JP2007313885A - 有機樹脂被覆鋼材 - Google Patents

有機樹脂被覆鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP2007313885A
JP2007313885A JP2007109251A JP2007109251A JP2007313885A JP 2007313885 A JP2007313885 A JP 2007313885A JP 2007109251 A JP2007109251 A JP 2007109251A JP 2007109251 A JP2007109251 A JP 2007109251A JP 2007313885 A JP2007313885 A JP 2007313885A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
organic resin
layer
steel material
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007109251A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4772735B2 (ja
Inventor
Takao Yamazaki
隆生 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2007109251A priority Critical patent/JP4772735B2/ja
Publication of JP2007313885A publication Critical patent/JP2007313885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4772735B2 publication Critical patent/JP4772735B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、クロムを用いずにクロメート処理と同等以上の二次密着性を発現する樹脂被覆材を提供する。
【解決手段】 鋼材の表面に、アルカリ土類金属(M)の酸化物又は水酸化物の一種又は二種以上、Al元素、P元素、及び、B元素を含む無機酸化物プライマー層、及び、その上に有機樹脂層を有する有機樹脂被覆鋼材であって、前記無機酸化物プライマー層の組成が、無水酸化物換算のモル比で、Al23/P25=0.2〜0.6、B23/P25=0.01〜0.1、MO/P25=0.01〜0.2であることを特徴とする有機樹脂被覆鋼材である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、腐食の厳しい環境、例えば、海浜近辺における鋼構造物の防食技術に関する。
金属(貴金属を除く)を防食する典型的な方法は、塗覆装である。これは、金属表面に有機樹脂・無機樹脂を被覆するもので、被覆層が腐食要因の水、酸素、電解質を遮断するので、金属の腐食は、起きない、あるいは、遅延・低減する。通常、被覆層を厚くしたり、水・酸素・電解質の透過度の小さい有機樹脂を用いることにより、耐食性を高めることができる。
勿論、樹脂層にストロンチウムクロム等の防錆顔料を添加することも、一般に行われている。腐食環境が特に厳しい海浜環境等で行われる重防食用塗装の場合であれば、ジンクリッチペイント層あるいは有機樹脂プライマー層、中塗り層、上塗り層の多層構造とし、合計で2〜10mmの有機樹脂を被覆することがよく行われている。
有機樹脂被覆鋼材の耐食性・密着性を高めるために、金属の表面を化成処理することが広く行われている。化成処理には、3価、6価のクロムによるクロメート処理やリン酸系処理液が、安価で高性能であるため、一般に用いられている。しかし、環境負荷の点からクロム系化成処理は将来規制される可能性があり、また、リン酸系化成処理は、クロム系化成処理よりも特性が総合的に若干劣る傾向にある。
一方、腐食環境が厳しい環境、例えば、鋼材が海水・河川・土中にある場合は、しばしばカソード防食により、金属を防食することが広く行われている。そこで、カソード防食について、少し詳しく説明する。
カソード防食は、基材金属を自然腐食電位より卑にすることにより、望ましくは、与えられた環境中で基材金属を熱力学的安定領域の電位にすることにより、金属の腐食速度を低減させる方法であり、高い信頼性を有する防食原理として広く用いられている。鋼材を通して通電する必要があるため、海水、河川水、土中等の導電性媒質中で、裸材に対して行なわれるが、干満帯のように通電が継続し難い部分の防食性向上、景観性向上、電力経費節減、防食電流到達範囲拡大のために塗装や被覆された金属材に対しても行われることがよくある。
ここで、陰極剥離(カソード剥離)について説明しておく。カソード防食中の塗覆装金属材では、被覆端部から塗膜や被覆の剥離(カソード剥離又は陰極剥離)が進行する。一般に、カソード防食時の電位は、卑なほど(電位がマイナスほど)防食性は高くなるが、陰極剥離も顕著になり、大きな課題となっている。剥離速度が樹脂被覆材の寿命を決定するので、樹脂被覆層の陰極剥離現象を十分に抑制する技術が望まれている。このカソード防食時に起きる陰極剥離は、通常の大気中で起きる(カソード)剥離とは原理が異なる。
大気中で起きる剥離は、塗膜や被覆樹脂フィルム等の欠陥から、厚み方向に水、酸素、電解質が侵入し、鋼材に到達した地点で腐食(アノード反応)が起こり、同時に、その周囲にカソード反応が起きる。このカソード反応により、塗膜や被覆樹脂フィルムが剥離・進展する。
したがって、塗膜や被覆樹脂フィルムの厚みを厚くしたり、欠陥のない緻密な樹脂被覆層を形成することにより、水、酸素、電解質の侵入を遅延させ、寿命を延ばすことができる。勿論、化成処理によって金属基材の耐食性を高めてもよいし、塗膜や被覆樹脂層に防錆顔料を添加し、腐食反応を抑制してもよい。
しかし、カソード防食中に起きる剥離は、外部環境から、ナトリウム等のカチオンが、鋼材/被覆樹脂界面に沿って進入し、侵入先端部で酸素還元(カソード反応)が起こると、アルカリが発生し、それが樹脂と金属間の結合を破壊する。したがって、通常の塗装・被覆で耐食性を高める方法(膜厚を厚くする等)では、陰極剥離を効果的に防ぐことはできない。
しかし、偶然にも、クロメート処理だけは、耐陰極剥離性も非常に優れている。そのため、クロムを用いずに、密着性と耐陰極剥離性をクロメート処理材と同等以上に発揮する化成処理は、現在のところ、見つかっていない。
鋼材のカソード防食の実際について述べる(屋外カソード防食の大部分は普通鋼に対してである)。鋼材表面(鉄が主成分の場合)を十分に防食し、かつ、カソード剥離をある程度抑制できる電位として、−2.0〜−0.7V(vs.飽和塩化カリウム/塩化銀/銀電極、以下同じ)が奨められ、海洋中、河川中、水中であれば、−1.2〜−0.7Vが好ましく、さらに好ましくは−1.0〜−0.8Vで、また、地中であれば、−2.0〜−1.5Vが奨められる。−0.7V超では、有機樹脂皮膜のカソード剥離速度はかなり低減するが、防食効果も低減する。また、海、河川中で−1.5Vより卑な電位、地中で−2.0Vより卑な電位では、十分に防食されるものの、有機樹脂皮膜のカソード剥離速度が無視できなくなる。
カソード防食電流(電圧)を印加するためには、外部電源、あるいは鋼材と接続されたアルミ合金、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金等の流電電極が用いられるが、実際の陰極剥離をより促進するために、温度を上げ、電位を下げた条件で耐陰極剥離性を評価することがよく行われている。
クロメート処理は、カソード防食中の剥離(陰極剥離)に対して、極めて有効なため、広く賞用され、特に、海浜環境のような厳しい腐食環境における鋼材の防食では、クロメート処理した鋼材に厚い樹脂被覆を行い、カソード防食を行うことが、よく行われている。
一方、クロムを用いない化成処理の製品では、クロメート以外の化成処理やプライマーを用い、あるいは無処理のまま、有機樹脂を被覆して作られるが、2次密着性がクロメート処理を用いた場合と比較し、かなり劣る。
ここで言う2次密着性とは、次の二つの密着性を言う。一つは耐水密着性であり、海水に水没している被覆部の剥離耐久性を言う。このメカニズムの詳細は分からないことが多いが、腐食を伴って剥離するので、耐食性が向上すると、耐水密着性も向上する場合がある。促進評価試験の一例としては、端面を露出させたサンプルを、空気泡が吹き込まれている3%の温塩水に浸漬することが行われる。
もう一つは、前述した耐陰極剥離性であり、カソード防食中の被覆端部からの剥離耐久性を言う。代表的な促進評価試験としては、円形欠陥部を形成したサンプルを、3%温塩水に浸漬し、電位を稼働電位よりさらに卑にすることが行われる。
クロムを用いずに、クロメートに匹敵する2つの2次密着性を両立した重防食用被覆鋼材は、現在の時点では、まだ上市されていない。とは言え、開発は盛んに行われている。
特許文献1には、鋼材/被覆層界面を侵入してくるカチオンを、固定されたマイナス電荷や陽イオン交換樹脂で補足しようとする技術が開示されている。
特許文献2には、クロム含有の化成処理を用いて替わりに、クロムを添加した低合金鋼を用いる技術が開示されている。
特許文献3には、プライマー層にビスフェノールA型エポキシ樹脂或いはビスフェノールF型エポキシ樹脂を主成分とする技術が開示されている。
特許文献4には、クロメート処理は用いてないが、クロム系防錆顔料を用いた二次密着性に優れたポリオレフィン被覆鋼材の技術思想が開示されている。それは、鋼材の上に、プライマー層、変性ポリオレフィン層及びポリオレフィン層を順次積層したポリオレフィン被覆鋼材であって、前記プライマー層が、主剤樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂、硬化剤としてジシアンジアミド、触媒としてイミダゾール系化合物を用い、主剤樹脂に対する硬化剤配合量が28〜80mol%、触媒配合量が0.6〜3.0mol%であり、さらに防錆顔料としてストロンチウムクロメートが5〜90mol%配合された一液型エポキシ樹脂が塗工・焼付けられてなるプライマー層であることを特徴としている。
特開2003−147555号公報 特開2000−355951号公報 特開平11−170433号公報 特開平9−131831号公報
しかし、現在、上市されているクロメート化成処理代替技術は、ある程度の効果はあるものの、完全なクロメート代替となるものではない。したがって、クロム元素を用いずに、耐陰極剥離性と耐水密着性を、可能な限りクロメート処理材レベルに近づけ、さらに可能であれば、両性能をクロメートと同等以上に両立することが課題である。
ここで、「クロメートに近い性能」と「クロメート同等以上の性能」では、数値的には大差が無い場合でも、マーケットに与えるインパクトは天地の差ほどあることを強調しておきたい。環境負荷の点から化成処理をクロメートフリーに切り替えたいと考えているユーザーでさえも、そのクロメートフリー化成処理がクロメート同等以上の諸特性を有していないと、「代替可能」と判断して購入してもらえないのが現状だからである。したがって、クロメートフリー化成処理の開発では、「クロメート同等以上の性能」に達することは、化成処理史上、一つの金字塔になり得るほどの進歩性がある。
そこで、本発明は、クロムを用いずにクロメート処理と同等以上の二次密着性を発現する樹脂被覆材を提供することを目的とする。
(1)鋼材の表面に、アルカリ土類金属(M)の酸化物又は水酸化物の一種又は二種以上、Al元素、P元素、及び、B元素を含む無機酸化物プライマー層、及び、その上に有機樹脂層を有する有機樹脂被覆鋼材であって、前記無機酸化物プライマー層の組成が、無水酸化物換算のモル比で、Al23/P25=0.2〜0.6、B2O3/P2O5=0.01〜0.1、MO/P25=0.01〜0.2であることを特徴とする有機樹脂被覆鋼材。
(2)記無機酸化物プライマー層が、さらに、Fe、Zn、Ni、又はVから選ばれる一つ以上の元素を含み、無機酸化物プライマー層組成のモル比が、Fe、Zn、Ni、又はVから選ばれる一つ以上の元素の酸化物の合計/P25=0.005〜0.3である(1)に記載の有機樹脂被覆鋼材。
(3)前記無機酸化物プライマー層が、さらに、Ti、Si、又はZrから選ばれる一つ以上の元素の酸化物を含み、その組成比が、無機酸化物プライマー層全体に対して、Ti、Si、又はZrから選ばれる一つ以上の元素の酸化物の合計で、10〜50mass%である(1)又は(2)に記載の有機樹脂被覆鋼材。
(4)前記無機酸化物プライマー層の付着量が、Al換算で、0.01〜10g/m2である(1)〜(3)のいずれかに記載の有機樹脂被覆鋼材。
(5)前記有機樹脂層が、有機樹脂プライマー層又は有機樹脂接着剤層の一方又は双方と、有機樹脂トップ層からなる(1)記載の有機樹脂被覆鋼材。
(6)前記有機樹脂プライマー層のバインダー樹脂がエポキシ樹脂層あるいはウレタン樹脂、有機樹脂トップ層のバインダー樹脂がウレタンからなる(5)記載の有機樹脂被覆鋼材。
(7)前記有機樹脂プライマー層のバインダー樹脂がエポキシ樹脂、有機樹脂接着剤層のバインダー樹脂が変性ポリオレフィン樹脂、有機樹脂トップ層のバインダー樹脂がポリオレフィン樹脂である(5)記載の有機樹脂被覆鋼材。
本発明により、環境負荷を低減し、かつクロメート化成処理材と同等以上の二次密着性を有する樹脂被覆鋼材を提供することができる。
本発明で用いる鋼材としては、普通鋼、低合金鋼、C、Si、Mn及び窒素、酸素を制御した鋼材、及び、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Ti、Al、Mg、V、Ca等の元素を添加した高合金鋼が例示できる。また、鋼材の品種は、特に限定するものではないが、鋼管、形鋼、厚板、薄板等が例示でき、特に奨められる品種としては、重防食被覆が適用される鋼管、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等が例示できる。基材が金属であれば、一般に同様の効果が得られるが、本発明では鋼材に限定した。
鋼材の表面に、さらに亜鉛、アルミ、マグネシウム、錫、ニッケルから選ばれる一つ以上の組成を含むめっきや、その他の合金めっきを施したものを用いても構わない。しかし、本発明は、単なる普通鋼でも、十分な性能を発揮する点が特徴の一つである。
本発明に使用する鋼材は、その表面のスケール、汚染物等を除去するため、アルカリ脱脂、酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理等のいずれかの下地処理を必ず行なう。
発明者は、鋭意開発の結果、金属表面に所定組成の無機酸化物層を形成することで課題を解決できることを見出した。それは、膜厚(付着量)の大小によって、化成処理皮膜と見做すこともできるし、プライマーと見做すこともできるので、呼称を限定しないが、本発明では、無機酸化物プライマーに統一する。
無機酸化物であるから、イオン性物質であるが、イオン団(PO4 3-等)の内部の結合には共有結合を持っていてもよい。この無機酸化物プライマーは、鋼材表面に沿って侵入する、陰極剥離の原因となるカチオンを阻止するために、鋼材表面(めっき鋼材ならめっき層)の直上に形成することが必要であり、鋼材(めっき層)界面と無機酸化物プライマー界面は接していなくてはならない。
本発明では、無機酸化物プライマーの組成を、酸化物組成式と言う方法で表す。これは、イオン化合物の組成を、酸化物(と水)の和で表すもので、セラミック・鉱物学の分野でよく用いられている。ここで注意すべきことは、組成比率を見易い表記にしたのであって、必ずしも分子構造を表しているとは限らないと言う点である。例えば、式中に現れるH2Oは、必ずしも結晶水(配位水)とは限らず、場合によっては、酸素イオンやOHに解離して存在していることもある。
第1発明である請求項1の無機酸化物プライマー層は、アルカリ土類金属(M)の酸化物又は水酸化物の一種又は二種以上、Al元素、P元素、及び、B元素を含み、その組成は、無水酸化物換算のモル比で、Al23/P25=0.2〜0.6、B23/P25=0.01〜0.1、MO/P25=0.01〜0.2、であることを特徴とする。ここでの表記で、Al23/P25と書いた場合、アルミ元素は全てAl23と見做し、リン元素は全てP25と見做した場合の、それぞれの酸化物のモル比を示す。
製造方法の詳細は後述するが、無機酸化物プライマーを形成するに当たり、第一りん酸アルミニウム水溶液に酸化マグネシウムを添加した液を鋼材に塗布・焼付けした場合、180℃から脱水が始まり、200〜250℃で大部分が脱水・不溶化し、組成式は略Al23・3P25・2H2Oになる。形成された皮膜は非常な多孔質で、密度が0.2〜0.4g/cm3になることもある。この皮膜多孔性は、樹脂層にアンカー効果として作用し、高い密着性を発現する。実際の結合様式は、ポリマー化したリン酸イオンも含んで複雑だが、主成分は酸化物イオン、HPO4 2-、Al3+の塩と考えられる。
皮膜中で、アルミは三価イオンとして存在し、その大きな電荷がナトリウム等のカチオンの移動を阻止すると考えられる。耐陰極剥離性は、アルミの存在比率が多いほど向上するが、モル比でAl23/P25=0.2〜0.6と規定したのは、0.6を超えると、耐水密着性・造膜性が悪くなり、0.2より少ないと耐陰極剥離性は十分なほど向上しない。
ホウ素は、皮膜の焼付け時の造膜性を向上させる。規定値より少ないと、造膜性が良くないが、多くても効果は飽和するだけである。そこで、モル比でB23/P25=0.01〜0.1と規定した。
リンは、皮膜中でH2PO4 -、HPO4 2-、リン酸イオン、あるいはこのn量体として存在し(メタ燐酸イオン、ポリリン酸イオン)、アルミとホウ素をつなげる役目をしている。比率が少なくなると、造膜性、一次密着性、二次密着性が低下する。本発明における組成比で書くと、P25となり、このモル濃度を基準にモル比を定めている。
水素の存在は、(組成式上は)水にのみ起因するが、実際は解離して存在(H+、OH-)しているものもある。酸素は、水、酸化物イオン、水酸化物イオンとして存在する。皮膜の形成条件によって、水の存在比が簡単に変化するため、水素の存在比(及び酸素の合計存在比)は、本発明では規定しないが、焼付造膜後、通常は、H2O/P25=3〜2であり、好ましくは、2未満である。
アルカリ土類金属(M)は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを指し、好ましくはMgとCa、さらに好ましくはMgが奨められる。これらは、無機イオン性皮膜を形成する際、皮膜を緻密にして造膜性を向上させ、下地密着力を高め、欠陥を減少さる効果を持つ。MO/P25=0.01〜0.2と規定した。量が少ないと、前記効果が弱くなり、多いと密着性が低下し、また、皮膜がチョーキングを起こしたり、塗布液が急速にゲル化し、処理液の段階で製造が困難になる。
無機酸化物プライマー層を約30g/m2以上の厚さに形成すると、下地の鋼材の元素・表面粗さによっては、荒れた柚肌になったり、十分な二次密着性が得られなかったりすることがある。鋭意研究の結果、特定の元素(Fe、Zn、Ni、V)の金属、酸化物、水酸化物を添加することにより、これらを防ぎ、より厚く無機酸化物プライマー層を形成することが可能であることを突き止めた。これが第2発明である請求項2である。
理由はまだ明らかではないが、推察するに、(1)皮膜を構成するイオンの種類が増加することにより、非晶質になり易く、皮膜欠陥が減少する、(2)発明者の知見によると、塩基性物質の方が耐陰極剥離性が優れるが、当該皮膜は酸性酸化物P25のために酸性に寄っているため、これらの添加元素は、P25より塩基性のため、P25の酸性を緩和し、耐陰極剥離性を向上させる、ことが考えられる。
添加量は、これらの元素の酸化物の合計モル/P25=0.005〜0.3としたが、好ましくは、0.005〜0.1である。多過ぎると、本来の皮膜の特性が劣化する虞がある。少な過ぎると効果が得られない。これらの元素は、イオンとして存在し、鉄は2又は3価、亜鉛、ニッケルは2価、バナジウムは2〜5価で、通常は5価として存在している。バナジウムは、バナジン酸イオンとして存在してもよい。
また、Ti、Si、又はZrから選ばれる一つ以上の元素の酸化物を無機酸化物プライマー層に含ませることができる。これを第3発明として請求項3とする。焼付け時、無機酸化物プライマーのバインダーは脱水し、体積が収縮し、被膜に亀裂が発生するが、これらの物質は、焼付け温度では体積が不変であるため、亀裂を防ぐ役割をする。これらは、通常、酸化物微粒子、即ち、TiO2、SiO2、ZrO2の微粒子として、体質顔料のような存在形態が奨められる。添加量は、量が少ないと効果が薄く、多いと飽和するので、10〜50mass%と規定した。
第4発明は、無機酸化物プライマーの付着量についてもので、これを請求項4とする。無機酸化物プライマーを鋼材表面に形成する場合、付着量が少ないと化成処理皮膜と見做せるし、多いと無機プライマー層と見做せる。プライマー層の付着量は、Al換算で、0.01〜10g/m2であることが好ましいが、これは、皮膜付着質量換算で、無機酸化物プライマー組成がAl23・3P25・2H2Oの場合、0.1〜100g/m2に相当する。より好ましい付着量は、Al換算で0.1〜3g/m2、さらに好ましくは、0.5〜1g/m2である。膜厚(μm)に換算する場合、皮膜の密度にもよるが、凡そAl換算付着量(g/m2)の30倍である。無機酸化物プライマーの付着量は、10g−Al/m2を超えると、緻密で均質な層でも、密着性は飽和し、0.01g−Al/m2より小さいと、十分な密着性が得られ難くなる。
無機酸化物プライマー層が緻密で均質である限り、厚い方がよい。しかし、実際は、厚くすると、焼付け時の脱水により収縮応力が大きくなり、緻密で均質な皮膜ができ難くなる。この場合、付着量を減少させる他、焼付け温度・時間を減少させたり、体質顔料を添加することにより、改善できるが、条件によっては、一次、二次密着性が劣化する場合がある。必要に応じて、製造条件・組成・膜厚を最適化することが奨められる。
次に、第1発明の無機酸化物プライマー層の形成方法について述べる。
処理液の製造方法は、限定するものではないが、第一リン酸アルミニウム水溶液から調製する方法、あるいは、酸化物組成式に対応する各酸化物の規定量に水を加える方法が奨められる。
第一リン酸アルミニウムは、酸化物組成式が、Al23・3P25・6H2Oで表される物質で、吸湿性が高く、容易に水溶液となる。50mass%濃度では、pH約1.5を示す。なお、酸化物組成で記述すると、同じ組成比になるトリポリリン酸二水素アルミニウム(AlH2310・2H2O)は、第一リン酸アルミニウムと異なる物質で、これは、水に難溶であり、防錆顔料等に使用される。
第一リン酸アルミニウム水溶液に、酸化物組成式に対応する各酸化物(酸化ホウ素あるいは硼酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、五酸化二リン等)を添加し、ホウ素、アルミ、マグネシウム、リン等の組成比が、本発明で規定する範囲と同じになるように調製することができる。ただ、酸化マグネシウムは、溶解しないで分散することがある。対応する酸化物の代わりに、対応する水酸化物でも添加可能である。いずれの場合も、必要に応じて、水で希釈し、処理液として用いる。
これを、鋼材に塗布・焼付し、無機酸化物プライマー層を形成する。ホウ素、アルミ、アルカリ土類金属の元素の、P25に対する比率は、焼付け・硬化後も水溶液の比率と同じである。
さらに、Fe、Zn、Ni、Vを添加した第2発明の無機酸化物プライマー層を形成するには、第1発明のAl、P、B、Mg組成を調整した塗布液にFe、Zn、Ni、又はVの金属、酸化物、水酸化物のいずれかを添加する。これらを添加すると、処理液のpHは上昇する。添加前の処理液の濃度が薄いと、添加した際に反応が遅くなったり、反応しなかったりする。第一リン酸アルミニウム水溶液であれば、第一りん酸アルミニウムが60〜25mass%の範囲が奨められる。
また、添加前の処理液のpHはあまり高くなく、好ましくは、pHが1.7〜2未満であればよい。添加する量は、処理液のpHを見ながら決定してよいが、実際は、無機酸化物プライマー層中のP25の1モルに対し、凡そ0.005〜0.1モル程度が奨められる。処理液のpHは、2.5より小さいと、効果はなく、3.0より大きいとゲル化することがある。pH調整後、処理液をゲル化しない範囲で、水で薄めてもよい。なお、この塗布液組成は、均一な溶液、あるいはコロイド溶液、あるいは塗布可能な緩いゲル部分の液相組成である。例えば、処理液中に顔料粒子等の固相が分散しているような場合、液の組成式には入れない。
さらに、塗布液に、Ti、Si、Zrの酸化物粒子、即ち、酸化チタン(チタニア)、酸化シリコン(シリカ)、酸化ジルコン(ジルコニア)を添加する第3発明の場合、コロイド水溶液で添加しても、粉末で添加しても良い。これらは均一に溶解する必要はなく、分散していてもよい。粉末で添加する場合は、これら粒子の表面に表面処理を施しても構わない。粒径は限定するものではないが、分散性の点から、個数比率〜粒径分布曲線の極大値が10μm以下であることが奨められ、好ましくは、3μm以下が奨められる。また、気相シリカ等のように、超微粒子を用いてもよい。
第1発明、第2発明、第3発明の無機酸化物プライマー塗布方法は、限定するものではないが、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法が例示できる。
当該無機酸化物プライマー液は、基材とゆっくりと反応しながら造膜されるため、反応が十分に行われない内に、塗布した液を蒸発(乾燥)させると、積層した樹脂被覆との一次密着性が劣化する。反応速度がゆっくりである点が、クロメートやリン酸処理等の他の化成処理と異なる。一次密着性が劣化すると、樹脂被覆部分を切断した場合、その切断面から樹脂被覆が剥離したり、あるいは、輸送中・施工中の機械的衝撃で樹脂被覆が剥離する可能性がある(特に、塗装よりもライニング)。そのため、一次密着性を劣化させないためには、処理液塗布後の基材表面がある程度の時間、濡れている必要があり、その濡れ時間は、最低でも3分、できれば5分、好ましくは10分、更に好ましくは15分、理想的には20分以上が望ましい。
被塗布基材を、例えば、40℃以上に予温しておくと、塗布後、早く乾燥し、濡れ時間が短くなるので、基材表面温度は30℃以下が望ましい。濡れ時間は、基材表面温度、環境湿度、気温、表面近傍の風速によって決定されるため、必要な濡れ時間を確保するために、これらのパラメータを制御することが奨められる。推奨条件の一例を挙げると、無風(0.1m/s未満)環境で、基材表面温度を、環境湿度と気温によって決定される露点温度より、2〜5℃高く保ち、10〜20分後に、まだ濡れが残っていれば、さらに乾燥を継続するか、あるいは80℃の温風で強制乾燥させてもよい。基材表面温度が露点より2℃未満だと、乾燥には不適ではないものの、僅かな環境変化で塗布前に表面が結露する可能性があるので、品質管理上好ましくない。強制乾燥は100℃未満の温風乾燥が奨められる。
焼付け温度は、限定するものではないが、鋼材が変質・溶融しない条件を前提として、焼付けしないよりは、100℃でも焼付けした方がよいが、最低でも180℃以上が、できれば200℃以上が、好ましくは230℃以上が、さらに好ましくは250℃以上が、最も好ましくは300℃以上が奨められる。しかし、500℃を超えると、鋼材の酸化による劣化を招く。ここで言う焼付け温度とは、焼付け期間中の鋼材表面の最高到達温度(PMT)である。
請求項1〜7に記載した本発明の有機樹脂層は、無機酸化物プライマー層の直上に形成するが、有機樹脂が連続相(バインダー)となっていれば、顔料等の無機酸化物が分散していてもよく、また、複数層の有機樹脂層からなっていてもよい。鋼材の耐食性は、この有機樹脂層が担い、重防食被覆鋼材の場合は、特に優れた耐食性の有機樹脂層を形成する必要がある。
有機樹脂層の樹脂は、下地耐水密着性があり、吸水率が低く、(電解質溶液浸漬中における)体積抵抗が高いものがよく、かつ、使用箇所の環境(紫外線、温度)における耐久性があれば、限定するものではないが、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン等の樹脂(いずれも変性物も含む)が例示できる。また、有機樹脂に、無溶剤樹脂や水性エマルジョン樹脂を選択すると、有機溶剤の放出量を著しく低減できる。
耐水密着性・耐陰極剥離性を向上させるため、特開2004−332009号公報に開示されているような、厚み10〜500μmで、酸素透過度が100cm3(標準)/m2・day・atm(20℃)(測定方法はJIS−K−7126による)以下に調整した酸素透過度の小さい樹脂層を設けてもよい。先に、カソード剥離の原因は、大気腐食とは異なり、鋼材/樹脂層界面に沿って侵入するカチオンであり、樹脂被覆厚さとは関係ない、と述べた。しかし、実際の剥離現象は、カソード防食中に起きる、陰極剥離機構に加え、これよりはゆっくりと起き、カソード防食に起因しない剥離現象が重なって起きる。無機酸化物プライマーによって前者が大きく改善されると、後者の寄与が目立ってくる場合がある。その時、このような酸素透過度の小さい樹脂層を設けることが奨められる。
酸素透過度の小さい樹脂層は、酸素透過係数の小さい樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、−[OCH2CH2OOC−(C64)−CO]n−)、ナイロン、ポリビニルアルコール等が例示できる。また、塗料であれば、例えば、ポリオール、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エポキシ及びその変性樹脂、シリコン変性エポキシ、アクリル変性エポキシ樹脂等が例示できる。
一般に、有機樹脂層を厚くすると、酸素の透過速度の絶対値は小さくなり、有機樹脂の酸素透過度の影響も小さくなるが、膜厚が薄い場合、酸素透過度の小さい樹脂を選ぶことは、効果的な場合が多い。
有機樹脂層の形成法は、塗装、ライニング、ラミネート等、限定するものではなく、また、層数・膜厚も限定するものではないが、通常の塗装であれば、合計乾燥塗膜15〜80μm、厚くても200μmを、ラミネートであれば接着剤層を含めて、0.1〜1mmを、ライニングであれば、トップ層を1〜10mm程度を形成するのが一般的である。本発明は、特に重防食仕様の被覆での特性に優れる。
有機樹脂層の密着力を強めるために、有機樹脂トップ層と無機酸化物プライマー層の間に、有機樹脂プライマー、有機樹脂接着剤層の一方又は双方を設ける。これを第5発明とし請求項5に記載する。有機樹脂層は、鋼材を傷から保護するために強靱である他、防食を担っており、水、酸素、電解質の厚み方向の浸透を阻止する必要があるため、疎水性で、吸水率は低く、硬化時の収縮応力の影響が出ない範囲で厚さは厚いほどよい。通常、有機樹脂接着剤層は1次密着性、2次密着性を高めるために、有機樹脂プライマー層はこれよりさらに1次密着性、2次密着性を高めるために設けられる。有機樹脂プライマー層、接着剤層の典型的な膜厚は、50〜200μm、トップ層の典型的な膜厚は、0.2mm〜6mmである。
効果的な重防食用有機樹脂の被覆構成として、ウレタン系とポリオレフィン系がある。ウレタン系についての被覆構成を第6発明として請求項6に示す。有機樹脂プライマー層には熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂あるいはこれらの変性物に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いる。
有機樹脂プライマー層にエポキシ樹脂を用いる場合、一般にその主成分としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるいは潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、又はフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると、密着性、耐食性に優れる。
有機樹脂プライマー層にポリウレタン樹脂を用いる場合、プレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。
無機顔料は、有機樹脂プライマーに対して5〜50mass%の範囲で添加することで、収縮歪みが低減され、密着特性が大きく改善できる。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にリン酸バナジウム等の防錆顔料を適宜用いることができる。これらの顔料は、樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。
有機樹脂プライマーは、液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用い、乾燥膜厚で20〜400μm程度形成する。粉体で供給される場合、静電粉体塗装等の方法を用い、20〜1000μmの範囲で塗装する。
有機樹脂トップ層は、ポリウレタン樹脂塗料を、1mm〜10mm、好ましくは、3〜6mm塗布したものが、例示できる。ポリウレタン樹脂塗料は、ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混合塗装する。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油誘導体、その他含水酸基化合物を用いる。イソシアネートとしては、メチレンジフェニルジイソシアネート等の一般市販のイソシアネートを使用する。
これに添加する充填無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレー等の一般市販の無機顔料を用いる。また、着色顔料には、樹脂に耐候性を付与するため、一般的にはカーボンブラックを用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、紫外線吸収剤を併せて添加する。
ポリオレフィン系についての被覆構成を第7発明として請求項7に示す。プライマー層にエポキシ樹脂を用いると、密着性に優れるため、エポキシ樹脂成分(硬化剤質量含む)を50mass%〜100mass%とすることが望ましい。有機樹脂プライマーとしてのエポキシ樹脂は、特に限定するものではないが、一般にはビスフェノールA型の樹脂がよく使用される。エポキシの樹脂特性は、ガラス転移温度の高いものが優れるため、高温の特性が要求される場合には、特にガラス転移温度を高める目的で、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂が用いられる。しかしながら、高いガラス転移温度は低温(常温)の場合には必ずしも適正ではない。そこで、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂を添加すると、一般のビスフェノールA型のエポキシ樹脂と比較してガラス転移温度は低下して、低温物性は向上し、また、無機酸化物プライマー層皮膜がポーラスな表面を持つために、流れ込みの要素を考えると接着性が向上する。
また、プライマーとして要求される特性に低収縮性、低吸水率、耐薬品性等があるが、これらに対しては、硬化剤にイミダゾール化合物とジシアンジアミドを併用し、全体積に対して5〜50mass%の無機顔料を添加することで、特性が大きく改善される。硬化剤にイミダゾール化合物を用いると、耐水性のあるエポキシ樹脂の硬化物が得られる。
イミダゾール化合物は、イミダゾールの構造を持つものであれば良く、その種類によって反応性と可使用時間が異なるため、使用条件に合わせて用いる。添加量の最適値は、種類によって異なるが、硬化速度から0.3質量部以上、硬化物の特性に影響を及ぼす影響の少ない30質量部以下で用いる。一方、ジシアンジアミドは硬化速度の調整に用い、1〜10質量部の範囲で添加すると密着性に優れる。
当該プライマーには、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にリン酸バナジウム、タングステン酸塩等の防錆顔料を適宜添加することができる。適正な顔料添加量範囲から外れると、密着性が低下し易い。また、樹脂との濡れ性を良くするために、上記の顔料の表面にシランカップリング処理を施してもよい。
有機樹脂プライマーは、液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用い、乾燥膜厚で20〜400μm程度形成する。粉体で供給される場合、静電粉体塗装等の方法を用い、20〜1000μmの範囲で塗装する。膜厚が20μmより薄い場合には、ピンホールが多数発生するので、好ましくは、液体プライマーの場合、50〜200μm、粉体プライマーの場合は、100〜500μmである。
変性ポリオレフィン接着剤層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和カルボン酸、又は、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したものが例示できる。50〜300μm程度の厚さが奨められる。
ポリオレフィントップ層は、主成分として低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロック又はランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。上記のポリオレフィンに、電子線照射等を施し、架橋を行った架橋ポリオレフィンを主成分としたものでもよい。必要に応じて、カーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を添加することができる。これらを、厚さ1〜5mm形成する。1mmより薄いと、クロメート処理材と同等以上の性能は出難くなる。また、厚さ5mm超形成すると、硬化時の収縮応力が大きくなり、密着力が低下する。
鋼材には、厚さ4mmの普通鋼を用い、表面をグリッドブラストでSa3に処理した。あるいは0.6mm溶融亜鉛めっき鋼板をアルカリ脱脂・乾燥した。比較材用に行うクロメート処理は、シリカ含有の塗布型3価クロメートを200℃で焼き付けた。クロム元素付着量は500mg/m2である。
50mass%第一リン酸アルミニウム水溶液に、必要に応じて、五酸化二リン、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、アルカリ土類金属酸化物を添加・混合し、これらが表1〜3に示す酸化物組成比になるように調製した。付着量は、水溶液濃度及び塗布量を調節し、コントロールした。金属元素添加は、金属の粉末を混入・攪拌した後、未反応金属粉を濾過した。この後、必要に応じて顔料(シリカ、チタニア、ジルコニア)を添加した。シリカには気相シリカ粉末を用い、他は微粉末を分散させた。
処理液を鋼材に塗布後、所定の条件で乾燥した。特に表記の無いものは、処理時の鋼材の表面温度は25℃で、80℃の温風で乾燥した。塗布してから濡れがなくなるまでの時間を濡れ時間とした。その後、炉に入れて、所定の焼付けを行った。板温は熱電対で測定した。焼付け取り出し後は、自然冷却した。表記の無いものの焼付温度は、PMT 200℃である。なお、PMTにおける保持時間は全て0分である。
有機樹脂被覆には、ポリウレタン、ポリオレフィン、塗装を用いた。ポリウレタン被覆材は、プライマーとして、ポリオールとイソシアネート硬化剤による2液混合硬化型のウレタン樹脂塗料を60μm膜厚となるように、スプレー塗布・硬化させ、その表面にカオリンクレー微粉末含有2液硬化ウレタンエラストマーをスプレー塗装で3mm厚さのポリウレタン樹脂層を形成した。作成したサンプルを、PU(ポリウレタンの略)と記す。
ポリオレフィン被覆材は、まず、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに、体質顔料としてチタニアを30mass%混合し、硬化剤にイミダゾールを用いて、プライマー層を形成した(60μm)。 非エポキシプライマー層(ビスフェノール0%)として、フェノール系樹脂プライマー層を形成した(60μm)。
プライマー層の上に、300μm無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層、2mmポリエチレン層を順次積層した。これをPO(ポリオレフィンの略)と記す。塗装材は、タールエポキシ樹脂層100μmを積層した。これを塗装と記す。
耐水性試験は、まず、約7.5cm角のサンプルの一辺に沿って、1×7.5cmの被覆を剥いで、鋼面を露出させる。裏面は塗装する。50℃3%塩化ナトリウム水溶液を槽に入れ、下から空気泡を吹き込み、その泡がかかるようにサンプルを浸漬する。1ヶ月後、サンプルを取り出し、被覆をはつり、被覆を剥いだ端面からの平均剥離距離を求める。
耐陰極剥離性試験は、サンプル中央に6mmφの素地に達する欠陥を形成し、サンプルの上に直径約7cmの円筒を載せて加圧固定し、3%塩化ナトリウム水溶液を約300mL入れて、欠陥を浸漬させる。これに白金電極(アノード)、参照電極をセットし、欠陥部に対し、−1500mV vs. sat.−KCl−AgCl/Agの電位を保つ。60℃の恒温槽に入れる。3週間後、サンプルを取り出してはつり、欠陥部円周からの平均剥離距離を求める。
ポリエチレン被覆材の一次密着性試験(ピール試験)は、樹脂被覆を長さ数cm、幅1cmはつり、先端をテンシロンで挟み、50mm/分の速度で引っ張り、平均荷重を求めた。評価における「破断」とは、引っ張り中に樹脂が破断したもので、密着強度が25kg/cm以上に相当する。ポリウレタン被覆材の一次密着性試験(接着力試験)は、JIS K 5600−5−7[塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第7節:付着性(プルオフ法)]によって行った。
Figure 2007313885
Figure 2007313885
Figure 2007313885
Figure 2007313885
表1〜4に結果を示した。表1〜4より、本発明が優れた耐陰極剥離性、耐塩水浸漬性、一次密着性を示すことが分かる。

Claims (7)

  1. 鋼材の表面に、アルカリ土類金属(M)の酸化物又は水酸化物の一種又は二種以上、Al元素、P元素、及び、B元素を含む無機酸化物プライマー層、及び、その上に有機樹脂層を有する有機樹脂被覆鋼材であって、前記無機酸化物プライマー層の組成が、無水酸化物換算のモル比で、Al23/P25=0.2〜0.6、B23/P25=0.01〜0.1、MO/P25=0.01〜0.2であることを特徴とする有機樹脂被覆鋼材。
  2. 前記無機酸化物プライマー層が、さらに、Fe、Zn、Ni、又はVから選ばれる一つ以上の元素を含み、無機酸化物プライマー層組成のモル比が、Fe、Zn、Ni、又はVから選ばれる一つ以上の元素の酸化物の合計/P25=0.005〜0.3である請求項1記載の有機樹脂被覆鋼材。
  3. 前記無機酸化物プライマー層が、さらに、Ti、Si、又はZrから選ばれる一つ以上の元素の酸化物を含み、その組成比が、無機酸化物プライマー層全体に対して、Ti、Si、又はZrから選ばれる一つ以上の元素の酸化物の合計で、10〜50mass%である請求項1又は2に記載の有機樹脂被覆鋼材。
  4. 前記無機酸化物プライマー層の付着量が、Al換算で、0.01〜10g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の有機樹脂被覆鋼材。
  5. 前記有機樹脂層が、有機樹脂プライマー層又は有機樹脂接着剤層の一方又は双方と、有機樹脂トップ層からなる請求項1記載の有機樹脂被覆鋼材。
  6. 前記有機樹脂プライマー層のバインダー樹脂がエポキシ樹脂層あるいはウレタン樹脂、有機樹脂トップ層のバインダー樹脂がウレタンである請求項5記載の有機樹脂被覆鋼材。
  7. 前記有機樹脂プライマー層のバインダー樹脂がエポキシ樹脂、有機樹脂接着剤層のバインダー樹脂が変性ポリオレフィン樹脂、有機樹脂トップ層のバインダー樹脂がポリオレフィン樹脂である請求項5記載の有機樹脂被覆鋼材。
JP2007109251A 2006-04-24 2007-04-18 有機樹脂被覆鋼材 Expired - Fee Related JP4772735B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007109251A JP4772735B2 (ja) 2006-04-24 2007-04-18 有機樹脂被覆鋼材

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006119119 2006-04-24
JP2006119119 2006-04-24
JP2007109251A JP4772735B2 (ja) 2006-04-24 2007-04-18 有機樹脂被覆鋼材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007313885A true JP2007313885A (ja) 2007-12-06
JP4772735B2 JP4772735B2 (ja) 2011-09-14

Family

ID=38848175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007109251A Expired - Fee Related JP4772735B2 (ja) 2006-04-24 2007-04-18 有機樹脂被覆鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4772735B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263716A (ja) * 2008-04-24 2009-11-12 Nippon Steel Corp 超耐久性有機樹脂被覆鋼材
JP2011038157A (ja) * 2009-08-12 2011-02-24 Nippon Steel Corp 有機樹脂被覆鋼材
JP2012081670A (ja) * 2010-10-13 2012-04-26 Nippon Steel Corp 有機樹脂被覆鋼材
JP2014031552A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Nippon Steel & Sumitomo Metal 6価クロムフリー有機被覆鋼材とその製造方法
CN103726043A (zh) * 2012-10-12 2014-04-16 日本巴卡黎神谷股份有限公司 水性金属表面处理剂、金属表面处理被膜以及带有金属表面处理被膜的金属材料
CN109518900A (zh) * 2018-12-20 2019-03-26 苏州金螳螂建筑装饰股份有限公司 一种钢结构建筑裸顶装饰结构及弹涂施工方法
JP2020169250A (ja) * 2019-04-02 2020-10-15 Dic株式会社 接着剤、積層体、電池用包装材及び電池
JP7359339B1 (ja) 2022-09-01 2023-10-11 Jfeスチール株式会社 鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末
WO2024047971A1 (ja) * 2022-09-01 2024-03-07 Jfeスチール株式会社 鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02254178A (ja) * 1989-03-28 1990-10-12 Nippon Steel Corp 高耐食性重畳めっき鋼板
JPH0910683A (ja) * 1995-06-30 1997-01-14 Kawasaki Steel Corp 耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材
JP2003293160A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Jfe Steel Kk ポリオレフィン被覆鋼材
JP2004299238A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Jfe Steel Kk ポリオレフィン被覆鋼材
JP2005042190A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Jfe Steel Kk 耐白錆性に優れた表面処理鋼板

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02254178A (ja) * 1989-03-28 1990-10-12 Nippon Steel Corp 高耐食性重畳めっき鋼板
JPH0910683A (ja) * 1995-06-30 1997-01-14 Kawasaki Steel Corp 耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材
JP2003293160A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Jfe Steel Kk ポリオレフィン被覆鋼材
JP2004299238A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Jfe Steel Kk ポリオレフィン被覆鋼材
JP2005042190A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Jfe Steel Kk 耐白錆性に優れた表面処理鋼板

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263716A (ja) * 2008-04-24 2009-11-12 Nippon Steel Corp 超耐久性有機樹脂被覆鋼材
JP2011038157A (ja) * 2009-08-12 2011-02-24 Nippon Steel Corp 有機樹脂被覆鋼材
JP2012081670A (ja) * 2010-10-13 2012-04-26 Nippon Steel Corp 有機樹脂被覆鋼材
JP2014031552A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Nippon Steel & Sumitomo Metal 6価クロムフリー有機被覆鋼材とその製造方法
KR101808360B1 (ko) * 2012-10-12 2017-12-12 니혼 파커라이징 가부시키가이샤 수계 금속 표면 처리제, 금속 표면 처리 피막 및 금속 표면 처리 피막이 형성된 금속 재료
JP2014080639A (ja) * 2012-10-12 2014-05-08 Nippon Parkerizing Co Ltd 水系金属表面処理剤、金属表面処理皮膜及び金属表面処理皮膜付き金属材料
CN103726043A (zh) * 2012-10-12 2014-04-16 日本巴卡黎神谷股份有限公司 水性金属表面处理剂、金属表面处理被膜以及带有金属表面处理被膜的金属材料
CN103726043B (zh) * 2012-10-12 2018-04-06 日本巴卡黎神谷股份有限公司 水性金属表面处理剂、金属表面处理被膜以及带有金属表面处理被膜的金属材料
CN109518900A (zh) * 2018-12-20 2019-03-26 苏州金螳螂建筑装饰股份有限公司 一种钢结构建筑裸顶装饰结构及弹涂施工方法
CN109518900B (zh) * 2018-12-20 2023-12-01 苏州金螳螂建筑装饰股份有限公司 一种钢结构建筑裸顶装饰结构及弹涂施工方法
JP2020169250A (ja) * 2019-04-02 2020-10-15 Dic株式会社 接着剤、積層体、電池用包装材及び電池
JP7275774B2 (ja) 2019-04-02 2023-05-18 Dic株式会社 接着剤、積層体、電池用包装材及び電池
JP7359339B1 (ja) 2022-09-01 2023-10-11 Jfeスチール株式会社 鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末
WO2024047971A1 (ja) * 2022-09-01 2024-03-07 Jfeスチール株式会社 鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末

Also Published As

Publication number Publication date
JP4772735B2 (ja) 2011-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4772735B2 (ja) 有機樹脂被覆鋼材
RU2592895C2 (ru) Металлический лист с предварительным покрытием для применения в автомобилях, имеющий превосходную пригодность к контактной сварке, коррозионную стойкость и формуемость
JP6806892B2 (ja) 3価クロム及び無機化合物を含有した表面処理溶液組成物、これを用いて表面処理された亜鉛系めっき鋼板、及びその製造方法
ES2934840T3 (es) Composición de solución de tratamiento superficial para láminas de acero chapadas con aleación de zinc por inmersión en caliente con base ternaria, que proporciona una excelente resistencia a la corrosión y resistencia al ennegrecimiento, láminas de acero chapadas con aleación de zinc por inmersión en caliente con base ternaria usando la misma, y proce-dimiento de fabricación de la misma
JP2004263252A (ja) 耐白錆性に優れたクロムフリー化成処理鋼板
US11603474B2 (en) Corrosion inhibition system
JP3345023B2 (ja) 鋼材の表面処理剤および表面処理鋼材
JP5217508B2 (ja) 樹脂被覆鋼材の製造方法
JP4964699B2 (ja) 有機樹脂被覆鋼材及びこれを用いた建造物
Rahimi et al. Anticorrosive interfacial coatings for metallic substrates
KR100727694B1 (ko) 표면 처리 금속판 및 표면 처리제
JP2009209391A (ja) 樹脂被覆鋼材の製造方法
JP5651912B2 (ja) 樹脂被覆鋼材の製造方法
JP4207536B2 (ja) 表面処理金属板および表面処理剤
KR20020066058A (ko) 내식성이 우수한 다크로 피막 코팅용 피막조성물
WO2009081452A1 (ja) 防食剤およびその製造方法
JP6623543B2 (ja) 有機樹脂被覆鋼材
JP5668584B2 (ja) 有機被覆鋼材
JP6742142B2 (ja) めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法
JP4299576B2 (ja) 耐剥離防食性に優れた重防食塗装鋼材
JP5211829B2 (ja) 超耐久性有機樹脂被覆鋼材
JP2008229998A (ja) 重防食被覆鋼材
JP2006043934A (ja) 重防食被覆鋼材
JP5326921B2 (ja) 有機樹脂被覆鋼材
KR101820924B1 (ko) 무기질 철강재 방청·방식 도료조성물 및 그 도포방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110518

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110531

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110622

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4772735

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees