以下、本発明の凍結保存容器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る凍結保存容器1の平面図である。
本実施形態の凍結保存容器1は、例えば、再生医療、細胞含有医薬品、不妊治療等の細胞医療分野において、細胞等を長期間安定的に凍結保存するための容器として用いることができる。凍結保存容器1は、細胞等の内容物を収容した状態で、0℃以下の温度、より具体的には、液体窒素やディープフリーザー等を用いて−150℃から−196℃に冷却され、内容物を凍結させた状態で保存する。
凍結保存容器1は、凍結保存される内容物が充填される容器本体10と、内容物に関する情報を表示する表示部20とを備え、容器本体10と表示部20とを機械的に接続する接続部材30を有することを特徴としている。
本実施形態の凍結保存容器1において、容器本体10は、柔軟なシート状の基材の間に内容物を収容する、周囲が閉じられた袋状の凍結保存バッグである。なお、容器本体10は、凍結保存バッグに限定されず、例えば、チューブ状の容器であってもよい。容器本体10の素材は、細胞等の凍結保存に適したものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
容器本体10は、細胞等の内容物を収容する収容部10aと、収容部10aに内容物を充填したり、収容部10aから内容物を送出したりするためのチューブ11及びポート12と、を備えている。チューブ11は、例えば、収容部10aに内容物を充填した後に溶断されることで、端部が溶着されて密閉される。ポート12は、先端部がゴム状又はフィルム状の閉鎖部材12aによって閉鎖され、閉鎖部材12aにビン針を貫通させることによって外部と連通する。
容器本体10は、柔軟なシート状の基材が収容部10aの周囲で閉じられた周縁部10bを有している。容器本体10の周縁部10bは、接続部材30を取り付けるための円形の貫通孔13を有している。なお、貫通孔13の形状は、接続部材を取り付けることができる形状であれば特に限定されず、例えば、スリット状でもよいし、三角形、四角形、その他の多角形であってもよい。また、容器本体10の周縁部10bは、必要に応じて周縁部10bに新たな貫通孔13を形成するための環状の破断可能部14を有してもよい。容器本体10の周縁部10bに形成された破断可能部14は、周縁部10bの破断可能部14を除く部分よりも破断強度が低くなっている。
より具体的には、容器本体10の周縁部10bに形成された破断可能部14の厚さを、破断可能部14が形成されていない周縁部10bの厚さよりも薄くすることができる。また、破断可能部14は、容器本体10の周縁部10bに形成されたミシン目状の不連続な環状の切れ目の間の残部であってもよい。このようにして、容器本体10の周縁部10bに形成された環状の破断可能部14の破断強度を、周縁部10bの破断可能部14を除く部分の破断強度よりも低くすることができる。
図2は、図1に示す貫通孔13及び破断可能部14の変形例を示す拡大図である。図2の(a)に示す例において、貫通孔13は、長孔状又はスリット状の細長い形状を有している。また、図2の(b)に示すように、容器本体10は、貫通孔13とともに、又は、貫通孔13に代えて、切込み13Aを有してもよい。図示の例において、切込み13Aは、容器本体10の周縁部10bをその厚さ方向に貫通するように形成された線状の切れ目である。なお、切込み13Aは、直線状又は曲線状に形成することができる。
図2の(c)に示す変形例の破断可能部14は、図2の(a)に示す長孔状又はスリット状の細長い形状の貫通孔13を形成するために、この貫通孔13の形状に対応する細長い環状の形状を有している。また、図2の(d)に示す破断可能部14Aは、線状の切込み13Aを形成するために、線状に形成されている。なお、破断可能部14,14Aは、図示のようなミシン目状の不連続な切れ目である場合に限定されず、周縁部10bの一部を薄肉化して連続的に設けられた線状の薄肉部によって形成することも可能である。
表示部20は、凍結保存容器1の内容物に関する情報を表示するためのタグである。本実施形態の凍結保存容器1において、表示部20は、例えば矩形板状の部材であり、ラベル21と、ラベル21が貼付されるラベル貼付部22と、接続部材30を取り付けるための貫通孔23とを有している。ラベル21は、不正な貼り換えを防止するために、溝や切欠きを設け、剥離させようとしたときに破断するようにしてもよい。
なお、表示部20は、ラベル21を有しなくてもよい。この場合、表示部20に、直接、内容物に関する情報を印刷又は刻印してもよいし、情報が印刷又は刻印されたタグを表示部20に固定してもよい。また、表示部20は、接続部材30を接続又は固定することができれば、貫通孔23を有しなくてもよい。この場合、表示部20と接続部材30とを、例えば一体成形又はインサート成形することにより、一体に形成してもよい。
接続部材30は、容器本体10と表示部20とを機械的に接続する帯状の部材である。接続部材30は、例えば、容器本体10の貫通孔13と表示部20の貫通孔23とに挿通され、長手方向の一端と他端が接続されて環状に結合されることで、容器本体10と表示部20とを機械的に接続する。
本実施形態の凍結保存容器1において、接続部材30は、表示部20の貫通孔23に挿通されて表示部20に接続された環状の結束バンドである。接続部材30の素材としては、例えば、容器本体10と同様の樹脂材料を用いることができる。接続部材30としては、ヘラマンタイトン株式会社製の結束バンド、インシュロック(登録商標)を好適に使用することができる。
接続部材30が結束バンドである場合、接続部材30は、帯状のバンド部31と、バンド部31の一端に設けられたヘッド部(図示略)と、バンド部31の他端に設けられたテール部(図示省略)とを有している。バンド部31は、裏面に鋸刃状のセレーションを有し、ヘッド部は、爪を有する開口部を備えている。
接続部材30は、表示部20の貫通孔23及び容器本体10の貫通孔13にバンド部31を挿通させ、バンド部31の一端のヘッド部の開口部に、バンド部31の他端のテール部を挿通させる。これにより、バンド部31が環状になり、ヘッド部の開口部の爪と、バンド部のセレーションとがかみ合い、ヘッド部の開口部からテール部が抜けることが防止される。そのため、接続部材30は、バンド部31の一端と他端が結合され、容器本体10に表示部20を機械的に接続する環状の接続部材30となる。
図3は、図1に示す凍結保存容器1の表示部20のラベル21とラベル貼付部22の拡大断面図である。
凍結保存容器1の表示部20に貼付されるラベル21は、基材層21aと粘着層21bとを備えている。ラベル21の基材層21aを構成する主な材料は、例えば白色のポリエステル等の樹脂材料であり、粘着層21bを構成する主な材料は、例えばアクリル系粘着剤である。
ラベル21の基材層21aの表面には、凍結保存容器1の収容部10aに充填される内容物の識別情報等の情報が印字される。ラベル21の基材層21aの裏面には、ラベル21を表示部20のラベル貼付部22に貼付するための粘着層21bが設けられている。ラベル21は、例えば30μmから100μm程度の厚さを有し、基材層21aは、例えば20μmから90μm程度の厚さを有し、粘着層21bは、例えば10μmから80μm程度の厚さを有している。
表示部20のラベル貼付部22は、表面に微小な凹凸が形成され、算術平均粗さRaがラベル21の粘着層21bの厚さt以下かつラベル21の粘着層21bの厚さtの0.04倍以上であり、単位平面積に対する表面積の比が5以上である。ラベル貼付部22の算術平均粗さRa及び単位平面積に対する表面積の比は、例えば、レーザ顕微鏡を用いて測定した表面形状に基づいて算出することができる。
より具体的には、ラベル貼付部22の算術平均粗さRaを算出するには、例えばレーザ顕微鏡を用い、ラベル貼付部22の所定の測定範囲における複数の微小な凸部22aと凹部22bを含む3次元形状を測定する。ラベル貼付部22の所定の測定範囲は、例えばラベル貼付部22の任意の位置における200μm角の範囲とすることができる。算術平均粗さRaは、例えばJIS B 0601−1994に準拠して測定することができる。
そして、測定した3次元形状に基づいて、基準線に沿う所定の基準長さにおける粗さ曲線を求めて算術平均粗さRaを算出する。例えば、基準長さを200μmとし、3方向の基準線に沿って算術平均粗さRaを算出し、その平均値をラベル貼付部22の算術平均粗さRaとすることができる。ここで、粗さ曲線の平均線よりも上方に突出する部分を凸部22aとし、当該平均線よりも下方に陥没する部分を凹部22bとすることができる。
また、ラベル貼付部22の単位平面積に対する表面積の比を算出するには、例えばレーザ顕微鏡を用いて、所定の平面積の測定領域において、ラベル貼付部22の3次元形状を測定する。この3次元形状を測定する領域の平面積を、単位平面積と定義することができる。さらに、測定した前述の3次元形状に基づいて、複数の微小な凸部22aと凹部22bを含む当該3次元形状の表面積を算出する。
そして、算出した当該3次元形状の表面積と、当該3次元形状の測定領域の平面積、すなわち単位平面積とを用いて、ラベル貼付部22の単位平面積に対する表面積の比を算出することができる。すなわち、ラベル貼付部22の単位平面積に対する表面積の比は、(測定領域におけるラベル貼付部22の表面積)/(測定領域の平面積)によって求めることができる。ラベル貼付部22の凹凸が少なければこの比が1に近くなり、ラベル貼付部22の凹凸が増加するほどこの比が大きくなる。
上記の算術平均粗さRa及び単位平面積に対する表面積の比を有する表示部20のラベル貼付部22は、例えば、以下の手順で製作することができる。まず、ラベル貼付部22を成形するための凹凸領域を有する成形型を用意する。より具体的には、成形型の一部又は全体に、例えば、ブラスト処理を施して凹凸を形成した後、凹凸面にめっき処理を施すことによって凹凸領域を形成する。
砂や金属の微粒子を成形型表面に衝突させるブラスト処理では、例えば0.01μm以上かつ1000μm以下の微粒子を好適に用いることができる。凹凸領域の算術平均粗さRaは、ブラスト処理において衝突させる粒子を小さくしたり衝突エネルギーを低くするほど小さく、逆に粒子を大きくしたり衝突エネルギーを高くするほど大きくなる傾向がある。また、凹凸領域の単位平面積に対する表面積の比は、衝突させる粒子の数が少ないほど小さくなり、逆に粒子の数が多いほど大きくなる。
これにより、成形型の一部又は全体に、例えば、算術平均粗さRaが粘着層21bの厚さt以下かつ粘着層21bの厚さtの0.04倍以上であり、単位平面積に対する表面積の比が5以上である凹凸領域を形成する。なお、成形型に凹凸領域を形成する方法としては、ブラスト処理の他、エッチング液などの化学薬品による化学反応・腐食作用を応用して被加工物を食刻する化学エッチング処理、プラズマ処理、コロナ処理、レーザ加工、切削加工などの方法がある。
また、フォトレジストの技術を組み合わせることで、成形型にライン状や格子状などのパターン状の凹凸領域も作製できる。また、必要に応じて凹凸領域の強度向上などのために、凹凸領域にクロムなどの金属めっきを施してもよい。成形型の材質としては、例えば、鉄鋼、セラミックス、ガラスなどを用いることができる。
次に、表示部20の樹脂材料を可塑化させ、成形型の凹凸領域の形状を転写して、ラベル貼付部22を有する表示部20を成形する。以上により、算術平均粗さRaが粘着層21bの厚さt以下かつ粘着層21bの厚さtの0.04倍以上であり、単位平面積に対する表面積の比が5以上であるラベル貼付部22を、表示部20に形成することができる。
以下、本実施形態の凍結保存容器1の作用について説明する。
凍結保存容器1は、凍結保存する内容物がチューブ11又はポート12を介して収容部10aに充填され、チューブ11を溶断したり、ポート12を閉鎖部材12aによって閉鎖したりすることによって密閉される。その後、凍結保存容器1は、液体窒素やディープフリーザー等を用いて−150℃から−196℃に冷却され、所定の検査を経て、内容物を凍結させた状態で保存される。
容器本体10に、直接、内容物の情報を表示する粘着ラベルを貼付する場合には、容器本体10が低温になることで、容器本体10の表面に結露が発生し、その水分による影響で粘着ラベルが剥離する虞がある。また、前記特許文献1に記載された従来の凍結保存用プラスチックバッグは、容器の外面に繊維シートを熱溶着させる必要がある。このような繊維シートは、発塵源となる虞があり、高度な清浄度が要求される医療分野では使用できない場合がある。また、材料費や製造工程の複雑さから製造コストが増大する虞がある。
これに対し、本実施形態の凍結保存容器1は、凍結保存される内容物が充填される容器本体10と、内容物に関する情報を表示する表示部20と、を備え、容器本体10と表示部20とを機械的に接続する接続部材30を有している。なお、表示部20は、凍結保存容器1の凍結及び検査の前に接続部材30を介して容器本体10に接続されてもよいし、凍結保存容器1の凍結及び検査の後に接続部材30を介して容器本体10に接続されてもよい。
凍結保存容器1の凍結及び検査の前に容器本体10に表示部20を接続する場合には、表示部20は容器本体10とともに冷却される。ここで、表示部20は、接続部材30によって容器本体10に機械的に接続されている。そのため、容器本体10の温度変化によって容器本体10の表面に結露しても、容器本体10と表示部20との接続に対する影響はない。
また、凍結保存容器1の凍結及び検査の後に容器本体10に表示部20を接続する場合には、容器本体10の表面に結露が発生しても、その水分による影響を受けることなく、接続部材30によって容器本体10に表示部20を機械的に接続することができる。したがって、本実施形態の凍結保存容器1によれば、結露等の水分の影響によって容器本体10から表示部20が脱落するのを防止することができる。
また、本実施形態の凍結保存容器1は、容器本体10及び表示部20が発塵源となる虞がある繊維シートを含まないため、従来よりも高度な清浄度が要求される分野での使用が可能になる。また、従来のように繊維シートを使用する必要がないため、材料費を削減し、製造工程を容易にして、従来よりも製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の凍結保存容器1において、接続部材30は、表示部20に接続された結束バンドであり、容器本体10は、結束バンドである接続部材30を挿通させる貫通孔13又は切込み13Aを有している。これにより、表示部20の貫通孔23に挿通されて表示部20に接続された接続部材30を、容器本体10の貫通孔13又は切込み13Aに挿通させ、接続部材30のバンド部31の一端のテール部を、バンド部31の他端のヘッド部の開口部に挿通させるだけで、表示部20を接続部材30に機械的に接続することができる。したがって、接続部材30を介して表示部20を容器本体10に機械的に接続するのが容易になる。
また、接続部材30が結束バンドである場合に、接続部材30と表示部20とが一体形成されている場合には、表示部20の貫通孔23に接続部材30を挿通させる手間を省くことができる。したがって、接続部材30を介して表示部20を容器本体10に機械的に接続するのがさらに容易になる。また、接続部材30が結束バンドである場合には、容器本体10の貫通孔13又は切込み13A、表示部20の貫通孔23、及び接続部材30のいずれかを破断させることなく、容器本体10から表示部20を取り外すことができなくなる。そのため、容器本体10に対する表示部20の不正な付け替え等を防止することができる。
また、本実施形態の凍結保存容器1において、容器本体10は、周縁部10bに貫通孔13又は切込み13Aを形成するための環状の破断可能部14又は線状の破断可能部14Aを有する凍結保存バッグである。そして、破断可能部14は、容器本体10の周縁部10bよりも破断強度が低い。
そのため、容器本体10の周縁部10bの環状の破断可能部14の内側の領域に、例えば指で押すなどして力を加えると、破断可能部14に応力が集中し、破断可能部14が環状に破断して、容器本体10の周縁部10bに新たな貫通孔13を形成することができる。また、線状の破断可能部14Aの場合は、たとえば容器本体10の周縁部10bを線状の破断可能部14Aに交差する方向に引っ張ることで、破断可能部14Aが線状に破断して線状の切込み13Aを新たに形成することができる。したがって、必要に応じて容器本体10に貫通孔13又は切込み13Aを増設し、新たな接続部材30を介して追加の表示部20を容器本体10に機械的に接続することができる。
凍結保存容器1において、表示部20は、基材層21aと粘着層21bとを有するラベル21と、ラベル21が貼付されるラベル貼付部22とを備えている。そして、ラベル貼付部22は、算術平均粗さRaが粘着層21bの厚さt以下かつ粘着層21bの厚さtの0.04倍以上であり、単位平面積に対する表面積の比が5以上である。
このように、表示部20のラベル貼付部22は、ラベル21の粘着層21bの厚さtの0.04倍以上の算術平均粗さRaを有する。そのため、ラベル貼付部22に形成された複数の微小な凸部22a及び凹部22bは、粘着層21bの厚さtの0.04倍以上の平均高さを有している。
また、ラベル貼付部22は、単位平面積に対する表面積の比が5以上であることから、上記の平均高さを有する複数の微小な凸部22a及び凹部22bを、単位平面積に対する表面積の比に対応する所定の密度で有している。
そのため、ラベル貼付部22に粘着層21bを密着させてラベル21を貼付すると、粘着層21bにラベル貼付部22の複数の微小な凸部22aが食い込むとともに、粘着層21bがラベル貼付部22の複数の微小な凹部22bに入り込む。これにより、表示部20のラベル貼付部22に粘着層21bを強固に接着することができ、表示部20の温度変化による状態の変化や結露等の水分によるラベル21の剥離を防止することができる。
また、ラベル貼付部22は、ラベル21の粘着層21bの厚さt以下の算術平均粗さRaを有していることから、ラベル貼付部22に形成された複数の微小な凸部22a及び凹部22bは、粘着層21bの厚さt以下の平均高さを有している。すなわち、ラベル貼付部22に形成された微小な凸部22aの大部分は、ラベル21の粘着層21bを貫通せず、ラベル21の基材層21aに達することなく粘着層21bに食い込む。
また、ラベル21の粘着層21bを貫通するラベル貼付部22の凸部22aは少数であるため、例えば、基材層21aに食い込んだり、基材層21aによって変形させられたりする。これにより、ラベル21の基材層21aに到達したラベル貼付部22の凸部22aによって、ラベル21の基材層21aが撓むのを防止することができ、ラベル21の粘着層21bとラベル貼付部22との間の密着性を向上させ、ラベル21の接着力を向上させることができる。
なお、ラベル貼付部22の算術平均粗さRaと単位平面積に対する表面積の比は、ラベル貼付部22内の重複しない2以上の測定範囲で測定し、各測定範囲は1mm以上離すことが好ましい。そして、各測定範囲において、ラベル貼付部22の算術平均粗さRaが粘着層21bの厚さt以下かつ粘着層21bの厚さtの0.04倍以上であり、単位平面積に対する表面積の比が5以上であるようにする。これにより、表示部20のラベル貼付部22に貼付したラベル21の剥離をより確実に防止することができる。
ラベル21の粘着層21bの厚さtは、10μm以上であることが好ましい。これにより、ラベル21の粘着層21bによる接着力を十分に確保することができるだけでなく、ラベル貼付部22の微小な凸部22a及び凹部22bの高さを0.4μm以上にすることができる。したがって、ラベル貼付部22の微小な凸部22aをラベル21の粘着層21bに確実に食い込ませるとともに、ラベル21の粘着層21bをラベル貼付部22の微小な凹部22bに確実に入り込ませることができ、ラベル21の粘着層21bをラベル貼付部22に強固に接着することができる。
ラベル21の粘着層21bの厚さtは、20μm以上であることがより好ましい。これにより、ラベル21の粘着層21bによる接着力をさらに強固にすることができるだけでなく、ラベル貼付部22の微小な凸部22a及び凹部22bの高さを0.8μm以上にすることができる。したがって、ラベル貼付部22の微小な凸部22aをラベル21の粘着層21bにより確実に食い込ませるとともに、ラベル21の粘着層21bをラベル貼付部22の微小な凹部22bにより確実に入り込ませることができ、ラベル21の粘着層21bをラベル貼付部22により強固に接着することができる。
以上説明したように、本実施形態の凍結保存容器1によれば、容器本体10から表示部20が脱落するのを防止することができ、従来よりも高度な清浄度が要求される分野での使用が可能で、従来よりも製造コストを低減することができる。
[実施形態2]
次に、本発明の凍結保存容器の実施形態2について、図1を援用し、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態2に係る凍結保存容器1Aの拡大平面図である。
本実施形態の凍結保存容器1Aは、主に、表示部20Aの構成と、接続部材30Aの構成が、前述の実施形態1で説明した凍結保存容器1と異なっている。本実施形態の凍結保存容器1Aのその他の点は、前述の実施形態1の凍結保存容器1と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の凍結保存容器1Aは、前述の実施形態1の凍結保存容器1と同様に、凍結保存される内容物が充填される容器本体10と、内容物に関する情報を表示する表示部20Aと、を備えている。また、凍結保存容器1Aは、容器本体10と表示部20Aとを機械的に接続する接続部材30Aを有している。
表示部20Aは、例えば、容器本体10と同様の柔軟なシート状の基材の間に、内容物の情報が印刷又は刻印された情報表示媒体24が、基材の周縁部を熱溶着することによって封入されている。情報表示媒体24としては、例えば、文字、記号、機械読み取り用のコード等の情報が印刷又は刻印された紙片や樹脂片を用いることができる。また、表示部20Aは、周縁部から延在する取付部25を有している。取付部25は、例えば、表示部20Aの周縁部と同様に、情報表示媒体24を封入する際に、基材同士が熱溶着された部分である。
接続部材30Aは、例えば、金属製のステープラの針である。接続部材30Aの両端部は、容器本体10の周縁部10bの表面側から、表示部20Aの取付部25及び容器本体10の周縁部10bを貫通して、容器本体10の周縁部10bの裏面側で周縁部10bに沿って折り曲げられている。これにより、接続部材30Aは、容器本体10と表示部20Aとを機械的に接続している。
本実施形態の凍結保存容器1Aによれば、容器本体10と表示部20Aとを機械的に接続する接続部材30Aを有することで、前述の実施形態1の凍結保存容器1と同様に、結露等の水分の影響によって、容器本体10から表示部20が脱落するのを防止することができる。
また、本実施形態の凍結保存容器1Aは、容器本体10及び表示部20Aが発塵源となる虞がある繊維シートを含まないため、従来よりも高度な清浄度が要求される分野での使用が可能になる。また、従来のように繊維シートを使用する必要がないため、材料費を削減し、製造工程を容易にして、従来よりも製造コストを低減することができる。
以上説明したように、本実施形態の凍結保存容器1Aによれば、容器本体10から表示部20Aが脱落するのを防止することができ、従来よりも高度な清浄度が要求される分野での使用が可能で、従来よりも製造コストを低減することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。例えば、前述の実施形態では、凍結保存容器が柔軟なシートからなる凍結保存バッグである場合について説明したが、本発明の凍結保存容器は、凍結保存バッグに限定されない。本発明は、例えば、チューブ型の凍結保存容器にも適用することができる。
凍結保存容器がチューブ型である場合には、凍結保存容器の蓋に、結束バンド等の接続部材取付用の貫通孔を形成することができる。また、チューブ型の容器本体が、例えば開口部の近傍において、径が縮小されたくびれ部を有する場合には、当該くびれ部に結束バンド等の接続部材を介して表示部を締結し、接続部材を介して容器本体に表示部を機械的に接続することが可能である。