JPH075103Y2 - クレーンの安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばクレーン車あるいは穴堀建柱車等のモ
ーメントリミッタに付加する安全手段であって、長さ検
出器及び起伏角度検出器の何れか一方の検出値が異常と
判定された場合でも荷重検出器の検出値が正常の場合
に、荷重検出値が予め設定したブームの状態に関係なく
クレーンが転倒することのない荷重以下ならばブーム等
の作動を停止せず、また異常を警報せず、荷重検出値が
予め設定したブームの状態に関係なくクレーンが転倒す
ることのない荷重以上ならばブーム等の作動を停止し、
また警報するようにしたクレーンの安全装置に関するも
のである。

〔従来技術〕

従来のクレーン車あるいは穴堀建柱車等の作業車には転
倒を防止するためにモーメントリミッタなどの過負荷防
止装置が取り付けられているが、それは、ブームの長
さ、ブームの起伏角度、吊り上げ荷重などの検出器を備
え、これらの検出データをマイコン等により構成される
演算器（判断部）に入力することでブーム等の作動を制
御する演算処理データを抽出し、該抽出データが例えば
予め設定した荷重（モーメント）に到った場合にはブー
ム等の作動を停止して作業車が転倒するのを防止すべく
構成していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、従来のそうしたモーメントリミッタにおいて
もブーム長検出器、ブーム起伏角度検出器あるいは荷重
検出器等の検出器が断線或いは短絡等によ正常な検出が
行われない場合は、異常信号を後段の演算器に入力して
ブーム等の作動を直ちに停止するものは知られている
が、従来のモーメントリミッタは、いずれかの検出器に
異常が生じても後段の演算器より、ブーム等の作動停止
信号が出力されるため、作業中であってもブーム等は直
ちに現状でもって停止されてしまう。そのため、高所に
伸長されたブーム等はそのままの状態となり、従って格
納することもできず、修理を行うまでは動けず、他の作
業車により作業を行おうとしても故障した作業車がその
ままの状態で放置されるため効率の良い作業をすること
が出来ない等の問題があった。

〔考案の目的及び課題を解決するための手段〕

本考案は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、クレーン車あるいは穴堀建柱
車等のモーメントリミッタに付加する安全手段であっ
て、長さ検出器及び起伏角度検出器の何れか一方の検出
値が異常と判定された場合でも荷重検出器の検出値が正
常の場合に、荷重検出値が予め設定したブームの状態に
関係なくクレーンが転倒することのない荷重以下ならば
ブーム等の作動を停止せず、また異常を警報せず、荷重
検出値が予め設定したブームの状態に関係なくクレーン
が転倒することのない荷重以上ならばブーム等の作動を
停止し、また警報するようにしたクレーンの安全装置を
提供することにあり、そのためにブームの長さを検出す
るブーム長さ検出器と、ブームの起伏角度を検出する起
伏角度検出器と、ブームの吊り上げ荷重を検出する荷重
検出器と、これらの各検出器の検出値が検出器の故障等
により正常な範囲から逸脱しているか否かを判定する異
常判定器と、これらの異常判定器の判定信号により、前
記ブーム長さ検出器及び起伏角度検出器の何れか一方の
検出値が異常と判定された場合で、かつ前記荷重検出器
の検出値が前記ブームの状態に関係なくクレーンが転倒
することのない予め設定した荷重を越えた場合、及び前
記荷重検出器の検出値が異常と判定された場合に、ブー
ム等の作動を停止し、また警報を発する信号を出力する
ようにした演算器とで構成する。

〔作用〕

上記のような構成を採用したので、少なくとも、荷重検
出器が正常に作動していれば、ブームの状態に関係なく
クレーンが転倒することのない荷重以下であればブーム
等の作動は支障なく行なえ、かつ無負荷状態であればブ
ームの格納作動は十分に行えるようになし、車両の移動
が容易で作業への支障が最少限度に留められるようにす
るとともに、荷重検出器が異常の場合には、他の検出器
が正常であっても、即座にブームの作動を停止させる
か、または警報を発する。

〔実施例〕

以下、第１図、第２図及び第３図に基づいて本考案に係
るクレーンの安全装置の一実施例を詳細に説明する。

同図中、１はクレーン作業車（穴堀建柱車）である。ク
レーン作業車１の車体1a上には旋回自在にターンテーブ
ル３が備えられている。ターンテーブル３には直伸ブー
ム２の基端が起伏自在に枢着されている。直伸ブーム２
はターンテーブル３と直伸ブーム２間に配置した起伏シ
リンダ６の伸縮により起伏作動するとともに、内蔵した
伸縮装置（図では省略）により伸縮作動する。直伸ブー
ム２の基端背面にはウインチ４が備えられている。ウイ
ンチ４より繰り出し、巻き取られるワイヤは直伸ブーム
２の先端に掛け回された後、直伸ブーム２先端よりフッ
クを吊り下ろしている。直伸ブーム２の基端側側面には
直伸ブーム２の起伏角度を検出する起伏角度検出器７が
備えられている。直伸ブーム２の先端側側面には直伸ブ
ーム２の長さを検出するブーム長さ検出器８が備えられ
ている。起伏シリンダ６には起伏シリンダ６の軸線方向
に作用する荷重を検出する荷重検出器９が備えられてい
る。前記各検出器７、８、９は前記クレーン作業車１の
車体1a上に装備された演算器10に接続されている。

ところで、前記演算器10は、第２図にブロックにて示す
如く構成されている。

前記検出器７、８、９の後段には、各検出器７、８、９
の検出エラー、即ち、回路の断線、短絡などにより検出
値が正常な範囲から逸脱しているか否かを判断する異常
判定器7a、8a、9aがそれぞれ設けられている。起伏角度
検出器７及びブーム長さ検出器８の後段にそれぞれ設け
た異常判定器7a、8aは、起伏角度及びブーム長さよりそ
のときの定格荷重を算出する定格荷重演算器11と、直伸
ブーム２及びウインチ４等の作動を停止させる駆動停止
装置12に接続されている。荷重検出器９の後段に設けた
異常判定器9aは、第１比較器13、第２比較器14及び前記
駆動停止装置12に接続されている。第１比較器13は、最
小定格荷重記憶器16に予め設定された前記直伸ブーム２
の状態に関係なくクレーンが転倒することのない荷重と
異常判定器9aを介して入力される荷重検出器９の検出値
とを比較し、検出値が直伸ブーム２の状態に関係なくク
レーン作業車１が転倒することのない荷重以下か、以上
かを判別する。第２比較器14には前記定格荷重演算器11
も接続され、定格荷重演算器11により演算した定格荷重
と異常判定器9aを介して入力される荷重検出器９の検出
値とを比較し、検出値が定格荷重以下か、否かを判別す
る。第１比較器13、第２比較器14及び異常判定器9aも前
記駆動停止装置12に接続されている。

駆動停止装置12は、各検出器７、８、９の検出値が各異
常判定器7a、8a、9aにおいて正常であると判定され、か
つ第２比較器14により、荷重検出器９の検出値が定格荷
重演算器11より算出した定格荷重以上であると判別され
た場合、起伏角度検出器７及びブーム長さ検出器８の何
れか一方の検出値が異常判定器7aあるいは8aにより異常
であると判定され、かつ第１比較器13により荷重検出器
９の検出値が最小定格荷重記憶器16に設定された直伸ブ
ーム２の状態に関係なくクレーン作業車１が転倒するこ
とのない荷重以上であると判別された場合、及び異常判
定器9aにより荷重検出器９の検出値が異常であると判定
された場合に、直伸ブーム２及びウインチ４等の危険側
への作動を停止させる。また、駆動停止装置12は警報器
15に接続され、警報器15は駆動停止装置12が直伸ブーム
２等の作動を停止させるときに作動して、警報を発す
る。

以下、上記の構成に基づいて本考案に係るクレーンの安
全装置の作用を説明する。

第３図に示すフローチャートに従って説明を行うと、先
ず起伏角度検出器７により検出された起伏角度値が異常
（断線、短絡）であるかどうかの判定を次段の異常判定
器7aで行う。

この判定に於いて異常でないとすれば、次に、ブーム長
さ検出器８により検出したブーム長さ値が異常（断線、
短絡）であるかどうかの判定を、同じく次段の異常判定
器8aで行う。

上記の両判定でもって何れの検出器７、８の検出にも、
異常が無いとすれば、次に荷重検出器９による荷重値の
異常（断線、短絡）有無の判定を行い、すべてが正常で
あれば、通常に直伸ブーム２の作動は行われる。

尚、上記の作動状況下であっても何れかの検出器でもっ
て検出した結果が、予め設定している最大定格荷重値を
越えて転倒荷重に到った場合には直伸ブーム２の作動は
直ちに規制され、警報ブザー15がそれを報知する。

一方、前記起伏角度検出器７及びブーム長さ検出器８に
何らかの異常が発生して、角度検出値または長さ検出値
に異常が見られる場合、及び前記荷重検出器９で検出す
る荷重検出値に異常がある場合には、直伸ブーム２に作
動停止信号を出力し、また異常が無い場合にも荷重の比
較を行う。

上記の比較により、予め設定した直伸ブーム２の状態に
関係なくクレーン作業車１が転倒することのない荷重よ
りも検出荷重値が小さい場合には直伸ブーム２の作動は
行える。

即ち、前記直伸ブーム２の状態に関係なくクレーン作業
車１が転倒することのない荷重に設定しておけば、起伏
角度検出器７あるいはブーム長さ検出器８に検出エラー
が生じても、前記荷重検出器９で検出する荷重検出値に
異常がない場合は、他の検出器に万が一異常が有っても
直伸ブーム２の格納は行えるため車両の移動は容易にお
こなえ作業への支障は最少限度に留められる。

〔考案の効果〕

本考案は、以上詳細に説明した如く、ブームの長さを検
出するブーム長さ検出器と、ブームの起伏角度を検出す
る起伏角度検出器と、ブームの吊り上げ荷重を検出する
荷重検出器と、これらの各検出器の検出値が検出器の故
障等により正常な範囲から逸脱しているか否かを判定す
る異常判定器と、これらの異常判定器の判定信号によ
り、前記ブーム長さ検出器及び起伏角度検出器の何れか
一方の検出値が異常と判定された場合で、かつ前記荷重
検出器の検出値が前記ブームの状態に関係なくクレーン
が転倒することのない予め設定した荷重を越えた場合、
及び前記荷重検出器の検出値が異常と判定された場合
に、ブーム等の作動を停止し、また警報を発する信号を
出力するようにした演算器とで構成したので、少なくと
も、荷重検出器が正常に作動していれば、ブームの状態
に関係なくクレーンが転倒することのない荷重以下であ
ればブーム等の作動は支障なく行なえ、かつ無負荷状態
であればブームの格納作動は十分に行えるようになし、
車両の移動が容易で作業への支障が最少限度に留めら
れ、しかも荷重検出器が異常の場合には、他の検出器が
正常であっても、即座にブームの作動を停止させるか、
または警報を発するから、作業の安全性は高く、作業能
率は著しく向上する等種々の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るクレーンの安全装置を装備した高
所作業車の一例を示す斜視図、第２図はクレーンの安全
装置の一例を示すブロック図、第３図は動作状態を説明
するためのフローチャートである。 １……高所作業車、２……ブーム、７……起伏角度検出
器、7a……異常判定器、８……ブーム長さ検出器、8a…
…異常判定器、９……荷重検出器、10……演算装置、11
……定格荷重演算器、12……駆動停止装置、13、14……
比較器、15……警報ブザー、16……最小定格荷重記憶
器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブームの長さを検出するブーム長さ検出器
   と、ブームの起伏角度を検出する起伏角度検出器と、ブ
   ームの吊り上げ荷重を検出する荷重検出器と、これらの
   各検出器の検出値が検出器の故障等により正常な範囲か
   ら逸脱しているか否かを判定する異常判定器と、この異
   常判定器の判定信号により、前記ブーム長さ検出器及び
   起伏角度検出器の何れか一方の検出値が異常と判定され
   た場合で、かつ前記荷重検出器の検出値が前記ブームの
   状態に関係なくクレーンが転倒することのない予め設定
   した荷重を越えた場合、及び前記荷重検出器の検出値が
   異常と判定された場合に、ブーム等の作動を停止し、ま
   た警報を発する信号を出力するようにした演算器とを備
   えたことを特徴とするクレーンの安全装置。