JP2019151909A - 軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法 - Google Patents

軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低透磁率かつ低損失の圧粉磁心を得ることのできる軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法を提供する。【解決手段】軟磁性材料は、Fe−Si合金粉末と、Fe−Si合金粉末の表面を覆う絶縁被膜と、を有し、絶縁被膜が、シリコーンオリゴマーを含み構成され、Fe−Si合金粉末の外側を被覆するシリコーンオリゴマー層と、シリコーンレジンを含み構成され、シリコーンオリゴマー層の外側に形成されたシリコーンレジン層と、を有する。Fe−Si合金粉末は、Siの含有量がFe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であり、シリコーンオリゴマーの添加量が、Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、シリコーンレジンの添加量が、Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%である。【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法に関する。
モーター、インバーター、コンバーターへの電力供給系統の一部として、リアクトルが利用されている。このリアクトルのコアとして、圧粉磁心が使用される。圧粉磁心は、金属粉末とこれを覆う絶縁皮膜とから構成された粉末を加圧成形することにより形成される。
圧粉磁心は、エネルギー交換効率の向上や低発熱などの要求から、小さな印加磁界で大きな磁束密度を得ることが出来る磁気特性と、磁束密度変化におけるエネルギー損失が小さいという磁気特性が求められる。磁束密度に関する磁気特性とは、具体的には透磁率(μ)である。エネルギー損失に関する磁気特性とは、具体的には鉄損(Pcv)である。鉄損(Pcv)は、ヒステリシス損失(Ph)と、渦電流損失(Pe)の和で表される。
特開2008−305823号公報 特開2010−001561号公報 特開2012−129217号公報
圧粉磁心としては、低透磁率のもの、すなわち、印加磁場の増大に伴う透磁率の低下を抑えた直流重畳特性が良好なものが要望される場合がある。このような低透磁率の圧粉磁心を得るために、軟磁性粉末として使用するFe−Si合金粉末の周囲に、シリコーンオリゴマーの層と、シリコーンレジンの層を形成することが考えられる。
しかし、これらのシリコーンオリゴマー、シリコーンレジンは樹脂であり、樹脂量が多くなると損失(鉄損)が増大してしまい、必要な磁気特性が得られない。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、低透磁率かつ低損失の圧粉磁心を得ることのできる軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法を提供することにある。
本発明の軟磁性材料は、Fe−Si合金粉末と、前記Fe−Si合金粉末の表面を覆う絶縁被膜と、を有し、前記絶縁被膜が、シリコーンオリゴマーを含み構成され、前記Fe−Si合金粉末の外側を被覆するシリコーンオリゴマー層と、シリコーンレジンを含み構成され、前記シリコーンオリゴマー層の外側に形成されたシリコーンレジン層と、を有し、前記Fe−Si合金粉末は、Siの含有量が前記Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であり、前記シリコーンオリゴマーの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、前記シリコーンレジンの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%であること、を特徴とする。
本発明の圧粉磁心は、上記の軟磁性材料を使用したことを特徴とする。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、Fe−Si合金粉末とシリコーンオリゴマーとを混合し、乾燥させ、シリコーンオリゴマー層を形成するシリコーンオリゴマー層形成工程と、前記シリコーンオリゴマー層が形成された前記Fe−Si合金粉末にシリコーンレジンを混合し、乾燥させ、シリコーンレジン層を形成するシリコーンレジン層形成工程と、前記各工程を経た前記Fe−Si合金粉末を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程と、前記成形工程を経た成形体を750℃以上で熱処理する熱処理工程と、を有し、前記Fe−Si合金粉末は、Siの含有量が前記Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であり、前記シリコーンオリゴマーの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、前記シリコーンレジンの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%であること、を特徴とする。
本発明によれば、低透磁率かつ低損失の圧粉磁心を得ることのできる軟磁性材料、圧粉磁心、及び圧粉磁心の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る圧粉磁心の製造方法を示すフローチャートである。 縮合リン酸金属塩の添加量に対する圧粉磁心の密度比及び外形寸法を示すグラフである。
[1.圧粉磁心の製造方法]
実施形態に係る軟磁性材料、圧粉磁心、及びその製造方法について、圧粉磁心の製造方法に沿って説明する。実施形態に係る軟磁性材料は、後述の成形工程前までの工程で得られた材料であり、例えば、後述のステップ1〜4の工程を経て得られた材料である。その他、下記のステップ1又はステップ2を含まない、ステップ1、3、4の工程を経て得られた材料、ステップ2〜4の工程を得て得られた材料も本発明の軟磁性材料に含まれる。
本実施形態の圧粉磁心の製造方法は、次のような各工程を有する。この工程を図1のフローチャートに示す。
(1)軟磁性粉末に対して、無機絶縁粉末を混合して無機絶縁粉末を付着させる無機絶縁粉末付着工程(ステップ1)。
(2)表面に無機絶縁粉末が付着した軟磁性粉末に対し、縮合リン酸金属塩を添加し、混合する縮合リン酸金属塩混合工程(ステップ2)。
(3)表面に無機絶縁粉末、縮合リン酸金属塩が付着した軟磁性粉末に対し、シリコーンオリゴマーを混合してシリコーンオリゴマー層を形成するシリコーンオリゴマー層形成工程(ステップ3)。
(4)シリコーンオリゴマー層が形成された軟磁性粉末に対し、シリコーンレジンを混合してシリコーンレジン層を形成するシリコーンレジン層形成工程(ステップ4)。
(5)ステップ1〜4の工程を経て得られた軟磁性粉末に対し、潤滑剤を添加して混合する潤滑剤混合工程(ステップ5)。
(6)前記工程を経た前記軟磁性粉末を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程(ステップ6)。
(7)成形工程を経た成形体を750℃以上で熱処理する熱処理工程(ステップ7)。
以下、各工程を具体的に説明する。
(1)無機絶縁粉末付着工程
無機絶縁粉末付着工程では、軟磁性粉末と、無機絶縁粉末とを混合する。混合は、混合機(W型、V型)、ポットミル等を使用して行い、この時、粉末に内部歪が入らないように混合する。以上により、軟磁性粉末の表面に無機絶縁粉末層を付着することができる。軟磁性粉末の表面に無機絶縁粉末を付着することにより、軟磁性粉末の間を絶縁することができ、熱処理温度を上げることが可能になる。
無機絶縁粉末の付着の態様としては、軟磁性粉末の表面に点状に分散して付着している場合、軟磁性粉末の表面に塊状に分散して付着している場合、軟磁性粉末の全表面若しくは表面の一部を覆うように無機絶縁粉末の層を形成しながら付着している場合などが含まれる。また、軟磁性粉末の表面に付着するだけでなく、軟磁性粉末の外側に形成された縮合リン酸金属塩層やシリコーンオリゴマー層と混合し、縮合リン酸金属塩層やシリコーンオリゴマー層の中に分散している場合も含まれる。なお、混合機による撹拌時間などの条件によっては、縮合リン酸金属塩層やシリコーンオリゴマー層の中に分散しないこともある。
(軟磁性粉末)
本実施形態で使用する軟磁性粉末は、鉄を主成分とする軟磁性粉末であって、具体的にはFe−Si合金粉末を使用する。Siの含有量は、Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であることが好ましい。Siの含有量が3.5wt%未満であると、渦電流損失が増大する結果、損失が増大する。Siの含有量が5.5wt%超であると、ヒステリス損失が低下し損失が低減するものの、軟磁性粉末としての透磁率が増大してしまい、低透磁率とすることが難しくなる。Siの含有量は、Fe−Si合金粉末に対して4.0wt%〜5.0wt%であるとより好ましい。損失低減効果がより高くなるからである。Fe−Si合金粉末には、Fe、Siの他に、Cr、Mo、Cu、Nb、Ta等を含んでいても良い。
Fe−Si合金粉末の平均粒子径は、40μm〜80μmであることが好ましい。この範囲内とすることにより、損失低減効果が得られるためである。なお、本明細書で「平均粒子径」とは、メジアン径(D50)をいう。
また、軟磁性粉末は、Fe−Si合金粉末の他にも、パーマロイ(Fe−Ni合金粉末)、センダスト合金粉末(Fe−Si−Al合金粉末)、純鉄粉のうち少なくとも1種以上が混合された2種類以上の混合粉でも良い。
軟磁性粉末の製造方法は問わない。粉砕法により作製されたものでも、アトマイズ法により作製されたものでも良い。アトマイズ法は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、水ガスアトマイズ法のいずれでも良い。水アトマイズ法は、現状、もっとも入手性が良く低コストである。水アトマイズ法を使用した場合は、その粒子形状がいびつであるので、それを加圧成形した粉末成形体の機械的強度を向上させやすい。
(無機絶縁粉末)
軟磁性粉末に混合する無機絶縁粉末としては、融点が1000℃以上の無機絶縁粉末であるアルミナ粉末、マグネシア粉末、シリカ粉末、チタニア粉末、ジルコニア粉末の少なくとも1種類以上であることが好ましい。融点が1000℃以上の無機絶縁粉末を使用するのは、後述の成形時に加わった圧力による歪みをとる目的で行う熱処理工程で加えられる熱により、無機絶縁粉末が焼結し圧粉磁心の材料として使用できなくなることを防止するためである。
無機絶縁粉末の比表面積は65〜130m/g(粒子径にすれば7nm〜200nm)が好ましく、より好ましくは100〜130m/g(粒子径で7nm〜50nm)である。無機絶縁粉末の比表面積が大きいほうが、粒子径が小さくなる。粒子径が小さいほうが、軟磁性粉末間に無機絶縁粉末が隙間なく入り込み、密度の高い絶縁層が形成され、圧粉磁心成形時の歪みが緩和される。一方、無機絶縁粉末の比表面積が大きすぎると、粒子径が小さくなりすぎて製造が困難となる。
無機絶縁粉末の添加量は、軟磁性粉末に対して0.5wt%〜2.0wt%とする。添加量が0.5wt%より少なければ絶縁性能が十分に発揮できず、高い熱処理温度では渦電流損失が著しく増加する場合がある。一方、添加量が2.0wt%より多いと絶縁性能は発揮できるが、成形密度が低くなり、渦電流損失以外の磁気特性が低下するという問題点が生じる場合がある。これらの問題が生じない場合は、無機絶縁粉末付着工程は必ずしも必要ではない。
(2)縮合リン酸金属塩混合工程
縮合リン酸金属塩混合工程では、表面に無機絶縁粉末が付着した軟磁性粉末に対し、縮合リン酸金属塩を添加し、混合する。この混合工程により、軟磁性粉末の外側の絶縁被膜に縮合リン酸金属塩が含有される。含有の態様としては、例えば、軟磁性粉末の表面に縮合リン酸金属塩が付着する。この縮合リン酸金属塩により、圧粉磁心の体積膨張を抑制する。すなわち、熱処理後におけるシリコーンオリゴマー及びシリコーンレジンからなる樹脂の膨張(スプリングバック)を抑制する。例えば、軟磁性粉末間に介在した縮合リン酸金属塩が加熱等を契機にした反応によって、分解及び構造変化により収縮し、その収縮力で軟磁性粉末間の距離を縮めると考えられる。
縮合リン酸金属塩の添加量は、軟磁性粉末に対して0.5wt%〜2.5wt%とすることが好ましい。添加量が0.5wt%より少ないと圧粉磁心の体積膨張抑制効果が少なく、添加量が2.5wt%より多いと、密度が低下することにより損失が増大する。換言すれば、縮合リン酸金属塩の添加量は、シリコーンオリゴマーとシリコーンレジンの総重量に対して、5.6wt%〜83wt%とすることが好ましい。この範囲とすることで、軟磁性材料からなる成形体又は圧粉磁心の体積膨張を抑制することができる。また、この体積膨張抑制効果の観点から、縮合リン酸金属塩の添加量は、軟磁性粉末に対して0.75wt%〜2.0wt%とすることが好ましく、軟磁性粉末に対して1.0wt%〜2.0wt%とすることがさらに好ましい。
縮合リン酸金属塩としては、縮合リン酸アルミニウムが適している。その中でも第一リン酸アルミを加熱して脱水反応させたトリポリリン酸アルミニウムやメタリン酸アルミニウム又はこれらの混合物が適している。特に、トリポリリン酸二水素アルミニウムが適している。縮合リン酸アルミニウムの平均粒子径が1.5μm〜6.0μmであるとさらに好ましい。他にも縮合リン酸カルシウムや縮合リン酸マグネシウムなども同様の効果がある。
縮合リン酸金属塩混合工程は、シリコーンオリゴマー層及びシリコーンレジン層の形成により必要な磁気特性が得られない程損失が増大しない場合には、必ずしも必要ではない。
(3)シリコーンオリゴマー層形成工程
シリコーンオリゴマー層形成工程では、少なくとも縮合リン酸金属塩が付着した軟磁性粉末に対し、シリコーンオリゴマーを所定量添加して、大気雰囲気中、所定の温度で乾燥を行う。シリコーンオリゴマー層形成工程により、軟磁性粉末の外側にシリコーンオリゴマー層が形成される。
(シリコーンオリゴマー)
シリコーンオリゴマーは、アルコキシシリル基を有し、反応性官能基を有さないメチル系、メチルフェニル系のものや、アルコキシシリル基及び反応性官能基を有するエポキシ系、エポキシメチル系、メルカプト系、メルカプトメチル系、アクリルメチル系、メタクリルメチル系、ビニルフェニル系のもの、アルコキシシリル基を有さずに、反応性官能基を有する脂環式エポキシ系のもの等を用いることができる。また、シリコーンオリゴマー層形成工程のしやすさを考慮して、粘度の比較的低いメチル系、メチルフェニル系を用いても良い。より具体的には、粘度の比較的低いシリコーンオリゴマーとして、下記の表1のシリコーンオリゴマーA〜Eを用いることができる。
Figure 2019151909
シリコーンオリゴマーの分子量は、100〜4000であることが好ましい。分子量が100より小さい場合、熱処理工程において熱分解により破壊または消失されやすく、軟磁性粉末間が絶縁破壊されやすい。例えば、Fe−Si合金粉末の周囲にシリコーンオリゴマー層を形成した場合、分子量が100より小さい場合、熱処理工程前はその膜厚分布が均一であっても、熱処理工程後はその膜厚分布にバラツキが生じていることが考えられる。一方、分子量が4000より大きい場合、膜厚が厚くなりすぎて、磁気特性が低下してしまう。換言すれば、シリコーンオリゴマーを有することで、軟磁性粉末間のギャップを保ち、透磁率低下に寄与し、低透磁率の圧粉磁心を得ることができる。
シリコーンオリゴマーの添加量は、軟磁性粉末に対して、2.0wt%〜5.0wt%であることが好ましく、3.5wt%以上であると、絶縁被膜が厚くなることで透磁率を低下させやすい。また、3.5wt%超5.0wt%以下であると更に好ましい。添加量が2.0wt%より少ないと、絶縁被膜として機能せず、渦電流損失が増加することにより損失が増大する。添加量が5.0wt%より多いと、圧粉磁心が膨張し、強度低下を招く。
シリコーンオリゴマー層の乾燥温度は、25℃〜350℃が好ましい。乾燥温度が25℃未満であると膜の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなり、損失が増大する。一方、乾燥温度350℃より大きいと粉末が酸化することによりヒステリシス損失が高くなり、損失が増大する。乾燥時間は、2時間程度である。
(4)シリコーンレジン層形成工程
シリコーンレジン層形成工程では、シリコーンオリゴマー層が形成された軟磁性粉末に対して、シリコーンレジンを所定量添加し、大気雰囲気中、所定の温度で乾燥させる。シリコーンレジン層形成工程により、シリコーンオリゴマー層の外側にシリコーンレジン層が形成される。
(シリコーンレジン)
シリコーンレジンはシロキサン結合(Si−O−Si)を主骨格に持つ樹脂である。シリコーンレジンを用いることで可撓性に優れた被膜を形成することができる。シリコーンレジンは、メチル系、メチルフェニル系、プロピルフェニル系、エポキシ樹脂変性系、アルキッド樹脂変性系、ポリエステル樹脂変性系、ゴム系等を用いることができる。この中でも特に、メチルフェニル系のシリコーンレジンを用いた場合、加熱減量が少なく、耐熱性に優れたシリコーンレジン層を形成することができる。
シリコーンレジンの添加量は、軟磁性粉末に対して、1.0wt%〜4.0wt%であることが好ましい。添加量が1.0wt%より少ないと絶縁被膜として機能せず、渦電流損失が増加することにより損失が増大する。添加量が4.0wt%より多いと圧粉磁心が膨張し、密度低下を招く。シリコーンオリゴマーに対するシリコーンレジンの添加量を適宜調整することで、強固で絶縁性能の高い絶縁被膜を形成することができ、特にシリコーンオリゴマーに対するシリコーンレジンの重量比が0.4〜1.4の場合に、強度と絶縁性能が優れている。また、シリコーンレジンは、潤滑性を有しており、潤滑剤の添加量を削減することができる。
シリコーンレジン層の乾燥温度は、100℃〜400℃が好ましい。乾燥温度が100℃より小さいと膜の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなり、損失の増大を招く。一方、乾燥温度400℃より大きいと粉末が酸化することによりヒステリシス損失が高くなり、損失の増大を招く。乾燥時間は、2時間程度である。
(5)潤滑剤混合工程
潤滑剤混合工程では、得られた軟磁性材料に対し、潤滑剤を添加し、混合する工程である。この混合工程により、絶縁被膜の最外表面、すなわちシリコーンレジン層の表面に潤滑剤が被覆される。潤滑剤として、ステアリン酸及びその金属塩ならびにエチレンビスステアラマイド、エチレンビスステアレートアミドなどのワックスが使用できる。潤滑剤を混合することにより、粉末同士の滑りを良くすることができるので、混合時の密度を向上させ成形密度を高くすることができる。さらに、成形時の上パンチの抜き圧低減、金型と粉末の接触によるコア壁面の縦筋の発生を防止することが可能である。潤滑剤の添加量は、軟磁性材料に対して、0.1wt%〜0.4wt%程度が好ましい。
(6)成形工程
成形工程では、表面に絶縁被膜が形成された軟磁性粉末を加圧成形することにより、成形体を形成する。成形時の圧力は10〜20ton/cmであり、平均で12〜15ton/cm程度が好ましい。
(7)熱処理工程
熱処理工程では、成形工程を経た成形体に対して、NガスやN+Hガスなどの非酸化性雰囲気中にて、750℃以上且つ軟磁性粉末に被覆した絶縁被膜が破壊される温度(例えば、850℃とする)以下で、熱処理を行うことで圧粉磁心が作製される。絶縁被膜が破壊される温度以下で熱処理を行うのは、成形工程での歪みを開放すると共に、熱処理時の熱により軟磁性粉末の周囲に被覆した絶縁被膜が破れることを防止するためである。一方、熱処理温度を上げ過ぎると、この軟磁性粉末に被覆した絶縁被膜が破れることにより、絶縁性能の劣化から渦電流損失が大きく増加してしまう。それにより、磁気特性が低下するという問題が発生する。
[2.作用・効果]
(1)本実施形態の軟磁性材料は、Fe−Si合金粉末と、Fe−Si合金粉末の表面を覆う絶縁被膜と、を有し、絶縁被膜が、シリコーンオリゴマーを含み構成され、Fe−Si合金粉末の外側を被覆するシリコーンオリゴマー層と、シリコーンレジンを含み構成され、シリコーンオリゴマー層の外側に形成されたシリコーンレジン層と、を有し、Fe−Si合金粉末は、Siの含有量をFe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%とし、シリコーンオリゴマーの添加量を、Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%とし、シリコーンレジンの添加量を、Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%とした。
これにより、低透磁率かつ低損失な圧粉磁心を得ることができる。すなわち、シリコーンオリゴマー層とシリコーンレジン層とにより、これらの層が熱処理工程における熱分解により破壊又は消失するのを抑制し、Fe−Si合金粉末間のギャップを確保し、透磁率を下げることができる。本明細書でいう「低透磁率」とは、初透磁率が35以下であることをいい、例えば、初透磁率が15〜35の範囲である。シリコーンオリゴマーの添加量を、Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%とし、シリコーンレジンの添加量を、Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%とすることで、低透磁率の圧粉磁心を得ることができる。
一方、シリコーンオリゴマー、シリコーンレジンをそれぞれ上記の添加量とすると、低透磁率にできるものの、損失が増大する場合がある。そのような場合であっても、Fe−Si合金粉末のSiの含有量を、Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%とすることにより、損失を低減させることができる。このように、本実施形態の軟磁性材料により、低透磁率かつ低損失な圧粉磁心を得ることができる。
(2)Fe−Si合金粉末のSiの含有量を、Fe−Si合金粉末に対して4.0wt%〜5.0wt%とした。これにより、更なる損失低減効果を得ることができる。
(3)Fe−Si合金粉末の平均粒子径を40μm〜80μmとした。これにより、損失低減効果を得ることができる。
(4)絶縁被覆は、縮合リン酸金属塩を含み形成されるようにした。これにより、樹脂の膨張(スプリングバック)による体積膨張を抑制することができる。特に、縮合リン酸金属塩の添加量を、Fe−Si合金粉末に対して0.5wt%〜2.5wt%とした。これにより、樹脂の膨張(スプリングバック)による体積膨張を効果的に抑制することができる。シリコーンオリゴマー、シリコーンレジンからなる樹脂量が多いと、圧粉磁心の強度が低下したり、樹脂がスプリングバックを起こし、圧粉磁心の体積が膨張したりする。これに対し、縮合リン酸金属塩層を設けることで、熱処理工程などの加熱等を契機にした反応によって、縮合リン酸金属塩の一部又は全部が分解及び構造変化して収縮し、その収縮力でFe−Si合金粉末間の距離を縮めることができる。その結果、体積膨張を抑制し、圧粉磁心の強度を向上させることができる。
縮合リン酸金属塩は、縮合リン酸アルミニウムを用いると、この体積膨張抑制効果が高く、その中でも、トリポリリン酸アルミニウム若しくはメタリン酸アルミニウムの単体、又はその両方の混合物を用いると、体積膨張抑制効果を更に向上させることができる。
(5)絶縁被覆は、最外表面に潤滑剤を有し、潤滑剤の添加量を、Fe−Si合金粉末に対して0.1wt%〜0.4wt%とした。これにより、製造コストを削減することができる。すなわち、シリコーンレジンが有する潤滑性が作用することから、潤滑剤の添加量を従来よりも減らすことができる。
本発明の実施例1〜15及び比較例1〜6を、表2〜4を参照して、以下に説明する。
[1.測定項目]
測定項目として、透磁率と損失を次のような手法により測定した。透磁率は、作製された圧粉磁心に1次巻線(30ターン)を施し、LCRメータ(アジレントテクノロジー:4284A)を使用することで、10kHz、1.0Vにおけるインダクタンスから算出した。
損失は、作製した圧粉磁心に1次巻線(30ターン)及び2次巻線(3ターン)を施し、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY−8218)を用いて、周波数10kHz、最大磁束密度Bm=0.1Tの条件下で損失(Pcv)を測定した。そして、損失からヒステリシス損失(Ph)と渦電流損失(Pe)を算出した。この算出は、損失の周波数曲線を次の(1)〜(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損係数(Kh)、渦電流損係数(Ke)を算出することで行った。
Pcv=Kh×f+Ke×f…(1)
Ph=Kh×f…(2)
Pe=Ke×f…(3)
Pcv:損失
Kh:ヒステリシス損係数
Ke:渦電流損係数
f:周波数
Ph:ヒステリシス損失
Pe:渦電流損失
本実施例において、各粉末の平均粒子径と円形度は、下記装置を用いて3000個の平均値をとったものであり、ガラス基板上に粉末を分散して、顕微鏡で粉末写真を撮り一個毎自動で画像から測定した。
会社名:Malvern
装置名:morphologi G3S
比表面積は、BET法により測定した。
[2.Fe−Si合金粉末のSi含有量]
軟磁性粉末としてFe−Si合金粉末を使用し、Siの含有量を変えることで、実施例1〜3、比較例1,2のサンプルとなる圧粉磁心を作製した。
(実施例1)
実施例1の圧粉磁心は、下記のように作製した。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き106μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を65.7μmとした。
(2)作製したFe−Si合金粉末に対して、比表面積が100m/gのアルミナ粉末を1.0wt%混合した。
(3)さらに、トリポリリン酸アルミニウムを、Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%添加し、混合した。
(4)アルミナ粉末及びトリポリリン酸アルミニウムが混合されたFe−Si合金粉末に対して、表1のAと同じメチル系のシリコーンオリゴマーを2.5wt%添加して混合し、200℃で2時間の加熱乾燥を行った。
(5)乾燥させた粉末に対してメチルフェニル系シリコーンレジン(品名:TSR−108)を1.6wt%混合して、大気雰囲気中、150℃で2時間の加熱乾燥を行った。
(6)加熱乾燥後に生じた塊を解砕する目的で目開き850μmの篩通しを行った。その後、潤滑剤としてエチレンビスステアラマイドを0.3wt%を混合した。
(7)上記工程により絶縁被膜が形成されたFe−Si合金粉末を、外径16.5mm、内径11mm、高さ5.7mmのトロイダル形状の容器に充填し、成形圧力12ton/cmで成形体を作製した。
(8)最後に、成形体を850℃の熱処理温度で窒素雰囲気中にて2時間熱処理を行い、圧粉磁心を作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.98、Si含有量を3.01wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き106μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を80.0μmとした。
(比較例2)
比較例2は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.99、Si含有量を6.62wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き106μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を50.0μmとした。
(実施例2)
実施例2は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.99、Si含有量を4.08wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き106μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を60.9μmとした。
(実施例3)
実施例3は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.99、Si含有量を4.14wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き75μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を47.3μmとした。
表2に、実施例1〜3及び比較例1,2の透磁率、損失の算出結果を示す。
Figure 2019151909
表2に示すように、実施例1〜3、比較例1,2のいずれも透磁率が35以下になっており、低透磁率の特性を得られた。表2の「透磁率」の項目の「○」は、透磁率が35以下であることを示す。
また、実施例1〜3は、比較例1、2と比べて損失が低減していることが確認できる。すなわち、比較例1,2の損失が136.6、134.1(kW/m)であるの対し、実施例1の損失が115.5(kW/m)であり、実施例1は損失が比較例1と比べて約84.6%、比較例2と比べて約86.1%となった。また、実施例2は、損失が比較例1と比べて約84.2%、比較例2と比べて約85.7%となり、実施例3は、損失が比較例1と比べて約79.8%、比較例2と比べて約81.3%となった。従って、Siの含有量が3.5wt%〜5.5wt%の範囲にある実施例1〜3が、当該範囲外の比較例1、2よりも低損失であることが分かる。
[3.Fe−Si合金粉末の平均粒子径]
軟磁性粉末としてFe−Si合金粉末を使用し、Siの各含有量3.01,4.32,6.62wt%において、篩の目開きを変えることで、異なる平均粒子径の実施例1、4〜8及び比較例1〜6のサンプルとなる圧粉磁心を作製した。
また、軟磁性粉末としてFe−Si合金粉末を使用し、Siの各含有量4.14,4.08wt%において、篩の目開きを変えることで、異なる平均粒子径の実施例2、3のサンプルとなる圧粉磁心を作製した。実施例1〜3及び比較例1,2は、上記と同じであるので、説明は省略する。
(実施例4)
実施例4は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き45μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を35.7μmとした。
(実施例5)
実施例4は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き63μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を32.2μmとした。
(実施例6)
実施例6は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き75μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を51.0μmとした。
(比較例3)
比較例3は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.98、Si含有量を3.01wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き75μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を56.0μmとした。
(比較例4)
比較例4は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.99、Si含有量を6.62wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き75μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を45.0μmとした。
(実施例7)
実施例7は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き150μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を74.0μmとした。
(比較例5)
比較例5は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.98、Si含有量を3.01wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き150μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を100.0μmとした。
(比較例6)
比較例6は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.99、Si含有量を6.62wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き150μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を60.0μmとした。
(実施例8)
実施例8は、実施例1の上記(1)の工程を下記の工程とし、続いて上記(2)〜(8)と同じ工程を順に行った。
(1)平均円形度0.95、Si含有量を4.32wt%とするFe−Si合金粉末からなる軟磁性粉末をガスアトマイズ法で作製した。その後、目開き250μmの篩で篩通しを行い、平均粒子径(D50)を83.2μmとした。
表3に、実施例1〜8及び比較例1〜6の透磁率、損失の算出結果を示す。
Figure 2019151909
表3に示すように、実施例1〜8及び比較例1〜6のいずれも透磁率が35以下になっており、低透磁率の特性を得られた。表3の「透磁率」の項目の「○」は、透磁率が35以下であることを示す。
また、表3に示すように、各目開きにおいて、Si含有量が4.32wt%の実施例6〜8が、Si含有量が3.01wt%の比較例3,5及び6.62wt%の比較例4,6のいずれと比較しても損失が低減していることが分かる。また、Si含有量が4.32wt%と異なり、それぞれ4.08wt%、4.14wt%である実施例2、3は、目開きが同じ比較例1,2、比較例3,4と比較しても損失が低減していることが分かる。従って、Siの含有量が3.5wt%〜5.5wt%の範囲にあることで、平均粒子径に依らず、損失低減効果があることが確認できる。
また、実施例1〜8は、比較例1〜6のいずれと比較しても損失が低減していることが確認でき、その中でも、実施例1,2,3,6,7の平均粒子径は、65.7μm、60.9μm、47.3μm、51.0μm、74.0μmであり、いずれも40μm〜80μmの範囲内であり、この範囲とすることで損失を低減することができる。
さらに、Si含有量が3.5wt%〜5.5wt%の範囲の中でも、より好ましくは平均粒子径が47.3μm〜74.0μm、更に好ましくは47.3μm〜65.7μmとすることで、損失低減効果が顕著になることが確認できる。
[4.縮合リン酸金属塩の添加量]
軟磁性粉末としてFe−Si合金粉末を使用し、縮合リン酸金属塩の添加量を変えることで、実施例1、9〜13のサンプルとなる圧粉磁心を作製した。実施例1は、上記と同じであるので、説明は省略する。
(実施例9〜15)
実施例9〜15は、実施例1の上記(4)の工程において、トリポリリン酸アルミニウムの添加量を0wt%、0.50wt%、0.75wt%、1.50wt%、2.00wt%、2.50wt%、3.00wt%とした以外は、実施例1と同じ工程を順に行った。
作製した実施例1、9〜15のトロイダル形状の圧粉磁心の密度比及び外形寸法の測定を行った。その結果を表4及び図2に示す。密度比は、添加量が1.00wt%の実施例1を基準として算定した。
Figure 2019151909
表4及び図2から明らかなように、縮合リン酸金属塩を添加していない実施例9よりも、縮合リン酸金属塩を添加した実施例1,10〜15の方が密度が高くなることが分かる。言い換えると、Fe−Si合金粉末以外のものを添加すると密度低下を招くとの予想に反し、縮合リン酸金属塩の添加により高密度となる結果となった。また、外形寸法結果からも、実施例9よりも実施例1,10〜15の方が外形寸法が小さくなることが分かる。言い換えると、Fe−Si合金粉末以外のものを添加すると密度低下を招くとの予想に反し、縮合リン酸金属塩の添加により外形寸法が小型化する結果となった。
このように、縮合リン酸金属塩を添加すると、重量が増えるにも関わらず、高密度且つ小型化していることから、縮合リン酸金属塩の添加による圧粉磁心の体積抑制効果が確認できる。縮合リン酸金属塩の添加量の中でも、軟磁性粉末に対して0.5wt%〜2.5wt%とすることが好ましい。この範囲とすることで、密度比が0.99以上となり、外形寸法が16.55以下となって好ましい。添加量が0.5wt%より少ないと圧粉磁心の体積膨張抑制効果が少なく、添加量が2.5wt%より多いと、密度が低下することにより損失が増大するからである。より好ましくは0.75wt%〜2.0wt%であり、更に好ましくは1.0wt%〜2.0wt%である。体積膨張抑制効果と低損失が両立できるからである。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。

Claims (18)

  1. Fe−Si合金粉末と、
    前記Fe−Si合金粉末の表面を覆う絶縁被膜と、
    を有し、
    前記絶縁被膜が、
    シリコーンオリゴマーを含み構成され、前記Fe−Si合金粉末の外側を被覆するシリコーンオリゴマー層と、
    シリコーンレジンを含み構成され、前記シリコーンオリゴマー層の外側に形成されたシリコーンレジン層と、
    を有し、
    前記Fe−Si合金粉末は、Siの含有量が前記Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であり、
    前記シリコーンオリゴマーの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、
    前記シリコーンレジンの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%であること、
    を特徴とする軟磁性材料。
  2. 前記Siの含有量が前記Fe−Si合金粉末に対して4.0wt%〜5.0wt%であること、
    を特徴とする請求項1記載の軟磁性材料。
  3. 前記Fe−Si合金粉末の平均粒子径が40μm〜80μmであること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の軟磁性材料。
  4. 前記絶縁被覆は、縮合リン酸金属塩を含み形成されたこと、
    を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の軟磁性材料。
  5. 前記縮合リン酸金属塩の添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して0.5wt%〜2.5wt%であること、
    を特徴とする請求項4記載の軟磁性材料。
  6. 前記縮合リン酸金属塩が、縮合リン酸アルミニウムであること、
    を特徴とする請求項4又は5記載の軟磁性材料。
  7. 前記縮合リン酸アルミニウムが、トリポリリン酸アルミニウム若しくはメタリン酸アルミニウムの単体、又はその両方の混合物であること、
    を特徴とする請求項6記載の軟磁性粉末。
  8. 前記絶縁被覆は、最外表面に潤滑剤を有し、
    前記潤滑剤の添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して0.1wt%〜0.4wt%であること、
    を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の軟磁性材料。
  9. 前記シリコーンオリゴマーの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%超5.0wt%以下であること、
    を特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の軟磁性材料。
  10. 前記シリコーンレジンの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して1.5wt%超4.0wt%以下であること、
    を特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の軟磁性材料。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の軟磁性材料を使用した圧粉磁心。
  12. Fe−Si合金粉末とシリコーンオリゴマーとを混合し、乾燥させ、シリコーンオリゴマー層を形成するシリコーンオリゴマー層形成工程と、
    前記シリコーンオリゴマー層が形成された前記Fe−Si合金粉末にシリコーンレジンを混合し、乾燥させ、シリコーンレジン層を形成するシリコーンレジン層形成工程と、
    前記各工程を経た前記Fe−Si合金粉末を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形工程を経た成形体を750℃以上で熱処理する熱処理工程と、
    を有し、
    前記Fe−Si合金粉末は、Siの含有量が前記Fe−Si合金粉末に対して3.5wt%〜5.5wt%であり、
    前記シリコーンオリゴマーの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、
    前記シリコーンレジンの添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して1.0wt%〜4.0wt%であること、
    を特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  13. 前記Fe−Si合金粉末の平均粒子径が40μm〜80μmであること、
    を特徴とする請求項12記載の圧粉磁心の製造方法。
  14. 前記Fe−Si合金粉末と縮合リン酸金属塩とを混合する縮合リン酸金属塩混合工程を有すること、
    を特徴とする請求項12又は13記載の圧粉磁心の製造方法。
  15. 前記縮合リン酸金属塩の添加量が、前記Fe−Si合金粉末に対して0.5〜2.5wt%であること、
    を特徴とする請求項14記載の圧粉磁心の製造方法。
  16. 前記縮合リン酸金属塩が、縮合リン酸アルミニウムであること、
    を特徴とする請求項14又は15記載の圧粉磁心の製造方法。
  17. 前記縮合リン酸アルミニウムが、トリポリリン酸アルミニウム若しくはメタリン酸アルミニウムの単体、又はその両方の混合物であること、
    を特徴とする請求項16記載の圧粉磁心の製造方法。
  18. 前記成形工程前に、前記各工程を経た前記Fe−Si合金粉末に対して0.1wt%〜0.4wt%の潤滑剤を添加して混合する潤滑剤混合工程を有すること、
    を特徴とする請求項12〜17の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
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