JPH0724394Y2 - ブーム作業車の検出器異常検出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ．考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は、クレーン車、高所作業車等、ブームを備えた
ブーム作業車に関し、さらには、上記ブームの作動状態
を検出するためにそれら作業車に取り付けられる検出器
の異常検出装置に関する。

（従来の技術） 上記のようなブーム作業車では、ブームの自重や先端荷
重等によりそのブームに作用する負荷を算出してブーム
が過負荷状態となるのを防止すべくブームの作動を規制
させたり、ブームを車体上の所定格納位置に自動的に格
納させる制御を行わせたりするために、ブームの作動状
態、即ち、ブームの起伏角、伸長量、旋回位置やブーム
を起伏させるシリンダの軸力等を検出するブーム作動状
態検出器（以下、単に検出器と称する）が取り付けられ
ることが多い。これら検出器は、ブームの各作動量、軸
力に対応する値の検出信号を送出するポテンショメー
タ、ロードセル等が用いられる。

また、上記のような検出器を用いる場合、その検出器が
正常な状態において出力しうる検出値を所定の電圧（ま
たは電流）範囲内に設定し、この所定範囲外の検出値が
出力された場合に当該検出器内において断線、短絡等の
異常が生じたと判定する異常検出器が取り付けられるこ
とがある。なお、このような異常検出器により検出器の
異常が検出された場合にも、安全のためにブーム規制制
御がなされるようになっている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記のように、検出値が所定範囲内か否
かによって正常、異常を判定する異常判定器を用いたの
では、例えば、ポテンショメータにおいて、抵抗体とこ
の抵抗体上をブームの作動に応じて摺動する摺動端子と
の摺動面の摩耗やその摺動面への異物の付着等により検
出値がジャンプしたり大きくふらついたりしても、それ
ら検出値の変動が上記所定範囲内で生じた場合には、当
該検出器の異常が検出されないという問題がある。

また、ブームの起伏角を検出する検出器には、重力によ
り常に垂下される重りを利用した重力式のポテンショメ
ータを採用することが多いのであるが、作業車が傾斜地
面に停止した状態でブームを起伏させたとき、重力式ポ
テンショメータでは、車体に対するブームの起伏角に地
面の傾斜角をも加えた角度を検出してしまう。このた
め、重力式ポテンショメータと上記の異常判定器とを組
み合わせて用いると、例えば、車体に対するブームの起
伏角を大きくとったときに、まだブームの起伏上げ作動
可能な起伏角であるにも拘らず、上記ポテンショメータ
の検出値が上記所定範囲を越えたことによりポテンショ
メータが異常と判定されてブームの作動が規制され、作
業に支障が生ずる場合があるという問題がある。

以上の問題に鑑み、本考案では、検出値が正常な検出値
の範囲内で変動した場合にも検出器を異常と判定でき、
また、傾斜地での作業の場合にも、適正な検出器の異常
検出ができるようにしたブーム作業車の検出器異常検出
装置を提供することを目的としている。

ロ．考案の構成 （課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案の検出器異常検出
装置では、連続性判断手段により、検出器の検出値の時
間変化が連続か否かを判断し、異常判定手段により、連
続性判断器によって上記検出値の時間変化が不連続であ
ると判断されたときに、当該検出器が異常であると判定
するよう構成している。

（作用） このような検出器異常検出装置では、検出器の検出値の
時間変化が連続、例えば、所定の変化率以下の変化であ
るときは、当該検出器は正常であると判断し、上記検出
値の時間変化が不連続、例えば、ポテンショメータでの
検出値のジャンプや大幅なふらつき等、上記所定の変化
率を越える変化であるときは、当該検出器を異常と判定
する。

（実施例） 以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しな
がら説明する。

まず、本考案に係るセンサ異常検出装置を備えた高所作
業車を第１図に示す。この高所作業車１の車体２後部に
は旋回台３が取り付けられており、この旋回台３は図示
しない旋回モータの作動により車体２に対して旋回自在
である。また、旋回台３の上部にはブーム４の基端部が
枢着されている。このブーム４は、基端ブーム4a内に先
端ブーム4bが嵌入されてなり、旋回台３と基端ブーム4b
間に取り付けられた起伏シリンダ５の作動により起伏が
自在であり、また、先端ブーム4bは基端ブーム4aに対し
て図示しない伸縮シリンダの作動により伸縮が自在であ
る。さらに、ブーム４（先端ブーム4b）の先端には作業
バケット６が取り付けられている。作業時には起伏シリ
ンダ５によりブーム３を起立させるとともに伸縮シリン
ダによりブーム４を伸長させる等して、作業バケット６
を所定の高所に運び、作業バケット６に搭乗した作業者
による高所作業が行われる。

次に、上記センサ異常検出装置について説明する。

このセンサ異常検出装置10は、起伏センサ11、伸縮セン
サ12、旋回センサ13、負荷センサ14、連続性判断器15、
検出値レベル判断器16および異常判定器17から構成され
ている。

起伏センサ11、伸長センサ12および旋回センサ13は、そ
れぞれブーム４の起伏角、伸長量および旋回台３の旋回
角（ブーム４の旋回角）を検出するためのものである。
なお、起伏センサ11は、重力により常に垂下される重り
を利用した振り子式等のポテンショメータであり、基端
ブーム4aの側面に取り付けられている。伸長センサ12
は、基端ブーム4aの基端部に取り付けられ、先端ブーム
4bの後端部に取り付けられたワイヤ12aの繰出し、巻取
りによって基端ブーム4aに対する先端ブーム4bの移動量
（伸長量）を検出するリール式等のポテンショメータで
ある。また、旋回センサ13は、旋回台３と車体２間に取
り付けられた回転角度検出用のポテンショメータであ
る。

負荷センサ14は、起伏シリンダ５の下端部と旋回台３と
を枢着する枢着ピンに取り付けられたロードセルであ
り、起伏シリンダ５に作用する軸力を検出する。

これら各センサ11〜14は、それぞれ連続性判断器15、検
出値レベル判断器16に信号ラインを介して繋がる一方、
過負荷防止装置20にも繋がっている。なお、過負荷防止
装置20では、各センサ11〜14からの検出信号により、ブ
ーム４に作用する負荷を算出し、ブーム４が過負荷状態
とならないように、ブーム４の作動の規制制御が行われ
る。

連続性判断器15は、上記各センサ11〜14の検出値の時間
変化が連続か否かを判断する。具体的には、例えば、ブ
ームの各作動の最大速度に対応して、起伏角、伸長量、
旋回角および上記軸力の単位時間あたりの変化率を許容
変化率としてそれぞれ設定しておき、検出値の変化率が
許容変化率以下であれば、当該センサの検出値は“連
続”であると判断する。一方、検出値の変化率が許容変
化率を超えているときは、当該センサの検出値は“不連
続”であると判断する。なお、連続性判断器15は判断結
果を異常判定器17に送出する。

検出値レベル判断器16は、各センサ11〜14の検出値が、
正常状態にある各センサ11〜14の出力可能な検出値の範
囲に対応して設定される所定信号範囲内にあるか否かを
判断する。なお、ここにいう所定信号範囲外の状態と
は、検出値が０または過大となった状態をいい、この検
出値レベル判断器16を設けたのは、連続性判断器15によ
る検出値の連続、不連続判断だけでは、ブーム４の作動
前から生じていた各センサ11〜14における断線や短絡等
の異常を検出できないことから、これに対処するためで
ある。この検出値レベル判断器16における判断結果は異
常判定器17に送出される。

異常判定器17は、連続性判断器15により各センサ11〜14
のうちいずれかの検出値の時間変化が“不連続”である
と判断され、または、検出値レベル判断器16により各セ
ンサ11〜14のうちいずれかの検出値が所定信号範囲外で
あると判断された場合に、当該センサに異常が発生した
ものと判定する。

次に、本センサ異常検出装置の作動について説明する。

まず、ブーム４の作動前から上記各センサ11〜14内に、
もしくはそれらに繋がる配線に断線や短絡が生じている
場合には、上述のように検出値レベル判断器16および異
常判定器17により当該センサの異常が判定される。

各センサ11〜14が、第２図のＡ部に示すようにブーム４
の作動開始当初は正常に検出値を出力していたが、途中
で断線しかかったり、ポテンショメータの摺動端子の摺
動面の摩耗やその摺動面への異物の付着等により、検出
値が同図Ｂ部に示すようにジャンプしたり大きくふらつ
いたりした場合には、当該検出値は連続性判断器14によ
り“不連続”であると判断され、そのセンサの異常が検
出される。逆に、検出値が“連続”であれば、断線、短
絡等により検出値が０か過大とならない限り、異常と判
定されない。これにより、傾斜地での作業においても、
重力式のポテンショメータを用いる起伏センサ11の適正
な異常検出が可能となる。

なお、電源投入時には、第２図において０〜t₁時間に示
したように検出値が急激に立ち上がるが、この間の検出
値の変化については、センサ11〜14の異常検出から除外
する。

また、異常判定器16によりいずれかのセンサが異常と判
定された場合は、その旨の表示が行われたり、過負荷防
止装置20によりブーム４の作動規制が実行され、作業の
安全が確保される。

上記実施例では、検出値レベル判断器16により、ブーム
４作動前からの異常を検出するよう構成したが、負荷セ
ンサ14と他のセンサ11〜13との比較において、一方のセ
ンサの検出値が変化しているのに、他方の検出値が変化
しないことから当初からの異常を検出することもでき
る。

ハ．考案の効果 以上のように、本考案の検出器異常検出装置を用いれ
ば、ブーム作動状態検出器の検出値の時間変化の連続、
不連続により当該検出器の正常、異常を判定するので、
ブームの作動中に断線、短絡により検出値が０または過
大となったときのみならず、正常な検出器が出力しうる
検出値の範囲ないにおける検出値の急激な変動によって
も、確実にその検出器の異常を検出できる。このため、
上記検出器を用いる過負荷防止装置の信頼性を向上させ
ることができるとともに、従来のような傾斜地における
重力式の検出器についての不適性な異常検出を防止し、
ブーム作業車の作業性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る検出器異常検出装置のブロック
図およびこの装置を備えた高所作業車の斜視図、 第２図は、検出器により検出値の変化の一例を示したグ
ラフである。 １……高所作業車、４……ブーム 11……起伏センサ、12……伸縮センサ 13……旋回センサ、14……負荷センサ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブームを備えたブーム作業車に設けられ、
   前記ブームの作動状態を検出可能なブーム状態検出器の
   異常を検出するブーム作業車の検出器異常検出装置であ
   って、 前記ブーム状態検出器の検出値の時間変化が連続か否か
   を判断する連続性判断手段と、 前記連続性判断手段により前記検出値の時間変化が不連
   続であると判断されたときに、前記ブーム状態検出器が
   異常であると判定する異常判定手段とからなるブーム作
   業車の検出器異常検出装置。