以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、図1の照明系の内部構成を概略的に示す図である。図1および図2を参照すると、本実施形態の結晶化装置は、位相変調素子1を照明するための照明系2を備えている。位相変調素子1の構成および作用については後述する。
照明系2は、位相変調素子1に入射する入射光を生成するレーザ光源たとえば非晶質シリコン膜又は多結晶シリコン膜などの非単結晶半導体膜を結晶化するための248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源2aを備えている。なお、光源2aとして、XeClエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のような他の適当な光源を用いることもできる。光源2aから供給されたレーザ光は、ビームエキスパンダ2bを介して拡大された後、第1フライアイレンズ2cに入射する。
第1フライアイレンズ2cの後側焦点面には複数の擬似光源が形成(第1フライアイレンズ2cの後側焦点面に光源2aの像が転写されて擬似光源が規定)される。第1フライアイレンズ2cの後ろ側焦点面すなわち複数の(擬似)光源からの光束は第1コンデンサ光学系2dを介して、第2フライアイレンズ2eの入射面に案内される。その結果、第2フライアイレンズ2eの後側焦点面には、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面よりも多くの複数の擬似光源が形成(第2フライアイレンズ2eの後側焦点面に第1フライアイレンズ2cの像が転写されて擬似光源が規定)される。第2フライアイレンズ2eの後側焦点面に形成された複数の光源からの光束は、第2コンデンサ光学系2fを介して、位相変調素子1に入射される。
第1フライアイレンズ2cおよび第1コンデンサ光学系2dは、光源2aからの照明光に、homogenization効果を与える第1ホモジナイザ(homogenizer すなわち homogenization 機構)を構成する。従って、この第1ホモジナイザにより光源2aから供給されたレーザ光は、面内強度分布が均一化された状態で第2フライアイレンズ2eに入射される。
また、第2フライアイレンズ2eおよび第2コンデンサ光学系2fは第2ホモジナイザを構成し、この第2ホモジナイザにより、第1ホモジナイザにより入射角度が均一化されたレーザ光が、位相変調素子1に実質的に面内強度分布が均一な状態で照射される。このように、第1フライアイレンズ2c、第1コンデンサ光学系2d、第2フライアイレンズ2eおよび第2コンデンサ光学系2fにより、位相変調素子1の全域に入射角度分布が均一で、かつ面内強度分布が均一なレーザ光が照射される。
位相変調素子1で位相変調されたレーザ光は、結像光学系3の出射側に設けられた被処理基板4(所定面すなわち結像光学系3の結像面)に入射される。結像光学系3は、凸レンズ3aと凸レンズ3bと両レンズの間に開口絞り3cを備え、位相変調素子1と被処理基板4(所定面)とを光学的に共役な位置関係に位置させることができる。換言すれば、被処理基板4は、結晶化処理される膜を有するもので、位相変調素子1と光学的に共役な面(結像光学系3の像面)に設定されている。なお、被処理基板4は、真空チャックや静電チャック等により、基板ステージ5上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持されている。
開口絞り3cは、開口部(光透過部)の大きさを任意に設定可能である。なお、開口絞り3cは、例えば開口部の大きさを連続して変化できる虹彩絞り等を用いることができる。また、開口絞り3cは、所定の大きさの開口部が設けられた板状体を複数用意して、任意に光路に設置してもよい。いずれにしても、開口絞り3cの開口部(実質的に、結像光学系3の像側開口数NA)の大きさは、後述するように、被処理基板4の半導体膜上において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。
なお、結像光学系3は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。また、被処理基板4は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラスの上に化学気相成長法(CVD)により下地膜(下層保護膜)および非単結晶半導体膜例えば非晶質シリコン膜が順次形成されたものである。
図3(a)〜(f)は、本発明の基本原理を説明する図である。図1および図2と同一部分には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。一般に、位相変調素子1による結像の光振幅分布U(x,y)は、式(1)
U(x,y)=T(x,y)*ASF(x,y)・・・(1)
で表わされる。なお、式(1)において、T(x,y)は位相変調素子1の複素振幅透過率分布を、*はコンボリューション(たたみ込み積分)を、ASF(x,y)は結像光学系3の点像分布関数をそれぞれ示している。また、点像分布関数とは、結像光学系による点像の振幅分布と定義する。
なお、位相変調素子1の複素振幅透過率分布Tは、振幅が均一であることから、以下に示す式(2)
T=T0eiφ(x,y)・・・(2)
で表わされる。なお、式(2)において、T0は一定の値であり、φ(x,y)は位相分布を示している。
また、結像光学系3が均一円形瞳を有し、且つ収差がない場合、点像分布関数ASF(x,y)に関して、式(3)
ASF(x, y) ∝ 2J1(2π/λ・NA・r)/(2π/λ・NA・r)・・・(3)
ただし、r=(x2+y2)1/2
に示す関係が成立する。なお、式(3)において、J1はベッセル(Bessel)関数を、λは光の波長を、NAは上述したように結像光学系3の像側開口数をそれぞれ示している。
図3(a)に示す結像光学系3の点像分布関数は、被処理基板4の像面3fでの光強度分布であり、図3(b)に示すものである。横軸は、被処理基板4の入射面であり、縦軸は入射光強度である。図3(a)に示す結像光学系3の点像分布関数は、図3(b)に破線で示す直径Rの円筒形3eで近似することができる。すなわち、図3(c)に示す位相変調素子1上の直径R’(図3(b)の直径Rに光学的に対応する値)の円内の複素振幅分布を積分したものが図3(a)に示した像面3f上の複素振幅を決定する。
上述したように、像面3fに結像された結像の光振幅すなわち光強度は、位相変調素子1の複素振幅透過率分布と点像分布関数とのコンボリューションで与えられる。点像分布関数を円筒形3eで近似して考えると、図3(c)に示す円形の点像分布範囲R内で位相変調素子1の複素振幅透過率を均一重みで積分した結果が、像面3fでの複素振幅になり、その絶対値の二乗が光強度となる。なお、結像光学系3での点像分布範囲Rとは、点像分布関数によって描かれた図3(b)の振幅曲線と横軸3iとの交点3j内の範囲をいう。
従って、点像分布範囲R内で位相の変化が少ないほど光強度は大きくなり、逆に位相の変化が大きいほど光強度は小さくなる。この点は、図3(d)に示すように単位円3g内での位相ベクトル3hの和で考えると理解しやすい。像面3fを物体例えば半導体膜とした場合、図3(b)の点像分布関数は、図3(f)に示すような点像分布関数となる。図3(e)は、像面3fの一点を表す図であり、上記の過程によりこの点の光強度が決定される。
図4(a)〜(c)は、点像分布範囲R内での位相の変化と光強度との典型的な関係を示す図である。図4(a)は、4つの領域の位相値がすべて0度の場合を示す図であり、0度方向のそれぞれEの振幅を持つ4つの位相ベクトル4gの和が振幅4Eとなり、その二乗が光強度16Iに対応することになる。
図4(b)は、2つの領域の位相値が0度であり、他の2つの領域の位相値が90度の場合を示す図であり、0度方向の2つの位相ベクトルと90度方向の2つの位相ベクトルとの和が振幅2√2Eに対応し、その二乗が光強度8Iに対応することになる。図4(c)は、位相値が0度の領域と位相値が90度の領域と位相値が180度の領域と位相値が270度の領域の場合を示す図であり、0度方向の位相ベクトル4sと90度方向の位相ベクトル4tと180度方向の位相ベクトル4uと270度方向の位相ベクトル4vとの和のベクトルの振幅は0Eとなり、その二乗が光強度0Iに対応することになる。
図5(a)および(b)は、結像光学系3における瞳関数と点像分布関数との関係を示す図である。一般に、点像分布関数(図5(b))は、瞳関数(図5(a))のフーリエ変換で与えられる。具体的には、結像光学系3が均一円形瞳を有し、且つ収差がない場合、点像分布関数ASF(x,y)は上述の式(3)により表わされる。しかしながら、結像光学系3に収差が存在する場合や、均一円形瞳以外の瞳関数を有する場合はこの限りではない。
均一円形瞳で収差がない場合、点像分布関数が最初に0となるまでの中央領域(すなわちエアリーディスク)の半径R/2は、式(4)
R/2=0.61λ/NA・・・(4)
で表わされることが知られている。
本発明において、点像分布範囲Rとは、図3(b)または図5(b)に示すように点像分布関数F(x)が最初に0となるまでの円形状の中央領域を意味している。図4(a)〜(c)から明らかなように、結像光学系の点像分布範囲Rに光学的に対応する円の中に複数(図4(a)〜(c)では4つ)の位相変調単位が含まれていると、複数の位相ベクトル4gの和により光の振幅を、すなわち光の強度を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。その結果、比較的複雑な光強度分布を比較的容易に得ることができる。
従って、本発明では、光強度を自由に制御するために、位相変調素子1の位相変調単位は、結像光学系3の点像分布範囲R(図3(b)参照)の半径すなわちR/2よりも光学的に小さいことが必要である。換言すれば、結像光学系3の像側における結像光学系の結像面(所定面)に換算して位相変調素子1の位相変調単位に基づく位相分布の大きさは、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも小さいことが必要である。ここで、位相変調単位とは、例えば後述するセル型の場合は、セルの一番短い一辺の大きさであり、ピクセル型の場合は一辺の長さを表す。
以下、本実施形態で用いることのできる位相変調素子1の実施例について説明する。
図6(a)は、位相変調素子1の構成を概略的に示し、図6(b)は、図6(a)に示した位相変調素子の個々のセルの面積占有率の変化を示している。図6(a)を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さいサイズであって矩形状の波線により示した複数のセル21を有する。また、それぞれの位相変調素子1は、斜線を施した第1の位相値φ1を有する第1領域21aと斜線を付加しない空白として示した第2の位相値φ2を有する第2領域21bとを有する。
図6(a)に示すように、各セル21内における位相値φ1(たとえば90度)の第1領域21aと位相値φ2(たとえば0度)の第2領域21bとの占有面積率がセル毎に変化している。換言すれば、位相値φ1の第1領域21aと位相値φ2の第2領域21bとの占有面積率が位置によって変化する位相分布を有する。さらに具体的には、セル内における位相値φ2の第2領域21bの占有面積は、最も左側に示されているセルにおいて最も大きく、最も右側に示されているセルにおいて最も小さく、その間において単調に変化している。従って、図6(a)に示した6つのセルからなる位相変調素子1においては、図6(b)に示すように、個々のセルの位相値の異なる領域の大きさが連続して変化される。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。
以上のように、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さいサイズの位相変調単位(セル)21に基づく位相分布を有する。従って、各位相変調単位21における第1領域21aと第2領域21bと占有面積率を、すなわち2つの位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4(図1参照)上に形成される光強度分布を、所定の演算によって制御することが可能である。第1および第2の位相値φ1、φ2を有する位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを、第1および第2の位相値φ1、φ2が形成されるように選択することにより製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIB(Foucused Ion Beam)により形成することができる。
図7は、位相変調素子1の別の実施の形態を概略的に示す図である。図7を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さい複数の矩形状のピクセル22を有する。これらの複数のピクセル22は、縦横に且つ稠密に配置され、各ピクセル22はそれぞれ一定の位相値を有する。具体的には、斜線を施した第1の位相値φ1(たとえば90度)を有する第1ピクセル22aと、斜線を付加しない空白として示した第2の位相値φ2(たとえば0度)を有する第2ピクセル22bとを有する。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。
図7に示すように、結像光学系3の点像分布範囲R(図3(b)参照)に光学的に対応する単位範囲(破線の円Cで示す)当りの同一位相値のピクセル数が単位範囲毎に変化している。換言すれば、図7に示す位相変調素子1は、図6(a)に示した位相変調素子と同様に、位相値φ1の第1領域としての第1ピクセル22aと位相値φ2の第2領域としての第2ピクセル22bとの占有面積率が位置によって変化する位相分布を有する。
以上のように、図7に示した位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さいサイズの位相変調単位(ピクセル)22に基づく位相分布を有する。従って、結像光学系3の点像分布範囲Rに光学的に対応する位相変調素子1における単位範囲Cにおける第1ピクセル22aと第2ピクセル22bとの占有面積率を、すなわち複数の位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4上に形成される光強度分布を、所定の演算によって制御することが可能である。
図8は、位相変調素子1のさらに別の実施の形態を概略的に示す図である。図8を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rに対応する単位範囲Cの半径よりも光学的に小さい幅を有する複数の細長い三角形状に規定された帯状(短冊状)領域23を有する。これらの複数の帯状(短冊状)領域23は、図示のように稠密配置され、各短冊状領域23はそれぞれ一定の位相値を有する。具体的には、斜線を施した第1の位相値φ1(たとえば90度)を有する第1短冊状領域23aと、斜線を付加しない空白として示した第2の位相値φ2(たとえば0度)を有する第2短冊状領域23bとを有する。
図8に示すように、各短冊状領域23a、23bの幅が長手方向(矢印xで示す)に沿って変化している。換言すれば、位相値φ1の第1領域としての第1短冊状領域23aと位相値φ2の第2領域としての第2短冊状領域23bとの占有面積率が位置によって変化する位相分布を有する。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図8において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを第1および第2の位相値φ1、φ2が形成されるように選択することにより製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
以上のように、図8に示した位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さい幅の位相変調単位(短冊状領域)に基づく位相分布を有する。従って、結像光学系3の点像分布範囲Rに光学的に対応する単位範囲Cにおける第1短冊状領域23aと第2短冊状領域23bとの占有面積率を、すなわち複数の位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4上に形成される光強度分布を所定の演算によって制御することが可能である。
図9(a)は、位相変調素子1のまたさらに別の実施の形態を概略的に示す図である。図9(a)を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲R(図3(b)、図7および図9(a)に「C」で示す)の半径よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターン24を有する。なお、単にラインアンドスペースパターンと呼称する場合、一般に透過領域と非透過領域の組を示すが、本発明では、二種類の異なる位相の繰り返しに対してラインアンドスペースと表記する。
図9(a)においては、斜線を施した各ライン部24aは第1の位相値φ1(たとえば90度)を有し、斜線を付加しない空白として示した各スペース部24bは第2の位相値φ2(たとえば0度)を有し、互いに隣接するライン部24aの幅とスペース部24bの幅との比、すなわち第1の位相値φ1の部分と第2の位相値φ2の部分を一組としてピッチを示すとき、個々のピッチにおいて第1の位相値φ1の占める割合が矢印x方向に沿って変化している。
具体的には、ラインアンドスペースパターン24の中央においてデューティ比(ライン部24aの幅/ピッチ)が0%で、周辺に向かってデューティ比が5%ずつ線形的に増大し、両側ではデューティ比が50%になっている。このように、図9(a)に示した位相変調素子においても前に説明した位相変調素子の実施の形態と同様に、位相値φ1の第1領域としてのライン部24aと位相値φ2の第2領域としてのスペース部24bとの占有面積率が位置によって変化する位相分布を有する。
以上のように、図9(a)に示した位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さい幅の位相変調単位(ライン部またはスペース部)Cに基づく位相分布を有する。従って、結像光学系3の点像分布範囲Rに光学的に対応する単位範囲Cにおけるライン部24aとスペース部24bとの占有面積率を、複数の位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4(図1参照)上に形成される光強度分布を、所定の演算によって制御することが可能である。
具体的には、図9(a)に示したように、長手(矢印x)方向の中央付近を、実質的に第2の位相値φ2とし、矢印x方向の両端部に向けて次第に第1の位相値φ1の領域の比が増えるようにラインアンドスペースパターン24を形成する。この場合、矢印zで示すように用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に位相変調素子1を透過する入射光は、図9(b)に示すように、ラインアンドスペースパターン24の中央に対応する中央位置において最も光強度が大きく、ラインアンドスペースパターン24の両側に対応する両側位置において最も光強度が小さい凸型パターンの光強度分布を呈する。
実際には、ラインアンドスペースパターン24は、矢印方向の両側に沿って繰り返し形成されているので、中央において光強度が最も小さく且つ周辺に向かって一次元的に且つほぼ線形的に光強度が増大するような凹型パターンの光強度分布、すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)パターンの光強度分布が得られる。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを第1および第2の位相値φ1、φ2が形成されるように選択することにより製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。なお、図9(b)に示すような厳密に直線状の光強度分布を得るためには、位相値の異なる領域24aと24bは、前に説明したように、デューティ比(ライン部24aの幅/ピッチ)を線形に増大するのではなく、式(1)に従って求めた非線形に増加するデューティー比(例えば、0%、5%、11%、18%、28%、50%の6ステップ)を用いることが望ましい。
ところで、図9(b)に示したような凹型パターンを有する光強度のレーザ光を被処理基板4に照射した場合、光強度分布の底部(光強度の最も小さい部位)にほぼ対応する被処理基板4上の位置において結晶核が発生することが知られている。すなわち、非晶質から結晶への変化である結晶の成長(大粒径化)は、結晶核から周囲に向かう温度勾配に沿って、進む。被処理基板4に照射されるレーザ光の光強度が閾値α値以下の部分では半導体膜(Si)は融けない(非晶質のまま)か、あるいは表面の一部が溶けるのみでポリシリコンの状態にとどまり(結晶成長せず)、閾値α値を越えたところから結晶成長が開始する。
従って、凹型パターンの光強度分布を採用してできるだけ大粒径の結晶を得るには、凹型パターンの光強度分布の底における光強度の値がこのα値よりもわずかに下回ることが望ましい。換言すれば、大粒径の結晶を得るためのα値は、凹型パターンの光強度分布の底値よりわずかに大きい光強度が望ましい。すなわち、図9(a)に示した位相変調素子1を用いることで、図9(b)に示すように、予め設定した任意の位置において光強度を最も小さくし(光強度分布の底部を作り)、光強度分布の底部から周辺に向かって光強度が増大するようなパターンの光強度分布を用いることで、結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
特に、凹型パターンの中でも周辺に向かって線形状に光強度が増大するようなV字型パターンの光強度分布では周囲に向かう温度勾配も線形状になるので、結晶の成長が途中で停止することなく、さらに大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。また、図9(b)に示したように位相シフタを用いる従来技術とは異なり、余分な凹凸分布の光強度分布が発生しないため、上述したパターンの光強度分布を用いることにより、高い充填率で結晶粒をアレイ状に生成することができる。
なお、上述の図6(a)、図7および図8に示す位相分布を所定方向(占有面積率の変化方向)に沿って繰り返すことにより、図9(b)に示すV字型パターンと類似の凹型パターンの光強度分布24dを一軸方向に限らず、任意の方向に提供できる。その結果、図6(a)、図7および図8に示した位相変調素子を用いても、図9(b)に示したと同様の凹型パターンの光強度分布24dに基づいて結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
なお、図10(a)に示すように、図9(a)に示した位相変調素子を矢印x方向と直交する矢印y方向に、位相値φ2の位置を所定量オフセットさせてマトリクス状とすることで、図10(b)に示すような面方向に凹凸分布が与えられた光強度分布を得ることができる。また、図10(a)に示すようなマトリクスタイプの位相変調素子において、単位となる位相変調素子ブロックの一辺の大きさは、例えば矢印x方向が10μmで、矢印y方向が5μmである。
図11(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図11(a)を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲R(すなわち単位範囲C)の半径R/2よりも光学的に小さい複数の矩形状のピクセル25を有する。これらの複数のピクセル25は、縦横に且つ稠密に配置され、各ピクセル25はそれぞれ一定の位相値を有し、位相値がピクセル25毎に変化している。換言すれば、図11(a)に示す位相変調素子1は、周期的な分割領域構造を有し、各分割領域(ピクセル)25はそれぞれ一定の位相値を有し、位相値が分割領域毎に変化する位相分布を有する。
具体的には、第1の位相値φ1(たとえば90度)を有する第1ピクセル25aと、第2の位相値φ2(たとえば67.5度)を有する第2ピクセル25bと、第3の位相値φ3(たとえば45度)を有する第3ピクセル25cと、第4の位相値φ4(たとえば22.5度)を有する第4ピクセル25dと、第5の位相値φ5(たとえば0度)を有する第5ピクセル25eとを有する。また、第1〜第5ピクセル25a〜25e以外のピクセルは等しい位相値(例えば0度)を有する。すなわち、図11(a)に示した位相変調素子1においては、第5の位相値φ5が与えられた第5のピクセル25e側の領域において位相値の変化量が小さく、第1の位相値φ1が与えられた第1のピクセル25a側の領域において位相値の変化量が大きく、その間において位相値の変化量が単調に変化している。従って、矢印zで示すように用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に位相変調素子1を透過した光の光強度は、図11(b)に示すように、第5のピクセル25e側で第1のピクセル25a側よりも大きくなる。
以上のように、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲R(単位範囲C)の半径R/2よりも光学的に小さいサイズの位相変調単位(ピクセル)25に基づく位相分布を有し、その位相値の分布、すなわち複数の位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4上に形成される光強度分布を所定の演算によって制御することが可能である。この位相変調素子1の製造は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより位相変調素子1を製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
なお、上述の図11(a)に示す位相分布を位相値の変化方向に沿って繰り返すことにより、図9(b)に示すV字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)パターンと類似の光強度分布をアレイ化することができる。その結果、凹型パターンの光強度分布に基づいて結晶を結晶核からの十分なラテラル成長を実現して、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
図12(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図12(a)を参照すると、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲R(単位範囲C)の半径R/2よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターン26を有する。ここで、ラインアンドスペースパターン26の全体に亘って、デューティ比(ライン部の幅/ピッチ)が50%で一定である。しかしながら、斜線を施した各ライン部の位相値がライン部毎に変化している。
すなわち、ラインアンドスペースパターン26の中央においてライン部26aの位相値φ1が最もスペース部の位相に近く、両側のライン部26kの位相値φ11が最もスペース部の位相と異なり、その間でライン部の位相値が単調に変化している。ラインアンドスペースパターン26の各スペース部における位相値は一定である。具体的には、ライン部26aの位相値φ1は0度であり、ライン部26bの位相値φ2は25.9度であり、ライン部26cの位相値φ3は36.9度であり、ライン部26dの位相値φ4は45.6度であり、ライン部26eの位相値φ5は53.2度であり、ライン部26fの位相値φ6は60.0度である。
また、ライン部26gの位相値φ7は66.5度であり、ライン部26hの位相値φ8は72.6度であり、ライン部26iの位相値φ9は78.5度であり、ライン部26jの位相値φ10は84.3度であり、ライン部26kの位相値φ11は90.0度である。一方、各スペース部の位相値はすべて0度である。このように、周期的な分割領域構造を有し、各分割領域(ライン部またはスペース部)はそれぞれ一定の位相値を有し、位相値が分割領域毎に変化する位相分布を有する。
以上のように、位相変調素子1は、結像光学系3の点像分布範囲Rの半径R/2よりも光学的に小さい幅の位相変調単位(ライン部またはスペース部)に基づく位相分布を有する。従って、結像光学系3の点像分布範囲Rよりも光学的に小さい単位範囲におけるライン部の位相値の分布を、複数の位相ベクトルの和を適宜変化させることにより、被処理基板4(図1参照)上に形成される光強度分布を、所定の演算によって制御することが可能である。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図12(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより、容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
また、上述の図12(a)に示す位相分布を所定方向(位相値の変化方向)に沿って繰り返すことにより、図9(b)に示すV字型パターンと類似の図12(b)に示す凹型パターンの光強度分布を得ることができ、結晶粒をアレイ状に生成することができる。その結果、図12(a)に示した凹型パターンの光強度分布に基づいて、結晶の結晶核からの十分なラテラル成長を実現して、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
図13(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の実施の形態を説明する概略図である。図13(a)を参照すると、位相変調素子1は、第1の位相分布を有し且つ位相の変化方向である矢印x方向に沿って延びた第1帯状領域31と、第2の位相分布を有し且つ位相の変化方向である第1帯状領域31と概ね平行に、矢印x方向に沿って延びた第2帯状領域32とを有する。第1帯状領域31と第2帯状領域32とは、位相の変化方向に沿った境界線33を挟んで隣接し、境界線33上の局部領域において第1帯状領域31側の平均位相値と第2帯状領域32側の平均位相値とが実質的に異なっている。なお、図13(a)において矢印31x、32xで示す方向に直線状下り勾配の光強度特性は、例えば図9(a)や図12(a)で示す位相分布により得ることができる。
第1帯状領域31と第2帯状領域32とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成されている。光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線33上の第1局部領域34において、第1帯状領域31側の平均位相値と第2帯状領域32側の平均位相値とが実質的に異なる。一方、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線33上の第2局部領域35において第1帯状領域31側の平均位相値φaveと第2帯状領域32側の平均位相値φaveとがほぼ等しい。平均位相値φaveとは、
φave=arg(∫D Ε(x,y)dxdy)
である。ここで、Dは積分範囲であり、例えば点像分布範囲Rのうち境界線33で仕切られた中心に近い側の範囲である。また、Ε(x,y)は、座標(x,y)における位相を持つ単位ベクトル、「arg」は、ベクトルから位相を得る関数である。
図13(a)に示した位相分布パターンを透過した光は、図13(b)に示すように、境界線33から十分に離れた第1帯状領域31および第2帯状領域32において位相の変化方向に沿って、たとえばV字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布120を呈する。図13(c)に示す境界線33に沿った光強度分布は、境界線33上の第1局部領域34では第1帯状領域31側の平均位相値と第2帯状領域32側の平均位相値とが実質的に異なるので、図3(b)〜(f)により前に説明した通り、第1局部領域34に対応する領域に、光強度の小さい部分となる逆ピークパターン状の光強度の落ち込み121を生起させる。
しかしながら、境界線33上の第2局部領域35では第1帯状領域31側の平均位相値と第2帯状領域32側の平均位相値とがほぼ等しいので、光強度の大きい部分において第2局部領域35による影響はほとんど発生しない。図13(a)に示した位相パターンを有する位相変調素子においては、たとえばV字型(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布120と、この凹型パターンの光強度分布120で局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン121の光強度分布との合成光強度分布、すなわち凹型パターン120と局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン121の光強度分布が得られる。
凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布では、図9(b)を用いて上述したα値が逆ピークパターンの光強度分布121と凹型パターンの光強度分布120との境目付近か、あるいは逆ピークパターンの光強度分布121の内側(光強度の低い方)へ位置されるように設定することが望ましい。光強度がα値となる位置を上述した位置(図13(a)参照)に設定することにより、結晶成長の開始点を逆ピークパターン121を含む凹型パターンの光強度分布120の中心へ極力近づけることができ、その結果、大粒径の結晶粒を生成することが可能になる。
また、逆ピークパターン121の作用により、結晶核の形成位置すなわち結晶生成位置を二次元状の任意の位置に制御することができる。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図13(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1の製造は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより位相変調素子1を製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
また、図13(a)に示した位相パターンを有する位相変調素子においては、2つの領域間の位相差、すなわち境界線33上の第1局部領域34における第1帯状領域31側の平均位相値と第2帯状領域32側の平均位相値との差によって、図13(c)を用いて説明したように、V字型(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)のパターンのうちの最も光強度が小さくなる位置に、逆ピークパターンの光強度分布121が形成される。このとき、第1局部領域は線状であるため、図14に示すように、被処理基板4上に形成される低光強度領域36の端部の角度が鋭角になり、結晶粒37が非常に幅広く生成され易くなる。このことは、平均位相値の異なる境界線を有する位相変調素子において共通である。
図15(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図15(a)を参照すると、位相変調素子1の第1帯状領域31を構成するラインアンドスペースパターンにおいても第2帯状領域32を構成するラインアンドスペースパターンにおいても、その中央においてデューティ比(ライン部の幅/ピッチ)が0%で、左右の周辺方向に向かってデューティ比が5%ずつ線形的に増大し、両側ではデューティ比が50%(合計11ステップ)になっている。なお、図15(a)に示した位相変調素子において、単位となる位相変調素子ブロックの一辺の大きさは、結像面に換算した値で例えば矢印x方向が10μmで、矢印y方向が5μmである。
第1帯状領域31のラインアンドスペースパターンは、斜線を施した各ライン部が第1の位相値φ1(たとえば90度)を有し、斜線を付加しない空白として示した各スペース部が第2の位相値φ2(たとえば0度)を有する。一方、第2帯状領域32のラインアンドスペースパターンは、斜線を施した各ライン部が第3の位相値φ3(たとえば−90度)を有し、斜線を付加しない空白として示した各スペース部が第2の位相値φ2(たとえば0度)を有する位相分布である。すなわち、図15(a)および(b)に示した位相変調素子1は、中央から矢印xに沿って次第に位相値90°の領域の面積が増える第1帯状領域31と中央から矢印xに沿って次第に位相値−90°の領域の面積が増える第2帯状領域32が境界線33に沿って接続された構造を有する。
このように、図15(a)および(b)に示した位相変調素子1においては、第1帯状領域31と第2帯状領域32とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成されている。光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線33上の第1局部領域34において、第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約45度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約−45度)とが実質的に異なる。一方、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線33上の第2局部領域35において第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約0度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約0度)とがほぼ等しい。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図15(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
以上説明した通り、図15(a)および(b)に示した位相変調素子によれば、図13(a)により前に説明した位相変調素子と同様に、境界線33から十分に離れた第1帯状領域31および第2帯状領域32においては位相の変化方向に沿って、図15(b)に示すような凹型パターンの光強度分布が得られる。
図16(a)は、図15(a)に示した位相変調素子において得られる光強度分布を等高線図で示した概略図であり、図16(b)は、図16(a)の線A−Aに沿った光強度分布を、図16(c)は、図16(a)の境界線B−Bに沿った光強度分布をそれぞれ示している。なお、結像光学系3(図3(a)参照)の像側開口数NAを0.13とし、照明シグマ値(照明系の開口数/結像光学系3の物体側開口数)を0.43と設定している。
図16(b)に示す図16(a)の線A−Aに沿った光強度分布と図16(c)に示す境界線33に沿った図16(a)の線B−Bに沿った光強度分布とを比較すると、第1局部領域34に対応する光強度の小さい部分において逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成されていることがわかる。すなわち、図15(a)に示した位相値パターンを有する位相変調素子を用いて被処理基板にレーザ光を照射することにより、結晶化に適した凹型パターンと光強度が閾値αよりも小さな逆ピークパターンの光強度分布が実際に得られていることがわかる。
図17(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図17(a)を参照すると、位相変調素子1の第1帯状領域31を構成するラインアンドスペースパターンにおいても第2帯状領域32を構成するラインアンドスペースパターンにおいても、その全体に亘ってデューティ比(ライン部の幅/ピッチ)が50%(合計11ステップ)で一定である。
第1帯状領域31のラインアンドスペースパターンでは、その中央においてライン部の位相値φ1が最もスペース部の位相に近く、両側のライン部の位相値φ11が最もスペース部の位相と異なり、その間でライン部の位相値が単調に変化している。具体的には、位相値φ1は0度であり、位相値φ2は25.9度であり、位相値φ3は36.9度であり、位相値φ4は45.6度であり、位相値φ5は53.2度であり、位相値φ6は60.0度であり、位相値φ7は66.5度であり、位相値φ8は72.6度であり、位相値φ9は78.5度であり、位相値φ10は84.3度であり、位相値φ11は90.0度である。
一方、第2帯状領域32のラインアンドスペースパターンでは、その中央においてライン部の位相値φ−1が最もスペース部の位相に近く、両側のライン部の位相値φ−11が最もスペース部の位相と異なり、その間でライン部の位相値が単調に変化している。具体的には、位相値φ−1は0度であり、位相値φ−2は−25.9度であり、位相値φ−3は−36.9度であり、位相値φ−4は−45.6度であり、位相値φ−5は−53.2度であり、位相値φ−6は−60.0度であり、位相値φ−7は−66.5度であり、位相値φ−8は−72.6度であり、位相値φ−9は−78.5度であり、位相値φ−10は−84.3度であり、位相値φ−11は−90.0度である。ただし、第1帯状領域31を構成するラインアンドスペースパターンにおいても第2帯状領域32を構成するラインアンドスペースパターンにおいても、各スペース部の位相値はすべて0度である。なお、図17(a)に示した位相変調素子において、単位となる位相変調素子ブロックの一辺の大きさは、結像面に換算した値で例えば矢印x方向が10μmで、矢印y方向が5μmである。
図17(a)および(b)に示した位相変調素子においては、第1帯状領域31と第2帯状領域32とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成されている。この位相変調素子においては、光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線33上の第1局部領域34において、第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約45度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約−45度)とが実質的に異なる。一方、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線33上の第2局部領域35において第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約0度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約0度)とがほぼ等しい。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図17(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1の製造は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより位相変調素子1を製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
以上説明した通り、図17(a)および(b)に示した位相変調素子によれば、図13(a)により前に説明した位相変調素子と同様に、境界線33から十分に離れた第1帯状領域31および第2帯状領域32において位相の変化方向に沿って、図13(b)に示すような凹型パターンの光強度分布が得られる。また、境界線33に沿って、図13(c)に示すように、第1局部領域34に対応する光強度の小さい逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと光強度が閾値αよりも小さな逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図18(a)は、図17(a)に示した位相変調素子において得られる光強度分布を等高線図を、図18(b)は図18(a)の線A−Aに沿った光強度分布を、図18(c)は図18(a)の境界線B−Bに沿った光強度分布をそれぞれ示している。なお、結像光学系3の像側開口数NAを0.13とし、照明シグマ値を0.43と設定している。
図18(b)に示す図18(a)の線A−Aに沿った光強度分布と図18(c)に示す境界線33に沿った図18(a)の線B−Bに沿った光強度分布とを比較すると、第1局部領域34に対応する光強度の小さい部分において逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成されていることがわかる。すなわち、図17(a)に示した位相値パターンを有する位相変調素子を用いて被処理基板にレーザ光を照射することにより、結晶化に適した凹型パターンと光強度が閾値αよりも小さな逆ピークパターンの光強度分布が実際に得られていることがわかる。
図19(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図19(a)を参照すると、位相変調素子1は、所定の位相分布を有し且つ位相の変化方向である矢印x方向に沿って延びた帯状領域41と、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、周囲とは実質的に異なる位相値を有する孤立領域42が設けられている。孤立領域42は、結像光学系3の点像分布範囲Rに光学的に対応する単位範囲Cの半径よりも光学的に小さいサイズで位相差が大の領域である。
図19(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、図19(b)に示すように、位相の変化方向に沿って、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。換言すると、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。
図19(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42を通る矢印x方向の光の光強度は、図19(c)に示すように、(孤立領域42の位相値とその周囲の位相値とが実質的に異なるので、)孤立領域42の作用により孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。
図19(b)に示すV字型光分布パターンを得るための位相変調素子1の位相分布は、例えば図9(a)や図12(a)に示すパターンにすればよい。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図19(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1の製造は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより位相変調素子1を製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
以上説明したように、図19(a)に示した位相変調素子を用いることにより、たとえばV字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布181と、この凹型パターンの光強度分布181で光強度の小さい部分における局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布182との合成光強度分布、すなわち図19(c)に示す凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの合成光強度分布183が得られる。
その結果、結晶成長の開始点を局所的に光強度の小さい部分の光強度分布の中心へ極力近づけて大粒径の結晶粒を生成することが可能になるとともに、結晶生成位置を二次元状の任意の位置に制御することができる。また、局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン182を例えば種結晶位置に位置合わせして結晶化することにより、大粒径のラテラル成長した結晶化を行うこともできる。孤立領域42は、方形状に限らず円形状三角形状など何れでもよい。
図20(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図20(a)を参照すると、位相変調素子1の帯状領域41を構成するラインアンドスペースパターンでは、その中央においてデューティ比(ライン部の幅/ピッチ)が100%で、周辺に向かってデューティ比が5%ずつ線形的に減少し、両側ではデューティ比が50%になっている。
図20(a)に示す位相変調素子は、斜線を施した各ライン部が第1の位相値φ1(たとえば90度)を有し、斜線を付加しない空白として示した各スペース部が第2の位相値φ2(たとえば0度)を有し、孤立領域42が第3の位相値φ3(たとえば225度)を有する。図20(a)から明らかなように、孤立領域42が、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して配置され、周囲とは実質的に異なる位相値を有する。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図20(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図20(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、位相の変化方向に沿って、図20(b)に示すように、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。また、孤立領域42を含む断面に沿って、図20(c)に示すように、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図21(a)は、図20(a)に示した位相変調素子において得られる光強度分布の等高線図を、図21(b)は図21(a)の線A−Aに沿った光強度分布を、図21(c)は図21(a)の線B−Bに沿った光強度分布をそれぞれ示している。なお、結像光学系3の像側開口数NAを0.13とし、照明シグマ値を0.43と設定している。
図21(b)に示す図21(a)の線A−Aに沿った光強度分布と図21(c)に示す孤立領域42を含む断面に沿った図21(a)の線B−Bに沿った光強度分布とを比較すると、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成されていることがわかる。すなわち、図21(a)に示した位相値パターンを有する位相変調素子を用いて被処理基板にレーザ光を照射することにより、結晶化に適した凹型パターンと光強度が閾値αよりも小さな逆ピークパターンの光強度分布が実際に得られていることがわかる。
図22(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図22(a)を参照すると、位相変調素子1の第1帯状領域31を構成するパターンは、斜線を施した矩形状の領域が例えば90度の位相値を有し、斜線を付加しない空白として示した領域が例えば0度の位相値を有する。一方、第2帯状領域32を構成するパターンは、斜線を施した矩形状の領域が例えば−90度の位相値を有し、斜線を付加しない空白として示した領域が例えば0度の位相値を有する。
第1帯状領域31と第2帯状領域32とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成されている。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図22(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを第1および第2の位相値φ1、φ2が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図22(a)に示した位相変調素子においては、光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線33上に定義される第1局部領域34において、第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約45度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約−45度)とが実質的に異なる。一方、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線33上に定義される第2局部領域35において、第1帯状領域31側の平均位相値(たとえば約0度)と第2帯状領域32側の平均位相値(たとえば約0度)とがほぼ等しい。
図22(a)に示した位相変調素子を用いることで、境界線33から矢印y方向に所定距離だけ離れた領域(A−A線に沿う断面)を通過する光の光強度は、図22(b)に示すように、第2局部領域35から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置の光強度を最大値とし、第1局部領域34から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(第2局部領域35から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置で光強度が最大で第1局部領域34から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹パターンの光強度分布が得られる。また、境界線33すなわち第1局部領域34と第2局部領域35を含む断面に沿って通過する光の光強度は、図22(c)に示すように、第2局部領域35に対応する領域において最大値をとり、第1局部領域34に対応する領域において最小値をとる。なお、第1局部領域34に対応する領域においては、局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。すなわち、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図23(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図23(a)を参照すると、位相変調素子1の帯状領域41を構成するパターンは、斜線を施した矩形状の領域が例えば90度の位相値を有し、斜線を付加しない空白として示した領域が例えば0度の位相値を有する。また、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、周囲とは実質的に異なる位相値(例えば225度)を有する孤立領域42が設けられている。図23(a)から明らかなように、孤立領域42が、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して配置され、周囲とは実質的に異なる位相値を有する。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図23(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図23(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、位相の変化方向に沿って、図23(b)に示すように、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。また、孤立領域42を含む断面に沿って、図23(c)に示すように、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図24(a)は、発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図24(a)を参照すると、位相変調素子1の帯状領域41を構成するパターンは、斜線を施したライン部が例えば90度の位相値を有し、斜線を付加しない空白として示したスペース部が例えば0度の位相値を有し、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、周囲とは実質的に異なる位相値(例えば225度)を有する孤立領域42が設けられている。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図24(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図24(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、位相の変化方向に沿って、図24(b)に示すように、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。また、孤立領域42を含む断面に沿って、図24(c)に示すように、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図25(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図25(a)を参照すると、位相変調素子1の帯状領域41を構成するパターンは、斜線を施したライン部の位相値が例えば0度〜90度の間でライン部毎に変化し、斜線を付加しない空白として示したスペース部が例えば0度の位相値を有する。なお、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、周囲とは実質的に異なる位相値(例えば225度)を有する孤立領域42が設けられている。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図25(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを所望の位相値分布が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図25(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、位相の変化方向に沿って、図25(b)に示すように、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。また、孤立領域42を含む断面に沿って、図25(c)に示すように、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
図26(a)は、本発明の位相変調素子のさらにまた別の構成を概略的に示す図である。図26(a)を参照すると、位相変調素子1の帯状領域41を構成するパターンは、斜線を施した短冊状領域の位相値が例えば90度の位相値を有し、斜線を付加しない空白として示した領域が例えば0度の位相値を有し、帯状領域41の作用により形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、周囲とは実質的に異なる位相値(例えば225度)を有する孤立領域42が設けられている。位相変調素子1への入射光は、矢印zで示すように図26(a)において、用紙表面(手前側)から裏面(奥側)方向に透過する。この位相変調素子1は、例えば石英ガラスに厚さを第1および第2の位相値φ1、φ2が形成されるように選択することにより容易に製造することができる。石英ガラスの厚さの変化は、選択エッチングやFIBにより形成することができる。
図26(a)に示した位相変調素子を用いることで、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた領域を通過する光の光強度は、位相の変化方向に沿って、図26(b)に示すように、孤立領域42から矢印y方向に所定の距離だけ離れた位置の光強度を最小値とし、孤立領域42相互間の中間位置付近の光強度を最大値とし、矢印xで示す方向に直線的に下り勾配(孤立領域42の中間位置で光強度が最大で孤立領域42から矢印y方向に所定距離だけ離れた位置に向けて次第に光強度が減少する特性)で変化する。すなわち、V字型の(アルファベットのVと逆さまにしたVが交互に並んだようなジグザグ)形態を有する凹型パターンの光強度分布が得られる。また、孤立領域42を含む断面に沿って、図26(c)に示すように、孤立領域42に対応する光強度の小さい部分において局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターン状の光強度の落ち込みが形成される。その結果、結晶化に適した凹型パターンと局所的に光強度の小さい部分を含む逆ピークパターンの光強度分布を得ることができる。
なお、以上説明した様々な実施の形態においては、位相変調素子1は有限個の位相値をとる場合を示したが、位相値は連続的に変化してもよい。たとえば、今まで述べた実施例における位相変調素子1の段差のついた分布を、任意の方法により補間処理を行い滑らかにした曲面に置き換えても同等の効果が得られる。また、位相変調素子1は、通常の位相シフトマスクの作製技術を用いて、位相値に対応する凹凸形状により実現できる。また、凹凸形状以外に材料の屈折率の分布により実現してもよい。また、液晶素子やマイクロミラーデバイスの様な位相変調量を可変できる位相変調素子1を実現しても良い。
また、上述の実施形態において、光強度分布は設計の段階でも計算できるが、実際の被処理面での光強度分布を観察して確認しておくことが望ましい。そのためには、被処理基板4の被処理面を光学系で拡大し、CCDなどの撮像素子で入力すれば良い。なお、使用光が紫外線の場合は、CCD素子等を含む光学系が感度や光電変換効率の面で制約を受けることがあるため、観察時のみ被処理面に蛍光板を設けて可視光に変換しても良い。また、上述の実施形態では、位相変調素子1について具体的な構成例を例示したが、位相変調素子1の構成については本発明の範囲内において様々な変形例が可能である。
図27(a)〜(e)は、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域(被処理面)に電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。図27(a)に示すように、絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなど)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNおよび膜厚100nmのSiO2積層膜など)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi、Ge、SiGeなど)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板4を準備する。
続いて、図1に示す結晶化装置を用いて、前に説明した様々な形態の位相変調素子1、例えば図10(a)に示す位相変調素子1を介して非晶質半導体膜82の表面の一部もしくは全部例えば予め定められた領域にレーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。従って、図27(b)に示すように、大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84が生成される。次に、図27(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。
さらに、図27(d)に示すように、ゲート絶縁膜上にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)をイオン注入する。その後、図示しないが、窒素雰囲気(例えば、450°Cで1時間)でアニール処理を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85にソース領域91、ドレイン領域92を形成する。次に、図27(e)に示すように、例えば層間絶縁膜89を成膜してコンタクト穴をあけ、チャネル90でつながるソース91およびドレイン92に接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図27(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の位置に合わせて、チャネル90を形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。図27に示した工程により製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
次に、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域を含む基材を表示装置、例えば液晶表示装置に適用した実施形態を説明する。
以下、TFTを備えた表示装置の形成方法について説明する。図28および図29は、表示装置220、例えばアクティブマトリックス型の液晶表示装置を示している。以下、表示装置220を液晶表示装置という。
まず、液晶表示装置220について説明する。液晶表示装置220は、前後一対の透明基体221、222、液晶層223、画素電極224、走査配線225、信号配線226、対向電極227、およびTFT230等を備えている。一対の透明基体221、222としては、例えば一対のガラス板を用いることができる。これら透明基体221、222は、図示しない枠状のシール材を介して接合されている。液晶層223は、一対の透明基体221、222の間のシール材により囲まれた領域に設けられている。
一対の透明基体221、222のうちの一方の透明基体、例えば後側の透明基体222の内面には、行方向および列方向にマトリックス状に設けられた複数の画素電極224と、複数の画素電極224と夫々電気的に接続された複数のTFT230と、複数のTFT230と電気的に接続された走査配線225および信号配線226とが設けられている。走査配線225は、画素電極224の行方向に夫々沿わせて設けられている。これら走査配線225の一端は、後側の透明基体222の一側縁部に設けられた複数の走査配線端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の走査配線端子は夫々走査線駆動回路241に接続されている。
一方、信号配線226は、画素電極24の列方向に夫々沿わせて設けられている。これら信号配線226の一端は、後側の透明基体222の一端縁部に設けられた複数の信号配線226端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の信号配線226端子は、それぞれ、信号線駆動回路242に接続されている。走査線駆動回路241および信号線駆動回路242は夫々液晶コントローラ243に接続されている。液晶コントローラ243は、例えば外部から供給される画像信号および同期信号を受け取り、画素映像信号Vpix、垂直走査制御信号YCT、および水平走査制御信号XCTを発生する。
他方の透明基体である前側の透明基体221の内面には、複数の画素電極224に対向する一枚膜状の透明な対向電極227が設けられている。また、前側の透明基体221の内面には、複数の画素電極224と対向電極227とが互いに対向する複数の画素部に対応させてカラーフィルタを設けるとともに、前記画素部の間の領域に対応させて遮光膜を設けてもよい。一対の透明基体221、222の外側には、図示しない偏光板が設けられている。また、透過型の液晶表示装置220では、後側の透明基体222の後側に図示しない面光源が設けられている。なお、液晶表示装置220は、反射型或いは半透過反射型であってもよい。
以上説明したように、この発明の結晶化装置および結晶化方法では、位相変調素子が結像光学系の点像分布範囲Rの半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有するので、結像光学系の点像分布範囲Rに光学的に対応する単位範囲における複数の単位ベクトルの組み合わせを適宜変化させることにより、形成される光強度分布を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。その結果、本発明では、たとえば中央において光強度が最も小さく且つ周辺に向かって光強度が増大するような凹型パターンの光強度分布に基づいて、結晶の結晶核からの十分なラテラル成長を実現して、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
一例を示すと、位相変調素子と、位相変調素子を照明するための照明系と、位相変調素子と多結晶半導体膜または非晶質半導体膜との間の光路中に配置された結像光学系とを備え、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有し、多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化装置を提供する。この構成では、位相変調素子が結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有するので、結像光学系の点像分布範囲に光学的に対応する単位範囲における複数の単位ベクトルの組み合わせを適宜変化させることにより、形成される光強度分布を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。たとえば中央において光強度が最も小さく且つ周辺に向かって光強度が増大するような凹型パターンの光強度分布に基づいて、結晶を結晶核からのラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
またこの発明によれば、位相変調素子と、位相変調素子を照明するための照明系と、位相変調素子と所定面との間の光路中に配置された結像光学系とを備え、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有し、所定面において所定の光強度分布を形成することを特徴とする装置を提供する。この場合、結晶化装置以外の適当な装置においても、所定面に形成される光強度分布を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。
すなわち、位相変調素子は、第1の位相値を有する第1領域と第2の位相値を有する第2領域との占有面積率が位置によって変化する位相分布を有する。この場合、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい複数のセルを有し、各セル内における第1領域と第2領域との占有面積率がセル毎に変化することが好ましい。あるいは、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい複数のピクセルを有し、各ピクセルはそれぞれ一定の位相値を有し、点像分布範囲に光学的に対応する単位範囲当りの同一位相値のピクセル数が単位範囲毎に変化することが好ましい。あるいは、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい幅を有する複数の短冊状領域を有し、各短冊状領域はそれぞれ一定の位相値を有し、各短冊状領域の幅が長手方向に沿って変化することが好ましい。あるいは、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターンを有し、各ライン部は第1の位相値を有し、各スペース部は第2の位相値を有し、互いに隣接するライン部の幅とスペース部の幅との比が幅方向に沿って変化することが好ましい。また、位相変調素子は、周期的な分割領域構造を有し、各分割領域はそれぞれ一定の位相値を有し、位相値が分割領域毎に変化する位相分布を有する。この場合、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい複数のピクセルを有し、各ピクセルはそれぞれ一定の位相値を有し、位相値がピクセル毎に変化することが好ましい。あるいは、位相変調素子は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターンを有し、位相値がライン部毎に変化することが好ましい。また、位相変調素子は、第1の位相分布を有し且つ位相の変化方向に沿って延びた第1帯状領域と、第2の位相分布を有し且つ位相の変化方向に沿って延びた第2帯状領域とを有し、第1帯状領域と第2帯状領域とは位相の変化方向に沿った境界線を挟んで隣接し、境界線上の局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とが実質的に異なる。
この場合、第1帯状領域と第2帯状領域とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成され、光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線上の第1局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とが実質的に異なり、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線上の第2局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とがほぼ等しいことが好ましい。また、第1帯状領域および第2帯状領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターンを有し、各ライン部は第1の位相値を有し、各スペース部は第2の位相値を有し、互いに隣接するライン部の幅とスペース部の幅との比が幅方向に沿って変化することが好ましい。あるいは、第1帯状領域および第2帯状領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい幅のラインアンドスペースパターンを有し、位相値がライン部毎に変化することが好ましい。また、位相変調素子は、形成される光強度分布の光強度の小さい部分に対応して、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さく且つ周囲とは実質的に異なる位相値を有する孤立領域を備えている。また、第1形態または第2形態では、所定の光強度分布は、第1の光強度を有する中心領域から周辺に向かって光強度が増大する凹型パターンの光強度分布を有することが好ましい。この場合、凹型パターンの光強度分布は、中心領域から周辺に向かって光強度が一次元的に増大する分布を有することが好ましい。また、所定の光強度分布は、凹型パターンの光強度分布の中心領域の近傍において、第1の光強度よりも実質的に小さい第2の光強度を有する第2中心領域から周辺に向かって光強度が急激に増大する逆ピークパターンの光強度分布を有することが好ましい。
さらに本発明は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有する位相変調素子を照明し、位相変調素子と多結晶半導体膜または非晶質半導体膜との間の光路中に配置された結像光学系を介して、多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化方法を提供する。この場合も結晶化装置の場合と同様に、形成される光強度分布を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。その結果、たとえば結晶化に適した所望の凹型パターンの光強度分布に基づいて、結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
またさらに本発明は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい位相変調単位に基づく位相分布を有する位相変調素子を照明し、位相変調素子と所定面との間の光路中に配置された結像光学系を介して、所定面において所定の光強度分布を形成することを特徴とする方法を提供する。この場合、結晶化方法以外の適当な方法においても、所定面に形成される光強度分布を解析的に且つ簡単な計算に従って制御することが可能である。
さらにまた本発明は、所定の大きさの位相変調単位に基づく位相分布を有する位相変調素子であって、第1の位相値を有する第1領域と第2の位相値を有する第2領域との占有面積率が位置によって変化する位相分布を有することを特徴とする位相変調素子を提供する。この位相変調素子を例えば結晶化装置に適用することにより、結晶化に適した所望の凹型パターンの光強度分布を形成することができる。その結果、所望の凹型パターンの光強度分布に基づいて、結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
またさらに本発明は、複数のセルを有し、各セル内における第1領域と第2領域との占有面積率がセル毎に変化することが好ましい。あるいは、複数のピクセルを有し、各ピクセルはそれぞれ一定の位相値を有し、点像分布範囲に光学的に対応する単位範囲当りの同一位相値のピクセル数が単位範囲毎に変化することが好ましい。あるいは、複数の短冊状領域を有し、各短冊状領域はそれぞれ一定の位相値を有し、各短冊状領域の幅が長手方向に沿って変化することが好ましい。あるいは、ラインアンドスペースパターンを有し、各ライン部は第1の位相値を有し、各スペース部は第2の位相値を有し、互いに隣接するライン部の幅とスペース部の幅との比が幅方向に沿って変化することが好ましい。
さらにまた本発明は、所定の大きさの位相変調単位に基づく位相分布を有する位相変調素子であって、周期的な分割領域構造を有し、各分割領域はそれぞれ一定の位相値を有し、位相値が分割領域毎に変化する位相分布を有することを特徴とする位相変調素子を提供する。この場合も、例えば結晶化装置に適用することにより、結晶化に適した所望の凹型パターンの光強度分布を形成することができ、結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
またさらに本発明は、複数のピクセルを有し、各ピクセルはそれぞれ一定の位相値を有し、位相値がピクセル毎に変化する。あるいは、ラインアンドスペースパターンを有し、位相値がライン部毎に変化することが好ましい。
さらにまた本発明は、所定の大きさの位相変調単位に基づく位相分布を有する位相変調素子であって、第1の位相分布を有し且つ位相の変化方向に沿って延びた第1帯状領域と、第2の位相分布を有し且つ位相の変化方向に沿って延びた第2帯状領域とを有し、第1帯状領域と第2帯状領域とは位相の変化方向に沿った境界線を挟んで隣接し、境界線上の局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とが実質的に異なることを特徴とする位相変調素子を提供する。この場合、例えば結晶化装置に適用することにより、結晶化に適した所望の凹型パターン+逆ピークパターンの光強度分布を形成することができ、結晶を結晶核からラテラル成長させることにより、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
また、第1帯状領域と第2帯状領域とは、対応して形成される光強度分布が互いにほぼ同じになるように構成され、光強度分布の光強度の小さい部分に対応する境界線上の第1局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とが実質的に異なり、光強度分布の光強度の大きい部分に対応する境界線上の第2局部領域において第1帯状領域側の平均位相値と第2帯状領域側の平均位相値とがほぼ等しい。また、第1帯状領域および第2帯状領域は、ラインアンドスペースパターンを有し、各ライン部は第1の位相値を有し、各スペース部は第2の位相値を有し、互いに隣接するライン部の幅とスペース部の幅との比が幅方向に沿って変化することが好ましい。あるいは、第1帯状領域および第2帯状領域は、ラインアンドスペースパターンを有し、位相値がライン部毎に変化することが好ましい。
なお、本発明のいずれかの実施の形態の位相変調素子を用いて製造された被処理膜すなわち基材は、結晶の結晶核からのラテラルの所定の大きさに結晶が成長されていることから、その基材を用いて構成される電子デバイスは良好な半導体特性を示す。また、同基材を、例えば液晶表示パネルに用いることで、動作の安定な表示装置が得られる。
なお、この発明は、各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合、組み合わせによる効果が得られる。
1・・・位相変調素子、2・・・照明系、2a・・・光源、2b・・・ビームエキスパンダ、2c・・・第1フライアイレンズ、2d・・・第1コンデンサ光学系、2e・・・第2フライアイレンズ、2f・・・第2コンデンサ光学系、3・・・結像光学系、3a・・・凸レンズ、3b・・・凸レンズ、3c・・・開口絞り、4・・・被処理基板、5・・・基板ステージ、21・・・セル(位相変調単位)、21a・・・(位相値φ1の)第1領域、21b・・・(位相値φ2の)第2領域、22・・・ピクセル、22a・・・(位相値φ1の)第1ピクセル、22b・・・(位相値φ2の)第2ピクセル、23・・・帯状(短冊状)領域、23a・・・(位相値φ1の)第1領域、23b・・・(位相値φ2の)第2領域、24・・・ラインアンドスペースパターン、24a・・・(位相値φ1の)第1領域(ライン部)、24b・・・(位相値φ2の)第2領域(スペース部)、24d・・・凹型パターンの光強度分布、25・・・ピクセル、25a・・・(位相値φ1の)第1ピクセル、25b・・・(位相値φ2の)第2ピクセル、25c・・・(位相値φ3の)第3ピクセル、25d・・・(位相値φ4の)第4ピクセル、25e・・・(位相値φ5の)第5ピクセル、26・・・ラインアンドスペースパターン、26a〜26k・・・(位相値φ1〜φ11の)ライン部、31・・・第1帯状領域、32・・・第2帯状領域、33・・・境界線、34・・・第1局部領域、35・・・第2局部領域、36・・・低光強度領域、37・・・結晶粒、41・・・帯状領域、42・・・孤立領域、80・・・絶縁基板、81・・・下地膜、82・・・非晶質半導体膜、83・・・レーザ光、84・・・単結晶化半導体膜、85・・・半導体膜、86・・・ゲート絶縁膜、87・・・ゲート電極、88・・・不純物イオン、89・・・層間絶縁膜、90・・・チャネル、91・・・ソース領域、92・・・ドレイン領域、93・・・ソース電極、94・・・ドレイン電極、120,181・・・凹型パターンの光強度分布、121,182・・・逆ピークパターンの光強度分布、183・・・合成光強度分布、220・・・液晶表示装置、221,222・・・基材、223・・・液晶層、224・・・画素電極、225・・・走査配線、226・・・信号配線、227・・・対向電極、230・・・TFT、241・・・走査線駆動回路、242・・・信号線駆動回路、243・・・液晶コントローラ