JP2006043934A - 重防食被覆鋼材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐久性に優れ、安価な重防食被覆鋼材を提供する。
【解決手段】 重防食被覆鋼材は、重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された層厚みが0.2〜2μmの無機被覆層5を有している。
【効果】 ポリシラザン塗布により形成されるガラス薄膜被覆によって被覆の上部から透過する酸素、水が抑制されることで接着界面の破壊が抑制され、被覆端部や傷部からの接着劣化進展を抑制することが出来る。これにより従来よりも信頼性の高い防食被覆を提供することが出来る。
【選択図】 図1
【解決手段】 重防食被覆鋼材は、重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された層厚みが0.2〜2μmの無機被覆層5を有している。
【効果】 ポリシラザン塗布により形成されるガラス薄膜被覆によって被覆の上部から透過する酸素、水が抑制されることで接着界面の破壊が抑制され、被覆端部や傷部からの接着劣化進展を抑制することが出来る。これにより従来よりも信頼性の高い防食被覆を提供することが出来る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被覆端部及び傷部からの剥離進展が少なく長期の防食性に優れる重防食被覆鋼材に関する。
激しい腐食環境に使用される海洋鋼構造物等の鋼材は防食塗装が行われ、なかでも厚みが数mmに及ぶ重防食被覆が有効である。数十年に及ぶ長期耐久性の要求から、電気絶縁性、耐薬品性等の種々の防食性に優れ、かつ安価な樹脂であるポリオレフィン、あるいはポリウレタンといった樹脂を被覆材として使用した重防食被覆鋼材が製造されている。その機能維持にはプラスチック被覆の劣化よりも、被覆端部や疵部の耐剥離性が重要となる。特に、重防食被覆では陰極防食が併用されることが多く、耐陰極剥離性も耐久性維持には重要である。
現在、重防食に使用されているポリオレフィン及びポリウレタン樹脂は安価で耐久性に優れ、実環境での実績による信頼性も高い。また、数mmの厚膜であることから一般塗装に比較して耐傷性にも優れる。ポリオレフィンやポリウレタン樹脂が数mm被覆されていれば、ナトリウムや塩素などの腐蝕を促進するイオン成分の防食被覆表面からの透過を抑制することが可能で、塗膜を透過する酸素や水は微量であって鋼材の腐食には問題ない。しかしながら、水や酸素は微量でも鋼材と樹脂の界面で接着力低下を招き、端部からの接着劣化を助長する。水や酸素の透過抑制には防食被覆の厚みを増やす方法もあるが効率が悪い。更に厚みが厚くなると、被覆の内部応力が増加して密着力が低下することから厚みに比例した効果を得にくいという問題がある。
重防食被覆では特許文献1に示される様な特殊な鋼材の下地処理、プライマー処理に防食被覆を組み合わせることで長期の接着耐久性が確保されている。重防食の下地処理工程の化成処理には主としてクロメート処理が行われている。しかし、最近、ユーザーの意識としてクロムを使用しない鋼材を要求しつつあるが、クロメート処理以外の化成処理では性能確保が難しく、新たな性能向上方法が必要とされている。
また、クロメート下地処理以外で防食被覆の耐久性を向上させる有効な手法としては、特許文献2に示されるように表層にチタン等の耐食金属を積層して、表面強度向上と、光、酸素、水等の劣化要因を遮断して耐傷性と被覆の信頼性を向上させる手法が提案されている。しかし、この方法は形状が単純な鋼管等では有効であるが、それ以外の複雑な形状の構造物では製造が困難であることに加え、耐食金属が高価であることから一般的な防食方法としての適用は難しい。
その他の重防食被覆として、有機被覆では延伸PETや塩化ビニリデンのフィルムを用いる方法もある。チタンよりも安価で形状への追従性も良いが、例えば鋼管矢板の様に複雑で大型の構造物には同様に被覆が難しいという問題があった。金属以外の無機物を用いる方法として、シリカ蒸着膜の形成も有効である。しかしながら、真空蒸着を直接行うことは出来ないことから、ベースフィルムに蒸着し、それを貼り付ける必要があるため、上記のフィルムと同様の制約があった。
特許01985806
特開2001−113630号公報
本発明は上記従来の重防食皮膜が有する問題点を解決するものであって、耐久性に優れ、安価な重防食被覆鋼材を提供することを課題としている。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、従来の重防食被覆の表面に耐食性に優れた無機被覆をポリシラザン溶液塗布によって形成することで、従来の有機樹脂のみでは難しかった酸素及び水の透過を遮断して、耐剥離性を向上させることが出来た。ポリシラザンによって形成されるガラス無機被膜は耐候性や耐薬品性にも優れるという特徴から、他の上塗り塗装を必要とせず単独塗布での使用が可能である。また、スプレー塗装での塗布が可能であることから複雑な形状にも対応可能で作業性に優れる。本発明はポリシラザン溶液塗布によって形成される0.2〜2μmの無機の物質遮断膜をその表面に有することで、被膜の防食性を向上させ重防食被覆鋼材である。
よって、本発明の重防食被覆鋼材は次のとおり構成されている。
(1)本発明の重防食被覆鋼材は、重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された層厚みが0.2〜2μmの無機被覆層を有している。
(2)上記(1)の重防食被覆鋼材において、前記重防食被覆層がプライマー層、及びポリオレフィン防食層またはポリウレタン防食層によって形成されている。
(3)上記(1)または(2)の重防食被覆鋼材において、鋼材表面に下地処理層を有し、当該下地処理層がクロム化合物を含有していない。
(1)本発明の重防食被覆鋼材は、重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された層厚みが0.2〜2μmの無機被覆層を有している。
(2)上記(1)の重防食被覆鋼材において、前記重防食被覆層がプライマー層、及びポリオレフィン防食層またはポリウレタン防食層によって形成されている。
(3)上記(1)または(2)の重防食被覆鋼材において、鋼材表面に下地処理層を有し、当該下地処理層がクロム化合物を含有していない。
薄膜のガラス層を防食被覆の表面に設けることで表面からの酸素及び水透過を大幅に減少する。この結果、本発明の重防食被覆鋼材は傷部や端部からの接着劣化進展を従来の重防食被覆に比べて大幅に抑制することが出来るため、より長期の使用、あるいは過酷な環境での使用が可能である。チタンのような高価な防食材料を使用する必要はないので、安価な重防食被覆鋼材を提供することができる。ポリシラザン溶液はスプレー塗装することができるので、複雑な形状にも対応可能で作業性に優れている。また、従来の塗布型クロメート処理の省略、あるいはクロム化合物を含まない他の化成処理への代替え用途にも有効である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は本発明による重防食被覆鋼材の一例を示す。重防食被覆鋼材は、図1に示すように鋼材1の表面に下地化成処理層2、プライマー樹脂層3、防食樹脂被覆層4、ポリシラザンによるガラス層5を順次積層したものである。下地化成処理2はブラスト処理だけでも良い。
図1は本発明による重防食被覆鋼材の一例を示す。重防食被覆鋼材は、図1に示すように鋼材1の表面に下地化成処理層2、プライマー樹脂層3、防食樹脂被覆層4、ポリシラザンによるガラス層5を順次積層したものである。下地化成処理2はブラスト処理だけでも良い。
防食樹脂層4には、重防食被覆として一般的な変性ポリオレフィン単独、又は変性ポリオレフィン接着剤層とポリオレフィンの2層被覆、あるいはポリウレタン系の樹脂が望ましい。特にポリウレタン樹脂とポリシラザンによるガラス被膜の組み合わせは、被覆材が複雑な形状でも問題無く、また組み合わせの効果も大きい。以上の積層被覆により耐剥離性に優れた重防食被覆鋼材を提供するものである。
本発明に使用する鋼材とは普通鋼、あるいはC、Si、Mn及び窒素、酸素を制御した鋼材、あるいは更に、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,Ti,Al,Mg,V,Ca等の元素を添加した合金鋼である。その代表的な品種としては重防食被覆が適用される鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等がある。
そして、上記鋼材はその表面スケール、汚染物等を除去するため下地処理を行う。下地処理は、アルカリ脱脂〜酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理等により行う。下地処理として更に性能向上のために化成処理を行っても良く、防食性能の要求の高い場合は化成処理にクロメート処理を行う。一方、クロム酸を使用しない場合には他の化成処理として、リン酸亜鉛処理、リン酸マグネシウム処理、他の有機化成処理、亜鉛、錫、鉛、ニッケル、銅等の電気あるいは置換めっきを行っても良い。
次に、下地処理後に施す重防食被覆について説明する。
まず、防食被覆と鋼材の接着性、耐陰極剥離性、防食性を向上させるためにプライマー処理を実施する。プライマーには熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはこれらの変性物に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いると良い。ポリウレタン樹脂としてはプレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。プライマーにはエポキシ樹脂を用いる場合、一般にその主成分としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるい潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、無機顔料を全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みが低減されて密着特性を大きく改善することが出来る。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にリン酸バナジウム等の防錆顔料を適宜用いる。これらの顔料は樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。樹脂プライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用いる。樹脂を予め半重合させることによって粉体状で供給される場合、静電粉体塗装等の方法を用いて30〜1000μmの範囲で塗装する。膜厚が30μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、液体系で500μmを越える厚膜塗装では収縮応力が大きくなるために低温での耐衝撃性が低下しやすい。
まず、防食被覆と鋼材の接着性、耐陰極剥離性、防食性を向上させるためにプライマー処理を実施する。プライマーには熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはこれらの変性物に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いると良い。ポリウレタン樹脂としてはプレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。プライマーにはエポキシ樹脂を用いる場合、一般にその主成分としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるい潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、無機顔料を全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みが低減されて密着特性を大きく改善することが出来る。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にリン酸バナジウム等の防錆顔料を適宜用いる。これらの顔料は樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。樹脂プライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用いる。樹脂を予め半重合させることによって粉体状で供給される場合、静電粉体塗装等の方法を用いて30〜1000μmの範囲で塗装する。膜厚が30μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、液体系で500μmを越える厚膜塗装では収縮応力が大きくなるために低温での耐衝撃性が低下しやすい。
プライマー層の次に防食樹脂被覆層を被覆する。被覆に使用するポリオレフィン樹脂は、その主成分としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。また、そのマレイン酸等の酸無水物の変性によって接着性を付与した変性物であっても良い。その成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加する。
このポリオレフィン樹脂を被覆に用いる場合には、下地のプライマーと接触する下層部分にはポリオレフィンを変性した接着剤を用いる。この接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.3〜5mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましいが、ポリオレフィン防食被覆層を省略し、変性ポリオレフィン樹脂層のみを防食および接着剤として0.3mm以上被覆して用いても良い。
また、ポリオレフィン被覆の方法としては、例えばダイスを用いて加熱溶融した樹脂を直接鋼材に被覆する押出被覆方法を用いる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンの粉体を塗装して溶融皮膜を形成する方法がある。これらの方法により、0.3mm以上の膜厚を有するポリオレフィン防食被覆層を形成する。
一方、防食樹脂被覆層としてポリウレタン樹脂を塗装する方法もある。ポリウレタン樹脂は、ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混合塗装する。ポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油誘導体、その他含水酸基化合物を用いる。イソシアネートとしてはメチレンジフェニルジイソシアネートなどの一般市販のイソシアネートを使用する。充填無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレーなどの一般市販の無機顔料を用いる、また着色顔料には耐候性を付与するために通常はカーボンブラックを用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、紫外線吸収剤を併せて添加する。被覆厚みとしては重防食層としての機能と経済性を考慮し、0.5〜6mmまでの間が望ましい。
次に、本発明に重要なポリシラザンのガラス層について説明する。
本発明では重防食被覆層の表層に、ポリシラザンによる0.2〜2μmの無機バリヤー層を形成する。ポリシラザンは具体的にはパーヒドロキシポリシラザン(クラリアント社製アクアケミカ)を用いる。パーヒドロキシポリシラザンは単独では表面保護や耐汚染のコーテイング剤として主に用いられる。一方で防食塗膜という観点では特願平3−283280の様に耐熱用途の塗料の混合物としての用途が考えられているが、重防食被覆はその厚膜被覆から一般には十分な性能を有するものと考えられており、その性能向上用途に用いられることは無かった。ポリシラザンによる形成被膜は極めてガラスに近い構造を持つため、耐候性にも優れることから再表面に本被膜を形成する。被膜の厚みは0.2μm以下ではバリヤー性確保が難しく、2μm以上塗布を行っても性能向上効果が見られず、被膜の割れ等が発生する恐れもあるため2μm以下が適当である。塗布方法としては1〜10%希釈溶液をスプレー等を用いて重防食被覆上に塗布すると良い。
本発明では重防食被覆層の表層に、ポリシラザンによる0.2〜2μmの無機バリヤー層を形成する。ポリシラザンは具体的にはパーヒドロキシポリシラザン(クラリアント社製アクアケミカ)を用いる。パーヒドロキシポリシラザンは単独では表面保護や耐汚染のコーテイング剤として主に用いられる。一方で防食塗膜という観点では特願平3−283280の様に耐熱用途の塗料の混合物としての用途が考えられているが、重防食被覆はその厚膜被覆から一般には十分な性能を有するものと考えられており、その性能向上用途に用いられることは無かった。ポリシラザンによる形成被膜は極めてガラスに近い構造を持つため、耐候性にも優れることから再表面に本被膜を形成する。被膜の厚みは0.2μm以下ではバリヤー性確保が難しく、2μm以上塗布を行っても性能向上効果が見られず、被膜の割れ等が発生する恐れもあるため2μm以下が適当である。塗布方法としては1〜10%希釈溶液をスプレー等を用いて重防食被覆上に塗布すると良い。
9×100×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施した。この後、何も化成処理をしない場合と、微粒子シリカを含む部分還元クロメート処理、あるいは水溶性エマルジョン樹脂とシリカ成分を含有する化成処理の2種の処理を施した。この後、ウレタン樹脂プライマーを50μm狙いでスプレー塗装した。プライマー硬化後、その表面に顔料っを添加したポリオールとイソシアネートをスプレーガン先端で混合しながら吹きつけ塗装を行い、2.5mm厚みのポリウレタン防食層を形成した。3日間の養生によりポリウレタン被覆を硬化させた後にその表面にパーヒドロキシポリシラザンのキシレン溶媒による5%溶液をスプレー塗布した。1週間の養生を行って本発明の重防食被覆鋼材を製作した。
塗布厚みは塗装後の断面観察から平均膜厚を決定した。
塗布厚みは塗装後の断面観察から平均膜厚を決定した。
製作した重防食鋼材は長期使用における剥離を模擬する目的で、裏面にはエポキシ樹脂でシール塗装を施して50℃の人工海水中に1年間浸漬した。人工海水にはエアーを吹き込むことにより攪拌と酸素の供給を行った。試験後、ポリエチレン被覆を除去して、被覆端部から鋼材面が露出する部分の距離を測定した。表1に比較例としてパーヒドロキシポリシラザンを塗布していない場合とポリシラザンの代わりにシロキサン結合を有する被膜を形成するポリシロキサン溶液を塗布した場合の結果を示す。
比較例1のクロメート処理を用いた通常の重防食被覆鋼材は被覆端部からの接着劣化が生じ難く良好である。一方、比較例2のように従来防食被覆仕様においてクロメート処理が無い場合には接着劣化距離が増大する。また、比較例3の様にシロキサン結合による不完全な無機被膜の場合には塗布効果は見られない。また、ポリシラザンを塗布した場合でも形成される被膜が薄い場合には効果は得られない。
一方、本発明の範囲である実施例5〜9に示される様に0.2〜2μmの無機被膜を形成した場合には、比較例2と比較して大きく性能が向上し、比較例1のクロメート塗布とほぼ同じ性能を有することがわかる。また、実施例10に示される様に2μmを超えた膜厚保でも効果はあるが、コスト面や密着性から薄膜での使用が好ましい。また本発明の実施例11の様に化成処理を併用すると、従来のクロメート処理防食被覆と同等以上の性能が得られる。更にクロメート処理を用いた場合の実施例12では接着劣化距離を小さく保つことが出来る。以上の結果、ポリシラザンを表面に所定量塗布することで従来の防食被覆の防食性能を大きく向上させることが可能である。
1 鋼材
2 下地処理被膜
3 プライマー樹脂
4 防食被覆層
5 ポリシラザンによる無機被膜
2 下地処理被膜
3 プライマー樹脂
4 防食被覆層
5 ポリシラザンによる無機被膜
Claims (3)
- 重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された層厚みが0.2〜2μmの無機被覆層を有することを特徴とした重防食被覆鋼材。
- 前記重防食被覆層がプライマー層、及びポリオレフィン防食層またはポリウレタン防食層によって形成されたことを特徴とする請求項1記載の重防食被覆鋼材。
- 前記重防食被覆鋼材において、鋼材表面に下地処理層を有し、当該下地処理層がクロム化合物を含有していないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の重防食被覆鋼材。
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Cited By (2)
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WO2020245972A1 (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-10 | ヤマモトホールディングス株式会社 | コーティング材の被覆方法、及びコーティング材が被覆された金属材 |
-
2004
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WO2020245972A1 (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-10 | ヤマモトホールディングス株式会社 | コーティング材の被覆方法、及びコーティング材が被覆された金属材 |
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