JP2007306900A - カラギナンの溶解温度と同程度の温度で溶解するカシアガム含有ゲル化剤の製造法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カシアガムを溶解した水溶液とカラギナンを溶解した水溶液を混合して冷却して混合ゲルを生成させ、これを脱水乾燥させることにより、カシアガムの水への溶解温度をカラギナンの水への溶解温度程度に低くする。
Description
それらの食品は、美味しさ、手軽さ・便利さ、栄養・健康への配慮などが要求されるが、最も重要な要素が美味しさである。
その美味しさを構成する要件として、匂い、味、食感があり、食感の改良剤として各種のゲル化基剤が使用されている。
現在、汎用されているゲル化剤としては、寒天、こんにゃくマンナン、ゼラチン、ペクチン、タマリンド種子多糖類、カラギナン、キサンタンガムとローカストビーンガム混合物などが上げられる。
しかし、ローカストビーンガムは多年生の樹木植物であり、地中海周辺の地域に偏在しており、天候などによりその収穫量が不安定で急激な増産も出来ない為、常に価格の高騰と供給不安に晒されている。
本発明に使用するカシアガムは一年生のマメ科植物の種子胚乳部から得られる多糖類であり、インドなどで増産の傾向にあり、生産量の拡大は比較的容易かつ安価である。
このカシアガムはカラギナンと併用すると、キサンタンガムとローカストビーンガムの配合の場合より少量で高い強度のゲルが得られ、加熱耐性も優れ、離水も少ない。
このことは従来のゲル化基剤溶解設備では使用できないこととなる。
次いで、このゲルをプレス脱水または凍結・解凍した後、加熱乾燥させ粉砕することにより、カラギナンの溶解温度と同程度の温度で溶解するカシアガム含有ゲル化剤製剤粉末を得ることを見いだし本発明を完成するに至った。
このカシアガムの主成分はガラクトースとマンノースが約1対5であるガラクトマンナンから成る多糖類である。
市販の商品としては、ノベオン社の商品名「RheoRangerSR」やSARADA&CHEMICAL社の商品名「MATOCOL GM」などがある。
このカラギナンは0.125モルの塩化カリウムでゲル化するカッパ−カラギナン、ゲル化しないラムダ−カラギナン、カルシウムと反応するイオタ−カラギナンに分けられる。
本発明におけるカラギナンは凝固性のあるカッパ−カラギナンが好ましく、主成分は3・6アンヒドロガラクトースである。
このカラギナンは冷水には不溶であるが、80〜90℃に加熱すると溶解し、カリウムイオン、カルシウムムイオンが存在するとゲル強度が増大する。
このように、本発明によるカシアガムとカラギナンの混合品がカシアガムの単品の溶解温度より低いのは、本発明の製造工程において、カシアガム水溶液とカラギナン水溶液を混合・冷却した際に、この両者の分子が網目状に絡み合ってゲルを形成し、溶解時にはこのゲルの分子が解離し溶解温度がカシアガム単品の溶解温度より低く成るためと推測される。
1%濃度のカシアガム水溶液と1%濃度のカラギナン水溶液との混合割合の範囲は、1%濃度のカシアガム水溶液が20〜80重量%、1%濃度のカラギナン水溶液が80〜20重量%であることが好ましい。
この範囲で混合して製造したカシアガムとカラギナンの粉末化後の割合は、カシアガムが20〜80重量%、カラギナンが80〜20重量%である。
カシアガムの割合が粉末中20重量%以下であると、カシアガム添加によるゲルの物性改善効果が低いか、又は得られなくなり、ゲル化基材として不適当となる。
カシアガムの割合が粉末中80重量%以上であると、カラギナンの割合が少なくなりすぎて、ゲル化しなくなるか、又は非常に弱いゲルを形成し、後のプレス脱水又は凍結・解凍による脱水の工程に耐えるものではなくなる。
実施例1として、市販のカシアガム(SARADA&CHEMICAL社の商品「MATOCOL GM」)20gを480gの熱水に加え、100℃以上に加熱して溶解後ろ過し、1%濃度のカシアガム溶液を得た。歩留まりは25%である。
一方、アルカリ処理後、乾燥した海藻植物のスギノリ科、スギノリ属の海藻8gを90℃以上の熱水500gで抽出後ろ過し、1%濃度のカラギナン溶液を得た。歩留まりは60%である。
ついで、カシアガム溶液及びカラギナン溶液を、90℃以上の温度で高粘度用攪拌機(ヘイドン・スリーワンモーターBL300新東科学株式会社製)を用いて、回転数300rpmで攪拌混合する。
この混合溶液を凝固点以下に冷却してゲル化させる。さらに、加圧式脱水機により脱水し、60〜80℃の乾燥機にて乾燥させ、粉砕し60メッシュパスの粉末9.6gを得た。
本品はカシアガム4.8g、カラギナン4.8gを含み、カシアガムとカラギナンの割合は1:1である。
本品5gを常温の水495gに添加し、ガラス棒で断続的に攪拌しながら一般的なカラギナン溶解条件である85℃、30分間の加熱を行ったところ透明に溶解し、これを20℃に一晩保持した結果、ゲル強度500g/cm2のゲルをえた。
ゲル強度の測定法は、レオメーター(FUDOH REHOMETER RT−3002D 株式会社レオテック社製)を用い、プランジャー径1cm2、テーブルスピード6mm/分で測定した。ゼリーカップには塩ビキャップTSキャップC40を用い、溶解したゲル液を開口部縁辺にガムテープを巻いてせり上げを作った塩ビキャップに満量分注してゲル化させ、強度測定時にガムテープを剥がし、キャップ開口部に沿ってゲルを水平に切断し、切断面中央部で強度を測定した。
ゲル強度の測定法は実施例1に準じた。
別に、市販のカッパ−カラギナン(マリン・サイエンス社商品KK−9)40gを90℃以上の熱水3,960gに加え、高粘度用攪拌機(ヘイドン・スリーワンモーターBL300新東科学株式会社製)を用いて、回転数300rpmで10分攪拌し溶解させ、1%濃度のカラギナン溶液を得た。
次いで、この2液を高粘度用攪拌機(ヘイドン・スリーワンモーターBL300新東科学株式会社製)を用いて、回転数300rpmで10分攪拌し混合する。
この溶液を加圧式ろ過によりろ過し、凝固点以下に冷却しゲル化させ、このゲルを凍結・解凍を繰り返し脱水し、60〜80℃の乾燥機にて乾燥させ、粉砕し60メッシュパスの粉末80gを得た。溶液からの歩留まりは75%である。
本品はカシアガム30g、カッパ−カラギナン30gを含み、カシアガムとカッパ−カラギナンの割合は1:1である。
本品5gを常温の水495gに添加しガラス棒で断続的に攪拌しながら一般的なカラギナン溶解条件である85℃、30分間の加熱を行ったところ、透明に溶解し、これを20℃に一晩保持した結果、ゲル強度550g/cm2のゲルをえた。
ゲル強度の測定法は実施例1に準じた。
ゲル強度の測定法は実施例1に準じた。
Claims (3)
- カシアガムの水溶液とカラギナンの水溶液を混合して冷却し、ゲル化させた後、圧縮(プレス)脱水し、乾燥させて粉末とすることを特徴とするカラギナンの溶解温度と同程度の温度で溶解するカシアガム含有ゲル化剤の製造法。
- カシアガムの水溶液とカラギナンの水溶液を混合して冷却し、ゲル化させた後、凍結・解凍し脱水乾燥させて粉末とすることを特徴とするカラギナンの溶解温度と同程度の温度で溶解するカシアガム含有ゲル化剤の製造法。
- カラギナンがカッパ−カラギナンであることを特徴とする請求項1又は2記載のカラギナンの溶解温度と同程度の温度で溶解するカシアガム含有ゲル化剤の製造法。
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