JP5640960B2 - 重防食被覆鋼管 - Google Patents

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Description

本発明は、化成処理液塗布後の水洗などの洗浄が不要で、疵部や端部からの剥離が少なく防食性に優れるノンクロム系の塗布型下地処理剤を用い、被覆樹脂にポリオレフィンあるいはウレタンを用いた重防食被覆鋼管に関する。
海洋構造物やラインパイプ等で長期防食性が要求される鋼管の場合、ブラスト処理、クロメート処理、エポキシプライマー処理を施した後に厚膜のポリオレフィンを被覆して長期の防食性能を高めた被覆鋼管が一般的である。
一方で、屋内配管等の小径管では、腐食環境があまり厳しく無いこともあり、エポキシプライマーを省略し、薄膜のポリオレフィンを被覆した被覆鋼管が用いられている。
いずれも鋼管下地処理としては、従来、まずブラスト処理あるいは酸洗によってスケール除去し、その後、特許文献1に示されるようにクロム酸を含有するクロメート化成処理を施していた。
クロメート処理は塗布しその後乾燥するのみでも、密着性が良く耐剥離性を大幅に向上させることが出来るが、6価クロムを含むために管理された環境での処理が必要であった。
一方、6価クロムを含まない代表的な化成処理としてリン酸亜鉛処理がある。リン酸亜鉛処理は加温した処理液中に鋼材を浸漬して、鋼材表面にリン酸亜鉛の結晶を析出させて下地処理層を形成する方法である。
リン酸亜鉛処理では、浸漬後はリン酸の水溶性成分が鋼材表面に残存しないように水洗を行う。リン酸亜鉛処理は自動車の組み立て溶接後の下地処理にも使用されているが、特許文献2に示される様に更にクロメート処理を行わないと十分な密着性が得られなかった。
これらの問題を解決する方法として、特許文献3に、下地処理にマグネシウム、アルミニウム、カルシウムを代表とするリン酸金属化合物にシリカ微粒子を加えた処理液を金属化合物が0.3〜5g/m2の付着量となるような条件で塗布、乾燥して処理層を形成した後に、樹脂プライマー層、0.3mm以上の厚みを有する防食被覆層を順次積層する方法が提案されている。
特許第2949681号公報 特許第1299463号公報 特許第4416167号公報
リン酸亜鉛処理はクロメート処理のように環境の制約はないが、浸漬方式なので、処理槽が必要であるのと、浸漬後に水洗が必要であり、大規模な設備と長期の工程が必要であるという問題があった。
また、リン酸亜鉛処理は海外ではラインパイプにクロメート以外の化成処理方法として使用される場合もあるが、耐水密着性、耐水剥離性、耐陰極剥離性等の防食性能ではクロメート処理に大きく及ばない。
このため、6価クロムを含有せず、かつ水洗等の工程上の制約が無い下地処理層を設けた防食性能に優れた重防食被覆鋼管が要求されている。
特許文献3のリン酸金属化合物にシリカ微粒子を加えた処理液では、鋼管に直接被覆された場合、浸漬や塩水噴霧試験で容易に端部からの剥離が生じるという問題があった。
本発明の目的は、処理作業性に優れ、クロムを含まない下地処理によって厳しい腐食環境でも容易に腐食や剥離が発生することの無いポリオレフィンあるいはウレタンを被覆した重防食被覆鋼管を提供することである。
本発明者らは上記の問題を解決する手段として、下地処理用の処理剤としてマグネシウム、カルシウムに代表される第2族元素金属のリン酸化合物を主成分とし、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物を含み、且つ気相法シリカ微粒子を含んだ、pHが3以下の酸性処理液を使用して鋼管表面に化成処理被膜を形成し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層を介してポリオレフィン防食層を設けるか、あるいは前記化成処理被膜を形成後、ウレタン防食層を設けることで、耐腐食性、耐剥離性、密着性に優れた重防食被覆鋼管の提供が可能であることを見いだした。
本発明の要旨を、その好ましい実施形態とともに示せば、次のとおりである。
(1)鋼管と、その表面に形成した化成処理被膜層と、その上に位置する重防食被覆層とを有する重防食被覆鋼管であって、該化成処理被膜層は、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物、リン酸第2族元素金属化合物、気相法シリカ微粒子を含有し、pHが3以下となるように調整された酸性処理液鋼管表面に塗布し、乾燥して形成されており、該重防食被覆層は、該化成処理被膜層の上に無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層を介して位置するポリオレフィン層、あるいは、該化成処理被膜層の上に位置するウレタン層である、重防食被覆鋼管。
(2)前記化成処理被膜層と前記無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層との間、あるいは前記化成処理被膜層と前記ウレタン層との間に、エポキシプライマー層を有する、上記(1)記載の重防食被覆鋼管。
(3)前記酸性処理液が、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物を前記気相法シリカ微粒子に対する重量比で0.02〜0.6、リン酸第2族元素金属化合物を前記気相法シリカ微粒子に対する重量比で0.05〜1.2含有する、上記(1)又は(2)記載の重防食被覆鋼管。
(4)前記硝酸の第1族元素を除いた金属化合物が硝酸銀である、上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の重防食被覆鋼管。
(5)前記リン酸第2族元素金属化合物がリン酸マグネシウム又はリン酸カルシウムである、上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の重防食被覆鋼管。
本発明によれば、鋼管の化成下地処理を、クロム酸を用いる必要が無く、また水洗を必要とすることなく塗布・乾燥のみで行うことが可能で、クロム酸化成処理と同等の優れた塗膜の耐水密着性や耐剥離性を有する重防食被覆鋼管の提供が可能となる。これによって、水洗が難しい鋼管矢板、鋼管杭、鋼管等の大型構造物も、特別な環境対策設備を必要とせずに提供することができることになる。
本発明の重防食被覆鋼管の被覆構成断面図の一例を示す。 本発明の傷防止層付き重防食被覆鋼管の被覆構成断面図の一例を示す。 本発明の重防食被覆鋼管の被覆構成断面図のもう一つの例を示す。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
本発明による重防食被覆鋼管は、例えば図1の断面図に示すが如く、鋼管1の表面に形成した化成処理被膜層2と、その上に順次積層した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層3、ポリオレフィン防食層4を有する。更に図2に示すように、防食層4の上に積層した傷付き防止層5を有することもできる。
また、被覆対象とする母管の形状や大きさによっては、ウレタンを防食層として使用しても良い。その場合は接着剤は不要であり、例えば図3の断面図に示すが如く、鋼管1の表面に形成した化成処理被膜層2と、その上のウレタン防食層4’を有する。
本発明の鋼管に使用する鋼材としては普通鋼、あるいは高合金鋼などのような鋼種でも適用可能である。
例えば、本発明の重防食被覆鋼管を製造する場合、まず鋼管表面のスケール、汚染物等を除去する必要がある。そのため、アルカリ脱脂と酸洗、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの前処理を行なう。
次に、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物、リン酸第2族元素金属化合物、気相法シリカ微粒子を含有し、pHが3以下となるように調整された化成下地処理用の酸性処理液を鋼管表面に塗布し、乾燥して、化成処理被膜層を形成する。本発明の場合、化成下地処理用酸性処理液塗布後の水洗は必要ない。
以下に本発明における化成下地処理用の酸性処理液について詳細に説明する。
一般の熱硬化性樹脂の塗装と異なり、熱可塑性のポリオレフィン樹脂を直接鋼管に被覆すると接着性が低く、接着界面の破壊や腐食が発生しやすい。このため、化成下地処理用の酸性処理液は鋼管と十分に反応する必要がある。また、腐食を促進する塩素イオンも界面の隙間から進入し易いため、化成下地処理用の酸性処理液には塩素イオンの拡散を防止する成分が含まれることが、より望ましい。ところが、鋼管は亜鉛めっきなどに比べて反応性が劣り、鋼管と処理液の反応性を確保するためには、処理液のpHは少なくとも3以下の酸性である必要がある。
本発明の処理液における酸としては、鉄と化合物を形成し、更にある程度の厚みを形成するために、リン酸金属化合物が適する。リン酸金属化合物に使用する金属としては、第2族元素金属、例えばマグネシウム、カルシウムを使用する。一般にリン酸金属化合物はほとんどが水に不溶であるために、本発明の処理液ではリン酸成分が必要となる。リン酸成分が過剰であると形成した被膜が可溶性となって水によって密着性が低下し易いため、リン酸使用量を調整し易い第2族元素を用いる。マグネシウムでは重リン酸マグネシウム(リン酸2水素マグネシウム)Mg(H2PO42、カルシウムでは重リン酸カルシウムCa(H2PO42を用いると良い。このように、特定のリン酸第2族元素金属化合物を用いることで、処理液と鋼管との反応性を確保するとともに、不溶性の被膜を形成して防食性を向上させることで耐水密着性や腐食による塗膜剥離性が大幅に向上する。
重防食被覆にポリオレフィンを用いた場合、ポリオレフィンの接着剤変性率が数%と化学反応点が少ないことと、それが熱可塑性であるために流動性が悪く、鋼管との濡れが熱硬化性塗料よりも大きく劣る。このため、鋼管と酸性処理液の反応性を確保する必要がある。本発明では、硝酸を用いることで鋼管表面に存在する酸化物除去を容易にし、鋼面との反応性向上によってリン酸との反応性を高めて不溶性のリン酸鉄生成を容易にする。これによって化成処理被膜層の被覆率が向上し、ポリオレフィンの被覆においても、高い耐剥離性を付与することが可能である。この時、硝酸を過剰に加えると、リン酸と同じく被膜の溶解性が増加するため、添加量を制御しやすい硝酸金属化合物を用いると良い。硝酸金属化合物としては、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素は可溶性の高い陽イオンを放出するため、それ以外の金属を用いる。例えばマグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、銅、銀、亜鉛、スズが使用出来る。中でも硝酸銀は、銀が腐食因子である塩化物と不溶性の塩を作ることから最も効果が高い。
本発明で使用する酸性処理液には、更に密着性と被膜の濡れ性を向上させる目的で、気相法シリカ微粒子を添加する。微粒子シリカとしては気相乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したものを用いる。そうすることにより微粒子が凝集合体しブドウ状になりポーラスな被覆層を形成し、その上の塗料層との密着性を向上させる。気相法による微粒子シリカとしては、例えば日本アエロジル社製のAEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX50、AEROSIL TT600、AEROSIL MOX等がある。
処理液は、濃度を調整し、スプレー、刷毛、ロール、しごき、エアー切り等の方法で、シリカ付着量として50〜900mg/m2の範囲で塗布する。付着量が50mg/m2未満では処理の効果が得られず、900mg/m2を超えると処理膜の物理的強度低下により初期密着力が低下し、可溶性成分が増えることから水環境で密着力が低下しやすい。付着量は、好ましくは100〜600mg/m2の範囲である。
本発明で使用する酸性処理液は、上記の成分を以下の範囲で配合して調製するのが好ましい。各成分の配合は微粒子シリカの添加量を基準として、リン酸金属化合物は重量比で0.05〜1.2、硝酸金属化合物は0.02〜0.6の範囲で添加する。これにより、密着力、鋼材との反応性確保と不溶解化のバランスをとることが出来る。より好ましくは、リン酸金属化合物はシリカ微粒子に対する重量比で0.1〜1の範囲で配合する。硝酸金属化合物は、シリカ微粒子に対する重量比で、より好ましくは0.05〜0.5の範囲で配合する。
次に、上記酸性処理液を塗布して形成した化成処理被膜層の上に施すポリオレフィン被覆について説明する。その主成分としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの、鋼管被覆に用いられている従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック又はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂を使用することができる。他成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加しても良い。
ポリオレフィン被覆は極性が無いため、鋼管とは接着しない。そこで、鋼管とポリオレフィン被覆の間にポリオレフィン変性接着剤を用いる。この接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、無水マレイン酸変性したものであり、被覆鋼管用の接着剤として従来より用いられているものでよい。好ましくは、50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.5〜3mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる。
また、更に、前記化成処理被膜層の上にエポキシプライマー層を設けることにより、一層防食層の密着性が向上する。
本発明の重防食被覆鋼管では、搬送や施工での傷を防止するため、ポリオレフィン防食層上に傷付き防止の保護層を設けても良い。保護層としては、防食層と同種のポリオレフィンを用いてもよく、容易に除去を可能とするために別種のポリオレフィンを用いてもよい。例えば、内側の防食層4(図2)にはポリエチレン、外側の傷付き防止層5(図2)には硬いポリプロピレンを用いることができる。内側の防食層4にポリエチレン、外側の傷付き防止層5にもポリエチレンを用いる場合には、それらの間に異なる樹脂、油、シリコン等からなる接着阻害層を設けても良い。
ポリオレフィン被覆の方法としては、例えばダイスを用いて加熱溶融した樹脂を直接鋼管に被覆する押出被覆方法を用いることができる。
なお、防食層としてポリオレフィンにて説明してきたが、鋼管が大きい径の場合や、屋外で使用する用途の場合等は、防食層としてウレタンを使用することも有効である。この場合、ウレタンとしては、鋼管被覆に用いられている従来公知のウレタンを使用することができる。ウレタンは2〜3官能のジフエニルメタンイソシアネートを代表とするポリイソシアネートと、ひまし油系又はポリブタジエン系ポリオールを2液を混合した反応型無溶剤塗料を用いる。その他成分としては物性を調整するためにウレア結合を形成するアミン化合物やアミンポリオール、無機顔料、発泡副反応を抑制する吸水剤等で形成されたものである。また、化成処理被膜層とウレタン防食層との間にエポキシプライマー層を設けることにより、一層防食層の密着性が向上する。
〔比較例1〕
50Aの鋼管を用いて表面を酸洗処理後、その表面にエポキシ樹脂(International社製Interzone954)を150μm塗布し、1週間養生して硬化させて比較例1の鋼管を製造した。
〔比較例2〕
50Aの鋼管を用いて表面を酸洗処理後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆して比較例2の鋼管を製造した。
〔比較例3、4〕
特許文献3に記載される下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸マグネシウム(比較例3)を0.3、又は重リン酸カルシウム(比較例4)を2加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆して比較例3及び4の鋼管を製造した。
〔比較例5〜11〕
比較下地処理液として、硝酸金属化合物に本発明の範囲外である第1族金属であるカリウム、ナトリウムを用いた処理液(比較例5、6)、気相法では無く液相法で合成されたスノーテックスO(日産化学社製)を用いた処理液(比較例7)、リン酸金属化合物に本発明の範囲外であるナトリウム、亜鉛、アルミニウムを用いた処理液(比較例8、9、10)、また、リン酸金属そのものを用いなかった処理液(比較例11)を調製し、比較例3、4と同方法により50A鋼管外面にポリエチレンを被覆して、比較例5〜11の鋼管を製造した。
〔実施例1−1〜13〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.1、本発明の範囲である各種の硝酸金属化合物をシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆して本発明の実施例1−1〜13の鋼管を製造した。
〔実施例2−1〜13〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸マグネシウムを0.1、本発明の範囲である各種の硝酸金属化合物をシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆し、さらに傷付き防止層として別のポリエチレン(日本ポリエチレン社製)を1500μm被覆して本発明の実施例2−1〜13の鋼管を製造した。
〔実施例3−1〜8〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.05〜1.2となるように加え、硝酸マグネシウムをシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆し、さらに傷付き防止層としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製)を1500μm被覆して本発明の実施例3−1〜8の鋼管を製造した。
〔実施例4−1〜8〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.2、硝酸カルシウムをシリカ成分に対して重量比で0.02〜0.6となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆して本発明の実施例4−1〜8の鋼管を製造した。
〔実施例5−1〜8〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.1、硝酸ジルコニウムをシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で50〜700mg/m2になるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆し、更にその外側にポリプロピレン(日本ポリプロ社製)を保護層として1500μm被覆して本発明の実施例5−1〜8の鋼管を製造した。
〔実施例6−1〜13〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.2、本発明の範囲である各種の硝酸金属化合物をシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。その後、電磁誘導加熱にて鋼管を180℃に加熱し、静電粉体塗布装置にて、粉体エポキシ塗料を膜厚100μm狙いで塗布し、溶融硬化させた後、その表面に丸ダイスを用いて溶融した無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤(三井化学社製)とポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)をそれぞれ150μm、1500μm被覆して本発明の実施例6−1〜13の鋼管を製造した。
〔比較例12〕
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、電磁誘導加熱にて鋼管を50℃に加熱し、その表面にスプレー塗装機を用いて第一工業製薬のパーマガード601ウレタンを1.5mm狙いで塗装し、表面に化成処理を行わない比較例12の鋼管を製造した。
〔実施例7−1及び2〕
下地処理液として、気相法で製造されたシリカ微粒子で日本アエロジル社製のAEROSIL 200を水分散させ、シリカ成分に対して重量比で重リン酸カルシウムを0.1、硝酸カルシウムをシリカ成分に対して重量比で0.4となるように加えて調製した。
50A鋼管の外面にブラスト処理を行って除錆し、表面に前記処理液を塗布して、膜厚をシリカ付着量で400mg/m2となるようにしごき調整した。電磁誘導加熱にて鋼管を50℃に加熱し、その表面にスプレー塗装機を用いて第一工業製薬のパーマガード601ウレタンを1.5mm狙いで塗装し、実施例7−1のウレタン被覆鋼管を製造した。
一方、化成処理後に電磁誘導加熱にて鋼管を60℃に加熱し、その表面にアミン系硬化剤とビスフェノールエポキシ骨格を主剤に持つエポキシ樹脂プライマーを膜厚が0.05mmとなるようにスプレー塗装し、電磁誘導加熱にて鋼管を再度50℃に加熱し、その表面にスプレー塗装機を用いて第一工業製薬のパーマガード601ウレタンを1.5mm狙いで塗装し、実施例7−2のプライマー層を有するウレタン被覆鋼管を製造した。
製造した被覆鋼管は、各20cm長に切断し、切断したままで塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を50日行い、管端切断部からの最大剥離距離(劣化距離)を調査した。各例の結果を表1〜5に示す。
Figure 0005640960
Figure 0005640960
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比較例1、2、12の化成処理被膜層なしの場合、剥離は大きく、特にポリオレフィン被覆(比較例2)は密着性・防食性が劣ることがわかる。これに対して比較例3、4の様に従来の技術である特許文献3に相当する化成処理被膜層を用いると、無処理の比較例2に比較して剥離が改善されるが、無処理でエポキシ(熱硬化性樹脂)被覆の比較例1と比べると十分では無い。比較例12のように被覆にウレタンを用いた場合も、化成処理被膜層がないと同様に剥離が大きい。
比較例5〜11は、成分のうちの1つが本発明のものと異なる処理液を用いた例である。いずれも、無処理に比べて耐剥離性能は改善されているが、特許文献3に相当する化成処理(比較例3、4)または無被覆でエポキシ被覆(比較例2)とほぼ同じ程度の改善効果しか見られない。
一方、本発明の実施例1−1〜13、実施例2−1〜13、実施例3−1〜8、実施例4−1〜8、実施例5−1〜8ではいずれも剥離が小さく、ポリオレフィン被覆において大きな改善効果が得られた。中でも硝酸金属化合物に硝酸銀を用いた実施例1−11、2−11では剥離が小さく、優れた性能が示された。更に、エポキシプライマーを加えた実施例6−1〜13では、剥離が殆ど発生せず、極めて良好であった。また、実施例7−1のウレタン被覆でも、同様の剥離低減効果が見られる。実施例7−2の様に、プライマーを加えると、更に剥離が抑制される。
以上の結果、本発明のポリオレフィン被覆鋼管は優れた耐剥離性能を得られることがわかる。
1 鋼管
2 化成処理被膜層
3 無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層
4 ポリオレフィン防食層
4’ ウレタン防食層
5 傷付き防止層

Claims (5)

  1. 鋼管と、その表面に形成した化成処理被膜層と、その上に位置する重防食被覆層とを有する重防食被覆鋼管であって、該化成処理被膜層は、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物、リン酸第2族元素金属化合物、気相法シリカ微粒子を含有し、pHが3以下となるように調整された酸性処理液鋼管表面に塗布し、乾燥して形成されており、該重防食被覆層は、該化成処理被膜層の上に無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層を介して位置するポリオレフィン層、あるいは、該化成処理被膜層の上に位置するウレタン層である、重防食被覆鋼管。
  2. 前記化成処理被膜層と前記無水マレイン酸変性ポリオレフィン接着剤層との間、あるいは前記化成処理被膜層と前記ウレタン層との間に、エポキシプライマー層を有する、請求項1記載の重防食被覆鋼管。
  3. 前記酸性処理液が、硝酸の第1族元素を除いた金属化合物を前記気相法シリカ微粒子に対する重量比で0.02〜0.6、リン酸第2族元素金属化合物を前記気相法シリカ微粒子に対する重量比で0.05〜1.2含有する、請求項1又は2記載の重防食被覆鋼管。
  4. 前記硝酸の第1族元素を除いた金属化合物が硝酸銀である、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の重防食被覆鋼管。
  5. 前記リン酸第2族元素金属化合物がリン酸マグネシウム又はリン酸カルシウムである、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の重防食被覆鋼管。
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