JP2007297169A - 荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。 - Google Patents

荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】荷台を有する移動式クレーンには、反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fが所定の閾値Ftまで低下したこと時に安定限界信号を出力する安定限界監視装置8が用いられている。この種の従来の安定限界監視装置8は、前記閾値Ftが、移動式クレーンの稼動状態に関わらず一定不変のものであったため、移動式クレーンの安定面で許容される吊上性能を充分に生かすことができなかった。
【解決手段】閾値Ftを出力する閾値出力手段10に、ブーム5の実際の作業半径Rを検出する作業半径検出手段13、および、ブーム5に作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段14からの検出信号を入力し、閾値出力手段10から出力される閾値Ftを、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成してあることを特徴とする荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、荷台を有する移動式クレーンに用いられる安定限界監視装置に関するものである。この安定限界監視装置は、クレーン作業時に移動式クレーンを転倒させることなく安全にクレーン作業ができるよう監視するものである。
荷台を有する移動式クレーン(以下単に移動式クレーンという)は、図6に示すように、荷台2を有する車両1(以下単に車両という)、車両1の左右両側に張出して接地可能なアウトリガジャッキ3,3、車両1上に旋回作動自在に取り付けた旋回台4、旋回台4に起伏作動自在に取り付けた長さ変更作動自在なブーム5、および、ブーム5の先端部に巻き上げ巻き下げ自在に吊下した吊具6とから構成されており、これによるクレーン作業は、アウトリガジャッキ3,3により車両1をジャッキアップして当該車両1を安定させた上で、旋回台4の旋回作動、ブーム5の起伏並びに長さ変更作動、および、吊具6の巻き上げ巻き下げ作動を併用して、吊具6に係止した吊上荷重を所要の位置に移動させることで行われる。
前記長さ変更作動自在なブーム5は、ブーム5の基端部と先端部との間の距離、すなわち長さを変更できるものであり、具体的には、伸縮作動自在なもの、屈伸作動自在なもの、あるいは、屈伸作動自在で且つ伸縮作動自在なものがある。
このような荷台を有する移動式クレーンのブーム5に作用可能な吊上荷重の上限値は、移動式クレーンの強度面および安定面から規制される。
強度面から規制される吊上荷重の上限値、すなわち、移動式クレーンを破損することなく安全にクレーン作業ができる吊上荷重の上限値(以下、強度定格吊上荷重という)は、ブーム5の作業半径R(ブーム5旋回中心とブーム5先端部間の水平距離であって、ブーム5の起伏角度およびブーム長さの関数として求められる)に応じて任意の最適値に直接設定できる。
これに対し、安定面から規制される吊上荷重の限界値、すなわち、移動式クレーンを転倒させることなく安全にクレーン作業ができる吊上荷重Wの上限値(以下、安定定格吊上荷重Wtという)は、検出不能な荷台2への積載荷重とその重心位置により大きく変動する不定値であるところから、この安定定格吊上荷重Wtを任意の最適値に直接設定することができない。
従って、この種の移動式クレーンには、図7に示すように、吊上荷重Wが強度定格吊上荷重に達したことを検出して強度限界信号を出力する強度限界監視装置7と、吊上荷重Wが安定定格吊上荷重Wtに達したことをアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fを介して間接的に検出して安定限界信号を出力する安定限界監視装置8が併設されている。
強度限界監視装置7からの強度限界信号、および、安定限界監視装置8からの安定限界信号は、安全作動手段12に入力されるようになっている。この安全作動手段12は、強度限界信号および安定限界信号の少なくともいずれか一方が入力された時に、クレーンオペレータに警報を発する警報器、または、移動式クレーンの作動を停止させる作動停止装置として構成されている。
上記の強度限界監視装置7については本発明の主題ではないが、ここでその構成について簡単に説明しておく。強度限界監視装置7は、図7に示すよう、ブーム5の作業半径Rを検出する作業半径検出手段7a、ブーム5の作業半径R毎の強度定格吊上荷重を強度定格吊上荷重データ群として記憶しておりこの記憶データ群から前記作業半径検出手段7aが検出した実際の作業半径Rに対応する強度定格吊上荷重を求めてこれを出力する強度定格吊上荷重出力手段7b、ブーム5に作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段7c、および、前記強度定格吊上荷重出力手段7bからの強度定格吊上荷重と吊上荷重検出手段7cからの吊上荷重Wを受け取り吊上荷重Wが強度定格吊上荷重に達すると強度限界信号を出力する比較手段7dとで構成されている。前記した作業半径検出手段7aは、ブーム5の起伏角度を検出する起伏角度検出器7a−1と、ブーム長さ(ブーム5の基端部と先端部との間の距離)、を検出するブーム長さ検出器7a−2で構成されている。
上記の安定限界監視装置8は、吊上荷重が安定定格吊上荷重に達したことをアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fを介して間接的に検出して安定限界信号を出力するものである。この安定限界監視装置8は、左右のアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fをそれぞれ検出する接地反力検出手段9,9と、左右のアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fの下限値としての閾値Ftを出力する閾値出力手段10と、左右の接地反力検出手段9,9が検出した接地反力Fと閾値出力手段10が出力する閾値Ftを比較し接地反力Fが低下して閾値に到達すると安定限界信号を出力する比較手段11とで構成している。
閾値出力手段10が出力する前記閾値Ftは、ブーム5を移動式クレーンが最も転倒しやすい旋回位置(以下、最弱旋回位置という)に旋回させたクレーン作業において、移動式クレーンが転倒することなく安全にクレーン作業ができる反転倒側アウトリガジャッキの接地反力Fの下限値として設定されている。
ここで、上記の最弱旋回位置について、図8および図9に基づいて補足説明しておく。図8は、ブーム5を右側の最弱旋回位置に旋回させた状態の移動式クレーンの平面図である。
また、図9は、図8の状態(ブーム5を右側の転基準線Qに直交する最弱旋回位置に旋回させた状態)における、左右のアウトリガジャッキ3,3、旋回台4、ブーム5、および、吊具6を、転倒基線Qに直交する鉛直平面に投影して表示した相関図である。
図8および図9では車両1の右側にブーム5の先端部が位置するよう旋回しており、移動式クレーンが転倒する際には、右側の転倒基線Qを軸として転倒する。右側の転倒基線Qは、右側のアウトリガジャッキ3の接地点と、このアウトリガジャッキ3と車両同側(右側)に位置する他の接地点(図8のものでは、車両1の右側の後輪の接地点)を結ぶ線となる。この場合、右側のアウトリガジャッキ3が転倒側アウトリガジャッキとなり、左側のアウトリガジャッキ3が反転倒側アウトリガジャッキとなる。この場合のブーム5の最弱旋回位置は、ブーム5を右側の転倒基線Qに直交するように旋回させた位置である。
なお、車両1の左側にブーム5の先端部が位置するようブーム5を旋回させた場合には、左側のアウトリガジャッキ3の接地点と、このアウトリガジャッキ3と車両同側(左側)に位置する他の接地点(図(※図8のものでは、車両1の左側の後輪の接地点)を結ぶ左側の転倒基線Pが画定される。この場合には、左側のアウトリガジャッキ3が転倒側アウトリガジャッキとなり、右側のアウトリガジャッキ3が反転倒側アウトリガジャッキとなる。この場合のブーム5の最弱旋回位置は、ブーム5を左側の転倒基線Pに直交するように旋回させた位置である。
上記の如く構成した安定限界監視装置8は、荷台2の積載荷重が、反転倒側アウトリガジャッキの接地反力に加重されこの接地反力の閾値への到達を遅らせる。その結果として、荷台2への積載荷重が大きくなる程、安定限界監視装置8(の比較器11)からの安定限界信号出力時点における吊上荷重が大きくなるので、荷台を有する移動式クレーンの安定面での性能を荷台2への積載荷重を織り込んで引き出すことができる。
ところで、閾値出力手段10が出力する閾値は、移動式クレーンの稼動状態に関するパラメータの変動に関わりなく一定不変の値として設定されている。
特開平8−73189
上述したように、従来の安定限界監視装置8は、その閾値出力手段10が出力する閾値Ftが、移動式クレーンの稼動状態に関するパラメータの変動に関わりなく一定不変の値として設定されている。このため、下記するように、荷台を有する移動式クレーンの安定面での性能が充分に活用できないという問題がある。
この問題について説明するに先立ち、一般に移動式クレーン(荷台を有する移動式クレーン、および、荷台を有しない移動式クレーンの双方を含む)の強度定格吊上荷重、および、安定定格吊上荷Ft重の合理的な設定のあり方について説明しておく。
一般に、移動式クレーンの強度面での性能を効果的且つ合理的に引き出すためには、強度定格吊上荷重に所要の安全率を乗算して得た値が強度限界吊上荷重(ブーム5にこれ以上の吊上荷重Wが作用すると移動式クレーンが破損するとされる限界の吊上荷重)となるよう設定することが求められている。換言すれば、強度定格吊上荷重は、強度限界吊上荷重を基礎とし、この強度限界吊上荷重を所要の安全率で除算して設定することが求められている。すなわち、移動式クレーンの強度面での性能を効果的且つ合理的に引き出すためには、強度限界吊上荷重と強度定格吊上荷重との間に、下記の関係を持たせることが求められているのである。
Wt(strength)=Wlim(strength)/N(strength)…(A)
Wlim(strength)=N(strength)×Wt(strength)
但し、Wt(strength):強度定格吊上荷重
Wlim(strength):強度限界吊上荷重
N(strength) :所要の安全率(1以上)
また、移動式クレーンの安定面での性能を効果的且つ合理的に引き出すためには、安定定格吊上荷重Wtに所要の安全率を乗算して得た値がチッピング吊上荷重Wlim(ブーム5にこれ以上の吊上荷重が作用すると移動式クレーンが転倒するとされる限界の吊上荷重)となるよう設定することが求められている。換言すれば、安定定格吊上荷重Wtは、チッピング吊上荷重Wlimを基礎とし、このチッピング吊上荷重Wlimを所要の安全率Nで除算して設定することが求められている。すなわち、移動式クレーンの安定面での性能を効果的且つ合理的に引き出すためには、チッピング吊上荷重Wlimと安定定格吊上荷重Wtとの間に、下記の関係を持たせることが求められているのである。
Wt=Wlim/N…(B)
Wlim=N×Wt
但し、Wt:安定定格吊上荷重
Wlim:チッピング吊上荷重
N:所要の安全率(1以上)
なお、上記した強度定格吊上荷重、強度限界吊上荷重、および、これらの間に介在する所要の安全率は、Wt(strength)、Wlim(strength)、および、N(strength)とし、これが強度に関するものであることを示す(strength)なる語を付記しているが、本件発明の主題は、安定限界監視装置に関するものであるから、安定定格吊上荷重、チッピング吊上荷重、および、その間に介在する所定の安全率については、単に、Wt、Wlim、および、Nと表記することにする。
強度定格吊上荷重Wt(strength)と強度限界吊上荷重Wlim(strength)との間、お よ
び、安定定格吊上荷重Wtとチッピング吊上荷重Wlimとの間に、それぞれ上記のような 関
係を持たせることの妥当性は、わが国の法規「クレーン等安全規則」(クレーンの製造者 お
よび使用者が守るべき安全上の諸事項について定めもの)第三章「移動式クレーン」の第
55条および第69条の規定からも裏付けられているところである。
荷台を有する移動式クレーンには、吊上荷重Wが強度定格吊上荷重Wt(strength)に達したことを監視する強度限界監視装置7と、吊上荷重Wが安定定格吊上荷重Wtに達したことを反転倒側アウトリガジャッキ3,3の接地反力Fの閾値Ftへの到達(接地反力が低下して閾値に到達)を介して監視する安定限界監視装置8が装備されていることは上述した通りである。
このうち、吊上荷重Wが強度定格吊上荷重Wt(strength)に達したことを監視する強度限界監視装置7においては、既述したように、強度定格吊上荷重Wt(strength)は、ブーム5の作業半径Rの関数として任意の最適値に直接設定できるものであるため、強度限界監視装置7の強度定格吊上荷重出力手段7bに強度定格吊上荷重データ群として記憶する強度定格吊上荷重を、強度限界吊上荷重に上掲したA式の関係を持たせて記憶させておくことで、移動式クレーンの強度面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができる。
しかしながら、荷台2への積載荷重の大きさとその重心位置によって大きく変動する安定定格吊上荷重Wtを、反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fの閾値Ftへの到達(接地反力が低下して閾値へ到達)を介して監視する安定限界監視装置8は、反転倒側アウトリガジャッキ3,3の接地反力Fの閾値Ftへの到達時に現にブーム5に作用している吊上荷重Wが安定定格吊上荷重Wtであると見なすものと言えるが、閾値Ftを一定不変の値(移動式クレーンの稼動状態に関するパラメータの変動に一切関わりなく)として設定している上記した従来の安定限界監視装置8では、反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fの閾値Ftへの到達時に現にブームに作用している吊上荷重W(安定定格吊上荷重Wtと見なされるもの)と、チッピング吊上荷重Wlimとの間に上掲したB式の関係を持たせることができず、移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができないという問題を持っている。
この理由を説明するにあたり、ブーム5の先端部を転倒基線Qの外側に位置するように旋回させて行うクレーン作業における吊上荷重Wと反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fとの関係を、当該関係に影響を持つ因数を下記の如く定義した上で説明しておく。これら因数のうち図8および図9に表記可能な符号は、これら図中の該当個所に表記している。
W:吊上荷重
Wlim:チッピング吊上荷重(ブーム5にこれ以上の吊上荷重が作用すると移動式クレ ーンが転倒するとされる限界の吊上荷重)
Wt:安定定格吊上荷重
N:安全率(1より大きい値)
R;作業半径(旋回台4の旋回中心からブーム5の先端部までの水平距離)
L:旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離
H:左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離(転倒基線Qに直交する鉛直 面に投影した時の水平距離)
Θ:ブーム5の最弱旋回位置(ブーム5が転倒基線Qに直交するよう旋回した位置)か らの振れ角
F:反転倒側アウトリガジャッキの接地反力
Flim:チッピング吊上荷重Wlimを吊った時の反転倒側アウトリガジャッキの接地反 力で値は零に相当。
Ft:安定定格吊上荷重Wtを吊った時の反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力で、
閾値に相当。
Mg:吊上荷重Wにより生じる転倒側モーメント(移動式クレーンを転倒基線周りに転 倒させようとするモーメント)
Ms:移動式クレーンの自重および荷台2への積載荷重に基づいて生じる転倒基線Qま
わりの安定側モーメント(移動式クレーンの転倒基線Qまわりに転倒の抗するモ
ーメント)
ブーム5の先端部を転倒基線Qの外側に位置するよう旋回させて行うクレーン作業においては、反転倒アウトリガジャッキ3の接地反力は、転倒側モーメントMgと安定側モーメントMsの差分を、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(転倒基線Qに直交する鉛直面に投影した時の水平距離)で除算して求めた値になるので、
F=(Ms−Mg)/H…(1)
と表記できる。
ここで、転倒側モーメントMgは、転倒基線Qからのブーム5の先端部のはみ出し量と吊上荷重Wの乗算値として求められ、且つ、転倒基線Qからのブーム5先端部のはみ出し量は、ブーム5の作業半径Rに関するΘ(ブーム5の最弱旋回位置からの振れ角)の余弦値から旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離Lを減じた値であるので、この関係を上記(1)式のMsに代入すると、
F=〔Ms−W(RcosΘ−L)〕/H…(2)
となる。
すなわち、ブーム5の先端部を転倒基線Qの外側に位置するように旋回させて行うクレーン作業における吊上荷重Wと反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fとの関係は、この(2)式の通りに表記できるものである。
吊上荷重Wがチッピング吊上荷重Wlimになった状態を想定すると、安定側モーメントMsと転倒側モーメントMgが均衡し、反転倒側アウトリガジャッキの接地反力Flimは零となる。このため、上記(2)式は下記のようになる。
Flim=〔Ms−Wlim(RcosΘ−L)〕/H(=0)…(3)
この(3)式において、チッピング吊上荷重Wlimは、安定定格吊上荷重Wtに安全率Nを乗じた値に相当(上掲のB式より)させるべきものであるから、安定定格吊上荷重Wtを用いて(3)式を書き直すと、次のようになる。
Flim=〔Ms−N・Wt(RcosΘ−L)〕/H(=0)…(4)
なお、荷台を有する移動式クレーンの安定面での性能を効果的且つ合理的に引き出すためには、チッピング吊上荷重Wlimと安定定格吊上荷重Wtの間に、上掲の(B)式の関係を持たせることが求められることについては、既に述べた通りである。
この状態(反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力が零となっている(4)式の状態)から、(4)式の右辺にあるN・Wt(=チッピング吊上荷重Wlim)を、Wtに低減させた時に生じる反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fの変動値(以下単に接地反力変動値という)そのものが、安定定格吊上荷重Wtを吊った時の反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力(閾値)Ftであるので、接地反力(閾値)Ftは、下記のように求めることができる。
Ft=〔Ms−Wt(RcosΘ−L)〕/H
=〔N・Wt(RcosΘ−L)−Wt(RcosΘ−L)〕/H…(5)
この式は、接地反力(閾値)Ftは、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格荷重Wtに所要の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力変動値に相当することを意味している。
これを整理すると、安定定格吊上荷重Wt吊上時の反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力すなわち閾値Ftは、下記(6)式の通りになる。
Ft=(N−1)(RcosΘ−L)Wt/H…(6)

この(6)式は、チッピング吊上荷重Wlimと安定定格吊上荷重Wtの間に、移動式クレーンの安定面での性能を効果的且つ合理的に引き出すために必要とされる上掲の(B)式の関係を持たせた場合の、安定定格吊上荷重Wt吊上時の反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力値Ft(閾値Ft)を示している。
ここで、移動式クレーンの自重および荷台2への積載荷重に基づいて生じる転倒基線Q
まわりの安定側モーメント(移動式クレーンの転倒基線Qまわりに転倒の抗するモーメント)Msは、閾値Ftの算出式から消去されており、このことは、閾値Ftを、この消去された安定側モーメントMsに関係なく、すなわち、積載荷重に関係なく設定できることを意味している。
(6)式から明らかなように閾値Ftは、移動式クレーンの稼動状態に関するパラメータ(変数)たる、作業半径R、安定定格吊上荷重Wt、ブーム5の最弱旋回位置からの振れ角θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(転倒基線Qに直交する鉛直面に投影した時の水平距離)の関数となっている。
以上のことから、チッピング吊上荷重Wlimとの間に上掲したB式の関係を持たせた安定定格吊上荷重Wtを持つ移動式クレーンにおいては、その安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すには、反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fの閾値Ftは、(6)式右辺にある稼動状態に関するパラメータ(変数)に関連付けて設定する必要があると言えるのである。
従って、閾値を一定不変の値(移動式クレーンの稼動状態に関するパラメータの変動に一切関わりなく)として設定している上記した従来の安定限界監視装置8では、移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができないという問題を持つこと明らかである。
本発明が解決しようとする課題は、従来の安定限界監視装置が持つ上記問題を改善することにある。
上記した課題の解決を目的とする、本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置ついて説明する。
(請求項1記載の発明について)
請求項1記載の発明は、以下の如く構成したものである。
強度限界監視装置7と併用して使用される荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置8であって、左右のアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fをそれぞれ検出する接地反力検出手段9,9と、左右のアウトリガジャッキの接地反力Fの下限値としての閾値Ftを出力する閾値出力手段10と、左右の接地反力検出手段9,9が検出した接地反力Fと閾値出力手段10が出力する閾値Ftを比較し接地反力が低下して閾値Ftに到達すると安定限界信号を出力する比較手段11とで構成したものにおいて、
ブーム5の実際の作業半径Rを検出する作業半径検出手段13、および、ブーム5に作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段14からの検出信号を、前記閾値出力手段10に入力し、閾値出力手段10は、その出力に係る閾値を、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成してあることを特徴とする荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
上記の如く構成した請求項1記載の発明は、反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力Fが対比される閾値Ftを、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるものである。
このような変動傾向を持たせることの妥当性は、上記(6)式により裏付けられているところであり、これにより、安定定格吊上荷重Wtとチッピング吊上荷重Wlimとの間に上掲の(B)式の関係を持つ移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができるのである。
なお、上記(6)式右辺には、安定定格吊上荷重Wtが因数として存在しているものの、実際の吊上荷重Wに関する因数は存在していない。この(6)式右辺にある安定定格吊上荷重Wtに実際の吊上荷重Wを代入して閾値Ftを求めるのは、実際の吊上荷重Wを、安定定格荷重Wtであると見做してして、(6)式に準じて仮の閾値Ftを求め、反転等側アウトリガジャッキ3の接地反力Fが、この仮の閾値Ftに達するかどうかを常時監視することで、結果的に、実際の吊上荷重Wが安定定格吊上荷重Wtに達したかどうかを監視できるためである。
ところで、上記したように閾値Ftは、作業半径R、安定定格吊上荷重Wt、ブーム5の最弱旋回位置からの振れ角Θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(転倒基線Qに直交する鉛直面に投影した時の水平距離)の5つを変数とする関数であるが、この請求項1記載の安定限界監視装置では、これら変数のうち、少なくとも実際の吊上荷重Wおよび作業半径Rを変数として閾値を変動させようとするものである。
閾値Ftを、実際の吊上荷重Wおよび実際の作業半径Rのみを変数として、実際の吊上荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となるよう変動させるに際し、残余の3個の変数は下記の如き固定値を採用するものとする。
振れ角Θは零を用いる。
旋回台4の旋回中心から転倒基線までの水平距離Lは、転倒側アウトリガジャッキ3の最小張出し量に対応する値を用いる。なお、転倒基線PおよびQは、主として転倒側アウトリガジャッキの張出し量に応じて定まるものである。
左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離(転倒基線Qに直交する鉛直面に投影した時の水平距離)Hは、左右のアウトリガジャッキ3,3の双方が最小張出し量にある時の値を用いる。
閾値Ftを、実際の吊上荷重Wおよび実際の作業半径Rに加えて振れ角Θを変数として変動させる場合には、上記した請求項1記載の構成に振れ角検出手段を付加し、荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となるよう変動させるにのに加え、振れ角Θが大きくなる程小さい値となるよう変動させるようにする。このような変動傾向を持たせることの妥当性は、上記(6)式により裏付けられている。
このように構成した安定限界監視装置も、請求項1記載の発明の発展例として、請求項1記載の安定限界監視装置に包含されるものである。
閾値Ftを、実際の吊上荷重Wおよび実際の作業半径Rに加えて、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hの変数として変動させる場合には、上記した請求項1記載の構成に、左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し量を検出する張出し量検出手段、および、転倒側アウトリガジャッキ判別手段を付加し、荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となるよう変動させるにのに加え、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L(転倒側アウトリガジャッキ3の張出し量に応じて定まる)が大きいほど、また、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し量に応じて定まる)が大きいほど小さい値となるよう変動させるようにする。このような変動傾向を持たせることの妥当性は、上記(6)式により裏付けられている。
このように構成した安定限界監視装置も、請求項1記載の発明の発展例として、請求項1記載の安定限界監視装置に包含されるものである。
閾値Ftを、実際の吊上荷重Wおよび実際の作業半径Rに加えて、振れ角Θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hの変数として変動させる場合には、上記した請求項1記載の発明の構成に、振れ角検出手段、左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し量を検出する張出し量検出手段、および、転倒側アウトリガジャッキ判別手段を付加し、荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となるよう変動させるにのに加え、振れ角Θが大きくなるほど、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L(転倒側アウトリガジャッキ3の張出し量に応じて定まる)が大きいほど、また、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し量に応じて定まる)が大きいほど小さい値となるよう変動させるようにする。このような変動傾向を持たせることの妥当性は、上記(6)式により裏付けられている。
このように構成した安定限界監視装置も、請求項1記載の発明の発展例として、請求項1記載の安定限界監視装置に包含されるものである。
なお、上述したように、請求項1記載の安定限界監視装置は、閾値Ftの変動要因としての5つの変数、すなわち、作業半径R、安定定格吊上荷重Wt、ブーム5の最弱旋回位置からの振れ角Θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hのうち、少なくとも作業半径Rおよび安定定格吊上荷重Wtに関連して閾値Ftを変動させようとするものであるが、関連する変数を多くするほど移動式クレーンの安定性に関する性能を効果的に引き出すことができることは言うまでも無い。
更に、閾値出力手段10は、上記(6)式に準じて閾値Ftを出力するにあたり、(6)式右辺にある5つの変数のうち閾値Ft変動に関連させる変数の変動域を適宜区分し、これら区分の組み合わせ毎の閾値Ftをデータとして記憶し、これら変数の実際値を検出する検出手段の検出値をインデックス信号として、記憶データから対応する閾値Ftを読み出すようにしても良いし、(6)式右辺にある5つの変数のうち閾値Ft変動に関連させる変数の実際値を検出する検出手段の検出値を、(6)式右辺の該当する因数に代入して閾値Ftを計算的に求めるようにしても良いものである。
閾値Ftを記憶データから読み出すものであっても、また、計算的に求めるものもであっても、閾値出力手段10が出力する閾値Ftが、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wの全変動域を通じて移動式クレーンを転倒させることなく安全にクレーン作業ができる反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力の下限値(以下、必要最低限閾値Ftminという)以下にならないよう設定するものとする。すなわち、上記(6)式右辺の安全率Nの値に移動式クレーンの安全なクレーン作業を保証できる最低限の安全率(以下、必要最低限安全率Nminという)を当て嵌めこの(6)式で算出される必要最低限閾値Ftmin以下にならないよう設定すれば良い。
換言すれば、上記(6)式右辺の安全率Nの値を必要最低限安全率Nmin以上の適宜の値(可能な限り必要最低限安全率Nminを使用)を当て嵌めこの(6)式で算出される閾値Ftの値を、計算的にあるいは記憶データから読み出して出力するようにすれば良いものである。
要するに、請求項1記載の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置は、上掲の(B)式の関係を持つ移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すために、反転倒側アウトリガジャッキの接地反力Fが対比される閾値Ftを、少なくとも実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wに関連づけて、実際の作業半径Rが大きくなる程、また、実際の吊上荷重Wが大きくなる程、大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるものである。
(請求項2記載の発明について)
上記した請求項1記載の発明は、ブームの実際の作業半径Rを検出する作業半径検出手段13、および、ブーム5に作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段14からの検出信号を、前記閾値出力手段10に入力し、閾値出力手段10は、その出力に係る閾値を、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成してあることを特徴とするものであった。
請求項2記載の発明は、この請求項1記載の発明に従属するものであり、請求項1の発明に係る安定限界監視装置における閾値出力手段10を、以下の如く構成したものである。
前記閾値出力手段10は、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格吊上荷重Wtに所要の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジャッキの接地反力変動値を、各安定定格吊上荷重Wt毎および各ブーム作業半径R毎に算出可能なようデータあるいは計算式により記憶しており、入力に係る実際の吊上荷重Wをその時の安定定格荷重Wtであると見なしこの安定定格荷重Wt(実際の吊上荷重W)と入力に係る実際の作業半径Rを用いて、記憶に係る上記データあるいは計算式により対応する接地反力変動値を求め、これを閾値Ftとて出力するよう構成してあることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの安定限界監視装置。
上記の如く構成した請求項2記載の発明は、閾値出力手段10は、その出力する閾値Ftを、実際のブーム吊上荷重W(後記する吊上荷重検出手段14が検出したもの)がその時の安定定格吊上荷重Wtであると見なしこの見なした安定定格吊上荷重Wt(実際の吊上荷重W)、および、実際の作業半径R(後記する作業半径検出手段13が検出したもの)を用いて、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格荷重Wtに所要の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力変動値を求めるものである。そして、このようにして求めた接地反力変動値を閾値Ftとして出力するのである。
このように処置することの妥当性は、上記(6)式により裏付けられている。
このように構成した請求項2記載の発明は、請求項1と同様に、安定定格吊上荷重Wtとチッピング吊上荷重Wlimとの間に上掲のB式の関係を持つ移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができるのである。
この請求項2記載の発明においても、請求項1記載の発明について言及した上記文番「0039」〜「0049」の内容は、そこに含まれている「請求項1記載の」なる用語を「請求項2記載の」に読み替えてそのまま適用されるものである。
(請求項3記載の発明について)
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様に、請求項1記載の発明に従属するものであり、請求項1の発明に係る安定限界監視装置における閾値出力手段を、以下の如く構成したものである。
前記閾値出力手段10は、各作業半径R毎に、当該作業半径における安定定格吊上荷重Wtの変動域の上限値たる最大安定定格吊上荷重Wtmaxと、この最大安定定格吊上荷重Wtmaxに所定の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジヤッキ3の接地反力Fの変動値に相当する閾値Ftmaxとを、データとして記憶しており、この記憶データから、実際の作業半径Rをインデックス信号として、実際の差作業半径Rに対応する最大安定定格吊上荷重Wtmaxと閾値Ftmaxを読み出し、この読み出した閾値Ftmaxを、読み出した最大安定定格吊上荷重Wtに対する実際の吊上荷重Wの割合で内分し、これを閾値Ftとして出力するよう構成してあることを特徴とする請求項2記載の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
このように構成した請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様に、安定定格吊上荷重Wtとチッピング吊上荷重Wlimとの間に上掲のB式の関係を持つ移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことができるのである。
この請求項3記載の発明においても、請求項1記載の発明について言及した上記文番「0039」〜「0049」の内容は、そこに含まれている「請求項1記載の」なる用語を「請求項3記載の」に読み替えてそのまま適用されるものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明に従属するものであり、請求項3の発明に係る安定限界監視装置における閾値出力手段10を、以下の如く構成したものである。
請求項3に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置であって、閾値出力手
段10は、各作業半径R毎に、最大安定定格吊上荷重Wtmaxとこれに対応する閾値Ftmaxとをデータとして記憶する際に、最大安定定格吊上荷重Wtmaxは、強度限界監視装置7が、移動式クレーンの強度限界監視のために記憶している作業半径R毎の強度定格吊上荷重Wt(strength)を用いるよう構成してあることを特徴とする請求項3記載の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
このように構成した請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明を実施するにあたり、強度限界監視装置7が移動式クレーンの強度限界監視のために記憶している作業半径R毎の強度定格吊上荷重データを利用するものであるから、その分、安定限界監視装置8の構成を簡略化できる。
本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置は、上記したように、請求項1乃至請求項4記載の発明として特定されているが、これら各請求項に係る発明の効果については、既に説明した通りである。
以下、本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置は、従来の安定限界監視装置8に比べ、その閾値出力手段10の構成が異なっているところに構成上の特徴がある。従って、以下、本発明の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の構成面の説明は、この特徴部分の説明に留め、その他は図7に示し上述した従来の安定限界監視装置の説明を援用するものとする。
本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置は、上述したように閾値Ftに関連する5つの変数のうち、少なくとも、作業半径Rおよび吊上荷重Wに関連して閾値Ftを変動させようとするものである。
従って、まず、作業半径Rおよび吊上荷重Wのみを変数として閾値Ftを変動させるようにしたものを第一実施例として説明し、次いで、作業半径R、吊上荷重W、および、振れ角Θを変数として閾値Ftを出力するものを第二実施例として説明する。更に、作業半径R、吊上荷重W、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hを変数として閾値Ftを出力するものを第三実施例として説明する。最後に、作業半径R、吊上荷重W、振れ角Θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hを変数として閾値Ftを出力するものを第四実施例として説明する。
(第一実施例)
図1は、本発明に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置のブロック図である。
図1において、13は、長さ変更作動自在なブーム5の作業半径Rを検出する作業半径検出手段である。この作業半径検出手段13は、ブーム5の起伏角度を検出する起伏角度検出器13−1と、ブーム長さ(ブーム5の基端部と先端部との間の距離)、を検出するブーム長さ検出器13−2で構成されている。
14は、ブームに作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段である。この吊上荷重検出手段14は、ブーム5先端部から吊具6を巻き上げ巻き下げ自在に吊下するワイヤーロープの張力を介して吊上荷重Wを検出するもので構成しても良い。この場合、吊上荷重検出手段14は、例えば、同ワイヤーロープ索端のブーム5先端部への止着部に介装したロードセルで構成する。
また、この吊上荷重検出手段14は、ブーム5に作用するブーム倒伏方向モーメントおよびブーム5の作業半径Rを介して吊上荷重Wを検出するもので構成しても良い。この場合、吊上荷重検出手段14は、ブーム5の起伏シリンダに作用する軸力を検出する起伏シリンダ軸力検出手段と、ブーム5の作業半径Rを検出する上記作業半径検出手段13と、これら検出手段の検出値を用いて吊上荷重Wを演算算出する演算部とで構成し、演算部において、ブーム5の起伏支点まわりに生じるブーム倒伏方向モーメントの吊上荷重成分を求めこれを作業半径Rで除算して吊上荷重Wを求めるようにしたもので構成する。
なお、上記した作業半径検出手段13および吊上荷重検出手段14は、安定限界監視装置8に併設されている強度限界監視装置7が具備している作業半径検出手段7aおよび吊上荷重検出手段7cを共用しても良いこと勿論である。
作業半径検出手段13が検出した作業半径(実際の作業半径)R、および、吊上荷重検出手段14が検出した吊上荷重(実際の吊上荷重)Wは、閾値出力手段10に入力されるようになっている。
そして、閾値出力手段10は、その出力に係る閾値Ftを、入力に係る実際の吊上荷重Wおよび実際の作業半径Rに応じて、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成している。
閾値出力手段10が出力する閾値Ftは、必要最低限閾値Ftmin以下にならないよう、
その出力に係る閾値を、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成してあるものである。
次に、このような閾値Ft変動機能を持つ閾値出力手段10の演算処理について説明する。
第一の実施例は、上述したように、閾値Ftを、作業半径Rおよび吊上荷重Wのみを変数として、実際の吊上荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となるよう変動させるようにしたものに関する実施例である。
図2は、転倒側アウトリガジャッキ3および反転倒側アウトリガジャッキ3を最小張出
状態とし、ブーム5の旋回最弱位置からの振れ角Θを零にした場合の、Wt、RcosΘ−L(振れ角を零としているのでR−Lとなる)、および、Ftの関係を直角座標上に描画したものである。
描画された閾値Ftは、式(6)右辺の変数のうち、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L(転倒側アウトリガジャッキ3の張出し量に応じて定まる値)は転倒側アウトリガジャッキ3の最小張出し量に対応する値(固定値)を採用し、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離H(左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し量によって定まる値)は左右のアウトリガジャッキ3,3が共に最小張出し量にある場合のそれに対応する値(固定値)を採用し、且つ、安全率Nの値には、必要最低限安全率Nminを採用して、(6)式により算出した必要最低限閾値Ftminである。
この図2に描画された必要最低限閾値Ftminは図右側が円弧状に欠如しているが、この欠如領域は、吊上荷重Wが強度定格吊上荷重Wt(strength)を超えた領域である。
この図2からもわかるように、閾値Ft(必要最低限度の閾値Ftmin)は、実際の吊上荷重Wが大きいほど、また、実際の作業半径Rが大きいほど大きな値となる。
なお、(6)式から明らかなように、(6)式右辺の変数および安全率Nを上記のように設定して算出される閾値Ft(必要最低限閾値Ftmin)は、作業半径Rから水平距離Lを減算した値、および、安定定格吊上荷重Wtのそれぞれに対して一次関数的に比例して変動するものである。
図2を参照しながら、閾値出力手段10で行われる演算処理の実施例を説明する。
閾値出力手段10は、閾値Ftをその内部に記憶した(6)式により算出して出力するか、あるいは、作業半径Rおよび安定定格吊上荷重Wtに関連付けて記憶したデータ(閾値データ)から実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重W(実際の吊上荷重Wをその時の安定定格吊上荷重Wtと見なしたもの)をインデックス信号として該当する閾値Ftを出力するよう構成する。
(閾値出力手段10に記憶した(6)式により閾値Ftを求める場合)
閾値Ftを(6)式により算出して出力する場合には、閾値出力手段10は、それが出力する閾値Ftが、図2に描画した必要最低限閾値Ftmin以下にならないよう、(6)式の右辺にある安全率Nを、必要最低限安全率Nmin以上の任意の値(できる限り必要最低限安全率Nminを用いることが好ましい)を用いて算出するよう構成する。閾値出力手段10をこのように構成したものは、請求項1および請求項2記載の発明の実施例に相当し、請求項1および請求項2記載の発明に含まれるものである。
(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)
閾値Ftを、作業半径Rおよび安定定格吊上荷重Wtに関連付けて記憶したデータ(閾値データ)から実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wをインデックス信号として該当する閾値Ftを出力するよう構成する場合には、閾値出力手段10は、下記の例1〜3に示すようにして閾値Ftを出力するよう構成するものとする。
例1
各作業半径R毎および各安定定格吊上荷重Wt毎に閾値Ftを記憶し、この記憶したデータ(閾値データ)から、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重W(実際の吊上荷重Wをその時の安定定格吊上荷重Wtと見なしたもの)をインデックス信号として該当する閾値Ftを出力するようにする。
各作業半径R毎および各安定定格吊上荷重Wt毎に記憶する閾値Ftは、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wの全変動域を通じて必要最低限閾値Ftmin(図2に描画した最低閾値Ftmin)以下にならず、且つ、必要最低限閾値Ftminにできるだけ近接した値とする。
閾値出力手段10をこのように構成したものは、請求項1および請求項2記載の発明の実施例に相当し、請求項1および請求項2の発明に包含されるものである。
例2
各作業半径R毎に、当該作業半径における安定定格吊上荷重Wtの変動域の上限値たる最大安定定格吊上荷重Wtmax(図2に、Wtmax1、Wtmax2、・・・として示すもの)と、この最大安定定格吊上荷重Wtmaxに所定の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジヤッキ3の接地反力Fの変動値に相当する閾値Ftmax(図2に、Ftmax1、Ftmax2・・・として示すもの)とを、データとして記憶しており、この記憶データから、実際の作業半径Rをインデックス信号として、実際の差作業半径Rに対応する最大安定定格吊上荷重Wtmaxと閾値Ftmaxを読み出し、この読み出した閾値Ftmaxを、読み出した最大安定定格吊上荷重Wtmaxに対する実際の吊上荷重Wの割合で内分し(を乗算し)、これをその時の閾値Ftとして出力する。
なお、図2では、各R−L毎の、最大安定定格吊上荷重Wtmax1、Wtmax2・・・と、これに対応する閾値Ftmax1、Ftmax2・・・との関係を示している。
上記において、読み出した閾値Ftmaxを、読み出した最大安定定格吊上荷重Wtmaxに対する実際の吊上荷重Wの割合で内分し(を乗算し)、これをその時の閾値Ftとして出力することは、閾値Ftが安定定格吊上荷重Wtに応じて一次関数的に比例するものであるところから意味のあるところであり、このように処置することで、記憶データを少なくすることができる。
この例の場合、各作業半径毎R毎に記憶する最大安定定格吊上荷重Wtmaxとこれに対応する閾値Ftmaxを記憶するにあたり、各作業半径R毎の最大安定定格吊上荷重Wtmaxは、当該作業半径Rにおける安定定格吊上荷重Wt(荷台2への積載荷重により変動)の変動域の上限値が用いられている。
閾値出力手段10をこのように構成したものは、請求項1、請求項2、および、請求項3記載の発明の実施例に相当し、請求項1、請求項2、および、請求項3の発明に包含されるものである。
なお、閾値出力手段10を上記例2のように構成するとき、当該閾値出力手段10は、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格荷重Wtに所要の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジャッキの接地反力変動値を、各安定定格吊上荷重毎および各ブーム作業半径毎に算出可能なようデータあるいは計算式により記憶しており、入力に係る実際の吊上荷重Wをその時の安定定格荷重Wtであると見なしこの安定定格荷重Wt(実際の吊上荷重W)と入力に係る実際の作業半径Rを用いて、記憶に係る上記データあるいは計算式により対応する接地反力変動値を求め、これを閾値Ftとして出力するものと言える。従って、閾値出力手段10を上記例2のように構成したもの(安定限界監視装置)は、請求項2記載の発明の一実施態様に相当するものであることは明らかである。
(第二実施例)
次に、閾値出力手段10が、作業半径R、吊上荷重W、および、振れ角Θを変数として閾値Ftを出力するものを第二実施例として説明する。
この実施例では、図3に示すように、閾値出力手段10に、作業半径検出手段13が検出する実際の作業半径R、吊上荷重検出手段14が検出した実際の吊上荷重W、および、振れ角検出手段15が検出した振れ角Θを入力する。作業半径検出手段13および吊上荷重検出手段14は、上記した第一実施例で説明した通りのものである。
また、振れ角検出手段15は、ブーム5の実際の旋回角度を検出する旋回角度検出器と、
この旋回角度検出器が検出した実際の旋回角度の最弱旋回位置(転倒側アウトリガジャッキ3の張出し量に応じて定まる)からの偏りを算出する振れ角算出部(閾値出力手段10に内在)とで構成している。なお、図2では、理解しやすくするため、便宜上振れ角検出手段15が閾値出力手段10と独立して表示している。
(閾値出力手段10に記憶した(6)式により閾値Ftを求める場合)
閾値Ftを(6)式により算出して出力する場合には、閾値出力手段10は、それが出力する閾値Ftが、図2に描画した必要最低限閾値Ftmin以下にならないよう、(6)式の右辺にある安全率Nを、必要最低限安全率Nmin以上の任意の値(できる限り必要最低限安全率Nminを用いることが好ましい)を用いて算出するよう構成する。
閾値出力手段10をこのように構成したものは、請求項1および請求項2記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1および請求項2記載の発明に含まれるものである。
(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)
この場合、上記した第一実施例における(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)の例1の如く求めた閾値Ftあるいは例2の如く求めた閾値Ftに、(RcosΘ−L)/(R−L)を乗算して、閾値出力手段10が出力する閾値Ftとする。前者の場合、請求項1および請求項2記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1および請求項2の発明に包含されるものである。また、後者の場合、請求項1、請求項2、および、請求項3記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1、請求項2、および、請求項3の発明に包含されるものである。
(第三実施例)
次に、閾値出力手段10が、作業半径R、吊上荷重W、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hを変数として閾値Ftを出力するものについて説明する。
この実施例では、図4に示すように、閾値出力手段10に、作業半径検出手段13が検出する実際の作業半径R、吊上荷重検出手段14が検出した実際の吊上荷重W、左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し幅をそれぞれ検出する張出し幅検出手段16、16からの各張出し幅、および、転倒側アウトリガジヤッキ判別手段17からの判別信号を入力する。
作業半径検出手段13および吊上荷重検出手段14は、上記した第一実施例で説明した通りのものである。
また、左右のアウトリガジャッキ3,3の各張出し幅をそれぞれ検出する張出し幅検出手段16、16は、その検出対象のアウトリガジャッキ3の張出し幅を段階的あるいは連続的に検出するもので構成する。段階的に検出する場合には、例えば、アウトリガジャッキ3,3の張出し幅を、最小張出し位置、中間張出し位置、および、最大張出し位置の三段階に検出できるもので構成する。
更に、転倒側アウトリガジャッキ判別手段17は、ブーム5の旋回位置が車両1の左側方にあるか右側方に位置しているかを検出するものである。ブーム5の旋回位置が車両1の左側方にあることを検出した場合には、移動式クレーンが転倒基線Pを中心して転倒する危険性があり、車両1左側のアウトリガジャッキ3が転倒側アウトリガジャッキとなり、車両1右側のアウトリガジヤッキ3が反転倒側アウトリガジャッキとなる。また、ブーム5の旋回位置が車両1の右側方にあることを検出した場合には、移動式クレーンが転倒基線Qを中心して転倒する危険性があり、車両1右側のアウトリガジャッキ3が転倒側アウトリガジャッキとなり、車両1左側のアウトリガジヤッキ3が反転倒側アウトリガジャッキとなる。転倒側アウトリガジャッキ判別手段17は、ブーム5の旋回位置によって変動(逆転)するし転倒側アウトリガジャッキ3と反転倒側アウトリガジャッキ3を判別するためのものである。
(閾値出力手段10に記憶した(6)式により閾値Ftを求める場合)
閾値Ftを(6)式により算出して出力する場合には、閾値出力手段10は、まず、転倒側アウトリガジャッキ判別手段により、転倒側アウトリガジャッキ3と反転倒側アウリトリガジャッキ3を決定する。この決定は転倒基線Pか転倒基線Qかを決定する意味を持つ。
次いで、閾値出力手段10は、転倒側アウトリガジヤッキ3の張出し量を対応する張出し幅検出手段16からの張出し幅に基づき旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離Lを求めると共に、左右の張出し幅検出手段16,16からの各張出し幅に基づき、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hを求める。
そして、このようにして求めたL、H、および、作業半径検出手段13からの作業半径R、吊上荷重検出手段14からの吊上荷重Wを用いて、(6)式により閾値Ftを算出して出力するのである。
この算出に際して、出力される閾値Ftが、図2に描画した必要最低限閾値Ftmin以下にならないよう、(6)式の右辺にある安全率Nを、必要最低限安全率Nmin以上の任意の値(できる限り必要最低限安全率Nminを用いることが好ましい)を用いて算出するよう構成する。
閾値出力手段10をこのように構成したものは、請求項1および請求項2記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1および請求項2記載の発明に含まれるものである。
(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)
この場合、閾値出力手段10には、上記した第一実施例における(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)の例1および例2で説明した閾値データを、転倒側アウトリガジャッキ3および反転倒側アウトリガジャッキ3の張出し幅に応じて決定される、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hの各組み合わせ毎に記憶しておく。
なお、第一実施例における(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)の例1および例2で説明した閾値データは、左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し幅が最小の時の閾値データであったが、ここでは、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hの各組み合わせ毎に記憶しておく。
閾値出力手段10は、記憶した閾値データから、張出し幅検出手段16、16からの張出し幅3L、3Lに基づき、対応する閾値データを選択し、その上で、第一実施例における例1および例2に準じて閾値Ftを演算出力するようにする。例1の場合、請求項1および請求項2記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1および請求項2の発明に包含されるものである。また、後者の場合、請求項1、請求項2、および、請求項3記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1、請求項2、および、請求項3の発明に包含されるものである。
(第四実施例)
最後に、作業半径R、吊上荷重W、振れ角Θ、旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離L、および、左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離Hを変数として閾値Ftを出力するものを第四実施例として説明する。
この実施例では、図5に示すように、閾値出力手段10に、作業半径検出手段13が検出する実際の作業半径R、吊上荷重検出手段14が検出した実際の吊上荷重W、振れ角検出手段15が検出した振れ角Θ、左右のアウトリガジャッキ3,3の張出し幅をそれぞれ検出する張出し幅検出手段16、16からの張出し幅、および、転倒側アウトリガジヤッキ判別手段17からの判別信号を入力する。これらの検出手段は、第一実施例〜第三実施例において説明した通りのものを用いる。
(閾値出力手段10に記憶した(6)式により閾値Ftを求める場合)
閾値出力手段は、これら検出手段からの検出値を用いて、上記した第二実施例および第三実施例と同様にして(6)式により閾値を算出して出力するものである。
(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)
この場合、閾値出力手段10には、上記した第三実施例における(閾値出力手段10に記憶した閾値データを用いて閾値Ftを求める場合)のところで説明したようにして求められる閾値Ftに、(RcosΘ−L)/(R−L)を乗算して、閾値出力手段10が出力する閾値Ftとする。この場合、請求項1、請求項2、請求項3記載の発明の発展例としての実施例に相当し、請求項1、請求項2、および、請求項3の発明に包含されるものである。
最後に、本件発明の特許出願書類(特許請求の範囲、および、明細書)で用いている吊上荷重なる用語は、吊具6の重量を含まない吊荷の重量のみを意味する吊上荷重、および、この吊上荷重に吊具6の重量を加えた吊上総荷重の双方を含む用語してい用いられていることを付言しておく。
なお、上記(B)式について補足説明すると、(B)式は、安定定格吊上荷重Wtとそれに対応するチッピング吊上荷重Wmaxとの間に安定定格吊上荷重Wtが大きくなるほど両者間の差分が大きくなるような関係を持たせることを意味しており、この(B)式中にある安全率Nは、これを安定定格吊上荷重Wtの大小に関わらず一定の定数として設定しても良いし、あるいは、安定定格吊上荷重Wtに応じて変動するものとして設定しても良いものである。
本発明は、安定定格吊上荷重Wtとチッピング吊上荷重Wlimとの間に、上記(B)式の関係を持つ移動式クレーンの安定面での性能を合理的且つ効果的に引き出すことを目的とするものであるが、上記(B)式中の安全率Nを、安定定格吊上荷重Wtの大小に関わらず一定の定数として設定した場合には、安定定格吊上荷重Wtおよびチッピング吊上荷重Wlimが小さくなる程その差は小さくなり、零になるとその差は零となる関係を持つことになる。この場合、安定定格吊上荷重Wtおよびチッピング吊上荷重Wlimが小さい領域では、例え(B)式を満足していても閾値出力手段10が出力する閾値Ftが極めて小さい値となるので、移動式クレーンを転倒させることのない安全なクレーン作業を保証できない恐れがある。このような恐れを解消するため、安定定格吊上荷重Wtおよびチッピング吊上荷重Wlimが小さい領域では、閾値Ftが、移動式クレーンを転倒させることのない安全なクレーン作業を保証できる値以下にならないよう規制するものとする。このようにしたものであっても、本件発明の請求項1乃至請求項4の発明に包含されるものであること明らかである。
本発明の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の第一実施例を示すブロック図である。 ブームの最弱旋回位置における閾値を、安定定格吊上荷重Wt、作業半径R、および、閾値Ftの関係を直角座標上に描画した図である。 本発明の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の第二実施例を示すブロック図である。…Θを追加して処理するもの。 本発明の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の第三実施例を示すブロック図である。…L,Hを追加して処理するもの。 本発明の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置の第四実施例を示すブロック図である。…Θ、L、Hを追加して処理するもの。 荷台を有する移動式クレーンの側面図である。 従来の強度限界監視装置7と安定限界監視装置8のブロック図である。 ブーム5を右側の最弱旋回位置に旋回させた状態の移動式クレーンの平面で ある。 は、図8の状態における、左右のアウトリガジャッキ3,3、旋回台4、ブ ーム5、および、吊具6を、転倒基線Qに直交する鉛直面に投影して表示した相 関図である。
符号の説明
1;車両、
2;荷台、
3,3;アウトリガジャッキ、
4;旋回台、
5;ブーム、
6;吊具、
7;強度限界監視装置、
7a;作業半径検出手段、
7a−1;起伏角度検出器、
7a−2;ブーム長さ検出器、
7b;強度定格吊上荷重出力手段、
7c;吊上荷重検出手段、
7d;比較手段、
8;安定限界監視装置、
9,9;接地反力検出手段、
10;閾値出力手段、
11;比較手段、
12;安全作動装置、
13;作業半径検出手段、
13−1;起伏角度検出手段、
13−2;ブーム長さ検出手段、
14;吊上荷重検出手段、
15;振れ角検出手段、
16、16;張出し幅検出手段、
3L、3L;張出し幅、
17;転倒側アウトリガジャッキ判別手段、
P,Q;転倒基線、
W:吊上荷重
Wlim:チッピング吊上荷重(ブーム5にこれ以上の吊上荷重が作用すると移動式ク レーンが転倒するとされる限界の吊上荷重)
Wt:安定定格吊上荷重
N:安全率(1より大きい値)
R;作業半径(ブーム5の起伏支点からブーム5の先端部までの水平距離)
L:旋回台4の旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離
H:左右のアウトリガジャッキ3,3の各接地点間の距離(転倒基線Qに直交する鉛 直面に投影した時の水平距離)
Θ:ブーム5の最弱旋回位置(ブーム5が転倒基線Qに直交するよう旋回した位置) からの振れ角
F:反転倒側アウトリガジャッキの接地反力
Flim:チッピング吊上荷重Wlimを吊った時の反転倒側アウトリガジャッキの接地 反力で値は零に相当。
Ft:安定定格吊上荷重Wtを吊った時の反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力 で、閾値に相当。
Mg:吊上荷重Wにより生じる転倒側モーメント(移動式クレーンを転倒基線周りに 転倒させようとするモーメント)
Ms:移動式クレーンの自重および荷台2への積載荷重に基づいて生じる転倒基線Q
まわりの安定側モーメント(移動式クレーンの転倒基線Qまわりに転倒の抗す
るモーメント)
Ftmin:必要最低限閾値(移動式クレーンを転倒させることなく安全にクレーン作 業ができる反転倒側アウトリガジャッキ3の接地反力の下限値)
Nmin:必要最低限閾値(移動式クレーンの安全なクレーン作業を保証できる最低限 の安全率)
以上

Claims (4)

  1. 強度限界監視装置7と併用して使用される荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置8であって、左右のアウトリガジャッキ3,3の接地反力Fをそれぞれ検出する接地反力検出手段9,9と、左右のアウトリガジャッキの接地反力Fの下限値としての閾値Ftを出力する閾値出力手段10と、左右の接地反力検出手段9,9が検出した接地反力Fと閾値出力手段10が出力する閾値Ftを比較し接地反力が低下して閾値Ftに到達すると安定限界信号を出力する比較手段11とで構成したものにおいて、
    ブーム5の実際の作業半径Rを検出する作業半径検出手段13、および、ブーム5に作用する実際の吊上荷重Wを検出する吊上荷重検出手段14からの検出信号を、前記閾値出力手段10に入力し、閾値出力手段10は、その出力に係る閾値を、実際の作業半径Rおよび実際の吊上荷重Wが大きくなる程大きな値となるよう連続的または段階的に変動させるよう構成してあることを特徴とする荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
  2. 前記閾値出力手段10は、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格荷重Wtに所要の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジャッキの接地反力変動値を、各安定定格吊上荷重Wt毎および各ブーム作業半径R毎に算出可能なようデータあるいは計算式により記憶しており、入力に係る実際の吊上荷重Wをその時の安定定格吊上荷重Wtであると見なしこの安定定格吊上荷重Wt(実際の吊上荷重W)と入力に係る実際の作業半径Rを用いて、記憶に係る上記データあるいは計算式により対応する接地反力変動値を求め、これを閾値Ftとて出力するよう構成してあることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの安定限界監視装置。
  3. 前記閾値出力手段10は、各作業半径R毎に、当該作業半径における安定定格吊上荷重Wtの変動域の上限値たる最大安定定格吊上荷重Wtmaxと、この最大安定定格吊上荷重Wtmaxに所定の安全率Nを乗じて得られるチッピング吊上荷重Wlimとの差分に対応する反転倒側アウトリガジヤッキ3の接地反力Fの変動値に相当する閾値Ftmaxとを、データとして記憶しており、この記憶データから、実際の作業半径Rをインデックス信号として、実際の作業半径Rに対応する最大安定定格吊上荷重Wtmaxと閾値Ftmaxを読み出し、この読み出した閾値Ftmaxを、読み出した最大安定定格吊上荷重Wtに対する実際の吊上荷重Wの割合で内分し、これを閾値Ftとして出力するよう構成してあることを特徴とする請求項2記載の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
  4. 請求項3に係る荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置であって、閾値出力手
    段10は、各作業半径R毎に、最大安定定格吊上荷重Wtmaxとこれに対応する閾値Ftmaxとをデータとして記憶する際に、最大安定定格吊上荷重Wtmaxは、強度限界監視装置7が、移動式クレーンの強度限界監視のために記憶している作業半径R毎の強度定格吊上荷重Wt(strength)を用いるよう構成してあることを特徴とする請求項3記載の荷台を有する移動式クレーンの安定限界監視装置。
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