JP6623543B2 - 有機樹脂被覆鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材の化成処理に関し、ノンクロム系で、且つ化成処理を施した後に水洗などの洗浄が不要で、疵部や端部からの上層被膜の剥離が少なく長期の防食性に優れ、特に高温環境下での使用において、被膜と鋼材間の耐水密着力の低下と耐陰極剥離性を大幅に抑制した防食被覆鋼材に関する。
従来、海洋構造物やラインパイプ等で長期防食性が要求される場合、長期のバリヤー防食性能を高めるために300μmを超える厚膜の被膜を形成する方法が採用されている。しかし、厚膜の被膜の場合、塗膜の応力が大きいので、鋼材表面に化成処理を施し、鋼材と塗膜との密着性を確保する必要がある。鋼材の化成処理としては、従来、まず、ブラスト処理あるいは酸洗によってスケール除去し、その後、特許第2949681号公報(特許文献1)に示されるようにクロム酸を含有するクロメート化成処理を施していた。このクロメート処理は、塗布しその後乾燥するだけで鋼材との密着性が良く、耐剥離性を大幅に向上させることが出来る。
しかしながら、クロメート処理は6価クロムを含むために管理された環境でしか処理を行うことができないので、工場でしか処理を行えず、例えば、施工現場での塗布などが出来ないという問題があった。一方、6価クロムを含まない代表的な化成処理としてリン酸亜鉛処理がある。リン酸亜鉛処理は加温したリン酸塩処理浴中に鋼材を浸漬して、鋼材表面にリン酸亜鉛の結晶を析出させて化成処理皮膜を形成する方法である。
一方、重防食被覆用として特開2003−34881号公報(特許文献2)に開示されているように、モリブデン酸アンモニウム、シランカップリング剤を含有する混合水溶液を用いる化成処理が提案されているが、やはり水洗工程が必要な上に、得られる化成処理被膜の性能も十分なものでは無かった。また、一般塗装の化成処理に用いられるジンクリッチペイントも、密着性が低下しやすく性能が十分では無い。このため、6価クロムを含有せず、かつ水洗等の行程上の制約が無い防食性能に優れた鋼材表面の化成処理が要求されている。
ラインパイプは低粘度の重質油等の輸送効率を上げるため、管内輸送物を高温にする必要があり、60℃を超える使用環境下での密着性、耐水密着性、耐陰極剥離性等の性能向上が重要な課題となっている。ラインパイプは数十年以上の長期にわたり、補修なしで使用されるので、ポリオレフィン被覆等の有機樹脂と併用して電気防食法によっても防食される。施工の際、有機樹脂に鋼材面まで達する疵がついた場合、鋼材は電気防食の効果によって防食されるが、防食電流によってアルカリが発生する。このアルカリによって塗膜の剥離(陰極剥離)が促進される。60℃を超える使用環境下ではアルカリが特に多く発生するため、樹脂被覆は耐アルカリ性を有す被膜である必要がある。
防食被覆鋼材として特開2006−249459号公報(特許文献3)に開示されているように、リン酸金属化合物に、水分散性シリカの微粒子を質量比で0.3〜0.4の割合で添加した水溶液を塗布し、水洗等の工程を必要とせず、塗布乾燥のみで処理を行い、樹脂被膜の耐水密着性と耐陰極剥離性を有す鋼材表面の被覆鋼材がある。
また、特開2009−209394号公報(特許文献4)には、Al系リン酸塩、Ca系リン酸塩、Mg系リン酸塩の、Zn系リン酸塩のうち少なくとも1種のリン酸塩とV系化合物、Mo系化合物、W系化合物、Y系化合物、Zr系化合物、Bi系化合物の少なくとも1種の化合物を含有する化合物、及びシリカを含有する水溶液が開示されている。
しかしながらシリカはアルカリに溶解するため、60℃を超えた使用環境下における電気防食時に疵部からの剥離を模擬した陰極剥離試験では、耐陰極剥離性が著しく劣ることが分かった。
特許第2949681号公報 特開2003−34881号公報 特開2006−249459号公報 特開2009−209394号公報
本発明の目的は、重防食被覆あるいは塗装鋼材において60℃を超える使用環境下においても優れた耐陰極剥離性を有する化成処理及びそれを使用した有機樹脂被覆鋼材を提供するものである。
本発明者らは上記の問題を解決する手段として、リン酸、リン酸金属化合物、シランカップリング剤、シリカ微粒子を含んだ化成処理液を鋼材表面に塗布し、化成処理被膜層を形成することで、塗膜の高温耐陰極剥離性に優れた有機樹脂被覆鋼材の提供が可能であることを見いだした。すなわち、本発明による有機樹脂被覆鋼材は、リン酸金属化合物、シランカップリング剤とシリカ微粒子成分を主とする化成処理液を塗布後、洗浄なしに乾燥させて処理被膜層を形成した後、エポキシプライマー層、0.3mm以上の厚みを有する有機樹脂層を順次積層する。
その発明の要旨を、その好ましい実施形態とともに示せば、次のとおりである。
(1)鋼材、並びに前記鋼材上に順に、化成処理被膜層、エポキシプライマー層、及び有機樹脂層を、有する有機樹脂被覆鋼材であって、
前記化成被膜層が、リン酸、リン酸金属化合物、水分散性シリカ微粒子、シランカップリング剤を含み、
前記リン酸金属化合物が、リン酸とアルカリ土類金属からなる化合物であり、
前記水分散性シリカ微粒子が、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したシリカ微粒子であり、
前記化成被膜層中に、前記水分散性シリカの微粒子に対して、前記シランカップリング剤がモル比で0.026〜0.26の割合で含まれる、有機樹脂被覆鋼材。
)前記シランカップリング剤が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3−イソシアネートプロピルエトキシシランから成る群より選ばれる水溶性シランカップリング剤であることを特徴とする(1)に記載の有機樹脂被覆鋼材
以上述べたように、本発明によると、防食被覆を行う鋼材の化成処理液として、クロム酸を用いる必要が無く、また、化成処理後に水洗を必要としない塗布及び乾燥のみで処理が可能で、60℃を超える使用環境下においても優れた耐陰極剥離性を有す有機樹脂被覆鋼材の提供が可能となる。
本発明の一つの実施態様を示す有機樹脂被覆鋼材の被膜構成断面図である。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
図1は、本発明の一つの実施態様を示す有機樹脂被覆鋼材の被覆構成断面図である。本発明に使用する鋼材1としては普通鋼、あるいは高合金鋼などどのような鋼種でも適用可能である。従来、重防食被覆が適用されていた鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等にも適用可能である。それ以外の鋼材でも、特別な設備を必要としないことから一般塗装の化成処理として本発明を適用可能である。
本発明に係るクロメート代替化成処理被膜2の化成処理を行う場合、その前に、まず上記鋼材1表面のスケール、汚染物等を除去する必要がある。そのため、アルカリ脱脂、酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの前処理を行なうことができる。その後、エポキシプライマー層3を塗布した後、有機樹脂層5を形成させるものである。
クロメート代替化成処理被膜層の形成にあたっては、まず、化成処理液を塗布し、乾燥する。その場合に、化成処理剤塗布後の水洗は必要ない。以下に本発明に用いる化成処理液について詳細に説明する。
本発明に用いる化成処理液は、リン酸、リン酸金属化合物、水分散性シリカ微粒子、シランカップリング剤を含む。
本発明の有機樹脂被覆鋼材の化成処理では水不溶性被膜を金属表面に形成することが望ましい。化成処理被膜中に多量の水溶性成分が残存していると、水環境で使用すると密着性が低下しやすいからである。また、鋼材の表面は、亜鉛めっき表面などに比べて処理液との反応性が劣るため、鋼材表面と処理液の反応性を確保するためには、処理液のpHは少なくとも4以下の酸性である必要がある。そして酸としては鉄と化合物を形成し、更に耐食性を有す被膜を形成するためにはリン酸金属化合物が適することからリン酸が最も好ましい。
さらに本発明に用いる化成処理液ではリン酸金属化合物を添加する。リン酸金属化合物は水溶性である必要からカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属が望ましい。中でもカルシウムはリン酸カルシウムの強固な被膜を形成する。アルカリ土類以外の金属では、リン酸以外の酸が必要となるために性能が低下しやすい。従って、リン酸で溶解可能な範囲であれば、アルカリ土類以外の亜鉛やアルミ等の金属種を加えても良い。このように、特定のリン酸金属化合物を溶解した酸性水溶液を用いることで、鋼材との反応性を確保するとともに、不溶性の被膜を形成して防食性を向上させることで耐水密着性や腐食による塗膜剥離性が大幅に向上する。
本発明に用いる化成処理液では、これのみでは従来のクロメート処理と比べると塗布の分散性や塗膜の密着性が十分では無いために、リン酸金属化合物に更にシリカ微粒子成分を添加する。
シリカ微粒子としては、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したものを用いる。そうすることにより微粒子が凝集合体しブドウ状になりポーラスな被膜層を形成し、その上のプライマー層との密着性を向上させる。シリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製のAEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX50、AEROSIL TT600、AEROSIL MOX等がある。
シリカ微粒子の添加量は、前記のリン酸金属化合物の総量に対して質量比で0.3〜4.0の範囲で添加する。質量比0.3未満では耐水密着性や耐陰極剥離性が低下し、質量比4.0超ではシリカ成分が過剰となり被膜の凝集力が低下する。シリカ微粒子は、鋼材表面の被覆率を向上させるとともにリン酸金属化合物の分散性を向上させる効果がある。
しかしながら、シリカ微粒子は防食電流によって生成したアルカリに溶解する。このため、本発明で用いる化成処理液には、シランカップリング剤を添加させる。シランカップリング剤としては、親水性シランカップリング剤を用いることが好ましい。そうすることによりシランカップリング剤がシリカ微粒子をコーティングして、アルカリによるシリカ微粒子の溶解を抑制させる。
親水性シランカップリング剤の例としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルエトキシシラン等の水溶性シランカップリング剤がある。
シランカップリング剤/シリカ微粒子のモル比が0.026〜0.26の範囲になるように配合することが好ましい。その理由は、モル比が0.026未満の時、シリカ微粒子をコーティングするシランカップリング剤の数不十分となり、耐アルカリ性が急激に劣る為である。一方、モル比が0.26を超えると皮膜そのものが脆ろくなることから、密着力が低下しやすい。
本発明で使用する化成処理液は、各成分の濃度を調整した後に、スプレー、刷毛、ロール、しごき、エアー切り等の塗布方法で、シリカ付着量として50〜900mg/m2の範囲で塗布する。付着量が50mg/m2未満では処理の効果が得られず、900mg/m2を超えると化成処理被膜の物理的強度低下により初期密着力が低下し、水に対する可溶性成分が増えることから水環境で密着力が低下しやすい。シリカ付着量は、好ましくは、100〜600mg/m2の範囲である。
次に、上記化成処理液を塗布した形成した化成処理被膜層の上に施すエポキシプライマー層について説明する。一般にエポキシプライマー層の主成分であるエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型樹脂を単独、もしくは混合して使用する。更に高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。前記化成処理被膜層の上にエポキシプライマー層を設けることにより、一層防食層の密着性が向上する。
硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるいは潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、プライマーに添加する無機顔料は全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みを低下し、密着特性が大きく改善される。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、硼酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にバナジウムリン系化合物等の防錆顔料を適宜用いる。
以上のエポキシプライマーを用い、前述の化成処理と組み合わせることにより本発明の有機樹脂被覆鋼材の化成処理を提供することが出来る。エポキシプライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の塗布方法を用いる。粉体で供給される場合には、静電粉体塗装等の塗布方法を用い、膜厚20〜1000μmの範囲で塗布する。膜厚が20μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は1000μmを超える厚膜塗装では低温での耐衝撃性等の特性が低下しやすい。
有機樹脂被覆に使用する有機樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分として用いる。ポリウレタン樹脂としてはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化型タイプのものが代表的である。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。
ポリオレフィン樹脂以外の成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせで添加することができる。ポリオレフィン樹脂が、下に位置するエポキシプライマー層と接触する部分にはポリオレフィンを変性した接着剤の層を用いる。このポリオレフィン接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.3〜5mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましい。
ポリオレフィン被覆の方法としては、例えば、押出機のダイスを用いて加熱溶融したポリオレフィン樹脂で直接鋼材を被覆する押出被覆方法を用いることができる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンを粉体塗装して溶融して被膜を形成する方法等がある。これらの方法により、0.3mm〜5mmの膜厚を有する有機樹脂防食被膜層を形成する。膜厚が0.3mmより薄いと、耐食性が劣るため好ましくない。また膜厚が5mmを超えると寒暖差による塗膜の収縮により、端部から防食被覆層が剥離しやすくなるため好ましくない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
化成処理液の調製
本発明の化成処理液として、リン酸を0.38mol/L、重リン酸カルシウム溶液を0.039mol/L、気相法で製造されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製のAEROSIL 200)を0.73mol/Lとなるように水を混合添加して化成処理液を作成した。この時のpHは1〜2であった。シランカップリング剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヒキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを、シリカ微粒子に対してモル比で0.026〜0.26の範囲で添加したものを調製した。
有機樹脂被覆鋼材サンプルとして、9mm×100mm×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施したものを用意した。本発明の実施例(発明例)としては、上記で調製した化成処理液をこの鋼材サンプルに刷毛で塗布して、乾燥した。一方、比較例(No.1)として、特許文献3に示される、シリカ微粒子を含むが、シランカップリング剤を含まない化成処理液を用いて化成処理を施した。
鋼板を180℃に加温した後、顔料を含むエポキシ樹脂プライマー(POWDAX E200 PE287−6(8)、日本ペイント社製)を150μm狙いで静電粉体塗装を実施した。その後、200μm厚みのポリオレフィン接着剤(ADMER NE090、三井化学社製)を塗布し、3mm厚みのポリエチレン(NOVATEC ER002S、日本ポリエチレン社製)を順に塗布し、本発明の実施例及び比較例の有機樹脂被覆鋼材を製造した。
作製した有機樹脂被覆鋼材は、鋼面に達する直径6mmの人工疵を設け、これを80℃に保った3%NaCl食塩水に接液させ、飽和カロメル電極に対して1.5Vの電位を印加して30日間保持した。30日経過後、人工疵からの有機樹脂被膜の剥離距離を測定し、評価した。
比較例及び本発明の化成処理成分を用いた実施例の結果を表1に示す。比較例の結果から、発明例No.2〜No.5に示すようにシランカップリング剤の添加に伴い、耐陰極剥離性が向上し、シリカ微粒子に対するシランカップリング剤のモル比が0.26の時、最も耐陰極剥離性が向上した。さらに、No.6〜No.12に示すように、シランカップリング剤が、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シランいずれにおいても耐陰極剥離性が向上し、No.9のアミノ系シランとNo.12のイソシアネート系シランが特に効果があった。
Figure 0006623543
1 鋼材
2 化成処理被膜
3 エポキシプライマー層
4 有機樹脂

Claims (2)

  1. 鋼材、並びに前記鋼材上に順に、
    化成処理被膜層、エポキシプライマー層、及び有機樹脂層を、有する有機樹脂被覆鋼材であって、
    前記化成被膜層が、リン酸、リン酸金属化合物、水分散性シリカ微粒子、シランカップリング剤を含み、
    前記リン酸金属化合物が、リン酸とアルカリ土類金属からなる化合物であり、
    前記水分散性シリカ微粒子が、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したシリカ微粒子であり、
    前記化成被膜層中に、前記水分散性シリカの微粒子に対して、前記シランカップリング剤がモル比で0.026〜0.26の割合で含まれる、有機樹脂被覆鋼材。
  2. 前記シランカップリング剤が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3−イソシアネートプロピルエトキシシランから成る群より選ばれる水溶性シランカップリング剤であることを特徴とする請求項に記載の有機樹脂被覆鋼材。
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