JPH0910683A - 耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材 - Google Patents

耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材

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JPH0910683A
JPH0910683A JP16495995A JP16495995A JPH0910683A JP H0910683 A JPH0910683 A JP H0910683A JP 16495995 A JP16495995 A JP 16495995A JP 16495995 A JP16495995 A JP 16495995A JP H0910683 A JPH0910683 A JP H0910683A
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松 富 夫 若
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Muneyoshi Murakami
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Abstract

(57)【要約】 【目的】所望の耐陰極剥離性能を有する、高温耐陰極剥
離性能に格段に優れた重防食被覆鋼材を提供する。 【構成】鋼板の表面に、比表面積1nm2 あたり2〜4
個の水酸基をもつ気相シリカを全クロム量に対して重量
比で2.0〜7.0倍含み、かつ全クロム量のうち3価
のクロムの重量比が0.1〜0.7になるように80℃
以上で部分還元した、または、65℃以下で部分還元し
た、クロメート処理剤によるクロメート層を、全クロム
量で100〜1000mg/m2 有し、その上層に、エ
ポキシドを1.5〜5.0mol/kgと、酸性顔料ま
たは塩基性顔料を10〜200g/kgとを含むプライ
マー層を有し、さらにその上層に、有機樹脂層を有する
ことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重防食被覆鋼材に関し、
さらに詳しくは耐陰極剥離性が優れた重防食被覆鋼材に
関する。
【0002】
【従来の技術】重防食被覆鋼材は、通常は電気防食を併
用して長期間使用されるが、防食電流によって水分等が
分解して生成するアルカリ(OH- )によって運搬・敷
設時に生じた被膜の損傷部から剥離が起こる陰極剥離
(図4参照)と呼ばれる現象により、防食性能が低下す
る。近年、需要の増加やメンテナンスフリーへの要求と
ともに、その防食性能に対する要求も厳しくなってきて
おり、重防食被覆鋼材の耐陰極剥離性能向上は重要な課
題となっている。
【0003】重防食被覆鋼材の耐久性能を向上させるた
めには、塗膜を鋼材表面に強固に接着する必要がある。
塗膜の密着性を向上させる方法として、従来よりクロム
酸、還元剤、気相および液相シリカ、りん酸、アルカリ
金属イオン等からなるクロメートによる処理を、下地処
理として施す方法が提案されてきた。例えば特公平3−
66393号公報に見られるように、クロム酸水溶液に
還元剤、シリカ微粒子、りん酸を添加したクロメート処
理剤、また特公平6−98731号公報に見られるよう
に、シランカップリング剤の添加により高温耐陰極剥離
性能を良好としたクロメート処理剤等がある。また、ク
ロメート処理剤層の上層となるプライマー層として例え
ば特開平4−169229号公報等に見られるようにエ
ポキシドを含む樹脂層を施す方法等が広く一般的に提案
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような下
地処理を施した重防食被覆鋼材には、下記の問題点があ
る。 a クロメート中に液相シリカを添加した処理剤は、液
相シリカを添加していない処理剤と比較した場合、耐陰
極剥離性能に対しては添加効果は少ない。 b クロメート中にりん酸を添加した処理剤において
は、リン酸の湿潤性により耐陰極剥離性能が低下する場
合がある。 以上の点から所望の耐陰極剥離性能を得ることは困難で
あった。またシランカップリング剤の添加は、クロメー
トの安定性が悪いので実用が困難であった。
【0005】本発明の目的は、耐陰極剥離性能に優れた
重防食被覆鋼材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を解決すべく、クロメート処理剤及びその上層とな
るプライマー層にエポキシドを含む樹脂を使用した場合
について鋭意検討を行った結果、以下の2つの発明を知
見した。その第1は、全クロムに対し3価のクロムの重
量比が0.1〜0.7倍になるように80℃以上で部分
還元を行ったクロム酸水溶液に、全クロムに対し重量比
が2.0〜7.0倍の気相シリカを分散させたクロメー
ト処理剤および燐酸塩等の酸性顔料を含むエポキシプラ
イマーを用いることにより、耐陰極剥離性に優れた重防
食被覆鋼材が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】その第2は、全クロムに対し3価のクロム
の重量比が0.1〜0.7倍になるように65℃以下の
温度で部分還元を行ったクロム酸水溶液に、全クロムに
対し重量比が2.0〜7.0倍の気相シリカを分散させ
たクロメート処理剤および亜鉛華等の塩基性顔料を含む
エポキシプライマーを用いることにより耐陰極剥離性能
により優れた重防食被覆鋼材が得られることを見出し、
本発明に至った。
【0008】すなわち、第1の発明は、鋼板の表面に、
比表面積1nm2 あたり2〜4個の水酸基をもつ気相シ
リカを全クロム量に対して重量比で2.0〜7.0倍含
み、かつ全クロム量のうち3価のクロムの重量比が0.
1〜0.7になるように80℃以上で部分還元したクロ
メート処理剤によるクロメート層を、全クロム量で10
0〜1000mg/m2 有し、その上層に、エポキシド
を1.5〜5.0mol/kgと、酸性顔料を10〜2
00g/kgとを含むプライマー層を有し、さらにその
上層に、有機樹脂層を有することを特徴とする耐陰極剥
離性に優れた重防食被覆鋼材を提供する。
【0009】また、第2の発明は、鋼板の表面に、比表
面積1nm2 あたり2〜4個の水酸基をもつ気相シリカ
を全クロム量に対して重量比で2.0〜7.0倍含み、
かつ全クロム量のうち3価のクロムの重量比が0.1〜
0.7になるように65℃以下で部分還元したクロメー
ト処理剤によるクロメート層を、全クロム量で100〜
1000mg/m2 有し、その上層に、エポキシドを
1.5〜5.0mol/kgと、塩基性顔料を10〜2
00g/kgとを含むプライマー層を有し、さらにその
上層に、有機樹脂層を有することを特徴とする耐陰極剥
離性に優れた重防食被覆鋼材を提供する。
【0010】また、前記プライマー層が、エポキシ樹
脂、アミン・エポキシ樹脂、フェノール・エポキシ樹
脂、ポリイミド・エポキシ樹脂、エポキシ・シリコーン
樹脂から選ばれる少なくとも1種のエポキシ変性樹脂で
あるのが好ましい。
【0011】さらに、前記有機樹脂層が、変性ポリオレ
フィン樹脂およびその上層のポリオレフィン樹脂、また
は変性ポリウレタン樹脂およびその上層のポリウレタン
樹脂より形成されるのが好ましい。
【0012】以下、本発明の耐陰極剥離性に優れた重防
食被覆鋼材(以下、重防食被覆鋼材とする)について詳
細に説明する。
【0013】図1に、本発明の重防食被覆鋼材の概念図
を示す。図1に示されるように、本発明の重防食被覆鋼
材は、鋼材上に所定のクロメート層が形成され、その上
層に所定のプライマー層が形成され、その上層には有機
樹脂層が形成されて、構成される。
【0014】本発明に用いられる鋼材とは、H型鋼、I
型鋼、L型鋼等の形鋼、鋼矢板、棒鋼、鋼線、鋳鉄管、
鋼管や、厚板鋼板、熱延鋼板、冷延鋼板等の鋼板であ
り、重防食被覆は片面であってもよく、他の面がめっき
面であってもよい。
【0015】次に、本発明の重防食被覆鋼材のクロメー
ト層の形成に用いるクロメート処理剤について説明す
る。本発明で使用するクロメート処理剤は、純水にクロ
ム酸(CrO3 )を溶解させた水溶液を部分還元し、所
定の3価のクロム量とし、かつ、比表面積1nm2あた
り2〜4個の水酸基をもつ気相シリカ微粒子を混合させ
たものである。
【0016】6価のクロムから3価のクロムへの部分還
元に用いる還元剤は、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等の1価のアルコール、蓚酸等のカルボン酸等を
用いる。
【0017】クロムを6価から3価に部分還元を行うの
は、クロメート層の耐アルカリ溶解性能を上昇させるた
めである。3価に還元されたクロムおよび3価のクロム
と結合した6価のクロムはアルカリに溶解しない。しか
し、3価のクロムの量が多くなると、鋼材表面と6価の
クロムとの反応が起こりにくく、鋼材表面とクロメート
層との接着性が低下する。還元の程度は、全クロム量に
対し3価のクロムの重量比が0.1〜0.7、好ましく
は0.2〜0.7となるようにする。0.1倍未満では
3価のクロム量が少なくクロメートが溶解しやすいため
好ましくなく、0.7倍超では鋼材表面と反応する6価
のクロムの量が少なく、鋼材表面とクロメートの接着性
が低下するためである。
【0018】第1の発明では、クロムの6価から3価へ
の部分還元はクロム酸水溶液の温度が80℃以上の状態
で行なう。文献(例:J. Am. Chem. Soc. 3564 Vol.81
1959)によると、3価クロムの水溶液を煮沸すると、3
価のクロムが2量体化して、水酸基を介した複核錯体を
形成する。
【0019】
【化1】
【0020】クロメート液中の3価クロムは、クロメー
ト液中の気相シリカのζ電位が+の値を示すことと、他
に+の電荷をもつ成分がないことより、気相シリカ表面
に吸着する性質をもつと考えられる。3価クロムの形態
によりこの気相シリカ表面に吸着する性質が異なると考
えられるので6価から3価への部分還元時の温度が80
℃以上という条件は重要である。
【0021】一方第2の発明では、クロムの6価から3
価への部分還元はクロム酸水溶液の温度が65℃以下に
なるよう保持して行う。この温度条件で部分還元を行う
と、上記の3価クロムの2量体化や、水酸基を介した複
核錯体形成は起こらず、3価クロムの形態が第1の発明
とは異なり、したがって気相シリカ表面に吸着する3価
クロムの性質が第2の発明では異なっていると考えられ
るので、第2の発明における6価から3価への部分還元
時の温度が65℃以下という条件は重要である。
【0022】前述の鋼材表面にクロメート処理剤を塗布
する前に、脱脂、酸洗、ブラスト処理等で鋼材表面の油
分、スケール等を除去する。スケール等を除去した鋼材
表面にクロメート処理剤を塗布すると、鋼材表面の酸化
作用及び塗布後の加熱によって6価のクロムは一部還元
され、クロムに結合した水酸基どうしの脱水縮合反応が
進行し、耐アルカリ溶解性の優れたクロメート被膜が生
成する。
【0023】また、本発明の重防食被覆鋼板において
は、クロメート処理剤に、比表面積1nm2 あたり2〜
4個の水酸基をもつ気相シリカを添加する。ここで、気
相シリカ微粒子とは、有機シリカ化合物を気相で熱分解
を行って製造されたシリカ粒子の総称である。例えば揮
発性シラン化合物の酸水素炎中における加水分解により
製造されたきわめて微細な二酸化ケイ素が例示される。
具体的には、日本アエロジル社製のアエロジル130、
アエロジル380、アエロジルOX50、アエロジルO
X170等の比表面積1nm2 あたり2〜4個の水酸基
をもつ気相シリカを1種あるいは2種以上混合して用い
る。なお、本発明における気相シリカの比表面積とは、
BET法による窒素吸着法により測定される。
【0024】また比表面積あたりの水酸基濃度は、Li
2 4 法及びH−D交換法等による。比表面積1nm
2 あたりの水酸基が2個未満では、気相シリカの有する
水酸基の効果を発揮することができず、4個超ではクロ
メート層の耐アルカリ溶解性等の耐溶解性が低下してし
まう。
【0025】GDS(グロー放電発光分光分析)による
クロメート層の深さ方向の元素分布測定結果(図5参
照)と下記表1に示す比表面積1nm2 あたり2〜4個
の水酸基を有するSiO2 /Cr=3.2の量で添加し
たクロメート層および無添加のクロメート層と、フェニ
ルグリシジルエーテル(PGE)との間の接触角測定結
果(図2参照)から推察するに、気相シリカは、その表
面の水酸基が上層のプライマー中のエポキシド等の官能
基と反応し、クロメート層とその上層のプライマー層と
の接着性を上昇させると考えられる。
【0026】
【0027】なお、図2に示す接触角θと接着性との関
係は、Young の式より 付着の仕事W=γ×(1+cosθ) γ:樹脂の表面張力 で表すことができ、γが同じ場合、接触角が小さいほど
付着の仕事量が大きく、接着性が大きい。
【0028】気相シリカの添加量は、クロメート処理液
中の全クロム量に対して、重量比で2.0〜7.0倍、
好ましくは3.0〜5.0倍である。気相シリカの添加
量が2.0倍未満では、接着に有効な気相シリカの水酸
基の総量が少ないため、プライマーのエポキシドの濃度
による耐陰極剥離性能差が大きく、添加量が7.0倍を
超えて含有されると、クロメート層の耐アルカリ溶解性
低下の影響が大きいため好ましくない。
【0029】また、前記の気相シリカはクロメート液中
で3価クロムをその表面に吸着しているため+の値の表
面電位をもっていると考えられる。よって3価クロムの
吸着量が多いほど気相シリカは表面電位が高いと考えら
れる。クロメート液中の気相シリカのζ電位を測定する
と、95℃で部分還元したクロメート液は常温で部分還
元したクロメート液よりもζ電位が低く、またクロメー
ト層表面に比較的濃化しにくい性質をもつ(図5参
照)。従って常温で部分還元したクロメート液中の気相
シリカの方が、表面に3価のクロムをより多く吸着し、
クロメート層表面に濃化しやすいと考えられる。従って
上層のプライマーと反応して接着するのに有利である
が、実際の塗料密着性は却って低下する結果になった。
これは、表面に3価クロムが吸着していることにより、
接着に有効な気相シリカの水酸基が少なくなっていると
考えられる。
【0030】第1の発明ではクロメート処理液の部分還
元を80℃以上で行うので、80℃以上で部分還元した
クロメート液の場合では気相シリカに吸着した3価クロ
ムが少なく、気相シリカ表面の水酸基の接着性が失われ
ていないため接着性が良好であると考えられる。
【0031】一方、第2の発明では、クロメート処理液
の部分還元を65℃以下で行うので、常温で部分還元し
たクロメート液中の気相シリカの方が、表面に3価のク
ロムをより多く吸着し、クロメート層表面に濃化しやす
いと考えられる。従って上層のプライマーと反応して接
着するのに有利であるが、実際の塗料密着性は却って低
下する結果になった。これは、表面に3価クロムが吸着
していることにより、接着に有効な気相シリカの水酸基
が少なくなっていると考えられる。本発明者は、上述の
問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、プライマー
へ塩基性顔料を添加することにより実際の塗料密着性を
改善することを発見した。塩基性の物質はクロメート層
表面の気相シリカに吸着した3価クロムを取り除き、接
着に有効な水酸基を再生する効果があると考えられる。
高温で部分還元したクロメート液の場合では気相シリカ
に吸着した3価クロムが少なく、プライマーに添加した
塩基性顔料の作用により、気相シリカ表面の水酸基の接
着性が失われるため好ましくない。
【0032】クロメート処理剤の焼付温度は、鋼材表面
温度で60〜300℃程度が適切である。クロメート処
理剤の焼付を、鋼材表面温度が60℃未満で行った場合
には、その上層にプライマー層を塗布した際にクロメー
ト層が溶解する可能性があるので適さず、また鋼板表面
温度が300℃超で焼付を行うと、水酸基の脱水縮合反
応が進行し過ぎ、上層であるプライマー層との接着に必
要なクロメート層表面の水酸基が失われてしまい、耐陰
極剥離性能向上に好ましくない。
【0033】本発明の重防食被覆鋼板において、このよ
うなクロメート処理剤によって形成されるクロメート層
の付着量は、全クロム重量で100〜1000mg/m
2 、好ましくは300〜800mg/m2 である。付着
量が100mg/m2 未満では、クロメート処理の効果
を発揮することができず、付着量が1000mg/m2
を超えると、クロメート層の耐アルカリ溶解性低下の影
響が大きくなるため好ましくない。
【0034】本発明の重防食被覆鋼板においては、この
ようなクロメート層の上層にはプライマー層が形成され
る。本発明においては、プライマー層は、エポキシドを
1.5〜5.0mol/kg含むエポキシ樹脂層、好ま
しくは、エポキシ樹脂、アミン・エポキシ樹脂、フェノ
ール・エポキシ樹脂、ポリイミド・エポキシ樹脂、エポ
キシ・シリコーン樹脂等の変性エポキシ樹脂、エポキシ
変性樹脂を主成分とする無溶剤型塗料、溶剤型塗料、粉
体塗料を塗布して硬化させた塗膜をプライマー層として
用いる。
【0035】ここでプライマー層は、エポキシドを1.
5〜5.0mol/kg、好ましくは3.0〜4.5m
ol/kg含むものである。エポキシドの量が1.5m
ol/kg未満では、クロメート層との接着力が弱く、
所望の耐陰極剥離性能を得ることができない。また、
5.0mol/kgを超えて含有されると、プライマー
層を形成する樹脂の硬化性の面で不都合を生じる。な
お、本発明においてエポキシドを1.5〜5.0mol
/kg含むとは、プライマー層を形成する樹脂中の硬化
反応前のエポキシドが1.5〜5.0mol/kgであ
ることを意味する。
【0036】また、第1の発明では、上記のプライマー
層には、他に酸性顔料を添加する。酸性顔料とは、リン
酸塩、ポリリン酸塩等の酸化物を成分とした一般の顔料
である。上記酸性顔料はその酸性により気相シリカとプ
ライマー樹脂中のエポキシドとの接着性を高める作用が
ある。酸性顔料の添加量は10〜200、特に30〜1
50g/kgが望ましい。顔料の添加量が10g/kg
未満ではこの作用が十分に発揮されず、また200g/
kg超ではプライマー樹脂の粘度の面で実用上好ましく
ない。またこの酸性顔料には主成分であるリン酸塩、ポ
リリン酸塩の他に、シリカ、アルミナ、チタニア、タル
ク、ケイ酸塩、カーボンブラック、ベンガラ、アニリン
ブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン等の一般の体質
顔料、着色顔料を添加することが出来る。
【0037】また、第2の発明では上記プライマー層に
は、他に塩基性顔料を添加する。塩基性顔料とは、亜鉛
華、マグネシア等難溶性酸化物を成分とした一般の顔料
である。上記塩基性顔料はその塩基性により3価のクロ
ムを吸着した気相シリカとプライマー樹脂中のエポキシ
ドとの接着性を高める作用がある。塩基性顔料の添加量
は10〜200、特に30〜150g/kgが望まし
い。顔料の添加量が10g/kg未満ではこの作用が十
分に発揮されず、また200g/kg超ではプライマー
樹脂の粘度の面で実用上好ましくない。またこの塩基性
顔料には主成分である亜鉛華、マグネシア等の他に、シ
リカ、アルミナ、チタニア、タルク、ケイ酸塩、カーボ
ンブラック、ベンガラ、アニリンブラック、アゾ系顔
料、フタロシアニン等の一般の体質顔料、着色顔料を添
加することが出来る。
【0038】本発明の重防食性被覆鋼板においては、プ
ライマー層の上層には有機樹脂層が形成される。有機樹
脂層としては、変性ポリオレフィン樹脂およびその上層
のポリオレフィン樹脂、あるいは変性ポリウレタン樹脂
およびその上層のポリウレタン樹脂、の構成を有するも
のが好適に利用される。このように、変性樹脂層上に樹
脂層を形成することにより、前記プライマー層と有機樹
脂層との密着性を向上でき、より好ましい結果を得る。
【0039】このような有機樹脂層には、主成分の他
に、必要に応じて顔料等を含有してもよい。顔料として
は、シリカ、アルミナ、チタニア、タルク、ケイ酸塩、
亜鉛華、マグネシア、リン酸アルミニウム等のリン酸
塩、ポリリン酸塩、カーボンブラッック、ベンガラ、ア
ニリンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン等の一般
の体質顔料、着色顔料が例示される。なお、この有機樹
脂層の厚さは、通常0.5〜20好ましくは1.0〜1
5mm程度施される。以上のようにして得られた本発明
による重防食被覆鋼材の断面を図1に示す。図中クロメ
ート層はクロム付着量100mg/m2 以上、有機樹脂
層は10好ましくは30〜70μm以上の厚みを有して
いると、良好な耐陰極剥離性能を得ることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。
【0041】(第1の発明の実施例と比較例)JIS G 31
41のSPCC鋼板を脱脂後、スピンコーターによりクロ
メート処理剤をクロム付着量300mg/m2 塗布し、
表に示す温度で加熱焼付したのち、プライマーとしてエ
ポキシ樹脂を膜厚が30μm程度になるように塗布し
て、120℃で加熱焼付した。その上層として、変性ポ
リエチレン(三菱化成社製)およびポリエチレン(三菱
化成社製)を塗装後の膜厚が2mmになるように圧着し
て、図1に示される構成の重防食被覆鋼板を各種作製し
た。
【0042】その際、クロメート処理液成分、プライマ
ーのエポキシド濃度、酸性顔料(ポリリン酸塩を含む顔
料)濃度は以下の様に調製したものを用いた。クロメー
ト処理液には、シリカとして日本アエロジル社製のアエ
ロジル130(比表面積1nm2 あたり2〜4個の水酸
基をもつ気相シリカ)を添加した。
【0043】調製条件(実施例) 酸性顔料* :ポリリン酸塩80% シリカ20%
【0044】また、実施例に対し、以下の様に調製して
比較例とした。
【0045】調製条件(比較例) 酸性顔料* :ポリリン酸塩80% シリカ20%
【0046】このように作製した各重防食被覆鋼板の中
心に、樹脂層側から6mmφの欠陥を形成し、図3に示さ
れるような装置によって、陰極剥離試験を行った。試験
は、80℃で14日間と、25℃で30日間の2つの条
件で行った。試験終了後、サンプルの剥離部付近の塗膜
を剥し、剥離距離(図3中矢印aの距離)を測定した。
結果を下記表4に示す。
【0047】 *プライマー塗装時、クロメート層溶解のため。
【0048】(第2の発明の実施例と比較例)第1の発
明の実施例と同様にして、ただしその際、上記のクロメ
ート処理剤成分、還元温度、プライマーのエポキシド濃
度、塩基性顔料(亜鉛華を含む顔料)濃度は以下の表5
および6に記載の条件で調製したものを用いた。
【0049】 塩基性顔料* :亜鉛華80% アルミナ20%
【0050】 塩基性顔料* :亜鉛華80% アルミナ20%
【0051】第1の発明と同様にして陰極剥離試験を行
った結果を表7に示す。
【0052】 *プライマー塗装時、クロメート層溶解のため。
【0053】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
重防食被覆鋼板は、従来の重防食被覆鋼材に比較して高
温耐陰極剥離性能に格段に優れるため、所望の耐陰極剥
離性能を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 重防食被覆鋼板の構成例を概念的に示す図で
ある。
【図2】 接触角測定を説明するための概念図である。
【図3】 陰極剥離試験装置の概念図である。
【図4】 耐陰極剥離を説明するための概念図である。
【図5】 グロー放電発光分光分析によるクロメート層
の深さ方向の元素分布の測定結果を示す図である。クロ
メート層は還元温度常温(気相シリカζ電位30mV)
と95℃(気相シリカζ電位15mV)の2つの条件場
合をそれぞれ測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDA C08L 23/26 LDA 75/04 NGH 75/04 NGH C09D 163/00 PHZ C09D 163/00 PHZ (72)発明者 成 瀬 義 弘 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 村 上 宗 義 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の表面に、比表面積1nm2 あたり2
    〜4個の水酸基をもつ気相シリカを全クロム量に対して
    重量比で2.0〜7.0倍含み、かつ全クロム量のうち
    3価のクロムの重量比が0.1〜0.7になるように8
    0℃以上で部分還元したクロメート処理剤によるクロメ
    ート層を、全クロム量で100〜1000mg/m2
    し、その上層に、エポキシドを1.5〜5.0mol/
    kgと、酸性顔料を10〜200g/kgとを含むプラ
    イマー層を有し、さらにその上層に、有機樹脂層を有す
    ることを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼
    材。
  2. 【請求項2】鋼板の表面に、比表面積1nm2 あたり2
    〜4個の水酸基をもつ気相シリカを全クロム量に対して
    重量比で2.0〜7.0倍含み、かつ全クロム量のうち
    3価のクロムの重量比が0.1〜0.7になるように6
    5℃以下で部分還元したクロメート処理剤によるクロメ
    ート層を、全クロム量で100〜1000mg/m2
    し、その上層に、エポキシドを1.5〜5.0mol/
    kgと、塩基性顔料を10〜200g/kgとを含むプ
    ライマー層を有し、さらにその上層に、有機樹脂層を有
    することを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆
    鋼材。
  3. 【請求項3】前記プライマー層が、エポキシ樹脂、アミ
    ン・エポキシ樹脂、フェノール・エポキシ樹脂、ポリイ
    ミド・エポキシ樹脂、エポキシ・シリコーン樹脂から選
    ばれる少なくとも1種のエポキシ変性樹脂である請求項
    1または2に記載の耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼
    材。
  4. 【請求項4】前記有機樹脂層が、変性ポリオレフィン樹
    脂およびその上層のポリオレフィン樹脂、または変性ポ
    リウレタン樹脂およびその上層のポリウレタン樹脂より
    形成されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の耐
    陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007313885A (ja) * 2006-04-24 2007-12-06 Nippon Steel Corp 有機樹脂被覆鋼材

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