカルバゾール基材は、基材の識別できる化学的劣化なしで水素化および脱水素の複数サイクルに掛けて、単一容器における循環水素貯蔵プロセスの基礎を形成することができる。水素化N−エチルカルバゾール液体基材の低揮発性は、液体担体からの水素の回収を促進する。別々の水素化および脱水素触媒の存在において、N−エチルカルバゾール基材は、1000psia水素で、160℃で、250分間水素化され、約5.8重量%の水素を貯蔵した。水素圧を15psiaまで減少し、温度を197℃まで増加することによって、水素は、水素化N−エチルカルバゾールの触媒的脱水素により配達された(図13)。N−エチルカルバゾールおよび様々な水素化N−エチルカルバゾール中間体の低揮発性により、反応器において液体基材から水素を分離するための装置(例えば、コンデンサまたは膜)を必要としなかった。水素は反応器から発生し、一方、液体基材は反応器に残った。197℃で220分後に、約5.6重量%の水素がN−エチルカルバゾール基材から配達された。次いで、基材は、元の水素化条件下で(1000psia水素、160℃)、再水素化された。水素化および脱水素のサイクルが5回繰り返され、次いで6番目の水素化が行われた。5回すべてのサイクルにおいて、5.5重量%を超える水素が配達され、水素貯蔵容量における減少ははっきりそれと分からなかった。水素配達の割合は、197℃で5.5重量%を超える水素の配達に対して220〜370分の範囲の時間を伴う5回のサイクルにわたって規則的な変化を示さなかった。したがって、単一反応器系におけるN−エチルカルバゾールは、水素化(充填)が、水素圧を所望の水素化温度での水素化に対する平衡圧より高く上げることによって遂行され、脱水素(放出)が、圧力を水素化のための平衡圧よりも低く下げ、温度を増加させることによって遂行することができる温度/圧力スイング方式を使用して水素を可逆的に貯蔵するために使用することができる。あるいは、パイ共役基材の可逆水素化による水素の貯蔵は、圧力スイング方式を使用して遂行することができる。圧力スイング方式においては、水素化および脱水素の両方に適した温度で、所望の水素化(充填)または脱水素(放出)を達成するために圧力を増加させまたは減少させながらこの温度が一定に保持される。
実施例11は、N−エチルカルバゾールの可逆水素化が、水素化液体基材の形態におい水素の実質的な量を貯蔵するために使用できることおよび水素化液体基材が、水素が脱水素反応器を使用して回収される場所まで移送することができることを証明する。水素化反応器系は、液相パイ共役基材の水素化により水素を捕捉して貯蔵するために使用することができる。自由流動液相水素化基材は、貯蔵タンクおよび貯蔵容器へ分配するためにポンプ輸送または注入することができる。液体は、液体移送および分配のための通常の方法(パイプライン、鉄道、タンカー、トラック)を使用して容易に移送することができる。水素は、使用の場所で、水素を配達し、水素化反応器の場所に戻す最後の移送のために脱水素化基材を回収する脱水素反応器系により発生される。水素化触媒の存在下で、N−エチルカルバゾールは、水素化反応器において、1000psiaの水素下で、160℃で2.5時間水素化された。水素化N−エチルカルバゾールは無色で、自由流動の、取り扱いが容易な低揮発性液体である。GC/MSを使用する水素化N−エチルカルバゾールの分析は、3つの異なる配座異性体の存在を明らかにした。これらの配座異性体は、同じ式および結合連結性を持つが、異なる立体化学を持つ個別の化合物である。それらは、それぞれの配座異性体の異なる△Hを含めて、異なる物性を有する。水素化触媒を除去するためのろ過後に、水素化液体は脱水素反応器へ移送された。脱水素触媒の存在下で、水素化N−エチルカルバゾールは、150〜197℃の温度で、15psiaの水素下で脱水素され、197℃で260分後に5.55重量%の水素を生成した(図14)。
実施例12は、水素化N−エチルカルバゾールの脱水素が、連続流通脱水素反応器系において行うことができることを教示する。連続流通反応器系は、安定した水素流量が好まれる用途に適することがある。流通系は、水素化反応器への移送のための脱水素化基材の収集を促進することができる。脱水素および反応器からの水素流の速度は、脱水素反応器の温度および脱水素反応器内部の水素圧により調節することができる。N−エチルカルバゾールおよび種々の水素化N−エチルカルバゾール中間体の低揮発性は、単一気液分離機容器を使用して、水素の脱水素液体基材からの分離を可能にする。ビーズ状脱水素触媒を充填した管状反応器においては、水素化N−エチルカルバゾールは、166〜193℃の温度範囲で、25psia〜115psiaの水素圧範囲で液体を脱水素触媒床に通すことによって脱水素された。脱水素液体は、単一気液分離機を使用して水素から簡単に分離され、回収タンクに送られた。水素の流量は反応器系の温度により調節された。表14の項目7においては、水素の流量は、166℃の脱水素反応器温度で36sccmであった。同じ触媒充填および水素圧(30psia)では、水素流量は、190℃の脱水素反応器温度で68sccmであった(表14、項目8)。水素流量は、また、脱水素反応器系における水素圧を使用して調節された。表14の項目4においては、水素流量は、28psiaの脱水素反応器水素圧で85sccmであった。同じ触媒充填および反応器温度(190℃)では、水素流量は、115psiaの脱水素反応器水素圧で40sccmであった。
実施例13は、N−エチルカルバゾールが、その他の芳香族基材(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン)の水素化熱よりも実質的に低い水素化熱を有することを証明する。N−エチルカルバゾールの相対的に低い水素化熱は、従来法におけるいずれの水素担体よりも低温脱水素をもたらす。反応熱量計においては、N−エチルカルバゾールは、1000psiaの水素下で、150℃で20時間水素化された。基本熱流量は、水素化反応により発生した熱量を正確に決定するために慎重に測定された。150℃での(液体)N−エチルカルバゾールの水素化熱は、水素化反応が完結に向うにつれて12.4kcal/molH〜11.8kcal/molHの間で変動した。我々が知る限り、ピリジンHに対して−14.96kcal/molよりも低い水素化熱、|△H H2|、を有することが報告された芳香族化合物は存在していない(表1b参照)。−11.8〜−12.4kcal/molHの、我々の実験的発見は、N−エチルカルバゾールの150℃での我々の計算した(気相、量子力学から)△HH2(−12.4kcal/molH)に立派に匹敵し、表1a〜1dにおいて示される水素化のその他の計算熱に信頼を与える。
実施例14は、パイ共役基材の混合物が温度および圧力の穏やかな条件下で水素の実質的な量を貯蔵するために使用することができることを教示する。周囲温度で固体の高容量基材(1,2−ジメチルインドール)および周囲温度で液体のわずかに低い容量基材(1−エチル−2−メチルインドール)が2:1(mol/mol)比でブレンドされ、周囲温度(20℃)で自由流動液体である混合物を形成した。水素化触媒の存在下で、1,2−ジメチルインドール/1−エチル−2−メチルインドール)混合物は、水素化反応器において、700psiaの水素下で、170℃で、3時間攪拌(500rpm)しながら水素化された。水素化1,2−ジメチルインドール/1−エチル−2−メチルインドール)混合物は、無色で、自由流動の、取り扱いが容易な低揮発性液体である。水素化触媒を除去するためのろ過後に、水素化液体は、脱水素反応器に入れられた。脱水素触媒の存在下で、水素化1,2−ジメチルインドール/1−エチル−2−メチルインドール)混合物は、15psiaの水素下で、175℃で13時間脱水素され、4.5重量%の水素を生成した。さらに185℃で3時間加熱するとさらに水素が生成し、合計量で5.03重量%の貯蔵水素および回収(理論容量の99%)水素を与えた。
実施例15は、1−エチル−2−メチルインドールの可逆水素化が、温度および圧力の穏やかな条件下で水素の実質的な量を貯蔵し、非常に穏やかな温度で水素を放出するために使用できることを証明する。低温での液体パイ共役基材の脱水素は、従来法において教示された高温脱水素方法を越えるいくつかの利点を生み出す。これらは、高エネルギー効率、水素燃料電池および水素内燃機関エンジンの廃熱との適合性ならびに脱水素液体基材からの水素の分離の容易さを含む。水素化触媒の存在下で、1−エチル−2−メチルインドール(760mm圧で、沸点267℃)は、水素化反応器において、1000psiaの水素下で、160℃で2時間水素化された。水素化1−エチル−2−メチルインドールは、無色で、自由流動の、取り扱いが容易な低揮発性液体である。水素化触媒を除去するためのろ過後に、水素化液体の一部が脱水素反応器に入れられた。脱水素触媒の存在下で、水素化1−エチル−2−メチルインドールは、15psiaの水素下で、180℃で17.5時間脱水素され、約4.6重量%の水素を生成した(図16)。水素化液体の2番目の部分が脱水素反応器に入れられた。脱水素触媒の存在下で、水素化1−エチル−2−メチルインドールは、15psiaの水素下で、160℃で24時間脱水素され、約3.6重量%の水素を生成した(図17)。
比較例1は、ペンタセン、すなわち、6員環を1つだけ含む芳香族5員環EPAHの可逆水素化が、固体ペンタセンおよび固体触媒混合物を使用して、温度および圧力の穏やかな条件下で水素を貯蔵するための有効な方法ではないことを証明する。ペンタセンの水素化のための△H(−17.5kcal/molH)は、コロネンの水素化のための△H(−13.8kcal/molH)よりも実質的に大きい。980psia(67.6バール)の水素圧下で、150℃で、全サンプル重量基準(ペンタセン+触媒)で、重量水素容量の5.5重量%増加が10時間の期間にわたって観察される(図18)。水素化の△Hにおける差が、本質的に同じ処理条件下で、ペンタセン(10時間で5.5重量%Hを吸着した)対コロネン(17時間で3.2重量%Hを吸着した)の水素化効率における明白な増加によって明らかにされる。水素化が行われる温度は、ペンタセンの融点(m.p.>300℃)よりも遥かに低い。したがって、水素化の初期において固体のペンタセンは、150℃で行われる水素化および脱水素中固体のままであると思われる。水素化ペンタセン化合物の混合物は、18psia(1.25バール)水素ガス圧下で、150℃で効率的な転換で脱水素されない。これらの条件下で70時間後に、サンプルは0.15重量%の水素を脱着するに過ぎない(図19、吸着水素の2.7%)。これは、これらの同じ条件で70時間後に、水素化コロネンサンプルが1.0重量%の水素を脱着する(図9、最初に吸着された水素の31%)実施例3におけるコロネンの脱水素と比較される。同じ処理条件下でコロネンと比較されたペンタセンの脱着水素の割合における大きさ(11.5×)の程度を超える減少は、これら2つのポリ芳香族炭化水素分子間の水素化の△Hの実質的な差およびポリ芳香族炭化水素の可逆水素化を基本とした水素化貯蔵系における水素化の△Hの重要性を再度例示するものである。
比較例2は、触媒的脱水素により水素を放出することのできる水素担体として当技術分野において教示されている芳香族炭化水素が、本発明において記載されている温度および水素圧のより穏やかでかつさらに有用な条件下での可逆水素貯蔵にとっては有効ではないことを証明する。デカヒドロナフタレン(デカリン)は、水素化ピレンと比較されるさらに厳しい脱水素化条件(実施例1)および水素化コロネンと本質的に同じ脱水素化条件(実施例2)に掛けられた。デカリンサンプルは、触媒と一緒に、15psia(1バール)の水素圧下で150℃まで加熱された。これらの条件下で16時間後に、デカリンのいかなる脱水素生成物への測定可能な転換(<0.5%)も存在しなかった。この脱水素結果は、実施例1および2における液体ピレン(実施例9、150℃で、16時間、1バールの水素圧で25%が脱水素された)および水素化コロネン(実施例2、150℃で、16時間、1バールの水素圧で91%が脱水素された)の結果とは比べものにならない。ピレンは、転換によって脱水素処理条件中固体または液体であることができるが(実施例1および8の検討を参照)、コロネンは、水素化および脱水素中固体であると思われる。デカリンは150℃で液体である。
本発明は、本発明の2〜3の態様の例示として表される実施例において記載された特定の実施形態による範囲に限定されるものではなく、機能的に均等であるあらゆる実施形態は本発明の範囲内である。実際には、本明細書に示され、記載されたそれらに加えて本発明の様々な変更は、当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。
多数の参考文献が引用されたが、その全体の記載は参照により本明細書に組み込まれる。
シクロヘキサンの3つの分子によって代表される3つの「孤立」二重結合のシクロヘキサンへの水素化と、ベンゼンの同生成物への水素化とのエンタルピー変化の比核を示す図である。△Hはベンゼンのパイ共役または共鳴安定化エネルギーである。 ナフタレンのシス−およびトランス−デカリンへの水素化によって代表される配座異性体の形成に伴うエンタルピー変化△Hを示す図である。 表1に明示されている、番号づけられた水素化/脱水素化反応系に対する標準的な条件(25℃、1atm.)における水素化反応エンタルピー△H H2を示す図である。Calc.=アブイニシオDFT密度関数理論法を用いて算出;Exp.=公開実験データ。150℃における算出および実験データ。 パイ共役基質の不飽和結合のすべてが水素化された特定の拡張パイ共役基質の水素化を示す図である。 1atm.のH圧力で、すなわち式3のKが0.05atm.−nの条件で、飽和完全水素化担体分子A−Hnをパイ共役基質Aに95.24%平衡変換するための計算された脱水素化温度を示す図である。Calc.=アブイニシオDFT密度関数理論法を用いて算出;Exp.=実験データから算出。数字は、表1a〜1dに示される水素化基質を表す。我々の実験エンタルピーデータ(実施例13)および演算で導かれたエントロピ値を用いて算出。
縮合芳香族環の数の関数としての多芳香族炭化水素の3つの構造群に対する水素化の計算された標準エンタルピー(△H H2)のプロットである(二重結合、または芳香族六重線の図は、簡単にするために省略した)。計算には、PM3法を用いた。 縮合芳香族環の数の関数としての、窒素置換を伴う場合と伴わない場合における多芳香族炭化水素の2つの親近構造群に対する水素化の計算された標準エンタルピー(△H H2)のプロットである(二重結合、または芳香族六重線の図は、簡単にするために省略した)。計算には、PM3法を用いた。 水素吸着量と、炭素触媒に5%ロジウムを用いたコロネンのサンプル(実施例3)の時間とのプロットである。 水素脱離量と、炭素触媒に5%ロジウムを用いたコロネンのサンプル(実施例3)の時間とのプロットである。 水素吸着量と、パラジウム金属触媒を用いたコロネンのサンプル(実施例4)の2つの連続的なサイクルとの時間のプロットである。
水素脱離量と、パラジウム金属触媒を用いたコロネンのサンプル(実施例4)の時間、サイクル#1とのプロットである。 水素脱離量と、パラジウム金属触媒を用いたコロネンのサンプル(実施例4)の時間、サイクル#2とのプロットである。 水素脱離量と、アルミン酸リチウムにルテニウムを用い、アルミン酸リチウム触媒にパラジウムを用いたN−エチルカルバゾールのサンプル(実施例10)の時間との5つの連続サイクルのプロットである。 水素脱離量と、アルミン酸リチウム触媒にパラジウムを用いたN−エチルカルバゾールのサンプル(実施例11)の時間とのプロットである。 連続流脱水素化反応器(実施例12)の概略図である。
180℃における水素脱離量と、アルミナ触媒にパラジウムを用いた1−エチル−2−メチルインドールのサンプル(実施例15)の時間とのプロットである。 160℃における水素脱離量と、アルミナ触媒にパラジウムを用いた1−エチル−2−メチルインドールのサンプル(実施例15)の時間とのプロットである。 水素吸着量と、炭素触媒に5%ロジウムを用いたペンタセンのサンプル(比較例1)の時間とのプロットである。 水素脱離量と、炭素触媒に5%ロジウムを用いたペンタセンのサンプル(比較例1)の時間とのプロットである。 回収導管に隣接する分配導管を有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。
回収導管に隣接しない分配導管を有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 ディスペンサハンドルの近傍の回収オリフィスを有し、分配導管を有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 ディスペンサハンドルの近傍の分配オリフィスを有し、回収導管を有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 回収オリフィスに隣接する分配オリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 回収オリフィスに隣接しない隣接するディスペンサオリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 分配オリフィスより大きい回収オリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 分配オリフィスより小さい回収オリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 回収オリフィス内に位置するディスペンサオリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 分配オリフィス内に位置する回収オリフィスを有する本発明の模範的なディスペンサを示す図である。 本発明のディスペンサが、隔壁によって隔てられた第1の液体および第2の液体を有するタンクに連通する本発明の模範的な実施形態を示す図である。 本発明のディスペンサが、第1のタンクおよび第2のタンクに連通する本発明の模範的な実施形態を示す図である。

Claims (100)

  1. 水素の貯蔵およびその後の放出のための方法であって、
    a)水素を水素化条件で水素化触媒の存在下で拡張パイ共役基材と接触させて、少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材を形成することにより、水素の貯蔵を行うステップと、その後に
    b)前記少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材を、有効量の脱水素化触媒の存在下で脱水素化条件で接触させて、前記少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材から水素を放出させるステップとを含む方法。
  2. ステップa)における前記拡張パイ共役基材は、拡張多環式芳香族炭化水素、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、パイ共役有機ポリマーおよびオリゴマー、イオン性パイ共役基材、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材、少なくとも1つの三重結合基を有するパイ共役基材、ピッチ、ならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記拡張パイ共役基材は、ピレン、ペリレン、コロネン、オバレン、ピセンおよびルビセン、フルオレン、インデンおよびアセナナフチレン、ピラントロン、ならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される拡張多環式芳香族炭化水素である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記拡張パイ共役基材は、フェナントロリン、キノリン、N−メチルインドール、1,2−ジメチルインドール、1−エチル−2−メチルインドール;カルバゾール、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−n−プロピルカルバゾール、N−イソ−プロピルカルバゾール;アクリジン;インドロ[2,3−b]カルバゾール、インドロ[3,2−a]カルバゾール、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン、ピラジン[2,3−b]ピラジン、N,N’,N”−トリメチル−6,11−ジヒドロ−5H−ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、1,7−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール、4H−ベンゾ[デフ]カルバゾール;および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素へテロ原子を有する拡張パイ共役基材である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記拡張パイ共役基材は、ジベンゾチアフェン、ホスフィンドール、P−メトキシホスフィンドール、P−メチルホスフィンドール、ジメチルシラインデン、ボラインドール、ボラフルオレン、メチルボラインドール、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材である、請求項2に記載の方法。
  6. 前記拡張パイ共役基材は、ポリピロール、ポリインドール、ポリ(メチルカルバゾール)、ポリアニリン、ポリ(9−ビニルカルバゾール)、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択されるパイ共役有機ポリマーまたはオリゴマーである、請求項2に記載の方法。
  7. 前記拡張パイ共役基材は、N−リチオカルバゾール、N−リチオインドール、N−リチオジフェニルアミン、N−ナトリウムカルバゾール、N−カリウムカルバゾール、カルバゾールのテトラメチルアンモニウム塩、および2つ以上の前記物質の組合せからなる群から選択されるイオン性パイ共役基材である、請求項2に記載の方法。
  8. 前記拡張パイ共役基材は、ピラジン、N−メチルイミダゾール、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材である、請求項2に記載の方法。
  9. 前記拡張パイ共役基材は、テレフタロニトリル(1,4−ジニトリロベンゼン)、ベンゾニトリル、1,3,5−トリニトリロベンゼン、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、少なくとも1つの三重結合基を有するパイ共役基材である、請求項2に記載の方法。
  10. 前記拡張パイ共役基材は、天然ピッチ、合成ピッチ、窒素ヘテロ原子を有する分子を含む合成ピッチ、およびそれらの組合せからなる群から選択されるピッチまたはピッチ留分である、請求項2に記載の方法。
  11. ステップa)およびステップb)は、単一の容器内で実施される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記水素化触媒は、脱水素化触媒としても機能する、請求項1に記載の方法。
  13. ステップa)における前記拡張パイ共役基材は液体状態で存在し、ステップa)は、第1の容器内で実施され、ステップb)における前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は液体状態で存在し、ステップb)は、第2の容器内で実施される、請求項1に記載の方法。
  14. ステップa)における前記拡張パイ共役基材は液体状態で存在し、ステップa)は、第1の容器内で実施され、ステップb)の前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、約マイナス10度未満の融点を有し、ステップb)は、第2の容器内で実施される、請求項12に記載の方法。
  15. ステップb)の前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、約100℃未満の融点を有する、請求項1に記載の方法。
  16. ステップb)において放出された前記水素は、前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の重量の少なくとも1重量%である、請求項1に記載の方法。
  17. ステップb)において放出された前記水素は、前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の重量の少なくとも5重量%である、請求項1に記載の方法。
  18. ステップb)において放出された前記水素は、前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の重量の少なくとも7重量%である、請求項1に記載の方法。
  19. c)ステップb)を実施する前に、ステップa)より得られた前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材から前記水素化触媒を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  20. ステップb)は、約300℃未満の温度、および約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  21. ステップb)は、約250℃未満の温度、および約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  22. ステップb)は、約200℃未満の温度、および約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  23. ステップb)は、約150℃未満の温度、および約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  24. ステップb)は、約250℃未満の温度、および約1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  25. ステップa)における前記拡張パイ共役基材の水素化の標準エンタルピー変化の係数は、約15.0kcal/モルH未満である、請求項1に記載の方法。
  26. 水素化の標準エンタルピー変化の係数は、実験で求められる、請求項25に記載の方法。
  27. 水素化の標準エンタルピー変化の係数は、アブイニシオ密度関数理論法で計算される、請求項25に記載の方法。
  28. ステップa)における前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、少なくとも2つの異なる少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  29. ステップa)における前記拡張パイ共役基材は、通常の凝固点が約200℃を超え、凝固点が約200℃未満の少なくとも2つの異なる拡張パイ共役基材の混合物で存在しながらステップa)が実施される、請求項1に記載の方法。
  30. 少なくとも2つの異なる少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材の前記混合物は、共融混合物である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記共融混合物は、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材と、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材と、それらの任意の組合せの混合物とを含む、請求項29に記載の方法。
  32. 前記共融混合物は、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−プロピルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、または2つ以上の前記物質の任意の組合せを含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記共融混合物は、1−エチル−2−メチルインドールおよび1,2−ジメチルインドールを含む、請求項30に記載の方法。
  34. 前記共融混合物は、−10℃の液体である、請求項29に記載の方法。
  35. ステップa)による前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、約200℃未満の凝固点を有する、請求項1に記載の方法。
  36. ステップa)による前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、約100℃未満の凝固点を有する、請求項1に記載の方法。
  37. ステップa)による前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、約−10℃未満の凝固点を有する、請求項1に記載の方法。
  38. 前記多環式芳香族炭化水素は、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基およびポリエーテル基からなる群から選択される環状置換基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  39. ステップa)における前記拡張パイ共役基材は、天然ピッチ内に含まれる、請求項1に記載の方法。
  40. ステップa)における前記水素化触媒は、国際純正および応用化学連合による周期表第4、5、6および8、9、10族から選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
  41. ステップa)における前記水素化触媒は、チタン、ジルコニウム、コバルト、ニオブ、タンタル、鉄、モリブデン、タングステン、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
  42. ステップb)における前記脱水素化触媒は、国際純正および応用化学連合による周期表第4、5、6および8、9、10族から選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
  43. ステップb)における前記脱水素化触媒は、チタン、ジルコニウム、コバルト、ニオブ、タンタル、鉄、モリブデン、タングステン、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
  44. ステップb)における前記脱水素触媒は、シリカ−アルミナ、γ−アルミナ、プロトン交換形態のゼオライト、スルホン化ジルコニア、固体過フッ化ポリマースルホン酸、三フッ化アルミニウム、アルミニウムクロロフッ化物、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化錫、トリフルオロメタンスルホン酸銅、三塩化スカンジウム、および国際純正および応用化学連合による周期表による元素のランタニド系列のメンバーの錯体のヘキサフルオロアセチルアセトネートからなる群から選択される酸性支持体を含む、請求項1に記載の方法。
  45. ステップa)における前記拡張パイ共役基材はコロネンを含み、ステップb)は、約250℃未満の温度で、かつ約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  46. ステップa)における前記拡張パイ共役基材はピレンを含み、ステップb)は、約200℃未満の温度で、かつ約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  47. ステップa)における前記拡張パイ共役基材はカルバゾールを含み、ステップb)は、約250℃未満の温度で、かつ約0.1バールを超える水素分圧で実施される、請求項1に記載の方法。
  48. 前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、前記少なくとも部分的に水素化された基材の配座異性体の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  49. 前記拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において液体である、請求項1に記載の方法。
  50. 前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において液体である、請求項1に記載の方法。
  51. 前記拡張パイ共役基材および前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において液体である、請求項1に記載の方法。
  52. 前記拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において固体である、請求項1に記載の方法。
  53. 前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において固体である、請求項1に記載の方法。
  54. 実質的に、前記拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化時に昇華しない、請求項1に記載の方法。
  55. 水素化条件下において、有効量の水素化触媒の存在下で、水素ガスを固体拡張パイ共役基材に接触させて、前記拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化するステップを含む水素貯蔵方法。
  56. 有効量の水素化触媒の存在下で、約6.7バールを超える水素分圧で、約50℃〜約300℃の温度の水素ガスを固体拡張パイ共役基材に接触させて、前記拡張パイ共役基材を少なくとも部分的に水素化するステップを含む水素貯蔵方法。
  57. ステップa)における前記拡張パイ共役基材の水素化の標準エンタルピー変化の係数は、約20.0kcal/モルH未満である、請求項9に記載の方法。
  58. 水素化の標準エンタルピー変化の係数は、実験で求められる、請求項57に記載の方法。
  59. 水素化の標準エンタルピー変化の係数は、アブイニシオ密度関数理論法によって計算される、請求項57に記載の方法。
  60. 水素の貯蔵、およびその後の放出のための方法であって、
    a)水素を水素化条件で水素化触媒の存在下で拡張パイ共役基材と接触させて、少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材を形成することにより、水素の貯蔵を行うステップと、その後に
    b)前記少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材を有効量の脱水素化触媒の存在下で脱水素化条件で接触させて、前記少なくとも部分的に水素化した拡張パイ共役基材から水素を放出させるステップとを含み、
    前記拡張パイ共役基材、および前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は、ステップb)の脱水素化条件において液体である方法。
  61. 第1の液体を分配し、第2の液体を回収するためのディスペンサであって、前記第1の液体を分配するための第1のオリフィスを有する第1の導管と、前記第1の液体に対して向流する方向の前記第2の液体を回収するための第2のオリフィスを有する第2の導管とを備えたディスペンサ。
  62. 前記第1の導管および前記第2の導管は筐体内に配置され、前記第1のオリフィスは、前記第2のオリフィスに隣接して配置されている、請求項61に記載のディスペンサ。
  63. 前記第1の導管および前記第2の導管は筐体内に配置され、前記第1の導管は、前記第2の導管の外に配置されている、請求項61に記載のディスペンサ。
  64. 前記第1の導管の前記オリフィスには、前記第2の液体に対して向流する方向の前記第1の液体を受け入れるための第1の隔室に前記第1のオリフィスを係合、固定およびシールする手段が装備されている、請求項61または2に記載のディスペンサ。
  65. 前記第2の導管の前記オリフィスには、前記第1の液体に対して向流する方向の前記第2の液体を回収するための第2の隔室に前記第2のオリフィスを係合、固定およびシールする手段が装備されている、請求項61または62に記載のディスペンサ。
  66. 前記回収オリフィスは、前記分配オリフィス内に存在する、請求項61に記載のディスペンサ。
  67. 前記分配オリフィスは、前記回収オリフィス内に存在する、請求項61に記載のディスぺンサ。
  68. 第1の液体を第1の隔室に分配し、第2の隔室に存在する第2の液体を回収するための方法であって、
    第1の隔室および第2の隔室に連通するようにディスペンサを配置するステップであって、前記ディスペンサは、前記第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、前記第1の液体に対して向流する方向の第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えるステップと、
    前記第1の液体を、前記第1の導管を通じて前記第1の隔室に移送するステップと、
    前記第2の隔室に存在する前記第2の液体を前記第2の導管に移送するステップとを含む方法。
  69. 前記第2の液体を前記第2の導管から回収タンクに移送するステップをさらに含む、請求項68に記載の方法。
  70. 前記第1の液体の移送および前記第2の液体の移送は同時に実施される、請求項68に記載の方法。
  71. 前記第1の液体の移送は、前記第2の液体の移送の前に開始される、請求項68に記載の方法。
  72. 前記第1の隔室と前記第2の隔室とは、膨張性ブラダによって隔離される、請求項68に記載の方法。
  73. 前記第1の隔室と前記第2の隔室とは、不透過性膜によって隔離される、請求項68に記載の方法。
  74. 少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材を含む第1の液体を分配するためのオリフィスを有する第1の導管と、パイ共役基材を含む第2の液体を回収するためのオリフィスを有する第2の導管とを備えたディスペンサを第1の隔室および第2の隔室に流動連通させて配置するステップと、
    前記第1の隔室内に存在する前記第1の液体の一部を水素生成器に移送し、水素および前記第2の液体を提供するのに十分な脱水素化条件下で、前記貯蔵された第1の液体の前記部分を脱水素触媒に接触させるステップと、
    前記第2の液体の少なくとも一部を前記第2の隔室に移送するステップと、
    前記第1の液体を、前記第1の導管を通じて前記第1の隔室に移送し、前記第2の液体を前記第2の導管を通じて移送するステップとを含む燃料供給方法。
  75. 前記第1の液体の移送および前記第2の液体の移送は同時に実施される、請求項74に記載の方法。
  76. 前記第1の液体の移送は、前記第2の液体の移送の前に開始される、請求項74に記載の方法。
  77. 前記第1の液体および前記第2の液体は、前記脱水素化条件を超える沸点を有する、請求項74に記載の方法。
  78. 前記第1の隔室と前記第2の隔室とは、膨張性ブラダによって隔離される、請求項74に記載の方法。
  79. 前記第1の隔室と前記第2の隔室とは、半透過性膜によって隔離される、請求項74に記載の方法。
  80. 前記パイ共役基材は、拡張多環式芳香族炭化水素、窒素ヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材、パイ共役有機ポリマーおよびオリゴマー、イオン性パイ共役基材、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材、少なくとも1つの三重結合基を有するパイ共役基材、ピッチ、ならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される拡張パイ共役基材である、請求項74に記載の方法。
  81. 前記パイ共役基材は、ピレン、ペリレン、コロネン、オバレン、ピセンおよびルビセン、フルオレン、インデンおよびアセナナフチレン、ピラントロン、ならびに2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される拡張多環式芳香族炭化水素である、請求項70に記載の方法。
  82. 前記パイ共役基材は、フェナントロリン、キノリン、N−メチルインドール、1,2−ジメチルインドール、1−エチル−2−メチルインドール;カルバゾール、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−n−プロピルカルバゾール、N−イソ−プロピルカルバゾール;アクリジン;インドロ[2,3−b]カルバゾール、インドロ[3,2−a]カルバゾール、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン、ピラジン[2,3−b]ピラジン、N,N’,N”−トリメチル−6,11−ジヒドロ−5H−ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、1,7−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール、4H−ベンゾ[デフ]カルバゾール;および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素へテロ原子を有する拡張パイ共役基材である、請求項70に記載の方法。
  83. 前記拡張パイ共役基材は、ジベンゾチアフェン、ホスフィンドール、P−メトキシホスフィンドール、P−メチルホスフィンドール、ジメチルシラインデン、ボラインドール、ボラフルオレン、メチルボラインドール、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、窒素以外のヘテロ原子を有する拡張パイ共役基材である、請求項70に記載の方法。
  84. 前記拡張パイ共役基材は、ポリピロール、ポリインドール、ポリ(メチルカルバゾール)、ポリアニリン、ポリ(9−ビニルカルバゾール)、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択されるパイ共役有機ポリマーまたはオリゴマーである、請求項70に記載の方法。
  85. 前記拡張パイ共役基材は、N−リチオカルバゾール、N−リチオインドール、N−リチオジフェニルアミン、N−ナトリウムカルバゾール、N−カリウムカルバゾール、カルバゾールのテトラメチルアンモニウム塩、および2つ以上の前記物質の組合せからなる群から選択されるイオン性パイ共役基材である、請求項70に記載の方法。
  86. 前記拡張パイ共役基材は、ピラジン、N−メチルイミダゾール、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、複数の窒素ヘテロ原子を有するパイ共役単環式基材である、請求項70に記載の方法。
  87. 前記拡張パイ共役基材は、テレフタロニトリル(1,4−ジニトリロベンゼン)、ベンゾニトリル、1,3,5−トリニトリロベンゼン、および2つ以上の前記物質の任意の組合せからなる群から選択される、少なくとも1つの三重結合基を有するパイ共役基材である、請求項70に記載の方法。
  88. 前記拡張パイ共役基材は、天然ピッチ、合成ピッチ、窒素ヘテロ原子を有する分子を含む合成ピッチ、およびそれらの組合せからなる群から選択されるピッチまたはピッチ留分である、請求項70に記載の方法。
  89. 前記パイ共役基材は、3つ以下の縮合炭素環を有する小環状芳香族炭素環または縮合環芳香族炭素環;3つ以下の縮合芳香族環を有する小環状芳香族炭素環または縮合環芳香族炭素環の複素環類似体;フェニル置換シラン;エチレンのアリール置換オリゴマーまたは低分子量ポリマー;アリールおよびビニル置換シロキサンのポリマーまたはオリゴマー;ならびにフェニレンの低分子量ポリマーからなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
  90. 前記パイ共役基材は、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、および2つ以上の前記物質の組合せからなる群から選択される、3つ以下の縮合芳香族炭素環を有する小環状芳香族炭素環または縮合環芳香族炭素環である、請求項79に記載の方法。
  91. 前記パイ共役基材は、アリール置換シロキサンのポリマーまたはオリゴマーであり、前記アリール基は、フェニル、トリル、ナフチルおよびアントラシル、または2つ以上の前記基の任意の組合せからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
  92. 前記少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材は、少なくとも約200℃の沸点を有する、請求項74に記載の方法。
  93. 前記少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材は、約−10℃未満の融点を有する、請求項74に記載の方法。
  94. 前記パイ共役基材は、少なくとも約200℃の沸点を有する、請求項74に記載の方法。
  95. 前記パイ共役基材は、約−10℃未満の融点を有する、請求項74に記載の方法。
  96. 前記少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材は、第2の少なくとも部分的に水素化されたパイ共役基材をさらに含む、請求項74に記載の方法。
  97. 前記少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材と、前記第2の少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材は共融混合物を形成する、請求項86に記載の方法。
  98. 前記共融混合物は、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−プロピルカルバゾール、および2つ以上の前記物質の任意の混合物を含む、請求項87に記載の方法。
  99. 前記共融混合物は、1−エチル−2−メチルインドールおよび1,2−ジメチルインドールを含む、請求項88に記載の方法。
  100. 少なくとも2つの異なる少なくとも部分的に水素化された拡張パイ共役基材共融混合物の前記混合物は−10℃で液体である、請求項87に記載の方法。
JP2006532795A 2003-05-06 2004-05-06 パイ共役基材の可逆的水素化による水素貯蔵 Expired - Lifetime JP5431647B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/430,246 US7101530B2 (en) 2003-05-06 2003-05-06 Hydrogen storage by reversible hydrogenation of pi-conjugated substrates
US10/430,246 2003-05-06
US10/833,467 2004-04-27
US10/833,484 US7429372B2 (en) 2003-05-06 2004-04-27 Hydrogen storage by reversible hydrogenation of pi-conjugated substrates
US10/833,484 2004-04-27
US10/833,467 US20050013767A1 (en) 2003-05-06 2004-04-27 Method of delivering a reversible hydrogen storage fuel to a mobile or stationary fuel source
PCT/US2004/014034 WO2005000457A2 (en) 2003-05-06 2004-05-06 Hydrogen storage reversible hydrogenated of pi-conjugated substrates

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007515363A true JP2007515363A (ja) 2007-06-14
JP5431647B2 JP5431647B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=33556314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006532795A Expired - Lifetime JP5431647B2 (ja) 2003-05-06 2004-05-06 パイ共役基材の可逆的水素化による水素貯蔵

Country Status (6)

Country Link
EP (2) EP2960204B1 (ja)
JP (1) JP5431647B2 (ja)
KR (1) KR101121819B1 (ja)
CA (1) CA2524846C (ja)
MX (1) MXPA05011850A (ja)
WO (1) WO2005000457A2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242232A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 General Electric Co <Ge> 水素貯蔵材料及び関連システム
KR20140072049A (ko) * 2011-08-23 2014-06-12 하이드로지니어스 테크놀로지스 게엠베하 빌딩에 에너지를 공급하는 장치 및 방법
JP2018504364A (ja) * 2015-01-06 2018-02-15 江蘇▲ちん▼陽能源有限公司Jiangsu Qingyang Energy Co.,Ltd. 液体状態水素の貯蔵体系
KR20210113677A (ko) * 2019-02-06 2021-09-16 예다 리서치 앤드 디벨럽먼트 캄파니 리미티드 N-헤테로사이클을 기반으로 하는 수소의 로딩 및 배출을 위한 가역적 액체 유기 시스템, 방법 및 프로세스
WO2023112847A1 (ja) * 2021-12-15 2023-06-22 国立大学法人東京大学 オルガノシロキサン系水素貯蔵用組成物

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007039312A (ja) * 2005-06-30 2007-02-15 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 水素製造装置及び方法
DE102007024145B3 (de) * 2007-05-24 2008-11-27 Universität Heidelberg Molekulare Wasserstoffspeicher und Wasserstoff-Transferreagenzien für Hydrierungsreaktionen
WO2012163227A1 (zh) * 2011-05-27 2012-12-06 中国地质大学(武汉) 基于有机液态储氢材料的直接燃料电池及储能供能系统
US9289741B2 (en) 2012-02-01 2016-03-22 Battelle Memorial Institute Suspended-slurry reactor
CN103232382B (zh) * 2013-04-19 2015-04-29 西安交通大学 一种乙基咔唑的加氢方法及其产物的脱氢方法
CN104761485A (zh) * 2015-03-09 2015-07-08 中国科学院成都生物研究所 一种新型的储氢材料及氢的解析方法
CN105214561B (zh) * 2015-10-30 2018-02-06 安徽神剑新材料股份有限公司 一种负压反应容器的投料方法
DE102016206106A1 (de) * 2016-04-12 2017-10-12 Hydrogenious Technologies Gmbh Speichervorrichtung für Wasserstoffträgermedium, Anlage umfassend eine derartige Speichervorrichtung und Verfahren zum Speichern von Wasserstoffträgermedium
KR101862012B1 (ko) * 2016-09-09 2018-05-30 한국화학연구원 피리딘계 수소저장 물질을 활용한 수소 저장 및 방출 시스템
KR101950701B1 (ko) * 2017-08-25 2019-02-21 한양대학교 산학협력단 탄소-코팅된 지지체 기반의 촉매를 이용한 수소 저장 및 방출 방법
IL264043A (en) 2018-12-31 2020-06-30 Yeda Res & Dev A reversible liquid organic system for storing and releasing hydrogen, based on ethylene glycol
KR102622005B1 (ko) * 2019-01-04 2024-01-10 한국화학연구원 피리딘 그룹을 포함하는 방향족 화합물을 제조하는 방법
CN111013593B (zh) * 2020-01-06 2022-06-10 苏州明德新能源技术有限公司 一种原位制备的用于催化液体有机氢载体吸氢和放氢的镍基催化剂及其制备方法
KR102478995B1 (ko) 2020-11-25 2022-12-20 한국과학기술연구원 상변화물질을 활용한 수소 추출 반응기 및 수소 추출 공정
DE102021201469A1 (de) 2021-02-16 2022-08-18 Siemens Mobility GmbH Tankbehälter

Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4943973A (ja) * 1972-07-24 1974-04-25
JPS49124060A (ja) * 1973-03-09 1974-11-27
JPS5984864A (ja) * 1982-11-05 1984-05-16 Sagami Chem Res Center 4−置換インド−ルの製造方法
US4567033A (en) * 1984-10-25 1986-01-28 United Technologies Corporation Low-energy method for freeing chemically bound hydrogen
JPS6452729A (en) * 1987-01-27 1989-02-28 Agency Ind Science Techn Dehydrogenation of compound having carbon-hydrogen bond and production of hydrogen
JPH0233867A (ja) * 1988-07-25 1990-02-05 Toshiaki Kabe ヒートポンプとりん酸型燃料電池を組み合わせた発電システム
JPH07503720A (ja) * 1992-02-12 1995-04-20 ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン インドリンの脱水素によるインドールの合成
JPH09504504A (ja) * 1994-09-29 1997-05-06 マラソン・オイル・カンパニー アントラヒドロキノンの接触脱水素方法
US5703378A (en) * 1995-04-18 1997-12-30 Sandia Corporation Materials for the scavanging of hydrogen at high temperatures
US6074447A (en) * 1997-02-21 2000-06-13 University Of Hawaii Hydrogen storage
JP2001198469A (ja) * 1999-11-05 2001-07-24 Sekisui Chem Co Ltd 水素貯蔵・供給用金属担持触媒及びこれを利用した水素貯蔵・供給システム
JP2002134141A (ja) * 2000-10-23 2002-05-10 Masaru Ichikawa 水素貯蔵・供給システム及び液状有機水素貯蔵・供給体
JP2004084933A (ja) * 2002-07-03 2004-03-18 Sekisui Chem Co Ltd 水素ステーションシステム
JP2004203679A (ja) * 2002-12-25 2004-07-22 Tokyo Electric Power Co Inc:The 水素供与剤及びそれを用いた水素の貯蔵、輸送方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5197523A (en) 1991-08-05 1993-03-30 Husky Corporation Dispensing nozzle improvement for extracting fuel
WO1995022491A1 (en) 1992-06-03 1995-08-24 Rabinovich Joshua E Vapor recovery nozzle
DE29909326U1 (de) 1999-05-28 1999-10-07 Trw Repa Gmbh Einrichtung zum Fixieren eines Gassacks in seiner gefalteten Lage sowie Seitengassack-Modul
US6544400B2 (en) 2000-03-30 2003-04-08 Manhattan Scientifics, Inc. Portable chemical hydrogen hydride system
US6680042B1 (en) * 2000-11-07 2004-01-20 Hydro-Quebec Method of rapidly carrying out a hydrogenation of a hydrogen storage material
US6596055B2 (en) 2000-11-22 2003-07-22 Air Products And Chemicals, Inc. Hydrogen storage using carbon-metal hybrid compositions
JP4254127B2 (ja) 2002-04-26 2009-04-15 勝 市川 水素貯蔵・供給システム
JP2004026582A (ja) 2002-06-26 2004-01-29 Toyota Motor Corp 水素ガス生成装置

Patent Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4943973A (ja) * 1972-07-24 1974-04-25
JPS49124060A (ja) * 1973-03-09 1974-11-27
JPS5984864A (ja) * 1982-11-05 1984-05-16 Sagami Chem Res Center 4−置換インド−ルの製造方法
US4567033A (en) * 1984-10-25 1986-01-28 United Technologies Corporation Low-energy method for freeing chemically bound hydrogen
JPS6452729A (en) * 1987-01-27 1989-02-28 Agency Ind Science Techn Dehydrogenation of compound having carbon-hydrogen bond and production of hydrogen
JPH0233867A (ja) * 1988-07-25 1990-02-05 Toshiaki Kabe ヒートポンプとりん酸型燃料電池を組み合わせた発電システム
JPH07503720A (ja) * 1992-02-12 1995-04-20 ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン インドリンの脱水素によるインドールの合成
JPH09504504A (ja) * 1994-09-29 1997-05-06 マラソン・オイル・カンパニー アントラヒドロキノンの接触脱水素方法
US5703378A (en) * 1995-04-18 1997-12-30 Sandia Corporation Materials for the scavanging of hydrogen at high temperatures
US6074447A (en) * 1997-02-21 2000-06-13 University Of Hawaii Hydrogen storage
JP2001198469A (ja) * 1999-11-05 2001-07-24 Sekisui Chem Co Ltd 水素貯蔵・供給用金属担持触媒及びこれを利用した水素貯蔵・供給システム
JP2002134141A (ja) * 2000-10-23 2002-05-10 Masaru Ichikawa 水素貯蔵・供給システム及び液状有機水素貯蔵・供給体
JP2004084933A (ja) * 2002-07-03 2004-03-18 Sekisui Chem Co Ltd 水素ステーションシステム
JP2004203679A (ja) * 2002-12-25 2004-07-22 Tokyo Electric Power Co Inc:The 水素供与剤及びそれを用いた水素の貯蔵、輸送方法

Non-Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010055342; KARIYA, N. et al: 'Efficient evolution of hydrogen from liquid cycloalkanes over Pt-containing catalysts supported on a' Applied Catalysis A: General Vol.233, No.1-2, 20020710, Pages 91-102 *
JPN6010055343; GROSSE, A. V. et al: 'Catalytic Dehydrogenation of Polycyclic Naphthenes' Ind. Eng. Chem. Vol.38, No.10, 194610, p.1041-1045 *
JPN6010055345; 触媒学会編: 触媒工学講座 7 触媒反応(2) 酸化・脱水素・分解 , 1964, p.196,197,236-238, 地人書館 *
JPN6012002472; CHO, S. J. et al: 'Hydrogen Sortption in HCl-Treated Polyaniline and Polypyrrole; New Potential Hydrogen Storage Media' Prepr. Pap. Am. Chem. Soc. Div. Fuel Chem. Vol.47, No.2, 2002, p.790-791 *
JPN6012002475; 多羅間公雄 監修: 反応別実用触媒 , 19701225, p.195,196,198-201,210-220, 化学工業社 *
JPN6012002476; 触媒学会編: 触媒工学講座 6 触媒反応(1) 水素化 , 1965, p.290-298, 地人書館 *
JPN6013020357; ECKHARD, I.F. et al: 'Hydrogenation of 1,10-phenanthroline' Australian Journal of Chemistry Vol.28, No.5, 197505, p.1149-1151 *
JPN6013020358; 正宗 直,外: '窒素を含む縮合複素多環式系パーヒドロ化合物について(第7報)水素化されたアクリジンのパラジウムによる脱' 日本化學雜誌 Vol.77, No.12, 1956, p.1766-1770 *
JPN6013020359; 正宗 直,外: '窒素を含む縮合複素多環式系パーヒドロ化合物について (第5〜6報) (第6報) 水素化されたカルバゾ一ルのパラ' 日本化學雜誌 Vol.77, No.10, 1956, p.1471-1474 *
JPN6013020360; 正宗 直,外: '窒素を含む縮合複素多環式系パーヒドロ化合物について (第2報) デカヒドロカルバゾール' 日本化學雜誌 Vol.77, No.7, 1956, p.1017-1023 *
JPN6013020361; 正宗 直,外: '窒素を含む縮合複素多環式系パーヒドロ化合物について (第3〜4報) (第3報) パーヒドロアクリジンの立体異性' 日本化學雜誌 Vol.77, No.8, 1956, p.1145-1149 *
JPN6013020362; 正宗 直,外: '窒素を含む縮合複素多環式系パーヒドロ化合物について (第3〜4報) (第4報) クロルアニルによる脱水素反応' 日本化學雜誌 Vol.77, No.8, 1956, p.1149-1151 *

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242232A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 General Electric Co <Ge> 水素貯蔵材料及び関連システム
KR20140072049A (ko) * 2011-08-23 2014-06-12 하이드로지니어스 테크놀로지스 게엠베하 빌딩에 에너지를 공급하는 장치 및 방법
JP2014529852A (ja) * 2011-08-23 2014-11-13 ヒドローゲニオス・テヒノロギース・ゲーエムベーハーHydrogenious Technologies Gmbh 建物にエネルギーを供給する設備および方法
US9685671B2 (en) 2011-08-23 2017-06-20 Hydrogenious Technologies Gmbh Arrangement and method for supplying energy to buildings
KR101962772B1 (ko) * 2011-08-23 2019-03-27 하이드로지니어스 테크놀로지스 게엠베하 빌딩에 에너지를 공급하는 장치 및 방법
JP2018504364A (ja) * 2015-01-06 2018-02-15 江蘇▲ちん▼陽能源有限公司Jiangsu Qingyang Energy Co.,Ltd. 液体状態水素の貯蔵体系
KR20210113677A (ko) * 2019-02-06 2021-09-16 예다 리서치 앤드 디벨럽먼트 캄파니 리미티드 N-헤테로사이클을 기반으로 하는 수소의 로딩 및 배출을 위한 가역적 액체 유기 시스템, 방법 및 프로세스
JP2022520539A (ja) * 2019-02-06 2022-03-31 イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド N-ヘテロ環に基づいて、水素を付加および排出するための可逆的な液体有機システム、方法、およびプロセス
JP7257710B2 (ja) 2019-02-06 2023-04-14 イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド N-ヘテロ環に基づいて、水素を付加および排出するための可逆的な液体有機システム、方法、およびプロセス
KR102605544B1 (ko) 2019-02-06 2023-11-22 예다 리서치 앤드 디벨럽먼트 캄파니 리미티드 N-헤테로사이클을 기반으로 하는 수소의 로딩 및 배출을 위한 가역적 액체 유기 시스템, 방법 및 프로세스
WO2023112847A1 (ja) * 2021-12-15 2023-06-22 国立大学法人東京大学 オルガノシロキサン系水素貯蔵用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005000457A2 (en) 2005-01-06
EP1660404B1 (en) 2015-08-05
JP5431647B2 (ja) 2014-03-05
KR101121819B1 (ko) 2012-03-21
EP2960204A1 (en) 2015-12-30
KR20060022651A (ko) 2006-03-10
EP1660404A4 (en) 2010-08-25
WO2005000457A3 (en) 2005-07-07
EP2960204B1 (en) 2018-06-13
EP1660404A2 (en) 2006-05-31
MXPA05011850A (es) 2006-05-25
CA2524846C (en) 2014-07-22
CA2524846A1 (en) 2005-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7429372B2 (en) Hydrogen storage by reversible hydrogenation of pi-conjugated substrates
JP5431647B2 (ja) パイ共役基材の可逆的水素化による水素貯蔵
US7351395B1 (en) Hydrogen storage by reversible hydrogenation of pi-conjugated substrates
JP4638357B2 (ja) マイクロチャネル触媒反応装置中の液体燃料の脱水素化
Biniwale et al. Chemical hydrides: a solution to high capacity hydrogen storage and supply
Yang et al. Study of hydrogenation and dehydrogenation of 1-methylindole for reversible onboard hydrogen storage application
Chen et al. 7-ethylindole: A new efficient liquid organic hydrogen carrier with fast kinetics
CN101279222B (zh) 通过π-共轭基质的可逆氢化的氢气存储
Kustov et al. Systems for accumulation, storage and release of hydrogen
CN110603259A (zh) 储氢和输送材料
Cooper Design and development of new carbon-based sorbent systems for an effective containment of hydrogen
KR102469255B1 (ko) 수소 저장 시스템 및 그의 제조 방법
Cooper et al. An integrated hydrogen storage and delivery approach using organic liquid-phase carriers
Graetz et al. Development of off-board reversible hydrogen storage materials
D’Ambra et al. Literature review: state-of-the-art hydrogen storage technologies and Liquid Organic Hydrogen Carrier (LOHC) development
Liu et al. Novel Carbon (C)-Boron (B)-Nitrogen (N)-Containing H2 Storage Materials
KR102411343B1 (ko) 나프탈렌계 수소 저장 물질 및 이를 이용한 수소 저장 및 방출 방법
KR20140004741A (ko) 보론-질소 헤테로사이클
d'Ambra Evaluation of the hydrogen storage system liquid organic hydrogen carrier (LOHC)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110117

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120502

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130521

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130812

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130819

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5431647

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250