JP2007302280A - 試薬用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】被覆フィルムから細菌およびその死骸が簡便にかつ充分に除去され、また、遮光性が高く、しかも突き刺し性、実用上必要な耐久性および外観が確保された被覆フィルムを備える試薬用容器を提供する。
【解決手段】本発明の試薬用容器は、試薬を収容する試薬収容部を有する容器本体と、容器本体に貼着され、試薬収容部の開口部を被覆する被覆フィルムとを備え、被覆フィルムは、アルミニウム層と、容器本体に貼着されるシール層と、アルミニウム層およびシール層の間に設けられた中間層と、アルミニウム層における中間層と反対側の面に設けられた保護層とを有し、被覆フィルムの両面が、次亜塩素酸系水溶液により洗浄されたものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、試薬を収容・保存するために使用される試薬用容器に関する。
従来から、生物工学等の分野においては、試薬を収容・保存する際に試薬用容器が用いられている。試薬用容器としては、例えば、試験管状のものや、所謂チップにウェル(凹部)と称される試薬収納部が形成されたもの等が挙げられる。
これら試薬用容器に収容された試薬は、例えば、ピペットチップや注射針等により吸い取られて分取され、分取された試薬は別の容器や同一チップ上に配置された反応部等に分注される。
ところで、上記試薬用容器の試薬収納部が密封されない場合には、長時間放置したり加熱したりした際に試薬が蒸発することがあった。
そこで、試薬の蒸発を防止することを目的として、例えば、特許文献1には、試薬収容部を有する容器本体と、容器本体に貼着され、試薬収容部の開口部を被覆する被覆フィルムとを備える試薬用容器が提案されている。特許文献1に記載の試薬用容器では、ピペットチップや注射針の先端を被覆フィルムに突き刺して貫通させることにより、試薬が分取されるようになっている。
特開平09−099932号公報
しかしながら、特許文献1に記載の試薬用容器では、試薬収容部内に収容した試薬中に細菌が繁殖することがあった。試薬中に細菌が繁殖すると、その試薬を使用した際に、正確な実験結果が得られなくなることがあった。
そこで、試薬用容器を構成する容器本体を除菌処理し、さらに、被覆フィルムを滅菌処理する対策が採られることがある。滅菌処理としては、例えば、電子線の照射、γ線の照射、紫外線の照射、過酸化水素ガスの接触などが知られている。ところが、被覆フィルムに上記滅菌処理を施しても、正確な実験結果が得られないことがあった。特に、試薬をDNA反応の検出に用いた場合には、誤差が生じやすかった。これは、滅菌処理では細菌の死骸が被覆フィルム表面に残るためであると考えられる。
被覆フィルムの表面から細菌の死骸を除去するためには、滅菌水等で洗い流す洗浄処理が別途必要になるため、煩雑になる。
また、被覆フィルムとしては、光による試薬の変質または劣化を防止するために遮光性が高いものが求められる。また、ピペットチップや注射針の先端を複数の異なる箇所に突き刺すことができる、すなわち、突き刺し性が確保されたもの、さらには、実用上必要な耐久性および外観が確保されたものが求められる。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、被覆フィルムから細菌およびその死骸が簡便にかつ充分に除去され、また、遮光性が高く、しかも突き刺し性、実用上必要な耐久性および外観が確保された被覆フィルムを備える試薬用容器を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を含む。
[1] 試薬を収容する試薬収容部を有する容器本体と、容器本体に貼着され、試薬収容部の開口部を被覆する被覆フィルムとを備える試薬用容器であって、
被覆フィルムは、アルミニウム層と、容器本体に貼着されるシール層と、アルミニウム層およびシール層の間に設けられた中間層と、アルミニウム層における中間層と反対側の面に設けられた保護層とを有し、被覆フィルムの両面が、次亜塩素酸系水溶液により洗浄されたことを特徴とする試薬用容器。
[2] アルミニウム層が厚さ10μm以下の硬質アルミニウム箔からなることを特徴とする[1]に記載の試薬用容器。
[3] アルミニウム層にエンボスが形成されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の試薬用容器。
[4] 次亜塩素酸系水溶液が次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の試薬用容器。
本願請求項1に係る発明の試薬用容器では、被覆フィルムの両面が液体である次亜塩素酸系水溶液により洗浄されているため、滅菌と同時に被覆フィルム表面から細菌の死骸を洗い流して除去できる。したがって、被覆フィルムは、細菌およびその死骸が簡便にかつ充分に除去されているため、試薬収容部内に収容した試薬を用いることにより正確な実験結果を得ることができる。
また、本願請求項1に係る発明の試薬用容器では、被覆フィルムがアルミニウム層を有するため、遮光性が高い。
また、本願請求項1に係る発明における被覆フィルムの構成によれば、突き刺し性を確保できる。
さらに、本願請求項1に係る発明では、被覆フィルムが中間層を有するため、次亜塩素酸系水溶液により洗浄された際にシール層の一部が侵されたとしてもアルミニウム層に次亜塩素酸系水溶液が直接接触しにくくなっている。また、被覆フィルムが保護層を有するため、次亜塩素酸系水溶液により洗浄された際にアルミニウム層に次亜塩素酸系水溶液が直接接触しにくくなっている。これらのことから、次亜塩素酸系水溶液によるアルミニウム層の腐食を防止できるため、被覆フィルムは実用上必要な耐久性および外観が確保されている。
本願請求項2および本願請求項3に係る発明によれば、ピペットチップや注射針の先端を被覆フィルムに突き刺した際に、被覆フィルムを略直線状に開裂させることができ、試薬収容部内に空気を流入させるための隙間を形成できる。その結果、ピペットチップや注射針等により試薬を吸い取った際に試薬収容部内が陰圧になりにくく、吸い取り性が高いため、試薬の回収性が高い。
本願請求項4に係る発明では、次亜塩素酸系水溶液として安価な次亜塩素酸ナトリウムを含有するものを使用するため、試薬用容器を安価にできる。
本発明の試薬用容器の一実施形態例について説明する。
図1および図2に、本実施形態例の試薬用容器を示す。この試薬用容器1は、試薬Sを収容する試薬収容部であるウェル11,11・・・を有する略直方体状の容器本体10と、容器本体10に貼着され、容器本体10のウェル11,11・・・の開口部11a,11a・・・の全ておよびその周辺を被覆する1枚の被覆フィルム20とを備えるものである。
[容器本体]
容器本体10の材質としては特に制限されないが、成形加工性に優れることから、樹脂製であることが好ましい。容器本体10を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
容器本体10は、2種類以上の樹脂製の部材が接合されたものでもよいし、樹脂製の部材と金属製の部材とが接合されたものであってもよい。これらの材質は、試薬Sの性質や容器本体10に求められる機械的物性に応じて適宜選択することが好ましい。
容器本体10の厚さは、使用時に充分な強度を確保できる厚さであればよい。
また、通常、容器本体10は、除菌処理が施されている。
容器本体10におけるウェル11の形状としては、例えば、半球状、円錐台形状、角錐台形状、円筒状、角柱状等が挙げられる。これらの形状は、加工性、試薬Sの注入性等に応じて適宜選択すればよい。
ウェル11の大きさは、収容される試薬Sの量に応じて設定されるが、利便性の点から、その開口部11aの直径を5〜10mm、深さを5mm以下に設定することが好ましい。
また、ウェル11の内壁表面には、防湿性、ガスバリア性を付与し、また、耐試薬性をより向上させるために、シリコーン樹脂のコーティング層や金属化合物の蒸着層が設けられてもよい。
さらには、ウェル11に収容した試薬Sの回収効率をより向上させるために、内壁表面にプラズマ処理やコロナ処理等の表面処理を施してもよい。
容器本体10は、例えば、ポリカーボネートのような硬質樹脂からなる場合には、ポリカーボネート製の直方体状の板の所定の位置を切削してウェル11を形成する方法(切削法)により製造することが好ましい。また、ポリプロピレンのような軟質樹脂からなる場合には、溶融した樹脂を、ウェル11を形成可能な形状を有する型枠内に充填した後に冷却して成形する方法(溶融成形法)により製造することが好ましい。
[被覆フィルム]
被覆フィルム20は、アルミニウム層21と、容器本体10に貼着されるシール層22と、それらの間に設けられた中間層23と、アルミニウム層21における中間層23と反対側の面に設けられた保護層24とを有するものである。
アルミニウム層21としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウムの蒸着膜等が用いられるが、中でも、厚さ10μm以下の硬質アルミニウム箔からなることが好ましい。アルミニウム層が厚さ10μm以下の硬質アルミニウム箔からなれば、ピペットや注射針を突き刺した際に被覆フィルム20を容易に開裂させることができる。
硬質アルミニウム箔の厚さは8μm以下であることがより好ましい。
ここで、硬質アルミニウム箔とは、伸びが1%/180mm以下、破裂度が0.5kg/cm以下のアルミニウム箔である。本発明における伸びはJIS C 2151に準拠した引張試験において、引張速度50mm/minで測定した値であり、破裂度はJIS P 8112に準拠して測定した値である。
アルミニウム層21には、エンボスが形成されていることが好ましい。アルミニウム層21にエンボスが形成されていれば、試薬Sを回収するために被覆フィルム20にピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に、突き刺した部分のみに孔が開くのではなく、被覆フィルム20を略直線状に開裂させることができる。具体的には、図3に示すように、直線状の裂け目25を形成させることができる。その結果、ウェル11内に空気を流入させるための隙間を形成することができ、ピペットチップや注射針に取り付けられた注射器により試薬Sを吸い取った際に、ウェル11内が陰圧になりにくく、試薬Sを容易に吸い取ることができ、試薬Sの回収性を向上させることができる。
アルミニウム層21にエンボスを形成する場合、エンボスの模様としては、エンボス形成の効果がより発揮されることから、直線状の第1の溝と第1の溝に直交する第2の溝が各々多数形成された碁盤目格子状の模様が好ましい。
さらに、第1の溝同士の間隔および第2の溝同士の間隔は、2mm以下であることが好ましい。ここで、溝同士の間隔とは、各溝の幅方向の中央同士の間隔のことである。第1の溝同士の間隔および第2の溝同士の間隔が2mm以下であれば、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に被覆フィルムをより容易に略直線状に開裂させることができ、試薬の回収性がより向上する。
アルミニウム層21にエンボス21aを形成する方法としては、平滑なアルミニウム層の片面にエンボスが形成された版(エンボス処理版)を押圧する方法、平滑なアルミニウム層の片面にエンボスが形成されたロール(エンボスロール)に接触させる方法等が挙げられる。
被覆フィルム20において、エンボス処理版やエンボスロールが接触した面がシール層22側および保護層24側のどちらに配置されても構わない。
シール層22は、ヒートシール可能な樹脂から形成されることが好ましい。ヒートシール可能な樹脂としては、ポリエチレン(例えば、チグラー触媒により合成された直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒により合成された直鎖状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン(マレイン酸等の酸変性体を含む)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル系樹脂である酸成分変性ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの中でも、シール強度の点から、酸変性ポリエチレンテレフタレート、マレイン酸変性ポリプロピレン、メタロセン系触媒により合成された直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
また、シール層22は、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に被覆フィルム20をより容易に略直線状に開裂させることができる点から、その厚さが15μm以下であって、破裂度が1kg/cm以下であることが好ましい。
シール層22は、例えば、溶融した樹脂を層状に直接成形する方法(例えば、押し出し成形法やインフレーション成形法等)、樹脂を溶媒に溶解した塗布液を塗布することにより形成する方法等により形成される。
中間層23を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、セルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましい。ポリエステルは、加工性および耐熱性に優れる上、硬度が高いため、ピペットチップや注射針等を突き刺した際に、中間層23にピペットチップや注射器の先端が密着することを防止できる。また、ポリプロピレンは、耐試薬性に優れ、しかも安価である。
中間層23の厚さは、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に被覆フィルム20をより容易に略直線状に開裂させることができる点から、10μm以下であることが好ましい。
保護層24は、アルミニウム層21を保護するものである。保護層24を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどが挙げられる。
また、保護層24は、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に被覆フィルム20をより容易に略直線状に開裂させることができることから、脆性材料からなることが好ましい。脆性材料としては、例えば、サンドブラスト加工等により表面がマット調に加工されたマット調ポリエチレンテレフタレートフィルム、発泡状の樹脂フィルム等が挙げられる。
保護層24は、厚さが15μm以下であって、伸びが30%/180mm以下、破裂度が2kg/cm以下であることが好ましい。保護層24がこのような物性値である場合にも、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に被覆フィルム20をより容易に略直線状に開裂させることができる。
被覆フィルム20の両面は次亜塩素酸系水溶液で洗浄されている。広く知られているように、次亜塩素酸系水溶液は殺菌作用を有する。
次亜塩素酸系水溶液としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウムを含有する水溶液などが挙げられる。これらの中でも、安価であることから、次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液が好ましい。
[製造方法]
試薬用容器1の製造方法の一例について説明する。本例の製造方法では、まず、アルミニウム層21の一方の面に中間層23を積層し、他方の面に保護層24を積層する。その積層の際には必要に応じて接着剤を用いてもよい。
次いで、中間層23におけるアルミニウム層21と反対側の面にシール層22を形成する。シール層22の形成方法としては、例えば、シール層22を構成する樹脂の溶液を中間層23の表面に塗布する方法、シール層22を構成する樹脂を溶融し、シール層22が形成されるように、溶融した樹脂を中間層23の表面に供給する方法などが挙げられる。
次いで、このようにして得た被覆フィルム20の両面を次亜塩素酸系水溶液により洗浄する。例えば、被覆フィルム20の両面に次亜塩素酸系水溶液を噴霧して洗浄する。次亜塩素酸系水溶液による洗浄後には、被覆フィルム20の両面に残存する次亜塩素酸系水溶液を充分に除去するために、水等で洗い流すことが好ましい。
そして、容器本体10におけるウェル11の開口部11aを覆うように、かつ、容器本体10にシール層22が接するように、次亜塩素酸系水溶液で洗浄した被覆フィルム20を重ねた後、被覆フィルム20の、ウェル11の開口部11aの周囲に位置する部分に、加熱したシールバーを押圧して試薬用容器1を得る。
[用途]
上述した試薬用容器1は、化学反応、抗原抗体反応、DNA反応、たんぱく質反応等の検出をチップ上で行うμ−Total Analysis System技術やLab−on−Chip技術に好適に利用される。
例えば、抗原抗体反応の検出では、あらかじめ、容器本体10のウェル11に試薬Sである抗体を収容し、ウェル11を被覆フィルム20により密封する。次いで、ピペットチップの先端を被覆フィルム20に突き刺して貫通させ、そのピペットチップにより前記抗体を分取し、分取した抗体を、同じ試薬用容器あるいは別の部材の反応部に配置された抗原に滴下する。その際、抗原または抗体に標識物質を付けておくことにより、抗原抗体反応の有無を検出できる。標識物質としては、蛍光物質等の発光物質を用いることができ、標識物質として発光物質を用いた場合には、抗原抗体反応が起こった際に発光させることができる。
DNA反応の検出では、あらかじめ、容器本体10のウェル11に試薬Sである検体DNAを収容し、ウェル11を被覆フィルム20により密封する。次いで、ピペットチップの先端を被覆フィルム20に突き刺して貫通させ、ピペットチップにより前記検体DNAを分取し、分取した検体DNAを同じ試薬用容器あるいは別の部材の反応部に配置された核酸プローブに滴下する。その際、検体DNAに標識物質を付けておくことにより、DNA反応の有無を検出できる。
このような試薬用容器1を用いたDNA反応は、一塩基遺伝子多型(SNP)の解析に適用できる。SNPの解析の場合、核酸プローブやその他検出に用いる試薬Sは複数あってもよい。SNPの解析としては、サードウェイブテクノロジーズ,Inc(米国ウィスコンシン州マディソン市)が開発したインベーダー法を採用することができる。
以上説明した試薬用容器1では、被覆フィルム20の両面が、液体である次亜塩素酸系水溶液により洗浄されているため、滅菌と同時に被覆フィルム20表面から細菌の死骸が洗い流されて除去されている。したがって、滅菌により死滅した細菌の死骸を洗い流すという作業が省略されて簡便になっている上に、被覆フィルム20から細菌およびその死骸が充分に除去されている。特に、保護層24の表面も次亜塩素酸水溶液により洗浄され、保護層24の表面に細菌および細菌の死骸が残っていないため、被覆フィルム20にピペットチップや注射針の先端を突き刺した際に細菌または細菌の死骸が試薬S中に混入することが防がれている。これらのことから、試薬用容器1のウェル11内に収容した試薬Sを用いた際には正確な実験結果を得ることができる。
また、被覆フィルム20のアルミニウム層21によって遮光性を高くできるため、試薬Sの変質・劣化を防ぐことができる。
また、本発明者が調べた結果、試薬用容器1では、ピペットチップや注射針の先端を突き刺した後でも、被覆フィルム20にピペットチップや注射針の先端を突き刺すことができる部分が残っており、突き刺し性が確保されていることが判明した。
さらには、アルミニウム層21の片面に中間層23が設けられているため、次亜塩素酸系水溶液により被覆フィルム20が洗浄された際にシール層22の一部が侵されたとしても中間層23によってアルミニウム層21に次亜塩素酸系水溶液が直接接触しにくくなっている。また、アルミニウム層21のもう一方の片面に保護層24が設けられているため、次亜塩素酸系水溶液により被覆フィルム20が洗浄された際に、アルミニウム層21に次亜塩素酸系水溶液が直接接触しにくくなっている。これらのことから、次亜塩素酸系水溶液によるアルミニウム層21の腐食を防止できるため、被覆フィルム20は実用上必要な耐久性および外観が確保されている。
また、試薬用容器1では、被覆フィルム20が中間層23を有しているため、アルミニウム層21とシール層22との密着性およびガスバリア性が高く、また、試薬Sのアルミニウム層21への接触が防止されている。
また、被覆フィルム20が保護層24を有しているため、アルミニウム層21の空気による酸化、物体の接触によるアルミニウム層21の損傷を防ぐこともできる。
なお、本発明の試薬用容器は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、上述した実施形態例の試薬用容器は、ウェルを有する容器本体と、ウェルの開口部を被覆する被覆フィルムとを備えるものであったが、容器本体が、試薬収容部を有するチューブ状またはボトル状のものであって、試薬収容部の開口部が被覆フィルムで被覆されたものであってもよい。
また、上述した実施形態例では、1枚の被覆フィルムにより複数のウェルの開口部を被覆したが、一つの開口部に対して1枚の被覆フィルムを被覆してもよい。
(実施例1)
まず、アルミニウム層である厚さ7μmの軟質アルミニウム箔の一方の面に、中間層である厚さ7μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を、ポリエステルウレタン系接着剤(厚さ2μm)を介して積層した。また、上記軟質アルミニウム箔の他方の面に、保護層である厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、ポリエステルウレタン系接着剤(厚さ2μm)を介して積層した。
次いで、軟質アルミニウム箔に積層した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにおける軟質アルミニウム箔と反対側の面に、マレイン酸変性ポリプロピレンを主成分としたヒートシールラッカーを厚さ3μmで塗布してシール層を形成して、被覆フィルムを得た。
次いで、得られた被覆フィルムの両面に、0.1質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を噴霧し、次いで、滅菌純水に漬け置きして、被覆フィルムに残留する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を洗い流した後、無菌乾燥した。
また、ポリプロピレンを射出成形して、試薬収容部である半球状のウェルが4つ形成された容器本体を作製した。
次いで、各ウェルに試薬であるPrimer Mix、Taq DNA Polymerase、PCR Buffer、希釈用滅菌水を収容した後、4つのウェルの全てが被覆されるように、かつ、シール層が容器本体に接するように、次亜塩素酸ナトリウムにより洗浄した被覆フィルムを容器本体に重ねた。そして、被覆フィルムにおけるウェルの開口部の周囲に位置する部分に、シールバーを200℃、3秒、20N/cmで押圧し、ヒートシールして、試薬用容器を得た。
得られた試薬用容器について、細菌およびその死骸の除去性、被覆フィルムの耐腐食性、突き刺し性、試薬の回収性を評価した。評価結果を表1に示す。
[細菌およびその死骸の除去性]
被覆フィルムにピペットチップを突き刺して、ウェル内の試薬を回収した。そして、回収した試薬について細菌分析を行い、その分析結果に基づいて以下の基準で評価した。
○:細菌が確認されなかった。
△:細菌に由来すると思われるDNaseが確認された。
×:細菌が確認された。
[被覆フィルムの耐腐食性]
被覆フィルムの表面を目視により観察して以下の基準で評価した。
○:変化なし。
×:被覆フィルムのアルミニウム層が腐食して変色していた。
[被覆フィルムの突き刺し性]
被覆フィルムにポリプロピレン製ピペットチップ(200μl)を突き刺して、突き刺し性を以下の基準で評価した。
◎:5回以上突き刺し可能であった。
○:3回以上5回未満突き刺し可能であった。
[試薬の回収性(試薬の回収率)]
試薬を100μl回収することを目標として、ピペットチップによりウェルに収容された試薬を回収し、その実際の回収量を測定した。そして、(実際の回収量)/100μl×100%の式により試薬の回収率を求めた。一般に、試薬の回収率が85%以上であれば、実用的であるとされている。
Figure 2007302280
(実施例2)
厚さ7μmの軟質アルミニウム箔の代わりに厚さ7μmの硬質アルミニウム箔を用いたこと以外は実施例1と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
厚さ7μmの硬質アルミニウム箔の代わりに、あらかじめエンボスが形成された厚さ7μmの硬質アルミニウム箔を用いたこと以外は実施例2と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
なお、エンボスの形成の際に用いたエンボス処理版は、直線状の第1の凸条と該第1の凸条に直交する第2の凸条が各々多数形成された碁盤目格子状の模様を有し、第1の凸条同士の間隔および第2の凸条同士の間隔が4mmのものである。このエンボス処理版を用いることにより、硬質アルミニウム箔に、碁盤目格子状の模様で、第1の溝同士の間隔および第2の溝同士の間隔が4mmのエンボスを形成した。
(比較例1)
被覆フィルムの両面を次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄しなかったこと以外は実施例1と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
被覆フィルムを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄する代わりに、被覆フィルムの両面に紫外線を照射したこと以外は実施例1と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
軟質アルミニウム箔の一方の面に中間層である二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層せずに、シール層を直接形成したこと以外は実施例1と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
被覆フィルムのシール層側の表面のみを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄したこと以外は実施例1と同様にして試薬用容器を得た。そして、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
両面が次亜塩素酸ナトリウムで洗浄された被覆フィルムを備える実施例1〜3の試薬用容器では、細菌およびその死骸が充分に除去されていた。また、被覆フィルムの耐腐食性が高く、また、被覆フィルムは実用上必要な耐久性および外観が確保され、突き刺し性も確保されていた。しかも、被覆フィルムはアルミニウム層を有しているため、遮光性に優れていた。
さらに、アルミニウム層として硬質アルミニウム箔を用いた実施例2,3の試薬用容器では、試薬の回収性に優れており、特に、エンボスが形成された硬質アルミニウム箔を用いた実施例3の試薬用容器では、ほぼ100%に近い回収率を示した。
これに対し、両面が次亜塩素酸ナトリウムで洗浄されていない被覆フィルムを備える比較例1の試薬用容器では、細菌およびその死骸が除去されていなかった。
紫外線照射された被覆フィルムを備える比較例2の試薬用容器でも、細菌およびその死骸が充分に除去されていなかった。
中間層を有さない被覆フィルムを備える比較例3の試薬用容器は、アルミニウム層に腐食が見られた。このような被覆フィルムは実用上必要な耐久性および外観が確保されていない。
シール層側の表面のみが次亜塩素酸ナトリウムで洗浄された被覆フィルムを備える比較例4の試薬用容器は、細菌およびその死骸が除去されていなかった。
本発明の試薬用容器の一実施形態例を示す斜視図である。 図1のA−A’断面図である。 図1の試薬用容器において、被覆フィルムが略直線状に開裂した状態を示す上面図である。
符号の説明
1 試薬用容器、10 容器本体、11 ウェル(試薬収容部)、11a 開口部、20 被覆フィルム、21 アルミニウム層、22 シール層、23 中間層、24 保護層、25 裂け目、S 試薬

Claims (4)

  1. 試薬を収容する試薬収容部を有する容器本体と、容器本体に貼着され、試薬収容部の開口部を被覆する被覆フィルムとを備える試薬用容器であって、
    被覆フィルムは、アルミニウム層と、容器本体に貼着されるシール層と、アルミニウム層およびシール層の間に設けられた中間層と、アルミニウム層における中間層と反対側の面に設けられた保護層とを有し、被覆フィルムの両面が、次亜塩素酸系水溶液により洗浄されたことを特徴とする試薬用容器。
  2. アルミニウム層が厚さ10μm以下の硬質アルミニウム箔からなることを特徴とする請求項1に記載の試薬用容器。
  3. アルミニウム層にエンボスが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の試薬用容器。
  4. 次亜塩素酸系水溶液が次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試薬用容器。
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