JP2007281442A - 光照射装置、光照射方法、結晶化装置、結晶化方法、および半導体デバイス - Google Patents

光照射装置、光照射方法、結晶化装置、結晶化方法、および半導体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 コヒーレンスファクターを比較的大きい値に設定しても所望の光強度分布を生成することができ、ひいては所望形状の結晶粒を生成することのできる結晶化装置。
【解決手段】 入射光を光変調するための光変調素子(1)と、光変調素子を照明するための照明系(2)と、光変調素子と被照射面との間に配置されて、被照射面上に所定の光強度分布を形成するための結像光学系(3)とを備えている。照明系の射出瞳の形状を、光変調素子からの一次回折光が結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光照射装置、光照射方法、結晶化装置、結晶化方法、および半導体デバイスに関し、例えば、所定の光強度分布を有するレーザ光を非単結晶半導体膜に照射して結晶化半導体膜を生成する技術に関する。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal-Display:LCD)の表示画素を選択するスイッチング素子などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)は、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)や多結晶シリコン(poly-Silicon)を用いて形成されている。多結晶シリコンは、非晶質シリコンよりも電子または正孔の移動度が高い。
したがって、多結晶シリコンを用いてトランジスタを形成した場合、非晶質シリコンを用いて形成する場合よりも、スイッチング速度が速くなり、ひいてはディスプレイの応答が速くなる。また、周辺LSIを薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを減らせるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺回路をディスプレイに組み入れる場合に、それらの周辺回路をより高速に動作させることができる。
多結晶シリコンは結晶粒の集合からなるため、例えばTFTトランジスタを形成した場合、チャネル領域に結晶粒界が形成され、この結晶粒界が障壁となり単結晶シリコンに比べると電子または正孔の移動度が低くなる。また、多結晶シリコンを用いて形成された多数の薄膜トランジスタは、チャネル部に形成される結晶粒界数が各薄膜トランジスタ間で夫々異なり、これがバラツキとなって液晶表示装置であれば表示ムラの問題となる。そこで、最近、電子または正孔の移動度を向上させ且つチャネル部における結晶粒界数のバラツキを少なくするために、少なくとも1個のチャネル領域を形成できる大きさの大粒径の結晶化シリコンを生成する結晶化方法が提案されている。
従来、この種の結晶化方法として、単位領域内における位相変調領域の占有面積の率が所定方向に沿って一次元的に変化する位相パターンを有する光変調素子(位相シフター)を用いて、この所定方向に沿って一次元的に変化するV字状の光強度分布を有するレーザ光を、非単結晶半導体膜(多結晶半導体膜または非単結晶半導体膜)に照射し、上記所定方向に沿って結晶成長させることにより結晶化半導体膜を生成する技術が提案されている(たとえば特許文献1および非特許文献1を参照)。
特開2004−343073号公報 Y. Taniguchi, etc.,"A Novel Phase-modulator for ELA-Based Lateral Growth of Si", The Electrochemical Society's 206th Meeting, Thin Film Transistor Technologies VII (Honolulu, Hawaii)
特許文献1および非特許文献1に提案された従来の結晶化技術では、図22(a)に示すように、単位領域内における位相変調領域の占有面積の率が所定方向(図22(a)では水平方向)に沿って一次元的に変化する位相パターンを有する光変調素子101を用いる。光変調素子101を介して変調されたレーザ光は、結像光学系を介してその像面に、一次元的に変化するV字状の光強度分布を生成する。具体的に、光変調素子101の位相変調領域の位相変調量が60度である場合、図22(b)において太い実線で示すV字状の光強度分布102が理論的に生成される。
また、光変調素子101の位相変調領域の位相変調量が180度である場合、図22(b)において太い実線で示すV字状の光強度分布103が理論的に生成され、図22(b)において細い実線で示すV字状の光強度分布104が実際に生成される。こうして、V字状の光強度分布を有するレーザ光を非単結晶半導体膜に照射すると、光強度分布の勾配方向に沿って結晶が成長し、図22(c)に示すように、勾配方向に沿って細長く延びる「針状結晶」105が生成される。
従来の結晶化技術では、コヒーレンスファクターすなわちσ値(照明系の射出側開口数/結像光学系の物体側開口数)を比較的小さい値(たとえば0.5以下)に設定する場合、所望の光強度分布を生成することができる。しかしながら、σ値を比較的大きい値(たとえば0.6以上)に設定すると、光強度を示す等高線に例えば波状のうねりが発生し、所望の光強度分布を生成することができない。この結果、結晶の成長にムラが生じて、所望形状の結晶粒を生成することができず、ひいては作製されたTFTの電気特性にばらつきが発生してしまう。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、コヒーレンスファクターを比較的大きい値に設定しても所望の光強度分布を生成することができ、ひいては所望形状の結晶粒を生成することのできる結晶化装置および結晶化方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置であって、
基本並進ベクトル(a1,a2)で表される周期構造の光変調パターンを有する光変調素子と、
前記光変調素子を光で照明するための照明系と、
前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に前記光変調パターンにより得られる前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系とを具備し、
前記照明系の射出瞳の形状は、前記基本並進ベクトル(a1,a2)から下式で得られる基本逆格子ベクトル(b1,b2)のウィグナー・サイツ・セルと相似形である光照射装置を提供する。
b1=2π(a2×a3)/(a1・(a2×a3))
b2=2π(a3×a1)/(a1・(a2×a3))
ただし、上式において、a3は前記光変調素子の光変調パターンの平面の法線方向の任意の大きさのベクトルであり、「・」はベクトルの内積を、「×」は外積を表している。
本発明の第2形態では、所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置において、
基本並進ベクトル(a1,a2)で表される周期構造の光変調パターンを有する光変調素子と、
前記光変調素子を照明するための照明系と、
前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に前記光変調パターンに対応した前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系とを備え、
前記照明系の射出瞳の形状は、前記基本並進ベクトル(a1,a2)から下式で得られる基本逆格子ベクトル(b1,b2)の方向に対して凸の形状ではない光照射装置を提供する。
b1=2π(a2×a3)/(a1・(a2×a3))
b2=2π(a3×a1)/(a1・(a2×a3))
ただし、上式において、a3は前記光変調素子の光変調パターン面の法線方向の任意の大きさのベクトルであり、「・」はベクトルの内積を、「×」は外積を表している。
本発明の第3形態では、所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置であって、
入射光を光変調して変調光を射出するための光変調素子と、
前記光変調素子を照明するための照明系と、
前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に、前記変調光に対応した前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系と、
前記照明系の射出瞳の形状を、前記光変調素子からの0次回折光を通過させ、一次回折光が前記結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定するための射出瞳形状設定部とを備えている光照射装置を提供する。
本発明の第4形態では、入射光を光変調する光変調素子と、該光変調素子と被照射面との間に配置された結像光学系とを用いて、所定の光強度分布を有する光を前記被照射面に照射する光照射方法であって、
前記光変調素子を照明する照明系の射出瞳の形状を、前記光変調素子からの光の一次回折光成分が前記結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定する光照射方法を提供する。
本発明の第5形態では、第1形態、第2形態または第3形態の光照射装置と、前記被照射面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記被照射面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記被照射面に保持された非単結晶半導体膜の少なくとも一部に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜にする結晶化装置を提供する。
本発明の第6形態では、第1形態、第2形態または第3形態の光照射装置または第4形態〜第6形態の光照射方法を用いて、前記被照射面に保持された非単結晶半導体膜の少なくとも一部に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜にする結晶化方法を提供する。
本発明の第7形態では、第5形態の結晶化装置を用いて製造された半導体デバイスを提供する。
本発明では、照明系の射出瞳の形状を、光変調素子からの一次回折光が結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状(例えばウィグナー・サイツ・セル形)に設定するため、結像光学系の像面に生成される光強度分布において、光強度の等高線に波状のうねりが実質的に発生しない。その結果、本発明の結晶化装置では、σ値(コヒーレンスファクター)を比較的大きい値に設定しても所望の光強度分布を生成することができ、ひいては所望形状の結晶粒を生成することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。図2は、図1の照明系の内部構成を概略的に示す図である。図1および図2を参照すると、本実施形態の結晶化装置は、入射光束を位相変調して所定の光強度分布を有する光束を形成するための位相シフターのような光変調素子1と、光変調素子1を照明するための照明系2と、結像光学系3と、被処理基板4を保持するための基板ステージ5とを備えている。
光変調素子1の構成および作用については後述する。照明系2は、たとえば308nmの波長を有するレーザ光を供給するXeClエキシマレーザ光源2aを備えている。光源2aとして、KrFエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のように、被結晶化処理体を溶融するエネルギー光を出射する性能を有する他の適当な光源を用いることもできる。光源2aから供給されたレーザ光は、ビームエキスパンダ2bを介して拡大された後、第1フライアイレンズ2cに入射する。
こうして、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面には複数の小光源が形成され、これらの複数の小光源からの光束は第1コンデンサー光学系2dを介して、第2フライアイレンズ2eの入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ2eの後側焦点面には、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面よりも多くの複数の小光源が形成される。第2フライアイレンズ2eの後側焦点面に形成された複数の小光源からの光束は、第2コンデンサー光学系2fを介して、光変調素子1を重畳的に照明する。
第1フライアイレンズ2cと第1コンデンサー光学系2dとで、第1ホモジナイザが構成されている。この第1ホモジナイザにより、光源2aから射出されたレーザ光について、光変調素子1上での入射角度に関する均一化が図られる。また、第2フライアイレンズ2eと第2コンデンサー光学系2fとで、第2ホモジナイザが構成されている。この第2ホモジナイザにより、第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について、光変調素子1上での面内各位置での光強度に関する均一化が図られる。
こうして、照明系2は、ほぼ均一な光強度分布を有するレーザ光により光変調素子1を照射する。なお、第2フライアイレンズ2eの射出面の近傍には、第2フライアイレンズ2eからの光束の断面を所定の断面形状に制限するための開口絞り2gが配置されている。すなわち、開口絞り2gは、照明系2の射出瞳の形状を規定し、ひいてはコヒーレンスファクターすなわちσ値(照明系2の射出側開口数/結像光学系3の物体側開口数)を設定する機能を有する。照明系2の射出瞳の形状とは、照明系2の照明瞳を通る光束の外形形状を意味している。
光変調素子1により光変調(位相変調)されたレーザ光は、結像光学系3を介して、被処理基板4に入射する。ここで、結像光学系3は、光変調素子1の位相パターン面と被処理基板4とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被処理基板4の被照射面は、光変調素子1の位相パターン面と光学的に共役な面(結像光学系3の像面)に設定されている。
結像光学系3は、正レンズ群3aと、正レンズ群3bと、これらのレンズ群の間に配置された開口絞り3cとを備えている。開口絞り3cの開口部(光透過部)の大きさ(ひいては結像光学系3の像側開口数)は、被処理基板4の半導体膜上(被照射面上)において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。なお、結像光学系3は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
また、被処理基板4は、基板上に、下層絶縁膜、半導体薄膜、上層絶縁膜の順に成膜することにより構成されている。被処理基板4は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラスの上に、化学気相成長法(CVD)により、下地絶縁膜、非単結晶膜例えば非晶質シリコン膜、およびキャップ膜が順次形成されたものである。下地絶縁膜およびキャップ膜は、絶縁膜例えばSiO2である。下地絶縁膜は、非晶質シリコン膜とガラス基板が直接接触して、ガラス基板中のNaなどの異物が非晶質シリコン膜に混入するのを防止し、非晶質シリコン膜の熱が直接ガラス基板に伝熱されるのを防止する。
非晶質シリコン膜は、結晶化される半導体膜である。キャップ膜は、非晶質シリコン膜に入射する光ビームの一部により加熱され、この加熱された温度を蓄熱する。この蓄熱効果は、光ビームの入射が遮断されたとき、非晶質シリコン膜の被照射面において高温部が相対的に急速に降温するが、この降温勾配を緩和させ、大粒径の横方向の結晶成長を促進させる。被処理基板4は、真空チャックや静電チャックなどにより基板ステージ5上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持されている。
図3は、図1に示す結晶化装置の光変調素子の構成例を概略的に要部を拡大して示す平面図である。光変調素子1は、図3に示すように、面積変調されたパターンがX方向に並べられた位相変調パターンを有する単位領域(参照符号1dで示す範囲の単位領域)が、X方向に密に並べられて、繰り返えされて構成されている。各繰り返し単位領域1dは、図中破線で示すように、縦横に且つ稠密に並んだ正方形状の単位セル1cにより構成されている。単位セル1cは、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)1aと、例えば90度の変調用位相値を有する矩形状の位相変調領域(図中斜線部で示す)1bとを有する。これは、例えば石英ガラスに凹凸パターンで形成される。
単位セル1cに対する位相変調領域1bの占有面積率(デューティ)Dは、X方向に沿って0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域1dの中央における位相変調領域1bの占有面積率Dは50%であり、繰り返し単位領域1dの両側における位相変調領域1bの占有面積率Dは0%であり、その間において位相変調領域1bの占有面積率Dが単調に変化している。ここで、占有面積比率Dは、単位セル1cにおける位相変調領域1bの占有面積の比率と、単位セル1cにおける基準位相領域(位相変調量が0度の位相変調領域)1aの占有面積の比率とのうち、小さい方の値として定義される。単位セル1cは、結像光学系3の点像分布範囲以下の寸法(結像光学系3の像面換算で例えば1μm×1μm)を有する。
このようなデューティ変調型の光変調素子1を透過した0次光により結像光学系3の像面に生成される光強度Iは、以下の式(1)で表される。式(1)において、Dは単位セル1cにおける位相変調領域1bの占有面積率(すなわち0〜0.5)であり、θは位相変調領域1bの位相変調量(例えば90度)であり、Uは結像光学系3の像面での光の複素振幅である。
I=|U|2=(2−2cosθ)D2−(2−2cosθ)D+1 (1)
本実施形態において、位相変調量θは、波面が光の進行方向に飛び出す場合を正と定義している。また、光変調素子1の照明系2側が平面状に形成され、光変調素子1の結像光学系3側が凹凸状に形成されているものとする。式(1)を参照すると、位相変調領域1bの占有面積率Dが増大するにつれて、結像光学系3の像面の対応する位置に生成される光強度Iが減少することがわかる。換言すれば、位相変調領域1bの占有面積率Dの変化形態を適宜設定することにより、結像光学系3の像面に所要の光強度分布を生成することができる。
図4(a)並びに図4(b)は、照明系の射出瞳を円形状に設定し且つσ値を0.5に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図4(a)は、光変調素子を、そして、図4(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。図4(b)では、光変調素子1中の1つの繰り返し単位領域1dに対応して結像光学系3の像面に理論的に生成される光強度分布を、光強度(無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度)の等高線の形態で示している。以下、図5(b)、図15、図18および図20においても、図4(b)と同じ表記を用いている。
図4(b)に示す光強度分布の計算に際して、照明系2の射出瞳の形状(すなわち開口絞り2gの光透過部の形状)を円形状に設定するとともに、光の波長を308nmに、結像光学系3の物体側開口数を0.2に、照明系2の射出側開口数を0.1に、σ値を0.5(0.1/0.2)に設定している。図4(b)の場合、σ値が比較的小さく設定されているので、結像光学系3の像面には、繰り返し単位領域1dの中央に対応する位置から両端に対応する位置に向かってX方向に光強度Iが線形的に変化するほぼ理想的なV字状の光強度分布が生成される。
結晶化装置では、被処理基板4上の光照射領域内において、ほぼ理想的なV字状の光強度分布に応じて溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い領域すなわちV字形の下端、またはその近傍の領域において、最初に凝固する部分または溶融しない部分に結晶核すなわち結晶種が形成される。そして、V字状の光強度分布において光強度が高くなるように変化するX方向に沿って、結晶核から周囲に向かって結晶が横方向に成長することにより、結晶成長にムラのない所望形状の結晶粒が生成される。
図5(a)並びに図5(b)は、照明系の射出瞳を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図5(a)は、光変調素子を、そして、図5(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。図5(b)に示す光強度分布の計算では、図4(b)の場合と同様に、照明系2の射出瞳を円形状に設定するとともに、光の波長を308nmに、結像光学系3の物体側開口数を0.2に設定している。ただし、図4(b)の場合とは異なり、σ値を0.6に設定するために、照明系2の射出側開口数を0.12に設定している。以下、本実施形態において、光の波長が308nmで、結像光学系3の物体側開口数が0.2である点は各例について共通である。
図5(b)の場合、繰り返し単位領域1dの中央に対応する結像光学系3の像面上の領域にはV字状の光強度分布が生成されるが、σ値が比較的大きく設定されているため、光強度の等高線に波状のうねりが発生する。特に、光強度が0.7の等高線および光強度が0.8のいくつかの等高線において、比較的大きな波状のうねりが現れる。この波状のうねりは、σ値が大きくなるのに従って、大きくなることが認識されている。V字状の光強度分布において光強度の等高線にこのような波状のうねりが発生すると、この波状のうねりに起因して結晶の成長にムラが生じ、ひいては所望形状の結晶粒を生成することができない。
すなわち、波状の等高線において光強度0.5の等高線に向かって凹状の底部分では周辺よりも温度が低く、この温度の低い部分が温度の高い周辺よりも先に結晶成長する。その結果、温度の低い部分では本来よりも太い結晶粒が形成され、この結果、全体として太い結晶粒と細い結晶粒とが混在して生成される。太い結晶粒と細い結晶粒とが混在する領域にTFTを作製すると、その電気特性にばらつきが生じてしまう。
上述のように、照明系2の射出瞳が円形状の場合、σ値を比較的大きい値(たとえば0.6以上)に設定すると、所望の光強度分布を生成することができなくなる。一方、結晶化装置では、σ値をできるだけ大きく設定することが好ましい。これは、照明系2においてフライアイレンズ2eは微小レンズ要素を縦横に且つ稠密に配列して構成され、微小レンズ要素の断面の大きさが同じであれば、σ値を大きく設定する方が、より多数の微小レンズ要素を通過した光を利用することができ、より多数の小光源により二次光源が構成されるので、光変調素子1への照明光の光強度分布の均一度が高まるからである。
換言すれば、二次光源を構成する小光源の数が同じである場合、σ値を大きく設定する方が、より大きな微小レンズ要素を用いてフライアイレンズ2eを構成することができるので、フライアイレンズ2eの作製が容易になる。また、光源2aからの光をフライアイレンズ2eへ導く光学系2b〜2dに着目すると、σ値を大きく設定する方がフライアイレンズ2eへの光入射領域が大きくなるので、光利用効率を高めることができる(狭い領域に集光するよりも広い領域に集光する方が光を有効に導くことができる)。
以下、図6を参照して、周期構造を有する物体(図1の光変調素子1に対応)Oにより結像光学系(図1の結像光学系3に対応)の瞳面Pに生成される光分布について説明する。デューティ変調型の光変調素子1のような物体Oの複素振幅透過率をf(r)とすると、複素振幅透過率f(r)も周期関数であるから、下式(2)に示すフーリエ変換の関係にある。
Figure 2007281442
式(2)において、rは物体Oの面内座標ベクトルであり、qを位相勾配ベクトルと呼ぶ。eiqrは、透過率の位相成分(すなわち位相変調量)が物体Oの面内で線形に変化するような成分を表しており、eiqrを位相勾配と呼ぶ。g(q)は、位相勾配eiqrの係数である。ここで、k1の波数ベクトルを持つ平面波が物体Oに入射したときの、位相勾配ベクトルqの寄与を考えると、この平面波に位相勾配が加わり、方向の変わった新たな平面波が生成される。
このとき、平面波に位相勾配が加わって新たな平面波が生成されるには、位相勾配は隣接する単位セル間で等しくなければならない。隣接する単位セル間で位相勾配が等しくない場合、位相が進んだり遅れたりするところが生じることになり、平面波が生成されなくなるからである。隣接する単位セル間で位相勾配が等しくなる条件は、基本並進ベクトル(これは複数ある)をRとすると、次の式(3)を満たすこと、ひいては次の式(4)を満たすことである。
g(q)eiqr=g(q)eiq(r+R) (3)
g(q)=g(q)eiqR (4)
g(q)が0以外の解を持つためには、すべてのRに対してeiqR=1が成立する必要があり、ひいては次の式(5)に示す関係が成立する必要がある。この式(5)を満たす位相勾配ベクトルqは、基本並進ベクトルRの基本逆格子ベクトル(複数存在する)である。
qR=2nπ(nは整数) (5)
次に、1つの位相勾配ベクトルqにより生成される平面波の方向を考える。波数ベクトルk1を持つ平面波により物体Oの直前に生成される光分布I1(r)は、次の式(6)で表わされる。また、物体Oの直後に生成される光分布I2(r)は、光分布I1(r)に位相勾配eiqrをかけて得られ、次の式(7)で表わされる。
1(r)=eik1r (6)
2(r)=I1(r)eiqr=ei(k1+q)r (7)
したがって、光分布I2(r)により生成される波面の波数ベクトルの(物体Oの面内の)方向余弦ベクトルはk1xy+qとなることがわかる。ただし、k1xyは、k1の方向余弦ベクトルである。新たに生成される波面を表す波数ベクトルk2の方向余弦ベクトルk2xyは、次の式(8)で表わされる。
k2xy=k1xy+q (8)
このことから、結像光学系の瞳面Pでの光強度分布は、デューティ変調型の光変調素子1のような物体Oの周期構造の基本並進ベクトルと、照明系の射出瞳の形状とで決定されることが分かる。すなわち、本実施形態における結像光学系3の瞳面Pでの光強度分布は、デューティ変調型の光変調素子1の周期構造の基本並進ベクトルの逆格子により決定される格子点に、照明系2の射出瞳の形状を重ねた分布となる。その様子を図7および図8に示す。
すなわち、図7は、コヒーレント照明の場合に、結像光学系3の瞳面Pでの光強度分布が、光変調素子1の周期構造の基本並進ベクトルRの基本逆格子ベクトルq1,q2により決まる格子構造になることを示している。図8は、部分コヒーレント照明の場合に、結像光学系3の瞳面Pでの光強度分布が、積分の結果として、図7の格子点に照明系2の射出瞳の形状(この場合は円形状)を重ねた分布になることを示している。以下、具体的な例に基づいて、図7および図8に示した点を説明する。
図9は、図4(b)の条件(σ値=0.5)の場合に図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。図10は、図5(b)の条件(σ値=0.6)の場合に図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。まず、デューティ変調型の光変調素子1の面内にx軸およびy軸(図3のX軸およびY軸に対応)を設定し、結像光学系3の光軸をz軸とすると、光変調素子1の周期構造の基本並進ベクトルa1およびa2は、次の式(9a)および式(9b)でそれぞれ表される。
a1=(1.0,0.0,0.0)μm (9a)
a2=(0.0,1.0,0.0)μm (9b)
基本並進ベクトルa1およびa2から得られる基本逆格子ベクトルb1およびb2は、次の式(10a)および式(10b)でそれぞれ定義される。このとき、a3として、z軸に平行な任意の大きさのベクトル、たとえば(0,0,1)を用いればよい。ただし、式(10a)および式(10b)において、「×」はベクトルの外積を、「・」はベクトルの内積を表わす。
b1=2π(a2×a3)/(a1・(a2×a3)) (10a)
b2=2π(a3×a1)/(a1・(a2×a3)) (10b)
式(9a)および式(9b)でそれぞれ表される基本並進ベクトルa1およびa2を、式(10a)および式(10b)に代入すると、基本逆格子ベクトルb1およびb2は、次の式(11a)および式(11b)でそれぞれ表わされる。
b1=2π(1.0,0.0,0.0)μm-1 (11a)
b2=2π(0.0,1.0,0.0)μm-1 (11b)
これらの基本逆格子ベクトルb1およびb2を波数k(=2π/λ;λは光の波長)で割って、x成分とy成分とを抜き出したベクトルb1’およびb2’が、結像光学系3の瞳面での格子構造を決定する。λ=0.308μmであるから、ベクトルb1’およびb2’は、次の式(12a)および式(12b)でそれぞれ表わされる。ただし、式(12a)および式(12b)において、「×」はベクトルの外積ではなく、普通の掛け算を表わしている。
b1’=(1/k)×b1=(0.0,308,0.0) (11a)
b2’=(1/k)×b2=(0.0,0.0,308) (11b)
さらに、部分コヒーレント照明の場合には、結像光学系3の瞳面での光分布パターンは、各格子点を中心として照明系2の射出瞳の形状を重ねた構造となる。図9および図10の光強度分布において、光軸AXを中心とした中央の光束9a,10aは光変調素子1からの0次光に対応し、中央光束9a,10aを包囲する8つの周辺の光束9ba,9bbおよび10ba,10bbは光変調素子1からの一次回折光に対応している。場合によっては、一次回折光による周辺光束9ba,9bbおよび 10ba,10bbの外側に、二次回折光による周辺光束がさらに発生することがある。
具体的に、図9の光強度分布において、中央光束9aのうちハッチングを施した円形部分9aaの半径は、図4(b)の条件における照明系2の射出側開口数に対応して0.1である。8つの周辺光束9ba,9bbのうち、中央光束9aの図中上下および左右にある4つの円形状の周辺光束9baの半径も、中央光束9aの円形部分9aaと同様に0.1である。その他の4つの円形状の周辺光束9bbの半径は、中央光束9aの円形部分9aaの半径0.1よりも小さい半径を有する。
一方、図10の光強度分布において、中央光束10aのうちハッチングを施した円形部分10aaの半径は、図5(b)の条件における照明系2の射出側開口数に対応して0.12である。8つの周辺光束10ba,10bbのうち、中央光束10aの図中上下および左右にある4つの円形状の周辺光束10baの半径も、中央光束10aの円形部分10aaと同様に0.12である。その他の4つの円形状の周辺光束10bbの半径は、中央光束10aの円形部分10aaの半径0.12よりも小さい半径を有する。
中央光束9a(10a)の円形部分9aa(10aa)の中心と、図中左右の周辺光束9ba(10ba)の中心との距離は、基本逆格子ベクトルb1に対応するベクトルb1’のx方向成分に対応して0.308である。中央光束9a(10a)の円形部分9aa(10aa)の中心と、図中上下の周辺光束9ba(10ba)の中心との距離は、基本逆格子ベクトルb2に対応するベクトルb2’のy方向成分に対応して0.308である。中央光束9a(10a)の円形部分9aa(10aa)の光強度(無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度;以下同様)は0.7〜0.8であり、中央光束9a(10a)の周辺部分9ab(10ab)および周辺光束9ba(10ba),9bb(10bb)の光強度は0.1〜0.2である。図9および図10において破線で示す円9c,10cは、光軸を中心とした円で表わされる結像光学系3の開口であって、結像光学系3の物体側開口数に対応して0.2の半径を有する。
図9および図10の計算結果(シミュレーション結果)を参照すると、光変調素子1からの0次光に対応する中央光束9a,10aの円形部分9aa,10aaの周辺に、周辺部分9ab,10abとして表わされた弱い光のにじみが見られる。この弱い光のにじみ9ab,10abは、デューティ変調型の光変調素子1において占有面積率(デューティ比)Dが変化することによる変調成分である。この変調成分が強度勾配を実現するため、この光を結像光学系3の開口9c,10c内(瞳内)に取り込むように、結像光学系3の物体側開口数を決定する必要がある。
次に、図5(b)に示すV字状の光強度分布において光強度の等高線に波状のうねりが発生する原因を説明する。図4(b)の条件(σ値=0.5)の場合に結像光学系3の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を示す図9では、光変調素子1からの一次回折光に対応する周辺光束9ba,9bbの全部が、結像光学系3の開口9cの外側にあり、結像光学系3の瞳内に取り込まれていない。これに対し、図5(b)の条件(σ値=0.6)の場合に結像光学系3の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を示す図10では、光変調素子1からの一次回折光に対応する周辺光束10ba,10bbの一部が、結像光学系3の開口10c内側を通り、結像光学系3の瞳内に取り込まれている。結像光学系3の瞳内に取り込まれた一次回折光成分は、光変調素子1上の位相変調領域のパターン情報である。このため、図5(b)に示す像面上の光強度分布には、光変調素子1上の光変調領域のパターンが現れ、これが光強度の等高線における波状のうねりになる。
以上のことから、照明系2の射出瞳の面積を必要な大きさに保ちつつ、射出瞳の形状を円形状から別の適当な形状に変形して、光変調素子1からの一次回折光に対応する光束の一部が結像光学系3の開口を通過しない(開口と重ならない)ようにすれば、例えば0.6以上のσ値を維持しつつ、光強度の等高線における波状のうねりの発生を実質的に回避することができる。すなわち、光変調素子1を照明する照明系2の射出瞳の形状を、光変調素子1からの一次回折光が結像光学系3の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定すれば、比較的大きなσ値を維持しつつ、光強度の等高線における波状のうねりの発生を実質的に回避することができる。照明系2の射出瞳の面積が不変であれば、光変調素子1への入射光束の光強度を均一化する効果は変わらない。こうして、本発明者は、デューティ変調型の光変調素子の周期構造と照明系の射出瞳の形状との関係に注目し、照明系の射出瞳の形状を光変調素子の周期構造に応じて最適化することにより、比較的大きなσ値に設定しても、波状のうねりのない所望の光強度分布が得られることに想到した。
光変調素子1からの一次回折光に対応する光束の一部が結像光学系3の開口と重ならない条件を満足する一つの解は、照明系2の射出瞳の形状を、基本逆格子ベクトル(b1,b2)の方向に凸の形状にしないことである。すなわち、光変調素子1からの一次回折光に対応する光束の一部が結像光学系3の開口と重ならない条件を満足するには、照明系2の射出瞳の形状は、基本並進ベクトル(a1,a2)から得られる基本逆格子ベクトル(b1,b2)の方向に対して凸の形状ではないことが重要である。この具体的な解にしたがう形状は、基本逆格子ベクトル(b1,b2)のウィグナー・サイツ・セル形である。以下、図11を参照して、ウィグナー・サイツ・セルの生成方法を述べる。なお、図11では、基本並進ベクトルa1とa2とが互いに直交しない一般的な例を示している。
ウィグナー・サイツ・セルを生成するには、先ず、互いに隣り合う格子点(図中黒丸で示す)を結ぶ直線状の線分11aを引く。次いで、各線分11aの中点を通り、当該線分11aに垂直な新しい直線11bを引く。この直線11bで囲まれた最小面積部分として、ウィグナー・サイツ・セル11cが得られる。なお、ウィグナー・サイツ・セルの詳細については、キッテル著、「固体物理学入門(上)」、第7版、丸善出版、p8を参照することができる。
照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形(ウィグナー・サイツ・セルの相似形)にしたときに得られる効果を、図12(a)および図12(b)に示す。図12(a)では、従来技術にしたがって照明系2の射出瞳の形状を円形状に設定しているので、光変調素子1からの一次回折光に対応する円形状の周辺光束12aの一部が、結像光学系3の開口(図中破線で示す)12cの内側を通り、結像光学系3の瞳内に取り込まれる。これに対し、図12(b)では、本発明にしたがって照明系2の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セルと相似形に設定しているので、光変調素子1からの一次回折光に対応するウィグナー・サイツ・セル形(具体的には平行四辺形状)の周辺光束12bの全部が、結像光学系3の開口(図中破線で示す)12cの外側にあり、結像光学系3の瞳内に取り込まれることがない。
すなわち、図12(b)に示す例では、ウィグナー・サイツ・セル形の周辺光束(一次回折光領域)12bの外形が、結像光学系3の円形状の開口12cと対向する部分が平坦であり、円形状の周辺光束12aの場合とは異なり、結像光学系3の円形状の開口12cに向かって凸状に突出していない。こうして、円形状の周辺光束12a(図12(a))とウィグナー・サイツ・セル形の周辺光束12bとは同じ面積であるが、円形状の周辺光束12aの一部が結像光学系3の瞳内に取り込まれるのに対し、ウィグナー・サイツ・セル形の周辺光束12b(図12(b))は結像光学系3の瞳内に全く取り込まれない。
そこで、本実施形態では、σ値を例えば0.6と大きく設定しても、光変調素子1からの一次回折光に対応する光束の一部が結像光学系3の開口を通過しないように、照明系2の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定した。本実施形態では、光変調素子1の基本逆格子ベクトルb1とb2とが互いに直交し且つ互いに同じ大きさを有するため、照明系2の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定することは、照明系2の射出瞳の形状を正方形状に設定することに他ならない。
本実施形態では、照明系2の射出瞳の形状を正方形状に設定するために、図13に示すように、第2フライアイレンズ2e(図13では不図示)の射出面の近傍に配置された開口絞り2g(図13では不図示)の開口部(光透過部)2gaの形状を通常の円形状ではなく正方形状に設定した。図13では、第2フライアイレンズ2eを構成する各微小レンズ要素の矩形状の断面2eaが破線により示している。
第2フライアイレンズ2eを構成する各微小レンズ要素の矩形状の断面2eaの形状並びに大きさは、全て同じにする必要はなく、また、形状は、正方形に限られることはなく、円形以外、例えば、三角形もしくは多角形でもよい。この結果、開口絞り2gの開口部(光透過部)2gaの形状も、光変調素子からの0次回折光を通過させ、一次回折光が前記結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状であれば良く、例えば、三角形もしくは多角形でも良い。
照明系2の射出瞳の形状が円形状の場合、σ値0.6を確保するには、上述したように、照明系2の射出側開口数を0.12に設定する必要がある。このとき、照明系2の射出瞳の円形状の面積はSc=0.045(=3.14×0.12×0.12)になる。そして、照明系2の射出瞳の面積を保つように、射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定すれば、すなわち本実施形態では0.214×0.214(=0.045)の正方形状に設定すれば、σ値0.6相当の射出瞳面積を確保することができる。ここで、σ値0.6相当とは、σ値0.6の円形状の射出瞳と同じ射出瞳面積を持つことを意味する。
図14は、照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。図14の光強度分布において、光軸AXを中心とした中央の光束14aは光変調素子1からの0次光に対応し、中央光束14aを包囲する8つの周辺の光束14ba,14bbは光変調素子1からの一次回折光に対応している。中央光束14aのうちハッチングを施した正方形部分14aaの一辺の長さは、上述した0.214×0.214の正方形状の射出瞳に対応して0.214である。8つの周辺光束14ba,14bbのうち、中央光束14aの図中上下および左右にある4つの正方形状の周辺光束14baの一辺の長さも、中央光束14aの正方形部分14aaと同様に0.214である。その他の4つの正方形状の周辺光束14bbの一辺の長さは、中央光束14aの正方形部分14aaよりも小さい。
中央光束14aの正方形部分14aaの中心と、図中左右の周辺光束14baの中心との距離は、基本逆格子ベクトルb1に対応するベクトルb1’のx方向成分に対応して0.308である。中央光束14aの正方形部分14aaの中心と、図中上下の周辺光束14baの中心との距離は、基本逆格子ベクトルb2に対応するベクトルb2’のy方向成分に対応して0.308である。中央光束14aの正方形部分14aaの光強度は0.7〜0.8であり、中央光束14aの周辺部分14abおよび周辺光束14ba,14bbの光強度は0.1〜0.2である。図14において破線で示す円14cは、光軸を中心とした円で表わされる結像光学系3の開口であって、結像光学系3の物体側開口数に対応して0.2の半径を有する。
図14の計算結果(シミュレーション結果)を参照すると、光変調素子1からの0次光に対応する中央光束14aの正方形部分14aaの周辺に、周辺部分14abとして表わされた弱い光のにじみが見られる。この弱い光のにじみ部分14abは、上述したように、デューティ変調型の光変調素子1において占有面積率(デューティ比)Dが変化することによる変調成分であり、この光が結像光学系3の開口14c内に取り込まれるように、結像光学系3の物体側開口数が決定されている。
図15(a)並びに図15(b)は、照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図15(a)は、光変調素子を、そして、図15(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。本実施形態では、上述したように、照明系2の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形としての正方形に設定しているので、0.6という比較的大きなσ値を確保しているにもかかわらず、光変調素子1からの一次回折光に対応する光束の一部が結像光学系3の開口を通過しない。
したがって、図15(b)に示すように、結像光学系3の像面には、光変調素子1の繰り返し単位領域1dの中央に対応する位置から両端に対応する位置に向かってX方向に光強度が線形的に変化するほぼ理想的なV字状の光強度分布が生成され、光強度の等高線における波状のうねりの発生が実質的に回避される。なお、図15(b)の光強度分布では光強度が0.8の等高線において波状のうねりが現れているが、図5(b)に示す波状のうねりに比して非常に小さいことがわかる。その結果、本実施形態の結晶化装置では、σ値(コヒーレンスファクター)を比較的大きい値に設定しても所望の光強度分布を生成することができ、ひいては所望形状の結晶粒を生成することができる。
上述の実施形態で用いた光変調素子1では、位相パターンの繰り返し単位領域1dの配置方向と単位セル1cに対する位相変調領域1bの占有面積率Dの変化方向とが一致している。以下、位相パターンの繰り返し単位領域の配置方向と単位セルに対する位相変調領域の占有面積率Dの変化方向とが45度をなすような構成を有する光変調素子1Aを用いる変形例について説明する。
図16は、変形例にかかる光変調素子の構成を概略的に示す図である。図16に示す変形例の光変調素子1Aは、X方向に並べられた位相パターンの繰り返し単位領域(参照符号1Adで示す範囲の単位領域)により構成されている。各繰り返し単位領域1Adは、図中破線で示すように、X軸およびY軸に対して45度をなす方向(以下、「45度斜め方向」という)に沿って二次元的に且つ稠密に並んだ正方形状の単位セル1Acにより構成されている。
単位セル1Acは、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)1Aaと、例えば90度の変調用位相値を有する矩形状の位相変調領域(図中斜線部で示す)1Abとを有する。単位セル1Acに対する位相変調領域1Abの占有面積率Dは、45度斜め方向に沿って0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域1Adの中央における位相変調領域1Abの占有面積率Dは50%であり、繰り返し単位領域1Adの両側における位相変調領域1Abの占有面積率Dは0%であり、その間において位相変調領域1Abの占有面積率Dが45度斜め方向に沿って単調に変化している。
図17は、照明系の射出瞳の形状を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図16の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。図17の光強度分布において、光軸AXを中心とした中央の光束17aは光変調素子1Aを通った結像光学系からの0次光に対応し、中央光束17aを包囲する8つの周辺光束は結像光学系からの一次回折光に対応している。中央光束17aのうちハッチングを施した円形部分17aaの半径は、照明系2の射出側開口数に対応して0.12である。8つの周辺光束のうち、中央光束17aに対して45度斜め方向に位置する4つの円形状の周辺光束17bの半径も、中央光束17aの円形部分17aaと同様に0.12である。
中央光束17aの円形部分17aaの中心と周辺光束17bの中心との距離は、上述の実施形態の場合と同様に、光変調素子1Aの基本逆格子ベクトルの方向成分に対応して0.308である。中央光束17aの円形部分17aaの光強度(無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度;以下同様)は0.7〜0.8であり、中央光束17aの周辺部分17abおよび周辺光束17bの光強度は0.1〜0.2である。図17において破線で示す円17cは、光軸を中心とした円で表わされる結像光学系3の開口であって、結像光学系3の物体側開口数に対応して0.2の半径を有する。図17を参照すると、光変調素子1Aからの一次回折光に対応する周辺光束17bの一部が、結像光学系3の開口17cの内側を通り、結像光学系3の瞳内に取り込まれている。
図18は、照明系の射出瞳の形状を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図16の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。図18を参照すると、光変調素子1Aの繰り返し単位領域1Adに対応する結像光学系3の像面上の領域にはV字状の光強度分布が生成されるが、光変調素子1Aからの一次回折光に対応する周辺光束17bの一部が結像光学系3の開口17c内に取り込まれるため、光強度の等高線に波状のうねりが発生している。特に、光強度が0.7の等高線、0.8の等高線、および0.9の等高線において、比較的大きな波状のうねりが現れている。
図19は、照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図16の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。図16の光変調素子1Aを用いる変形例においても、上述の本実施形態の場合と同様に、光変調素子1Aの基本逆格子ベクトルが互いに直交し且つ互いに同じ大きさを有するため、照明系2の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定することは、照明系2の射出瞳の形状を正方形状に設定することに他ならない。
図19の光強度分布において、光軸AXを中心とした中央の光束19aは光変調素子1Aからの0次光に対応し、中央光束19aを包囲する8つの周辺光束は光変調素子1Aからの一次回折光に対応している。中央光束19aのうちハッチングを施した正方形部分19aaの一辺の長さは、上述した0.214×0.214の正方形状の射出瞳に対応して0.214である。8つの周辺光束のうち、中央光束19aに対して45度斜め方向に位置する4つの正方形状の周辺光束19bの一辺の長さも、中央光束19aの正方形部分19aaと同様に0.214である。
また、中央光束19aの正方形部分19aaの中心と周辺光束19bの中心との距離は、上述の実施形態の場合と同様に、光変調素子1Aの基本逆格子ベクトルの方向成分に対応して0.308である。中央光束19aの正方形部分19aaの光強度は0.7〜0.8であり、中央光束19aの周辺部分19abおよび周辺光束19bの光強度は0.1〜0.2である。図19において破線で示す円19cは、光軸を中心とした円で表わされる結像光学系3の開口であって、結像光学系3の物体側開口数に対応して0.2の半径を有する。図19を参照すると、光変調素子1Aからの0次光に対応する中央光束19aの全部が結像光学系3の開口19c内に取り込まれるが、光変調素子1Aからの一次回折光に対応する周辺光束19bは結像光学系3の開口19c内に全く取り込まれないことがわかる。
図20は、照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図16の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。図20を参照すると、光変調素子1Aからの一次回折光に対応する周辺光束19bが結像光学系3の開口19c内に全く取り込まれないため、結像光学系3の像面には、繰り返し単位領域1Adの中央に対応する位置から両端に対応する位置に向かってX方向に光強度が線形的に変化するほぼ理想的なV字状の光強度分布が生成されている。図20の光強度分布では光強度が0.9の等高線において波状のうねりが現れているが、図18に示す波状のうねりに比して非常に小さいことがわかる。
図21(a)〜(e)は、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域に電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。図21(a)に示すように、透明の絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなどにより形成されている)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNと膜厚100nmのSiO2との積層膜などの膜)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi,Ge,SiGeなどの半導体の膜)および不図示のキャップ膜82a(例えば、膜厚30nm〜300nmのSiO2膜など)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板5を準備する。そして、本実施形態にしたがう結晶化装置を用いて、非晶質半導体膜82の表面の予め定められた領域に、レーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。
こうして、図21(b)に示すように、非晶質半導体膜82に大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を生成する。次に、キャップ膜82aをエッチングにより半導体膜84から除去した後、図21(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。さらに、図21(d)に示すように、ゲート絶縁膜上の一部にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)を半導体膜85中にイオン注入する。その後、窒素雰囲気でアニール処理(例えば、450°Cで1時間)を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85中にソース領域91、ドレイン領域92を、チャネル領域90の両側に形成する。次に、図21(e)に示すように、全体をカバーする層間絶縁膜89を成膜し、この層間絶縁膜89およびゲート絶縁膜86にコンタクト穴をあけ、ソース領域91およびドレイン領域92にそれぞれ接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図21(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の平面方向の位置に合わせて、ゲート電極87を形成することにより、チャネル90をゲート電極87の下に形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。こうして製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
上述の説明では、非単結晶半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般的に結像光学系を介して所定の光強度分布を所定面に形成する光照射装置に対して本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。 図1の結晶化装置の照明系の内部構成を概略的に示す図である。 図1に示す結晶化装置の光変調素子の一部の構成を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳を円形状に設定し且つσ値を0.5に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図4(a)は、光変調素子を、そして、図4(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。 照明系の射出瞳を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図5(a)は、光変調素子を、そして、図5(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。 周期構造を有する物体により結像光学系の瞳面に生成される光分布について説明する図であって、この図では、瞳面Pは、側面と平面との両方で示されている。 コヒーレント照明の場合に結像光学系の瞳面での光強度分布が格子構造になることを示す図であって、この図では、瞳面Pは、側面と平面との両方で示されている。 部分コヒーレント照明の場合に結像光学系の瞳面での光強度分布が図7の格子点に照明系の射出瞳の形状を重ねた分布になることを示す図であって、この図では、瞳面Pは、側面と平面との両方で示されている。 図4の条件(σ値=0.5)の場合に図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。 図5の条件(σ値=0.6)の場合に図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。 ウィグナー・サイツ・セルの生成方法を説明する図である。 照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形にしたときに得られる効果を説明する図であって、図12(a)は射出瞳の形状を円形状に設定した場合を、図12(b)は射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定した場合を示している。 照明系中の開口絞りの開口部の形状を、ウィグナー・サイツ・セル形としての正方形状に設定した様子を示す図である。 照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図3の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図3に示す光変調素子と同様の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を説明するための図であり、図15(a)は、光変調素子を、そして、図15(b)は、光強度分布を夫々概略的に示す図である。 変形例にかかる光変調素子の構成を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳の形状を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図16の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳の形状を円形状に設定し且つσ値を0.6に設定したときに図16の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図16の光変調素子を用いて結像光学系の瞳面で得られる光強度分布の計算結果を概略的に示す図である。 照明系の射出瞳の形状をウィグナー・サイツ・セル形に設定し且つσ値を0.6相当に設定したときに図16の光変調素子を用いて被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。 (a)乃至(e)は、本実施形態の結晶化装置を用いて電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。 従来の結晶化技術を概略的に説明する図である。
符号の説明
1 光変調素子
2 照明系
2a 光源
2b ビームエキスパンダ
2c,2e フライアイレンズ
2d,2f コンデンサー光学系
2g 開口絞り
3 結像光学系
4 被処理基板
5 基板ステージ

Claims (8)

  1. 所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置であって、
    基本並進ベクトル(a1,a2)で表される周期構造の光変調パターンを有する光変調素子と、
    前記光変調素子を光で照明するための照明系と、
    前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に前記光変調パターンにより得られる前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系とを具備し、
    前記照明系の射出瞳の形状は、前記基本並進ベクトル(a1,a2)から下式で得られる基本逆格子ベクトル(b1,b2)のウィグナー・サイツ・セルと相似形である光照射装置。
    b1=2π(a2×a3)/(a1・(a2×a3))
    b2=2π(a3×a1)/(a1・(a2×a3))
    ただし、上式において、a3は前記光変調素子の光変調パターンの平面の法線方向の任意の大きさのベクトルであり、「・」はベクトルの内積を、「×」は外積を表している。
  2. 所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置において、
    基本並進ベクトル(a1,a2)で表される周期構造の光変調パターンを有する光変調素子と、
    前記光変調素子を照明するための照明系と、
    前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に前記光変調パターンに対応した前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系とを備え、
    前記照明系の射出瞳の形状は、前記基本並進ベクトル(a1,a2)から下式で得られる基本逆格子ベクトル(b1,b2)の方向に対して凸の形状ではない光照射装置。
    b1=2π(a2×a3)/(a1・(a2×a3))
    b2=2π(a3×a1)/(a1・(a2×a3))
    ただし、上式において、a3は前記光変調素子の光変調パターン面の法線方向の任意の大きさのベクトルであり、「・」はベクトルの内積を、「×」は外積を表している。
  3. 前記基本並進ベクトルa1とa2とは互いに直交している請求項1または2に記載の光照射装置。
  4. 所定の光強度分布を有する光を被照射面に照射する光照射装置であって、
    入射光を光変調して変調光を射出するための光変調素子と、
    前記光変調素子を照明するための照明系と、
    前記光変調素子と前記被照射面との間に配置されて、前記被照射面上に、前記変調光に対応した前記所定の光強度分布を形成するための結像光学系と、
    前記照明系の射出瞳の形状を、前記光変調素子からの0次回折光を通過させ、一次回折光が前記結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定するための射出瞳形状設定部とを備えている光照射装置。
  5. 入射光を光変調する光変調素子と、該光変調素子と被照射面との間に配置された結像光学系とを用いて、所定の光強度分布を有する光を前記被照射面に照射する光照射方法であって、
    前記光変調素子を照明する照明系の射出瞳の形状を、前記光変調素子からの光の一次回折光成分が前記結像光学系の瞳面の開口を実質的に通過しない円形状以外の形状に設定する光照射方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光照射装置と、前記被照射面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記被照射面に保持された非単結晶半導体膜の少なくとも一部に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜にする結晶化装置。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光照射装置または請求項5に記載の光照射方法を用いて、前記被照射面に保持された非単結晶半導体膜の少なくとも一部に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜にする結晶化方法。
  8. 請求項6に記載の結晶化装置を用いて製造された半導体デバイス。
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