JP2007299906A - シート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波をシールドする特性が有効に付与されているシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品を提供する。
【解決手段】シート状電磁波シールド性構造体11を具備する物品は、電磁波をシールドする特性が付与されている物品であって、薄層状基体1aに、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部1bが、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体1aの表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体11を、少なくとも具備している。シート状電磁波シールド性構造体11を具備する物品としては、電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、又はエンジン付き輸送機が好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート状電磁波シールド性構造体を具備する物品に関し、さらに詳細には、電磁波をシールドする特性が付与されている電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材や、エンジン付き輸送機等のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品に関する。
電磁波による電子機器又は電子回路基板の誤作動の防止、電磁波からの人体の保護、建築物内から外部への情報漏洩の防止、建築物内における電磁波の乱反射の防止、輸送機(特に航空機)の誤作動の防止などを目的として、従来、様々な電磁波シールド材(電磁波吸収材を含む)が提案されている。また、粘着テープが用いられる各種接合(例えば、電子部品等の接合など)において、導電性、電磁波伝導性、電磁波吸収性や、電磁波シールド性等の電磁波を伝導又は吸収する特性が必要とされる場合が多くなっている。そのため、粘着テープに導電性、電磁波伝導性、電磁波吸収性や電磁波シールド性等の電磁波を伝導又は吸収する特性を具備させる(持たせる)方法について、従来多くの検討がなされている。例えば、導電性、電磁波伝導性、電磁波吸収性や電磁波シールド性を有するものとして、粒子の非ランダム単層コーティングによって得られる導電性の相互接続材料(特許文献1参照)、シリコーンゴムに、シリカ粉末とカーボンブラックと金属粉末とを配合して得られる導電性のシール材(特許文献2参照)などが提案されている。また、導電性、電磁波伝導性、電磁波吸収性や電磁波シールド性を有するものとして、高分子基体上に、導電性繊維からなるフロックを植毛固着してなり、植毛の根元において植毛間に導電性が付与されている電磁波シールド性を有する高分子成形体が提案されている(特許文献3参照)。
前記導電性の相互接続材料は、導電性を保つために、導電性を有する粒子を規則的に配することを必要としている。導電性を有する粒子を規則的に配することが出来れば、確かに導電性の点では有用であるが、粒子を規則的に配することは、非常に煩雑であり、工程上困難が伴う。
また、前記導電性のシール材は、導電性を有する粒子を各種樹脂中に練り込むことで、導電性が具備されている。そのため、この場合の作製方法は簡単であり、工程上の問題は少ないが、導電性を持たせるために、多量の導電性の粒子を配合しなければならず、コスト的に割高になる欠点があった。また、多量の導電性の粒子が配合されるので、他の特性に影響が及ぼされる欠点などもあった。
さらに、前記電磁波シールド性を有する高分子成形体は、高分子基体上に、導電性を有する接着剤層等を用いて導電性繊維を植毛した構成を有しているので、電磁波シールド性が向上されているが、いまだ十分であるとは言えず、より一層優れた電磁波シールド性を有する構造体が求められている。
特表2002−501821号公報 特開平10−120904号公報 特開昭61−2394号公報
従って、本発明の目的は、電磁波をシールドする特性が有効に付与されているシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品を提供することにある。
本発明の他の目的は、電磁波をシールドする特性が有効に付与されている電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、又は輸送機を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着剤層に導電性を有する繊維による特定の構造部を設けると、該粘着剤層を有する部材に導電性を具備させることができ、しかも、容易且つ安価に作製されることを見出した。そして、この部材を用いると、電磁波を伝導又は吸収してシールドする特性が付与されている電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、及び輸送機を得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、電磁波をシールドする特性が付与されている物品であって、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることを特徴とするシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品である。
本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品としては、電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、又は輸送機が好適である。
前記電子機器としては、移動体通信機器、携帯情報端末、又はポータブルパソコンを好適に用いることができる。このような電子機器では、電子機器の筐体、又は電子機器中の電子回路基板に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されていることが好ましい。
前記衣料としては、オフィスワーク用エプロン、妊婦用衣服、医療用衣服、又は医療用エプロンを好適に用いることができる。
前記建築物用部材としては、壁用部材、床用部材、天井用部材、屋根用部材、又はレーダー周辺部用部材を好適に用いることができる。
前記輸送機としては、自動車、鉄道車両、船舶、又は航空機を好適に用いることができる。
これらのシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品では、シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体は、粘着剤層、接着剤層、およびポリマー層から選択された少なくとも1種の層であることが好ましく、電磁波を伝導又は吸収する特性を有していてもよい。
また、シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体は、支持体の少なくとも一方の面に形成されていてもよく、該支持体は、電磁波を伝導又は吸収する特性を有していることが好ましい。
さらに、シート状電磁波シールド性構造体において、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されていてもよく、該被覆層が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有していることが好ましい。
さらにまた、シート状電磁波シールド性構造体は、薄層状基体に、部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記薄層状基体の表面において、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な繊維保護材が設けられた構成を有していてもよく、該繊維保護材は、ネット状に貫通穴部を複数有している部材、または、穿孔により形成された貫通穴部を複数有しているシート状部材であってもよい。
さらに、シート状電磁波シールド性構造体は、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していてもよい。
本発明のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品は、前記構成を有しているので、電磁波をシールドする特性が有効に付与されている。従って、電磁波をシールドする特性が有効に付与されている電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、又は輸送機を提供することができる。
本発明は、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されているシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品(「電磁波シールド性構造体含有物品」と称する場合がある)である。
このように、本発明の電磁波シールド性構造体含有物品は、特定のシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波を伝導又は吸収してシールドする特性(「電磁波シールド性」と称する場合がある)が付与されている。なお、本発明では、電磁波シールド性構造体含有物品は、電磁波を反射することにより、電磁波シールド性が発揮されていてもよく、また電磁波を伝導乃至吸収することにより、電磁波シールド性が発揮されていてもよく、さらに、これらの組み合わせにより(すなわち、電磁波を反射、伝導や吸収することにより)、電磁波シールド性が発揮されていてもよい。
前記シート状電磁波シールド性構造体は、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部(「電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部」と称する場合がある)が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有している。シート状電磁波シールド性構造体は、図1(a)〜(b)に示されるように、薄層状基体を有しているとともに、薄層状基体に、少なくとも部分的に(全体的に又は部分的に)、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されている。このように、シート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有しているので、電磁波を伝導又は吸収する特性(「電磁波伝導吸収性」と称する場合がある)を優れたレベルで発揮することができ、電磁波シールド性構造体含有物品に電磁波シールド性を有効に付与することができる。
なお、図1は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。図1(a)〜(b)において、11、12は、それぞれ、シート状電磁波シールド性構造体、1aは薄層状基体、1a1は薄層状基体1aの表面、1bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図1(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体11は、薄層状基体1aの表面1a1に、全体的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部1bが形成された構成を有している。また、図1(b)で示されるシート状電磁波シールド性構造体12は、薄層状基体1aの表面1a1に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部1bが形成された構成を有している。
(電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部)
本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体では、前述のように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、薄層状基体に、少なくとも部分的に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側(外面側)に位置する形態で形成されている。前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成され、且つ電磁波伝導吸収性を有していれば、その形態又は構成は特に制限されない。具体的には、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の構成としては、例えば、(1)薄層状基体の表面に、全体的に又は部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている構成、(2)薄層状基体に部分的に凹部が形成されており、この凹部の壁面に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側(外部側)に突出している形態で、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている構成などが挙げられる。
このような電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の構成において、前述の構成(1)では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、薄層状基体の表面に形成されているので、すべての繊維が、薄層状基体の表面よりも外側に位置している部分を有する構成を有しているといえる。また、前述の構成(2)では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、薄層状基体における凹部の壁面に形成されているので、少なくとも一部の繊維(しかも、1本の繊維の中でも、その一部分)が、薄層状基体の表面よりも外側に位置している部分を有する構成を有しているといえる。このように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、すべての繊維が、必ず、薄層状基体の表面よりも外側(外部側)に位置している必要はなく、少なくとも一部の繊維(例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体の凹部の壁面に形成されている場合、薄層状基体の凹部壁面の上部側に形成された繊維など)が、薄層状基体の表面よりも外側に位置していればよい。
また、薄層状基体の表面よりも外側に位置している繊維としては、1本の繊維の全長が薄層状基体の表面よりも外側に位置している必要はなく、1本の繊維の少なくとも一部分が薄層状基体の表面よりも外側に位置していればよい。
さらに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体における凹部の壁面に形成されている場合、薄層状基体の凹部の壁面の全面に形成されている必要はなく、薄層状基体の凹部の壁面の少なくとも一部分に形成されていればよい。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形状であり、且つ繊維によって凸状形状に形成され、さらに電磁波伝導吸収性を有している構造部であればよく、例えば、形成されている面から繊維が起立している構造の電磁波伝導吸収性を有する繊維起毛部(「電磁波伝導吸収性繊維起毛部」と称する場合がある)や、形成されている面に繊維の固まりが設けられたような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。具体的には、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体の表面に形成されている場合、繊維が薄層状基体の表面から起立している構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部、繊維の固まりが薄層状基体の表面に設けられたような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体における凹部の壁面に形成されている場合、繊維の少なくとも一部が薄層状基体の凹部の壁面から、薄層状基体の表面よりも外側に起立して突出している(特に、繊維の端部が突出している)構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部、繊維の固まりが薄層状基体の凹部壁面に設けられ、薄層状基体の表面よりも外側に繊維の一部分が突出したような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、単一の構造よりなるものであってもよく、複数の構造が組み合わされた構造よりなるものであってもよい。
なお、1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、通常、複数の繊維により構成されている。1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する繊維の数や密度は、特に制限されず、目的とする電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができる。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、形成されている面から繊維が起立している構造の電磁波伝導吸収性繊維起毛部(なかでも、繊維が薄層状基体の表面から起立している構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が好ましい。
このような電磁波伝導吸収性繊維起毛部の構造としては、例えば(1)1本の繊維の一方の端部が薄層状基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、他方の端部が固定されていない(自由となっている)状態で、薄層状基体の表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造、(2)1本の繊維の中央部が薄層状基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着され、繊維の両端部が固定されていない(自由となっている)状態で、薄層状基体の表面よりも外側に繊維が略V字型に起立して突出している構造、(3)1本の繊維の両端部が薄層状基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、繊維の中央部が固定されていない(自由となっている)状態で、薄層状基体の表面よりも外側に繊維が逆略U字型に起立して突出している構造の他、薄層状基体の所定の面(表面や凹部壁面など)から、薄層状基体の表面よりも外側に繊維が略W字型、略M字型、略N字型、略O字型などの形状で起立して突出している構造、さらには、これらの構造が組み合わされた構造などが挙げられる。電磁波伝導吸収性繊維起毛部の構造としては、前記(1)の構造(薄層状基体の表面又は凹部壁面等の所定の面から基体の表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造)が好適である。
もちろん、電磁波伝導吸収性繊維起毛部は、薄層状基体の所定の面(表面や凹部壁面など)から繊維が、I字型などのように直線状に起立して、薄層状基体の表面よりも外側に突出した状態であってもよく、ギザギザ状、波線状、ループ状などの形態を有する状態で、全体的に起立して、薄層状基体の表面よりも外側に突出した状態であってもよい。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は薄層状基体に部分的に設けられている場合、その全体としての形状としては、特に制限されず、所定のパターン形状を有していてもよい。なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体における凹部の壁面に形成されている場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における全体としての形状は、凹部の全体としての形状に対応することになる。
薄層状基体における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が設けられている部位の全面積(全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積)としては、特に制限されないが、電磁波伝導吸収性の観点から、例えば、薄層状基体の一方の側の全表面積に対して0%より大きい割合となる面積であればよい。全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、シート状電磁波シールド性構造体の用途や、シート状電磁波シールド性構造体の一方の面における表面積の大きさなどに応じて適宜選択することができる。具体的には、シート状電磁波シールド性構造体が、例えば、電子機器又は電子回路基板で用いられる場合(例えば、電子機器としての移動体通信機器、携帯情報端末またはポータブルパソコンや、これらの電子機器中の電子回路基板で用いられる場合)、全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、0.3%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30%以上であり、特に45%以上であることが好適である。また、シート状電磁波シールド性構造体が、例えば、衣料、建築物、建築物用部材またはエンジン付き輸送機で用いられる場合、全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、0.03%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以上であり、特に0.3%以上であることが好適である。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に部分的に設けられている場合、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の薄層状基体表面における面積や、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部間の最短の間隔などは、特に制限されない。
また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の薄層状基体表面における面積としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部により囲まれた部分の面積とすることができる。従って、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体における凹部の壁面に形成されている場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の薄層状基体表面における面積は、凹部の薄層状基体表面における開口部の面積に相当する。
このような電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、電磁波伝導吸収性を有する繊維(「電磁波伝導吸収性繊維」と称する場合がある)により構成することができる。電磁波伝導吸収性繊維としては、特に制限されず、繊維素材自体が電磁波伝導吸収性を有する繊維(「電磁波伝導吸収性素材繊維」と称する場合がある)であってもよく、繊維素材に電磁波伝導吸収性が電磁波伝導吸収性材料により付与された繊維(「電磁波伝導吸収性付与繊維」と称する場合がある)であってもよい。電磁波伝導吸収性繊維は単独で又は2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する繊維としては、電磁波伝導吸収性繊維とともに、電磁波伝導吸収性を有していない繊維(「非電磁波伝導吸収性繊維」と称する場合がある)が用いられていてもよい。このように、電磁波伝導吸収性繊維とともに、非電磁波伝導吸収性繊維が用いられている場合、電磁波伝導吸収性繊維と非電磁波伝導吸収性繊維とは、それぞれ別々の糸として用いられていてもよく、一本の糸として用いられていてもよい。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、電磁波伝導吸収性繊維のみによる糸と非電磁波伝導吸収性繊維のみによる糸とにより構成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維と非電磁波伝導吸収性繊維との撚り糸により構成されていてもよい。非電磁波伝導吸収性繊維としては、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系樹脂繊維などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性繊維において、電磁波伝導吸収性素材繊維としては、繊維素材自体が電磁波伝導吸収性を有している材料により構成された繊維を用いることができる。電磁波伝導吸収性素材繊維としては、例えば、炭素系繊維や、導電性ポリマーによる繊維の他、金属系繊維などが挙げられる。なお、炭素系繊維としては、カーボンブラック等の炭素系素材による繊維などが挙げられる。また、導電性ポリマーによる繊維における導電性ポリマーとしては、特に制限されず、ポリアセチレン系導電性ポリマー、ポリピロール系導電性ポリマー、ポリアセン系導電性ポリマー、ポリフェニレン系導電性ポリマー、ポリアニリン系導電性ポリマー、ポリチオフェン系導電性ポリマーなどが挙げられる。さらに、金属系繊維としては、特に制限されず、例えば、下記に具体的に例示された金属材料よりなる繊維などから適宜選択することができる。具体的には、金属系繊維としては、例えば、金繊維、銀繊維、アルミニウム繊維、鉄繊維、銅繊維、ニッケル繊維、ステンレス系繊維、銅−ニッケル合金繊維等の金属元素よりなる繊維の他、硫化銅繊維等の金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物よりなる繊維などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性繊維において、電磁波伝導吸収性付与繊維としては、電磁波伝導吸収性材料により電磁波伝導吸収性が付与された形態の繊維であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性材料により被覆された繊維(「電磁波伝導吸収材被覆繊維」と称する場合がある)や、電磁波伝導吸収性材料が含浸された繊維(「電磁波伝導吸収材含浸繊維」と称する場合がある)の他、繊維素材中に電磁波伝導吸収性材料が含有された繊維(「電磁波伝導吸収材含有素材繊維」と称する場合がある)などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性付与繊維としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性が電磁波伝導吸収性材料により付与される前の繊維(繊維素材)としては、特に制限されず、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよい。また、繊維素材(繊維)としては、電磁波伝導吸収性繊維であってもよく、非電磁波伝導吸収性繊維であってもよい。より具体的には、繊維素材(繊維)としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリエステル系繊維(商品名「テトロン」など)、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系樹脂繊維等の非電磁波伝導吸収性繊維や、炭素繊維(炭素系繊維)等の電磁波伝導吸収性繊維などが挙げられる。繊維素材としては、非電磁波伝導吸収性繊維が好ましく、特に綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維が好適である。繊維素材は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
また、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材被覆繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料や、電磁波伝導吸収性を有するプラスチック材料(「電磁波伝導吸収性プラスチック材料」と称する場合がある)の他、各種磁性材料などを用いることができ、金属材料を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。電磁波伝導吸収材被覆繊維において、金属材料としては、金属元素単体や合金等の金属元素のみからなる金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物であってもよい。金属材料としては、金属元素のみからなる金属材料が好適である。具体的には、金属元素単体よりなる金属材料における金属元素としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族元素;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2族元素;スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウムなど)、アクチノイド元素(アクチニウムなど)等の周期表3族元素;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期表4族元素;バナジウム、ニオブ、タンタル等の周期表5族元素;クロム、モリブデン、タングステン等の周期表6族元素;マンガン、テクネチウム、レニウム等の周期表7族元素;鉄、ルテニウム、オスミウム等の周期表8族元素;コバルト、ロジウム、イリジウム等の周期表9族元素;ニッケル、パラジウム、白金等の周期表10族元素;銅、銀、金等の周期表11族元素;亜鉛、カドミウム、水銀等の周期表12族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表13族元素;スズ、鉛等の周期表14族元素;アンチモン、ビスマス等の周期表15族元素などが挙げられる。一方、合金としては、例えば、ステンレス、銅−ニッケル合金、真ちゅう、ニッケル−クロム合金、鉄−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金、金−銅合金、スズ−鉛合金、銀−スズ−鉛合金、ニッケル−クロム−鉄合金、銅−マンガン−ニッケル合金、ニッケル−マンガン−鉄合金などが挙げられる。
また、金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物としては、前記に例示の金属元素や合金を含む電磁波伝導吸収性を発揮できる金属系化合物であれば特に制限されず、例えば、硫化銅等の金属硫化物;酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウムスズ等の金属酸化物や金属複合酸化物などが挙げられる。
金属材料としては、具体的には、金、銀、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、ステンレス、銅−ニッケル合金を好適に用いることができ、特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金を好適に用いることができる。
なお、電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、例えば、ポリアセチレン系導電性ポリマー、ポリピロール系導電性ポリマー、ポリアセン系導電性ポリマー、ポリフェニレン系導電性ポリマー、ポリアニリン系導電性ポリマー、ポリチオフェン系導電性ポリマー等の導電性ポリマー等の導電性プラスチック材料などが挙げられる。
さらに、磁性材料としては、特に制限されず、例えば、軟磁性粉、各種フェライト、酸化亜鉛ウイスカーなどが挙げられる。磁性材料としては、フェロ磁性やフェリ磁性を示す強磁性体が好適である。具体的には、磁性材料としては、例えば、高透磁率フェライト(いわゆる「ソフトフェライト」;いわゆる「Mnフェライト」、いわゆる「Niフェライト」、いわゆる「Znフェライト」、いわゆる「Mn−Znフェライト」、いわゆる「Ni−Znフェライト」など)、純鉄、ケイ素原子含有鉄(いわゆる「ケイ素鋼」)、ニッケル−鉄系合金(いわゆる「パーマロイ」;ニッケル−マンガン−鉄合金、ニッケル−モリブデン−銅−鉄合金、ニッケル−モリブデン−マンガン−鉄合金など)、鉄−コバルト系合金、アモルファス金属高透磁率材料、鉄−アルミニウム−ケイ素合金(いわゆる「センダスト合金」)、鉄−アルミニウム−ケイ素−ニッケル合金(いわゆる「スーパーセンダスト合金」)、いわゆる「フェライト磁石」(いわゆる「ハードフェライト」;いわゆる「Baフェライト」、いわゆる「Srフェライト」など)、いわゆる「アルニコ磁石」(鉄−ニッケル−アルミニウム−コバルト合金)、鉄−クロム−コバルト合金、いわゆる「希土類コバルト磁石」(いわゆる「Sm−Co磁石」、いわゆる「2−17型磁石」)、いわゆる「Nd−Fe−B磁石」、いわゆる「希土類鉄窒素侵入型化合物磁石」、いわゆる「Mn−Al−C磁石」などが挙げられる。
電磁波伝導吸収材被覆繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材に被覆させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の被覆方法を適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料である場合、電磁波伝導吸収材被覆繊維の形成方法としては、金属材料の蒸着による被覆方法や、金属材料のメッキによる被覆方法が好適である。
また、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収材被覆繊維における電磁波伝導吸収性材料と同様の電磁波伝導吸収性材料(例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)を用いることができ、金属材料(特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金)を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材に含浸させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の含浸方法を適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料である場合、電磁波伝導吸収材含浸繊維の形成方法としては、金属材料中に繊維素材を浸漬させる含浸方法が好適である。
なお、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材含有素材繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収材被覆繊維における電磁波伝導吸収性材料と同様の電磁波伝導吸収性材料(例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)を用いることができ、金属材料(特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金)を好適に用いることができる。このような金属材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状、薄層状や繊維状などの各種の形態を有していてもよい。また、電磁波伝導吸収材含有素材繊維における繊維素材の材料としては、プラスチック材料(例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂など)が好適に用いられる。電磁波伝導吸収材含有素材繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材中に含有させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の含有方法を適宜選択して利用することができる。例えば、繊維素材の材料と、電磁波伝導吸収性材料とを混練等により混合した後、繊維化させることにより、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材中に含有させる方法などが挙げられる。
本発明では、電磁波伝導吸収性繊維としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維、電磁波伝導吸収材含浸繊維および電磁波伝導吸収性素材繊維から選択された少なくとも1種の繊維を好適に用いることができる。従って、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維、電磁波伝導吸収材含浸繊維および電磁波伝導吸収性素材繊維から選択された少なくとも1種の繊維により好適に構成することができる。
このような電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)としては、短繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性繊維の長さが長くなると、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が横倒し易くなる。電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)としては、その長さが0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.3〜2mm)程度であることが望ましい。なお、電磁波伝導吸収性繊維の長さが短すぎると、製造が難しく、高価になるため、コスト的な観点からも好ましくない。
また、電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)の太さとしては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20デニール(好ましくは0.5〜15デニール、さらに好ましくは1〜6デニール)程度の範囲から選択することができる。電磁波伝導吸収性繊維の太さが太すぎると、例えば、構造体の屈曲性や柔軟性が低下する。一方、電磁波伝導吸収性繊維の太さが細すぎると、取り扱い性が低下するため好ましくない。
さらに、電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)の太さ、直径によっても規定又は設定することができる。電磁波伝導吸収性繊維の直径としては、例えば、5〜100μm(好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜45μm)の範囲から選択することもできる。
なお、電磁波伝導吸収性繊維としては、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維や、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収性繊維を用いることが好ましく、特に複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性繊維として、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維が用いられている場合、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維は、それぞれ別々の糸として用いられていてもよく、一本の糸として用いられていてもよい。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維による複数種又は2種以上の糸により構成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維が複数種又は2種以上用いられた撚り糸により構成されていてもよい。このように、電磁波伝導吸収性繊維としては、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維等を用いると、下記に示されるように、幅広い電磁波に対応した構造体を得ることができる。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(特に、電磁波伝導吸収性繊維起毛部)を形成する方法としては、特に制限されないが、下記に示されるように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。なお、植毛加工方法により薄層状基体の表面の所定の部位に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成させる際には、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成する所定の部位に対応した位置に、貫通穴部を有している部材、予め薄層状基体の表面の所定の位置に設けてから、植毛加工を行うことが好ましい。また、植毛加工方法により薄層状基体の凹部の壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させる際には、薄層状基体の凹部(電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する凹部)に対応した位置に、貫通穴部を有している部材を、予め薄層状基体の表面の所定位置に設けてから、植毛加工を行うことが好ましい。
(薄層状基体)
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する薄層状基体としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する際に流動性や、粘着性又は接着性(粘接着性)などを確保できるものであれば特に制限されない。薄層状基体は、単層の形態、積層された形態の何れの形態を有していてもよい。本発明では、薄層状基体としては、図2(a)〜(c)や、図3(a)〜(c)で示されるように、粘着剤層、接着剤層やポリマー層を好適に用いることができ、特に、粘着剤層又接着剤層(「粘接着剤層」と称する場合がある)が好適である。図2は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。図2において、2aはシート状電磁波シールド性構造体、2a1は粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)、2a2は薄層状基材、2a3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、2bはシート状電磁波シールド性構造体、2b1は粘着剤層、2b2は剥離ライナー、2b3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、2cはシート状電磁波シールド性構造体、2c1はポリマー層、2c2は電磁波伝導吸収性繊維起毛部である。図2(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体2aは、支持体としての基材2a2の片面に、薄層状基体としての粘接着剤層2a1が形成され、該粘接着剤層2a1の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部2a3が形成された構成を有している。図2(b)で示される構造体2bは、支持体としての剥離ライナー2b2の片面に、薄層状基体としての粘着剤層2b1が形成され、該粘着剤層2b1の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部2b3が形成された構成を有している。図2(c)で示される構造体2cは、薄層状基体としてのポリマー層2c1の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部2c2が形成された構成を有している。
また、図3は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。図3において、3aはシート状電磁波シールド性構造体、3a1は粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)、3a2は薄層状基材、3a3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、3bはシート状電磁波シールド性構造体、3b1は粘着剤層、3b2は剥離ライナー、3b3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、3cはシート状電磁波シールド性構造体、3c1はポリマー層、3c2は電磁波伝導吸収性繊維起毛部である。図3(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体3aは、支持体としての基材3a2の片面に、薄層状基体としての粘接着剤層3a1が形成され、該粘接着剤層3a1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部3a3が形成された構成を有している。図3(b)で示される構造体3bは、支持体としての剥離ライナー3b2の片面に、薄層状基体としての粘着剤層3b1が形成され、該粘着剤層3b1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部3b3が形成された構成を有している。図3(c)で示される構造体3cは、薄層状基体としてのポリマー層3c1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部3c2が形成された構成を有している。
薄層状基体としての粘着剤層又は接着剤層(粘接着剤層)において、粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。一方、接着剤層を構成する接着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ビニルアルキルエーテル系接着剤、シリコーン系接着剤、フッ素系接着剤などの公知の接着剤を用いることができる。また、接着剤は、感熱接着剤であってもよい。粘着剤や接着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤や接着剤は、エマルジョン系、溶剤系、オリゴマー系、固系などのいずれの形態の粘着剤又は接着剤であってもよい。
なお、粘着剤や接着剤は、粘着性成分又は接着性成分等のポリマー成分(ベースポリマー)の他に、粘着剤や接着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。粘着剤層や接着剤層を形成する際に架橋する場合は、加熱による加熱架橋方法、紫外線照射による紫外線架橋方法(UV架橋方法)、電子線照射による電子線架橋方法(EB架橋方法)、室温等で自然に硬化させる自然硬化方法等の公知の架橋方法を利用することができる。
本発明では、粘接着剤層としては、粘着剤層が好適である。粘着剤層を構成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
粘接着剤層の形成方法としては、公知の粘着剤層の形成方法又は公知の接着剤層の形成方法(例えば、塗布形成方法や転写形成方法など)を採用することができ、シート状電磁波シールド性構造体や、粘接着剤層が形成される支持体の種類、形状や大きさなどに応じて、適宜選択することができる。具体的には、例えば、粘着剤層が、下記に示されるように、支持体としての基材上に形成されている場合、粘着剤層の形成方法としては、基材上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。また、例えば、下記に示されるように、支持体としての剥離ライナー上に形成されている場合、粘着剤層の形成方法としては、剥離ライナーの剥離面上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。なお、接着剤層の形成方法としては、例えば、接着剤層が支持体としての基材上に形成されている場合、基材の所定の面に、接着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。
一方、薄層状基体としてのポリマー層を構成するためのポリマー成分としては、特に制限されず、公知のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分の他、ゴム成分やエラストマー成分など)の中から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には、ポリマー層を構成するポリマー成分において、樹脂成分しては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアリール、ポリスルホンなどが挙げられる。また、ゴム成分としては、例えば、天然ゴムや、合成ゴム(ポリイソブチレン、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム等)などが挙げられる。さらにまた、エラストマー成分としては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
薄層状基体(粘接着剤層やポリマー層など)の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm)程度の範囲から選択することができる。
なお、薄層状基体(特に粘着剤層)には、部分的に凹部が形成されていてもよい。このような凹部としては、陥没部であってもよいが、孔部(貫通孔部)であることが好ましく、孔部の中でも、特に穿孔部が好適である。このような凹部において、凹部全体としての形状、各凹部の薄層状基体表面における開口部の形状、凹部の薄層状基体表面における開口部の全面積、各凹部の薄層状基体表面における開口部の面積などとしては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に対応したものとすることができる。なお、凹部が陥没部である場合、その深さは、特に制限されず、薄層状基体の厚みの1%以上(例えば、1〜99%、好ましくは30〜90%)に相当する深さの範囲から適宜選択することができる。
また、薄層状基体としての粘着剤層は剥離ライナー上に形成することができ、この場合、凹部としての陥没部は、粘着剤層の少なくともいずれか一方の表面に形成することができ、好ましくは粘着剤層の片側の表面である。さらにまた、支持体としての基材の両面に、薄層状基体としての粘着剤層を形成することができ、この場合、凹部(陥没部や孔部など)は、少なくともいずれか一方の粘着剤層の表面に形成することができ、好ましくは片側の粘着剤層の表面である。凹部が孔部である場合、孔部を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、凹部が陥没部である場合、陥没部を形成する方法としては、孔部と同様の形成方法を採用することができる。
本発明では、薄層状基体(粘接着剤層や、ポリマー層など)は、シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性をより一層向上させる観点などから、電磁波伝導吸収性を有していることが好ましい。電磁波伝導吸収性を有している薄層状基体は、電磁波伝導吸収性材料を含有する組成物(粘着剤組成物、接着剤組成物や、ポリマー組成物など)により形成することができる。薄層状基体において用いられる電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記に例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料(例えば、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)などが挙げられる。金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状又は薄層状など何れの形態を有していてもよい。
電磁波伝導吸収性材料を含有する薄層状基体(粘着剤組成物、接着剤組成物やポリマー組成物など)は、粘着剤層を構成する粘着剤、接着剤層を構成する接着剤またはポリマー層を構成するポリマー成分と、電磁波伝導吸収性材料とを混合することにより調製することができる。なお、電磁波伝導吸収性材料の含有割合としては、特に制限されず、粘着剤又は接着剤の粘着性又は接着性、粘接着剤層やポリマー層の電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができ、例えば、粘着剤組成物、接着剤組成物又はポリマー組成物中の固形分全量に対して3〜98重量%(特に5〜95重量%)であることが好ましい。電磁波伝導吸収性材料の含有割合が過少であると薄層状基体の電磁波伝導吸収性が低下し、一方、過多であると、薄層状基体が粘接着剤層である場合、粘着性又は接着性が低下する。
(支持体)
本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体(特に、薄層状基体としての粘接着剤層)は、支持体の少なくとも一方の面に形成されていてもよい。なお、薄層状基体が支持体の両面に形成されている場合、支持体の一方の面に形成された薄層状基体のみに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていてもよく、また、支持体の両面に形成された薄層状基体に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていてもよい。
このような支持体としては、特に制限されず、シート状電磁波シールド性構造体の種類などに応じて適宜選択して用いることができる。支持体の形状としては、何れの形状を有していてもよい。支持体の形状としては、例えば、球状、円柱状、多面体形状、多角錐状、円錐状、板状、シート状などが挙げられる。また、支持体の材料としては、特に制限されず、いずれの材料であってもよく、例えば、プラスチック材、金属材、繊維材、紙材などが挙げられ、これらの材料は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
本発明では、支持体としては、シート状の形態を有していることが好ましい。支持体がシート状の形態を有している場合、シート状電磁波シールド性構造体は、シート状の形態を有するシート状構造体として利用することが可能となる。このようなシート状の形態を有している支持体としては、例えば、薄層状基体が粘接着剤層である場合、粘着テープ又はシート用基材などのシート状の基材や、粘着テープ又はシート用剥離ライナーなどを用いることができる。具体的には、シート状電磁波シールド性構造体が、例えば、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートにより形成されている場合、支持体としては、粘着テープ又はシート用基材を用いることができる。また、シート状電磁波シールド性構造体が、例えば、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートにより形成されている場合、支持体としては、粘着テープ又はシート用剥離ライナー(セパレータ)を用いることができる。なお、シート状電磁波シールド性構造体が、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートにより形成されている場合、シート状電磁波シールド性構造体としては、例えば、支持体としての基材(粘着テープ又はシート用基材)の片面又は両面に粘着剤層が形成されているとともに、基材の片面又は両面に形成された粘着剤層の表面や凹部壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよい。一方、シート状電磁波シールド性構造体が、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートにより形成されている場合、シート状電磁波シールド性構造体としては、例えば、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)が粘着剤層の支持体となっているとともに、粘着剤層の表面や凹部壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよい。なお、支持体としての剥離ライナーは、シート状電磁波シールド性構造体を使用するまでの間、粘着剤層を支持しているとともに、粘着剤層の表面を保護している。
(基材)
支持体としての基材としては、前述のように、シート状の基材を好適に用いることができる。このようなシート状の基材としては、粘着テープ又はシート用基材(基材)が好適に用いられる。基材としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(金属系基材、紙系基材、繊維系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。なお、基材として発泡体を用いると、被着体の表面の凹凸部に対する追従性を高めることができる。
基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材が好ましい。このようなプラスチック系基材の素材(プラスチック材料)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。また、基材において、プラスチック系基材のプラスチック材料としては、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料など)であってもよい。導電性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の導電性ポリマーなどが挙げられる。プラスチック材料は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
また、金属系基材(金属箔や金属板など)を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。金属材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性をより一層高めるために、基材としては、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する基材(「電磁波伝導吸収性基材」と称する場合がある)を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性基材としては、電磁波伝導吸収性を発揮可能な基材であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性材料により構成された基材、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性基材において、電磁波伝導吸収性材料により構成された基材としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維や、粘着剤組成物又は接着剤組成物中に含有させる電磁波伝導吸収性材料において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材としては、各種基材の表面又は内部に、電磁波伝導吸収性材料が用いられている基材であれば特に制限されない。電磁波伝導吸収性材料を表面に含有する基材としては、電磁波伝導吸収性材料を含有する電磁波伝導吸収性材料含有組成物による層(「電磁波伝導吸収性材料含有層」と称する場合がある)を表面に有する基材などが挙げられる。電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材において、電磁波伝導吸収性材料含有層としては、基材の少なくとも一方の面に形成されていればよい。また、電磁波伝導吸収性材料含有層の厚みとしては特に制限されず、例えば、0.1μm以上(例えば、0.1μm〜1mm)の範囲から適宜選択することができ、電磁波伝導吸収性材料含有層は、厚みが薄い層(例えば、厚みが0.1〜30μm程度の薄膜層)であってもよい。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材としては、電磁波伝導吸収性を有していない基材(「非電磁波伝導吸収性基材」と称する場合がある)上に、厚みが薄い電磁波伝導吸収性材料含有層が形成された構成を有している基材であってもよく、また、非電磁波伝導吸収性基材と、電磁波伝導吸収性材料含有層とが積層された構成を有している基材であってもよい。
このような電磁波伝導吸収性材料含有層を形成するための電磁波伝導吸収性材料含有組成物において、電磁波伝導吸収性材料は、主成分として含有していてもよく、混合成分(副成分)として含有していてもよい。電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などを用いることができる。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層は、金属箔や金属板等の金属材料層や、電磁波伝導吸収性プラスチック材料製フィルム又はシート等の電磁波伝導吸収性プラスチック材料層、磁性材料層などであってもよい。なお、電磁波伝導吸収性材料含有層を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料などが挙げられる。さらにまた、磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。電磁波伝導吸収性材料は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状又は薄層状など何れの形態を有していてもよい。
また、電磁波伝導吸収性材料により被覆又は積層される非電磁波伝導吸収性基材としては、電磁波伝導吸収性を有していない基材であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック系基材(ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の電磁波伝導吸収性を有していない樹脂を素材とするプラスチック系基材など)、電磁波伝導吸収性を有していない紙系基材(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)、電磁波伝導吸収性を有していない繊維系基材(電磁波伝導吸収性を有していない布や不織布など)などを用いることができる。なお、非電磁波伝導吸収性基材は、単層、積層体の何れの形態を有していてもよい。
なお、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材において、電磁波伝導吸収性材料含有層を基材の表面に形成する方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類や、電磁波伝導吸収性材料含有層の厚みなどに応じて、公知の方法(例えば、金属蒸着方法、金属メッキ方法、接着による積層方法、含浸方法、塗装方法など)より適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料であり、且つ電磁波伝導吸収性材料含有層が厚みが薄い電磁波伝導吸収性材料含有層である場合、金属材料の蒸着による被覆方法や、金属材料のメッキによる被覆方法等を利用して、電磁波伝導吸収性材料含有層を基材の表面に形成することができる。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材としては、表面に金属材料が蒸着されたプラスチックフィルム又はシート(金属蒸着プラスチックフィルム又はシート)や、表面に金属材料がメッキされたプラスチックフィルム又はシート(金属メッキプラスチックフィルム又はシート)などであってもよい。
一方、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材としては、電磁波伝導吸収性材料を含有する電磁波伝導吸収性材料含有組成物により形成された基材などが挙げられる。このような基材としては、電磁波伝導吸収性材料が基材を構成する主材料として形成された基材(「電磁波伝導吸収性材料系基材」と称する場合がある)であってもよく、基材を構成する主材料と電磁波伝導吸収性材料とを含む混合材料により形成された基材(「電磁波伝導吸収性材料含有基材」と称する場合がある)であってもよい。電磁波伝導吸収性材料系基材としては、金属箔、金属板などの金属系基材;電磁波伝導吸収性プラスチック材料により形成されたフィルム又はシートなどの電磁波伝導吸収性プラスチック系基材;電磁波伝導吸収性を有する繊維により形成された織物(布など)や不織布などの電磁波伝導吸収性を有する繊維系基材(電磁波伝導吸収性繊維系基材);磁性材料板などの磁性材料系基材などが挙げられる。金属系基材を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性プラスチック系基材を形成するための電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料などが挙げられる。さらにまた、電磁波伝導吸収性繊維系基材における繊維としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性繊維(炭素系繊維、導電性ポリマーによる繊維や、金属系繊維など)などを用いることができる。さらに、磁性材料系基材における磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性材料含有基材において、基材を構成する主材料としては、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック材料(ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の電磁波伝導吸収性を有していない樹脂など)、電磁波伝導吸収性を有していない紙材料(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等の電磁波伝導吸収性を有していない紙系基材を形成するための紙材料など)、電磁波伝導吸収性を有していない繊維材料(電磁波伝導吸収性を有していない布や不織布等の電磁波伝導吸収性を有していない繊維系基材を形成するための繊維材料など)等の電磁波伝導吸収性を有していない材料(「非電磁波伝導吸収性材料」と称する場合がある)などが挙げられる。非電磁波伝導吸収性材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。電磁波伝導吸収性材料含有基材における電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料や、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。
なお、電磁波伝導吸収性材料含有基材において、基材を構成する主材料が、電磁波伝導吸収性を有していない繊維材料である場合、電磁波伝導吸収性材料は、繊維に含浸された形態や、繊維を形成する繊維材料中に混合された形態で含有されていてもよい。
電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材において、電磁波伝導吸収性材料を基材の内部に含有させる方法としては、特に制限されない。例えば、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材が電磁波伝導吸収性材料系基材である場合、電磁波伝導吸収性材料系基材の種類等に応じて、公知の金属箔形成方法、公知のプラスチックフィルム又はシート形成方法、公知の繊維形成方法等を利用して、電磁波伝導吸収性材料系基材を形成することができる。また、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材が電磁波伝導吸収性材料含有基材である場合、基材を構成する主材料や電磁波伝導吸収性材料の種類等に応じて、例えば、基材を構成する主材料と、電磁波伝導吸収性材料とを混合した後、公知の金属箔形成方法や公知のプラスチックフィルム又はシート形成方法などを利用して、電磁波伝導吸収性材料含有基材を形成することができる。
なお、基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。また、前述のように、基材には電磁波伝導吸収性材料が配合されていてもよい。
基材の片面または両面には、粘接着剤層等との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さとしては、特に制限されず、例えば、10μm〜20mm、好ましくは30μm〜12mmの範囲から選択することができる。
(剥離ライナー)
支持体としての剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナーなど)としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、公知の低接着性基材などが挙げられる。剥離ライナーとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーが好適である。剥離ライナー用基材としては、各種プラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。剥離処理層は、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などの公知の剥離処理剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いて形成することができる。剥離処理層は、剥離処理剤を剥離ライナー用基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等のための加熱工程を経て形成することができる。
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナー用基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
(被覆層)
本発明では、図4で示されるように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆する被覆層が形成されていてもよい。被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆している層であり、該被覆層により、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が薄層状基体から抜けることを抑制又は防止することができ、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の保持性を効果的に高めることができる。また、被覆層により、耐衝撃性等の特性を高めることもできる。このような被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の少なくとも一部分又は上面を被覆している層であればよく、特に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の上面を被覆している層であることが好ましい。なお、被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に接触した形態で形成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に接触していない形態で形成されていてもよい。被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に接触していない形態で形成されている場合、例えば、図4(b)で示されるように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における薄層状基体の表面よりも外側に位置している部分の厚さよりも厚い厚さを有している繊維保護材上に形成された構成を有することができる。
図4(a)〜(b)は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。図4(a)〜(b)において、4aはシート状電磁波シールド性構造体、4a1は薄層状基体、4a2は電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、4a3は被覆層、4bはシート状電磁波シールド性構造体、4b1は薄層状基体、4b2は電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、4b3は被覆層、4b4は繊維保護材である。図4(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体4aは、薄層状基体4a1の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部4a2が形成され、該電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部4a2上に被覆層4a3が形成されており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部4a2における繊維の上面が、被覆層4a3により被覆された構成を有している。また、図4(b)で示されるシート状電磁波シールド性構造体4bは、薄層状基体4b1の所定の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部4b2と繊維保護材4b4とがそれぞれ形成され、繊維保護材4b4上に被覆層4b3が形成されており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部4b2における繊維の上面が、被覆層4b3により被覆された構成を有している。なお、繊維保護材としては、下記の繊維保護材の項で示されるものが用いられる。
このような被覆層を構成する被覆材としては、特に制限されず、公知のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分の他、ゴム成分やエラストマー成分など)を主成分として含む被覆材組成物などが挙げられる。具体的には、被覆層を構成する被覆材組成物において、ポリマー成分としては、前記薄層状基体において例示のポリマー成分と同様のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分や、ゴム成分、エラストマー成分など)から適宜選択して用いることができる。
被覆層は、単層の形態、積層された形態の何れの形態を有していてもよい。
本発明では、被覆層は、電磁波伝導吸収性を有していることが好ましい。被覆層も電磁波伝導吸収性を有していると、シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性を、より一層高めることができる。電磁波伝導吸収性を有している被覆層は、電磁波伝導吸収性材料を含有する被覆材組成物により形成することができる。被覆材において用いられる電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記に例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料(例えば、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維、前記粘接着剤層を構成する粘着剤組成物又は接着剤組成物や、基体を構成する組成物において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性材料を含有する被覆材組成物は、被覆材と、電磁波伝導吸収性材料とを混合することにより調製することができる。なお、被覆材組成物において、電磁波伝導吸収性材料の含有割合としては、特に制限されず、被覆材のポリマー成分の種類、被覆層の電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができ、例えば、被覆材組成物中の固形分全量に対して3〜98重量%(特に5〜95重量%)であることが好ましい。電磁波伝導吸収性材料の含有割合が過少であると被覆層の電磁波伝導吸収性が低下し、一方、過多であると被覆層の形成が困難になる。
なお、被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆する層であるため、被覆層を形成する際には、予め電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に形成されていることが重要である。従って、薄層状基体に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成した後、被覆層を形成することができる。
被覆層の形成方法としては、公知の形成方法(例えば、塗布形成方法、浸漬形成方法、スプレー形成方法など)を採用することができ、被覆層の形態、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の種類や形態などに応じて適宜選択することができる。具体的には、繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で薄層状基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(または該電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部及び繊維保護材)に、被覆材組成物を塗布することにより、被覆層を形成することができる。
被覆層の厚さとしては、特に制限されず、被覆層の種類や形態、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維が露出している長さなどに応じて適宜設定することができる。被覆層の厚さとしては、例えば、10〜5000μm(好ましくは30〜3000μm、さらに好ましくは30〜2000μm)の範囲から選択することができる。
なお、本発明では、被覆層は、粘着テープ又はシートにより形成された層であってもよい。具体的には、粘着テープ又はシートを、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部上に貼り合わせることにより、被覆層が形成されていてもよい。被覆層を形成するための粘着テープ又はシートとしては、粘着剤層のみにより形成された構成を有している粘着テープ又はシート(基材レスタイプの粘着テープ又はシート)であってもよく、基材の片面又は両面に粘着剤層が形成された構成を有している粘着テープ又はシート(基材付きタイプの粘着テープ又はシート)であってもよい。このように、被覆層は、粘着剤層のみによる層であってもよく、粘着剤層と基材との積層体による層であってもよい。粘着テープ又はシートにより形成された被覆層は、被覆材組成物の塗布などではなく、粘着テープ又はシートを電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部上に貼り合わせることにより形成することができる。
被覆層が基材レスタイプの粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにより形成されている場合、各粘着テープ又はシートにおける粘着剤層としては、電磁波伝導吸収性を有してない粘着剤層(非電磁波伝導吸収性粘着剤層)、電磁波伝導吸収性を有している粘着剤層(電磁波伝導吸収性粘着剤層)のいずれであってもよい。このような被覆層において、各粘着テープ又はシートにおける非電磁波伝導吸収性粘着剤層を構成するための粘着剤組成物としては、例えば、前記薄層状基体としての粘接着剤層の項で例示の粘着剤組成物などが挙げられる。一方、各粘着テープ又はシートにおける電磁波伝導吸収性粘着剤層を構成するための粘着剤組成物としては、前記薄層状基体としての粘接着剤層の項において、電磁波伝導吸収性を有している粘接着剤層を構成する粘着剤組成物として例示の電磁波伝導吸収性材料を含有する粘着剤組成物などが挙げられる。
また、被覆層が基材付きタイプの粘着テープ又はシートにより形成されている場合、粘着テープ又はシートにおける基材としては、電磁波伝導吸収性を有してない基材(非電磁波伝導吸収性基材)であってもよく、電磁波伝導吸収性を有している基材(電磁波伝導吸収性基材)であってもよい。このような被覆層において、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにおける非電磁波伝導吸収性基材としては、例えば、非電磁波伝導吸収性を有しているプラスチック系基材、非電磁波伝導吸収性を有している紙系基材、非電磁波伝導吸収性を有している繊維系基材などが挙げられ、これらの具体例としては、構造体における支持体としての基材の項で例示のプラスチック系基材、紙系基材や繊維系基材などが挙げられる。一方、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにおける電磁波伝導吸収性基材としては、構造体における支持体としての基材の項で例示のもの(電磁波伝導吸収性材料により構成された基材、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材など)が挙げられる。
具体的には、被覆層を形成するための粘着テープ又はシートとしては、例えば、基材を有していない粘着テープ又はシート、プラスチックフィルム又はシート(ポリエステルフィルム又はシートなど)を基材とする粘着テープ又はシート、不織布を基材とする粘着テープ又はシート、金属箔(アルミニウム箔など)を基材とする粘着テープ又はシートを用いることができる。これらの粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤が好適であり、電磁波伝導吸収性材料を含有していてもよい。
被覆層を形成するための粘着テープ又はシートの形成方法は、公知の粘着テープ又はシートの形成方法から適宜選択することができる。粘着テープ又はシートの厚さは、もちろん、被覆層の厚さとなるので、前記に例示の被覆層の厚さとなるように、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層や基材の厚さを調整することが重要である。また、被覆層を形成するための粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層や基材は、それぞれ、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。なお、被覆層が基材の両面に粘着剤層が形成された構成を有している粘着テープ又はシートにより形成されている場合、基材の両面に形成された粘着剤層は、同一の粘着剤層であってもよく、異なる粘着剤層であってもよい。
(繊維保護材)
本発明では、シート状電磁波シールド性構造体が、薄層状基体に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有している場合、図5で示されるように、薄層状基体の表面において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な繊維保護材が設けられていてもよい。具体的には、シート状電磁波シールド性構造体は、薄層状基体に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記薄層状基体の表面において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な繊維保護材が設けられた構成を有していてもよい。このように、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、薄層状基体に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側(外面側)に位置する形態で形成されており、且つ、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な繊維保護材が、基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に(全面的に又は部分的に)、設けられていると、シート状電磁波シールド性構造体の作製時におけるロール加圧等の外圧や、シート状電磁波シールド性構造体の使用時における押し付ける際の押し圧や巻き付ける際の巻き付け圧等の外圧などの種々の外圧が加わっても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒が抑制又は防止されており、優れたレベルの電磁波伝導吸収性を効果的に保持することができる。
なお、図5は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。図5において、5はシート状電磁波シールド性構造体、5aは薄層状基体、5a1は薄層状基体5aの表面、5bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、5cは繊維保護材である。図5で示されるシート状電磁波シールド性構造体5は、薄層状基体5aの表面5a1に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部5bが形成され、且つ電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部5bが形成されていない薄層状基体5aの表面5a1の部分には、繊維保護材5cが設けられた構成を有している。
このような繊維保護材としては、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、全面的に、設けられていることが好ましい。また、繊維保護材が薄層状基体の表面に設けられている形態としては、繊維保護材が容易に剥がれない状態で薄層状基体の表面に固定させることができる形態であれば特に制限されないが、薄層状基体の表面に貼着された状態で設けられた形態であることが好ましい。例えば、薄層状基体が前記に示されるように、粘着剤層又は接着剤層(粘接着剤層)である場合、薄層状基体としての粘接着剤層の表面に繊維保護材を貼り合わせることにより、薄層状基体の表面に貼着された状態の繊維保護材を形成することができ、薄層状基体が粘接着剤層でない場合、公知の固定手段等を利用することにより(例えば、粘着剤や接着剤を利用して薄層状基体に貼り合わせる方法や、繊維保護材の片面に粘着剤層又は接着剤層を形成させて、該繊維保護材の片面に形成された粘着剤層又は接着剤層を利用して、薄層状基体の表面に貼り合わせる方法などを利用することにより)、薄層状基体の表面に貼着された状態の繊維保護材を形成することができる。
前記繊維保護材としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な部材であれば特に制限されない。繊維保護材としては、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、薄層状基体に、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が独立した形態で複数形成された構成を有している場合(すなわち、いわゆる「海島構造」における島状に形成された構成を有している場合)、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位を覆うことができる部材を単数又は複数用いて構成されていればよいが、薄層状基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に対応した部位に少なくとも貫通穴部を有している部材により構成されていることが好ましい。このように、繊維保護材として、貫通穴部を有する部材を用いることにより、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、繊維保護材を容易に設けることができる。従って、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体としては、薄層状基体に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されていることにより、電磁波伝導吸収性を有しており、且つ前記薄層状基体の表面に、貫通穴部を有する部材による繊維保護材が設けられているとともに、前記繊維保護材の貫通穴部に対応した薄層状基体の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していてもよい。
なお、貫通穴部を有する部材による繊維保護材としては、薄層状基体に形成されている電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状に応じて、複数の貫通穴部を有する部材を単数のみ用いて構成されていてもよく、単数乃至複数の貫通穴部を有する部材を複数用いて構成されていてもよい。
貫通穴部を有する部材において、貫通穴部の形状としては、貫通穴部内に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を位置させることが可能な形状であれば特に制限されないが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状に対応した形状であることが好ましい。具体的には、貫通穴部の形状としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状に応じて、例えば、略円形状、略多角形状等の定形形状の他、様々な不定形形状などのいずれの形状を有していてもよい。また、複数の貫通穴部を有している場合、複数の貫通穴部の配置状態は、特に制限されず、規則的に配置された状態、不規則的に配置された状態のいずれの状態であってもよい。
従って、繊維保護材としての貫通穴部を有する部材において、貫通穴部の径(平均径、最小径や最大径など)や形状や、貫通穴部間の間隔の幅(平均幅、最小幅や最大幅など)としては、特に制限されず、基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。従って、貫通穴部は、規則的に又は不規則的に形成されていてもよい。
本発明では、貫通穴部を有する部材としては、貫通した穴部を有する部材であれば特に制限されないが、例えば、図6で示されるように、ネット状に貫通穴部を複数有している部材(「ネット状部材」と称する場合がある)や、図7で示されるように、穿孔により形成された貫通穴部を複数有しているシート状部材(「穿孔シート部材」と称する場合がある)を好適に用いることができる。すなわち、繊維保護材としては、ネット状部材や穿孔シート部材により構成されていることが好ましい。
図6は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体で用いられる繊維保護材の一例を部分的に示す概略図である。図6において、61〜62は、それぞれ、ネット状部材、61aはネット状部材61における貫通穴部、62aはネット状部材62における貫通穴部である。ネット状部材61、62は、それぞれ、ネット状に形成された貫通穴部61a、62aを複数有している。このように、ネット状部材は、定形形状又は不定形形状の貫通穴部を、規則的に又は不規則的に複数有することができる。
図7は本発明の構造体で用いられる繊維保護材の一例を部分的に示す概略図である。図7において、7は穿孔シート部材、71はシート状基材、72は穿孔により形成された貫通穴部(穿孔部)である。穿孔シート部材7は、シート状基材71の所定の部分に、穿孔により、貫通穴部としての穿孔部72を複数有している。このように、穿孔シート部材は、ネット状部材と同様に、定形形状又は不定形形状の貫通穴部を、規則的に又は不規則的に複数有することができる。
特に、穿孔シート部材は、穿孔機を用いて、穿孔させることにより、形成されているので、穿孔シート部材における貫通穴部(穿孔部)の形状、大きさや形成されている部位などを、容易にコントロールすることができる。すなわち、穿孔シート部材では、形成する貫通穴部の設計の自由度が高く、また、穿孔シート部材は、粘接着剤層などの薄層状基体に粘着又接着させる際には、ネット状部材よりも接着面積を確保しやすいという利点がある。このように、穿孔シート部材の場合、穿孔する際に、貫通穴部の大きさや形成位置などを調整することにより、貫通穴部が所定のパターン形状で配置された形態の穿孔シート部材を容易に作製することができる。
このような穿孔シート部材は、穿孔により形成されているので、形成された穿孔部の周領域部には、通常、一方の面側にのみ隆起した形状の肉厚部が形成されており、該肉厚部の隆起している方が外側に位置する形態で、穿孔シート部材が用いられる。そのため、本発明では、貫通穴部を有する部材が穿孔シート部材である場合、穿孔シート部材の厚さとしては、穿孔部の周領域部の肉厚部の厚さ(最大の厚さ)を採用する。一方、貫通穴部を有する部材が、ネット状部材や、穿孔部の周領域部に肉厚部が形成されていない穿孔シート部材である場合、貫通穴部を有する部材の厚さとしては、貫通穴部の周領域部の厚さを採用するが、該厚さは、貫通穴部を有する部材の平均的な厚さに相当している。
なお、ネット状部材や穿孔シート部材等の貫通穴部を有する部材において、空隙率としては、特に制限されず、薄層状基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積に応じて適宜選択することができ、例えば、0%より大きい範囲から適宜選択することができる。なお、貫通穴部を有する部材における空隙率は、シート状電磁波シールド性構造体の用途や、シート状電磁波シールド性構造体の一方の面における表面積の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
貫通穴部を有する部材における空隙率は、以下の「空隙率の測定方法」により測定された値である。
(空隙率の測定方法)
貫通穴部を有する部材を、必要に応じて適宜な色に着色させた後、貫通穴部を有する部材と異なる一定の色を呈している紙の上に置いて(例えば、貫通穴部を有する部材が白色や乳白色等の白色系の色を呈している場合、貫通穴部を有する部材を、黒色の紙の上に置いて、または、貫通穴部を有する部材がどのような色を呈している場合であっても、貫通穴部を有する部材を、黒色に着色した後、白色の紙の上に置いて)、スキャナーを用いてスキャンして、貫通穴部を有する部材の画像データをコンピュータに取り込む(入力する)。コンピュータ上で、画像処理関係ソフトとして、商品名「PHOTOSHOP ELEMENTS 2.0」(アドビ システムズ社製;デジタル画像編集ソフト)を用いて、余分な部分を除去する等の加工処理又は編集を施す(具体的には、例えば、貫通穴部を有する部材が黒色を呈している場合、又は黒色に着色されている場合、貫通穴部を有する部材の部分が黒色の部分となり、貫通穴部の部分が白色の部分となるように、余分な色の部分を所定の色にする等の加工処理又は編集を施す)。このようにして、貫通穴部を有する部材の部分に対応している色と、貫通穴部の部分に対応している色との2つの色になるように加工処理又は編集を行った後、画像処理関係ソフトとして、「MATROX INSPECTOR 2.1」(MATROX社製;販売:キャノンシステムソリューションズ株式会社;画像処理アルゴリズム検証用ツール)を用いて、2値化処理を行い、単位面積(10mm×10mm)あたりの各色の割合又は比率を算出して(異なる3カ所で各色の割合又は比率を算出し、その平均値を求める)、貫通穴部を有する部材における貫通穴部の比率を求める。なお、具体的には、例えば、黒色を呈している又は黒色に着色されている貫通穴部を有する部材を、白色の紙の上に置いた場合、白色と黒色との割合又は比率が求められ、この場合、黒色の比率(黒比率)が貫通穴部を有する部材の比率となり、白色の比率(白比率)が貫通穴部を有する部材における貫通穴部の比率(すなわち、貫通穴部を有する部材の空隙率)となる。
なお、スキャナーによりコンピュータに取り込まれた貫通穴部を有する部材の画像データにおいて、貫通穴部を有する部材を着色しなくても、コンピュータの出力により表示される画面上で、貫通穴部を有する部材の部分と、貫通穴部の部分とが明確に区別可能な場合、商品名「PHOTOSHOP ELEMENTS 2.0」(アドビ システムズ社製;デジタル画像編集ソフト)を用いて、貫通穴部を有する部材の部分と、貫通穴部の部分とを、色分けする加工処理又は編集を施して、貫通穴部を有する部材の部分に対応している色と、貫通穴部の部分に対応している色との2つの色になるように加工処理又は編集を行うことも可能である。その後は、もちろん、前記と同様にして、「MATROX INSPECTOR 2.1」(MATROX社製;販売:キャノンシステムソリューションズ株式会社;画像処理アルゴリズム検証用ツール)を用いて、2値化処理を行い、単位面積(10mm×10mm)あたりの各色の割合又は比率を算出して(異なる3カ所で各色の割合又は比率を算出し、その平均値を求める)、貫通穴部を有する部材における貫通穴部の比率を求める。
また、前記繊維保護材の素材としては、特に制限されず、例えば、プラスチック材、繊維材、紙材、金属材などが挙げられる。プラスチック材としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体(エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアクリレート;ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6等のポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリカーボネートなどが挙げられる。
また、繊維材としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリイミド系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系樹脂繊維などが挙げられる。紙材としては、例えば、和紙、洋紙、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クルパック紙、クレープ紙、クレーコート紙、トップコート紙、合成紙、プラスチックラミネート紙、プラスチックコート紙などが挙げられる。金属材としては、例えば、アルミニウム材、銅材などが挙げられる。
本発明では、繊維保護材の素材としては、プラスチック材、繊維材、紙材が好ましく、特にプラスチック材が好適である。なお、繊維保護材の素材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維保護材としては、軽量であり、また、屈曲性が良好であるものを好適に用いることができる。軽量性、屈曲性の観点からは、繊維保護材としては、薄葉状の形態の部材(特に、シート状の形態の部材)を好適に用いることができる。また、繊維保護材の素材としては、プラスチック材が好ましく、その中でもオレフィン系樹脂(特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレンモノマー及び/又はプロピレンモノマーが少なくとも用いられたエチレン系樹脂及び/又はプロピレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート)が好適である。
繊維保護材の厚さ(又は高さ)としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な厚さであることが重要であり、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の厚さ(又は高さ)等に応じて適宜選択することができる。具体的には、繊維保護材の厚さ(又は高さ)としては、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における薄層状基体の表面よりも外側に位置している部分の厚さ(又は高さ)に対して10〜250%(好ましくは20〜200%、さらに好ましくは80〜150%、特に好ましくは90〜120%)になる割合の厚さ(又は高さ)であってもよい。電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における薄層状基体の表面よりも外側に位置している部分の厚さに対して、繊維保護材の厚さが10%未満となる割合の厚さであると、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止する効果が低下し、一方、250%を超える割合の厚さであると、繊維保護材の厚さが厚すぎて経済的に不利となり、さらに、シート状電磁波シールド性構造体の屈曲性、柔軟性や軽量性などが低下する場合がある。
繊維保護材の作製方法は、特に制限されず、例えば、繊維保護材が貫通穴部を有する部材(特に、ネット状部材や穿孔シート部材)である場合、貫通穴部を有していない部材に、穿孔加工等により貫通穴部を形成させて、貫通穴部を有する部材を作製する方法や、部材の材料を、貫通穴部が形成されるような形態で使用して、貫通穴部を有する部材を作製する方法などが挙げられる。具体的には、例えば、繊維保護材が貫通穴部を有する部材(特に、ネット状部材や穿孔シート部材)であり、プラスチック材により構成されている場合、例えば、貫通穴部を有していない部材に、穿孔加工等により、所定の部位に貫通穴部を形成する方法や、プラスチック材を熱溶融させて、貫通穴部が形成されるような形態で、グラビア印刷等を行う方法(例えば、凸部又は凹部を有するロールを利用した方法など)などにより、プラスチック材により形成され且つ貫通穴部を有する部材(特に、プラスチック材により形成されたネット状部材や穿孔シート部材)を作製することができる。
なお、繊維保護材としては、シート状電磁波シールド性構造体の外観性等の観点から、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維と同色の色に着色されていてもよい。また、繊維保護材は、シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性を向上させる観点から、電磁波伝導吸収性を有していてもよい。さらに、繊維保護材の表面(特に、薄層状基体の表面に設けられた場合に外面側となる面)は、粘着剤層又は接着剤層に対する剥離面(剥離処理剤層による表面など)となっていてもよい。
(重ね合わせ構造)
本発明では、シート状電磁波シールド性構造体は、図8〜10で示されるように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していてもよい。このように、シート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が設けられていても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせられていると、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維が薄層状基体上に有効に保持され、薄層状基体からの繊維の脱落を効果的に抑制又は防止することができる。さらに、シート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせる際に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維を複雑に絡み合わせた形態で重ね合わせることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒を抑制又は防止させることも可能である。
なお、図8〜10は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。図8(a)において、8はシート状電磁波シールド性構造体、81は構造体用部材、81aは薄層状基体、81bは薄層状基体81aの表面、81cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、82は構造体用部材、82aは薄層状基体、82bは薄層状基体82aの表面、82cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図8(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体8は、薄層状基体81aの表面81bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81cが形成された構成を有する構造体用部材81と、薄層状基体82aの表面82bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部82cが形成された構成を有する構造体用部材82とを積層させることにより、構造体用部材81と構造体用部材82とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(81b,82b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図8(a)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体81aの表面81bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部82cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体82aの表面82bよりも外側に位置する形態で形成されている。
図8(b)において、9はシート状電磁波シールド性構造体、91は構造体用部材、91aは薄層状基体、91bは薄層状基体91aの表面、91cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、92は構造体用部材、92aは薄層状基体、92bは薄層状基体92aの表面、92cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図8(b)で示されるシート状電磁波シールド性構造体9は、薄層状基体91aの表面91bに全面的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部91cが形成された構成を有する構造体用部材91と、薄層状基体92aの表面92bに全面的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部92cが形成された構成を有する構造体用部材92とを積層させることにより、構造体用部材91と構造体用部材92とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(91b,92b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図8(b)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部91cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体91aの表面91bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部92cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体92aの表面92bよりも外側に位置する形態で形成されている。
また、図9において、10はシート状電磁波シールド性構造体、101は構造体用部材、101aは薄層状基体、101bは薄層状基体101aの表面、101cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、102は構造体用部材、102aは薄層状基体、102bは薄層状基体102aの表面、102cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、103は構造体用部材、103aは薄層状基体、103bは薄層状基体103aの表面、103cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図9で示されるシート状電磁波シールド性構造体10は、薄層状基体101aの表面101bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部101cが形成された構成を有する構造体用部材101上の一方の端部側に、薄層状基体102aの表面102bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部102cが形成された構成を有する構造体用部材102を積層させることにより、構造体用部材101と構造体用部材102とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(101b,102b)同士が対向する形態で、重ね合わせられているとともに、前記構造体用部材101上の他方の端部側に、薄層状基体103aの表面103bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部103cが形成された構成を有する構造体用部材103を積層させることにより、構造体用部材101と構造体用部材103とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(101b,103b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図9より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部101cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体101aの表面101bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部102cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体102aの表面102bよりも外側に位置する形態で形成されており、さらに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部103cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体103aの表面103bよりも外側に位置する形態で形成されている。
さらに、図10(a)において、11はシート状電磁波シールド性構造体、111は構造体用部材、111aは薄層状基体、111bは薄層状基体111aの表面、111cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図10(a)で示されるシート状電磁波シールド性構造体11は、薄層状基体111aの表面111bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部111cが形成された構成を有する構造体用部材111を、短手方向での中央部で、一方の端部が他方の端部上に位置するように、長手方向に平行に折り曲げることにより、構造体用部材111が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面111b同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図10(a)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部111cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体111aの表面111bよりも外側に位置する形態で形成されている。
図10(b)において、12はシート状電磁波シールド性構造体、121は構造体用部材、121aは薄層状基体、121bは薄層状基体121aの表面、121cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図10(b)で示されるシート状電磁波シールド性構造体12は、薄層状基体121aの表面121bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部121cが形成された構成を有する構造体用部材121を、短手方向での各端部と中央部との間における各中央部で、各端部をそれぞれ中央部上に位置するように、長手方向に平行に折り曲げることにより、構造体用部材121が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面121b同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図10(b)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部121cは、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体121aの表面121bよりも外側に位置する形態で形成されている。
なお、図8〜10で示される各シート状電磁波シールド性構造体を形成するための各構造体用部材は、シート状の形態を有している。特に、図10(a)〜(b)で示される各シート状電磁波シールド性構造体では、構造体用部材を折り曲げているので、該構造体用部材は、屈曲性を有していることが重要である。
また、図8〜9では、シート状電磁波シールド性構造体は、複数の構造体用部材を積層させることにより形成された構成を有しており、また、図10では、シート状電磁波シールド性構造体は、単数の構造体用部材を折り曲げることにより形成された構成を有しているが、もちろん、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体は、少なくとも何れか1つの構造体用部材の折り曲げと、複数の構造体用部材の積層とを組み合わせることにより形成された構成を有していてもよい。
さらに、構造体用部材として、薄層状基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いる場合、シート状電磁波シールド性構造体は、例えば、図11で示されるように、最外層となる構造体用部材として、薄層状基体の片面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いて、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、複数の構造体用部材を積層することにより、形成することができる。
図11は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。図11において、13はシート状電磁波シールド性構造体、131は構造体用部材、131aは薄層状基体、131bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、131cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、132は構造体用部材、132aは薄層状基体、132bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、133は構造体用部材、133aは薄層状基体、133bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図11では、構造体用部材131は、基体131aの各表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(131b,131c)が形成された構成を有しており、構造体用部材132は、基体132aの片面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部132bが形成された構成を有しており、構造体用部材133は、薄層状基体133aの片面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部133bが形成された構成を有している。図11で示されるシート状電磁波シールド性構造体13は、構造体用部材131における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部131bが形成されている側の表面と、構造体用部材132における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部132bが形成されている側の表面とが対向する形態で、構造体用部材131と構造体用部材132とが重ね合わせられた構成を有しているとともに、構造体用部材131における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部131cが形成されている側の表面と、構造体用部材133における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部133bが形成されている側の表面とが対向する形態で、構造体用部材131と構造体用部材133とが重ね合わせられた構成を有している。なお、図11より明らかなように、構造体用部材131〜133における各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(131b,131c,132b,133b)は、それぞれ、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されている。
なお、図11は、薄層状基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を単数用いる場合についてであるが、構造体用部材として、薄層状基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を複数用いる場合は、もちろん、図11の場合と同様にして、最外層となる構造体用部材として、薄層状基体の片面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いて、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、複数の構造体用部材を積層することにより、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体を作製することができる。
本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有している場合、対向している各表面に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維を横倒させずに重ね合わせて、有効に電磁波伝導吸収性を発揮させることができるように、各表面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていることが好ましい。具体的には、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に部分的に形成された構成を有している構造体用部材が用いられている場合、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態で、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していることが好ましい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に部分的に形成された構成を有している構造体用部材を用いる場合、例えば、孔部を有する部材を薄層状基体の表面に重ね合わせて、孔部を有する部材の孔部に対応した基体の表面の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することにより、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態となるように、薄層状基体の所定の部分に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することができる。
また、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に全面的に形成された構成を有している構造体用部材が用いられている場合、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態で、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していることが好ましい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体に全面的に形成された構成を有している構造体用部材を用いる場合、例えば、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の密度または該電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の密度をコントロール(調整)することにより、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態となるように、薄層状基体に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することができる。
このように、本発明では、薄層状基体に、少なくとも部分的に(部分的に又は全面的に)、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側(外面側)に位置する形態で形成された構造体用部材を、単数乃至複数用いて、折り曲げたり、積層させたりすることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を作製することができる。
なお、このような電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体において、構造体用部材は、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有していないシート状電磁波シールド性構造体と同じである。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有していないシート状電磁波シールド性構造体を単数乃至複数用いて、折り曲げたり、積層させたりして、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせることにより、作製されている。
(シート状電磁波シールド性構造体)
本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体は、前述のように、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していることが重要であり、このような構成を有していれば、本発明の効果や作用などを大きく損なわない限り、適宜な部位に適宜な層を有していてもよい。具体的には、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の構成としては、例えば、次の(A)〜(F)等の構成などが挙げられる。
構成(A):薄層状基体を支持する支持体としての基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、薄層状基体としての粘着剤層又接着剤層(粘接着剤層)が形成され、且つ該基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)の粘接着剤層に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成されている構成
構成(B):薄層状基体を支持する剥離ライナーの一方の剥離面に、薄層状基体としての粘着剤層が形成され、且つ該剥離ライナーの一方の面の粘着剤層に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成されている構成
構成(C):薄層状基体が支持体により支持されておらず、薄層状基体としてのポリマー層の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部がポリマー層の表面よりも外側に位置する形態で形成されている構成
構成(D):前記構成(A)〜(C)において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている構成[すなわち、薄層状基体が必要に応じて支持体(基材や剥離ライナー等)により支持され、且つ薄層状基体としての粘接着剤層又はポリマー層の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層又はポリマー層の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている構成]
(E)前記構成(A)〜(D)において、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、繊維保護材が設けられている構成[すなわち、薄層状基体が必要に応じて支持体(基材や剥離ライナー等)により支持され、且つ薄層状基体としての粘接着剤層又はポリマー層の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層又はポリマー層の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、粘接着剤層又はポリマー層の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、繊維保護材が設けられている構成;なお、構成(D)の場合は、さらに、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている]
(F)前記構成(A)〜(C)、(E)を有するシート状電磁波シールド性構造体が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられている構成
また、シート状電磁波シールド性構造体としては、前記構成(A)〜(F)を有するシート状電磁波シールド性構造体から選択された少なくとも2種以上が段重ねに重ねられた構成のシート状電磁波シールド性構造体なども用いることができる。
なお、シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体の両面に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、同一の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよく、異なる電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよい。また、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆している被覆層は、同一の被覆層であってもよく、異なる被覆層であってもよい。さらに、基材の両面に形成された粘接着剤層は、同一の粘接着剤層であってもよく、異なる粘接着剤層であってもよい。
さらに、シート状電磁波シールド性構造体が、一方の面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有している場合、シート状電磁波シールド性構造体の他方の面は、全面的に又は部分的に(例えば、少なくとも何れかの1つの端部のみに)、粘着面又は接着面となっていてもよい。このように、シート状電磁波シールド性構造体の一方の面が粘着面又は接着面となっている場合、該粘着面又は接着面は、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面、電磁波伝導吸収性を有していない粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面のいずれであってもよいが、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面であることが好ましい。また、シート状電磁波シールド性構造体が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が被覆層により被覆された構成を有している場合、被覆層の表面は、全面的に又は部分的に(例えば、少なくとも何れかの1つの端部のみに)、粘着面又は接着面となっていてもよい。このように、シート状電磁波シールド性構造体に被覆層が形成されており、該被覆層の表面が粘着面又は接着面となっている場合、該粘着面又は接着面は、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面、電磁波伝導吸収性を有していない粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面のいずれであってもよい。このような粘着面や接着面は、例えば、公知の粘着剤や接着剤を用いる方法や、公知の両面粘着テープを用いる方法などを利用して形成することができる。従って、シート状電磁波シールド性構造体の表面が粘着面又は接着面となっている場合、予め、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっている支持体(基材)を用いる方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない支持体(基材)の表面に、粘着剤又は接着剤を塗布する方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない支持体(基材)の表面に、両面粘着テープ又はシート(基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートなど)を貼り付ける方法、予め、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっている粘着テープ又はシートを用いる方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない被覆層の表面に、粘着剤又は接着剤を塗布する方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない被覆層の表面に、両面粘着テープ又はシート(基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートなど)を貼り付ける方法などにより、表面が粘着面又は接着面となっているシート状電磁波シールド性構造体を作製することができる。
なお、本発明では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が被覆層により被覆されており、且つ被覆層が絶縁層(例えば、粘着面又は接着面となる非導電性の粘着剤層又は接着剤層等の非導電性部材など)を含んでいても又は絶縁層となっていても、電磁波伝導吸収性の低下が抑制又は防止されており、電磁波伝導吸収性(特に、電磁波を伝導ないし吸収してシールドする電磁波シールド性)を有効に保持して発揮することができる。本発明では、シート状電磁波シールド性構造体に被覆層が形成されている場合、該被覆層の表面は、絶縁層となっていることが好ましい。このような絶縁層は、例えば、非電磁波伝導吸収性基材(特に、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック製基材)が用いられた基材付きタイプの粘着テープ又はシートを用いる方法、被覆層の表面に、非電磁波伝導吸収性基材(特に、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック製基材)が用いられた基材付きタイプの粘着テープ又はシートを貼り付ける方法などにより形成することができる。
また、シート状電磁波シールド性構造体が、薄層状基体の両面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有しており、前記薄層状基体の表面において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、繊維保護材が設けられている場合、繊維保護材は、薄層状基体の少なくとも一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に設けられていればよいが、薄層状基体の両方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に設けられていることが好ましい。
このようなシート状電磁波シールド性構造体において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が薄層状基体の両面に形成されている場合、電磁波伝導吸収性をより一層高めることができるので、薄層状基体を支持する基材の厚みを薄くしたり、また、用いなかったりすることができ、シート状電磁波シールド性構造体の軽量化を図ることができるとともに、シート状電磁波シールド性構造体の柔軟性や追従性(被着体への追従性)を向上させることができる。
本発明のシート状電磁波シールド性構造体としては、前述のように、電磁波伝導吸収性とともに、粘接着性(特に、粘着性)を有することができる。例えば、シート状電磁波シールド性構造体が粘着性を有している場合、シート状電磁波シールド性構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない側の粘着剤層の表面が粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有することができる。
なお、シート状電磁波シールド性構造体は、ロール状に巻回した形態や、単層又はシートを積層した形態で作製することができる。このように、シート状電磁波シールド性構造体を、ロール状に巻回したり、シートを積層したりする場合、薄層状基体の片面又は両面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成され、且つ前記薄層状基体の表面において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、繊維保護材が設けられていることが好ましい。このように、繊維保護材が設けられていると、シート状電磁波シールド性構造体を、ロール状に巻回したり、シートを積層したりしても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒防止性が優れているので、巻回体から巻き戻しても、または、積層体から単離しても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒が抑制又は防止された状態のシート状電磁波シールド性構造体を得ることができる。従って、本発明では、シート状電磁波シールド性構造体は、ロール状に巻回した形態のシート状電磁波シールド性構造体(巻回体又は巻重体)や、単層又はシートを積層した形態のシート状電磁波シールド性構造体として製品化されていてもよい。
このように、シート状電磁波シールド性構造体は、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部による電磁波伝導吸収性を効果的に発揮させることができるので、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部による電磁波伝導吸収性を利用した各種用途で用いることができ、特に、電磁波を伝導ないし吸収してシールドする電磁波シールド性を利用した用途で好適に用いることができる。具体的には、シート状電磁波シールド性構造体は、電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材や、輸送機等の各種物品において、電磁波をシールドすることが可能な電磁波シールド材として好適に用いることができる。
特に、シート状電磁波シールド性構造体としては、その電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する電磁波伝導吸収性繊維として、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維(例えば、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性素材繊維や、電磁波伝導吸収性材料として異なる金属材料が用いられている複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維等の電磁波伝導吸収性付与繊維など)を用いたり、1種の電磁波伝導吸収性繊維であっても、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収性繊維(例えば、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維等の電磁波伝導吸収性付与繊維など)を用いたりすることにより、単一のピーク波長を有する電磁波のみならず、複数のピーク波長を有する電磁波に対しても、シールド機能を効果的に発揮させることが可能となる。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維として、複数の電磁波伝導吸収性繊維を組み合わせ且つその割合を適宜調整して用いることにより、種々のピーク波長を有する電磁波が所定の割合で複数発せられる物体や物質等の放射源に対して、1つの構造体(電磁波シールド材)により、電磁波のシールドを効果的に行うことができる。このように、本発明では、電磁波が発せられる放射源の種類に制限されず、幅広い放射源に対してシールド機能を発揮させることが可能な電磁波シールド材を具備している各種物品(電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材や、輸送機など)を得ることができる。
なお、具体的には、電磁波伝導吸収性繊維として電磁波伝導吸収性付与繊維が用いられている場合、電磁波伝導吸収性付与繊維を構成する電磁波伝導吸収性材料における金属材料が、例えば、ニッケルと、金とでは、電磁波を伝導ないし吸収してシールドすることが可能な電磁波の種類又は波長が異なっている。従って、電磁波伝導吸収性繊維として、例えば、ニッケルメッキされた繊維と、金メッキされた繊維とを用いて電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有する電磁波シールド性構造体含有物品(電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材や、輸送機など)は、ニッケルによる電磁波シールド効果と、金による電磁波シールド効果とを、それぞれ、有効に発揮させることができ、より一層効果的に電磁波のシールドを行うことが可能となる。
また、本発明では、シート状電磁波シールド性構造体において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する電磁波伝導吸収性繊維の種類の他、電磁波伝導吸収性繊維の長さや、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における電磁波伝導吸収性繊維の密度等を適宜調整することにより、目的の又は適宜な電磁波シールド性を発揮することができるシート状電磁波シールド性構造体とすることができる。
なお、本発明では、より一層、電磁波を伝導ないし吸収させるために、シート状電磁波シールド性構造体にアースがとられていてもよい。
このようなシート状電磁波シールド性構造体は、薄層状基体の所定の面の所定の部位に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することにより、製造することができる。電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、植毛加工方法が特に好ましい。従って、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の製造方法としては、薄層状基体における所定の面の所定の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を、植毛加工方法を利用して形成する工程を具備していることが好ましい。このように、本発明では、電磁波伝導吸収性繊維の植毛という簡単な方法により、容易且つ安価に電磁波伝導吸収性を有する構造体を製造することができる。
具体的には、植毛加工方法を利用して、薄層状基体における所定の部位に、植毛加工を施すことにより、前記薄層状基体の所定の部位に、繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置している形態の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成して、薄層状基体に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有するシート状電磁波シールド性構造体を製造することができる。このような植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。なお、静電植毛加工方法としては、例えば、1つの電極に対し、粘接着剤層又は薄層状基体を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(薄層状基体の表面や、薄層状基体の凹部の壁面など)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
なお、薄層状基体の部分的な所定の部位(薄層状基体の表面の部分的な所定の部位や、薄層状基体に部分的に形成された凹部の壁面など)に、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)により電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させて、効率よく構造体を製造するために、前述のように、貫通穴部を有している部材を用いることが好ましい。このような貫通穴部を有している部材としては、孔部を有する剥離基材や、前述のような繊維保護材を好適に用いることができる。孔部を有する剥離基材は、適宜な時に剥離させることができる。
本発明では、予め、薄層状基体の表面に繊維保護材を設けておくことにより、繊維保護材により横倒が抑制又は防止された形態の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有するシート状電磁波シールド性構造体を効率よく製造することができる。このように、予め、薄層状基体の表面に設ける繊維保護材としては、貫通穴部を有する部材により構成された繊維保護材(貫通穴部を有する繊維保護材)を用いることができる。従って、繊維保護材により横倒が抑制又は防止された形態の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有するシート状電磁波シールド性構造体の製造方法としては、薄層状基体の表面に、貫通穴部を有する繊維保護材を設けた後、前記繊維保護材の貫通穴部に対応した薄層状基体の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で、植毛加工方法により形成する方法が好適である。
繊維保護材を薄層状基体の表面に設ける方法としては、特に制限されず、薄層状基体の種類や繊維保護材の種類などに応じて、公知の固定手段から適宜選択した固定手段を利用ことができる。具体的には、薄層状基体が粘接着剤層である場合、薄層状基体としての粘接着剤層の表面の所定の部位に、繊維保護材を貼着させることにより、粘接着剤層の表面の所定の部位に繊維保護材を設けることができる。また、薄層状基体がポリマー層である場合、粘着剤や接着剤を用いた固定手段や、繊維保護材の表面に粘接着剤層を形成させることによる固定手段などを利用して、薄層状基体としてのポリマー層の表面の所定の部位に、繊維保護材を貼着させることにより、ポリマー層の表面の所定の部位に繊維保護材を設けることができる。
このように、繊維保護材等の貫通穴部を有する部材を予め薄層状基体の表面に設けてから、薄層状基体の所定の部位に電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成させて、シート状電磁波シールド性構造体を製造する方法では、貫通穴部を有する部材における貫通穴部を形成する位置や、貫通穴部を有する部材の貫通穴部の大きさ及び数などによって、薄層状基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成する位置や、電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部の大きさや数、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成するための凹部などをコントロールすることができる。
なお、本発明では、シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性(特に、導電性)の評価は、JIS K 6705に準じて体積固有抵抗を測定することにより、行うことができる。シート状電磁波シールド性構造体の電磁波伝導吸収性は、薄層状基体に形成される各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の大きさ(1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の占有面積)や形状、薄層状基体に形成された全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の薄層状基体の表面全面に対する割合(全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の占有面積の割合)、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の形状(長さや太さなど)や素材などによって、コントロールすることができる。
(電磁波シールド性構造体含有物品)
本発明の電磁波シールド性構造体含有物品は、前記シート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている物品である。電磁波シールド性構造体含有物品に関して、シート状電磁波シールド性構造体を具備させることが可能な物品としては、特に制限されず、公知の物品の中から適宜選択することができ、例えば、電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築用部材、輸送機などが挙げられる。すなわち、電磁波シールド性構造体含有物品としては、例えば、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している電子機器、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している電子回路基板、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している衣料、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している建築物、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している建築物用部材、シート状電磁波シールド性構造体を少なくとも具備している輸送機などが挙げられる。具体的には、電磁波シールド性構造体含有物品としては、例えば、下記の(a)〜(f)の電磁波シールド性構造体含有物品が挙げられる。
電磁波シールド性構造体含有物品(a):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている電子機器
電磁波シールド性構造体含有物品(b):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている電子回路基板
電磁波シールド性構造体含有物品(c):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている衣料
電磁波シールド性構造体含有物品(d):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている建築物
電磁波シールド性構造体含有物品(e):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている建築物用部材
電磁波シールド性構造体含有物品(f):薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることにより、電磁波をシールドする特性が付与されている輸送機
(電子機器)
本発明における電子機器は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。電子機器は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、電子機器を構成している何れかの部材に貼着された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。具体的には、電子機器において、シート状電磁波シールド性構造体を貼着することが可能な部材としては、例えば、電子機器の筐体(サーバーラックも含む)、電子機器中の電子回路基板、電子機器中の配線類(フレキシブルプリントサーキット、フラットケーブルを含む;パワー系配線類、情報系配線類など)、電子機器中の表示パネル、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)、IC(Integrated Circuit;集積回路)、グラフィックボード、発信器などが挙げられ、電子機器の筐体、電子機器中の電子回路基板が好適である。なお、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子機器の筐体の部位としては、通常、筐体の内部側の面である。また、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子回路基板の部位としては、電子回路基板の上面や、電子回路基板の裏面が好適であり、さらに、電子回路基板間に設置してもよい。さらにまた、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子機器の配線類の部位としては、各種配線類(ケーブル類)の表面であり、例えば、複数の配線類を束ねた(結束した)状態で巻き付けて貼着させたり、配線類としてのフレキシブルプリントサーキットやフラットケーブルの表面に貼着させたりすることができる。さらに、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子機器の表示パネルとしては、通常、表示パネルの背面である。このように、本発明の電子機器としては、電子機器の筐体や、電子機器中の電子回路基板に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されていることが好ましい。
このような電子機器としては、例えば、移動体通信機器(携帯通信機器;例えば、いわゆる「携帯電話」、いわゆる「PHS」など)、携帯情報端末(いわゆる「PDA」;PDA:Personal Digital Assistants)、パソコン(コンピュータ;例えば、ディスクトップパソコンや、ポータブルパソコンなど)、アマチュア無線用の通信機器(トランシーバなど)、ディスプレイ(例えば、いわゆる「液晶ディスプレイ」、いわゆる「プラズマディスプレイ」、いわゆる「ブラウン管ディスプレイ」など)、テレビ(例えば、いわゆる「液晶テレビ」、いわゆる「プラズマテレビ」、いわゆる「ブラウン管テレビ」など)、いわゆる「DVDレコーダー」、いわゆる「ハードディスクレコーダー」、いわゆる「デジタルカメラ」、いわゆる「デジタルビデオカメラ」、各種オーディオ機器、いわゆる「カーナビゲーション」、各種ゲーム機、カラープリンター、ファクシミリ、プロジェクタ、計測器、光伝送モジュール、電子レンジ、ITS関連ユニット、PCカード、CD−ROM機、DVD−ROM機、ハードディスク機、アンテナ(いわゆる「BSアンテナ」など)、いわゆる「BSコンバータ」、光/電気変換用電子機器類などが挙げられる。なお、ポータブルパソコン(携帯型のパソコン;広義の意味でのノートパソコン)には、例えば、A4サイズ以上のいわゆる「ノートパソコン」(狭義の意味でのノートパソコン)、B5サイズ程度のいわゆる「サブノートパソコン」、B5サイズ未満のいわゆる「ミニノートパソコン」、いわゆる「タブレッドPC」などが含まれる。
本発明では、電子機器としては、特に、移動体通信機器、携帯情報端末、ポータブルパソコンが好ましく、中でも、携帯電話、PDAが好適である。
本発明の電子機器は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、電子機器は、外部からの電子機器への電磁波をシールドして、電子機器へのノイズを抑制又は防止することができ、また、電子機器からの電磁波をシールドして、電子機器中から発せられるノイズを抑制又は防止することができる。従って、本発明の電子機器では、電子機器中の部材からの放射電磁ノイズの抑制又は低減、電子機器内の電磁干渉(共鳴、クロストーク)の低減、面電流の抑制、携帯電話の人体電磁波被爆(SAR)の低減、アンテナ受信感度の向上、イミュニテイの改善、ESD対策を図ることができる。
なお、「ノイズ」とは、妨害を与えたりするような不要な電磁波信号又は電気信号を意味しており、当事者(又は特定の機器)にとっては有用な信号(電磁波信号又は電気信号)であっても、他者(又は他の機器)に対しては不要なノイズとなる信号のことを意味している。
(電子回路基板)
本発明における電子回路基板は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。電子回路基板は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、電子回路基板に貼着された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子回路基板の部位としては、電子回路基板の上面や、電子回路基板の裏面(下面)であり、電子回路基板間に設置することもできる。このように、本発明の電子回路基板としては、電子回路基板の上面又は裏面に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されていることが好ましい。
本発明の電子回路基板は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、電子回路基板は、外部からの電子回路基板への電磁波をシールドして、電子回路基板へのノイズを抑制又は防止することができ、また、電子回路基板からの電磁波をシールドして、電子回路基板から発せられるノイズを抑制又は防止することができる。従って、本発明の電子回路基板では、電子回路基板からの放射電磁ノイズの抑制又は低減、電子回路基板間の電磁干渉(共鳴、クロストーク)の低減を図ることができる。
なお、このような電子回路基板は、前記の電子機器や、下記のエンジン付き輸送機などの各種物品で用いることができる。
(衣料)
本発明における衣料は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。衣料は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、衣料の何れかの部位に、各種固定方法(例えば、貼着方法、裁縫方法、ボタンによる固定方法、マジックテープによる固定方法、ファスナーによる固定方法など)などにより固定された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。
このような衣料としては、例えば、オフィスワーク用エプロン[例えば、いわゆる「OAエプロン」(電磁波防止エプロンまたは電磁波遮断エプロン)など]、妊婦用衣服(例えば、いわゆる「IH調理器」用のエプロンなど)、医療用衣服(例えば、いわゆる「CTスキャナ」測定用衣服、いわゆる「MRI」測定用衣服、いわゆる「白衣」など)、医療用エプロン(例えば、いわゆる「CTスキャナ」測定用エプロン、いわゆる「MRI測定」用エプロンなど)などが挙げられる。
なお、本発明において、衣料は、広義の意味での衣料を意味している。従って、衣料には、例えば、衣服[例えば、シャツ、ブラウス、上着、ズボン、スカート、コート、いわゆる「白衣」(白色の外衣)など]や下着の他、エプロン、帽子、ずきん、靴下なども含まれる。
本発明の衣料は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、衣料は、コンピュータより発せられる電磁波、家庭用電気調理機器[例えば、IH(Induction Heating)調理器など]から発せられる電磁波や、医療用の各種機器(いわゆる「MRI」用機器や、いわゆる「CTスキャナ」用機器、いわゆる「X線造影」用機器などの各種機器)から発せられる電磁波などをシールドして、人体への電磁波の影響を抑制又は防止することができる。
(建築物)
本発明における建築物は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。建築物は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、建築物を構成している何れかの部材(特に、部材の外面)に貼着された形態や、建築物を構成している何れかの部材の積層構造の内部(積層体中)に含有された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。具体的には、建築物において、シート状電磁波シールド性構造体を貼着又は積層構造の内部に含有することが可能な部材としては、例えば、建築物の外面(例えば、壁面、屋根面又は上面など)、建築物の各部屋の内面(例えば、壁面、天井面、床面など)、建築物中の建築物用部材(例えば、壁用合板、壁用シート、壁用壁紙、壁用タイル等の壁用部材;床用フローリング材、床用合板、床用シート、床用リノリウム、床用石材、床用カーペット、いわゆる「床暖システム」で用いられる床用フローリング材、畳、畳ボード等の床用部材;天井用合板、天井用シート、天井用壁紙等の天井用部材;屋根用合板、瓦材や各種の屋根材等の屋根用部材;垂直方向又は非垂直方向に設置される木材製柱、金属製柱や、コンクリート製柱等の柱用部材の他、壁用下地材、床用下地材等の各種下地材など)、建築物用部材同士の接合部位における外部側又は内部側の面、建築物中の配管の他、シャッター用部材、雨戸用部材、窓枠用部材、ドア(引き戸を含む)用部材(建築物内のドア用部材、玄関又は外部に面しているドア用部材など)、ドア枠用部材、パーテーション用部材、備え付け家具(Build in タイプの家具)又はその部材、キッチンで用いられる壁用タイルなどが挙げられ、建築物中の建築物用部材、建築物用部材同士の接合部位における外部側又は内部側の面が好適である。また、建築物中に設置されている配線類(パワー系配線類、情報系配線類など)にも、シート状電磁波シールド性構造体を貼着することができる。
このような建築物としては、例えば、戸建ての家、マンション、オフィスビル、会館(映画館、コンサート会館、演劇会館、美術館、博物館、結婚式会館、会議や講演用の会館など)の他、電波暗室、基地局アンテナに関係した構造物[例えば、移動体通信機器用基地局における基地局アンテナに関係した構造物、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)における基地局アンテナに関係した構造物、多重通信システム基地局における基地局アンテナに関係した構造物、テレビやラジオ等における基地局アンテナに関係した構造物など]、いわゆる「ITS」(Intelligent Transport System)に関係した構造物[例えば、いわゆる「ETC」(Electronic Toll Collection System;自動料金収受システム)に関係した構造物など]などが挙げられる。なお、ETCに関係した構造物としては、ETCにおけるレーダーの受信機周辺に設置された天井用構造物(レーダーのマルチパスを防止するために、ETCレーンの天井部に設置される天井用構造物)や、隔壁用構造物の(ETCレーン間の相互干渉を防止するために、ETCレーン間に設置される構造物)他、柱(ETCレーン内や、ETCレーン間に設置される柱)などが挙げられる。
本発明の建築物は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、建築物は、建築物の内部から発せられる電磁波をシールドして、情報の漏洩を抑制又は防止することでき、また、外部から建築物の内部への電磁波をシールドして、例えば、各種用途で利用される会館(映画館、コンサート会館、演劇会館、美術館、博物館、結婚式会館、会議や講演用の会館など)などの建築物や、建築物内の一部の部屋(会議室など)などで、いわゆる「携帯電話」の使用禁止や、FM波(ラジオ波)による悪影響の防止(例えば、ワイヤレスマイクの誤作動の防止など)を図ることができ、さらに、部屋の内部に設置されている電子機器から発せられる電磁波の散乱又は乱反射を抑制又は防止して、部屋の内部に設置されている各種電子機器の誤作動を防止したり、該電子機器を効率よく作動させたりすることができる。例えば、パーテーションや壁材(壁用部材)等の建築物用部材に適用することで、いわゆる「無線LAN」(Local Area Network)の使用時に、パーテーションや壁材等の建築物用部材の反射による通信速度の低下を抑制又は防止することが可能となる。さらにまた、建築物がETC等のITSに関係した構造物である場合、レーダーのマルチパスの抑制又は防止、ETCゲートの相互干渉の抑制又は防止や、レーダーの二重受信の抑制又は防止を図ることができ、これにより、誤作動や二重課金を防止することが可能となる。また、高層ビルの外面に用いることにより、テレビ用電波のゴーストを抑制又は防止することもできる。
(建築物用部材)
本発明における建築物用部材は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。建築物用部材は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、建築物用部材に貼着された形態や、建築物用部材の積層構造の内部(積層体中)に含有された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。シート状電磁波シールド性構造体を貼着する建築物用部材の部位としては、通常、建築物用部材の表面(何れか一方の表面又は両方の表面)である。このように、本発明の建築物用部材としては、建築物用部材の表面に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されていることや、建築物用部材の積層構造の内部(積層体中)に含有されていることが好ましい。
このような建築物用部材としては、前記に例示されているような建築物で用いられる各種部材であり、例えば、壁用部材、床用部材、天井用部材、屋根用部材、柱用部材、下地材の他、レーダー周辺部用部材(例えば、レーダーの受信機周辺で用いられる天井用部材や隔壁用部材の他、柱など)、アンテナ支持周辺用部材などが挙げられる。なお、このような建築物用部材は、いずれの材料により形成された部材であってもよく、例えば、木製の建築物用部材(例えば、パーティクルボート、いわゆる「MDF」、いわゆる「コンパネ」等の合板など)、金属製の建築物用部材(例えば、アルミニウム製部材、ステンレス製部材など)、鉱物製の建築物用部材(石膏ボード、大理石など)、レンガ製の建築物用部材、陶磁器製の建築物用部材、ガラス製の建築物用部材などが挙げられる。
本発明の建築用部材は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、建築用部材は、一方の面側から他方の面側への電磁波をシールドして、情報の漏洩や、いわゆる「携帯電話」の使用禁止や、FM波(ラジオ波)による悪影響の防止、電子機器の誤作動の防止を図ることができる。また、建築用部材が、ETC等のITSに関係した構造物用の部材(レーダー周辺部用部材)である場合、レーダーのマルチパスの抑制又は防止、ETCゲートの相互干渉の抑制又は防止や、レーダーの二重受信の抑制又は防止を図ることができ、これにより、誤作動や二重課金を防止することが可能となる。また、建築用部材がパーテーションや壁材などである場合、無線LAN使用時におけるパーテーションや壁材などの反射による通信速度の低下を抑制又は防止することが可能となる。
(輸送機)
本発明における輸送機は、電磁波をシールドする特性が付与されており、薄層状基体に、前記シート状電磁波シールド性構造体(すなわち、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体)を、少なくとも具備している。なお、本発明において、輸送機としては、基本的には、エンジン又はモーターを有している輸送機(エンジン又はモーター付き輸送機)のことを意味している。前記エンジン又はモーターとしては、種々のエネルギーを機械的力又は運動に変換する機械又は装置(機関、発動機)であればよく、例えば、いわゆる「ガソリン」、いわゆる「軽油」、いわゆる「重油」、ケロシン(灯油)等の石油系液体燃料;メタノール、エタノール等のアルコール系液体燃料;天然ガス、水素ガス、メタンガス等のガス系燃料;石炭、木炭等の固体系燃料などの各種の燃料を利用したエンジン、電気エネルギーを利用したエンジン(いわゆる「モーター」)などのいずれの形態のエンジンであってもよい。
このような輸送機は、通常、電子機器を備えている。従って、輸送機としては、例えば、各種のコントロールシステム又はその部材、レーダー監視システム又はその部材などの各種の電子系システム又はその部材を有している。
輸送機は、どのような形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していてもよいが、輸送機を構成している何れかの部材に貼着された形態で、シート状電磁波シールド性構造体を具備していることが好ましい。具体的には、輸送機において、シート状電磁波シールド性構造体を貼着することが可能な部材としては、例えば、輸送機のボディ(機体)、輸送機中の電子回路基板、輸送機中の配線類(パワー系配線類、情報系配線類など)などが挙げられ、輸送機のボディ(機体)、輸送機中の電子回路基板、輸送機中の配線類が好適である。なお、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する輸送機のボディの部位としては、ボディの外部側の面、ボディの内部側の面の何れの面であってもよく、また、両方の面であってもよい。また、シート状電磁波シールド性構造体を貼着する電子回路基板の部位としては、電子回路基板の上面や、電子回路基板の裏面であり、電子回路基板間に設置することもできる。このように、本発明の輸送機としては、輸送機のボディ、輸送機中の電子回路基板、輸送機中の配線類に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されていることが好ましい。
このような輸送機としては、例えば、自動車(例えば、普通の自動車の他、トラック、バスなど)、鉄道車輌、船舶、航空機(例えば、飛行機や、ヘリコプターの他、飛行船、グライダー、気球など)、潜水艦、2輪自動車(例えば、いわゆる「バイク」や、いわゆる「スクーター」など)、ロケット、宇宙船、人工衛星などが挙げられる。
本発明では、輸送機としては、特に自動車、鉄道車輌、船舶、航空機が好適である。
本発明の輸送機は、シート状電磁波シールド性構造体を具備しており、電磁波をシールドする特性が付与されている。そのため、輸送機が船舶の場合、マスト周辺部位にシート状電磁波シールド性構造体を貼着することにより、レーダーの偽像対策を図ることができる。また、輸送機のボディの内面や、輸送機中の電子機器、電子回路基板や配線類等の部材にシート状電磁波シールド性構造体を貼着することにより、電子機器、電子回路基板や配線類からの放射電磁ノイズの抑制又は低減、電子回路基板間の電磁干渉(共鳴、クロストーク)の低減を図ることができ、輸送機の誤作動や、人体電磁波被爆の低減を効果的に抑制又は防止することができる。さらに、航空機などの輸送機のボディの外面にシート状電磁波シールド性構造体を貼着することにより、輸送機のボディの内部からの不要なノイズの発生を抑制又は防止することができ、加えて、外部からの不要なノイズの影響を抑制又は防止することが可能となる。
なお、輸送機中の電子機器、電子回路基板や配線類にシート状電磁波シールド性構造体を貼付する部位としては、前述の電子機器や電子回路基板で例示した部位などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下のシート状電磁波シールド性構造体の製造例1〜 では、繊維を正の電荷に帯電させた状態で噴霧することができ、且つ一方の側から他方の側に長尺帯状のシートを負の電荷に帯電させた状態で流すことができるラインが設けられたボックス(サイズ:ラインの流れ方向の長さ:2.5m×幅:1.3m×高さ:1.4m)を用いて、静電植毛加工を施した。具体的には、繊維を前記ボックス内の上部(1カ所)より噴霧し、印加電圧:30kVで噴霧した状態で、該ボックス内に、長尺帯状のシートを、植毛する面が上面となる形態で、ライン速度:5m/分で導入してライン上を移動させることにより、静電植毛加工を施した。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例1)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の両面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、さらに、一方の電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、繊維保護材として、商品名「日石コンウッド ON6200」(新日石プラスト株式会社;目合4mm×4mm、目付34g/m2、空隙率76%、厚さ0.5mm)(ネット状部材)を貼着させた後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面におけるネット状部材(繊維保護材)の貫通穴部に対応した部位に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させて、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)を形成し、さらに、前記電磁波伝導吸収性繊維起毛部上に、基材としてポリエステルフィルムが用いられた形態のアクリル系粘着テープ(商品名「No.31B」日東電工株式会社製)を貼着することにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、アクリル系粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A1」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A1は、「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/アクリル系粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例2)
繊維保護材として、商品名「日石コンウッド ON3330」(新日石プラスト株式会社;目合4mm×1mm、目付32g/m2、空隙率68%、厚さ0.32mm)(ネット状部材)を用いたこと以外は、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、アクリル系粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A2」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A2は、「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/アクリル系粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例3)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の一方の面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、非電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成し、且つ前記アルミニウム製基材の他方の面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、さらに、電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、繊維保護材として、商品名「日石コンウッド XN9567」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付151g/m2、空隙率46%、厚さ0.34mm)(ネット状部材)を貼着させた後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面におけるネット状部材(繊維保護材)の貫通穴部に対応した部位に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させて、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)を形成し、さらに、前記電磁波伝導吸収性繊維起毛部上に、基材としてポリエステルフィルムが用いられた形態のアクリル系粘着テープ(商品名「No.31B」日東電工株式会社製)を貼着することにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、アクリル系粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A3」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A3は、「非電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/アクリル系粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例4)
繊維保護材として、商品名「日石コンウッド XN6065」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付100g/m2、空隙率38%、厚さ0.48mm)(ネット状部材)を用いたこと以外は、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、アクリル系粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A4」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A4は、「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/アクリル系粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例5)
繊維保護材として、ポリエチレン系樹脂製基材(厚さ0.10mm)に、穿孔により円形状の穴部(直径0.8mm)が、ほぼ等間隔で、空隙率が2%となるような割合で形成された構成を有しているシート状部材(穿孔部の周領域部における肉厚部の厚さ0.18mm)(穿孔シート部材)を用いたこと以外は、シート状電磁波シールド性構造体の製造例3と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、アクリル系粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A5」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A5は、「非電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/アクリル系粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例6)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の両面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、さらに、一方の電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させることにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A6」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A6は、「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(全面的)が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例7)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の両面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、さらに、一方の電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、繊維保護材として、商品名「日石コンウッド XN6065」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付100g/m2、空隙率38%、厚さ0.48mm)(ネット状部材)を貼着させた後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面におけるネット状部材(繊維保護材)の貫通穴部に対応した部位に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させることにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A7」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A7は、「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例8)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の両面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、さらに、一方の電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、繊維保護材として、商品名「日石コンウッド XN6065」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付100g/m2、空隙率38%、厚さ0.48mm)(ネット状部材)を貼着させた後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面におけるネット状部材(繊維保護材)の貫通穴部に対応した部位に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させて、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)を形成し、さらに、前記電磁波伝導吸収性繊維起毛部上に、基材としてアルミニウム製基材が用いられた形態の導電性粘着テープ(商品名「ニトホイル AT−5105E」日東電工株式会社製)を貼着することにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、導電性粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A8」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A8は「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/導電性粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の製造例9)
繊維保護材として、商品名「日石コンウッド XN9567」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付151g/m2、空隙率46%、厚さ0.34mm)(ネット状部材)を用いたこと以外は、シート状電磁波シールド性構造体の製造例8と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成され、且つ該電磁波伝導吸収性繊維起毛部がネット状部材により横倒が抑制又は防止されているとともに、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が、導電性粘着テープによる被覆層により被覆された形態のシート状電磁波シールド性構造体(「シート状電磁波シールド性構造体A9」と称する場合がある)を作製した。
すなわち、シート状電磁波シールド性構造体A9は「電磁波伝導吸収性粘着剤層/電磁波伝導吸収性基材/電磁波伝導吸収性繊維起毛部(部分的)及び繊維保護材が形成された電磁波伝導吸収性粘着剤層/導電性粘着テープによる被覆層」の層構成を有している。
(シート状電磁波シールド性構造体の磁界シールド効果の評価)
シート状電磁波シールド性構造体の製造例1〜9により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1〜シート状電磁波シールド性構造体A4およびシート状電磁波シールド性構造体B1〜シート状電磁波シールド性構造体B15について、KEC法電磁波シールド評価装置を用いて、磁界シールド効果を評価した。評価結果は、表1に示した。
なお、KEC法電磁波シールド評価装置におけるKEC法とは、関西電子工業振興センター(Kansai Electronic Industry Development Center)によって開発された方法である。この方法では、増幅器およびスペクトラム・アナライザーを用いるとともに、アンリツ社より商品化されている各シールドボックス(電界用シールドボックス、磁界用シールドボックス)を用いて、近傍電磁界でのシールド効果を評価している。具体的には、図12(a)で示されるような電界用シールドボックス、または、図12(b)で示されるような磁界用シールドボックスのシールドボックスを用いて、シート状構造体を所定の位置に置き、所定の周波数(MHz)を有する電磁波(入射波;入射電界又は入射磁界)を所定のエネルギー(「E1」と称する場合がある)で、シート状構造体の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部側から入射させて、シート状構造体の他方の面に透過する透過波(透過電界又は透過磁界)のエネルギー(「E2」と称する場合がある)を測定し、下記式(1)により、シールド効果(dB)を求める。
シールド効果(dB)=20×log(E2/E1) (1)
図12は、KEC法電磁波シールド評価装置において用いられるシールドボックスを示す概略図であり、図12(a)は電界用シールドボックス、図12(b)は磁界用シールドボックスを示している。電界用シールドボックス(電界シールド評価用装置)は、TEMセルの寸法配分を取り入れ、その伝送軸方向に垂直な面内で左右対称に分割した構造を有している。但し、測定試料の挿入によって、短絡回路が形成されることを防止している。また、磁界用シールドボックス(磁界シールド評価用装置)は、磁界成分の大きな電磁界を発生させるために、シールド型円形ループ・アンテナを使用し、90度角の金属板と組み合わせて、ループ・アンテナの1/4の部分が外部にでている構造を有している。
なお、シールド効果については、社団法人発明協会発行の「特許マップシリーズ 電気23」における「電磁波遮蔽技術(253〜269ページ)」などで詳細に記載されている。この文献では、入射電界又は入射磁界の電磁波エネルギーを、どの程度減衰させることができるかの指標が、シールド効果と記載されており、シールド効果は、前記式(1)で表されるように、入射電界又は入射磁界の電磁波エネルギーと、透過電界又は透過磁界の電磁波エネルギーとの比の常用対数を20倍したものとして表されている(単位はdB)。また、シールド効果としては、シールド効果の目安として、0〜10dBでは、シールド効果はほとんどなく、10〜30dBでは、シールド効果として最小限度であり、30〜60dBでは、シールド効果は平均レベルであり、60〜90dBでは、かなりのシールド効果があり、90dB以上では、シールド効果として最高級と記載されている(254〜253ページ)。
前記KEC法では、低周波数領域と、高周波数領域とで、測定限界が異なっている。これは、遮蔽(アルミニウムシールド板)の伝送特性が、周波数によらず一定(電界シールドボックスでは、1MHzから1GHzに渡って−105dBm)であるのに対して、スルーの伝送特性が周波数特性(低周波数側では約−50dBmに減衰し、高周波数側では0dBmと送信側とほぼ同じ大きさのまま受信される)をもっているためである。なお、遮蔽(2ミリ厚のアルミニウムシールド板)の伝送特性は、実際にはもっと小さな値であり、−105dBmは、スペアナのノイズレベル(能力)であると考えられる。また、スペアナのノイズレベル(能力)がさらに良くなれば、遮蔽(アルミニウムシールド板)の伝送特性がさらに小さな値となり、スルーとの差が大きくなり、これにより、測定限界も拡張されると考えられるが、−105dBmは、電力で表示すれば、0.1pW以下と微小な値であるため、これ以上は難しいと思われる。
Figure 2007299906
表1より、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1〜9により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1〜シート状電磁波シールド性構造体A9は、磁界シールド効果が、格段に優れていることが確認された。
もちろん、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1〜9により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1〜シート状電磁波シールド性構造体A9は、電界シールド効果も優れていることは明らかである。
しかも、シート状電磁波シールド性構造体A1〜シート状電磁波シールド性構造体A5およびシート状電磁波シールド性構造体A7〜シート状電磁波シールド性構造体A9は、電磁波伝導吸収性繊維による電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、繊維保護材により保護されているので、繊維の横倒防止性が優れ、繊維の横倒が抑制又は防止されており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の厚さ効果を有効に発揮させることが可能となっている。また、シート状電磁波シールド性構造体A1〜シート状電磁波シールド性構造体A5およびシート状電磁波シールド性構造体A8〜シート状電磁波シールド性構造体A9は、電磁波伝導吸収性繊維による電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されているので、繊維の脱落が抑制又は防止されている。
(実施例1)
携帯電話の筐体の内部側の表面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している携帯電話を得た。
(実施例2)
携帯電話中の液晶表示モジュールの背面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例2により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A2を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している携帯電話を得た。
(実施例3)
携帯電話中の電子回路基板の背面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例3により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A3を、非電磁波伝導吸収性粘着剤層を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している携帯電話を得た。
(実施例4)
携帯電話中のFPC(フレキシブルプリントサーキット)の表面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例4により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A4を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している携帯電話を得た。
(実施例5)
ノートパソコン(A4サイズ)中のマザーボードの背面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例5により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A5を、非電磁波伝導吸収性粘着剤層を利用して、貼り合わせるとともに、FPCの表面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備しているノートパソコンを得た。
(実施例6)
液晶テレビ(28インチ)の筐体の内部側の表面と、液晶表示基板の背面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせるとともに、液晶表示コントロール用電子回路基板の背面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例5により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A5を、非電磁波伝導吸収性粘着剤層を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している液晶テレビを得た。
(実施例7)
デジタルカメラの筐体の内部側の表面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例1により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A1を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせるとともに、FPCの表面と、液晶表示コントロール用電子回路基板の背面とに、シート状電磁波シールド性構造体の製造例5により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A5を、非電磁波伝導吸収性粘着剤層を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備しているデジタルカメラを得た。
(実施例8)
エプロンの内側の面における胸部〜腹部に相当する部位に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例6により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A6を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備しているエプロンを得た。
(実施例9)
住宅建材用の壁材と用いられている合板との裏面に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例7により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A7を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備している壁用合板を得た。
(実施例10)
プラスチック製板の表面に、全面的に、シート状電磁波シールド性構造体の製造例8により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A8を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて、シート状電磁波シールド性構造体を具備しているETCレーンの天井用構造物用部材を得た。
(実施例11)
自動車で用いられているワイヤーハーネス類を、シート状電磁波シールド性構造体の製造例9により作製されたシート状電磁波シールド性構造体A9を、全面が露出している電磁波伝導吸収性粘着剤層(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されていない側の電磁波伝導吸収性粘着剤層)を利用して、貼り合わせて(結束して)、シート状電磁波シールド性構造体を具備している自動車を得た。
図1は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図2は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。 図3は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。 図4(a)〜(b)は本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を示す概略断面図である。 図5は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図6は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体で用いられる繊維保護材の一例を部分的に示す概略図である。 図7は本発明の構造体で用いられる繊維保護材の一例を部分的に示す概略図である。 図8は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図9は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図10は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図11は、本発明におけるシート状電磁波シールド性構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図12は、KEC法電磁波シールド評価装置において用いられるシールドボックスを示す概略図であり、図12(a)は電界用シールドボックス、図12(b)は磁界用シールドボックスを示している。
符号の説明
11 シート状電磁波シールド性構造体
12 シート状電磁波シールド性構造体
1a 薄層状基体
1a1 薄層状基体1aの表面
1b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
2a シート状電磁波シールド性構造体
2a1 粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)
2a2 薄層状基材
2a3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
2b シート状電磁波シールド性構造体
2b1 粘着剤層
2b2 剥離ライナー
2b3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
2c シート状電磁波シールド性構造体
2c1 ポリマー層
2c2 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
3a シート状電磁波シールド性構造体
3a1 粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)
3a2 薄層状基材
3a3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
3b シート状電磁波シールド性構造体
3b1 粘着剤層
3b2 剥離ライナー
3b3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
3c シート状電磁波シールド性構造体
3c1 ポリマー層
3c2 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
4a シート状電磁波シールド性構造体
4a1 薄層状基体
4a2 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
4a3 被覆層
4b シート状電磁波シールド性構造体
4b1 薄層状基体
4b2 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
4b3 被覆層
4b4 繊維保護材
5 シート状電磁波シールド性構造体
5a 薄層状基体
5a1 薄層状基体5aの表面
5b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
5c 繊維保護材
61 ネット状部材
62 ネット状部材
61a ネット状部材61における貫通穴部
62a ネット状部材62における貫通穴部
7 穿孔シート部材
71 シート状基材
72 穿孔により形成された貫通穴部(穿孔部)
8 シート状電磁波シールド性構造体
81 構造体用部材
81a 薄層状基体
81b 薄層状基体81aの表面
81c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
82 構造体用部材
82a 薄層状基体
82b 薄層状基体82aの表面
82c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
9 シート状電磁波シールド性構造体
91 構造体用部材
91a 薄層状基体
91b 薄層状基体91aの表面
91c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
92 構造体用部材
92a 薄層状基体
92b 薄層状基体92aの表面
92c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
10 シート状電磁波シールド性構造体
101 構造体用部材
101a 薄層状基体
101b 薄層状基体101aの表面
101c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
102 構造体用部材
102a 薄層状基体
102b 薄層状基体102aの表面
102c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
103 構造体用部材
103a 薄層状基体
103b 薄層状基体103aの表面
103c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
11 シート状電磁波シールド性構造体
111 構造体用部材
111a 薄層状基体
111b 薄層状基体111aの表面
111c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
12 シート状電磁波シールド性構造体
121 構造体用部材
121a 薄層状基体
121b 薄層状基体121aの表面
121c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
13 シート状電磁波シールド性構造体
131 構造体用部材
131a 薄層状基体
131b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
131c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
132 構造体用部材
132a 薄層状基体
132b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
133 構造体用部材
133a 薄層状基体
133b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部

Claims (16)

  1. 電磁波をシールドする特性が付与されている物品であって、薄層状基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有しているシート状電磁波シールド性構造体を、少なくとも具備していることを特徴とするシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  2. 電子機器、電子回路基板、衣料、建築物、建築物用部材、又は輸送機である請求項1記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  3. 電子機器が、移動体通信機器、携帯情報端末、又はポータブルパソコンである請求項2記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  4. シート状電磁波シールド性構造体を具備する物品が電子機器であり、且つ電子機器の筐体、又は電子機器中の電子回路基板に、シート状電磁波シールド性構造体が貼着されている請求項2又は3記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  5. 衣料が、オフィスワーク用エプロン、妊婦用衣服、医療用衣服、又は医療用エプロンである請求項2記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  6. 建築物用部材が、壁用部材、床用部材、天井用部材、屋根用部材、又はレーダー周辺部用部材である請求項2記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  7. 輸送機が、自動車、鉄道車両、船舶、又は航空機である請求項2記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  8. シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体が、粘着剤層、接着剤層、およびポリマー層から選択された少なくとも1種の層である請求項1〜7の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  9. シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している請求項1〜8の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  10. シート状電磁波シールド性構造体において、薄層状基体が、支持体の少なくとも一方の面に形成されている請求項1〜9の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  11. 支持体が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している請求項10記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  12. シート状電磁波シールド性構造体において、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている請求項1〜11の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  13. 被覆層が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している請求項12記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  14. シート状電磁波シールド性構造体が、薄層状基体に、部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が薄層状基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記薄層状基体の表面において、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されていない部位に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の横倒を抑制又は防止することが可能な繊維保護材が設けられた構成を有している請求項1〜13の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  15. 繊維保護材が、ネット状に貫通穴部を複数有している部材、または、穿孔により形成された貫通穴部を複数有しているシート状部材である請求項14記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
  16. シート状電磁波シールド性構造体が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有している請求項1〜11、14〜19の何れかの項に記載のシート状電磁波シールド性構造体を具備する物品。
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