JP2004104072A - 電磁波シールド材 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性突起物の脱落を防止し、電磁波シールド機能を発揮する。
【解決手段】導電性枠部材の表面にシート材12が配設され、導電性繊維によって形成される導電性突起物13がシート材の表面に立設され、更に導電性突起物と導電性枠部材とが接続部材14により電気的に接続される。シート材は、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られたて方向を長さ方向とする帯状の基布である。また導電性突起物は、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸を割り込ませて織り上げてパイル糸をカットすることにより基布の表面に突出して形成される。更に接続部材は、基布の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布に第1導電性接着剤層を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】導電性枠部材の表面にシート材12が配設され、導電性繊維によって形成される導電性突起物13がシート材の表面に立設され、更に導電性突起物と導電性枠部材とが接続部材14により電気的に接続される。シート材は、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られたて方向を長さ方向とする帯状の基布である。また導電性突起物は、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸を割り込ませて織り上げてパイル糸をカットすることにより基布の表面に突出して形成される。更に接続部材は、基布の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布に第1導電性接着剤層を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波をシールドするために用いられる電磁波シールド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電磁波シールド材として、導電性を有する部材の表面にベース材が配設され、導電性繊維によって形成された導電性突起物がベース材の表面に立設され、更に導電性突起物及び導電性を有する部材がベース材の一部材である接続部材により電気的に接続された電磁波シールド材が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この電磁波シールド部材では、上記導電性突起物がベース材の一部材であるシート材を貫通して、導電性を有する両面粘着テープ等の接続部材に接続される。また上記導電性突起物はベース材表面から離れるに従って先端が広がるように形成される。更に上記導電性を有する部材はシールドルームの扉枠であり、導電性突起物の先端はシールド扉に当接可能に構成される。
【0003】
このように構成された電磁波シールド材では、導電性突起物は扉枠の形状に合せて容易に変形するため、締付機構等の特別な機構を用いなくても電気的に接続できる。また導電性突起物で反射されずにこの導電性突起物に吸収された電磁波は、接続部材を通って扉枠に流れて放電される。この結果、導電性突起物に吸収された電磁波の扉枠及びシールド扉間への侵入を阻止できるので、電磁波がシールドルームに漏洩しないようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−320188号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の特許文献1に示された電磁波シールド材では、導電性突起物がシート材を貫通して接続部材に植え込まれているだけであるため、導電性突起物がシート材及び接続部材から比較的容易に抜け落ちてしまう不具合があった。
また、上記従来の特許文献1に示された電磁波シールド材では、接続部材の導電率が比較的低く、導電性突起物で反射されずに導電性突起物に吸収された電磁波が接続部材を通って扉枠に速やかに流れないため、電磁波のシールド機能を十分に発揮できない問題点もあった。
【0006】
本発明の目的は、導電性突起物が基布から容易に脱落せず、電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる、電磁波シールド材を提供することにある。
本発明の別の目的は、無突起物表面の存在により導電性突起物の接触密度の局所的な過密を阻止して、導電性突起物の塑性変形を防止でき、更に容易に施工できる、電磁波シールド材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、導電性枠部材の表面に配設されるシート材12と、シート材12の表面に立設された導電性繊維によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物31と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備えた電磁波シールド材の改良である。
その特徴ある構成は、シート材12が、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られたて方向を長さ方向とする帯状の基布12であり、導電性突起物13が、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げてパイル糸16をカットすることにより基布12の表面に突出して形成され、接続部材14が、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成されたところにある。
【0008】
この請求項1に記載された電磁波シールド材では、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げてパイル糸16をカットすることにより、導電性突起物13を基布12の表面に突出して形成したので、導電性突起物13は基布12から容易に脱落しない。また第1及び第2導電性接着剤層21,22の間に導電性金属箔23を介装したので、第1及び第2導電性接着剤層21,22の導電率が比較的低くても、導電性突起物13で反射されずに導電性突起物13に吸収された電磁波は、上記導電性突起物13や、この突起物13に電気的に接続された導電性金属箔23及び導電性枠部材等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、基布12のたて糸12a及びよこ糸間に浸透するように導電性塗料を基布12に塗布し乾燥することによりバックコーティング層17が形成されたことを特徴とする。
この請求項2に記載された電磁波シールド材では、導電性突起物13の基部がバックコーティング層17により基布12に固定されるので、導電性突起物13が基布12から更に脱落し難くなる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図4及び図5に示すように、帯状の基布12の幅方向中央部、右側部及び左側部の少なくとも一部に導電性パイル糸を割り込ますことのない無突起物表面41,42又は43が基布12の長さ方向に形成されたことを特徴とする。
この請求項3に記載された電磁波シールド材では、導電性突起物13の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物13の接触密度が局所的に過密になるのを無突起物表面41,42又は43が阻止するので、導電性突起物13の倒れなどの塑性変形を防止できる。
【0011】
図1又は図3に示すように、帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、突起物13の基布12表面からの高さをh(mm)とするとき、次の式(1)を満たすことが好ましい。
3/25≦h/w≦25/25 … (1)
また図3に示すように、帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、幅方向中央部の無突起物表面41の幅をp1(mm)とし、右側部の無突起物表面42の幅をp2(mm)とし、左側部の無突起物表面43の幅をp3(mm)するとき、次の式(2)を満たすことが好ましい。
5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25 … (2)
但し、式(2)においてp1>0、p2>0、p3>0である。
更に図3に示すように、幅方向中央部の無突起物表面41の幅p1(mm)と右側部の無突起物表面42の幅をp2(mm)と左側部の無突起物表面43の幅p3(mm)とが次の式(3)を満たすこともできる。
4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10 … (3)
但し、式(3)においてp2=p3>0、p1>0である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、電磁波シールド材10は、導電性枠部材の表面に配設されるシート材12と、シート材12の表面に立設された導電性繊維によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物13と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備える。シート材12は、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られ、たて方向を長さ方向とする帯状の基布である。この基布12は合成繊維織布(例えば、ポリエステル,アクリル,ガラス繊維等)や綿織布などで形成され、基布12に導電性を付与する必要は特にはない。
【0013】
また導電性突起物13は、図3に示すように、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げて、パイル糸16をカットすることにより基布12の表面に突出して形成される。この基布12と突起物13は織物組織上、ベルベット又はビロードと呼ばれる。これにより導電性突起物13は、基布12の表面から離れるに従って側方に広がる。上記導電性突起物13を形成する導電性繊維としては、合成繊維(例えば、ポリアミド,アクリル,アラミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリウレタン,ポリプロピレン等)の表面に、銀,ニッケル,銅等の導電性めっきを施したものや、上記合成繊維に炭素繊維等の導電性材料を混入したものを用いることができる。
【0014】
また基布12の基部には、この基布12のたて糸12a及びよこ糸間にに浸透するように導電性塗料を塗布して乾燥することにより、バックコーティング層17が形成される。上記導電性塗料としては、銀、銅、導電性カーボンブラック、ニッケル、銅、銀等の導電性粉末を混合したアクリル、ビニル、エポキシ、アルキド等の塗料を用いることが好ましい。導電性粉末の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。
更に帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、突起物13の基布12表面からの高さをh(mm)とするとき、次の式(1)を満たすことが好ましい。
3/25≦h/w≦25/25 … (1)
上記のようにh/wを3/25≦h/w≦25/25の範囲に限定したのは、この範囲外では電磁波の遮蔽効果に劣るためである。なお、h/wを6/25≦h/w≦12/25の範囲に設定すると更に好ましい。
【0015】
一方、接続部材14は、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成される。上記導電性接着剤としては、ニッケル、導電性カーボンブラック、ニッケル、銅、銀等の導電性粉末を混合したアクリル樹脂、合成ゴム系等の接着剤を用いることが好ましい。導電性粉末の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。また導電性金属箔23としては、銅箔、アルミ箔、導電性プラスチックシートなどを用いることができ、その表面抵抗は1×10−1Ω以下であることが望ましい。
【0016】
なお、図1及び図2の符号24は第2導電性接着剤層22の裏面に剥離可能に接着された離型紙である。また導電性金属箔23の厚さは50〜300μm、好ましくは70〜200μmの範囲に設定される。導電性金属箔23の厚さを50〜300μmの範囲に限定したのは、50μm未満では箔強度が弱くなり過ぎ、300μmを越えると、コスト増となるためである。
【0017】
このように構成された電磁波シールド材10では、図1に示すように、基布12に浸透するようにバックコーティング層17を形成し、かつ基布12の裏面に第1導電性接着剤層21を形成したので、基布に織り上げられた導電性突起物の基部がバックコーティング層により固定され、基布12の裏面に突出した導電性突起物13の基部が第1導電性接着剤層21により固定される。この結果、導電性突起物13が基布12から脱落することはない。
また第1及び第2導電性接着剤層21,22の間に導電率の高い導電性金属箔23を介装したので、第1及び第2導電性接着剤層21,22の導電率が比較的低くても、導電性突起物13で反射されずに導電性突起物13に吸収された電磁波は、上記導電性突起物13や、この突起物13に電気的に接続された導電性金属箔23及び導電性枠部材63等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。この結果、電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる。
【0018】
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示す。図4及び図5において図1及び図2と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、帯状の基布12の幅方向中央部、右側部及び左側部に導電性パイル糸を割り込ますことのない第1〜第3無突起物表面41〜43が基布12の長さ方向にそれぞれ形成される。
【0019】
上記帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、幅方向中央部の第1無突起物表面41の幅をp1(mm)とし、右側部の第2無突起物表面42の幅をp2(mm)とし、左側部の第3無突起物表面43の幅をp3(mm)するとき、次の式(2)を満たすように設定されることが好ましい。
5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25 … (2)
但し、式(2)においてp1>0、p2>0、p3>0である。
上記のように(p1+p2+p3)/wを5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25の範囲に限定したのは、5/25未満では電磁波の遮蔽効果に劣るからであり、16/25を越えると繰返しの使用により導電性突起物13がへたるからである。なお、(p1+p2+p3)/wを5/25≦(p1+p2+p3)/w≦12/25の範囲に設定すると更に好ましい。
【0020】
また第1無突起物表面41の幅p1(mm)と第2無突起物表面42の幅をp2(mm)と第3無突起物表面43の幅p3(mm)とが次の式(3)を満たすように設定指されることが好ましい。
4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10 … (3)
但し、式(3)においてp2=p3>0、p1>0である。
上記のように(p2+p3)/p1を4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10の範囲に限定したのは、4/10未満では電磁波の遮蔽効果に劣るからであり、30/10を越えると繰返しの使用により導電性突起物13がへたるからである。なお、(p2+p3)/p1を6/10≦(p2+p3)/p1≦20/10の範囲に設定すると更に好ましい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0021】
なお、この実施の形態では、帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部に第1〜第3無突起物表面を基布の長さ方向にそれぞれ形成したが、帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部のいずれか一部に無突起物表面を基布の長さ方向に形成してもよい。
【0022】
このように構成された電磁波シールド材40では、導電性突起物13の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物13の接触密度が局所的に過密になるのを第1〜第3無突起物表面41〜43が阻止するので、導電性突起物13の倒れなどの塑性変形を防止できる。この結果、電磁波シールド機能を第1の実施の形態より更に確実に発揮できる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0023】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、基布に浸透するようにバックコーティング層を形成し、かつ基布の裏面に第1導電性接着剤層を形成したが、基布12にバックコーティング層を形成せずに第1導電性接着剤層のみを形成してもよい。この場合、第1導電性接着剤層は基布の裏面に突出した導電性突起物の基部のみならず、基布の裏面にも接触する。
また、上記第1及び第2の実施の形態の電磁波シールド材は、シールドルームの窓の周縁若しくは窓用扉の周縁に取付けたり、シールドルームの導電性網戸用窓枠の周縁若しくは導電性網戸の周縁に取付けたり、或いはシールドルームのロールスクリーン用窓枠の周縁に取付けることができる。
【0024】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1及び図2に示すように、基布12と、ポリエステル繊維からなる基布12の表面に立設された導電性繊維(ポリエステル繊維にニッケルをコートした繊維)によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物31と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備えた電磁波シールド材10を作製した。基布には導電性塗料を塗布し乾燥してバックコーティング層17を形成した。導電性塗料としては、平均粒径が3μmであるニッケル粉末を混合した導電性エマルジョン型塗料を用いた。
【0025】
また上記接続部材14は、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成した。導電性接着剤としては、平均粒径が2μmである銅粉末を混合した導電性溶剤型接着剤を用いた。導電性金属箔23としては、厚さ100μmの銅箔を用いた。この電磁波シールド材10を実施例1とした。
<比較例1>
導電性金属箔を用いなかったことを除いて、実施例1と同様にして電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を比較例1とした。
【0026】
<比較試験1及び評価>
縦×横×高さがそれぞれ4.5m×6.5m×2.4mであるシールドルームに、縦×横が900mm×600mmの窓枠となる導電性枠部材を設け、この導電性枠部材の側縁に導電性を有する窓用扉をピンを介して枢着した。また窓用扉の閉止面の周縁に対向するように導電性枠部材に導電性フランジ部を設けた。更に窓用扉の閉止面の周縁に対向する導電性フランジ部に、実施例1及び比較例1の電磁波シールド材を順に第2導電性接着剤層を介して接着して次の測定を行った。
【0027】
具体的には、先ずシールドルーム内で発信器から所定の周波数の電磁波を放射し、窓用扉を開いて通孔を開放した状態で、シールドルーム外で110dBμVとなるように上記発信器の出力を調整した。次に窓用扉により通孔を閉止して、発信器から上記所定の電磁波を放射し、シールドルーム外に漏洩する電界強度を測定した。そして上記電界強度の差をシールド性能としてdBで表した。上記所定の周波数を200MHz、500MHz、800MHz及び1GHzと順次変えて測定した結果を表1に示す。
【0028】
<比較試験2及び評価>
上記と同一のシールドルームの導電性枠部材の上縁に導電性ロールスクリーンを繰出し可能に巻取った。またロールスクリーンの繰出し時にこのロールスクリーンの周縁を両面から挟むように一対の導電性フランジ部を導電性枠部材に設け、これらの導電性フランジ部の互いに対向する面に実施例1の電磁波シールド材を順に第2導電性接着剤層を介してそれぞれ接着して次の測定を行った。
【0029】
先ずシールドルーム内で発信器から所定の周波数の電磁波を放射し、ロールスクリーンを巻取って通孔を開放した状態で、シールドルーム外で110dBμVとなるように上記発信器の出力を調整した。次にロールスクリーンを繰出して通孔を閉止し、発信器から上記所定の周波数の電磁波を放射し、シールドルーム外に漏洩する電界強度を測定した。そして上記電界強度の差をシールド性能としてdBで表した。上記所定の周波数を200MHz、500MHz、800MHz及び1GHzと順次変えて測定した結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、比較例1の窓用扉では、シールド性能が23〜38dBと低かったのに対し、実施例1の窓用扉では、シールド性能が50〜55dBと高くなった。また実施例1のロールスクリーンでは、シールド性能が62〜72dBと実施例1の窓用扉より更に高くなった。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、シート材である基布のたて方向に複数本の導電性パイル糸を割り込ませて織り上げてパイル糸をカットすることにより、導電性突起物を基布の表面に突出して形成したので、導電性突起物は基布から容易に脱落しない。この結果、電磁波シールド材の耐久性を向上できる。また上記基布の裏面に第1導電性接着剤層を介して導電率の高い導電性金属箔を接着し、この金属箔の裏面に第2導電性接着剤層を形成したので、第1及び第2導電性接着剤層の導電率が比較的低くても、導電性突起物で反射されずに導電性突起物に吸収された電磁波が上記導電性突起物や、この突起物に電気的に接続された導電性金属箔及び導電性枠部材等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。この結果、本発明の電磁波シールド材は電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる。
【0033】
また基布のたて糸及びよこ糸間に浸透するように導電性塗料を基布に塗布し乾燥することによりバックコーティング層を形成すれば、導電性突起物の基部がバックコーティング層により基布に固定されるので、導電性突起物が基布から更に脱落し難くなる。
また帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部の少なくとも一部に導電性パイル糸を割り込ますことのない無突起物表面を基布の長さ方向に形成すれば、導電性突起物の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物の接触密度が局所的に過密になるのを無突起物表面が阻止するので、導電性突起物の倒れなどの塑性変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の電磁波シールド材を示す図2のA−A線断面図。
【図2】その電磁波シールド材の要部斜視図。
【図3】導電性パイル糸をカットしている状態を示す説明図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す図4のB−B線断面図。
【図5】その電磁波シールド材の要部斜視図。
【符号の説明】
10,40 電磁波シールド材
12 基布(シート材)
12a たて糸
13 導電性突起物
14 接続部材
16 導電性パイル糸
17 バックコーティング層
21 第1導電性接着剤層
22 第2導電性接着剤層
23 導電性金属箔
41 第1無突起物表面
42 第2無突起物表面
43 第3無突起物表面
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波をシールドするために用いられる電磁波シールド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電磁波シールド材として、導電性を有する部材の表面にベース材が配設され、導電性繊維によって形成された導電性突起物がベース材の表面に立設され、更に導電性突起物及び導電性を有する部材がベース材の一部材である接続部材により電気的に接続された電磁波シールド材が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この電磁波シールド部材では、上記導電性突起物がベース材の一部材であるシート材を貫通して、導電性を有する両面粘着テープ等の接続部材に接続される。また上記導電性突起物はベース材表面から離れるに従って先端が広がるように形成される。更に上記導電性を有する部材はシールドルームの扉枠であり、導電性突起物の先端はシールド扉に当接可能に構成される。
【0003】
このように構成された電磁波シールド材では、導電性突起物は扉枠の形状に合せて容易に変形するため、締付機構等の特別な機構を用いなくても電気的に接続できる。また導電性突起物で反射されずにこの導電性突起物に吸収された電磁波は、接続部材を通って扉枠に流れて放電される。この結果、導電性突起物に吸収された電磁波の扉枠及びシールド扉間への侵入を阻止できるので、電磁波がシールドルームに漏洩しないようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−320188号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の特許文献1に示された電磁波シールド材では、導電性突起物がシート材を貫通して接続部材に植え込まれているだけであるため、導電性突起物がシート材及び接続部材から比較的容易に抜け落ちてしまう不具合があった。
また、上記従来の特許文献1に示された電磁波シールド材では、接続部材の導電率が比較的低く、導電性突起物で反射されずに導電性突起物に吸収された電磁波が接続部材を通って扉枠に速やかに流れないため、電磁波のシールド機能を十分に発揮できない問題点もあった。
【0006】
本発明の目的は、導電性突起物が基布から容易に脱落せず、電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる、電磁波シールド材を提供することにある。
本発明の別の目的は、無突起物表面の存在により導電性突起物の接触密度の局所的な過密を阻止して、導電性突起物の塑性変形を防止でき、更に容易に施工できる、電磁波シールド材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、導電性枠部材の表面に配設されるシート材12と、シート材12の表面に立設された導電性繊維によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物31と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備えた電磁波シールド材の改良である。
その特徴ある構成は、シート材12が、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られたて方向を長さ方向とする帯状の基布12であり、導電性突起物13が、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げてパイル糸16をカットすることにより基布12の表面に突出して形成され、接続部材14が、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成されたところにある。
【0008】
この請求項1に記載された電磁波シールド材では、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げてパイル糸16をカットすることにより、導電性突起物13を基布12の表面に突出して形成したので、導電性突起物13は基布12から容易に脱落しない。また第1及び第2導電性接着剤層21,22の間に導電性金属箔23を介装したので、第1及び第2導電性接着剤層21,22の導電率が比較的低くても、導電性突起物13で反射されずに導電性突起物13に吸収された電磁波は、上記導電性突起物13や、この突起物13に電気的に接続された導電性金属箔23及び導電性枠部材等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、基布12のたて糸12a及びよこ糸間に浸透するように導電性塗料を基布12に塗布し乾燥することによりバックコーティング層17が形成されたことを特徴とする。
この請求項2に記載された電磁波シールド材では、導電性突起物13の基部がバックコーティング層17により基布12に固定されるので、導電性突起物13が基布12から更に脱落し難くなる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図4及び図5に示すように、帯状の基布12の幅方向中央部、右側部及び左側部の少なくとも一部に導電性パイル糸を割り込ますことのない無突起物表面41,42又は43が基布12の長さ方向に形成されたことを特徴とする。
この請求項3に記載された電磁波シールド材では、導電性突起物13の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物13の接触密度が局所的に過密になるのを無突起物表面41,42又は43が阻止するので、導電性突起物13の倒れなどの塑性変形を防止できる。
【0011】
図1又は図3に示すように、帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、突起物13の基布12表面からの高さをh(mm)とするとき、次の式(1)を満たすことが好ましい。
3/25≦h/w≦25/25 … (1)
また図3に示すように、帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、幅方向中央部の無突起物表面41の幅をp1(mm)とし、右側部の無突起物表面42の幅をp2(mm)とし、左側部の無突起物表面43の幅をp3(mm)するとき、次の式(2)を満たすことが好ましい。
5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25 … (2)
但し、式(2)においてp1>0、p2>0、p3>0である。
更に図3に示すように、幅方向中央部の無突起物表面41の幅p1(mm)と右側部の無突起物表面42の幅をp2(mm)と左側部の無突起物表面43の幅p3(mm)とが次の式(3)を満たすこともできる。
4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10 … (3)
但し、式(3)においてp2=p3>0、p1>0である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、電磁波シールド材10は、導電性枠部材の表面に配設されるシート材12と、シート材12の表面に立設された導電性繊維によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物13と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備える。シート材12は、たて糸12aとよこ糸を織り上げて作られ、たて方向を長さ方向とする帯状の基布である。この基布12は合成繊維織布(例えば、ポリエステル,アクリル,ガラス繊維等)や綿織布などで形成され、基布12に導電性を付与する必要は特にはない。
【0013】
また導電性突起物13は、図3に示すように、基布12のたて方向に複数本の導電性パイル糸16を割り込ませて織り上げて、パイル糸16をカットすることにより基布12の表面に突出して形成される。この基布12と突起物13は織物組織上、ベルベット又はビロードと呼ばれる。これにより導電性突起物13は、基布12の表面から離れるに従って側方に広がる。上記導電性突起物13を形成する導電性繊維としては、合成繊維(例えば、ポリアミド,アクリル,アラミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリウレタン,ポリプロピレン等)の表面に、銀,ニッケル,銅等の導電性めっきを施したものや、上記合成繊維に炭素繊維等の導電性材料を混入したものを用いることができる。
【0014】
また基布12の基部には、この基布12のたて糸12a及びよこ糸間にに浸透するように導電性塗料を塗布して乾燥することにより、バックコーティング層17が形成される。上記導電性塗料としては、銀、銅、導電性カーボンブラック、ニッケル、銅、銀等の導電性粉末を混合したアクリル、ビニル、エポキシ、アルキド等の塗料を用いることが好ましい。導電性粉末の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。
更に帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、突起物13の基布12表面からの高さをh(mm)とするとき、次の式(1)を満たすことが好ましい。
3/25≦h/w≦25/25 … (1)
上記のようにh/wを3/25≦h/w≦25/25の範囲に限定したのは、この範囲外では電磁波の遮蔽効果に劣るためである。なお、h/wを6/25≦h/w≦12/25の範囲に設定すると更に好ましい。
【0015】
一方、接続部材14は、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成される。上記導電性接着剤としては、ニッケル、導電性カーボンブラック、ニッケル、銅、銀等の導電性粉末を混合したアクリル樹脂、合成ゴム系等の接着剤を用いることが好ましい。導電性粉末の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。また導電性金属箔23としては、銅箔、アルミ箔、導電性プラスチックシートなどを用いることができ、その表面抵抗は1×10−1Ω以下であることが望ましい。
【0016】
なお、図1及び図2の符号24は第2導電性接着剤層22の裏面に剥離可能に接着された離型紙である。また導電性金属箔23の厚さは50〜300μm、好ましくは70〜200μmの範囲に設定される。導電性金属箔23の厚さを50〜300μmの範囲に限定したのは、50μm未満では箔強度が弱くなり過ぎ、300μmを越えると、コスト増となるためである。
【0017】
このように構成された電磁波シールド材10では、図1に示すように、基布12に浸透するようにバックコーティング層17を形成し、かつ基布12の裏面に第1導電性接着剤層21を形成したので、基布に織り上げられた導電性突起物の基部がバックコーティング層により固定され、基布12の裏面に突出した導電性突起物13の基部が第1導電性接着剤層21により固定される。この結果、導電性突起物13が基布12から脱落することはない。
また第1及び第2導電性接着剤層21,22の間に導電率の高い導電性金属箔23を介装したので、第1及び第2導電性接着剤層21,22の導電率が比較的低くても、導電性突起物13で反射されずに導電性突起物13に吸収された電磁波は、上記導電性突起物13や、この突起物13に電気的に接続された導電性金属箔23及び導電性枠部材63等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。この結果、電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる。
【0018】
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示す。図4及び図5において図1及び図2と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、帯状の基布12の幅方向中央部、右側部及び左側部に導電性パイル糸を割り込ますことのない第1〜第3無突起物表面41〜43が基布12の長さ方向にそれぞれ形成される。
【0019】
上記帯状の基布12の全幅をw(mm)とし、幅方向中央部の第1無突起物表面41の幅をp1(mm)とし、右側部の第2無突起物表面42の幅をp2(mm)とし、左側部の第3無突起物表面43の幅をp3(mm)するとき、次の式(2)を満たすように設定されることが好ましい。
5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25 … (2)
但し、式(2)においてp1>0、p2>0、p3>0である。
上記のように(p1+p2+p3)/wを5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25の範囲に限定したのは、5/25未満では電磁波の遮蔽効果に劣るからであり、16/25を越えると繰返しの使用により導電性突起物13がへたるからである。なお、(p1+p2+p3)/wを5/25≦(p1+p2+p3)/w≦12/25の範囲に設定すると更に好ましい。
【0020】
また第1無突起物表面41の幅p1(mm)と第2無突起物表面42の幅をp2(mm)と第3無突起物表面43の幅p3(mm)とが次の式(3)を満たすように設定指されることが好ましい。
4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10 … (3)
但し、式(3)においてp2=p3>0、p1>0である。
上記のように(p2+p3)/p1を4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10の範囲に限定したのは、4/10未満では電磁波の遮蔽効果に劣るからであり、30/10を越えると繰返しの使用により導電性突起物13がへたるからである。なお、(p2+p3)/p1を6/10≦(p2+p3)/p1≦20/10の範囲に設定すると更に好ましい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0021】
なお、この実施の形態では、帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部に第1〜第3無突起物表面を基布の長さ方向にそれぞれ形成したが、帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部のいずれか一部に無突起物表面を基布の長さ方向に形成してもよい。
【0022】
このように構成された電磁波シールド材40では、導電性突起物13の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物13の接触密度が局所的に過密になるのを第1〜第3無突起物表面41〜43が阻止するので、導電性突起物13の倒れなどの塑性変形を防止できる。この結果、電磁波シールド機能を第1の実施の形態より更に確実に発揮できる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0023】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、基布に浸透するようにバックコーティング層を形成し、かつ基布の裏面に第1導電性接着剤層を形成したが、基布12にバックコーティング層を形成せずに第1導電性接着剤層のみを形成してもよい。この場合、第1導電性接着剤層は基布の裏面に突出した導電性突起物の基部のみならず、基布の裏面にも接触する。
また、上記第1及び第2の実施の形態の電磁波シールド材は、シールドルームの窓の周縁若しくは窓用扉の周縁に取付けたり、シールドルームの導電性網戸用窓枠の周縁若しくは導電性網戸の周縁に取付けたり、或いはシールドルームのロールスクリーン用窓枠の周縁に取付けることができる。
【0024】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1及び図2に示すように、基布12と、ポリエステル繊維からなる基布12の表面に立設された導電性繊維(ポリエステル繊維にニッケルをコートした繊維)によって形成される導電性突起物13と、導電性突起物31と導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材14とを備えた電磁波シールド材10を作製した。基布には導電性塗料を塗布し乾燥してバックコーティング層17を形成した。導電性塗料としては、平均粒径が3μmであるニッケル粉末を混合した導電性エマルジョン型塗料を用いた。
【0025】
また上記接続部材14は、基布12の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層21と、基布12に第1導電性接着剤層21を介して接着された導電性金属箔23と、この金属箔23の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層22とにより構成した。導電性接着剤としては、平均粒径が2μmである銅粉末を混合した導電性溶剤型接着剤を用いた。導電性金属箔23としては、厚さ100μmの銅箔を用いた。この電磁波シールド材10を実施例1とした。
<比較例1>
導電性金属箔を用いなかったことを除いて、実施例1と同様にして電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を比較例1とした。
【0026】
<比較試験1及び評価>
縦×横×高さがそれぞれ4.5m×6.5m×2.4mであるシールドルームに、縦×横が900mm×600mmの窓枠となる導電性枠部材を設け、この導電性枠部材の側縁に導電性を有する窓用扉をピンを介して枢着した。また窓用扉の閉止面の周縁に対向するように導電性枠部材に導電性フランジ部を設けた。更に窓用扉の閉止面の周縁に対向する導電性フランジ部に、実施例1及び比較例1の電磁波シールド材を順に第2導電性接着剤層を介して接着して次の測定を行った。
【0027】
具体的には、先ずシールドルーム内で発信器から所定の周波数の電磁波を放射し、窓用扉を開いて通孔を開放した状態で、シールドルーム外で110dBμVとなるように上記発信器の出力を調整した。次に窓用扉により通孔を閉止して、発信器から上記所定の電磁波を放射し、シールドルーム外に漏洩する電界強度を測定した。そして上記電界強度の差をシールド性能としてdBで表した。上記所定の周波数を200MHz、500MHz、800MHz及び1GHzと順次変えて測定した結果を表1に示す。
【0028】
<比較試験2及び評価>
上記と同一のシールドルームの導電性枠部材の上縁に導電性ロールスクリーンを繰出し可能に巻取った。またロールスクリーンの繰出し時にこのロールスクリーンの周縁を両面から挟むように一対の導電性フランジ部を導電性枠部材に設け、これらの導電性フランジ部の互いに対向する面に実施例1の電磁波シールド材を順に第2導電性接着剤層を介してそれぞれ接着して次の測定を行った。
【0029】
先ずシールドルーム内で発信器から所定の周波数の電磁波を放射し、ロールスクリーンを巻取って通孔を開放した状態で、シールドルーム外で110dBμVとなるように上記発信器の出力を調整した。次にロールスクリーンを繰出して通孔を閉止し、発信器から上記所定の周波数の電磁波を放射し、シールドルーム外に漏洩する電界強度を測定した。そして上記電界強度の差をシールド性能としてdBで表した。上記所定の周波数を200MHz、500MHz、800MHz及び1GHzと順次変えて測定した結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、比較例1の窓用扉では、シールド性能が23〜38dBと低かったのに対し、実施例1の窓用扉では、シールド性能が50〜55dBと高くなった。また実施例1のロールスクリーンでは、シールド性能が62〜72dBと実施例1の窓用扉より更に高くなった。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、シート材である基布のたて方向に複数本の導電性パイル糸を割り込ませて織り上げてパイル糸をカットすることにより、導電性突起物を基布の表面に突出して形成したので、導電性突起物は基布から容易に脱落しない。この結果、電磁波シールド材の耐久性を向上できる。また上記基布の裏面に第1導電性接着剤層を介して導電率の高い導電性金属箔を接着し、この金属箔の裏面に第2導電性接着剤層を形成したので、第1及び第2導電性接着剤層の導電率が比較的低くても、導電性突起物で反射されずに導電性突起物に吸収された電磁波が上記導電性突起物や、この突起物に電気的に接続された導電性金属箔及び導電性枠部材等における内部ロスで消滅するか、或いはこれらの表面で反射して戻る。この結果、本発明の電磁波シールド材は電磁波をシールドする機能を確実に発揮できる。
【0033】
また基布のたて糸及びよこ糸間に浸透するように導電性塗料を基布に塗布し乾燥することによりバックコーティング層を形成すれば、導電性突起物の基部がバックコーティング層により基布に固定されるので、導電性突起物が基布から更に脱落し難くなる。
また帯状の基布の幅方向中央部、右側部及び左側部の少なくとも一部に導電性パイル糸を割り込ますことのない無突起物表面を基布の長さ方向に形成すれば、導電性突起物の先端にドアなどが当接しても、導電性突起物の接触密度が局所的に過密になるのを無突起物表面が阻止するので、導電性突起物の倒れなどの塑性変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の電磁波シールド材を示す図2のA−A線断面図。
【図2】その電磁波シールド材の要部斜視図。
【図3】導電性パイル糸をカットしている状態を示す説明図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す図4のB−B線断面図。
【図5】その電磁波シールド材の要部斜視図。
【符号の説明】
10,40 電磁波シールド材
12 基布(シート材)
12a たて糸
13 導電性突起物
14 接続部材
16 導電性パイル糸
17 バックコーティング層
21 第1導電性接着剤層
22 第2導電性接着剤層
23 導電性金属箔
41 第1無突起物表面
42 第2無突起物表面
43 第3無突起物表面
Claims (6)
- 導電性枠部材の表面に配設されるシート材(12)と、前記シート材(12)の表面に立設された導電性繊維によって形成される導電性突起物(13)と、前記導電性突起物(13)と前記導電性枠部材とを電気的に接続する接続部材(14)とを備えた電磁波シールド材において、
前記シート材(12)が、たて糸(12a)とよこ糸を織り上げて作られたて方向を長さ方向とする帯状の基布であり、
前記導電性突起物(13)が、前記基布(12)のたて方向に複数本の導電性パイル糸(16)を割り込ませて織り上げて前記パイル糸(16)をカットすることにより前記基布(12)の表面に突出して形成され、
前記接続部材(14)が、前記基布(12)の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第1導電性接着剤層(21)と、前記基布(12)に前記第1導電性接着剤層(21)を介して接着された導電性金属箔(23)と、前記金属箔(23)の裏面に導電性接着剤を塗布することにより形成された第2導電性接着剤層(22)とにより構成された
ことを特徴とする電磁波シールド材。 - 基布(12)のたて糸(12a)及びよこ糸間に浸透するように導電性塗料を前記基布(12)に塗布して乾燥することによりバックコーティング層(17)が形成された請求項1記載の電磁波シールド材。
- 帯状の基布(12)の幅方向中央部、右側部及び左側部の少なくとも一部に導電性パイル糸を割り込ますことのない無突起物表面(41〜43)が前記基布(12)の長さ方向に形成された請求項1記載の電磁波シールド材。
- 帯状の基布(12)の全幅をw(mm)とし、突起物(13)の基布(12)表面からの高さをh(mm)とするとき、次の式(1)を満たす請求項1又は3記載の電磁波シールド材。
3/25≦h/w≦25/25 … (1) - 帯状の基布(12)の全幅をw(mm)とし、幅方向中央部の無突起物表面(41)の幅をp1(mm)とし、右側部の無突起物表面(42)の幅をp2(mm)とし、左側部の無突起物表面(43)の幅をp3(mm)するとき、次の式(2)を満たす請求項3記載の電磁波シールド材。
5/25≦(p1+p2+p3)/w≦16/25 … (2)
但し、式(2)においてp1>0、p2>0、p3>0である。 - 幅方向中央部の無突起物表面(41)の幅p1(mm)と右側部の無突起物表面(42)の幅をp2(mm)と左側部の無突起物表面(43)の幅p3(mm)とが次の式(3)を満たす請求項5記載の電磁波シールド材。
4/10≦(p2+p3)/p1≦30/10 … (3)
但し、式(3)においてp2=p3>0、p1>0である。
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- 2003-03-13 JP JP2003067454A patent/JP2004104072A/ja active Pending
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