JP2000073003A - 鋼材用防食塗料組成物 - Google Patents

鋼材用防食塗料組成物

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JP2000073003A
JP2000073003A JP24696998A JP24696998A JP2000073003A JP 2000073003 A JP2000073003 A JP 2000073003A JP 24696998 A JP24696998 A JP 24696998A JP 24696998 A JP24696998 A JP 24696998A JP 2000073003 A JP2000073003 A JP 2000073003A
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pts
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steel
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Hiroshi Kishikawa
浩史 岸川
Takayuki Kamimura
隆之 上村
Mitsuo Kuze
光夫 久世
Tomoyuki Hirai
智之 平井
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Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Nippon Paint Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた防錆性、長期密着性(耐陰極剥離性)
および冷熱サイクル特性を与える1液型塗料組成物の提
供。 【解決手段】 a)4,4-(ビスヒドロキシフェニル)
アルカン-グリシジルエーテル50重量部とノボラック型
エポキシ樹脂20〜80重量部から成る主剤、 b)ジシアンジアミドを前記主剤100重量部に対して5
〜20重量部、および c)イミダゾール系化合物を前記主剤100重量部に対し
て0.5〜3重量部を含む1液型の鋼材用防食塗料組成物
であって、前記a)+b)+c)の和を100重量部とし
て、 d)ホウ酸亜鉛5〜50重量部、および e)クロム酸ストロンチウム防食顔料1〜30重量部を含
有することを特徴とする1液型の鋼材用防食塗料組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存安定性を改良
した1液型の鋼材用防食塗料組成物、およびそれを塗装
した鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や食塩水等の電解質を含む湿潤環境
下における鋼材の腐食を防止する手段の一つに電気防食
がある。電気防食は、鋼材を陰極に保って鉄のイオン化
を抑制することにより溶解を防止する方法であるが、鉄
部分が大面積になると電力や犠牲陽極の消費が増すた
め、通常は鋼材をそのまま電気防食することはなく、塗
装やライニング(例えば、ポリオレフィン被覆)のよう
な有機被膜による防食手段と併せて行うことが多い。こ
の複合防食によれば、鋼材の大部分が有機被膜により防
食され、該有機被膜に発生する傷、ピンホール等の欠陥
部分を電気防食で補うことができ、補完的な機能を介し
て経済効率を高めることができる。
【0003】一般に、陰極に分極された金属表面では金
属イオンが還元されて溶解されなくなるため、溶解しよ
うとする金属イオンに見合うだけの電力を与えて電気防
食すれば十分な効果が得られる。この際、溶解しようと
する金属イオンの量は、金属の表面積に比例し、塗装鋼
材では欠陥部分の表面積に相当することになる。しか
し、前記欠陥部分の表面積を知ることは極めて困難であ
るため、過剰な電気防食を施すのが通例とされている。
ところが、過剰な分極化は、陰極における水の電気分解
により、水酸イオンを発生させるため、陰極となる有機
被膜の傷部が常にアルカリ雰囲気に曝されることとな
る。このような事態が生じると、鋼材−有機被膜ないし
は有機被膜間のいずれかの界面、特に耐アルカリ性の弱
い部位で被膜の劣化や接着点の切断が起こり、陰極剥離
現象が発生する。
【0004】このような陰極剥離現象を抑制するため
に、鋼材表面にクロメート処理を施したり、エポキシ樹
脂などのプライマーを塗装したり、あるいはその両者を
採用したりしている。
【0005】したがって、現在最も多く採用されている
パイプライン用鋼管の表面は、図1に示すように、鋼管
表面に表面処理層(ブラスト/クロメート被膜)、エポ
キシプライマー層、ポリオレフィン接着剤層およびポリ
オレフィン被膜層を順に形成した構造を有している(例
えば、特開平8−25560号公報および特開平7−3
29244号公報等)。
【0006】この構造をもつ鋼管のエポキシプライマー
の改良技術として、特開平6−100802号公報に
は、エポキシ系の熱硬化性樹脂中に、ホウ酸亜鉛化合物
を配合したものが提案されている。この防食塗料組成物
は、陰極剥離を効果的に防止することができるが、その
剥離防止作用を更に長期的に確保することが望まれてい
た。
【0007】さらに、上記分野において従来使用されて
いる防食塗料組成物は、主に2液型塗料組成物である。
これは、主剤と硬化剤を別個に保存し、使用直前に混合
し、使用するものであるが、それらは混合後放置する
と、数時間で硬化してしまうという欠点がある。従っ
て、一旦、混合したら、全部使い切らなければならない
が、現実問題として使用量を確実に予測することができ
ず、多めに調製するため、不使用物が大量に発生する。
また、2液型塗料組成物は、その混合の手間や、主剤と
硬化剤の混合比には最適値が存在するため、混合ミスに
よりその最適混合比を外れた場合に塗料組成物そのもの
が使用不可能となる等、多数の問題点が存在する。
【0008】そこで、主剤と硬化剤を既に混合した1液
型塗料組成物の使用が望まれている。特開平8-11258号
公報には、主剤、硬化剤および硬化触媒、並びに防食顔
料を含む1液型塗料組成物を塗布した被覆鋼材が開示さ
れている。しかしながら、前記公報には、上記1液型塗
料組成物を用いて形成された被覆塗膜についての陰極剥
離特性が良好であることは示されているが、被覆された
鋼材が曝露される環境下での耐久性が得られなかった。
また、上記組成物を混合した1液型塗料組成物としての
保存安定性が不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鋼材
を使用する海水等の侵食性環境下において、鋼材に、優
れた防錆性、長期密着性(耐陰極剥離性)および冷熱サ
イクル特性を与える1液型塗料組成物を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、主剤および硬
化剤系並びに防食顔料を含む1液型塗料組成物に、さら
にホウ酸亜鉛を添加することにより保存安定性を改良し
たものであって、それより形成される塗膜が、優れた防
錆性、長期密着性および冷熱サイクル特性を発現する鋼
材用防食塗料組成物である。特に、本発明は、 a)4,4-(ビスヒドロキシフェニル)アルカン-グリシ
ジルエーテル50重量部とノボラック型エポキシ樹脂20〜
80重量部からなる主剤、 b)ジシアンジアミドを前記主剤100重量部に対して5
〜20重量部、および c)イミダゾール系化合物を前記主剤100重量部に対し
て0.5〜3重量部を含む1液型の鋼材用防食塗料組成物
であって、前記a)+b)+c)の和を100重量部とし
て、 d)ホウ酸亜鉛5〜50重量部、および e)クロム酸ストロンチウム防食顔料1〜30重量部を含
有することを特徴とする1液型の鋼材用防食塗料組成物
を提供するものである。本発明の前記塗料組成物は、鋼
材用防食性プライマーとして使用できる。さらに、本発
明は、前記塗料組成物を膜厚10〜100μmとなるように
塗布して塗膜とした後、上にポリオレフィンライニング
を形成した防食性塗膜で被覆した鋼材も提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳しく説明す
る。本発明の第1の態様である鋼材用防食塗料組成物
は、主剤としてのa)4,4-(ビスヒドロキシフェニル)
アルカン-グリシジルエーテル類とノボラック型エポキ
シ樹脂との混合物、硬化剤としてのb)ジシアンジアミ
ドおよび硬化触媒としてのc)イミダゾール系化合物、
並びに防錆性、電気防食性並びに冷熱サイクル特性を付
与するためのd)ホウ酸亜鉛化合物およびe)クロム酸
防錆顔料を含んで成る。
【0012】ここで防食作用を付与する対象である鋼材
は、炭素鋼、またはステンレス鋼等の合金鋼などから製
造されたパイプライン等での使用に有用なもの(鋼材、
バルブ、板等)をいずれも包含する。鋼材は、使用前
に、必要により公知の方法(例えば、ショットブラスト
処理、グリッドブラスト処理、サンドブラスト処理等の
物理的手段、または酸洗、アルカリ脱脂等の化学的手
段、あるいはそれらの組み合わせ)で表面処理されてい
てよい。また、下地処理としてクロメート処理やリン酸
亜鉛処理等の化成処理を行うことも可能である。
【0013】本発明の塗料組成物に含まれる主剤(a)
は、4,4-(ビスヒドロキシフェニル)アルカン-グリ
シジルエーテル類とノボラック型エポキシ樹脂の重量比
1:0.4〜1.6の混合物から構成される。
【0014】本発明に使用する4,4-(ビスヒドロキシ
フェニル)アルカン-グリシジルエーテル類としては、
ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)プロパン]、ビスフェノールF[4,4-(ビスヒド
ロキシフェニル)メタン]等の4,4-(ビスヒドロキシ
フェニル)アルカン類に、エピハロヒドリンを作用させ
て製造され得るものである。このような樹脂の例として
は、商品名「エポトートYD128」(東都化成製、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂)、「エピコート828」(油
化シェルエポキシ製、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂)、および「エポトートYDF-170」(東都化成製、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
【0015】また、上記ノボラック型エポキシ樹脂とし
ては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂のいずれかまたは両者
が使用できる。この種のエポキシ樹脂は、例えば、商品
名「エピコート152」(油化シェルエポキシ製、フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂)、および「エピコート
180S-65」(油化シェルエポキシ製、クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
【0016】本発明の塗料組成物中において、主剤は、
上記4,4-(ビスヒドロキシフェニル)アルカン-グリ
シジルエーテル類50重量部とノボラック型エポキシ樹脂
20〜80重量部から成る。最も好ましい主剤は、4,4-
(ビスヒドロキシフェニル)アルカン-グリシジルエー
テル類、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂とノボラ
ック型エポキシ樹脂、特にフェノールノボラック型エポ
キシ樹脂の重量比50:40〜60の混合物から構成され得
る。
【0017】本発明の塗料組成物中に硬化剤として含ま
れるジシアンジアミド(b)は、以下の式:
【化1】 で表される。
【0018】前記ジシアンジアミドは、常温では硬化反
応速度が著しく遅いため、室温での保存安定性に優れて
おり、熱の付与により硬化を開始する。本発明の塗料組
成物において、ジシアンジアミドの含有量は、主剤中の
全エポキシ当量とジシアンジアミドの活性水素当量の比
を1:1とした場合よりも少ない方が良好な耐陰極剥離
性を与えることが分かっている。本発明の塗料組成物中
のジシアンジアミド含有量は、前述の主剤合計を100重
量部として5〜20重量部である。ここで、前記ジシアン
ジアミド含有量は、主剤中の全エポキシ当量とジシアン
ジアミドの活性水素当量との比で計算すると1:0.13〜
0.5(ただし、1:0.5未満とする。)の範囲となるよう
な量である。ジシアンジアミドの含有量が上記当量比
1:0.13より少ないと、硬化反応が十分に行えないため
塗膜の低温衝撃性等の物理性能が得られず、当量比1:
0.5を超えると、硬化剤が過剰となって親水基が増える
ため、耐水性が低下することがある。
【0019】本発明において使用するジシアンジアミド
の形態は、好ましくは粒子状であってよい。粒子状ジシ
アンジアミドの粒径は、特に限定されないが、塗膜とし
た場合の膜厚を考慮すると、平均粒径10μm以下である
ことが好ましい。
【0020】本発明の塗料組成物中には、前記ジシアン
ジアミドの硬化反応を促進するために、イミダゾール系
化合物(c)を添加する。本発明の塗料組成物に添加し
得るイミダゾール系化合物としては、例えば、2-メチル
イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウ
ンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、
2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダ
ゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シ
アノエチル-2-エチル−4-メチルイミダゾール、1-シア
ノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-
2-ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、1-シア
ノエチル-2-フェニルイミダゾリウム・トリメリテート、
2-メチルイミダゾリウム・イソシアヌレート、2-フェニ
ルイミダゾリウム・イソシアヌレート、2,4-ジアミノ-6-
〔2-メチルイミダゾリル-(1)〕-エチル-S-トリアジ
ン、2,4-ジアミノ-6-〔2-エチル-4-メチルイミダゾリル
-(1)〕-エチル-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2-ウ
ンデシルイミダゾリル-(1)〕-エチル-S-トリアジン、2
-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フ
ェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-
シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(シアノエトキシメチ
ル)イミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-9-ベンジルイ
ミダゾリウム・クロライド、および1,3-ジベンジル-2-メ
チルイミダゾリウム・クロライド、並びにそれらの混合
物が挙げられる。これらのイミダゾール系化合物は、実
際に塗料中に配合する際、マイクロカプセル化された形
態として用いるのが好ましい。イミダゾール系化合物の
マイクロカプセル化形態は、市販されており、例えば、
ノバキュア(旭チバ社製)、アミキュア(味の素社製)
等が挙げられる。
【0021】本発明において、イミダゾール系化合物
は、適した硬化温度、例えば100〜280℃でのジシアンジ
アミドによるエポキシ樹脂の熱硬化反応を触媒作用し得
る。
【0022】本発明の塗料組成物中には、前記イミダゾ
ール系化合物を、前記主剤合計を100重量部として、0.5
〜3重量部の量で含有する。イミダゾール系化合物の含
有量が0.5重量部より少ないと、ジシアンジアミドの硬
化触媒としての機能を十分に発揮することができず、ま
た、3重量部より多いと、熱水浸漬後の鋼材との密着力
が低下する等の不利益を伴うことがあるため好ましくな
い。
【0023】本発明の塗料組成物に含まれるホウ酸亜鉛
(d)は、塗料組成物に防食・防錆性を付与することを
目的とする。このようなホウ酸亜鉛としては、例えば、
メタホウ酸亜鉛[Zn(BO2)2]、塩基性ホウ酸亜鉛
[ZnB47・2ZnO]またはホウ酸亜鉛[2ZnO
・3B23・3.5H2O]の1種または2種以上の混合
物が挙げられる。
【0024】本発明の塗料組成物中において、ホウ酸亜
鉛は、主剤であるエポキシ樹脂、ジシアンジアミドおよ
びイミダゾール系化合物の各含有量の和を100重量部と
して、5〜50重量部、最も好ましくは20〜30重量部の量
で使用してよい。ホウ酸亜鉛化合物の量が、5重量部未
満では、陰極剥離現象に対する抑制効果が発現できず、
また50重量部を超えると、陰極剥離効果は発揮される
が、形成された塗膜が脆弱となり、実用性に欠けるた
め、好ましくない。
【0025】本発明で使用するクロム酸ストロンチウ
ム:SrCrO4(e)は、防食性を有する公知の黄色
顔料である。本発明の塗料組成物中に含まれるクロム酸
ストロンチウムの量は、主剤総量、ジシアンジアミドお
よびイミダゾール系触媒の含有量の和を100重量部とし
て、1〜30重量部、好ましくは5〜15重量部である。ク
ロム酸ストロンチウムの含有量が1重量部未満である
と、クロム酸イオンの溶出による不動態化の機能が発現
できないために長期防食性が低下し、また、30重量部を
超えると、それ以上の効果がみられず、2次密着性が低
下する。
【0026】本発明の塗料組成物は、基本的に無溶媒型
の1液型塗料組成物である。必要に応じ、本発明の塗料
組成物は、上記必須組成成分以外に、着色顔料、表面調
整剤等の当該分野において公知の他の成分を添加しても
よい。
【0027】本発明の塗料組成物は、1液型塗料組成物
を製造する通常の方法、例えばロールミルを用いて製造
できる。本発明の塗料組成物は、希釈せず、そのまま塗
装工程に付するが、場合により、塗装に使用する前に、
60〜80℃に予備加熱するかまたは溶剤を添加して粘度を
低下させることにより、最適な使用粘度(例えば、通
常、1000cps以下)に調節してもよい。
【0028】本発明の第2の態様では、本発明の上記塗
料組成物から成る塗膜、およびポリオレフィンライニン
グを順に含んで成る鋼材を提供する。すなわち、本発明
の第2の態様の鋼材は、鋼管等の鋼材上に、本発明の1
液型の鋼材用防食塗料組成物を塗布・乾燥させて塗膜を
形成させた後、ポリオレフィン系樹脂被覆を形成するこ
とにより、防食性を付与したものである。
【0029】鋼材は、前述と同様のものであってよく、
さらに必要に応じて公知の方法で表面処理され得る。
【0030】処理された鋼材上に、本発明の第1の態様
において記載した防食性塗料組成物を、しごき塗布によ
り塗装した後、通常、170〜180℃で3分間加熱乾燥し
て、当該塗料組成物の塗膜を形成する。
【0031】形成され得る防食性塗料組成物塗膜の厚さ
は、平均測定値10〜100μmであるのが好ましい。前記
塗膜厚さが10μm未満では、防食機能が発現できず、ま
た100μmを超えると冷熱サイクル特性が低下して剥離
面積が増加する。
【0032】上記防食性塗膜形成後、ポリオレフィンラ
イニングを施して、ポリオレフィン被覆を設ける。この
ポリオレフィン被覆を形成するのに使用するポリオレフ
ィン樹脂は、一般に、鋼材の被覆に用いられているポリ
オレフィンをいずれも使用できる。このようなポリオレ
フィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン
等、並びに少量の他のオレフィンもしくはビニルモノマ
ー(例えば、プロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸、ア
クリル酸エステル等)が共重合されたオレフィン系共重
合体、または変性ポリオレフィンが挙げられ、これらを
単独でまたは混合して用いてよい。ポリオレフィン樹脂
としてポリプロピレンを用いる場合、ポリエチレン成分
10〜50%を含有するポリプロピレンを使用するのが好ま
しく、ポリエチレン成分をブロック共重合させたものが
さらに好ましい。これは、ポリプロピレンは低温で脆化
し易いが、ポリエチレン部分の効果により低温脆化が著
しく改善されるためである。
【0033】本発明のポリオレフィン被覆に使用する好
ましいポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンまたはポリ
プロピレンあるいはそれらの変性物であり、好ましい被
覆厚さは、1〜6mmである。
【0034】ポリエチレン被覆を用いる場合として、鋼
材との密着性を高めるために、鋼材とポリエチレン被覆
との間に変性ポリオレフィン接着樹脂を含んで成る接着
樹脂層を介在させる。このような変性ポリオレフィン接
着樹脂は、好ましくはポリオレフィンライニングに使用
するのと同種のポリオレフィン樹脂を、マレイン酸もし
くはアクリル酸等の不飽和カルボン酸またはこれらの無
水物で変性して接着性を付与したもの、あるいはこれら
の変性物とポリオレフィン樹脂の混合物である。無水マ
レイン酸変性ポリオレフィン樹脂は、特に高い接着性を
示すことから、この目的を達成する観点から好ましい。
上記以外にも、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエチ
レン共重合体等も使用できる。この目的のための変性ポ
リオレフィン接着樹脂層の厚さは、使用する樹脂の種類
によって異なり、一般に300〜500μmであるが、この範
囲に特に限定されるものではない。
【0035】上記ポリオレフィン被覆用組成物には、常
套の酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、充填剤等の添加
剤を配合してもよい。特に酸化防止剤の添加は好まし
い。
【0036】本発明の防食性鋼管には、上塗り層をさら
に形成しても差し支えない。
【0037】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例1 エポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;商
品名エポトートYD128(東都化成製)、エポキシ当量=
190)、ジシアンジアミド、ホウ酸亜鉛およびクロム
酸ストロンチウムそれぞれを、表1に記載の配合量で3
本ロールミルに入れ、粒度20μ以下まで予め分散してお
いた。上記で得られた分散体に、エポキシ樹脂B(フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂;商品名エピコート15
2(油化シェルエポキシ製)、エポキシ当量=175)
およびマイクロカプセル化したイミダゾール系化合物
(商品名:ノバキュアHX-3721;旭チバ社製)を添加
し、それらをプラネタリーミキサーを用いて混合し、防
食用塗料組成物(以下、エポキシプライマーと呼ぶ)を
調製した。
【0038】除錆度合い:SIS規格でSa2.5以上お
よび表面粗度(Rz)40μm程度までグリッドブラスト
処理した、直径216mmの配管用炭素鋼管(JIS G34
52)を、管移動速度3m/分で搬送ロールを移動させな
がら、誘導加熱器を用いて鋼管温度を60℃に加熱し、塗
布型クロメート(サーフコートNRC-300、日本ペイント
製)をしごき塗りしてクロメート皮膜を形成した。クロ
メート皮膜は、焼付け後のクロム付着量換算で、300m
g/m2となるようにした。
【0039】上記エポキシプライマーを、前記炭素鋼管
上のクロメート皮膜の上に湿潤膜厚が50μmとなるよう
にしごき塗装し、170〜190℃で3〜10分間加熱して、塗
膜を形成した。その後、その上に、溶融丸ダイ共押出に
より、接着性ポリエチレン(商品名「アドマー」、三井
石油化学製)を膜厚300〜500μmに、および高密度ポリ
エチレン(商品名「ショウレックス」、昭和電工製)を
膜厚3〜3.5mmとなるようにラミネートした。こうし
て得られたプライマー塗膜を有する鋼管を、100mm×1
50mmに切断して、試験材とした。
【0040】実施例2〜13 エポキシプライマーの組成および配合比並びにエポキシ
プライマー膜厚を表1に記載の如く変えたこと以外は、
実施例1と同様にして、プライマー塗膜を有する鋼管を
作製し、試験材を切り出した。
【0041】実施例14 ポリオレフィンライニングとして、接着性ポリエチレン
(商品名「アドマー」、三井石油化学製)の代わりに膜
厚300〜500μmの接着性ポリプロピレン(商品名「モデ
ィックP-300」、三菱化学製)、および高密度ポリエチ
レン(商品名「ショウレックス」、昭和電工製)の代わ
りに膜厚3〜3.5mmのポリプロピレン(商品名「BC-8
D」、三菱化学製)を用いたこと以外は、実施例1と同
様にして、エポキシプライマー塗膜を有する鋼管を作製
し、試験材を切り出した。
【0042】
【表1】
【0043】比較例1〜13 エポキシプライマーの組成および配合量並びにエポキシ
プライマー膜厚を表2に記載の如く変えたこと以外は、
実施例1と同様にして、エポキシプライマー塗膜を有す
る鋼管を作製し、試験材を切り出した。
【0044】
【表2】
【0045】上記表1および表2中の各符号は、以下の
意味を表す。 a:ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名エポトー
トYD128(東都化成製)、エポキシ当量=190] b:フェノールノボラック型エポキシ樹脂[商品名エピ
コート152(油化シェルエポキシ製)、エポキシ当量=
175] c:マイクロカプセル化したイミダゾール系化合物;商
品名ノバキュアHX-3721(旭チバ社製) d:以下のポリエチレン(PE)またはポリプロピレン
(PP)を溶融丸ダイ共押出しによりラミネートした; PE=接着性ポリエチレン(商品名「アドマー」、三井
石油化学製、膜厚300〜500μm)および高密度ポリエチ
レン(商品名「ショウレックス」、昭和電工製、厚さ3
〜3.5mm) PP=接着性ポリプロピレン(商品名「モディック」、
三菱化学製、300〜500μm)およびポリプロピレン(商
品名「BC-8D」、三菱化学製、厚さ3〜3.5mm)
【0046】評価方法 上記で得られた実施例1〜14および比較例1〜13の
試験材について、ポリオレフィンライニング後の性能評
価を調べるために、以下の各試験を行った。
【0047】1.電防試験1 ASTM G−8に準拠して、電防試験を行った。試験
材のポリオレフィン被覆層に、直径9mmの鋼面に達す
る人口傷を設けた。これを80℃に保った3%NaCl水
溶液に接液させ、飽和カロメル電極に対して−1.5Vの
電位として15日間保持した後、人口傷からの剥離距離
(mm)を測定した。
【0048】2.電防試験2 試験材を、最初に3%NaClに80℃で100日間浸漬し
た後、上記電防試験1と同様の条件で試験し、剥離幅
(mm)を測定した。
【0049】3.密着力試験 被覆層に1cm幅で鋼材に達するカットをカッターナイ
フで形成し、180°の角度での引っ張り試験値を測定す
る方法により、初期密着力()、食塩水(60℃、3
%)に14日間浸漬した後の密着力()、および沸騰水
(95〜100℃)に5日間浸漬した後の密着力()をそ
れぞれ測定した。
【0050】4.冷熱サイクル試験 試験材を-45℃で24時間保持した後、95%RHにおいて8
0℃で24時間保持することを1サイクルとして、これを2
0サイクル行った。その後、ポリオレフィンライニング
を剥離した。ポリオレフィンライニング剥離後のエポキ
シプライマー剥離面積(%)を測定した。
【0051】上記評価結果を表3にまとめる。評価の基
準として、以下の測定結果を良好とした。 電防試験1 …4mm以下 電防試験2 …7mm以下 密着力試験(〜)…20Kg/cm以上 冷熱サイクル …10%以下
【0052】
【表3】
【0053】表3中、 a:ポリエチレンが破断した。 +:ポリオレフィンライニング剥離後のエポキシプライ
マー剥離面積率
【0054】上記表3中、本発明のエポキシプライマー
を有する試験材は、比較例の各試験材に比べて、ポリオ
レフィンライニング後に、優れた耐陰極剥離性を発現し
た。また、本発明の試験材は、食塩水および沸騰水に対
する防食性も良好で、かつ十分な冷熱サイクル特性も有
していることが分かった。
【0055】
【発明の効果】本発明の防食塗料組成物は、ジシアンジ
アミドとイミダゾール系触媒の作用により、従来の塗料
組成物よりも熱硬化反応が迅速に進行する。この塗料組
成物から形成した塗膜を有する鋼管を使用すると、海水
等の侵食性環境下において、防錆性が向上し、かつ優れ
た長期密着性および冷熱サイクル特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パイプライン用鋼管表面の構造を表す模式的
断面図。
【符号の説明】
1…鋼管、2…表面処理(ブラスト/クロメート処
理)、3…防食性エポキシプライマー層、4…ポリオレ
フィン接着剤層、5…ポリオレフィン被膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/08 C09D 5/08 (72)発明者 上村 隆之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 久世 光夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 平井 智之 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA33 CA34 DA06 DB02 DC06 DC08 EA05 EB13 EB33 EB45 EB56 EC01 EC54 4F100 AA02A AA31A AB03B AH03A AH07A AK03C AK53A BA03 BA07 BA10B BA10C BA13 CA02A CA13A CC00A JB02A JK06 JL00 4J038 DB05 DB071 HA246 HA476 JB23 JB32 KA03 NA03 NA12 PA19 PC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)4,4-(ビスヒドロキシフェニル)
    アルカン-グリシジルエーテル50重量部とノボラック型
    エポキシ樹脂20〜80重量部から成る主剤、 b)ジシアンジアミドを前記主剤100重量部に対して5
    〜20重量部、および c)イミダゾール系化合物を前記主剤100重量部に対し
    て0.5〜3重量部を含む1液型の鋼材用防食塗料組成物
    であって、前記a)+b)+c)の和を100重量部とし
    て、 d)ホウ酸亜鉛5〜50重量部、および e)クロム酸ストロンチウム防食顔料1〜30重量部を含
    有することを特徴とする1液型の鋼材用防食塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】 鋼材表面に、 1)請求項1記載の1液型の鋼材用防食塗料組成物から
    成る、膜厚10〜100μmの塗膜、および 2)ポリオレフィンライニングを順に形成した鋼材。
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