JP6545734B2 - 複合磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法 - Google Patents

複合磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性粉末と樹脂からなる複合磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法に関する。
OA機器、太陽光発電システム、自動車、無停電電源など様々な用途にリアクトルが用いられている。リアクトルは、例えば、出力系への高調波電流の流出を防止するフィルタや、電圧を昇降させる電圧昇降用コンバータなどに用いられる。
リアクトルには、用途に合わせて透磁率、インダクタンス値、鉄損などの磁気特性が求められる。例えば、電圧昇降用のコンバータに用いられるリアクトルは、エネルギー変換効率の向上が求められるため、エネルギー損失である鉄損が小さいことが求められる。
また、様々な用途に対応するため、リアクトルに用いられるコアを任意の形状に成型したいという要望もある。このような要望に応えるリアクトルとして、メタルコンポジットコアと呼ばれるタイプのコアを備えたものがある。
メタルコンポジットコア(以下、単にMCコアともいう。)は、金属磁性粉末と樹脂とを混ぜた材料を所定形状に成型して固化させてなるコアである。従来のMCコアは、その材料がスラリー状であり、容器に当該材料を流し込みやすく、所定の形状を形成できる成型性に利点がある。
特開2012− 33727号公報
MCコアは、フラットな磁気特性を有している。すなわち、MCコアは、フェライトコアに比べて磁気飽和しにくく、コイルに流す電流を増大させても、透磁率が低下しにくい特性がある。つまり、言い換えると、MCコアは、初透磁率、すなわち、コイルに電流を流していない時の透磁率が低い傾向にあるという特性がある。このような優れた特性を有するMCコアであるが、近年更なる磁気特性の向上が期待されている。
本発明の目的は、高い磁気特性を有する複合磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のメタルコンポジットコアの製造方法は磁性粉末及び樹脂を含むメタルコンポジットコアの製造方法であって、前記磁性粉末は、所定の平均粒子径の第1の磁性粉末と、平均粒子径が前記第1の磁性粉末より小さい第2の磁性粉末と、を含み、前記磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%のチタンオリゴマーを添加し、前記磁性粉末に絶縁被膜を形成する被覆工程と、前記磁性粉末に対して前記樹脂を混合する混合工程と、前記混合工程で得た混合物を所定の容器に入れて成型する成型工程と、前記成型工程で得た成型体中の前記樹脂を硬化させる硬化工程と、を備えること、を特徴とする。
また、本発明のメタルコンポジットコアは、磁性粉末及び樹脂を備えるメタルコンポジットコアであって、前記磁性粉末は、平均粒子径が100〜200μmの第1の磁性粉末と、平均粒子径が5〜10μmの第2の磁性粉末と、を含み、前記第1の磁性粉末は、チタンオリゴマー由来の絶縁被膜で覆われていることを特徴とする。
さらに、本発明の磁性粉末材料は、磁性粉末及び樹脂を備える複合磁性粉末材料であって、前記磁性粉末は、平均粒子径が100〜200μmの第1の磁性粉末と、平均粒子径が5〜10μmの第2の磁性粉末と、を含み、前記第1の磁性粉末は、前記磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%のチタンオリゴマーを添加して形成した絶縁被膜で覆われていることを特徴とする。
本発明によれば、渦電流損失を低減した優れた磁気特性の磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法を提供することができる。
実施形態に係るメタルコンポジットコアの製造方法を説明するためのフローチャートである。 成型工程及び加圧工程を説明するための図である。 第1の特性比較におけるチタンオリゴマーの添加量と鉄損Pcvの関係を示すグラフである。 第1の特性比較におけるチタンオリゴマーの添加量と、初透磁率μ0及び密度との関係を示すグラフである。 第1の特性比較における比較例1のSEM像(×500)である。
[1.実施形態]
[1−1.構成]
本実施形態の磁性粉末材料は、磁性粉末と樹脂とを含み構成される。磁性粉末材料に含まれる磁性粉末として平均粒子径の異なる2種類の磁性粉末を使用する。磁性粉末のうち平均粒子径の大きいほうの粉末の周囲に、チタンオリゴマー由来の絶縁被膜を形成しておく。そして、2種類の磁性粉末と樹脂とを混合すること粘土状の磁性粉末材料を得る。また、本実施形態のメタルコンポジットコアは、粘土状の磁性粉末材料を、所定の容器に充填し、加圧することでコアを所定の形状とする。コアの形状は、例えば、トロイダル状コア、I型コア、U型コア、θ型コア、E型コア、EER型コアなど、種々の形状とすることができる。
(磁性粉末)
磁性粉末は、平均粒子径の異なる2種類の磁性粉末から構成する。磁性粉末は、第1の磁性粉末と、第1の磁性粉末より平均粒子径の小さい第2の磁性粉末とから構成される。第1の磁性粉末及び第2の磁性粉末の重量比率は、第1の磁性粉末:第2の磁性粉末=80:20〜60:40とすることが好ましい。この範囲とすることで密度が向上し、透磁率も向上するともに、鉄損を小さくすることができる。
第1の磁性粉末の平均粒子径は100μm〜200μm、第2の磁性粉末は、5μm〜10μmが好ましい。平均粒子径の異なる2種類の磁性粉末を混合することで、第1の磁性粉末同士の隙間に平均粒子径の小さい第2の磁性粉末が入り込むことになる。これにより、密度及び透磁率の向上と低鉄損化を図ることができる。
第1の磁性粉末及び第2の磁性粉末としては、軟磁性粉末が使用でき、特に、Fe粉末、Fe−Si合金粉末、Fe−Al合金粉末、Fe−Si−Al合金粉末(センダスト)、又はこれら2種以上の粉末の混合粉などが使用できる。Fe−Si合金粉末としては、例えば、Fe−6.5%Si合金粉末、Fe−3.5%Si合金粉末を使用できる。軟磁性粉末の平均粒子径(D50)は20μm〜150μmが好ましい。なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りがない限り、D50、すなわちメジアン径を指すものとする。
第1の磁性粉末及び第2の磁性粉末は、球形であることが好ましい。第1の磁性粉末の円形度は、0.90以上であり、第2の磁性粉末の円形度は、0.94以上であることが好ましい。第1の磁性粉末同士の隙間が少なくなり、かつ、当該隙間により多くの第2の磁性粉末が入り込み易くなり、密度及び透磁率の向上を図ることができるからである
なお、第1の磁性粉末と第2の磁性粉末の種類は同じでも良いし、異なっていても良い。異なる場合は3種以上であっても良い。
第1の磁性粉末は、粉砕粉や、ガスアトマイズ法により製造された粉末を用いることが好ましい。また、加工により平坦化処理を施すことにより、球形に近づけても良い。また、第2の磁性粉末は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、水・ガスアトマイズ法により製造されるものが好ましい。
(絶縁被膜)
コアを成型する第1の磁性粉末は、絶縁性を有する絶縁被膜で覆われる。絶縁被膜は、チタンオリゴマー由来の被膜である。絶縁被膜の厚さは、10nm〜100nmであることが好ましい。チタンオリゴマーを磁性粉末に対して被覆させることで、10nm〜100nmの絶縁被膜を形成することが可能となる。絶縁被膜は、チタンオリゴマーが固化することで形成され、酸化チタンが含まれる。使用するチタンオリゴマーとしては、チタン含有量が6.7wt%のチタンオリゴマーを使用する。また、チタンオリゴマーの添加量は、第1の磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%の範囲が好ましい。所定のチタン含有量のチタンオリゴマーを所定量添加することで、第1の磁性粉末の周囲に10nm〜100nmの絶縁被膜を形成することが可能となる。一方、チタンオリゴマーの添加量が0.25wt%未満になると、絶縁被膜の厚さが10nmより薄くなるため渦電流損失(Pe)の低減効果が低い。チタンオリゴマーの添加量が、1.0wt%超になると絶縁被膜の厚さが100nmより厚くなり、渦電流損失(Pe)を低減することは可能であるが、MCコアの密度が低下し、MCコアの磁気特性に悪影響を与える。磁気特性の悪化とは、例えば、Phの増加、初透磁率μ0の低下である。
(樹脂)
樹脂は、磁性粉末と混合し、混合した磁性粉末を保持する。磁性粉末が平均粒子径の異なる種類の粉末で構成される場合、各粉末を均質に混合した状態で保持する。樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂が使用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系の樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミドやフッ素樹脂などの耐熱性に優れた樹脂を使用することが好ましい。硬化剤を添加することにより硬化するエポキシ樹脂は、硬化剤の添加量などによってその粘度を調整できることから、本発明に適している。熱可塑性のアクリル樹脂やシリコーン樹脂も使用可能である。
樹脂は、磁性粉末に対して3〜5wt%含有されていることが好ましい。樹脂の含有量が3wt%より少ないと、磁性粉末の接合力が不足し、コアの機械的強度が低下する。また、樹脂の含有量が5wt%より多いと、第1の磁性粉末間に形成された樹脂が入り込み、その隙間を第2の磁性粉末が埋めることができなくなるなど、コアの密度が低下し、初透磁率μ0が低下する。
樹脂の粘度は、磁性粉末との混合時において50〜5000mPa・sであることが好ましい。粘度が50mPa・s未満であると、混合時において樹脂が磁性粉末に絡みつくことがなく、容器内で磁性粉末と樹脂とが分離しやすくなり、コアの密度又は強度にバラツキが生じる。粘度が5000mPa・sを超えると、粘度が高くなりすぎ、例えば、第1の磁性粉末間に形成された樹脂が入り込み、その隙間を第2の磁性粉末が埋めることができなくなるなど、コアの密度が低下し、初透磁率μ0が低下する。
樹脂には、粘度調整材料として、SiO、Al、Fe、BN、AlN、ZnO、TiOなどを使用することができる。粘度調整材料としてのフィラーの平均粒子径は、第2の磁性粉末の平均粒子径以下、好ましくは第2の磁性粉末の平均粒子径の1/3以下が良い。フィラーの平均粒子径が大きいと、得られたコアの密度が低下するからである。また、樹脂には、Al、BN、AlNなどの高熱伝導率材料を添加することができる。
コアの見かけ密度の、磁性粉末の真密度に対する割合は、76.47%超であることが好ましく、77.5%以上であると更に好ましい。当該割合が76.47%超であると、透磁率を高くすることができる。逆に、当該割合が76.47%以下であると、低密度により低透磁率となる。
(コイル)
コイルは、絶縁被覆が施された導線であり、線材として銅線やアルミニウム線を用いることができる。コイルは、コアの少なくとも一部に導線が巻き回されて形成され或いは装着されており、コアの少なくとも一部の周囲に配置される。コイルの巻き方や線材の材料、形状は特に限定されない。
[1−2.メタルコンポジットコアの製造方法]
本実施形態に係るメタルコンポジットコアの製造方法について、図面を参照しつつ説明する。本メタルコンポジットコアの製造方法は、図1に示すように、(1)被覆工程、(2)混合工程、(3)成型工程、(4)加圧工程、及び(5)硬化工程を備える。
(1) 被覆工程
被覆工程は、磁性粉末を被覆する被覆工程である。被覆工程では、チタンオリゴマー由来の絶縁被膜により、少なくとも第1の磁性粉末を被覆する。被覆工程では、第1の磁性粉末とチタンオリゴマーとを混合し、乾燥することで、第1の磁性粉末の周囲に酸化チタンを含む被膜を形成する。被覆工程においては、所定の混合器を用いて自動で、又は手動で行うことができる。各被覆工程の混合時間は、適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば2分間とする。また、被覆工程における乾燥温度及び時間は、酸化チタンを含む被覆が形成するに必要な温度及び時間であれば、適宜設定することができる。被覆工程を経ることで、第1の磁性粉末の周囲にチタンオリゴマー由来の酸化チタンを含む絶縁被膜が形成される。
(2) 混合工程
混合工程は、磁性粉末と樹脂とを混合する工程である。混合工程は、第1の磁性粉末と、第1の磁性粉末より平均粒子径の小さい第2の磁性粉末とを混合し、磁性粉末を構成する磁性粉混合工程と、磁性粉末に対して3〜5wt%の樹脂を添加し、磁性粉末と樹脂とを混合する樹脂混合工程とを有する。
各混合工程の混合は、所定の混合器を用いて自動で、又は手動で行うことができる。各混合工程の混合時間は、適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば2分間とする。
このような混合工程により、磁性粉末と樹脂との混合物(以下、複合磁性材料ともいう)を得ることができる。なお、混合工程は、成型工程において複合磁性材料を成型するための容器に、磁性粉末と樹脂とを充填して混合しても良い。これにより、複合磁性材料を容器に移し替える必要がなく、製造工数を削減することができる。
(3) 成型工程
成型工程は、複合磁性粉末を所定形状の容器に入れて所定の形状に成型する工程である。成型工程では、複合磁性粉末とともにコイルを入れて成型しても良い。
容器としては、製造するコアの形状に合わせて各種の形状のものを使用する。コイルを入れる場合には、容器は、上方からコイルを挿入できるよう、上面開口型の箱型や皿形の容器を使用する。成型工程で使用する容器は、そのままコアとコイルとを収容するメタルコンポジットコアの外装ケースとして使用することもできる。当該容器を外装ケースとして使用すれば、複合磁性粉末の硬化後に容器を取り出す必要がない利点がある。容器を外装ケースとして使用しない場合には、1つの容器で複数のメタルコンポジットコアを製造するようにしても良い。すなわち、容器の底部に複数の凹部を形成しておき、当該凹部に複合磁性材料及びコイルを入れることにより、複数のメタルコンポジットコアを製造するようにしても良い。このようにすることで、複数のメタルコンポジットコアに対し、一度の成型工程で済むので、製造効率を向上させることができる。
成型工程に使用する容器としては、その全部又は一部を樹脂成型品によって構成することができる。容器を樹脂製にすることにより、製造コストを削減することができ、かつ、MCコアの任意の形状とできる利点を活かすことができる。すなわち、樹脂は、比較安価な材料であるため、容器を製造するコストを抑えることができるとともに、射出成型等により、任意の形状のコアを形成することができる。
また、容器の全部又は一部を、アルミニウム、マグネシウムなどの熱伝導性の高い金属で構成しても良い。後述するように、加圧工程において複合磁性材料を温めやすくなるからである。
(4) 加圧工程
加圧工程は、成型工程時に、複合磁性材料を押圧部材で押圧する工程である。容器に入れられた粘土状の複合磁性材料を、押圧部材で押圧することにより、容器の形状に複合磁性材料を押し広げるとともに、複合磁性材料に含まれていた空隙を減少させ、見かけ密度、及び初透磁率を向上させる。
容器にコイルを入れない場合は、当該工程により、複合磁性材料が容器内部の形状となる。すなわち、複合磁性材料から構成された所定の形状の成型体を得ることができる。
容器にコイルを入れる場合は、図2に示すように、容器内に複合磁性材料を入れて、押圧部材により容器の形状に複合磁性材料を押し広げる。その後、複合磁性材料を押圧したことによりできたスペースにコイルを挿入し、さらに複合磁性材料を充填し、コイルとともに複合磁性材料を押圧部材により上から押圧する。或いは、容器内に複合磁性材料を入れ、その後、コイルを当該複合磁性材料に埋設し、コイルとともに複合磁性材料を上から押圧するようにしても良い。このように、コイルとともに複合磁性材料を押圧することにより、複合磁性材料に含まれていた空隙を減少させ、見かけ密度及び透磁率を向上させることができる。なお、コイルが存在する部分は避けて、複合磁性材料のみを押圧するようにしても良い。このように、当該工程により、コイルを含んだ所定形状の複合磁性材料の成型体を得ることができる。
このように、加圧工程は、複合磁性材料を押圧部材で押圧して、当該材料を容器の形状としても良く、この場合は、加圧工程を、加圧工程及び成型工程と捉えることができる。
複合磁性材料を押圧する圧力は、2.0kg/cm以上であることが好ましい。この値未満であれば、押圧する圧力が小さく、見かけ密度を向上させる効果が小さい。また、当該値以上であっても、10.0kg/cm以下であることが好ましい。この値を超えて押圧しても、見かけ密度を向上させる効果が小さいからである。
複合磁性材料を押圧する時間は、樹脂の含有量や粘性によって適宜変更することができる。例えば、10秒とすることができる。
加圧工程は、容器又は複合磁性材料を押圧する押圧部材を常温(例えば25℃)よりも高い温度にして行っても良い。容器又は押圧部材の温度を上げることにより、樹脂が温められ、柔らかくなる。そのため、容器内の隙間に複合磁性材料が流れ込み易くなり、成型性を向上させることができるとともに、複合磁性材料中の空隙に当該材料が流れ込み易くなり、見かけ密度を向上させることができる。容器又は複合磁性材料を押圧する押圧部材の温度は、複合磁性材料に含まれる樹脂の軟化点より高くすると良い。効果的に樹脂を柔らかくすることができるからである。加圧工程は、容器又は複合磁性材料を押圧する押圧部材の温度を保持したまま行っても良い。
また、加圧工程は、容器又は押圧部材の温度を上げておく他、複合磁性材料自体を温めておいて当該複合磁性材料を押圧するようにしても良い。容器又は複合磁性材料を押圧する押圧部材の温度を保持し、かつ、複合磁性材料自体を温めておいて押圧するようにしても良い。
(5) 硬化工程
硬化工程は、成型工程で得た成型体中の樹脂を硬化させる工程である。成型体中の樹脂の乾燥により硬化させる場合、乾燥雰囲気は、大気雰囲気とすることができる。硬化工程では、樹脂の乾燥状態に基づいて乾燥温度及び時間を制御する乾燥プロファイルにより、樹脂を硬化させる。乾燥時間は、樹脂の種類、含有量、乾燥温度等に応じて適宜変更可能であるが、例えば、1時間〜4時間とすることができるが、これに限定されない。乾燥温度は、樹脂の種類、含有量、乾燥時間等に応じて適宜変更可能であるが、例えば、85℃〜150℃とすることができるが、これに限定されない。なお、乾燥温度は、乾燥雰囲気の温度である。
また、樹脂の硬化は、乾燥に限られず、樹脂の種類によって硬化方法は異なる。例えば、樹脂が熱硬化性樹脂であれば、熱を加えることにより樹脂を交差させ、樹脂が紫外線硬化性樹脂であれば、成型体に紫外線を照射させることで樹脂を硬化させる。
硬化工程は、所定の温度で所定時間成型体を硬化させる工程を複数回繰り返しても良い。また、例えば、樹脂の乾燥により硬化させる場合、複数回繰り返す毎に、乾燥温度又は乾燥時間を異ならせても良い。
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態のメタルコンポジットコアの製造方法は、磁性粉末及び樹脂を含むコアと、コアに装着されたコイルとを備えたメタルコンポジットコアの製造方法であって、磁性粉末は、所定の平均粒子径の第1の磁性粉末と、平均粒子径が第1の磁性粉末より小さい第2の磁性粉末と、からなる。この磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%のチタンオリゴマーを添加し、前記磁性粉末に酸化チタンを含む絶縁被膜を形成する被覆工程と、前記磁性粉末に対して前記樹脂を混合する混合工程と、前記混合工程で得た混合物を所定の容器に入れて成型する成型工程と、前記成型工程で得た成型体中の前記樹脂を硬化させる硬化工程と、を備えるようにした。
(粉末同士の接触の抑制)
これにより、渦電流損失を低減した優れた磁気特性のメタルコンポジットコアを得ることができる。MCコアにおいては、成型工程や加圧工程で、磁性粉末に対して応力が加えられる。この応力により、磁性粉末同士が接触する可能性がある。軟磁性粉末の表面をチタンオリゴマー由来の酸化チタンを含む絶縁被膜で被覆することにより、軟磁性粉末同士の接触を抑制することができる。軟磁性粉末の大きさに応じた渦電流が発生するため、軟磁性粉末同士が接触することで、より大きな渦電流が発生する。これは、軟磁性粉末の種類は問われない。また、接触する磁性粉末の数も限らない。つまり、複数の磁性粉末が接触することで、より大きな渦電流が発生する可能性がある。本実施形態のメタルコンポジットコアにおいては、絶縁被膜により磁性粉末同士の接触を抑制することで大きな渦電流の発生を抑制することが可能となる。この絶縁被膜による渦電流損失抑制の効果は、第1の磁性粉末のみを絶縁被膜で覆った場合に限られない。すなわち、第1の磁性粉末と第2の磁性粉末共に絶縁被膜で覆った場合も渦電流損失抑制される。また、効果は限定的ではあるが、第2の磁性粉末のみを絶縁被膜で覆った場合にも渦電流損失の抑制効果は期待することができる。一方、MCコアの製造においては、チタンオリゴマーや、樹脂の割合が増えるに従って、その密度が低下する。
(チタンオリゴマー)
本実施形態の磁性粉末の周囲に形成される絶縁被膜は、チタンオリゴマー由来の酸化チタンを含む。MCコアにおける被覆工程では、チタンオリゴマーを使用することにより、磁性粉末の周囲に10〜100nmの絶縁被膜を形成することができる。これにより、密度の低下を抑制しつつMCコアの渦電流損失の抑制することが可能となる。チタンオリゴマーは、成膜性が良い。そのため、被覆工程において、磁性粉末の表面をチタンオリゴマーで覆う際のボイドの発生を抑制することができる。また、チタンオリゴマーは、分解しにくいため、チタンオリゴマーが分解することによるボイドの発生も抑制することができる。さらに、形成した絶縁被膜は、安定した金属であるチタンの酸化物被膜で形成される。それ故に、強度と耐性のある絶縁被膜となる。
(2)本実施形態の被覆工程では、第1の磁性粉末とチタンオリゴマーとを混合し、第1の磁性粉末に酸化チタンを含む絶縁被膜を形成する。MCコアでは、磁性粉末の大きさに応じた渦電流が発生する。平均粒子径の大きな第1の磁性粉末では、大きな渦電流が発生し、MCコアにおける渦電流損失に対して優位的な影響をあたえる。この第1の磁性粉末同士が接触すると、より大きな渦電流が発生し、MCコアにおける渦電流損失に対して悪影響を与える。本実施形態によれば、第1の磁性粉末の周囲を絶縁被膜で覆う。これにより、第1の磁性粉末同士が接触することを抑制することができ、接触した第1の磁性粉末による大きな渦電流の発生を抑制することが可能となり、低渦電流損失のMCコアを実現することができる。
(3)磁性粉末は、第1の磁性粉末と、第1の磁性粉末より平均粒子径の小さい第2の磁性粉末とが混合されてなり、磁性粉末における第1の磁性粉末の添加量が70wt%、第2の磁性粉末が30wt%とした。これにより、第1の磁性粉末同士の隙間に第2の磁性粉末が入り込み、密度及び透磁率の向上と低鉄損化を図ることができる。
(4)樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を利用することが可能であるが、特に耐熱性の良い樹脂を利用することが好ましい。エポキシ樹脂などの耐熱性の高い樹脂を利用することで、耐熱性の良いMCコアを作製することが可能となる。
(5)成型工程時に、前記混合物を押圧する加圧工程を備えるようにした。これにより、コアの密度を向上させることができる。また、加圧工程における加圧圧力は、2.0〜10.0kg/cmであることが望ましい。これにより、見かけ密度を向上させることが可能となる。加圧圧力2.0〜10.0kg/cmで加圧した結果、MCコアの見かけ密度が76.47%超となる。
(6)加圧工程は、容器又は前記混合物を押圧する部材を常温よりも高い温度にして行うようにした。これにより、当該混合物である複合磁性材料中の樹脂が温められ、柔らかくなる。そのため、容器内の隅々までに複合磁性材料が流れ込み易くなり、成型性を向上させることができるとともに、複合磁性材料中の空隙に当該材料が流れ込み易くなり、密度を向上させることができる。
(7)加圧工程は、常温よりも高い温度に温めた前記混合物を前記容器に入れて行うようにした。これにより、上記(6)と同様の作用効果を得ることができる。
[1−4.実施例]
本発明の実施例を、表1〜表3及び図3〜図5を参照して、以下に説明する。
(1)測定項目
測定項目は、密度、透磁率、鉄損、及びインダクタンス値(L値)である。作製された各コアのサンプルに対して、φ1.2mmの銅線で40ターンの巻線を施してメタルコンポジットコアを作製した。各コアのサンプルの形状は、外径35mm、内径20mm、高さ11mmのトロイダル形状とした。また、作製したリアクトルの透磁率、及び鉄損を下記の条件で算出した。
<密度>
コアの密度は、見かけ密度である。すなわち、各コアのサンプルの外径、内径、及び高さを測り、これらの値からサンプルの体積(cm)を、π×(外径−内径)×高さに基づき算出した。そして、サンプルの質量を測定し、測定した質量を算出した体積で除してコアの密度を算出した。
<透磁率及び鉄損>
透磁率及び鉄損の測定条件は、周波数20kHz、最大磁束密度Bm=30mTとした。透磁率は、鉄損Pcv測定時に最大磁束密度Bmを設定したときの振幅透磁率とした。鉄損については、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY−8232)を用いて算出した。この算出は、鉄損の周波数曲線を次の(1)〜(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損係数、渦電流損失係数を算出することで行った。
Pcv=Kh×f+Ke×f…(1)
Phv =Kh×f…(2)
Pev =Ke×f…(3)
Pcv:鉄損
Kh :ヒステリシス損失係数
Ke :渦電流損失係数
f :周波数
Phv:ヒステリシス損失
Pev:渦電流損失
なお、本実施例において、各粉末の平均粒子径と円形度は、下記装置を用いて3000個の平均値をとったものであり、ガラス基板上に粉末を分散して、顕微鏡で粉末写真を撮り一個毎自動で画像から測定した。
会社名:Malvern
装置名:morphologi G3S
比表面積は、BET法により測定した。
[第1の特性比較(チタンオリゴマーの添加量の比較)]
第1の特性比較では、第1の磁性粉末と混合するチタンオリゴマーの量を変化させ特性の比較を行う。
(2)サンプルの作製方法
コアのサンプルは、下記のように、チタンオリゴマーの添加量を変化させ複数のサンプルを作製した。これらの作製方法と、その結果について下記に順に示す。
第1の磁性粉末として平均粒子径が123μmのFe6.5Siを使用する。第1の磁性粉末に対して0.00〜1.25%のチタンオリゴマーを混合し、その後150℃で2時間乾燥させることで、周囲に絶縁被膜を形成した第1の磁性粉末を生成する。
次に、第2の磁性粉末として平均粒子径が5.1μmのFe6.5Siを用意する。そして、周囲に絶縁被膜を形成した第1の磁性粉末と第2の磁性粉末とを、重量比率70:30の割合で混合し、平均粒子径が異なる2つの磁性粉末の混合物を得る。そして、アルミカップに当該磁性粉末を入れ、当該磁性粉末に対して、3.5%のエポキシ樹脂を添加し、2分間ヘラを用いて手動で混合した。これにより、磁性粉末と樹脂との混合物である複合磁性材料を得た。
次に、混合工程で得た複合磁性材料を、トロイダル形状の空間を有する樹脂製の容器に充填し、油圧プレス機を用いて容器内の複合磁性材料を600Nのプレス圧(面圧9.4kg/cm)で10秒間押圧し、トロイダル形状の成型体を作製した。この押圧の間、容器の温度は25℃に保った。
その後、得られた成型体に対し、上記の銅線を30ターン巻回してコイルを形成し、元となるリアクトルを作製した。
そして、当該リアクトルを大気中にて、85℃で2時間乾燥させ、その後120℃で1時間乾燥させ、さらに150℃で4時間乾燥させて樹脂を硬化し、サンプルとなるトロイダルコアを作製し、実施例1〜5、及び比較例1〜3のサンプルを得た。実施例1〜5、及び比較例の違いはチタンオリゴマーの添加量であり、それぞれ0.0〜1.25wt%である。
表1は、チタンオリゴマーの添加量、密度、初透磁率、透磁率μ12000、鉄損Pcv(鉄損Pcv、ヒステリシス損失Phv、渦電流損失Pev)を示す表である。表1における透磁率は、振幅透磁率であり、前述のインピーダンスアナライザーを使用することで、20kHz、1.0Vにおける各磁界の強さのインダクタンスから算出した。表1中の「μ0」は、直流を重畳させていない状態、すなわち磁界の強さが0H(A/m)の時の初透磁率を示す。表1中の「μ12000」は、磁界の強さが12kH(kA/m)の時の透磁率を示す。
表1に基づいて図3及び図4のグラフを作成した。図3は、チタンオリゴマーの添加量に対する鉄損Pcv(鉄損Pcv、ヒステリシス損失Phv、渦電流損失Pev)を示すグラフであり、図4はチタンオリゴマーの添加量に対する初透磁率、密度を示すグラフである。
(チタンオリゴマーの添加量と渦電流損失との関係)
図5は、比較例1のコア断面のSEM写真(500倍)である。図5において、符号1は、平均粒子径が大きい第1の磁性粉末を示し、符号2は平均粒子径が小さい第2の磁性粉末を示す。図5に示すように、比較例1のサンプルにおいては、大きい粉末である第1の磁性粉末と第1の磁性粉末とが部分的に直接接触(領域A)している。このため、2つの第1の磁性粉末は、電気的に接続されることとなる。そのため、2つの第1の磁性粉末の大きさに起因する渦電流が発生することとなる。
表1及び図3に示すように、第1の磁性粉末の接触を抑制するための絶縁被膜の効果は、添加しない場合(比較例1)の渦電流損失Pevが6.0に対して、チタンオリゴマーの添加量が0.10%の場合(比較例2)の渦電流損失Pevが5.8であり効果が少ない。一方、チタンオリゴマーの添加量が0.25%以上となると、渦電流損失Pevが5.3以下となり渦電流損失の抑制の効果が発揮され、チタンオリゴマーの添加量が0.50%で飽和する。
これは、第1の磁性粉末を被覆した絶縁被膜により、第1の磁性粉末同士が接触することを抑制した結果であると考察する。磁性粉末に発生する渦電流の大きさは、粉末の大きさに比例する。例えば、複数の第1の磁性粉末同士が接触した場合には、大きな磁性粉末に由来する渦電流が発生することになる。これに対して、第1の磁性粉末に対して0.25%以上のチタンオリゴマーを添加し、酸化チタンを含む絶縁被膜を形成することで、磁性粉末同士の接触を抑制することで、低渦電流損失を実現することが可能となる。
(チタンオリゴマーの添加量と密度との関係)
第1の磁性粉末の周囲に形成する被膜を厚さとサンプルの密度とは、相関関係がある。すなわち、チタンオリゴマーの添加量を多くし絶縁被膜の厚さを厚くするに従って、MCコアの密度が徐々に低下する。MCコアの密度の低下は、ヒステリシス損失Phv、初透磁率、及び透磁率(12kH/m)に対して影響を与える。
・ヒステリシス損失Phvについて
表1及び図4に示すように、第1の磁性粉末の周囲に絶縁被膜を形成しない場合(比較例1)のヒステリシス損失Phvは18.7である。これに対して、チタンオリゴマーを0.25〜1.00%添加し、第1の磁性粉末の周囲に絶縁被膜を形成することで、密度は低下するがヒステリシス損失Phvは17.4〜17.8と低下する。しかしながら、チタンオリゴマーの添加量が1.00%超となることで、ヒステリシス損失Phvは18.4となる。これは、絶縁被膜によるヒステリシス損失Phvの低減の効果以上に、密度が低下することによるヒステリシス損失Phvが増加するためである。
・初透磁率、及び透磁率(12kH/m)について
表1及び図4に示すように、チタンオリゴマーを添加しMCコアの密度の低下することにより、初透磁率、及び透磁率(12kH/m)は低下する。チタンオリゴマーの添加量が1.00%超となることで、密度が5.92未満となる。このため、初透磁率、及び透磁率(12kH/m)に対して悪影響を与えることがわかる。
以上のように、本特性比較からは、低渦電流損失の観点より第1の磁性粉末に対して0.25%以上のチタンオリゴマーを添加することが好ましく、また、密度、初透磁率、及び透磁率の観点よりチタンオリゴマーの添加量は1.00%以下であることが好ましい結果を導き出すことができる。
[第2の特性比較(絶縁被膜を形成する磁性粉末の違いによる特性比較)]
第2の特性比較では、絶縁被膜を形成する磁性粉末を変化させて特性の比較を行う。
(2)サンプルの作製方法
第2の特性比較では、第1の特性比較で使用した比較例1及び実施例2、4のコアのサンプルに加えて、下記のように、チタンオリゴマーの添加量を変化させ複数のサンプルを作製した。これらの作製方法と、その結果について下記に順に示す。
実施例7、8のサンプルとしては、第1の磁性粉末として平均粒子径が123μmのFe6.5Si、第2の磁性粉末として平均粒子径が5.1μmのFe6.5Siを用意する。そして、第1及び第2の磁性粉末に対して0.50%、1.0%のチタンオリゴマーを混合し、その後150℃で2時間乾燥させることで、周囲に絶縁被膜を形成した第1の磁性粉末を生成する。その後、他の実施例と同様の処理を施すことで、サンプルとなるトロイダルコアを作製した。
比較例8、9のサンプルとしては、第1の磁性粉末として平均粒子径が123μmのFe6.5Siを用意する。第2の磁性粉末として平均粒子径が5.1μmのFe6.5Siを用意する。そして、第2の磁性粉末に対して0.50%、1.0%のチタンオリゴマーを混合し、その後150℃で2時間乾燥させることで、周囲に絶縁被膜を形成した第2の磁性粉末を生成する。その後、他の実施例と同様の処理を施すことで、サンプルとなるトロイダルコアを作製した。
表2は、チタンオリゴマーの添加量、密度、初透磁率、透磁率μ12000、鉄損Pcv(鉄損Pcv、ヒステリシス損失Phv、渦電流損失Pev)を示す表である。
(絶縁被膜を形成する磁性粉末と渦電流損失との関係)
渦電流損失の低減の効果は、第1の磁性粉末の絶縁被膜が大きな影響を与える。すなわち、表2に示すように、チタンオリゴマーを添加しない場合(比較例1)の渦電流損失Pevが6.0に対して、第1の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した場合(実施例2、4)には、渦電流損失Pevが5.2となる。また、第1及び第2の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した場合(実施例7、8)には、渦電流損失Pevが5.3〜5.5となる。さらに、第2の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した場合には、渦電流損失Pevが5.3〜5.8となる。
以上より、実施例2、4、7、及び8共に、絶縁被膜を形成することで渦電流損失Pevは、低減する。一方、比較例8、及び9においては、第2の磁性粉末に対してのみ被膜を形成することで、第2の磁性粉末の接触を抑制することは可能となるが、第2の磁性粉末に発生する渦電流は大きくないため、渦電流損失Pevの低下の効果は限定的になる。
(絶縁被膜を形成する磁性粉末と密度との関係)
絶縁被膜を形成する磁性粉末の違いは、密度に対して影響を与える。すなわち、表2に示すように、チタンオリゴマーを添加しない場合(比較例1)の密度が6.06に対して、第1の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した実施例2、4では密度が5.93〜5.94となる。また、第1及び第2の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した実施例7、8では、密度が5.55〜5.63となる。
実施例2、4、7、8、及び比較例8、9共に、いずれかの絶縁被膜を形成することで密度は、低減する。低減率は、第1の磁性粉末のみに対して被膜を形成した実施例2、4が小さく、第1の磁性粉末と第2の磁性粉末に対して被膜を形成した実施例7、8が小さい。さらに、第2の磁性粉末に対してのみ被膜を形成した比較例8、9では、低減率が大きく成る。
・ヒステリシス損失Phvについて
表2に示すように、第1の磁性粉末の周囲に絶縁被膜を形成しない場合(比較例1)のヒステリシス損失Phvは18.7である。これに対して、実施例2及び実施例4のヒステリシス損失は17.4〜17.5である。また、第1及び第2の磁性粉末に対してチタンオリゴマーを0.5%〜1.0%添加した実施例7、8では、ヒステリシス損失は20.3〜24.3となる。これは、絶縁被膜によるヒステリシス損失Phvの低減の効果以上に、密度が低下することによるヒステリシス損失Phvが増加するためである。
以上のように、本特性比較からは、第2の磁性粉末の絶縁被膜の有無に関わらず、第1の磁性粉末に対して絶縁被膜を形成することで、渦電流を効果的に抑制することが可能なことがわかる。実施例2と実施例5とを比較すると、渦電流の抑制効果はほとんど変わらない。一方、密度に着目すると、第1の磁性粉末のみに被膜を形成した実施例2の方が、高密度となる。そのため、第1の粉末のみに被膜を形成することがより望ましい。
[2.他の実施形態]
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、各実施形態では、磁気特性の悪化を抑制しつつ渦電流損失(Pe)を低減するために、第1の磁性粉末の周囲に10nm〜100nmの絶縁被膜を形成するために、磁性粉末に対してチタンオリゴマーを添加したが、これに限らない。すなわち、第1の磁性粉末の周囲に10〜100nmの絶縁被膜を形成することが可能であれば、チタンモノマーでも代用することが可能である。
例えば、実施形態では、リアクトルにコイルを設ける方法として、成型工程においてコイルを容器に入れ、複合磁性材料に埋設する方法を説明したが、予め複合磁性材料からなる所定形状の成型体を成型しておき、当該成型体にコイルを構成する導線を巻回する巻回工程を備える方法を採用しても良い。
1…第1の磁性粉末
2…第2の磁性粉末

Claims (16)

  1. 磁性粉末及び樹脂を含むメタルコンポジットコアの製造方法であって、
    前記磁性粉末は、
    所定の平均粒子径の第1の磁性粉末と、
    平均粒子径が前記第1の磁性粉末より小さい第2の磁性粉末と、
    を含み、
    前記磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%のチタンオリゴマーを添加し、前記磁性粉末に絶縁被膜を形成する被覆工程と、
    前記磁性粉末に対して前記樹脂を混合する混合工程と、
    前記混合工程で得た混合物を所定の容器に入れて成型する成型工程と、
    前記成型工程で得た成型体中の前記樹脂を硬化させる硬化工程と、
    を備えること、
    を特徴とするメタルコンポジットコアの製造方法。
  2. 前記被覆工程では、
    前記第1の磁性粉末と前記チタンオリゴマーとを混合し、第1の磁性粉末に絶縁被膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  3. 前記第1の磁性粉末の平均粒子径は100〜200μmであり、
    前記第2の磁性粉末の平均粒子径は5〜10μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  4. 前記磁性粉末における前記第1の磁性粉末の添加量が60〜80wt%、前記第2の磁性粉末が20〜40wt%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  5. 前記樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  6. 前記成型工程時に、前記混合物を押圧する加圧工程を備えること、
    を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  7. 前記加圧工程における加圧圧力が2.0〜10.0kg/cmであることを特徴とする請求項6に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  8. 前記加圧工程は、前記混合物を押圧する部材又は前記容器を常温よりも高い温度に保って行うこと、
    を特徴とする請求項6または請求項7に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  9. 前記加圧工程は、常温よりも高い温度に温めた前記混合物を前記容器に入れて行うこと、
    を特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載のメタルコンポジットコアの製造方法。
  10. 磁性粉末及び樹脂を備えるメタルコンポジットコアであって、
    前記磁性粉末は、
    所定の平均粒子径の第1の磁性粉末と、
    平均粒子径が前記第1の磁性粉末より小さい第2の磁性粉末と、
    を含み、
    前記第1の磁性粉末は、チタンオリゴマー由来の絶縁被膜で覆われていることを特徴とするメタルコンポジットコア。
  11. 前記絶縁被膜は、前記チタンオリゴマーが固化したものであることを特徴とする請求項10に記載のメタルコンポジットコア。
  12. 前記絶縁被膜の厚さが10〜100nmであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のメタルコンポジットコア。
  13. 前記第1の磁性粉末の平均粒子径は100〜200μmであり、
    前記第2の磁性粉末の平均粒子径は5〜10μmであることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載のメタルコンポジットコア。
  14. 前記磁性粉末における前記第1の磁性粉末の添加量が60〜80wt%、前記第2の磁性粉末が20〜40wt%であることを特徴とする請求項10乃至13に記載のメタルコンポジットコア。
  15. コアの見かけ密度が76.47%超であることを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項に記載のメタルコンポジットコア。
  16. 磁性粉末及び樹脂を備える複合磁性粉末材料であって、
    前記磁性粉末は、
    所定の平均粒子径の第1の磁性粉末と、
    平均粒子径が前記第1の磁性粉末より小さい第2の磁性粉末と、
    を含み、
    前記第1の磁性粉末は、前記磁性粉末に対して0.25〜1.0wt%のチタンオリゴマーを添加して形成した絶縁被膜で覆われていることを特徴とする複合磁性粉末材料。
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