JP3661096B2 - 滅菌バッグ - Google Patents
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Description
また、滅菌バッグを構成するフィルムとしては、ガス透過性であって細菌類が通過不能である紙または不織布からなるフィルムを用いることを要するが、大型のピンセットや鉗子などの鋭利な先端や凹凸を有する医療器具を投入する際に、紙や不織布の繊維の間隙にその先端が引っかかったり、凹凸が刺さったりして、ピンホールが開き、滅菌バッグの使用が不可能になるといった事態を引き起こす虞もある。
このような鋭利な先端を有する被滅菌物の滅菌用バッグとして合成樹脂製の舟形の底フィルムにより底部を形成してなる滅菌バッグが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような滅菌バッグでは、底面の合成樹脂フィルムが未使用時は山折りに折りたたまれた状態であり、被滅菌物を投入する際に、底が開いて所謂スタンディングパウチの如き形態となり、複数の鉗子などを立てて保存する際には場所を取らないという利点を有するが、鉗子などの投入時においては、合成樹脂フィルムが山折りされているため、不織布との接合部分に投入された鉗子の先端が接触しやすく、破損事故などの発生が生じやすいという問題はなお、残っていた。
この保護部材は、前記滅菌バッグの内側に配置され、ガス透過性基材のみならず、合成樹脂フィルムや、ガス透過性基材と合成樹脂フィルムとの接着部分をも保護するものであってもよい。
保護部材は、例えば、合成樹脂などの成形品であってもよく、フィルム状の部材であってもよい。また、ガス透過性基材のみを保護する場合には、その下端部及びその近傍に重層されて配置されてもよく、さらに、合成樹脂フィルム(他方の側面フィルム)をも保護する場合には、複数のフィルム基材からなる保護部材であっても、チューブ状に成形された保護部材であっても、さらにはフィルム状の保護部材をL字型、U字型に山折りして形成された有底または袋状の部材であってもよい。
このような保護部材が袋状をなす場合、例えば、合成樹脂フィルムを延長し、それを山折りして形成してもよく、側面フィルムとは別の、第3の合成樹脂フィルムを山折りして形成したものでもよく、さらには、ガス透過性基材と合成樹脂フィルムとを接着して形成したものであってもよい。
このような保護部材は、ガス透過性基材及び合成樹脂フィルムの少なくとも一方に熱融着されて固定されていればよく、好ましくは、少なくともガス透過性基材に固定される。より好ましくはガス透過性基材及び合成樹脂フィルムの両方に下部熱融着部においても固定されていると下部融着部の接着強度が向上し、鋭利な先端で下部融着部が剥離することを防止することができる。
これらの滅菌バッグは、メス、ピンセット、鉗子および鋏からなる群から選ばれる一種または二種以上の医療器具を滅菌するために好適に用いられる。
本発明の滅菌バッグは、一方の側面フィルムがガス透過性の紙又は不織布などの基材(以下、適宜、滅菌紙と称する)で構成され、他方の側面フィルムが合成樹脂フィルムで構成されるため、滅菌効率及び接着性に優れる。被滅菌物の視認性の点からは、合成樹脂フィルムは、透明であることが好ましい。
まず、本発明の滅菌バッグの好ましい態様について、例を挙げて説明する。本発明の滅菌バッグは、二枚の側面フィルムである滅菌紙と合成樹脂フィルムとを剥離可能に接着してなるものであり、二枚の基材フィルム間の接着は、少なくとも一方の側面フィルムとして熱融着性を有する合成樹脂フィルムとすることで容易に達成される。より確実に接着力と剥離性をコントロールするためには、イージーピール(易剥離)接着剤を用いたり、ガス透過性基材として熱可塑性樹脂の不織布を用い、合成樹脂フィルムとして適度な接着強度が発現する、熱可塑性の透明な合成樹脂フィルムを用いて両者を組合せたり、滅菌紙にガス透過性を損なうことなくシール層を積層したりして、両者を熱融着(ヒートシール)して接着するなど公知の方法が採用可能である。
合成樹脂製側面フィルムの厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般的には、30〜100μmの範囲である。
保護部材は、合成樹脂や金属製の成形品でもよいが、滅菌バッグを薄くできるという観点からは、フィルム状の部材であることが好ましい。フィルム状の部材としては、合成樹脂フィルムや金属箔などのシート状の部材の他、金網やネットなども素材やメッシュの大きさを適宜選択することで保護部材として使用することができる。
成形品としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の材料により、上部に開口した有底または袋状の形態、即ち、断面を見ると、L字、或いは、U字型に成形したものが挙げられる。
シート状の素材としては、内容品による突き刺しに耐える程度の強度を有していれば特に制限はなく、合成樹脂フィルム、金属箔、金網や合成樹脂フィラメントや合成繊維で編製又は織製されたネットなどが挙げられる。
なかでも、ガス不透過性の保護部材としては、例えば、厚みが50〜200μm程度等である、ポリエチレンやポリプロピレン製のフィルムなどが挙げられ、ガス透過性の保護部材としては、坪量が5〜100g/m2、好ましくは20〜60g/m2程度であるポリエチレンやポリプロピレンなどの不織布等が熱融着強度にも優れるので好ましく挙げられる。また、両者を組み合わせて保護部材を形成することもできる。
ガス透過性基材のみを保護する場合には、保護部材は1枚のフィルムであってもよいが、合成樹脂フィルム表面をも同時に保護する場合には、フィルム状の保護部材を2枚用いるか、チューブ状に成形した保護部材、或いは、1枚のフィルムを山折にして成形した袋状の保護部材を用いることができる。
これらの保護部材は滅菌バッグの内側に固定され、少なくともガス透過性基材に熱融着、接着などにより固定されていることが好ましい。
保護部材を滅菌バッグ内側に固定化する場合には、保護部材の上端(滅菌バッグの開口部側の端部)が滅菌バッグを構成する側面フィルムに熱融着、接着などにより密着されることが好ましく、この態様により、保護部材の端部への被滅菌物の引っ掛かりなどを抑制することができる。
合成樹脂フィルムを延長したもの、或いは、第3の合成樹脂シートをL字型、U字型に山折りして袋状に成形された保護部材を配置した後、滅菌バッグの内側に接着することにより、袋状の保護部材が形成、固定化される。この時、保護部材の両側端も滅菌バッグの両側端に挟み込んで接着することにより、より確実に固定化されるとともに両側端の熱融着部の保護にもなる。
滅菌バッグ10の、ガス透過性基材12は滅菌紙からなり、他方は少なくとも最内層がポリエチレンやポリプロピレンなどの熱融着性を有する合成樹脂フィルム14である。滅菌紙12の下端部近傍には、両面がポリエチレンやポリプロピレンなどの熱融着性を有する合成樹脂製のフィルム状の保護部材16が重層されている。滅菌バッグ10の上端は被滅菌物を収納するため開口されており、最下端部は、図2(B)に示すように滅菌紙12と合成樹脂フィルム14とが保護部材16を介して熱融着により封止されている。最下端は滅菌特性を損なわない領域において未融着部が残っていても良い。
この保護部材16は、滅菌紙12と熱融着により固定されている。保護部材16は、その上端、即ち、滅菌バッグの上方開口部側の末端部のみ、滅菌紙12と空隙なく密着するように固定されていれば、必ずしも保護部材16の全面にわたって滅菌紙12と接着されていなくてもよい。保護部材16は、その両端部で、それぞれ滅菌紙12、及び、合成樹脂フィルム14と熱融着により固定されていていることが好ましいが、固定されていなくてもよい。
この態様の滅菌バッグでは、両面がポリエチレンやポリプロピレンなどの熱融着性を有する合成樹脂からなる側面フィルム14を延長し、山折りして袋状の保護部材を形成している。
ガス透過性基材12である滅菌紙と合成樹脂フィルム14とを所定の幅で下端線に平行に予め接着する。図3(A)において接着部は22で表される。接着後に合成樹脂製フィルム14をガス透過性基材12に沿うように山折りにし、最下端部は、図3(B)に示すようにガス透過性基材12と合成樹脂フィルム14とがガス透過性基材12と接着された合成樹脂フィルム(図2(B)における保護部材16として機能する)を介して熱融着により封止する。最下端は熱融着部18となる。保護部材として機能する合成樹脂フィルム14の延長された端部は、ガス透過性基材12と熱融着により固定されている。
この態様では、保護部材16を別に設ける必要がなく、合成樹脂フィルム14を延長することで、保護フィルム領域が形成できるので、簡易な工程で滅菌バッグを製造できるという利点を有する。
滅菌バッグ30に用いられる側面フィルム(滅菌紙12及び合成樹脂フィルム14)は、前記第1及び第2の態様と同じものであってもよい。本態様では、保護部材16は外側に向かって形成された袋状部の態様を示している。袋状の保護部材16は、少なくともその両端部で、それぞれ滅菌紙12、及び、合成樹脂フィルム14と熱融着により固定されている。この第3の態様では、滅菌バッグ30の下端の融着部32で合成樹脂製の側面フィルム14と滅菌紙12のみが融着され、熱融着部32と保護部材16の袋状部下端の間に空隙34が形成されている。本態様においても、前記した2つの例と同様に、保護部材16はバッグ30の内面に位置して、特に滅菌紙12表面を保護するため、鋭利な先端を有する被滅菌物を投入しても、先端や凹凸は合成樹脂フィルム製の保護部材16の表面強度や平滑性によりその先端の衝撃が緩和され、あるいはそれらにより保護されるために、被滅菌物が滅菌紙12を傷つける懸念はない。また、滅菌バッグ30の下端融着部32と袋状の保護部材16の底部との間に存在する空隙34が、滅菌バッグ30に投入された被滅菌物が直接融着部32に与える衝撃を緩和するクッションの機能を発現するため、滅菌バッグ30の耐久性が一層向上する。
この第4の態様では、滅菌バッグ40に用いられる滅菌紙12、合成樹脂フィルム14は前記第3の態様と同じものであってもよい。本態様では、保護部材16は、ポリエチレンやポリプロピレン、不織布などの単層フィルムで両面が熱融着性を有する合成樹脂製のフィルム状の保護部材が好ましい。本態様では、保護部材16が外側に向かって形成された袋状部の態様を示している点も前記第3の態様と同様であるが、袋状の保護部材16に対する側面フィルム12、14の長さ(終端の位置)はフィルム状の保護部材16を山折りした長さと略同等である。なお、本態様ではこれらの長さは略同等としてあり、この態様が好ましいといえるが、両者の長さは異なる態様であってもよい。
この5つ目の変形例である滅菌バッグ50において用いられる滅菌紙12、合成樹脂フィルム14は前記した各態様と同じものであってもよい。本態様では、保護部材16として、ポリエステル、ナイロンなどの高強度合成樹脂フィルムとポリプロピレンなどの熱融着性を有する合成樹脂との積層体である合成樹脂フィルム54と熱融着性を有するポリプロピレン製不織布などからなる滅菌紙52とを片端部で熱融着して形成したV字型の袋状の部材を採用している。この保護部材の形状は、U字型あるいはV字型であってもよい。
この保護部材16において、熱融着された片端部は、合成樹脂フィルム54及び不織布52を構成する合成樹脂素材として、熱融着性を有するものを選択することにより強固な熱融着部となるため、ピンセットなどの先端を受け入れても容易に剥がれることはない。また、もしも一部が剥がれるような事態が生じても、滅菌バッグ50の下端融着部と、このV字型の袋状の保護部材16片端部(熱融着部)との間には空隙が存在するため、滅菌バッグ50の下端融着部に与える影響は極めて小さいものとなる。
保護部材16は、通常、その両端部で、それぞれ滅菌紙12、及び、合成樹脂フィルム14と固定されるが、固定を行う場合は、滅菌バッグ50の両側部の熱融着部に一部を挟み込んで熱融着されるが、接着剤でそれぞれの側面フィルムに固定することもできる。
保護部材16の視認性について述べれば、被滅菌物であるピンセットには種々の先端形状のものが存在し、把持部分はいずれも類似しているため、保護部材16として不透明のものを用いると先端部分の確認をし難いが、本態様の如く先端部分の視認性が高いことは、医療行為の最中において器具選択を間違いなく行うという観点から有用であり、また、器具の先端部分に不具合があった場合にも容易に確認できるという利点も有する。さらに、被滅菌物の先端部分がよく見えるということは使用者の安全上も重要である。
(実施例1)
幅70mm×高さ350mmで坪量70g/m2の紙製滅菌紙からなるガス透過性基材12と、同寸の、12μmの二軸延伸PET/30μmのPP樹脂層からなる合成樹脂フィルム14とを用いた。幅70mm×高さ45mmで坪量40g/m2のポリプロピレン製不織布を保護部材16としてガス透過性基材12の一端に、幅をそろえて、その全面を熱融着させた。
合成樹脂フィルム14とガス透過性基材12とを重ね、保護部材16を挟み込んで下端部に幅10mm、両側端に幅5mmの熱融着部を形成して、幅70mm、高さ350mmの大きさの、図1に示すような滅菌バッグ10を得た。
保護部材16の寸法を幅70mm×高さ60mmとし、高さが半分となるようにふたつ折りして、折込線が下端より15mmとなるように上部両端のみを5mm幅でガス透過性基材12と合成樹脂フィルム14との両方に熱融着したこと、下端部の熱融着部をガス透過性基材12と合成樹脂フィルム14のみとし、その幅を5mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、幅70mm、高さ350mmの大きさの、図4に示すような滅菌バッグ30を得た。
保護部材16として、幅70mm×高さ30mm×厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド(ナイロン:商標)樹脂フィルムの両面にポリプロピレン樹脂を20μm押出ラミネートした積層体である合成樹脂フィルム(積層フィルム)54と幅70mm×高さ30mmの実施例1で用いたのと同様の不織布52とを重ね、片端部で幅5mmに熱融着して形成したV字型の袋状の部材を用い、下端より15mmとなるように保護部材16の上部両端のみを5mm幅でガス透過性基材12と合成樹脂フィルム14との両方に熱融着したこと、バッグ下端部の熱融着部をガス透過性基材12と合成樹脂フィルム14のみとし、その幅を5mmとしたこと以外は実施例2と同様にして、幅70mm、高さ350mmの大きさの、保護部材16のみ上記態様を採用した他は図4に示すのと略同一の形状を有する滅菌バッグを得た。実施例3の滅菌バッグを成型するに際し、保護部材16の不織布52をガス透過性基材12側に、積層フィルム54を合成樹脂フィルム14側に配置した。なお、この実施例3では、実施例2を表す図4の保護部材16における合成樹脂フィルムの山折り線に相当する部分が、本態様における保護部材16を形成する際の片端部の融着部に相当するものとなる。
12 ガス透過性基材(滅菌紙)
14 合成樹脂フィルム
16 保護フィルム(保護部材)
Claims (7)
- 上部に開口部を残して、ガス透過性基材と合成樹脂フィルムの側縁部及び下端部を接着してなる滅菌バッグであって、
該滅菌バッグの下端部又はその近傍内面に、少なくとも該ガス透過性基材に上部が固定された、該ガス透過性基材を保護する保護部材を有することを特徴とする滅菌バッグ。 - 前記保護部材が、さらに合成樹脂フィルムをも保護するものである請求項1に記載の滅菌バッグ。
- 前記保護部材が、さらにガス透過性基材と合成樹脂フィルムとの接着部を保護するものである請求項1又は請求項2に記載の滅菌バッグ。
- 前記保護部材が、第3の合成樹脂フィルムを山折りして形成した袋状部材である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の滅菌バッグ。
- 前記保護部材が、ガス透過性を有する基材からなるものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の滅菌バッグ。
- 前記保護部材が、ガス透過性基材と合成樹脂フィルムとを接着して形成した袋状部材である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の滅菌バッグ。
- 前記滅菌バッグがメス、ピンセット、鉗子および鋏からなる群から選ばれる一種または二種以上の医療器具を滅菌するためのものである請求項1ないし請求項6のいずれかの1項に記載の滅菌バッグ。
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