JP2005262787A - 蒸着層を有する重防食被覆鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重防食鋼材ではその長寿命化が要求されており、安価で生産性の良い方法が必要であることから、このような要望に応える重防食被覆鋼材を提供すること。
【解決手段】 重防食被覆の内部あるいは表面に無機酸化物あるいは耐食金属による蒸着薄膜層を設ける。例えば、従来の重防食被覆、あるいは下地に化成処理を施した重防食被覆に接着剤を介して蒸着を施した有機樹脂フィルムを積層すること。該蒸着無機層は10〜1000nmの厚みであることが好ましい。
【効果】 無機蒸着薄膜によって被覆の上部から透過する酸素、水が抑制されることで接着界面の破壊が抑制され、被覆端部や傷部からの接着劣化進展を抑制することが出来、またその持続効果も有機物フィルムに比較して大きい。これにより従来よりも信頼性の高い防食被覆を提供することが出来る。
【選択図】 図1

Description

海洋等の厳しい腐食環境での鋼材使用には重防食被覆が必須である。重防食被覆は数十年の耐久性が期待されるために、その信頼性向上と更なる長寿命化が期待されている。重防食被覆に使用するプラスチック材料は高い耐久性を有するために、その機能維持にはプラスチック被覆の劣化よりも、被覆端部や疵部の耐剥離性が重要となる。特に、重防食被覆では陰極防食が併用されることが多く、耐陰極剥離性も耐久性維持には重要である。本発明は、被覆端部及び傷部からの剥離進展が少なく長期の防食性に優れる重防食被覆鋼材に関する。
激しい腐食環境に使用される海洋鋼構造物等の鋼材は防食塗装が行われ、なかでも厚みが数mmに及ぶ重防食被覆が有効である。数十年に及ぶ長期耐久性の要求から、電気絶縁性、耐薬品性等の種々の防食性に優れ、かつ安価な樹脂であるポリオレフィン、あるいはポリウレタンといった樹脂を被覆材として使用した重防食被覆鋼材が製造されている。重防食被覆では、特許文献1に示される様な特殊な鋼材の下地処理、プライマー処理に防食被覆を組み合わせることで長期の接着耐久性が確保されている。
ラインパイプでも同様に長期防食性が要求される場合、ポリオレフィン樹脂を被覆した重防食被覆鋼管が使用される。配管は埋設で使用される場合が多いために、樹脂被覆鋼管では搬送や施行工事において貫通疵発生を想定し、疵部の鋼材腐食を抑制するため陰極防食が併用される。ところが、陰極防食は疵周辺部の被覆接着力を低下させる陰極剥離を生じさせるため、ラインパイプに使用する重防食被覆鋼管では耐陰極剥離性が重要である。従来は重防食被覆の下地処理にクロメート処理、樹脂プライマー処理を施すことで耐陰極剥離性を向上させていた。例えば下地処理に用いるクロメート処理剤に特許文献2に示されるように高温の陰極剥離性を改善した燐酸クロメートがある。
また、クロメート下地処理以外で防食被覆の耐久性を向上させる有効な手法としては、特許文献3に示されるように表層にチタン等の耐食金属を積層して、表面強度向上と、光、酸素、水等の劣化要因を遮断して耐傷性と被覆の信頼性を向上させる手法が提案されている。
特開平3−23527号公報 特許第1696992号公報 特開2001−113630号公報
重防食の下地処理工程の化成処理には主としてクロメート処理が行われている。しかし、最近、ユーザーの意識としてクロムを使用しない鋼材を要求しつつあるが、クロメート処理以外の化成処理では性能確保が難しく、新たな性能向上方法が必要とされている。その一つの方法として耐食金属板を表面に設ける方法もあるが、形状が単純な鋼管等では有効であるが、それ以外の複雑な形状の構造物では製造が困難であることに加え、耐食金属が高価であることから一般的な防食方法としての適用は難しく、安価な耐久性向上手法が要望されていた。
現在重防食に使用されているポリオレフィン及びポリウレタン樹脂は安価で耐久性に優れ、実環境での実績による信頼性も高い。また、数mmの厚膜であることから、一般塗装に比較して耐傷性にも優れる。ポリオレフィンやポリウレタン樹脂が数mm被覆されていれば、ナトリウムや塩素などの腐蝕を促進するイオン成分の防食被覆表面からの透過を抑制することが可能である。酸素や水は塗膜を透過するが微量であって鋼材の腐食においては問題にならない。しかしながら、透過する水や酸素は微量でも鋼材と樹脂の界面で接着力の低下を招く。これを防止するため、接着耐久性や耐剥離性といった接着性能の保持に優れたクロメート下地処理とプライマー処理との組み合わせが必要であった。被覆の接着低下の要因である水や酸素の透過抑制には防食被覆の厚みを増やす方法もあるが効率が悪い。更に厚みが厚くなると、被覆の内部応力が増加して密着力が低下し、厚みに比例した効果を得にくいという問題がある。
一方、耐食金属を被覆する方法は樹脂と異なり、水や酸素を完全に遮断出来ることと、内部応力を有しないことから耐剥離効果は大きい。更には熱、紫外線や酸素といった樹脂自体を劣化させる要因も遮断出来るために被覆の寿命向上も予想され、最も有効な方法である。しかしながら耐食金属自体のコストが高いことと被覆方法が難しいという問題があった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、従来の重防食被覆の樹脂材料の改良に着目し、無機酸化膜、あるいは耐食金属の蒸着薄膜層を付与することで、従来の有機樹脂のみでは難しかった酸素及び水の透過遮断機能を大幅に向上させた。特に、無機酸化物皮膜は金属と異なり安定な物質であるために変化しにくく防食被覆にも適する。また、電位や異種金属接触の問題もなく、薄膜のために鋼材形状が複雑でも追従性に優れることから、耐剥離性に優れた新しい重防食被覆を提案するものである。
すなわち、本発明の重防食被覆鋼材とは無機酸化膜、あるいは耐食金属を蒸着によって均一な物質遮断膜として形成したフィルムを防食層の内部またはその表面に積層した層構成を持つものである。
図1は本発明による重防食被覆鋼材の一例を示す。
図1は鋼材1の表面に下地処理層2、プライマー樹脂層3、防食樹脂被覆層4、接着剤層5、無機酸化物、あるいは耐食金属の蒸着を行った蒸着無機層6を有した蒸着ベース樹脂フイルム層7を順次積層したものである。更に、表層フィルムの耐候性が問題になる場合には図2に示すように、UV吸収剤を含有あるいはそれ自身が耐候性に優れた保護フイルム層層8を表面に積層する。
防食樹脂層3には、重防食被覆として一般的な変性ポリオレフィン単独、又は変性ポリオレフィン接着剤層とポリオレフィンの2層被覆、あるいはポリウレタン系の樹脂が望ましい。以上の積層被覆により耐剥離性に優れた重防食被覆鋼材を提供するものである。
蒸着無機酸化物の薄膜を設けることで表面からの酸素及び水透過を大幅に減少することにより、本発明の重防食被覆鋼材は傷部や端部からの接着劣化進展を従来の重防食被覆に比べて大幅に抑制することが出来るため、より長期の使用、あるいは過酷な環境での使用が可能である。また、従来の塗布型クロメート処理の省略、あるいはクロム化合物を含まない他の化成処理への代替え用途にも有効である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明に使用する鋼材とは普通鋼、あるいはC、Si、Mn及び窒素、酸素を制御した鋼材、あるいは更に、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Ti、Al、Mg、V、Ca等の元素を添加した合金鋼である。その代表的な品種としては重防食被覆が適用される鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等がある。
そして上記したような鋼材はその表面のスケール、汚染物等を除去するため下地処理を行う。下地処理は、アルカリ脱脂〜酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理等により行う。下地処理として更に性能向上のために化成処理を行っても良く、防食性能の要求の高い場合は化成処理にクロメート処理を行う。一方、クロム酸を使用しない場合には他の化成処理として、リン酸亜鉛処理、リン酸マグネシウム処理、他の有機化成処理、亜鉛、錫、鉛、ニッケル、銅等の電気あるいは置換めっきを行っても良い。
次に、下地処理後に施す重防食被覆について説明する。
まず防食被覆と鋼材の接着性、耐陰極剥離性、防食性を向上させるためにプライマー処理を実施する。
プライマーには熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはこれらの変性物に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いると良い。ポリウレタン樹脂としてはプレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。プライマーにはエポキシ樹脂を用いる場合、一般にその主成分としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるい潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、無機顔料を全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みが低減されて密着特性を大きく改善することが出来る。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にリン酸バナジウム等の防錆顔料を適宜用いる。これらの顔料は樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。樹脂プライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用いる。樹脂を予め半重合させることによって粉体状で供給される場合、静電粉体塗装等の方法を用いて30〜1000μmの範囲で塗装する。膜厚が30μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、液体系で500μmを越える厚膜塗装では収縮応力が大きくなるために低温での耐衝撃性が低下しやすい。
プライマー層の次に防食樹脂被覆層を被覆する。
被覆に使用するポリオレフィン樹脂は、その主成分としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。また、そのマレイン酸等の酸無水物の変性によって接着性を付与した変性物であっても良い。その成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加する。
そして、このポリオレフィン樹脂を被覆に用いる場合には、下地のプライマーと接触する下層部分にはポリオレフィンを変性した接着剤を用いる。この接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.3〜5mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましいが、ポリオレフィン防食被覆層を省略し、変性ポリオレフィン樹脂層のみを防食および接着剤として0.3mm以上被覆して用いても良い。
また、ポリオレフィン被覆の方法としては、例えばダイスを用いて加熱溶融した樹脂を直接鋼材に被覆する押出被覆方法を用いる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンの粉体を塗装して溶融皮膜を形成する方法がある。これらの方法により、0.3mm以上の膜厚を有するポリオレフィン防食被覆層を形成する。
一方、防食樹脂被覆層としてポリウレタン樹脂を塗装する方法もある。ポリウレタン樹脂は、ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混合塗装する。ポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油誘導体、その他含水酸基化合物を用いる。イソシアネートとしてはメチレンジフェニルジイソシアネートなどの一般市販のイソシアネートを使用する。充填無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレーなどの一般市販の無機顔料を用いる、また着色顔料には耐候性を付与するために通常はカーボンブラックを用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、紫外線吸収剤を併せて添加する。被覆厚みとしては重防食層としての機能と経済性を考慮し、0.5〜6mmまでの間が望ましい。
そして次に、本発明の重要なポイントである蒸着無機層について説明する。
本発明では重防食被覆層の内部あるいは表層に、無機酸化物、あるいは耐食金属被膜を蒸着によって厚み10〜1000nmの厚みに均一に表面に形成した蒸着ベースフィルムを積層する。ガスバリヤー性を向上させる手法として蒸着アルミ金属が用いられるが腐蝕に弱く、防食用途には適さない。これに対してシリカ、アルミナ等の無機酸化物は腐蝕の心配が無い。また、耐食金属も有効である。本発明において使用する蒸着用の無機材料として、ケイ素酸化物(SiO;x=1〜2)、アルミニウム酸化物(Al)及び酸窒化ケイ素(SiO;x=0.6〜0.8、y=0.7〜0.9)が水蒸気バリヤー性にも優れる点で好ましい。また、これらの化合物は2種以上の化合物からなる複合物であってもよい。
一方、蒸着のベースとなる樹脂フィルムとしては、結晶融点(JIS K−7121)又はビカット軟化点(JIS K−7206)が通常100〜380℃、好ましくは150〜380℃、より好ましくは180〜380℃のものが用いられる。また、フィルムの厚みは、柔軟性及び経済性の観点から好ましくは5〜1000μmで、より好ましくは10〜200μmである。このような高分子フィルムの材料としては、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられるが、これらの中でも延伸PETフィルム又は延伸ナイロン(ON)フィルムを用いることが好ましい。一方、蒸着に無機酸化物の代わりに耐食金属を用いる場合にはニッケル、ステンレス、チタン等の耐食性に優れる金属を使用する。
そして、上記の材料を樹脂フィルム上に形成する蒸着法としては、物理的蒸着法(PVD)、化学的蒸着法(CVD)のうちのいずれであってもよく、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームミキシング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、MO−CVD法、熱CVD法等が挙げられるが、物理的蒸着法を用いることが好ましく、中でも真空蒸着法を用いることが特に好ましい。
なお、本発明の効果を本質的に妨げない限りにおいて、必要に応じて、蒸着ベース樹脂フィルム層と蒸着無機層との間に密着強度を高めるための層(アンカーコート層)を設けてもよく、また、蒸着無機層が蒸着ベース樹脂フィルム層と当接する側の面と反対側の面上に蒸着無機層を保護するための層(トップコート層)を設けてもよい。
このようにして得られる複合フィルムにおいて蒸着無機層の膜厚は好ましくは10〜1000nmである。薄膜の厚さが前記下限値未満であるとバリアー性が不足して防食効果が不十分となる傾向にある。また、厚いとフィルムの柔軟性を損ない、無機酸化物では蒸着膜の割れが発生しやすくなる。
蒸着を行った樹脂フィルムを積層する方法としては接着剤を表面コートして用いる。接着剤を介して樹脂フィルムを防食層に積層する場合、粘着性を持たせた接着剤が好ましく、変性ポリオレフィン、アクリル系、シリコン系、ゴム系、ポリウレタン系等の樹脂を用いることが出来る。フィルムは鋼材に重防食を形成した後に粘着、あるいは熱硬化タイプの接着剤を用いて貼り付ける。一方、重防食ポリエチレンシートを貼り付ける行程が用いられている場合には、蒸着フィルムを予めポリエチレンシートとラミネート加工しておいてから貼り付けても良い。
大径鋼管のポリオレフィン被覆ではTダイスを用いて押し出したシートを巻き付ける行程が一般的であるため、押し出したポリオレフィン防食シートを巻き付けると同時に、その中間、あるいは表層に接着剤をラミネートした酸素遮断フィルムをスパイラル状に被覆に巻き付けて製造する方法がある。いずれの方法を用いても、本発明の蒸着遮断層を有するフィルムが接着積層されていれば問題無い。
また、光劣化対策用としては非透明のチタン、ステンレス等の無機層を樹脂フィルムの上層に、物質透過抑制用のシリカ等の無機酸化物の被膜を樹脂フィルムの下層にそれぞれ設けると、耐バリアー性に加えて光による樹脂劣化防止にも有効である。
上記の蒸着無機層は結果として、酸素透過度は数cm(標準)/m・day・atm(20℃)<JISK7126>以下となり、樹脂のみを用いる場合に比較して100分の1以下の透過性を示すために耐剥離性も大きく向上する。
次に保護フイルム層について説明する。
蒸着フィルムを重防食の表面に設ける場合には、耐水性や耐候性が十分では無いため、その表層に耐候性や耐水性に優れる樹脂を用いたフィルムを積層しても良い。例えば、アクリル系、フッ素系、ポリオレフィン系変性ポリオレフィン系等の樹脂を用い、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、着色顔料、着色染料等を添加する。上記光安定剤としては、例えば、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。これら光安定剤はそれぞれチバスペシャリティケミカルズ社より、キマソープ944、チヌビン622及びチヌビン123の商品名で市販されている。紫外線吸収剤としては、例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名チヌビン327、チヌビン328等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名キマソープ81等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名チヌビン900等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
9×100×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施した。この後、何も化成処理をしない場合と、微粒子シリカを含む部分還元クロメート処理、あるいは水溶性エマルジョン樹脂とシリカ成分を含有する化成処理の2種の処理を施した。この後、粉体エポキシ樹脂を100μm静電粉体塗装して溶融加熱硬化させてプライマー被膜を形成した。その後、変性ポリオレフィン樹脂を粉砕して生成した粉体接着剤を300μm塗布して加熱溶融中に、2mm厚のポリエチレンを貼り付けた。この後接着剤をラミネートした各種蒸着を施したフィルムを貼り付けて、本発明の蒸着遮断層を持つフィルムを含む重防食被覆鋼材を製造した。またポリエチレンシートを省略し、粉体接着剤塗布後の溶融中に本発明の蒸着フィルムを直接貼り付けて、ポリエチレン防食シートを省略したタイプの重防食被覆鋼材を製造した。一方、樹脂フィルムの代わりに0.2mm厚みのチタン箔を熱可塑性の接着剤でラミネートしたシートを貼り付けた比較例の重防食被覆鋼材を製作した。
製作した重防食鋼材は長期使用における剥離を模擬する目的で、裏面にはエポキシ樹脂でシール塗装を施して50℃の人工海水中に1年間浸漬した。人工海水にはエアーを吹き込むことにより攪拌と酸素の供給を行った。試験後、ポリエチレン被覆を除去して、被覆端部から鋼材面が露出する部分の距離を測定した。ただし、露出する鋼材面は接着力は低下していても腐蝕は生じておらず防食面では接着が低下していても問題は見られなかった。
表1に比較例として蒸着を行っていない各種フィルムを貼り付けた場合の鋼材露出面の距離を示す。比較例1のクロメート処理を用いた重防食被覆鋼材は被覆端部からの接着劣化が生じにくい。一方、比較例3のように従来防食被覆仕様においてクロメート処理が無い場合には接着劣化距離が増大する。また、比較例2の様にクロメート処理以外の化成処理でも性能向上が見られるが、十分ではない。一方、比較例4のチタン金属被覆を有する重防食被覆鋼材ではクロメート処理が無くても被覆の遮蔽効果により、端部からの接着劣化距離が短い。また蒸着を施していないフィルムの比較例5〜9でも、フィルムの酸素透過度が低いものでは接着劣化距離が縮小する傾向が見られた。比較例10は、蒸着層があってもAlであると溶解してしまい、効果は少ない。
比較例11〜20は、比較例1〜10と同条件で防食層(シート)を省略し、接着剤層のみを用いた水準である。厚い防食層(シート)が無い場合、接着劣化距離は若干広がるが、クロメート、化成処理、フィルムの影響は防食層がある場合と同様の結果を示した。
一方、本発明の蒸着を行ったフィルムを使用した場合の実施例を表2に示す。実施例1〜8は防食層(シート)が有る場合、実施例9〜16は防食層(シート)が無い場合である。防食層(シート)の有無に関わらず、本発明の蒸着層を有する実施例1〜16では同じ下地処理で比較すると接着劣化距離が大きく減少する。例えば、下地化成処理が無い実施例1〜6及び9〜14では、同じ水準の比較例3〜10、及び13〜20に比べて耐剥離性が大幅に向上する。これは、実施例の蒸着膜が耐剥離性に大きく寄与したためと思われる。同様に化成処理との組み合わせである本発明の実施例7及び15では、従来のクロメート処理防食被覆と同等以上の性能が得られる。更に、クロメート処理を用いた場合の実施例8及び16では接着劣化距離を小さく保つことが出来る。
Figure 2005262787
Figure 2005262787



本発明の重防食被覆鋼材の被覆構成断面図の一例を示す。 本発明の重防食被覆鋼材の被覆構成断面図の他の例を示す。
符号の説明
1 鋼材
2 下地処理被膜
3 プライマー樹脂
4 防食被覆層
5 接着層
6 無機蒸着層
7 蒸着ベース樹脂フィルム
8 保護フィルム

Claims (4)

  1. 無機物を蒸着した蒸着ベースフィルム層を有したことを特徴とする重防食被覆鋼材。
  2. 前記蒸着した無機物が、シリカ、アルミナ等の無機酸化物、あるいはニッケル、ステンレス、チタン等の耐食金属の1種以上であり、当該蒸着無機層が10〜1000nmの厚みであることを特徴とする請求項1記載の重防食被覆鋼材。
  3. 前記重防食被覆鋼材が、下地処理を行った鋼材表面に樹脂プライマー処理層を設け、その上に200μm以上の厚みを有する防食層を積層し、当該防食層の内部又は表面に、前記蒸着無機層を少なくとも一層以上有したことを特徴とする請求項1乃至2記載の重防食被覆鋼材。
  4. 前記下地処理がクロム化合物を使用していないことを特徴とする請求項3記載の重防食被覆鋼材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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