JP2007294808A - 電磁波を伝導又は吸収する特性を有する構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が設けられていても、繊維の脱落が防止され、電磁波を伝導又は吸収する特性を優れたレベルで発揮できる構造体を提供する。
【解決手段】構造体1は、基体11a、12a、21a、22aに、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部11c、12c、21c、22cが、その繊維の少なくとも一部が基体11a、12a、21a、22aの表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有しており、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部11c、12c、21c、22cが形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する構造体に関する。
粘着テープが用いられる各種接合(特に、電子部品等の接合)において、導電性や、電磁波シールド性等の電磁波を伝導又は吸収する特性が必要とされる場合が多くなっている。そのため、粘着テープに導電性や電磁波シールド性等の電磁波を伝導又は吸収する特性を具備させる(持たせる)方法について、従来多くの検討がなされている。例えば、導電性や電磁波シールド性を有するものとして、粒子の非ランダム単層コーティングによって得られる導電性の相互接続材料(特許文献1参照)、シリコーンゴムに、シリカ粉末とカーボンブラックと金属粉末とを配合して得られる導電性のシール材(特許文献2参照)などが提案されている。また、導電性や電磁波シールド性を有するものとして、高分子基体上に、導電性繊維からなるフロックを植毛固着してなり、植毛の根元において植毛間に導電性が付与されている電磁波シールド性を有する高分子成形体が提案されている(特許文献3参照)。
前記導電性の相互接続材料は、導電性を保つために、導電性を有する粒子を規則的に配することを必要としている。導電性を有する粒子を規則的に配することが出来れば、確かに導電性の点では有用であるが、粒子を規則的に配することは、非常に煩雑であり、工程上困難が伴う。
また、前記導電性のシール材は、導電性を有する粒子を各種樹脂中に練り込むことで、導電性が具備されている。そのため、この場合の作製方法は簡単であり、工程上の問題は少ないが、導電性を持たせるために、多量の導電性の粒子を配合しなければならず、コスト的に割高になる欠点があった。また、多量の導電性の粒子が配合されるので、他の特性に影響が及ぼされる欠点などもあった。
さらに、前記電磁波シールド性を有する高分子成形体は、高分子基体上に、導電性を有する接着剤層等を用いて導電性繊維を植毛した構成を有しているので、電磁波シールド性が向上されているが、いまだ十分であるとは言えず、より一層優れた電磁波シールド性を有する構造体が求められている。しかも、導電性繊維は、導電性を有する接着剤層に植毛されているだけであるので、抜けやすく、導電性を有する接着剤層から抜けた導電性繊維が、ゴミになったり、電磁波シールド性を有する高分子成形体が装着されている装置や周囲の機器に悪影響をおよぼしたりするため、導電性繊維が用いられている場合、導電性繊維の保持性が良好なものが求められている。
特表2002−501821号公報 特開平10−120904号公報 特開昭61−2394号公報
従って、本発明の目的は、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が設けられていても、繊維が有効に保持され、繊維の脱落が抑制又は防止されており、電磁波を伝導又は吸収する特性を優れたレベルで発揮することができる構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、導電性材、電磁波吸収材、電磁波シールド材として好適に利用することができる構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着剤層に導電性を有する繊維による特定の構造部が設けられた構造体同士を重ね合わせると、繊維を有効に保持して、繊維の脱落を抑制又は防止することができるとともに、電磁波を伝導又は吸収する特性を優れたレベルで発揮することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している構造体であって、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していることを特徴とする構造体である。
本発明の構造体は、基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していることが好ましい。
本発明では、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態で、部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよく、その際、孔部を有する部材を基体の表面に重ね合わせて、孔部を有する部材の孔部に対応した基体の表面の部位に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部を形成した後、孔部を有する部材を剥離させることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が基体に部分的に形成されていることが好ましい。
また、本発明では、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態で、全面的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよい。
前記基体としては、粘着剤層、接着剤層、およびポリマー層から選択された少なくとも1種の層が好適である。基体としては、電磁波を伝導又は吸収する特性を有していることが好ましい。基体は、支持体の少なくとも一方の面に形成されていてもよく、前記支持体としては、電磁波を伝導又は吸収する特性を有していることが好ましい。
このような構造体としては、シート状の形態を有するシート状構造体が好適である。
本発明の構造体は、導電性材、電磁波吸収材や、電磁波シールド材として好適に利用することができる。
本発明の構造体は、前記構成を有しているので、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が設けられていても、繊維が有効に保持され、繊維の脱落が抑制又は防止されており、電磁波を伝導又は吸収する特性を優れたレベルで発揮することができる。そのため、本発明の構造体は、導電性材、電磁波吸収材、電磁波シールド材として好適に利用することができる。
本発明の構造体は、図1〜3に示されるように、基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部(「電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部」と称する場合がある)が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している構造体であり、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。このように、本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有しているので、電磁波を伝導又は吸収する特性(「電磁波伝導吸収性」と称する場合がある)を優れたレベルで発揮することができる。しかも、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が設けられていても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせられているので、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維が基体上に有効に保持され、基体からの繊維の脱落が効果的に抑制又は防止されている。
さらに、本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせる際に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維を複雑に絡み合わせた形態で重ね合わせることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒を抑制又は防止させることも可能である。
なお、図1〜3は本発明の構造体の例を部分的に示す概略断面図である。図1(a)において、1は構造体、11は構造体用部材、11aは基体、11bは基体11aの表面、11cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、12は構造体用部材、12aは基体、12bは基体12aの表面、12cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図1(a)で示される構造体1は、基体11aの表面11bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部11cが形成された構成を有する構造体用部材11と、基体12aの表面12bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部12cが形成された構成を有する構造体用部材12とを積層させることにより、構造体用部材11と構造体用部材12とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(11b,12b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図1(a)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部11cは、その繊維の少なくとも一部が基体11aの表面11bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部12cは、その繊維の少なくとも一部が基体12aの表面12bよりも外側に位置する形態で形成されている。
図1(b)において、2は構造体、21は構造体用部材、21aは基体、21bは基体21aの表面、21cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、22は構造体用部材、22aは基体、22bは基体22aの表面、22cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図1(b)で示される構造体2は、基体21aの表面21bに全面的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部21cが形成された構成を有する構造体用部材21と、基体22aの表面22bに全面的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部22cが形成された構成を有する構造体用部材22とを積層させることにより、構造体用部材21と構造体用部材22とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(21b,22b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図1(b)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部21cは、その繊維の少なくとも一部が基体21aの表面21bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部22cは、その繊維の少なくとも一部が基体22aの表面22bよりも外側に位置する形態で形成されている。
また、図2において、3は構造体、31は構造体用部材、31aは基体、31bは基体31aの表面、31cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、32は構造体用部材、32aは基体、32bは基体32aの表面、32cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、33は構造体用部材、33aは基体、33bは基体33aの表面、33cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図2で示される構造体3は、基体31aの表面31bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部31cが形成された構成を有する構造体用部材31上の一方の端部側に、基体32aの表面32bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部32cが形成された構成を有する構造体用部材32を積層させることにより、構造体用部材31と構造体用部材32とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(31b,32b)同士が対向する形態で、重ね合わせられているとともに、前記構造体用部材31上の他方の端部側に、基体33aの表面33bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部33cが形成された構成を有する構造体用部材33を積層させることにより、構造体用部材31と構造体用部材33とが、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面(31b,33b)同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図2より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部31cは、その繊維の少なくとも一部が基体31aの表面31bよりも外側に位置する形態で形成されており、また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部32cは、その繊維の少なくとも一部が基体32aの表面32bよりも外側に位置する形態で形成されており、さらに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部33cは、その繊維の少なくとも一部が基体33aの表面33bよりも外側に位置する形態で形成されている。
さらに、図3(a)において、4は構造体、41は構造体用部材、41aは基体、41bは基体41aの表面、41cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図3(a)で示される構造体4は、基体41aの表面41bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部41cが形成された構成を有する構造体用部材41を、短手方向での中央部で、一方の端部が他方の端部上に位置するように、長手方向に平行に折り曲げることにより、構造体用部材41が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面41b同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図3(a)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部41cは、その繊維の少なくとも一部が基体31aの表面31bよりも外側に位置する形態で形成されている。
図3(b)において、5は構造体、51は構造体用部材、51aは基体、51bは基体51aの表面、51cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図3(b)で示される構造体5は、基体51aの表面51bに部分的に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部51cが形成された構成を有する構造体用部材51を、短手方向での各端部と中央部との間における各中央部で、各端部をそれぞれ中央部上に位置するように、長手方向に平行に折り曲げることにより、構造体用部材51が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面51b同士が対向する形態で、重ね合わせられた構成を有している。なお、図3(b)より明らかなように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部51cは、その繊維の少なくとも一部が基体51aの表面51bよりも外側に位置する形態で形成されている。
なお、図1〜3で示される各構造体を形成するための各構造体用部材は、シート状の形態を有している。特に、図3(a)〜(b)で示される各構造体では、構造体用部材を折り曲げているので、該構造体用部材は、屈曲性を有していることが重要である。
また、図1〜2では、構造体は、複数の構造体用部材を積層させることにより形成された構成を有しており、また、図3では、構造体は、単数の構造体用部材を折り曲げることにより形成された構成を有しているが、もちろん、本発明の構造体は、少なくとも何れか1つの構造体用部材の折り曲げと、複数の構造体用部材の積層とを組み合わせることにより形成された構成を有していてもよい。
さらに、構造体用部材として、基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いる場合、本発明の構造体は、例えば、図4で示されるように、最外層となる構造体用部材として、基体の片面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いて、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、複数の構造体用部材を積層することにより、形成することができる。
図4は本発明の構造体の他の例を部分的に示す概略断面図である。図4において、6は構造体、61は構造体用部材、61aは基体、61bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、61cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、62は構造体用部材、62aは基体、62bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、63は構造体用部材、63aは基体、63bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図4では、構造体用部材61は、基体61aの各表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(61b,61c)が形成された構成を有しており、構造体用部材62は、基体62aの片面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部62bが形成された構成を有しており、構造体用部材63は、基体63aの片面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部63bが形成された構成を有している。図4で示される構造体6は、構造体用部材61における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部61bが形成されている側の表面と、構造体用部材62における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部62bが形成されている側の表面とが対向する形態で、構造体用部材61と構造体用部材62とが重ね合わせられた構成を有しているとともに、構造体用部材61における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部61cが形成されている側の表面と、構造体用部材63における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部63bが形成されている側の表面とが対向する形態で、構造体用部材61と構造体用部材63とが重ね合わせられた構成を有している。なお、図4より明らかなように、構造体用部材61〜63における各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(61b,61c,62b,63b)は、それぞれ、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成されている。
なお、図4は、基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を単数用いる場合についてであるが、構造体用部材として、基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を複数用いる場合は、もちろん、図4の場合と同様にして、最外層となる構造体用部材として、基体の片面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構造体用部材を用いて、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、複数の構造体用部材を積層することにより、本発明の構造体を作製することができる。
本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているので、対向している各表面に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維を横倒させずに重ね合わせて、有効に電磁波伝導吸収性を発揮させることができるように、各表面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていることが好ましい。具体的には、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体に部分的に形成された構成を有している構造体用部材が用いられている場合、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態で、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していることが好ましい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体に部分的に形成された構成を有している構造体用部材を用いる場合、例えば、孔部を有する部材を基体の表面に重ね合わせて、孔部を有する部材の孔部に対応した基体の表面の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することにより、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態となるように、基体の所定の部分に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することができる。
また、例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体に全面的に形成された構成を有している構造体用部材が用いられている場合、単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態で、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していることが好ましい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体に全面的に形成された構成を有している構造体用部材を用いる場合、例えば、基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の密度または該電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の密度をコントロール(調整)することにより、一方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態となるように、基体に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成することができる。
このように、本発明では、基体に、少なくとも部分的に(部分的に又は全面的に)、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側(外面側)に位置する形態で形成された構造体用部材を、単数乃至複数用いて、折り曲げたり、積層させたりすることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有している構造体を作製することができる。
(構造体用部材)
前記構造体用部材は、基体と、基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部とを少なくとも有しており、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、基体に、少なくとも部分的に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で、形成された構成を有している。
なお、構造体用部材が単数用いられている場合、1つの構造体用部材を折り曲げて、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士を、対向する形態で重ね合わせることにより、構造体を作製することができる。また、構造体用部材が複数(2つ以上)用いられている場合、2つ以上の構造体用部材を積層して(この際、少なくとも1個の構造体用部材を折り曲げてもよい)、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士を、対向する形態で重ね合わせることにより、構造体を作製することができる。
(電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部)
このような構造体用部材において、基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成され、且つ電磁波伝導吸収性を有していれば、その形態又は構成は特に制限されない。具体的には、基体に形成されている電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の構成としては、例えば、(1)基体の表面に、部分的に又は全面的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている構成、(2)基体に部分的に凹部が形成されており、この凹部の壁面に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側(外部側)に突出している形態で、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている構成などが挙げられる。
このような電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の構成において、前述の構成(1)では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、基体の表面に形成されているので、すべての繊維が、基体の表面よりも外側に位置している部分を有する構成を有しているといえる。また、前述の構成(2)では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、基体における凹部の壁面に形成されているので、少なくとも一部の繊維(しかも、1本の繊維の中でも、その一部分)が、基体の表面よりも外側に位置している部分を有する構成を有しているといえる。このように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、すべての繊維が、必ず、基体の表面よりも外側(外部側)に位置している必要はなく、少なくとも一部の繊維(例えば、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体の凹部の壁面に形成されている場合、基体の凹部壁面の上部側に形成された繊維など)が、基体の表面よりも外側に位置していればよい。
また、基体の表面よりも外側に位置している繊維としては、1本の繊維の全長が基体の表面よりも外側に位置している必要はなく、1本の繊維の少なくとも一部分が基体の表面よりも外側に位置していればよい。
さらに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体における凹部の壁面に形成されている場合、基体の凹部の壁面の全面に形成されている必要はなく、基体の凹部の壁面の少なくとも一部分に形成されていればよい。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形状であり、且つ繊維によって凸状形状に形成され、さらに電磁波伝導吸収性を有している構造部であればよく、例えば、形成されている面から繊維が起立している構造の電磁波伝導吸収性を有する繊維起毛部(「電磁波伝導吸収性繊維起毛部」と称する場合がある)や、形成されている面に繊維の固まりが設けられたような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。具体的には、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体の表面に形成されている場合、繊維が基体の表面から起立している構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部、繊維の固まりが基体の表面に設けられたような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体における凹部の壁面に形成されている場合、繊維の少なくとも一部が基体の凹部の壁面から、基体の表面よりも外側に起立して突出している(特に、繊維の端部が突出している)構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部、繊維の固まりが基体の凹部壁面に設けられ、基体の表面よりも外側に繊維の一部分が突出したような構造の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部などが挙げられる。電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、単一の構造よりなるものであってもよく、複数の構造が組み合わされた構造よりなるものであってもよい。
なお、1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、通常、複数の繊維により構成されている。1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する繊維の数や密度は、特に制限されず、目的とする電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができる。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、形成されている面から繊維が起立している構造の電磁波伝導吸収性繊維起毛部(なかでも、繊維が基体の表面から起立している構造を有している電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が好ましい。
このような電磁波伝導吸収性繊維起毛部の構造としては、例えば(1)1本の繊維の一方の端部が基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、他方の端部が固定されていない(自由となっている)状態で、基体の表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造、(2)1本の繊維の中央部が基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着され、繊維の両端部が固定されていない(自由となっている)状態で、基体の表面よりも外側に繊維が略V字型に起立して突出している構造、(3)1本の繊維の両端部が基体の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、繊維の中央部が固定されていない(自由となっている)状態で、基体の表面よりも外側に繊維が逆略U字型に起立して突出している構造の他、基体の所定の面(表面や凹部壁面など)から、基体の表面よりも外側に繊維が略W字型、略M字型、略N字型、略O字型などの形状で起立して突出している構造、さらには、これらの構造が組み合わされた構造などが挙げられる。電磁波伝導吸収性繊維起毛部の構造としては、前記(1)の構造(基体の表面又は凹部壁面等の所定の面から基体の表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造)が好適である。
もちろん、電磁波伝導吸収性繊維起毛部は、基体の所定の面(表面や凹部壁面など)から繊維が、I字型などのように直線状に起立して、基体の表面よりも外側に突出した状態であってもよく、ギザギザ状、波線状、ループ状などの形態を有する状態で、全体的に起立して、基体の表面よりも外側に突出した状態であってもよい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は基体に部分的に設けられている場合、その全体としての形状としては、特に制限されず、所定のパターン形状を有していてもよい。また、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体における凹部の壁面に形成されている場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における全体としての形状は、凹部の全体としての形状に対応することになる。
基体における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が設けられている部位の全面積(全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積)としては、特に制限されないが、電磁波伝導吸収性の観点から、例えば、基体の一方の側の全表面積に対して0%より大きい割合となる面積であることが望ましい。全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、構造体の用途や、構造体の一方の面における表面積の大きさなどに応じて適宜選択することができる。具体的には、本発明の構造体が、例えば、電子部品(特に、いわゆる「携帯電話」で用いられる電子部品など)用の電磁波シールド材として用いられる場合や、構造体の一方の面における表面積が小さい場合(例えば、表面積が500mm2以下である場合)、全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、0.3%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30%以上であり、特に45%以上であることが好適である。また、本発明の構造体が、例えば、建築物用の電磁波シールド材として用いられる場合[例えば、建築物の各面(壁面、天井壁面、床壁面など)を構成している部材や、予め建材(各種ボード、床材など)に貼付する形態で用いられる場合]や、構造体の一方の面における表面積が大きい場合(例えば、表面積が0.5m2以上である場合)、全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の面積としては、0.03%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以上であり、特に0.3%以上であることが好適である。全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の基体表面における面積が、基体の一方の側の全表面積に対して低すぎると、電磁波伝導吸収性が低下する。
また、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の基体表面における面積や、各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部間の最短の間隔などは、特に制限されない。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の基体表面における面積としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部により囲まれた部分の面積とすることができる。従って、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体における凹部の壁面に形成されている場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の基体表面における面積は、凹部の基体表面における開口部の面積に相当する。
このような電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、電磁波伝導吸収性を有する繊維(「電磁波伝導吸収性繊維」と称する場合がある)により構成することができる。電磁波伝導吸収性繊維としては、特に制限されず、繊維素材自体が電磁波伝導吸収性を有する繊維(「電磁波伝導吸収性素材繊維」と称する場合がある)であってもよく、繊維素材に電磁波伝導吸収性が電磁波伝導吸収性材料により付与された繊維(「電磁波伝導吸収性付与繊維」と称する場合がある)であってもよい。電磁波伝導吸収性繊維は単独で又は2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
なお、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する繊維としては、電磁波伝導吸収性繊維とともに、電磁波伝導吸収性を有していない繊維(「非電磁波伝導吸収性繊維」と称する場合がある)が用いられていてもよい。このように、電磁波伝導吸収性繊維とともに、非電磁波伝導吸収性繊維が用いられている場合、電磁波伝導吸収性繊維と非電磁波伝導吸収性繊維とは、それぞれ別々の糸として用いられていてもよく、一本の糸として用いられていてもよい。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、電磁波伝導吸収性繊維のみによる糸と非電磁波伝導吸収性繊維のみによる糸とにより構成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維と非電磁波伝導吸収性繊維との撚り糸により構成されていてもよい。非電磁波伝導吸収性繊維としては、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系樹脂繊維などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性繊維において、電磁波伝導吸収性素材繊維としては、繊維素材自体が電磁波伝導吸収性を有している材料により構成された繊維を用いることができる。電磁波伝導吸収性素材繊維としては、例えば、炭素系繊維や、導電性ポリマーによる繊維の他、金属系繊維などが挙げられる。なお、炭素系繊維としては、カーボンブラック等の炭素系素材による繊維などが挙げられる。また、導電性ポリマーによる繊維における導電性ポリマーとしては、特に制限されず、ポリアセチレン系導電性ポリマー、ポリピロール系導電性ポリマー、ポリアセン系導電性ポリマー、ポリフェニレン系導電性ポリマー、ポリアニリン系導電性ポリマー、ポリチオフェン系導電性ポリマーなどが挙げられる。さらに、金属系繊維としては、特に制限されず、例えば、下記に具体的に例示された金属材料よりなる繊維などから適宜選択することができる。具体的には、金属系繊維としては、例えば、金繊維、銀繊維、アルミニウム繊維、鉄繊維、銅繊維、ニッケル繊維、ステンレス系繊維、銅−ニッケル合金繊維等の金属元素よりなる繊維の他、硫化銅繊維等の金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物よりなる繊維などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性繊維において、電磁波伝導吸収性付与繊維としては、電磁波伝導吸収性材料により電磁波伝導吸収性が付与された形態の繊維であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性材料により被覆された繊維(「電磁波伝導吸収材被覆繊維」と称する場合がある)や、電磁波伝導吸収性材料が含浸された繊維(「電磁波伝導吸収材含浸繊維」と称する場合がある)の他、繊維素材中に電磁波伝導吸収性材料が含有された繊維(「電磁波伝導吸収材含有素材繊維」と称する場合がある)などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性付与繊維としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性が電磁波伝導吸収性材料により付与される前の繊維(繊維素材)としては、特に制限されず、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよい。また、繊維素材(繊維)としては、電磁波伝導吸収性繊維であってもよく、非電磁波伝導吸収性繊維であってもよい。より具体的には、繊維素材(繊維)としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリエステル系繊維(商品名「テトロン」など)、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系樹脂繊維等の非電磁波伝導吸収性繊維や、炭素繊維(炭素系繊維)等の電磁波伝導吸収性繊維などが挙げられる。繊維素材としては、非電磁波伝導吸収性繊維が好ましく、特に綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維が好適である。繊維素材は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
また、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材被覆繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料や、電磁波伝導吸収性を有するプラスチック材料(「電磁波伝導吸収性プラスチック材料」と称する場合がある)の他、各種磁性材料などを用いることができ、金属材料を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。電磁波伝導吸収材被覆繊維において、金属材料としては、金属元素単体や合金等の金属元素のみからなる金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物であってもよい。金属材料としては、金属元素のみからなる金属材料が好適である。具体的には、金属元素単体よりなる金属材料における金属元素としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族元素;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2族元素;スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウムなど)、アクチノイド元素(アクチニウムなど)等の周期表3族元素;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期表4族元素;バナジウム、ニオブ、タンタル等の周期表5族元素;クロム、モリブデン、タングステン等の周期表6族元素;マンガン、テクネチウム、レニウム等の周期表7族元素;鉄、ルテニウム、オスミウム等の周期表8族元素;コバルト、ロジウム、イリジウム等の周期表9族元素;ニッケル、パラジウム、白金等の周期表10族元素;銅、銀、金等の周期表11族元素;亜鉛、カドミウム、水銀等の周期表12族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表13族元素;スズ、鉛等の周期表14族元素;アンチモン、ビスマス等の周期表15族元素などが挙げられる。一方、合金としては、例えば、ステンレス、銅−ニッケル合金、真ちゅう、ニッケル−クロム合金、鉄−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金、金−銅合金、スズ−鉛合金、銀−スズ−鉛合金、ニッケル−クロム−鉄合金、銅−マンガン−ニッケル合金、ニッケル−マンガン−鉄合金などが挙げられる。
また、金属元素とともに非金属元素を含む各種金属系化合物としては、前記に例示の金属元素や合金を含む電磁波伝導吸収性を発揮できる金属系化合物であれば特に制限されず、例えば、硫化銅等の金属硫化物;酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウムスズ等の金属酸化物や金属複合酸化物などが挙げられる。
金属材料としては、具体的には、金、銀、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、ステンレス、銅−ニッケル合金を好適に用いることができ、特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金を好適に用いることができる。
なお、電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、例えば、ポリアセチレン系導電性ポリマー、ポリピロール系導電性ポリマー、ポリアセン系導電性ポリマー、ポリフェニレン系導電性ポリマー、ポリアニリン系導電性ポリマー、ポリチオフェン系導電性ポリマー等の導電性ポリマー等の導電性プラスチック材料などが挙げられる。
さらに、磁性材料としては、特に制限されず、例えば、軟磁性粉、各種フェライト、酸化亜鉛ウイスカーなどが挙げられる。磁性材料としては、フェロ磁性やフェリ磁性を示す強磁性体が好適である。具体的には、磁性材料としては、例えば、高透磁率フェライト(いわゆる「ソフトフェライト」;いわゆる「Mnフェライト」、いわゆる「Niフェライト」、いわゆる「Znフェライト」、いわゆる「Mn−Znフェライト」、いわゆる「Ni−Znフェライト」など)、純鉄、ケイ素原子含有鉄(いわゆる「ケイ素鋼」)、ニッケル−鉄系合金(いわゆる「パーマロイ」;ニッケル−マンガン−鉄合金、ニッケル−モリブデン−銅−鉄合金、ニッケル−モリブデン−マンガン−鉄合金など)、鉄−コバルト系合金、アモルファス金属高透磁率材料、鉄−アルミニウム−ケイ素合金(いわゆる「センダスト合金」)、鉄−アルミニウム−ケイ素−ニッケル合金(いわゆる「スーパーセンダスト合金」)、いわゆる「フェライト磁石」(いわゆる「ハードフェライト」;いわゆる「Baフェライト」、いわゆる「Srフェライト」など)、いわゆる「アルニコ磁石」(鉄−ニッケル−アルミニウム−コバルト合金)、鉄−クロム−コバルト合金、いわゆる「希土類コバルト磁石」(いわゆる「Sm−Co磁石」、いわゆる「2−17型磁石」)、いわゆる「Nd−Fe−B磁石」、いわゆる「希土類鉄窒素侵入型化合物磁石」、いわゆる「Mn−Al−C磁石」などが挙げられる。
電磁波伝導吸収材被覆繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材に被覆させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の被覆方法を適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料である場合、電磁波伝導吸収材被覆繊維の形成方法としては、金属材料の蒸着による被覆方法や、金属材料のメッキによる被覆方法が好適である。
また、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収材被覆繊維における電磁波伝導吸収性材料と同様の電磁波伝導吸収性材料(例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)を用いることができ、金属材料(特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金)を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収材含浸繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材に含浸させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の含浸方法を適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料である場合、電磁波伝導吸収材含浸繊維の形成方法としては、金属材料中に繊維素材を浸漬させる含浸方法が好適である。
なお、電磁波伝導吸収性付与繊維としての電磁波伝導吸収材含有素材繊維において、電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収材被覆繊維における電磁波伝導吸収性材料と同様の電磁波伝導吸収性材料(例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)を用いることができ、金属材料(特に、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、銅−ニッケル合金)を好適に用いることができる。このような金属材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状、薄層状や繊維状などの各種の形態を有していてもよい。また、電磁波伝導吸収材含有素材繊維における繊維素材の材料としては、プラスチック材料(例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂など)が好適に用いられる。電磁波伝導吸収材含有素材繊維において、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材中に含有させる方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類に応じて、公知の含有方法を適宜選択して利用することができる。例えば、繊維素材の材料と、電磁波伝導吸収性材料とを混練等により混合した後、繊維化させることにより、電磁波伝導吸収性材料を繊維素材中に含有させる方法などが挙げられる。
本発明では、電磁波伝導吸収性繊維としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維、電磁波伝導吸収材含浸繊維および電磁波伝導吸収性素材繊維から選択された少なくとも1種の繊維を好適に用いることができる。従って、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部としては、電磁波伝導吸収材被覆繊維、電磁波伝導吸収材含浸繊維および電磁波伝導吸収性素材繊維から選択された少なくとも1種の繊維により好適に構成することができる。
このような電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)としては、短繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性繊維の長さが長くなると、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が横倒し易くなる。電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)としては、その長さが0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.3〜2mm)程度であることが望ましい。なお、電磁波伝導吸収性繊維の長さが短すぎると、製造が難しく、高価になるため、コスト的な観点からも好ましくない。
また、電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)の太さとしては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20デニール(好ましくは0.5〜15デニール、さらに好ましくは1〜6デニール)程度の範囲から選択することができる。電磁波伝導吸収性繊維の太さが太すぎると、例えば、構造体の屈曲性や柔軟性が低下する。一方、電磁波伝導吸収性繊維の太さが細すぎると、取り扱い性が低下するため好ましくない。
さらに、電磁波伝導吸収性繊維(または繊維素材)の太さ、直径によっても規定又は設定することができる。電磁波伝導吸収性繊維の直径としては、例えば、5〜100μm(好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜45μm)の範囲から選択することもできる。
なお、電磁波伝導吸収性繊維としては、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維や、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収性繊維を用いることが好ましく、特に複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性繊維として、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維が用いられている場合、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維は、それぞれ別々の糸として用いられていてもよく、一本の糸として用いられていてもよい。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維による複数種又は2種以上の糸により構成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維が複数種又は2種以上用いられた撚り糸により構成されていてもよい。このように、電磁波伝導吸収性繊維としては、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維等を用いると、下記に示されるように、幅広い電磁波に対応した構造体を得ることができる。
電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部(特に、電磁波伝導吸収性繊維起毛部)を形成する方法としては、特に制限されないが、下記に示されるように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。なお、植毛加工方法により基体の表面の所定の部位に電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成させる際には、基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成する所定の部位に対応した位置に、孔部(貫通穴部)を有している部材(特に、貫通穴部を有している剥離ライナー)を、予め基体の表面の所定の位置に設けてから、植毛加工を行うことが好ましい。また、植毛加工方法により基体の凹部の壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させる際には、基体の凹部(電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する凹部)に対応した位置に、孔部(貫通穴部)を有している部材(特に、貫通穴部を有している剥離ライナー)を、予め基体の表面の所定位置に設けてから、植毛加工を行うことが好ましい。
(基体)
また、構造体用部材において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する基体としては、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する際に流動性や、粘着性又は接着性(粘接着性)などを確保できるものであれば特に制限されない。基体は、単層の形態、積層された形態の何れの形態を有していてもよい。本発明では、基体としては、図5(a)〜(c)で示されるように、粘着剤層、接着剤層やポリマー層を好適に用いることができ、特に、粘着剤層又接着剤層(「粘接着剤層」と称する場合がある)が好適である。図5は本発明における構造体用部材の例を示す概略断面図である。図5において、7aは構造体用部材、7a1は粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)、7a2は基材、7a3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、7bは構造体用部材、7b1は粘着剤層、7b2は剥離ライナー、7b3は電磁波伝導吸収性繊維起毛部、7cは構造体用部材、7c1はポリマー層、7c2は電磁波伝導吸収性繊維起毛部である。図5(a)で示される構造体用部材7aは、支持体としての基材7a2の片面に、基体としての粘接着剤層7a1が形成され、該粘接着剤層7a1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部7a3が形成された構成を有している。また、図5(b)で示される構造体用部材7bは、支持体としての剥離ライナー7b2の片面に、基体としての粘着剤層7b1が形成され、該粘着剤層7b1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部7b3が形成された構成を有している。図5(c)で示される構造体用部材7cは、基体としてのポリマー層7c1の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部として電磁波伝導吸収性繊維起毛部7c2が形成された構成を有している。
なお、図5(a)〜(c)で示される構造体用部材7a〜7cを折り曲げたり、図5(a)〜(c)で示される構造体用部材7a〜7cを他の構造体用部材に積層させたりすることなどにより、本発明の構造体(すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有している構造体)を作製することができる。
基体としての粘着剤層又は接着剤層(粘接着剤層)において、粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。一方、接着剤層を構成する接着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ビニルアルキルエーテル系接着剤、シリコーン系接着剤、フッ素系接着剤などの公知の接着剤を用いることができる。また、接着剤は、感熱接着剤であってもよい。粘着剤や接着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤や接着剤は、エマルジョン系、溶剤系、オリゴマー系、固系などのいずれの形態の粘着剤又は接着剤であってもよい。
なお、粘着剤や接着剤は、粘着性成分又は接着性成分等のポリマー成分(ベースポリマー)の他に、粘着剤や接着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。粘着剤層や接着剤層を形成する際に架橋する場合は、加熱による加熱架橋方法、紫外線照射による紫外線架橋方法(UV架橋方法)、電子線照射による電子線架橋方法(EB架橋方法)、室温等で自然に硬化させる自然硬化方法等の公知の架橋方法を利用することができる。
本発明では、粘接着剤層としては、粘着剤層が好適である。粘着剤層を構成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
粘接着剤層の形成方法としては、公知の粘着剤層の形成方法又は公知の接着剤層の形成方法(例えば、塗布形成方法や転写形成方法など)を採用することができ、構造体用部材や、粘接着剤層が形成される支持体の種類、形状や大きさなどに応じて、適宜選択することができる。具体的には、例えば、粘着剤層が、下記に示されるように、支持体としての基材上に形成されている場合、粘着剤層の形成方法としては、基材上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。また、例えば、下記に示されるように、支持体としての剥離ライナー上に形成されている場合、粘着剤層の形成方法としては、剥離ライナーの剥離面上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。なお、接着剤層の形成方法としては、例えば、接着剤層が支持体としての基材上に形成されている場合、基材の所定の面に、接着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。
一方、基体としてのポリマー層を構成するためのポリマー成分としては、特に制限されず、公知のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分の他、ゴム成分やエラストマー成分など)の中から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には、ポリマー層を構成するポリマー成分において、樹脂成分しては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアリール、ポリスルホンなどが挙げられる。また、ゴム成分としては、例えば、天然ゴムや、合成ゴム(ポリイソブチレン、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム等)などが挙げられる。さらにまた、エラストマー成分としては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
基体(粘接着剤層やポリマー層など)の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm)程度の範囲から選択することができる。
なお、基体(特に粘着剤層)には、部分的に凹部が形成されていてもよい。このような凹部としては、陥没部であってもよいが、孔部(貫通孔部)であることが好ましく、孔部の中でも、特に穿孔部が好適である。このような凹部において、凹部全体としての形状、各凹部の基体表面における開口部の形状、凹部の基体表面における開口部の全面積、各凹部の基体表面における開口部の面積などとしては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に対応したものとすることができる。なお、凹部が陥没部である場合、その深さは、特に制限されず、基体の厚みの1%以上(例えば、1〜99%、好ましくは30〜90%)に相当する深さの範囲から適宜選択することができる。
また、基体としての粘着剤層は剥離ライナー上に形成することができ、この場合、凹部としての陥没部は、粘着剤層の少なくともいずれか一方の表面に形成することができ、好ましくは粘着剤層の片側の表面である。さらにまた、支持体としての基材の両面に、基体としての粘着剤層を形成することができ、この場合、凹部(陥没部や孔部など)は、少なくともいずれか一方の粘着剤層の表面に形成することができ、好ましくは片側の粘着剤層の表面である。凹部が孔部である場合、孔部を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、凹部が陥没部である場合、陥没部を形成する方法としては、孔部と同様の形成方法を採用することができる。
本発明では、基体(粘接着剤層や、ポリマー層など)は、構造体の電磁波伝導吸収性をより一層向上させる観点などから、電磁波伝導吸収性を有していることが好ましい。電磁波伝導吸収性を有している基体は、電磁波伝導吸収性材料を含有する組成物(粘着剤組成物、接着剤組成物や、ポリマー組成物など)により形成することができる。基体において用いられる電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記に例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料(例えば、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)などが挙げられる。金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状又は薄層状など何れの形態を有していてもよい。
電磁波伝導吸収性材料を含有する基体(粘着剤組成物、接着剤組成物やポリマー組成物など)は、粘着剤層を構成する粘着剤、接着剤層を構成する接着剤またはポリマー層を構成するポリマー成分と、電磁波伝導吸収性材料とを混合することにより調製することができる。なお、電磁波伝導吸収性材料の含有割合としては、特に制限されず、粘着剤又は接着剤の粘着性又は接着性、粘接着剤層やポリマー層の電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができ、例えば、粘着剤組成物、接着剤組成物又はポリマー組成物中の固形分全量に対して3〜98重量%(特に5〜95重量%)であることが好ましい。電磁波伝導吸収性材料の含有割合が過少であると基体の電磁波伝導吸収性が低下し、一方、過多であると、基体が粘接着剤層である場合、粘着性又は接着性が低下する。
(支持体)
このような構造体用部材において、基体(特に、基体としての粘接着剤層)は、支持体の少なくとも一方の面に形成されていてもよい。なお、基体が支持体の両面に形成されている場合、支持体の一方の面に形成された基体のみに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていてもよく、また、支持体の両面に形成された基体に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていてもよい。
このような支持体としては、特に制限されず、構造体の種類などに応じて適宜選択して用いることができる。支持体の形状としては、何れの形状を有していてもよい。支持体の形状としては、例えば、球状、円柱状、多面体形状、多角錐状、円錐状、板状、シート状などが挙げられる。また、支持体の材料としては、特に制限されず、いずれの材料であってもよく、例えば、プラスチック材、金属材、繊維材、紙材などが挙げられ、これらの材料は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
本発明では、支持体としては、シート状の形態を有していることが好ましい。支持体がシート状の形態を有している場合、単数乃至複数の構造体用部材を折り曲げ又は積層することに形成された構造体は、シート状の形態を有するシート状構造体として利用することが可能となる。このようなシート状の形態を有している支持体としては、例えば、基体が粘接着剤層である場合、粘着テープ又はシート用基材などのシート状の基材や、粘着テープ又はシート用剥離ライナーなどを用いることができる。具体的には、構造体用部材が、例えば、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートにより形成されている場合、支持体としては、粘着テープ又はシート用基材を用いることができる。また、構造体用部材が、例えば、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートにより形成されている場合、支持体としては、粘着テープ又はシート用剥離ライナー(セパレータ)を用いることができる。なお、構造体用部材が、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートにより形成されている場合、構造体用部材としては、例えば、支持体としての基材(粘着テープ又はシート用基材)の片面又は両面に粘着剤層が形成されているとともに、基材の片面又は両面に形成された粘着剤層の表面や凹部壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよい。一方、構造体用部材が、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートにより形成されている場合、構造体用部材としては、例えば、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)が粘着剤層の支持体となっているとともに、粘着剤層の表面や凹部壁面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有していてもよい。なお、支持体としての剥離ライナーは、構造体用部材を使用するまでの間、粘着剤層を支持しているとともに、粘着剤層の表面を保護している。
(基材)
支持体としての基材としては、前述のように、シート状の基材を好適に用いることができる。このようなシート状の基材としては、粘着テープ又はシート用基材(基材)が好適に用いられる。基材としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(金属系基材、紙系基材、繊維系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。なお、基材として発泡体を用いると、被着体の表面の凹凸部に対する追従性を高めることができる。
基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材が好ましい。このようなプラスチック系基材の素材(プラスチック材料)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。また、基材において、プラスチック系基材のプラスチック材料としては、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料など)であってもよい。導電性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の導電性ポリマーなどが挙げられる。プラスチック材料は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
また、金属系基材(金属箔や金属板など)を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。金属材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、構造体の電磁波伝導吸収性をより一層高めるために、基材としては、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する基材(「電磁波伝導吸収性基材」と称する場合がある)を好適に用いることができる。電磁波伝導吸収性基材としては、電磁波伝導吸収性を発揮可能な基材であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性材料により構成された基材、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性基材において、電磁波伝導吸収性材料により構成された基材としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維や、粘着剤組成物又は接着剤組成物中に含有させる電磁波伝導吸収性材料において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材としては、各種基材の表面又は内部に、電磁波伝導吸収性材料が用いられている基材であれば特に制限されない。電磁波伝導吸収性材料を表面に含有する基材としては、電磁波伝導吸収性材料を含有する電磁波伝導吸収性材料含有組成物による層(「電磁波伝導吸収性材料含有層」と称する場合がある)を表面に有する基材などが挙げられる。電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材において、電磁波伝導吸収性材料含有層としては、基材の少なくとも一方の面に形成されていればよい。また、電磁波伝導吸収性材料含有層の厚みとしては特に制限されず、例えば、0.1μm以上(例えば、0.1μm〜1mm)の範囲から適宜選択することができ、電磁波伝導吸収性材料含有層は、厚みが薄い層(例えば、厚みが0.1〜30μm程度の薄膜層)であってもよい。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材としては、電磁波伝導吸収性を有していない基材(「非電磁波伝導吸収性基材」と称する場合がある)上に、厚みが薄い電磁波伝導吸収性材料含有層が形成された構成を有している基材であってもよく、また、非電磁波伝導吸収性基材と、電磁波伝導吸収性材料含有層とが積層された構成を有している基材であってもよい。
このような電磁波伝導吸収性材料含有層を形成するための電磁波伝導吸収性材料含有組成物において、電磁波伝導吸収性材料は、主成分として含有していてもよく、混合成分(副成分)として含有していてもよい。電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などを用いることができる。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層は、金属箔や金属板等の金属材料層や、電磁波伝導吸収性プラスチック材料製フィルム又はシート等の電磁波伝導吸収性プラスチック材料層、磁性材料層などであってもよい。なお、電磁波伝導吸収性材料含有層を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料などが挙げられる。さらにまた、磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。電磁波伝導吸収性材料は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料等の電磁波伝導吸収性材料は、粉末状、フィルム状、箔状又は薄層状など何れの形態を有していてもよい。
また、電磁波伝導吸収性材料により被覆又は積層される非電磁波伝導吸収性基材としては、電磁波伝導吸収性を有していない基材であれば特に制限されず、例えば、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック系基材(ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の電磁波伝導吸収性を有していない樹脂を素材とするプラスチック系基材など)、電磁波伝導吸収性を有していない紙系基材(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)、電磁波伝導吸収性を有していない繊維系基材(電磁波伝導吸収性を有していない布や不織布など)などを用いることができる。なお、非電磁波伝導吸収性基材は、単層、積層体の何れの形態を有していてもよい。
なお、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材において、電磁波伝導吸収性材料含有層を基材の表面に形成する方法としては、特に制限されず、電磁波伝導吸収性材料の種類や、電磁波伝導吸収性材料含有層の厚みなどに応じて、公知の方法(例えば、金属蒸着方法、金属メッキ方法、接着による積層方法、含浸方法、塗装方法など)より適宜選択して利用することができる。例えば、電磁波伝導吸収性材料が金属材料であり、且つ電磁波伝導吸収性材料含有層が厚みが薄い電磁波伝導吸収性材料含有層である場合、金属材料の蒸着による被覆方法や、金属材料のメッキによる被覆方法等を利用して、電磁波伝導吸収性材料含有層を基材の表面に形成することができる。従って、電磁波伝導吸収性材料含有層を表面に有する基材としては、表面に金属材料が蒸着されたプラスチックフィルム又はシート(金属蒸着プラスチックフィルム又はシート)や、表面に金属材料がメッキされたプラスチックフィルム又はシート(金属メッキプラスチックフィルム又はシート)などであってもよい。
一方、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材としては、電磁波伝導吸収性材料を含有する電磁波伝導吸収性材料含有組成物により形成された基材などが挙げられる。このような基材としては、電磁波伝導吸収性材料が基材を構成する主材料として形成された基材(「電磁波伝導吸収性材料系基材」と称する場合がある)であってもよく、基材を構成する主材料と電磁波伝導吸収性材料とを含む混合材料により形成された基材(「電磁波伝導吸収性材料含有基材」と称する場合がある)であってもよい。電磁波伝導吸収性材料系基材としては、金属箔、金属板などの金属系基材;電磁波伝導吸収性プラスチック材料により形成されたフィルム又はシートなどの電磁波伝導吸収性プラスチック系基材;電磁波伝導吸収性を有する繊維により形成された織物(布など)や不織布などの電磁波伝導吸収性を有する繊維系基材(電磁波伝導吸収性繊維系基材);磁性材料板などの磁性材料系基材などが挙げられる。金属系基材を形成するための金属材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料などが挙げられる。また、電磁波伝導吸収性プラスチック系基材を形成するための電磁波伝導吸収性プラスチック材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料などが挙げられる。さらにまた、電磁波伝導吸収性繊維系基材における繊維としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性繊維(炭素系繊維、導電性ポリマーによる繊維や、金属系繊維など)などを用いることができる。さらに、磁性材料系基材における磁性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。
また、電磁波伝導吸収性材料含有基材において、基材を構成する主材料としては、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック材料(ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の電磁波伝導吸収性を有していない樹脂など)、電磁波伝導吸収性を有していない紙材料(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等の電磁波伝導吸収性を有していない紙系基材を形成するための紙材料など)、電磁波伝導吸収性を有していない繊維材料(電磁波伝導吸収性を有していない布や不織布等の電磁波伝導吸収性を有していない繊維系基材を形成するための繊維材料など)等の電磁波伝導吸収性を有していない材料(「非電磁波伝導吸収性材料」と称する場合がある)などが挙げられる。非電磁波伝導吸収性材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。電磁波伝導吸収性材料含有基材における電磁波伝導吸収性材料としては、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の金属材料、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の電磁波伝導吸収性プラスチック材料や、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維などにおいて例示の磁性材料などが挙げられる。
なお、電磁波伝導吸収性材料含有基材において、基材を構成する主材料が、電磁波伝導吸収性を有していない繊維材料である場合、電磁波伝導吸収性材料は、繊維に含浸された形態や、繊維を形成する繊維材料中に混合された形態で含有されていてもよい。
電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材において、電磁波伝導吸収性材料を基材の内部に含有させる方法としては、特に制限されない。例えば、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材が電磁波伝導吸収性材料系基材である場合、電磁波伝導吸収性材料系基材の種類等に応じて、公知の金属箔形成方法、公知のプラスチックフィルム又はシート形成方法、公知の繊維形成方法等を利用して、電磁波伝導吸収性材料系基材を形成することができる。また、電磁波伝導吸収性材料を内部に含有する基材が電磁波伝導吸収性材料含有基材である場合、基材を構成する主材料や電磁波伝導吸収性材料の種類等に応じて、例えば、基材を構成する主材料と、電磁波伝導吸収性材料とを混合した後、公知の金属箔形成方法や公知のプラスチックフィルム又はシート形成方法などを利用して、電磁波伝導吸収性材料含有基材を形成することができる。
なお、基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。また、前述のように、基材には電磁波伝導吸収性材料が配合されていてもよい。
基材の片面または両面には、粘接着剤層等との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さとしては、特に制限されず、例えば、10μm〜20mm、好ましくは30μm〜12mmの範囲から選択することができる。
(剥離ライナー)
支持体としての剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナーなど)としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、公知の低接着性基材などが挙げられる。剥離ライナーとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーが好適である。剥離ライナー用基材としては、各種プラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。剥離処理層は、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などの公知の剥離処理剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いて形成することができる。剥離処理層は、剥離処理剤を剥離ライナー用基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等のための加熱工程を経て形成することができる。
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナー用基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
(被覆層)
本発明の構造体では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、少なくとも一部の表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていることが重要である。具体的には、構造体としては、例えば、(i)電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、すべての表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられた構成を有していてもよく、また、(ii)電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、一部の表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられており、且つ残部の表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない構成を有していてもよい。なお、構造体が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、一部の表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない構成を有している場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、繊維が基体から抜けること(すなわち、繊維の脱落)を抑制又は防止するために、被覆層により被覆されていることが好ましい。すなわち、本発明の構造体としては、図6で示されるように、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているとともに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆する被覆層が形成された構成を有していてもよい。
図6は本発明の構造体の他の例を部分的に示す概略断面図である。図6において、8は構造体、81は構造体用部材、81aは基体、81bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、81cは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部、81dは被覆層、82は構造体用部材、82aは基体、82bは電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部である。図6では、構造体用部材81は、基体81aの各表面に、それぞれ部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81b、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81cが形成された構成を有しており、構造体用部材82は、基体82aの片面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部82bが形成された構成を有している。図6で示される構造体8は、構造体用部材81における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81bが形成されている側の表面と、構造体用部材82における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部82bが形成されている側の表面とが対向する形態で、構造体用部材81と構造体用部材82とが重ね合わせられた構成を有しているとともに、構造体用部材81における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部81cが、被覆層81dにより被覆された構成を有している。
被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆している層であり、該被覆層により、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維が基体から抜けることを抑制又は防止することができ、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の保持性を効果的に高めることができる。また、被覆層により、耐衝撃性等の特性を高めることもできる。このような被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の少なくとも一部分又は上面を被覆している層であればよく、特に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の上面を被覆している層であることが好ましい。なお、被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に接触した形態で形成されていてもよく、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に接触しておらず、他の層や部材を介した形態で形成されていてもよい。
被覆層を構成する被覆材としては、特に制限されず、公知のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分の他、ゴム成分やエラストマー成分など)を主成分として含む被覆材組成物などが挙げられる。具体的には、被覆層を構成する被覆材組成物において、ポリマー成分としては、前記基体において例示のポリマー成分と同様のポリマー成分(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂成分や、ゴム成分、エラストマー成分など)から適宜選択して用いることができる。
被覆層は、単層の形態、積層された形態の何れの形態を有していてもよい。
本発明では、被覆層は、電磁波伝導吸収性を有していることが好ましい。被覆層も電磁波伝導吸収性を有していると、構造体の電磁波伝導吸収性を、より一層高めることができる。電磁波伝導吸収性を有している被覆層は、電磁波伝導吸収性材料を含有する被覆材組成物により形成することができる。被覆材において用いられる電磁波伝導吸収性材料としては、特に制限されず、例えば、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料(導電性プラスチック材料等)や磁性材料などの電磁波伝導吸収性材料から1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料としては、前記に例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料(例えば、前記電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維、前記粘接着剤層を構成する粘着剤組成物又は接着剤組成物や、基体を構成する組成物において例示の金属材料、電磁波伝導吸収性プラスチック材料や磁性材料など)などが挙げられる。
電磁波伝導吸収性材料を含有する被覆材組成物は、被覆材と、電磁波伝導吸収性材料とを混合することにより調製することができる。なお、被覆材組成物において、電磁波伝導吸収性材料の含有割合としては、特に制限されず、被覆材のポリマー成分の種類、被覆層の電磁波伝導吸収性などに応じて適宜選択することができ、例えば、被覆材組成物中の固形分全量に対して3〜98重量%(特に5〜95重量%)であることが好ましい。電磁波伝導吸収性材料の含有割合が過少であると被覆層の電磁波伝導吸収性が低下し、一方、過多であると被覆層の形成が困難になる。
なお、被覆層は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を被覆する層であるため、被覆層を形成する際には、予め電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が基体に形成されていることが重要である。従って、基体に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成した後、被覆層を形成することができる。
被覆層の形成方法としては、公知の形成方法(例えば、塗布形成方法、浸漬形成方法、スプレー形成方法など)を採用することができ、被覆層の形態、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の種類や形態などに応じて適宜選択することができる。具体的には、繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で基体に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部に、被覆材組成物を塗布することにより、被覆層を形成することができる。
被覆層の厚さとしては、特に制限されず、被覆層の種類や形態、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維が露出している長さなどに応じて適宜設定することができる。被覆層の厚さとしては、例えば、10〜5000μm(好ましくは30〜3000μm、さらに好ましくは30〜2000μm)の範囲から選択することができる。
なお、本発明では、被覆層は、粘着テープ又はシートにより形成された層であってもよい。具体的には、粘着テープ又はシートを、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部上に貼り合わせることにより、被覆層が形成されていてもよい。被覆層を形成するための粘着テープ又はシートとしては、粘着剤層のみにより形成された構成を有している粘着テープ又はシート(基材レスタイプの粘着テープ又はシート)であってもよく、基材の片面又は両面に粘着剤層が形成された構成を有している粘着テープ又はシート(基材付きタイプの粘着テープ又はシート)であってもよい。このように、被覆層は、粘着剤層のみによる層であってもよく、粘着剤層と基材との積層体による層であってもよい。粘着テープ又はシートにより形成された被覆層は、被覆材組成物の塗布などではなく、粘着テープ又はシートを電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部上に貼り合わせることにより形成することができる。
被覆層が基材レスタイプの粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにより形成されている場合、各粘着テープ又はシートにおける粘着剤層としては、電磁波伝導吸収性を有してない粘着剤層(非電磁波伝導吸収性粘着剤層)、電磁波伝導吸収性を有している粘着剤層(電磁波伝導吸収性粘着剤層)のいずれであってもよい。このような被覆層において、各粘着テープ又はシートにおける非電磁波伝導吸収性粘着剤層を構成するための粘着剤組成物としては、例えば、前記基体としての粘接着剤層の項で例示の粘着剤組成物などが挙げられる。一方、各粘着テープ又はシートにおける電磁波伝導吸収性粘着剤層を構成するための粘着剤組成物としては、前記基体としての粘接着剤層の項において、電磁波伝導吸収性を有している粘接着剤層を構成する粘着剤組成物として例示の電磁波伝導吸収性材料を含有する粘着剤組成物などが挙げられる。
また、被覆層が基材付きタイプの粘着テープ又はシートにより形成されている場合、粘着テープ又はシートにおける基材としては、電磁波伝導吸収性を有してない基材(非電磁波伝導吸収性基材)であってもよく、電磁波伝導吸収性を有している基材(電磁波伝導吸収性基材)であってもよい。このような被覆層において、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにおける非電磁波伝導吸収性基材としては、例えば、非電磁波伝導吸収性を有しているプラスチック系基材、非電磁波伝導吸収性を有している紙系基材、非電磁波伝導吸収性を有している繊維系基材などが挙げられ、これらの具体例としては、構造体における支持体としての基材の項で例示のプラスチック系基材、紙系基材や繊維系基材などが挙げられる。一方、基材付きタイプの粘着テープ又はシートにおける電磁波伝導吸収性基材としては、構造体における支持体としての基材の項で例示のもの(電磁波伝導吸収性材料により構成された基材、電磁波伝導吸収性材料を表面又は内部に含有する基材など)が挙げられる。
具体的には、被覆層を形成するための粘着テープ又はシートとしては、例えば、基材を有していない粘着テープ又はシート、プラスチックフィルム又はシート(ポリエステルフィルム又はシートなど)を基材とする粘着テープ又はシート、不織布を基材とする粘着テープ又はシート、金属箔(アルミニウム箔など)を基材とする粘着テープ又はシートを用いることができる。これらの粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤が好適であり、電磁波伝導吸収性材料を含有していてもよい。
被覆層を形成するための粘着テープ又はシートの形成方法は、公知の粘着テープ又はシートの形成方法から適宜選択することができる。粘着テープ又はシートの厚さは、もちろん、被覆層の厚さとなるので、前記に例示の被覆層の厚さとなるように、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層や基材の厚さを調整することが重要である。また、被覆層を形成するための粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層や基材は、それぞれ、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。なお、被覆層が基材の両面に粘着剤層が形成された構成を有している粘着テープ又はシートにより形成されている場合、基材の両面に形成された粘着剤層は、同一の粘着剤層であってもよく、異なる粘着剤層であってもよい。
なお、本発明では、被覆層は、絶縁層(例えば、粘着面又は接着面となる非導電性の粘着剤層又は接着剤層等の非導電性部材など)を含んでいても又は絶縁層となっていてもよい。このように、被覆層が絶縁層を含んでいても又は絶縁層となっていても、本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性の低下が抑制又は防止されており、電磁波伝導吸収性(特に、電磁波を伝導ないし吸収してシールドする電磁波シールド性)を有効に保持して発揮することができる。
(構造体)
本発明の構造体は、前述のように、基体に、少なくとも部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成され、且つ電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していることが重要であり、このような構成を有していれば、本発明の効果や作用などを大きく損なわない限り、適宜な部位に適宜な層を有していてもよい。具体的には、本発明の構造体の構成としては、例えば、次の(A)〜(D)等の構成などが挙げられる。
(A)基体を支持する支持体としての基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、基体としての粘着剤層又接着剤層(粘接着剤層)が形成され、且つ該基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)の粘接着剤層に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成された構造体用部材が単数乃至複数用いられており、且つ単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられている構成
(B)基体を支持する剥離ライナーの一方の剥離面に、基体としての粘着剤層が形成され、且つ該剥離ライナーの一方の面の粘着剤層に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成された構造体用部材が単数乃至複数用いられており、且つ単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられている構成
(C)基体が支持体により支持されておらず、基体としてのポリマー層の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部がポリマー層の表面よりも外側に位置する形態で形成された構造体用部材が単数乃至複数用いられており、且つ単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられている構成
(D)前記構成(A)〜(C)において、構造体が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、一部の表面が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない構成を有している場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている構成[すなわち、基体が必要に応じて支持体(基材や剥離ライナー等)により支持され、且つ基体としての粘接着剤層又はポリマー層の少なくとも一方の面(片面又は両面)に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘接着剤層又はポリマー層の表面よりも外側に位置する形態で形成された構造体用部材が単数乃至複数用いられており、且つ単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面のうち、一部の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられているとともに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面と対向する形態で重ね合わせられていない表面における電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が、被覆層により被覆されている構成]
また、構造体としては、前記構成(A)〜(D)を有する構造体から選択された少なくとも2種以上が段重ねに重ねられた構成の構造体なども用いることができる。
なお、構造体用部材が基体の両面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有している場合、基体の両面に形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、同一の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよく、異なる電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよい。また、構造体用部材が基材の両面に粘接着剤層が形成された構成を有している場合、基材の両面に形成された粘接着剤層は、同一の粘接着剤層であってもよく、異なる粘接着剤層であってもよい。
さらに、構造体の表面は、全面的に又は部分的に(例えば、少なくとも何れかの1つの端部のみに)、粘着面又は接着面となっていてもよい。このように、構造体の表面が粘着面又は接着面となっている場合、該粘着面又は接着面は、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面、電磁波伝導吸収性を有していない粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面のいずれであってもよいが、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面であることが好ましい。また、構造体が、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が被覆層により被覆された構成を有している場合、被覆層の表面は、全面的に又は部分的に(例えば、少なくとも何れかの1つの端部のみに)、粘着面又は接着面となっていてもよい。このように、構造体に被覆層が形成されており、該被覆層の表面が粘着面又は接着面となっている場合、該粘着面又は接着面は、電磁波伝導吸収性を有する粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面、電磁波伝導吸収性を有していない粘着剤層又は接着剤層による粘着面又は接着面のいずれであってもよい。このような粘着面や接着面は、例えば、公知の粘着剤や接着剤を用いる方法や、公知の両面粘着テープを用いる方法などを利用して形成することができる。従って、構造体の表面が粘着面又は接着面となっている場合、予め、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっている支持体(基材)を用いる方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない支持体(基材)の表面に、粘着剤又は接着剤を塗布する方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない支持体(基材)の表面に、両面粘着テープ又はシート(基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートなど)を貼り付ける方法、予め、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっている粘着テープ又はシートを用いる方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない被覆層の表面に、粘着剤又は接着剤を塗布する方法、外部に露出する側の表面が粘着面又は接着面となっていない被覆層の表面に、両面粘着テープ又はシート(基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートや、基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートなど)を貼り付ける方法などにより、表面を粘着面又は接着面となっている構造体を作製することができる。
なお、本発明では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が被覆層により被覆されており、且つ被覆層が絶縁層(例えば、粘着面又は接着面となる非導電性の粘着剤層又は接着剤層等の非導電性部材など)を含んでいても又は絶縁層となっていても、電磁波伝導吸収性の低下が抑制又は防止されており、電磁波伝導吸収性(特に、電磁波を伝導ないし吸収してシールドする電磁波シールド性)を有効に保持して発揮することができる。本発明では、構造体に被覆層が形成されている場合、該被覆層の表面は、絶縁層となっていることが好ましい。このような絶縁層は、例えば、非電磁波伝導吸収性基材(特に、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック製基材)が用いられた基材付きタイプの粘着テープ又はシートを用いる方法、被覆層の表面に、非電磁波伝導吸収性基材(特に、電磁波伝導吸収性を有していないプラスチック製基材)が用いられた基材付きタイプの粘着テープ又はシートを貼り付ける方法などにより形成することができる。
本発明の構造体としては、前記構成を有していれば、その形態は特に制限されない。具体的には、構造体としては、例えば、球状、円柱状、多面体形状、多角錐状、円錐状、板状、シート状等の各種形態を有していてもよく、シート状の形態を有していることが好ましい。すなわち、本発明の構造体は、シート状の形態を有しているシート状構造体であることが好ましい。なお、シート状構造体は、電磁波伝導吸収性とともに、粘接着性(特に、粘着性)を有することができる。例えば、シート状構造体が粘着性を有している場合、シート状構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されていない側の粘着剤層の表面が粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態(例えば、一方の面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成され且つ他方の面が粘着面となっている構造体用部材が少なくとも1つ用いられており、且つ前記構造体用部材における粘着面がシート状構造体の粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態)を有することができる。
なお、構造体がシート状構造体である場合、該シート状構造体は、ロール状に巻回した形態や、単層又はシートを積層した形態で作製することができる。このように、シート状構造体を、ロール状に巻回したり、シートを積層したりしても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒防止性が優れている構成の構造体とすることも可能であるので、巻回体から巻き戻しても、または、積層体から単離しても、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の横倒が抑制又は防止された状態のシート状構造体を得ることができる。従って、本発明では、構造体がシート状構造体である場合、ロール状に巻回した形態の構造体(巻回体又は巻重体)や、単層又はシートを積層した形態の構造体として製品化することができる。
このように、本発明の構造体は、基体に、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成された構成を有しているとともに、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられていることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の繊維の脱落が抑制又は防止された構成を有しており、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部による電磁波伝導吸収性を効果的に発揮させることができるので、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部による電磁波伝導吸収性を利用した各種用途で用いることができ、例えば、電気を伝導する又は導電する導電性、電磁波を伝導する特性(電磁波伝導性)、電磁波を吸収する特性(電磁波吸収性)、電磁波を伝導ないし吸収してシールドする電磁波シールド性や、静電気を通電により取り除く静電気除去性を利用した用途で好適に用いることができる。具体的には、本発明の構造体は、電気を伝導する又は導電することが可能な導電性材、電磁波を伝導することが可能な電磁波伝導材、電磁波を吸収することが可能な電磁波吸収材、電磁波をシールドすることが可能な電磁波シールド材や、静電気を取り除いて、静電気の発生を防止することが可能な静電気防止材(又は静電気による各種障害を防止することが可能な静電気障害防止材)として好適に用いることができ、特に、導電性材、電磁波吸収材や、電磁波シールド材として好適に用いることができる。
具体的には、本発明の構造体は、電磁波シールド材として用いる場合、例えば、電線被覆用の電磁波シールド材(特に、自動車で用いられている電線を被覆するための電磁波シールド材)、電子部品用の電磁波シールド材、衣料用の電磁波シールド材、建築物用の電磁波シールド材などとして用いることができる。なお、本発明の構造体は、電線被覆用の電磁波シールド材として用いる場合、電線より発せられる電磁波をシールドさせて、電線からのノイズを抑制又は防止することなどを目的として用いることができる。また、本発明の構造体は、電子部品用の電磁波シールド材として用いる場合、外部からの電子部品(例えば、電子回路基板や、電子回路基板を具備する電子機器など)への電磁波をシールドして、電子部品へのノイズを抑制又は防止することや、電子部品からの電磁波をシールドして、電子部品から発せられるノイズを抑制又は防止することなどを目的として用いることができる。さらに、本発明の構造体は、衣料用の電磁波シールド材として用いる場合、コンピュータより発せられる電磁波、家庭用電気調理機器から発せられる電磁波や、医療用の各種機器(いわゆる「MRI」用機器や、いわゆる「CTスキャナ」用機器、いわゆる「X線造影」用機器などの各種機器)から発せられる電磁波などをシールドして、人体への電磁波の影響を抑制又は防止することなどを目的として用いることができる。さらにまた、本発明の構造体は、建築物用の電磁波シールド材として用いる場合、建築物の内部から発せられる電磁波をシールドして、情報の漏洩を抑制又は防止することや、外部から建築物の内部への電磁波をシールドして、例えば、各種用途で利用される会館(映画館、コンサート会館、演劇会館、美術館、博物館、結婚式会館、会議や講演用の会館など)などの建築物や、建築物内の一部の部屋(会議室など)などで、いわゆる「携帯電話」の使用禁止や、FM波(ラジオ波)による悪影響の防止(例えば、ワイヤレスマイクの誤作動の防止など)を図ることなどを目的として用いることができる。
また、本発明の構造体は、電磁波吸収材として用いる場合、例えば、建築物用の電磁波吸収材として用いることができる。具体的には、本発明の構造体を建築物用の電磁波吸収材として用いる場合、例えば、部屋を仕切っている部材(例えば、天井面、壁面、床面などの部材)に貼付することにより、部屋の内部に設置されている電子機器から発せられる電磁波の散乱又は乱反射を抑制又は防止して、部屋の内部に設置されている各種電子機器の誤作動を防止したり、該電子機器を効率よく作動させたりすることなどを目的としても用いることが可能である。
本発明の構造体では、対向している表面間や、対向していない表面間において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部は、すべて同一の電磁波伝導吸収性繊維により形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよく、部分的に又はすべて異なる電磁波伝導吸収性繊維により形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部であってもよい。特に、本発明の構造体では、対向する形態で重ね合わせられている各表面に形成されている電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の組み合わせとして、それぞれ、異なる電磁波伝導吸収性繊維により形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の組み合わせを採用することにより、単一のピーク波長を有する電磁波のみならず、複数のピーク波長を有する電磁波に対しても、シールド機能を効果的に発揮させることが可能となる。すなわち、対向する形態で重ね合わせられる各表面に形成されている電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の組み合わせを、シールドする電磁波の種類に応じて適宜選択することにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における電磁波伝導吸収性繊維の脱落防止性を高めることができるとともに、種々のピーク波長を有する電磁波が所定の割合で複数発せられる物体や物質等の放射源に対して、1つの構造体(電磁波シールド材)により、電磁波のシールドを効果的に行うことができる。
具体的には、このような構成を有している構造体としては、例えば、基体の片面のみに電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有する構造体用部材が2つ用いられた形態を有している場合、シールドする電磁波の特定のピーク波長に対応した電磁波シールド性を発揮することが可能な電磁波伝導吸収性繊維により形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を片面に有している構造体用部材と、シールドする電磁波の他の特定のピーク波長に対応した電磁波シールド性を発揮することが可能な電磁波伝導吸収性繊維により形成された電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を片面に有している構造体用部材とを用い、これらの2つの構造体用部材を、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有する表面同士が対向する形態で積層された構成を有している構造体が挙げられる。
また、本発明の構造体では、各構造体用部材における各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する電磁波伝導吸収性繊維として、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性繊維(例えば、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性素材繊維や、電磁波伝導吸収性材料として異なる金属材料が用いられている複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維等の電磁波伝導吸収性付与繊維など)を用いたり、1種の電磁波伝導吸収性繊維であっても、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収性繊維(例えば、複数種又は2種以上の電磁波伝導吸収性材料が用いられている電磁波伝導吸収材被覆繊維や電磁波伝導吸収材含浸繊維等の電磁波伝導吸収性付与繊維など)を用いたりすることにより、単一のピーク波長を有する電磁波のみならず、複数のピーク波長を有する電磁波に対しても、シールド機能を効果的に発揮させることが可能となる。すなわち、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を構成する電磁波伝導吸収性繊維として、複数の電磁波伝導吸収性繊維を組み合わせ且つその割合を適宜調整して用いることにより、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における電磁波伝導吸収性繊維の脱落防止性を高めることができるとともに、種々のピーク波長を有する電磁波が所定の割合で複数発せられる物体や物質等の放射源に対して、1つの構造体(電磁波シールド材)により、電磁波のシールドを効果的に行うことができる。
このように、本発明の構造体を電磁波シールド材として用いる場合、電磁波が発せられる放射源の種類に制限されず、幅広い放射源に対してシールド機能を発揮させることが可能な構成で容易に作製することができる。従って、本発明では、より一層効果的に電磁波を伝導ないし吸収してシールドを行うことが可能な電磁波シールド材を容易に得ることができる。
なお、具体的には、電磁波伝導吸収性繊維として電磁波伝導吸収性付与繊維が用いられている場合、電磁波伝導吸収性付与繊維を構成する電磁波伝導吸収性材料における金属材料が、例えば、ニッケルと、金とでは、電磁波を伝導ないし吸収してシールドすることが可能な電磁波の種類又は波長が異なっている。従って、電磁波伝導吸収性繊維として、例えば、ニッケルメッキされた繊維と、金メッキされた繊維とを用いて、対向する形態で重ね合わせられている各表面に形成されている電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を、それぞれ形成したり、ニッケルメッキされた繊維と、金メッキされた繊維とを用いて、1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成したりすると、電磁波シールド材は、ニッケルによる電磁波シールド効果と、金による電磁波シールド効果とを、それぞれ、有効に発揮させることができ、より一層効果的に電磁波のシールドを行うことが可能となる。
本発明の構造体では、繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されているので、電磁波シールド材等として利用する際には、電磁波のシールド等を行う物体の表面形状にかかわらずに、各種物体の表面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の少なくとも一部の繊維を接触させた形態で用いることが可能な構成とすることができ、電磁波シールド性等をより一層効果的に発揮させることが可能である。
また、本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する電磁波伝導吸収性繊維の種類の他、電磁波伝導吸収性繊維の長さや、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における電磁波伝導吸収性繊維の密度等を適宜調整することにより、目的の又は適宜な導電性や電磁波シールド性等を発揮することができる構造体とすることができる。
なお、本発明の構造体には、より一層、電磁波を伝導ないし吸収させるために、アースがとられていてもよい。
また、本発明の構造体は、電磁波伝導吸収性を利用した各種用途の他、防音性、熱電導性、光反射性、意匠性等の各種特性を利用した各種用途でも用いることができる。
本発明の構造体の製造方法は、特に制限されず、例えば、基体の所定の面に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成して構造体用部材を単数乃至複数形成した後、単数乃至複数の構造体用部材を、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が対向する形態で、折り曲げたり、積層させたりする方法などが挙げられる。なお、基体の所定の面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する際には、基体の表面に、孔部を有する部材を、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する所定の位置に孔部が位置するように重ね合わせた後、孔部を有する部材の孔部に対応した基体の表面の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する方法が好適に採用される。
また、構造体用部材において、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、植毛加工方法が特に好ましい。従って、本発明の構造体の製造方法としては、構造体用部材を製造する工程として、基体における所定の面に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を、植毛加工方法を利用して形成する工程を具備していることが好ましい。このように、本発明では、電磁波伝導吸収性繊維の植毛という簡単な方法を利用することにより、容易且つ安価に電磁波伝導吸収性を有する構造体を製造することができる。
具体的には、植毛加工方法を利用して、基体における所定の面に、植毛加工を施すことにより、前記基体の所定の面に、繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置している形態の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成して、基体に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有する構造体用部材を製造することができる。このような植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。なお、静電植毛加工方法としては、例えば、1つの電極に対し、粘接着剤層又は基体を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(基体の表面や、基体の凹部の壁面など)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
なお、構造体用部材において、基体の部分的な所定の部位(基体の表面の部分的な所定の部位や、基体に部分的に形成された凹部の壁面など)に、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)により電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させる際には、効率よく構造体用部材を製造するために、基体の表面に孔部(貫通穴部)を有する部材(孔部を有する剥離基材など)を設けることが好ましい。従って、本発明の構造体を製造する際の構造体用部材の製造方法としては、基体の表面に、孔部を有する部材(特に、孔部を有する剥離基材)を設けた後、前記部材の孔部に対応した基体の部位に、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で、植毛加工方法により形成する方法が好適である。
そして、このようにして単数乃至複数の構造体用部材を製造した後、孔部を有する部材を剥がして、単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層により、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有する表面同士が対向する形態で重ね合わせることにより、繊維の脱落が抑制又は防止された形態の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を有する構造体を効率よく製造することができる。
このような孔部を有する部材としては、基体の種類に応じて、基体に電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成した後に剥離させることが可能なものを適宜選択して用いることができる。具体的には、基体が粘接着剤層である場合、孔部を有する部材としては、孔部を有しており、且つ粘接着剤層に対して剥離性を発揮する基材(孔部を有する剥離基材)を好適に用いることができる。このような孔部を有する剥離基材としては、前記支持体としての剥離ライナーの項で例示の剥離ライナー(セパレータ)を穿孔させて得られる孔部を有する剥離ライナーなどが挙げられる。また、基体がポリマー層である場合、孔部を有する部材としては、孔部を有している部材であれば特に制限されない。なお、基体がポリマー層である場合、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させるために、基体に静電植毛を施す際には、孔部を有する部材をポリマー層の表面に固定し、一方、基体に静電植毛を施して、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させた後には、孔部を有する部材をポリマー層より剥離させることができるような形態で、孔部を有する部材を用いることが重要である。そのため、基体がポリマー層である場合、孔部を有する部材としては、例えば、再剥離性を有する粘着剤層が設けられている孔部を有する部材を用いることができる。なこのような孔部を有する部材は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成させた後に、剥離させることが重要である。
なお、孔部を有する部材を用いて基体の所定の部位に電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成させて、構造体用部材を製造する方法では、孔部を有する部材における孔部(貫通穴部)を形成する位置や、孔部を有する部材の孔部の大きさ及び数などによって、基体の表面における電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部を形成する位置や、電磁波伝導吸収性繊維凸部構造部の大きさや数、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部を形成するための凹部などをコントロールすることができる。
なお、本発明では、構造体の電磁波伝導吸収性(特に、導電性)の評価は、JIS K 6705に準じて体積固有抵抗を測定することにより、行うことができる。構造体の電磁波伝導吸収性は、構造体用部材における基体に形成される各電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の大きさ(1つの電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の占有面積)や形状、基体に形成された全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の基体の表面全面に対する割合(全電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部の占有面積の割合)、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部における繊維の形状(長さや太さなど)や素材などによって、コントロールすることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例や比較例では、繊維を正の電荷に帯電させた状態で噴霧することができ、且つ一方の側から他方の側に長尺帯状のシートを負の電荷に帯電させた状態で流すことができるラインが設けられたボックス(サイズ:ラインの流れ方向の長さ:2.5m×幅:1.3m×高さ:1.4m)を用いて、静電植毛加工を施した。具体的には、繊維を前記ボックス内の上部(1カ所)より噴霧し、印加電圧:30kVで噴霧した状態で、該ボックス内に、長尺帯状のシートを、植毛する面が上面となる形態で、ライン速度:5m/分で導入してライン上を移動させることにより、静電植毛加工を施した。
(実施例1)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の片面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させることにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状構造体用部材(「シート状構造体用部材A1」と称する場合がある)を2枚作製した。
そして、2枚のシート状構造体用部材A1を、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で、重ね合わせて、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているシート状構造体(「シート状構造体A1」と称する場合がある)を作製した。
(実施例2)
まず、孔部を有する剥離性基材として、商品名「日石コンウッド XN9567」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付151g/m2、空隙率46%、厚さ0.34mm)を用意した。
次に、電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の片面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成し、さらに、該電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、前記の孔部を有する剥離性基材を貼り合わせた後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面における孔部を有する剥離性基材の孔部(貫通穴部)に対応した部位に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させ、さらに、孔部を有する剥離性基材を剥離させることにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状構造体用部材(「シート状構造体用部材A2」と称する場合がある)を2枚作製した。
そして、2枚のシート状構造体用部材A2を、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で、重ね合わせて、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているシート状構造体(「シート状構造体A2」と称する場合がある)を作製した。
(実施例3)
孔部を有する剥離性基材として、商品名「日石コンウッド XN6065」(新日石プラスト株式会社;目合1mm×1mm、目付100g/m2、空隙率38%、厚さ0.48mm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状構造体用部材(「シート状構造体用部材A3」と称する場合がある)を2枚作製するとともに、このシート状構造体用部材A3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているシート状構造体(「シート状構造体A3」と称する場合がある)を作製した。
(実施例4)
まず、ポリエチレン系樹脂製基材(厚さ0.10mm)に、穿孔により円形状の穴部(直径0.8mm)を、ほぼ等間隔で、空隙率が2%となるような割合で形成して、孔部を有する剥離性基材を作製した。この孔部を有する剥離性基材を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、部分的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状構造体用部材(「シート状構造体用部材A4」と称する場合がある)を2枚作製するとともに、このシート状構造体用部材A4を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、電磁波伝導吸収性繊維起毛部が形成されている側の面同士が対向する形態で重ね合わせられた構成を有しているシート状構造体(「シート状構造体A4」と称する場合がある)を作製した。
(比較例1)
電磁波伝導吸収性基材としてのアルミニウム製基材(厚さ50μm)の片面に、ニッケル粉末が35重量%(固形分全量に対する割合)配合されているアクリル系粘着剤(ベースポリマー:アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体)を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工して、電磁波伝導吸収性粘着剤層を形成した後、電磁波伝導吸収性繊維として、表面にニッケルメッキ処理(ニッケルによるメッキ処理)が施されたアクリル系繊維(繊維の直径20μm、繊維長さ0.5mm)を用いて、静電植毛加工を施し、前記電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、前記表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維を植毛させることにより、電磁波伝導吸収性基材上に形成されている電磁波伝導吸収性粘着剤層の表面に、全面的に、電磁波伝導吸収性繊維(表面にニッケルメッキ処理が施されたアクリル系繊維)による繊維起毛部(電磁波伝導吸収性繊維起毛部)が形成された形態のシート状構造体(「シート状構造体B1」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該シート状構造体B1は、実施例1におけるシート状構造体用部材A1に相当している。
(磁界シールド効果の評価)
実施例1〜4により得られたシート状構造体A1〜A4、および比較例1により得られたシート状構造体B1について、KEC法電磁波シールド評価装置を用いて、磁界シールド効果を評価した。評価結果は、表1に示した。
なお、KEC法電磁波シールド評価装置におけるKEC法とは、関西電子工業振興センター(Kansai Electronic Industry Development Center)によって開発された方法である。この方法では、増幅器およびスペクトラム・アナライザーを用いるとともに、アンリツ社より商品化されている各シールドボックス(電界用シールドボックス、磁界用シールドボックス)を用いて、近傍電磁界でのシールド効果を評価している。具体的には、図7(a)で示されるような電界用シールドボックス、または、図7(b)で示されるような磁界用シールドボックスのシールドボックスを用いて、シート状構造体を所定の位置に置き、所定の周波数(MHz)を有する電磁波(入射波;入射電界又は入射磁界)を所定のエネルギー(「E1」と称する場合がある)で、シート状構造体の電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部側から入射させて、シート状構造体の他方の面に透過する透過波(透過電界又は透過磁界)のエネルギー(「E2」と称する場合がある)を測定し、下記式(1)により、シールド効果(dB)を求める。
シールド効果(dB)=20×log(E2/E1) (1)
図7は、KEC法電磁波シールド評価装置において用いられるシールドボックスを示す概略図であり、図7(a)は電界用シールドボックス、図7(b)は磁界用シールドボックスを示している。電界用シールドボックス(電界シールド評価用装置)は、TEMセルの寸法配分を取り入れ、その伝送軸方向に垂直な面内で左右対称に分割した構造を有している。但し、測定試料の挿入によって、短絡回路が形成されることを防止している。また、磁界用シールドボックス(磁界シールド評価用装置)は、磁界成分の大きな電磁界を発生させるために、シールド型円形ループ・アンテナを使用し、90度角の金属板と組み合わせて、ループ・アンテナの1/4の部分が外部にでている構造を有している。
なお、シールド効果については、社団法人発明協会発行の「特許マップシリーズ 電気23」における「電磁波遮蔽技術(253〜269ページ)」などで詳細に記載されている。この文献では、入射電界又は入射磁界の電磁波エネルギーを、どの程度減衰させることができるかの指標が、シールド効果と記載されており、シールド効果は、前記式(1)で表されるように、入射電界又は入射磁界の電磁波エネルギーと、透過電界又は透過磁界の電磁波エネルギーとの比の常用対数を20倍したものとして表されている(単位はdB)。また、シールド効果としては、シールド効果の目安として、0〜10dBでは、シールド効果はほとんどなく、10〜30dBでは、シールド効果として最小限度であり、30〜60dBでは、シールド効果は平均レベルであり、60〜90dBでは、かなりのシールド効果があり、90dB以上では、シールド効果として最高級と記載されている(254〜253ページ)。
前記KEC法では、低周波数領域と、高周波数領域とで、測定限界が異なっている。これは、遮蔽(アルミニウムシールド板)の伝送特性が、周波数によらず一定(電界シールドボックスでは、1MHzから1GHzに渡って−105dBm)であるのに対して、スルーの伝送特性が周波数特性(低周波数側では約−50dBmに減衰し、高周波数側では0dBmと送信側とほぼ同じ大きさのまま受信される)をもっているためである。なお、遮蔽(2ミリ厚のアルミニウムシールド板)の伝送特性は、実際にはもっと小さな値であり、−105dBmは、スペアナのノイズレベル(能力)であると考えられる。また、スペアナのノイズレベル(能力)がさらに良くなれば、遮蔽(アルミニウムシールド板)の伝送特性がさらに小さな値となり、スルーとの差が大きくなり、これにより、測定限界も拡張されると考えられるが、−105dBmは、電力で表示すれば、0.1pW以下と微小な値であるため、これ以上は難しいと思われる。
Figure 2007294808
表1より明らかなように、実施例1〜4に係るシート状構造体A1〜A4は、磁界シールド効果が、優れていることが確認された。特に、実施例1〜3に係るシート状構造体A1〜A3は、磁界シールド効果が格段に優れている。しかも、実施例1〜3に係るシート状構造体A1〜A3は、特に低周波領域(特に1MHz〜100MHz)における磁界シールド効果が格段に優れている。
もちろん、実施例1〜4に係るシート状構造体A1〜A4は、電界シールド効果も優れていることが明らかである。
(繊維の脱落防止性の評価)
実施例1〜4により得られたシート状構造体A1〜A4、および比較例1により得られたシート状構造体B1を、A5サイズに切断した。また、A5サイズのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:38μm)を用意した。各シート状構造体(シート状構造体A1〜A4、シート状構造体B1)の各面に、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせて、ポリエチレンテレフタレートフィルムによりシート状構造体を挟み、更にポリエチレン製袋の中に入れ、荷重をかけることなく、室温の条件下、10分間放置した。放置後、各ポリエチレンテレフタレートフィルムをシート状構造体より剥がして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を目視で観察し、下記の評価基準により、繊維の脱落防止性を評価した。評価結果は、表2に示した。
評価基準
○:両方のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に繊維がほとんど又は全く付着していない。
×:少なくとも何れか一方のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に繊維が付着している。
Figure 2007294808
表2より、実施例1〜4に係るシート状構造体A1〜A4では、各面に重ね合わせられた両方のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、殆ど又は全く繊維が付着しておらず、繊維の脱落が抑制又は防止されていることが確認された。一方、比較例1に係るシート状構造体B1では、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が形成されている側の表面に重ね合わせられたポリエチレンテレフタレートフィルムに、繊維がかなり付着しており、繊維が脱落していることが確認された。
従って、実施例に係るシート状構造体は、電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部が設けられていても、繊維が基体に有効に保持され、繊維の脱落が抑制又は防止されており、しかも、電磁波伝導吸収性を優れたレベルで発揮することができることが確認された。
図1は本発明の構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図2は本発明の構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図3は本発明の構造体の例を部分的に示す概略断面図である。 図4は本発明の構造体の他の例を部分的に示す概略断面図である。 図5は本発明における構造体用部材の例を示す概略断面図である。 図6は本発明の構造体の他の例を部分的に示す概略断面図である。 図7はKEC法電磁波シールド評価装置において用いられるシールドボックスを示す概略図であり、図7(a)は電界用シールドボックス、図7(b)は磁界用シールドボックスを示している。
符号の説明
1 構造体
11 構造体用部材
11a 基体
11b 基体11aの表面
11c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
12 構造体用部材
12a 基体
12b 基体12aの表面
12c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
2 構造体
21 構造体用部材
21a 基体
21b 基体21aの表面
21c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
22 構造体用部材
22a 基体
22b 基体22aの表面
22c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
3 構造体
31 構造体用部材
31a 基体
31b 基体31aの表面
31c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
32 構造体用部材
32a 基体
32b 基体32aの表面
32c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
33 構造体用部材
33a 基体
33b 基体33aの表面
33c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
4 構造体
41 構造体用部材
41a 基体
41b 基体41aの表面
41c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
5 構造体
51 構造体用部材
51a 基体
51b 基体51aの表面
51c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
6 構造体
61 構造体用部材
61a 基体
61b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
61c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
62 構造体用部材
62a 基体
62b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
63 構造体用部材
63a 基体
63b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
7a 構造体用部材
7a1 粘接着剤層(粘着剤層又は接着剤層)
7a2 基材
7a3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
7b 構造体用部材
7b1 粘着剤層
7b2 剥離ライナー
7b3 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
7c 構造体用部材
7c1 ポリマー層
7c2 電磁波伝導吸収性繊維起毛部
8 構造体
81 構造体用部材
81a 基体
81b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
81c 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部
81d 被覆層
82 構造体用部材
82a 基体
82b 電磁波伝導吸収性繊維凸状構造部

Claims (13)

  1. 基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された構成を有していることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している構造体であって、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有していることを特徴とする構造体。
  2. 基体に、少なくとも部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が基体の表面よりも外側に位置する形態で形成された単数乃至複数の構造体用部材を、折り曲げ及び/又は積層することにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている側の表面同士が、対向する形態で重ね合わせられた構成を有している請求項1記載の構造体。
  3. 単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されている部位が、他方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成されていない部位と対向して重ね合わせることが可能な形態で、部分的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成された構成を有している請求項2記載の構造体。
  4. 孔部を有する部材を基体の表面に重ね合わせて、孔部を有する部材の孔部に対応した基体の表面の部位に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部を形成した後、孔部を有する部材を剥離させることにより、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が基体に部分的に形成されている請求項3記載の構造体。
  5. 単数乃至複数の構造体用部材が重ね合わせられた際に対向している各表面に、一方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の繊維が、他方の表面における電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部の繊維間に位置して重ね合わせることが可能な形態で、全面的に、電磁波を伝導又は吸収する特性を有する繊維凸状構造部が形成された構成を有している請求項2記載の構造体。
  6. 基体が、粘着剤層、接着剤層、およびポリマー層から選択された少なくとも1種の層である請求項1〜5の何れかの項に記載の構造体。
  7. 基体が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している請求項1〜6の何れかの項に記載の構造体。
  8. 基体が、支持体の少なくとも一方の面に形成されている請求項1〜7の何れかの項に記載の構造体。
  9. 支持体が、電磁波を伝導又は吸収する特性を有している請求項8記載の構造体。
  10. シート状の形態を有するシート状構造体である請求項1〜9の何れかの項に記載の構造体。
  11. 導電性材として利用される請求項1〜10の何れかの項に記載の構造体。
  12. 電磁波吸収材として利用される請求項1〜10の何れかの項に記載の構造体。
  13. 電磁波シールド材として利用される請求項1〜10の何れかの項に記載の構造体。
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