JP4517918B2 - ピペット包装体 - Google Patents
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Description
ブリスター包装の開封方法は、蓋材と底材のシール層を引き剥がす、引き剥がし開封と、ピペット本体で蓋材を突き破る、突き刺し開封があり、ピペットの包装においては使用状況に応じてそれら両方の開封方式を使い分けられることが非常に重要となる(例えば特許文献1)。
更に、紙、不織材料の蓋材は不透明であることから、蓋材の方向からピペットの先端部と基端部の判別ができず、開封時に基端部の方向を確認する必要があり、特に連続して使用する場合の作業性が悪い。
すなわち、突き刺し開封の際、ピペットの基端部(マウスピース部)で蓋材を突き破ることになる。しかし、プラスチックの蓋材は、輸送途中の意図しない破れを防止しうるだけの強度を有するフィルムを用いており、ピペットの基端部は鋭利な形状でないため、適度な開封性を付与することが困難であった。そのため、開封性を改善する為に、フィルム表面にミシン目を入れることで突き刺し開封性の向上を図った包装材もあるが、突き刺し開封の際、基端部がミシン目の部分からずれた場合適度な開封感が得ずらく、ミシン目から意図しない破れが発生する可能性も考えられるという問題があった。
本発明においては少なくとも一方向の引張破壊強さが30MPa以上170MPa以下の樹脂フィルムを用いることで、作業者が容易に基端部分で突き刺し開封を行うことが可能で、輸送途中の意図しない破れの防止を達成している点が特徴である。
更に50MPa以上110MPa以下であれば、作業者が連続的に開封操作を繰り返しても負担を感じない、特に良好な突き刺し開封感を得ることができる。
引張破壊強さについてはJIS K 7127の方法で求めることができる。
ポリエステルフィルム、もしくはポリエステルフィルムを含む積層フィルムを使用することによって、突き刺し開封時にフィルムが伸びて基端部分にまとわりつく、もしくは破片が付着してしまうことがなく良好な開封感と無菌操作性を得ることができる。
この際、一般的なポリエチレンテレフタレートフィルムは引張破壊強さが200MPa〜250MPaである為、特に30MPa以上170MPa以下のポリエチレンテレフタレートフィルムを選択して使用する必要がある。
更に、先端部や基端部に割れやカケ等の異常があった場合にも、使用する前に異常の発見がしやすくなる。
透明な領域を設ける方法は特に限定するものではなく、第一の樹脂フィルム100に透明性を有するフィルムを用いて、少なくとも先端側と基端側に透明な領域を残して印刷を行う等の方法が挙げられる。
引張破壊強さが30MPa以上170MPa以下の第一の樹脂フィルム100と第二の樹脂フィルム200が引き剥がし可能なように周縁部が融着されていることで、引き剥がし開封と突き刺し開封の何れの方法でも開封することができ、第一の樹脂フィルム100を突き刺して開封するため、紙や不織布のような異物の混入が発生せず、滅菌されたピペットを無菌的に取り出しやすい。
また、第一の樹脂フィルム100に厚みが5μm以上30μm以下で、かつ少なくとも一方向の引張破壊強さが30MPa以上110MPa以下のポリエステルフィルムと、厚みが10μm以上50μm以下で、かつ少なくとも一方向の引張破壊強さが1MPa以上100MPa以下である凝集剥離タイプのイージーピールフィルムとの積層フィルムを使用することで、特に良好な突き刺し開封性と、引き剥がし開封性、および輸送途中の意図しない破れ防止、密封の視認性の点において特に優れたピペット包装体を得ることができる。
樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み16μm、引張破壊強さ75MPa)と、加熱融着層として、ポリエチレンフィルム(厚み30μm、引張破壊強さ15MPa)とをドライラミネートし第一の樹脂フィルムとし(厚み46μm、引張破壊強さ90MPa)、第二の樹脂フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレン(厚み150μm)を用い、長さ345mm、直径10mmのピペットを包装し、周縁部を熱融着したものを実施例1とした。
樹脂フィルムとして、セロファンフィルム(厚み20μm、引張破壊強さ100MPa)と、加熱融着層として、ポリエチレンフィルム(厚み30μm、引張破壊強さ15MPa)とをドライラミネートし第一の樹脂フィルムとし(厚み50μm、引張破壊強さ115MPa)、第二の樹脂フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレン(厚み150μm)を用い、長さ345mm、直径10mmのピペットを包装し、周縁部を熱融着したものを実施例2とした。
樹脂フィルムとして、ポリプロピレン(厚み30μm、引張破壊強さ10MPa)と、加熱融着層として、ポリエチレンフィルム(厚み30μm、引張破壊強さ15MPa)とをドライラミネートし第一の樹脂フィルムとし(厚み60μm、引張破壊強さ25MPa)、第二の樹脂フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレン(厚み150μm)を用い、長さ345mm、直径10mmのピペットを包装し、周縁部を熱融着したものを比較例1とした。
樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm、引張破壊強さ230MPa)と、加熱融着層として、ポリエチレンフィルム(厚み30μm、引張破壊強さ15MPa)とをドライラミネートし第一の樹脂フィルムとし(厚み42μm、引張破壊強さ245MPa)、第二の樹脂フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレン(厚み150μm)を用い、長さ345mm、直径10mmのピペットを包装し、周縁部を熱融着したものを比較例2とした。
樹脂フィルムとして、ポリエチレンラミネート紙(厚み430μm、引張破壊強さ2.7MPa)と、加熱融着層として、ポリエチレンフィルム(厚み30μm、引張破壊強さ15MPa)とをドライラミネートし第一の樹脂フィルムとし(厚み460μm、引張破壊強さ17.7MPa)、第二の樹脂フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレン(厚み150μm)を用い、長さ345mm、直径10mmのピペットを包装し、周縁部を熱融着したものを比較例3とした。
実施例1、2および比較例1〜3を各10本づつ突き刺し開封し、その開封感について評価した。
2.異物付着性の比較
実施例1、2および比較例1〜3を各10本づつ突き刺し開封し、取り出したピペット本体を超純水10mLで洗浄し、超純水中に回収された異物の有無を目視で確認した。
一方、比較例1ではフィルムがピペットの基端部分にまとわりつき、比較例2においてはかなりの力を加えないとフィルムは破れず、開封感は著しく劣っていた。
また、比較例3においては、突き刺し開封後のピペット本体に繊維異物の付着が確認されたが、実施例1、2および比較例1、2では繊維異物の付着は確認されなかった。
以上の結果から、実施例1、2はピペット包装体として優れた性能を有していることを確認した。
102 樹脂フィルム
104 加熱融着層
110 透明な領域(窓)
120 周縁部
200 第二の樹脂フィルム(底材)
300 ピペット
302 基端部(マウスピース部)
500 突き刺し開封部
Claims (5)
- 第一の樹脂フィルムと、第二の樹脂フィルムとが貼り合わされ、内部にピペットを収容する空間が形成された構成を有するピペット包装体であって、前記第一の樹脂フィルムの少なくとも一つの方向の引張破壊強さが30MPa以上170MPa以下であり、
前記第一の樹脂フィルムが、
長さ方向の先端側と基端側とに個別に設けられた、収容された前記ピペットの先端部と基端部とがそれぞれ外部から視認可能な透明な領域からなる窓と、
前記先端側と前記基端側との中間に設けられた、前記ピペットが外部から視認不可能な不透明な領域と、を有し、かつ、
前記第二の樹脂フィルムが透明な材料からなることを特徴とするピペット包装体。 - 前記第一の樹脂フィルムは、樹脂層と加熱融着層とを含み、
前記第一の樹脂フィルムと前記第二の樹脂フィルムとが、周縁部において、前記加熱融着層を介して引き剥がし可能に融着された構成を有する請求項1に記載のピペット包装体。 - 前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項2に記載のピペット包装体。
- 前記第一の樹脂フィルムの厚さが、15μm以上70μm以下である請求項1乃至3いずれかに記載のピペット包装体。
- 前記第二の樹脂フィルムには、ピペットの形状に沿うように底が形成されている請求項1乃至4いずれかに記載のピペット包装体。
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