JP7359339B1 - 鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末 - Google Patents

鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末 Download PDF

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Abstract

鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を提供する。鉄基軟磁性複合粉末の製造方法は、鉄基軟磁性粉末にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末を添加して撹拌混合し、鉄基軟磁性粒子の表面にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の被覆層が形成された第一複合粉末を得る第一混合工程を含み、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である。

Description

本開示は、鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末に関する。
モータやトランス等の電力変換機器に適用される磁芯には、電磁鋼板を積層したものが用いられてきたが、近年は、圧粉磁芯の採用例が増えている。圧粉磁芯は鉄基軟磁性粉末を金型に充填し、圧縮成形することにより作製される。そのため、部品形状の自由度が高く、複雑な形状のモータを実現することができる。また、圧粉磁芯は圧縮成形により成形可能であることから、最終部品形状に近い成形体を得ることができ、歩留が向上する。加えて、積層電磁鋼板では鋼板の水平面内の渦電流を抑制することが不可能であり、磁気特性に異方性が生じてしまうが、圧粉磁芯では鉄基軟磁性粒子の各々が絶縁されているため、積層電磁鋼板に比べて渦電流を抑制することができ、電力変換機器の高効率化が可能である。圧粉磁芯の製造のためには、表面に絶縁皮膜が形成された鉄基軟磁性複合粒子の粉末(鉄基軟磁性複合粉末)が必要となる。このような鉄基軟磁性複合粉末では、圧縮成形時に絶縁皮膜が破壊される場合がある。そのため、絶縁皮膜や絶縁層を強化する工夫がなされている。
特開2015-230930号公報(特許文献1)には、軟磁性粉末と、この軟磁性粉末に対し0.2~0.8wt%の縮合リン酸金属化合物とを混合し、さらに絶縁微粉末を混合し、この軟磁性粉末の周囲に縮合リン酸金属化合物を含む被覆を形成した軟磁性粉末が記載されている。この軟磁性粉末では、縮合リン酸金属化合物の添加により、軟磁性粉末周囲の絶縁層を硬くすることができるとともに軟磁性粉末と絶縁層との密着強度を向上させることができるとされている。縮合リン酸金属化合物としては、縮合リン酸アルミニウムとしてトリポリリン酸アルミニウムが例示されている。縮合リン酸金属化合物には、硬化促進剤として塩基性物質を添加しても良いとされている。塩基性物質としては、AlやSiOが例示されている。
国際公開第2011/077694号(特許文献2)には、軟磁性粉末を用いたリアクトルが記載されている。このリアクトルは、軟磁性粉末と無機絶縁粉末とを混合した混合物と結着性絶縁樹脂とを混合して造粒し、その造粒物に対して更に潤滑性樹脂を混合し、この混合物を加圧成形処理して成形した成形体を用いている。この成形体の製造過程における造粒工程では、第1層目として、軟磁性合金粉末の表面にシランカップリング剤による密着強化層が形成される。これにより、無機絶縁粉末と軟磁性粉末の密着力を高めるとされている。更に、シランカップリング剤による密着強化層の表面に、第2層目としてシリコーンレジンによる結着層が形成される。
特開2015-230930号公報 国際公開第2011/077694号
AlやSiOは硬度が高いので、特許文献1のように、AlやSiOを添加すると、成形体の圧縮成形時に軟磁性粉末の表面の絶縁皮膜を破壊してしまう恐れがある。また、特許文献1では、トリポリリン酸アルミニウムのような縮合リン酸金属塩に含まれるオルトリン酸アルミニウムのような不可避不純物の絶縁皮膜の強度への影響が考慮されていない。そのため、不可避不純物の影響も考慮したうえで、圧縮成形時に破壊されにくい絶縁皮膜を有する鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末の提供が望まれる。
特許文献2に記載の方法では、シランカップリング剤を添加する際に有機溶媒が使用される。これにより溶媒の乾燥処理が必要となり製造コストが増大してしまう。また、有機溶媒の使用は、引火防止のような安全管理の負担が増大する。環境への放出を避けるためには溶媒回収システムを設置するなどの追加の負担も生じる。このように、有機溶媒を使用する製造方法では、製造コストが大きくなる。そのため、製造コストの増大回避が要請される。
本開示は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、製造コストの増大を避けつつ、圧縮成形時に破壊されにくい絶縁皮膜を有する鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を提供することにある。
上記目的を達成するための本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法は、
鉄基軟磁性粉末にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末を添加して撹拌混合し、鉄基軟磁性粒子の表面にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の被覆層が形成された第一複合粉末を得る第一混合工程を含み、
前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に
前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量は、前記鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上0.50質量%以下であってもよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に、
前記第一複合粉末にシリコーン樹脂粉末を添加して撹拌混合し、第二複合粉末を得る第二混合工程を更に含み、
前記シリコーン樹脂粉末の添加量は前記鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上1.50質量%以下であってよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に、
前記第二混合工程における撹拌混合中の粉末の温度は、80℃以上であってよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に、
前記第一複合粉末を80℃以下まで冷却する冷却工程を更に含み、
前記第一混合工程における撹拌混合中の粉末の最高到達温度は、130℃以上200℃以下であり、
前記第二混合工程は、前記冷却工程中に行ってよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に、
前記第一複合粉末に潤滑剤を添加して撹拌混合し、第三複合粉末を得る第三混合工程を含んでよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法では、更に、
前記第二複合粉末に潤滑剤を添加して撹拌混合し、第三複合粉末を得る第三混合工程を含んでよい。
上記目的を達成するための本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末は、
鉄基軟磁性粒子と、
前記鉄基軟磁性粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する複合粒子を含み、
前記被覆層は、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物で形成された第一被覆層を有し、
前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末では、更に、
前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の含有量が鉄に対して0.10質量%以上0.50質量%以下であってよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末では、更に、
前記被覆層は、前記第一被覆層の外表面に、シリコーン樹脂で形成された第二被覆層を有し、
前記シリコーン樹脂の含有量は、鉄に対して0.10質量%以上1.50質量%以下であってよい。
本開示に係る鉄基軟磁性複合粉末では、更に、
潤滑剤を含んでよい。
本開示によれば、製造コストの増大を避けつつ、圧縮成形時に破壊されにくい絶縁皮膜を有する鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を提供することができる。
以下、本開示の実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末について説明する。
まず、本実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末の概要を説明する。
本実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法は、鉄基軟磁性粉末にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末を添加して撹拌混合し、鉄基軟磁性粒子の表面にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の被覆層が形成された第一複合粉末を得る第一混合工程を含む。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である。
上記の製造方法によれば、製造コストの増大を避けつつも、圧縮成形(加圧成形)時に破壊されにくい被覆層(絶縁被膜)を有する鉄基軟磁性複合粉末を実現することができる。
上記の製造方法により実現される鉄基軟磁性複合粉末は、鉄基軟磁性粒子と、鉄基軟磁性粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する複合粒子を含み、この被覆層は、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物で形成された第一被覆層を有する。この鉄基軟磁性複合粉末において、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である。
本実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法は、上記の第一混合工程に加えて、第一複合粉末を80℃以下まで冷却する冷却工程と、第一複合粉末にシリコーン樹脂粉末を添加して撹拌混合し、第二複合粉末を得る第二混合工程と、第二複合粉末に潤滑剤を添加して撹拌混合し、第三複合粉末を得る第三混合工程とを含んでよい。
すなわち、本実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末は、被覆層として、上記の第一被覆層に加えて、第一被覆層の外表面(複合粒子の外側に位置する表面)に、シリコーン樹脂で形成された第二被覆層を含んでよい。被覆層の外表面には、更に潤滑剤が塗布されてもよい。
以下では、鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末の詳細を説明する。
鉄基軟磁性粉末(いわゆる、鉄粉)は、鉄基軟磁性粒子(いわゆる鉄の微粒子、以下、鉄粒子と記載する場合がある)の集合体である。鉄基軟磁性粒子は、鉄基軟磁性複合粒子を製造するためのコア粒子である。鉄基軟磁性複合粉末は、鉄基軟磁性複合粒子の集合体である。
以下の説明では、粒子の意味を包含して、単に粉末と称する場合がある。すなわち、鉄粒子を指し示す場合を包含して、鉄基軟磁性粉末と称する場合がある。特に鉄基軟磁性粉末については、鉄粒子を指し示す場合も包含して、単に鉄粉と称する場合がある。また、撹拌や混合、加熱のような単位操作の対象とされる各種の粉末のことを、総称して、粉体と称する場合がある。
鉄基軟磁性粉末は、純鉄粉が好ましい。鉄基軟磁性粉末は、純鉄粉の中でも、特に水アトマイズ鉄粉を用いることが好ましい。水アトマイズ鉄粉は、粒子表面に多数の凹凸を有するため粒子の絡み合いが生じやすく、圧粉磁芯として成形した場合に、圧粉磁芯の強度を向上することができる場合がある。また、鉄基軟磁性粉末は、圧縮性が良好であることが好ましい。圧縮性が良好であると、圧粉磁芯を圧縮成形する際の成形性が向上する。
鉄基軟磁性粉末として純鉄の鉄粉を用いる場合、その見掛密度は2.8Mg/m以上であることが好ましい。見掛密度が2.8Mg/mより低いと、圧粉磁芯の密度が低下する場合がある。
鉄基軟磁性粉末として純鉄粉を用いる場合、その粒子径は、体積基準のメジアン径(50%粒子径、いわゆるD50)で評価した場合、40μm以上250μm以下であることが好ましい。以下では、メジアン径で評価した場合の粒子径を、単に粒子径と記載する。粒子径が40μmに満たないと、鉄粉の流動性が低下する。これにより、金型への充填性が低下し、また、圧粉磁芯を圧縮成形する際の成形性が悪くなる場合がある。粒子径が250μmを超えると、鉄粒子内の渦電流によるエネルギー損失が大きくなる。なお、メジアン径は、レーザー回折法を採用した粒度分布測定器を用いて測定した値を用いてよい。例えば、粒度分布測定器として、株式会社堀場製作所製Partica LA-960V2を用いてよい。
第一混合工程は、被覆層として、上述の鉄粒子の表面にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物で形成された、絶縁性の第一被覆層を形成して第一複合粉末を得る工程である。第一被覆層は、鉄基軟磁性複合粉末の圧縮成形時に破壊されにくいものとなる。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物は、鉄粒子の表面に、絶縁性を有する被覆層(本実施形態では、第一被覆層)を形成するための原料である。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物は鉄との反応性が良好であり、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末鉄粉を鉄粉とともに混合することで、鉄粉の表面に、密着性が高く、絶縁性を有する第一被覆層を形成する。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物は、その結晶性が高いほど鉄粉との反応性が向上して鉄粉との密着性が向上する。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物は、その結晶性が低下すると、鉄粉との反応性が低下して鉄粒子との密着性が低下する。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の結晶性が高いほど鉄粉との反応性が向上するのは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の結晶性が高いほど第二鉄イオン(Fe3+)とのより多くの化学結合を形成するためである。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物は、不可避的に含まれるオルトリン酸アルミニウムの含有量が多くなると、鉄粒子との密着性が低下する。
このように、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物からなる第一被覆層と鉄粒子との密着性を向上させるためには、第一被覆層を形成するために用いるトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末が、結晶性が高く、オルトリン酸アルミニウムの含有量が少ないものであることが好ましい。
上述のように、本実施形態では、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の結晶性と不純物との影響を評価することが重要である。本実施形態では、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の結晶性と不純物との影響の評価には、粉末X線回折に基づく評価を用いる。
すなわち、本実施形態では、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末として、X線回折法で分析した場合のX線回折スペクトルが、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上であるものを用いる。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度は、好ましくは、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の3.0倍以上である。X線回折スペクトルにおける、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度(B)に対するトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度(A)の比(A/B)を、以下では、単に強度比と称する。すなわち、強度比は、1.5倍以上、好ましくは3倍以上である。強度比をこのような範囲とすることで、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末として、結晶性が高く、且つ、不純物の少ないものを選択することが可能となり、これにより、第一被覆層の密着性を向上させて、圧縮成形時に破壊されにくい絶縁皮膜としての被覆層を有する鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を提供することができるのである。
第一混合工程では、鉄粉にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末を添加して撹拌混合することで、第一被覆層を鉄粉の表面に形成する。第一被覆層の形成は、水や有機溶媒を使用せずに、乾式法で行うことができる。そのため、製造コストの増大を避けることができる。
第一混合工程における混合は、粉末の撹拌混合に通常用いられる混合装置を使用してよい。好適な混合装置の一例は、混合容器の底部に水平面に沿って回転する撹拌羽根が設けられた撹拌羽根型混合機を用いることが好適である。好適な撹拌羽根型混合機の一例は、日本コークス工業株式会社製のFMミキサシリーズや、株式会社アーステクニカ製のハイスピードミキサシリーズである。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物と鉄粒子と密着性を向上させるため、第一混合工程における混合は加熱混合とすることが好ましい。第一混合工程における撹拌混合中の粉末の温度の最高到達温度は、130℃以上200℃以下とするとよい。以下では、撹拌混合中の粉末の温度を、単に混合温度と称する場合がある。なお、本実施形態における混合温度とは、混合装置の混合容器の槽内に挿入した熱電対で測定される、撹拌混合中の粉体の温度である。熱電対は、混合装置を静止した状態において、混合槽内で静止している粉体層に埋まる位置に設ける。
混合温度の最高到達温度が130℃以上200℃以下の範囲内においては、混合温度が高いほど、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物が第一被覆層を形成しやすくなる。混合温度の最高到達温度は、好ましくは150℃以上200℃以下である。混合温度の最高到達温度が130℃に満たないと、第一被覆層と鉄粒子との密着性は低下する。一方、混合温度が200℃を超えると、鉄基軟磁性複合粉末の酸化が進行し、圧粉磁芯の密度が低下する。
また、混合時の最高到達温度が上記範囲であれば、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の変質や結晶性の低下を抑制することができる。
混合温度の制御は、加熱又は冷却により制御してよい。例えば、混合装置の混合容器に加熱冷却ジャケットを設け、混合装置の外部から、混合容器の槽内の粉体を加熱又は冷却して混合温度を制御してよい。混合容器の加熱又は冷却は、水蒸気や温水又は冷水や冷媒を用いてよい。また、混合温度の制御において、加熱する場合は、混合装置の混合処理によって生じる混合熱を利用してもよい。
第一混合工程後には、第一複合粉末を80℃以下まで冷却する冷却工程を実行するとよい。これにより、その後の鉄基軟磁性複合粉末の取り扱いが行いやすくなる。
混合容器の槽内は、窒素ガスのような不活性ガスで満たしてもよい。これにより、撹拌混合時の粉体の酸化を防止することができる。
第一混合工程における、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量は、鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上0.50質量%以下である。これにより、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の含有量が鉄に対して0.10質量%以上0.50質量%以下である鉄基軟磁性複合粉末を実現することができる。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量は、好ましくは、0.15質量%以上0.30質量%以下である。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量が0.50質量%を超えると、鉄基軟磁性複合粉末を用いて製造した圧粉磁芯の比抵抗が悪化する場合がある。これは、第一被覆層の厚さが増加することにより、鉄粒子の密着層と最表層での熱膨張性の差が大きくなり、クラックの発生や破断を招くことが原因と推定される。
好適なトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の一例は、テイカ株式会社製のK-FRESH #100Pである。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の粒子径(メジアン径)は10μm以下、好ましくは5μm以下とするとよい。トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の粒子径が小さくなるほどその比表面積が大きくなるため、鉄粒子への被覆率が向上する。
第二混合工程は、被覆層として、第一被覆層の外表面にシリコーン樹脂で形成された第二被覆層を形成する工程である。第二被覆層の形成により、被覆層の柔軟性が向上し、圧縮成形時の鉄粒子の変形による皮膜の破壊が生じにくくなる。
第二被覆層の形成を行う場合に用いるシリコーン樹脂粉末に特に制限はないが、メチル基を主体とするものが好ましい。好適なシリコーン樹脂粉末の一例は、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のSILRES MK POWDERや信越化学工業株式会社製のKR-220LPである。
第二混合工程を行う場合、第一混合工程後、すなわち、第一複合粉末にシリコーン樹脂粉末を添加し、撹拌混合を実施してよい。撹拌混合は、第一混合工程で用いた混合装置で引き続いて行ってよい。
第二混合工程における混合温度は、80℃以上とするとよい。混合温度が80℃を下回るとシリコーン樹脂が軟化せず、第二被覆層の密着性が低下する場合がある。
第二混合工程は、上記の冷却工程中に行うとよい。これにより、第一混合工程直後の粉体層の蓄熱を利用して、製造コストを抑制しつつも効率よく密着性の良い第二被覆層を形成することができる。詳述すると、第一混合工程後に冷却し、再度第二混合工程のために加熱する手間や時間を省略しつつ、第二混合工程における混合温度として80℃以上を確保できるのである。
第二工程における、シリコーン樹脂粉末の添加量は鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上1.50質量%以下にするとよい。すなわち、鉄基軟磁性複合粉末のシリコーン樹脂の含有量は、鉄に対して0.10質量%以上1.50質量%以下としてよい。0.10質量%を下回ると添加による被覆層の柔軟性を向上させる効果が発現しにくく、1.50質量%を超えると、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量が0.50質量%を超えた場合と同様に圧粉磁芯の比抵抗が悪化する場合がある。シリコーン樹脂の添加量の範囲は、好ましくは0.60質量%以下、さらに好ましくは0.30質量%以下とするとよい。
第三混合工程は、第一複合粉末又は第二複合粉末に潤滑剤を含有させた第三複合粉末を得るための工程である。第三混合工程を行う場合、第一混合工程後又は第二混合工程後、すなわち、第一複合粉末又は第二複合粉末に潤滑剤を添加し、撹拌混合を実施してよい。撹拌混合は、第一混合工程又は第二混合工程で用いた混合装置で引き続いて行ってよい。鉄基軟磁性複合粉末に潤滑剤を含有させることで、後述する圧縮成形において、成形性を良くすることができ、また、圧縮成形時の被覆層の破壊を抑制することができる。
上述のようにして絶縁性を有する被覆層が形成された鉄基軟磁性複合粉末(第一複合粉末、第二複合粉末又は第三複合粉末)は、圧粉磁芯の原料として好適なものとなる。鉄基軟磁性複合粉末は、所望の寸法形状の金型を用いて圧縮成形され、所定形状の成形体(圧粉体、圧粉磁芯を製造するための成形体)としてよい。
上記鉄基軟磁性複合粉末の圧縮成形は、常温成形法や金型潤滑成形法など、通常の鉄基軟磁性粉末に用いられる成形方法により行ってよい。
上記鉄基軟磁性複合粉末の圧縮成形において、成形圧力は980MPa以上とするとよい。成形圧力の増大により圧粉密度が向上し、これにより、成形体の強度が向上する場合がある。もちろん、成形体に実用上の強度が付与されるならば、成形圧力は980MPa未満でもよい。
鉄基軟磁性複合粉末の圧縮成形に際しては、必要に応じ潤滑剤を金型壁面に塗布してもよいし、あらかじめ鉄基軟磁性複合粉末に潤滑剤を添加しておいてもよい(すなわち、鉄基軟磁性複合粉末を第三複合粉末としてもよい)。これにより、圧縮成形における成形性を良くすることができる。すなわち、圧縮成形時において、金型と鉄基軟磁性複合粉末との間の摩擦を低減することができる。また、圧縮成形時における、成形体の密度の低下を抑制することができる。また、圧縮成形後、金型から成形体を抜き出す際の摩擦を低減することができる。また、これらにより、成形時や、金型から成形体を抜き出す際の成形体の割れを抑制することができる。
潤滑剤は、あらかじめ鉄基軟磁性複合粉末に添加されていること(鉄基軟磁性複合粉末が第三複合粉末であること)が好ましい。これにより、鉄基軟磁性複合粒子同士の摩擦を低減することができ、圧縮成形時の被覆層の破壊を抑制することができる。特に高圧で圧縮成形する場合に、あらかじめ鉄基軟磁性複合粉末に潤滑剤が添加されていると、圧縮成形時の被覆層の破壊の抑制効果が高まる場合がある。
潤滑剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸並びに脂肪酸アミド等のワックスが好適例として挙げられる。
鉄基軟磁性複合粉末を圧縮成形して得た成形体は、必要に応じて熱処理を施され、圧粉磁芯とされる。この熱処理により、圧粉磁芯の鉄損の低減を行える。なお、この熱処理は、圧粉磁芯の製造時に通常用いられる熱処理方法であれば、いずれも好適に用いることができる。
以下では、実施例に基づいて本実施形態に係る鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を説明する。なお、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
鉄基軟磁性粉末として、見掛密度が3.0Mg/m、メジアン径が100μmの水アトマイズ純鉄粉であるJFEスチール株式会社製 JIP 304ASを用いた。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末として、テイカ株式会社製 K-FRESH #100Pを用いた。なお、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末(K-FRESH #100P)は、製造番号の異なるものを4種用意した。
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末は、製造番号毎に粉末X線回折による評価を行い、強度比(A/B)を算出した。それぞれのトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の強度比は、1.26、1.77、3.63及び3.22であった。なお、X線回折強度分布の測定ではX線源にCuKα(6.9keV)を用いた。
上記の鉄基軟磁性粉末とトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末とを用いて、鉄基軟磁性複合粉末を次表1に示す処方で製造し、それぞれ、実験1から実験11の鉄基軟磁性複合粉末とした。なお、以下の説明の通り、実験1-3,5,6-8及び10-14は実施例、実験4及び9は比較例である。
Figure 0007359339000001
第一混合工程から第三混合工程までで用いる混合装置には、アーステクニカ株式会社製のハイスピードミキサLFS-GS2J型を採用した。全工程において、混合装置の槽内は、窒素雰囲気とした。また、撹拌羽の回転数は500回転毎分とした。
まず、原料粉末として、鉄基軟磁性粉末とトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末とを、表1に示す強度比の組み合わせ及びトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量の比率で、上記混合装置を用いて20分間撹拌混合して第一被覆層を形成し、実験1から実験11の第一複合粉末を得た。なお、混合装置への原料粉末の仕込み量は、1.5kgとした。撹拌混合は、混合容器を加熱しながら行った。混合温度は170℃とした。なお、表1に示すトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の添加量は、鉄基軟磁性複合粉末の質量に対する割合である。
実験7から実験14の第一複合粉末には、更に、シリコーン樹脂粉末(信越化学工業株式会社製 KR-220LP)を添加して撹拌混合して第二被覆層を形成し、実験7から実験11の第二複合粉末を得た。なお、表1に示すシリコーン樹脂の添加量は、鉄基軟磁性複合粉末の質量に対する割合である。第一複合粉末へのシリコーン樹脂粉末の添加及び撹拌混合は、第一複合粉末の製造後の冷却工程中に行った。第一複合粉末へのシリコーン樹脂粉末の添加は、混合装置内の第一複合粉末の温度が120℃まで低下した時点で行った。第一複合粉末へのシリコーン樹脂粉末の添加後、更に5分間撹拌混合して第二複合粉末を得た。第二複合粉末は、更に60℃まで冷却した。
更に、実験1から実験6の第一複合粉末及び実験7から実験14の第二複合粉末に、潤滑剤としてN,N′‐エチレンビスステアリン酸アミドを添加して撹拌混合し、実施例1から実施例14の鉄基軟磁性複合粉末を製造した。なお、表1に示すエチレンビスステアリン酸アミドの添加量は、鉄基軟磁性複合粉末の質量に対する割合である。
作製した鉄基軟磁性複合粉末は、比抵抗と圧粉密度とを評価した。これらの評価結果を次表2に示す。なお、表2では、閲覧性の便宜のため、表1で示した強度比を再掲している。
Figure 0007359339000002
まず、鉄基軟磁性複合粉末を成形圧980MPa及び1470MPaで成形し、リング状の試験片(成形体)を作製した。この試験片の形状は外径38mm、内径25mm、高さ6mmである。作製した試験片には更に窒素雰囲気下で熱処理を施し、圧粉磁芯とした。この熱処理の条件は、500℃で45分間保持とした。それぞれの圧粉磁芯について、寸法と重量を計測し、これら寸法と重量から圧粉密度を算出した。
比抵抗は、4端子法で測定した。なお、比抵抗の目標値は、藤田らの検討(藤田雄一郎、齊藤貴伸: 電気製鋼,79(2008)p.109-117)に基づき、渦電流損が十分に抑制される100μΩm以上を良好とした。
強度比が1.5以上である場合(実験4,9以外参照)、1470MPaの高い成形圧であっても圧粉磁芯の比抵抗は100μΩm以上を示し、良好であった。また、強度比が1.5以上である場合(実験4,9以外参照)、980MPaで成形した場合と比較して、比抵抗低下率は14%以上33%以下であり、良好であった。なお、比抵抗低下率は、33%を下回ると良好であり、成形圧力が上昇しても、被覆層の破壊が抑制されていることを示している。
強度比が1.5未満である実験4では、成形圧が1470MPaである場合に、圧粉磁芯の比抵抗が大幅に低下した。成形時に被覆層が破壊されたためと考えられる。
実験2、実験5及び実験6は、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量がそれぞれ異なる。これら実験より、強度比が1.5以上で、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量が0.50質量%以下であれば、1470MPaで成形した圧粉磁芯の比抵抗は100μΩm以上となり、また、比抵抗低下率も33%を下回ると考えられる。
実験7から実験9は、それぞれ同様の第二被覆層が形成されている点で共通し、添加されたトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の強度比が異なる。上述の実験5及び実験6の比較結果と同様に、強度比が1.5以上を示す場合(実験7,8参照)に、1470MPaで成形した圧粉磁芯の比抵抗が100μΩm以上を示し、良好であった。強度比が1.5未満となる実験9では、1470MPaで成形した圧粉磁芯の比抵抗は100μΩm未満となり、また、比抵抗低下率も33%を超えた。
それぞれ実験7から実験9と同じ強度比のトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の第一被覆層を有し、第二被覆層を有さない実験2から実験4と比べて、実験7から実験9では、押しなべて比抵抗が高い。実験7から実験9では、第二被覆層の形成により、実験2から実験4と比べて被覆層の柔軟性が向上し、圧縮成形時の鉄粒子の変形による皮膜の破壊が生じにくくなったためであると考えられる。
なお、それぞれ同じ強度比のトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の第一被覆層を有し、シリコーン樹脂の添加量が異なる実験2,7及び10-14の結果によれば、やはり、強度比が1.5以上であれば圧粉磁芯の比抵抗は100μΩm以上を示し良好となることがわかる。これら実験2,7及び10-14では、比抵抗低下率も33%未満となり良好である。
また、シリコーン樹脂の添加量は実験2,10,7、11、12、13及び14の順に多くなるが、この順に比抵抗の値も大きくなっていることがわかる。すなわち、シリコーン樹脂の添加量の観点では、シリコーン樹脂の添加量が0.10質量%以上1.50質量%以下の範囲内であれば、シリコーン樹脂の添加量が多くなるほど、比抵抗の値も大きくなっていることがわかる。所定範囲内では、シリコーン樹脂の添加量が多くなるほど、被覆層の柔軟性が向上し、圧縮成形時の鉄粒子の変形による皮膜の破壊が生じにくくなったためであると考えられる。
比抵抗低下率が33%以下である実験4,9以外の実験のうち、比抵抗の値が比較的小さく制御(例えば比抵抗の値が100μΩm以上2000μΩm以下に制御)された実験1-3,5-8,10及び11の鉄基軟磁性複合粉末(すなわち、シリコーン樹脂の添加量が0.3質量%以下のもの)は、特にモータの磁芯用として好適である。これに対し、比抵抗の値が比較的大きく制御(例えば比抵抗の値が2000μΩm超に制御)された実験12-14の鉄基軟磁性複合粉末は、特にリアクトルやインバータの磁芯用として好適である。
このように、強度比が1.5以上である場合では、1470MPaの高い成形圧であっても圧粉磁芯の比抵抗は100μΩm以上を示しており、被覆層の破壊が抑制されていることがわかる。また、比抵抗低下率でみても、強度比が1.5以上である場合では、比抵抗低下率が33%を下回り、成形圧力が上昇しても被覆層の破壊が抑制されていることがわかる。
以上のようにして、製造コストの増大を避けつつ、圧縮成形時に破壊されにくい絶縁皮膜を有する鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末を提供することができる。
なお、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本開示は、鉄基軟磁性複合粉末の製造方法及び鉄基軟磁性複合粉末に適用することができる。

Claims (11)

  1. 鉄基軟磁性粉末にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末を添加して撹拌混合し、鉄基軟磁性粒子の表面にトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の被覆層が形成された第一複合粉末を得る第一混合工程を含み、
    前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  2. 前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末の添加量は、前記鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上0.50質量%以下である請求項1に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  3. 前記第一複合粉末にシリコーン樹脂粉末を添加して撹拌混合し、第二複合粉末を得る第二混合工程を更に含み、
    前記シリコーン樹脂粉末の添加量は前記鉄基軟磁性粉末に対して0.10質量%以上1.50質量%以下である請求項2に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  4. 前記第二混合工程における撹拌混合中の粉末の温度は、80℃以上である請求項3に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  5. 前記第一複合粉末を80℃以下まで冷却する冷却工程を更に含み、
    前記第一混合工程における撹拌混合中の粉末の最高到達温度は、130℃以上200℃以下であり、
    前記第二混合工程は、前記冷却工程中に行う請求項4に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  6. 前記第一複合粉末に潤滑剤を添加して撹拌混合し、第三複合粉末を得る第三混合工程を更に含む請求項1又は2に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  7. 前記第二複合粉末に潤滑剤を添加して撹拌混合し、第三複合粉末を得る第三混合工程を更に含む請求項3から5の何れか一項に記載の鉄基軟磁性複合粉末の製造方法。
  8. 鉄基軟磁性粒子と、
    前記鉄基軟磁性粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する複合粒子を含み、
    前記被覆層は、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物で形成された第一被覆層を有し、
    前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物粉末をX線回折法で分析した場合のスペクトルは、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の(112)面のピーク強度が、オルトリン酸アルミニウムの(102)面のピーク強度の1.5倍以上である鉄基軟磁性複合粉末。
  9. 前記トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物の含有量が鉄に対して0.10質量%以上0.50質量%以下である請求項8に記載の鉄基軟磁性複合粉末。
  10. 前記被覆層は、前記第一被覆層の外表面に、シリコーン樹脂で形成された第二被覆層を有し、
    前記シリコーン樹脂の含有量は、鉄に対して0.10質量%以上1.50質量%以下である請求項9に記載の鉄基軟磁性複合粉末。
  11. 潤滑剤を更に含む請求項9又は10に記載の鉄基軟磁性複合粉末。
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