JP2008103692A - 光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイス - Google Patents

光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 光変調素子を交換することなく被照射材料の特性に応じた適切なディップ強度を可変的に実現して、所望の大きさの結晶粒を安定的に形成する結晶化装置。
【解決手段】 180度と実質的に異なる位相差の位相段差の段差線を有し、入射光を位相変調する光変調素子(1)と、位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で光変調素子を照明する照明光学系(2)と、光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を結晶化する所定面に形成する結像光学系(3)とを備えている。照明光学系は、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう第1方向に沿って光変調素子を照明する第1照明光と、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう第2方向に沿って光変調素子を照明する第2照明光とで光変調素子を同時に照明し、第1照明光の光強度と第2照明光の光強度とを実質的に異なる値に設定するための光強度設定機構を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイスに関する。特に、本発明は、所定の光強度分布を有する光を非単結晶半導体膜に照射して結晶化半導体膜を生成する技術に関するものである。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal-Display:LCD)の表示画素を選択するスイッチング素子などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)は、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)や多結晶シリコン(poly-Silicon)を用いて形成されている。
多結晶シリコンは、非晶質シリコンよりも電子または正孔の移動度が高い。したがって、多結晶シリコンを用いてトランジスタを形成した場合、非晶質シリコンを用いて形成する場合よりも、スイッチング速度が速くなり、ひいてはディスプレイの応答が速くなる。また、周辺LSIを薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを減らせるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺回路をディスプレイに組み入れる場合に、それらの周辺回路をより高速に動作させることができる。
多結晶シリコンは結晶粒の集合からなるため、例えばTFTトランジスタを形成した場合、チャネル領域に結晶粒界が形成され、この結晶粒界が障壁となり単結晶シリコンに比べると電子または正孔の移動度が低くなる。また、多結晶シリコンの基板に形成された多数の薄膜トランジスタは、チャネル部に形成される結晶粒界数が各薄膜トランジスタ間で異なり、これがバラツキとなって液晶表示装置であれば表示ムラの問題となる。そこで、最近、電子または正孔の移動度を向上させ且つチャネル部における結晶粒界数のバラツキを少なくするために、少なくとも1個のチャネル領域を形成できる大きさの大粒径の結晶化シリコンを生成する結晶化方法が提案されている。
従来、この種の結晶化方法として、位相シフター(光変調素子)にエキシマレーザ光を照射し、それによるフレネル回折像もしくは結像光学系による結像を非単結晶半導体膜(多結晶半導体膜または非単結晶半導体膜)に照射して結晶化半導体膜を生成する「位相制御ELA(Excimer Laser Annealing)法」が知られている。位相制御ELA法の詳細は、たとえば表面科学Vol.21, No.5, pp.278-287, 2000に開示されている。
位相制御ELA法では、位相シフターの位相シフト部に対応する点において光強度が周辺よりも低い逆ピークパターン(中心において光強度が最も低く周囲に向かって光強度が急激に増大する、例えば、V字型のパターン)の光強度分布を発生させ、この逆ピーク状の光強度分布を有する光を非単結晶半導体膜に照射する。その結果、被照射領域内において光強度分布に応じて溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い点に対応して最初に凝固する部分もしくは溶融しない部分に結晶核が形成され、その結晶核から周囲に向かって結晶が横方向に成長(以降、「ラテラル成長」または「横方向成長」と呼ぶ)することにより大粒径の単結晶粒が生成される。
本出願人は、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子を用いる光照射装置において、位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で光変調素子を照明する方法(以下「斜め照明法」という)を提案している(たとえば特許文献1、特許文献2を参照)。斜め照明法では、例えば0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有する光変調素子を、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう方向に沿う照明光で照明することにより、位相段差により生成される逆ピーク状の光強度分布が左右対称になり、且つデフォーカスによる光強度分布の変化が少なくなる。
特開2006−80490号公報 特開2006−100771号公報
位相制御ELA法では、逆ピーク状の光強度分布(以下、「ディップ」と呼ぶ)において最も低い光強度(以下、「ディップ強度」という)が重要である。これは、ある所定の光強度以下の領域では多結晶シリコン(微結晶の状態)が生成され、所定の光強度以上の領域では横方向成長により大粒径の結晶が得られるからである。この所定の光強度を、「横方向成長開始強度」と呼ぶ。ディップ強度が横方向成長開始強度よりも大きい場合や、ディップ強度が横方向成長開始強度よりもかなり小さい場合には、結晶が分裂したり結晶粒が小さくなったりする。
横方向成長開始強度は概ね数百mJ/cm2であり、これは、被照射材料の材料組成や膜構成により変化する。被照射材料は、例えば、基板、下層絶縁膜、半導体薄膜、および上層絶縁膜から構成される。特に半導体薄膜および上層絶縁膜は一般にCVDやスパッタなどの方法で成膜されるが、その組成や膜厚はばらつくのが一般的である。その結果、横方向成長開始強度は、被照射材料の作製ロットごとに変化する。
従来、ディップ強度の異なる複数の光変調素子を作製し、かつ複数の光変調素子を準備し、被照射材料の各ロットに対して最適なディップ強度を実現する光変調素子を選択的に用いていた。この場合、複数の特性の光変調素子を作製するための工程が必要であった。また、ディップ強度を連続的に調整することができなかった。換言すると、ディップ強度をほぼ連続的に調整するには、数多くの光変調素子を準備する必要があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、複数の特性の異なる光変調素子を準備し、適宜交換することなく被照射材料の特性に応じた適切なディップ強度を可変的に実現して、所望の大きさの結晶粒を安定的に形成することのできる技術を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子と、
前記位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明する照明光学系と、
前記光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を所定面に形成する結像光学系とを備え、
前記照明光学系は、前記位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう第1方向に沿って前記光変調素子を照明する第1照明光と、前記位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう第2方向に沿って前記光変調素子を照明する第2照明光とで前記光変調素子を同時に照明し、前記第1照明光の光強度と前記第2照明光の光強度とを実質的に異なる値に設定するための光強度設定機構を有する光照射装置を提供する。
本発明の第2形態では、第1形態の光照射装置と、前記所定面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置を提供する。
本発明の第3形態では、第1形態の光照射装置を用いて、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化方法を提供する。
本発明の第4形態では、第2形態の結晶化装置または第3形態の結晶化方法を用いて製造されたデバイスを提供する。
本発明の典型的な態様にしたがう結晶化装置では、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう第1方向に沿って光変調素子を照明する第1照明光の光強度と、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう第2方向に沿って光変調素子を照明する第2照明光の光強度との比を変化させることにより、光変調素子を交換することなく被照射材料の特性に応じた適切なディップ強度を可変的に実現することができる。その結果、本発明では、被照射材料の特性に応じた適切なディップ強度に基づいて、所望の大きさの結晶粒を安定的に形成することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。図2は、図1の照明系の内部構成を概略的に示す図である。図1および図2を参照すると、本実施形態の結晶化装置は、入射光束を位相変調して所定の光強度分布を有する光束を形成するための光変調素子1と、光変調素子1を照明するための照明系2と、結像光学系3と、被処理基板4を保持するための基板ステージ5とを備えている。
光変調素子1の構成および作用については後述する。照明系2は、たとえば308nmの波長を有するレーザ光を供給するXeClエキシマレーザ光源2aを備えている。光源2aとして、連続発振するものでも、パルス発振するものでも良く、KrFエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のように被処理基板4を溶融するエネルギー光線を出射する性能を有する他の適当な光源を用いることもできる。光源2aから供給されたレーザ光は、ビームエキスパンダ2bを介して拡大された後、第1フライアイレンズ2cに入射する。
この結果、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面には複数の小光源が形成され、これらの複数の小光源からの光束は第1コンデンサー光学系2dを介して、第2フライアイレンズ2eの入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ2eの後側焦点面には、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面よりも多くの複数の小光源が形成される。第2フライアイレンズ2eの後側焦点面に形成された複数の小光源からの光束は、第2コンデンサー光学系2fを介して、光変調素子1を重畳的に照明する。
第1フライアイレンズ2cと第1コンデンサー光学系2dとで、第1ホモジナイザが構成されている。この第1ホモジナイザにより光源2aから射出されたレーザ光について、光変調素子1上での入射角度に関する均一化が図られる。また、第2フライアイレンズ2eと第2コンデンサー光学系2fとで、第2ホモジナイザが構成されている。この第2ホモジナイザにより第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について、光変調素子1上での面内各位置での光強度に関する均一化が図られる。
第2フライアイレンズ2eの射出面の近傍、すなわち照明光学系2b〜2fの射出瞳に対応する位置またはその近傍の位置には、開口絞り機構2gが設けられている。開口絞り機構2gの構成および作用については後述する。光変調素子1により位相変調されたレーザ光は、結像光学系3を介して、被処理基板4に入射する。ここで、結像光学系3は、光変調素子1の位相パターン面と被処理基板4とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被処理基板4(厳密には被処理基板4の被照射面)は、光変調素子1の位相パターン面と光学的に共役な面(結像光学系3の像面)に設定されている。
結像光学系3は、正レンズ群3aと、正レンズ群3bと、これらのレンズ群の間に配置された開口絞り3cとを備えている。開口絞り3cの開口部(光透過部)の大きさ(ひいては結像光学系3の像側開口数NA)は、被処理基板4の半導体膜上(被照射面)において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。結像光学系3は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
結晶化される被処理基板4は、非単結晶半導体膜だけでも良いし、半導体基板に形成された非単結晶半導体膜の領域であっても良いし、また、支持体にサポートされた非単結晶半導体膜でも良い。以下では、支持体にサポートされている場合について例示的に説明する。被処理基板4は、支持体すなわち基板上に、下層絶縁膜、半導体薄膜、上層絶縁膜の順に成膜することにより構成されている。さらに詳細には、本実施形態では、被処理基板4は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラスの上に、化学気相成長法(CVD)により、下地絶縁膜、非単結晶膜例えば非晶質シリコン膜、およびキャップ膜が順次形成されたものである。下地絶縁膜およびキャップ膜は、絶縁膜、例えばSiO2膜である。下地絶縁膜は、非晶質シリコン膜とガラス基板とが直接接触して、ガラス基板中のNaなどの異物が非晶質シリコン膜に混入するのを防止し、非晶質シリコン膜の熱が直接ガラス基板に伝熱されるのを防止する。
非晶質シリコン膜は、結晶化される半導体膜(非単結晶半導体膜)である。キャップ膜は、非晶質シリコン膜に入射する光ビームの一部により加熱され、この加熱された温度を蓄熱する。この蓄熱効果は、光ビームの入射が遮断されたとき、非晶質シリコン膜の被照射面において高温部が相対的に急速に降温するが、この降温勾配を緩和させ、大粒径の横方向の結晶成長を促進させる。被処理基板4は、真空チャックや静電チャックなどにより基板ステージ5上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持されている。
以下、本実施形態の具体的な説明に先立って、位相制御ELA法ではディップ強度が重要であることを説明する。図3(a)には、ディップ強度が横方向成長開始強度よりもわずかに低い場合に得られる結晶状態が示されている。この場合、まずディップ位置に、微結晶の集まりである多結晶シリコン領域31が生成され、この多結晶シリコン領域31の周辺の微結晶を成長開始点32として、成長開始点32から横方向成長して大粒径の結晶33が得られる。
図3(b)には、ディップ強度が横方向成長開始強度よりも大きい場合に得られる結晶状態が示されている。この場合、多結晶シリコンの領域が生成されないため、多数の成長開始点34から結晶が横方向成長し、ひいては複数の分裂した結晶粒35が形成される。また、ディップ強度が大きい分だけ、ディップにおける光強度勾配すなわち温度勾配が緩やかになるため、結晶35の横方向成長が途中で終了しまい、大きい結晶粒が形成されない確率が高くなる。
図3(c)には、ディップ強度が横方向成長開始強度よりもかなり小さい場合に得られる結晶状態が示されている。この場合、ディップ位置に生成される多結晶シリコン領域36が、図3(a)に示す場合と比較して、大きくなりすぎて、多結晶シリコン領域36の周辺の成長開始点37から横方向成長して得られる結晶粒38が小さくなってしまう。このように、所望の大きさの結晶の上にトランジスタを形成するには、図3(a)に示すように、ディップ強度を横方向成長開始強度よりもわずかに低く設定することが重要である。
一方、前述したように、被処理基板4における横方向成長開始強度は、その作製ロットごとに変化する。そこで、本発明者は、光変調素子を交換することなく被照射材料(被処理基板4)の特性に応じた適切なディップ強度を可変的に実現する手法、すなわち斜め照明法の特徴を利用して照明条件を変化させることにより、光変調素子を交換することなくディップ強度を可変にする手法を見出した。以下、本発明の手法の原理について述べる。
原理の説明を簡単にするために、幾何学的な段差構造からなる位相段差を有する光変調素子を斜め照明する例、具体的には位相段差の位相差(位相角)が40度である光変調素子1A(図5、図6を参照)を斜め照明する例について考える。まず、図4を参照して、本発明において用いる位相の定義を説明する。平面波が入射した光変調素子(位相シフター)1Aの直後の波面を考え、光の進行方向にシフトしている場合その領域を「位相進み」側の領域とし、逆に光源側にシフトしている場合その領域を「位相遅れ」側の領域と定義する。
光変調素子1Aのように位相段差が基板表面の凹凸形状により形成されている場合、その段差の両側において凸の側が位相遅れの側、凹の側が位相進みの側となる。凹凸形状以外の光変調素子に対してもこの定義を同様に適用することができる。また、用いる結像光学系の解像度以下の微細パターンで位相を制御する方法も考えられるが、その場合は像面に形成される位相分布に対して同様の定義を適用すればよい。また、光変調素子の説明において位相値を用いる場合に、その値は位相進みの方向を正とする。例えば、+90度は90度の位相進みを、−90度は90度の位相遅れを意味する。
光変調素子1Aは0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有するので、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう方向に沿う照明(図5で矢印Dで示す)を「正方向斜め照明」と呼び、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう方向に沿う照明(図6を参照)を「逆方向斜め照明」と呼ぶ。ちなみに、本明細書では、光変調素子が180度よりも実質的に大きく360度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有する場合、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう方向に沿う照明を「正方向斜め照明」と称し、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう方向に沿う照明を「逆方向斜め照明」と称する。
光変調素子1Aを斜め照明して得られる光強度分布の計算条件の一例は、以下の通りである。すなわち、光の波長は308nmであり、結像光学系3の物体側開口数は0.15であり、コヒーレンスファクター(照明σ値;照明系2の射出側開口数/結像光学系3の物体側開口数)は0.5であり、結像光学系3の結像倍率は1/5であり、斜め照明角は±0.7度(正の値は正方向斜め照明の角度、負の値は逆方向斜め照明の角度)である。
図5は、光変調素子1Aを正方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。図6は、光変調素子1Aを逆方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。図5および図6において、縦軸は無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度を示し、横軸は被処理基板4上の位置を示している。この表記は、図10、図11、図19、図22、および図23においても同様である。
図5を参照すると、光変調素子1Aを正方向斜め照明することにより、被処理基板4上において位相段差に対応する位置に逆ピーク状(ピーク値が最小の強度)の光強度分布すなわちディップが生成される。特開2006−80490号公報に開示されているように、正方向斜め照明により生成される逆ピーク状の光強度分布は左右(位相遅れ方向と位相進み方向)対称であり、且つデフォーカスによる光強度分布の変化が少ない。一方、図6に示すように、光変調素子1Aを逆方向斜め照明することにより、被処理基板4上において位相段差に対応する位置にピーク状(ピーク値が最大の強度)の光強度分布が生成される。逆方向斜め照明においても正方向斜め照明の場合と同様に、ピーク状の光強度分布は左右対称であり、且つデフォーカスによる光強度分布の変化が少ない。
以下、図7ないし図9を参照して正方向斜め照明において逆ピーク状の光強度分布が生成され、逆方向斜め照明においてピーク状の光強度分布が生成される理由を説明する。図7は、光変調素子1Aを正方向斜め照明したときの位相段差の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A、B、Cで示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。図7を参照すると、正方向斜め照明により、位相段差の直後における光の位相分布では、位相段差に加えて一定の勾配が加わることがわかる。以下、点像分布範囲について説明する。
光変調素子1A上の点P(不図示)に対応する被処理基板4上の点P’(不図示)に着目すると、点P’での光複素振幅分布U(P’)は、次の式(1)に示すように、結像光学系3により決定される点像振幅分布PSF(x,y)と光変調素子1Aの振幅透過率分布T(x,y)とのコンボリューションにより求められる(コヒーレント結像理論での近似)。ここで、(x,y)は、光変調素子1上での座標である。
U(P’)=PSF(x,y)*T(x,y) (1)
点像振幅分布PSF(x,y)を原点(分布の中心)に一番近い0点で打ち切り、その範囲内で値が一定であると近似し、この範囲を「点像分布範囲」と呼ぶ。すなわち、結像光学系3の点像分布範囲とは、点像分布関数において0となる、もしくは0とみなせる線で囲まれた範囲である。一般には、点像分布範囲は、結像光学系3の物体側開口数をNAとし、光の波長をλとした場合、像面上で半径0.61λ/NAの円で表され、光変調素子1上においては結像光学系3の倍率で割った値に比例する円になる。
図8は、光変調素子1Aを正方向斜め照明したときの位相段差から離れた平坦部の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A’、B’、C’で示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。図7と図8とを比較すると、正方向斜め照明では、平坦部よりも位相段差の方が代表点の間での位相差が大きくなっている。従って、光変調素子1Aを正方向斜め照明した場合、被処理基板4上において平坦部に対応する位置よりも位相段差に対応する位置の方が光強度は低くなり、図5に示すような逆ピーク状の光強度分布すなわちディップが生成される。
図9は、光変調素子1Aを逆方向斜め照明したときの位相段差の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A''、B''、C''で示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。図9を参照すると、逆方向斜め照明により、位相段差の直後における光の位相分布では、位相段差を相殺するような一定の勾配が加わることがわかる。光変調素子1Aを逆方向斜め照明したときの位相段差から離れた平坦部の直後における光の位相分布については図示を省略しているが、図8に示す位相分布を左右反転して得られる位相分布になる。従って、光変調素子1Aを逆方向斜め照明した場合、被処理基板4上において位相段差に対応する位置よりも平坦部に対応する位置の方が光強度は低くなり、図6に示すようなピーク状の光強度分布が生成される。
次に、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを同時に行い、正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比または差を変化させることによりディップ強度を調整する本発明の手法について説明する。図10は、正方向斜め照明(矢印D1で示す)と逆方向斜め照明(矢印D2で示す)とを5:1の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。この場合、両照明の入射角は、図に示すようにほぼ等しいことが好ましいが、異なっていても良い。図11は、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:2の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。
図10および図11に示す計算結果を得る際には、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とは互いに非干渉であることを仮定し、光強度比に応じて加算した後に規格化することにより光強度分布を得ている。図5と図10と図11とを比較すると、正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を5:0から5:1を経て5:2へ変化させると、ディップ幅(光強度が最大値である位置でのディップの幅)およびディップの半値幅(光強度が最大値の半分の値である位置でのディップの幅)をほぼ一定に保ちつつ、ディップ強度が約0.87から約0.91を経て約0.93へ増大することがわかる。
このように、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう方向に沿って光変調素子1Aを照明(上述の説明では正方向斜め照明)する照明光の光強度と、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう方向に沿って光変調素子1Aを照明(上述の説明では逆方向斜め照明)する照明光の光強度との比を変化させることにより、被処理基板4の特性に応じた適切なディップ強度を可変的に実現することができる。その結果、被処理基板4の特性に応じた適切なディップ強度に基づいて、所望の大きさの結晶粒を安定的に形成することができる。
図12は、本実施形態において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を変化させるための第1の形態を説明する図である。図12に示す第1の形態では、照明光学系2b〜2f(図12では第2コンデンサー光学系2fのみを図示)の射出瞳に対応する位置またはその近傍の位置に、開口絞り2gaが配置されている。開口絞り2gaには、光軸との交点を通り光変調素子1Aの位相段差の段差線に対応する方向の直線に関して対称な一対の所定の形状、例えば、矩形状の開口部、すなわち第1開口部2ga1および第2開口部2ga2が形成されている。また、第2開口部2ga2の直後には、透過率変調フィルター2gbが配置されている。開口絞り2gaと透過率変調フィルター2gbとは、図2に示す開口絞り機構2gを構成している。透過率変調フィルター2gbとして、余分な光を反射する反射型フィルター、余分な光を吸収する吸収型フィルターなどを用いることができる。
開口絞り2gaの第1開口部2ga1を通過した光は、第2コンデンサー光学系2fを介して、光変調素子1Aを正方向斜め照明する。一方、開口絞り2gaの第2開口部2ga2を通過した光は、透過率変調フィルター2gbの作用により光強度が低減された後、第2コンデンサー光学系2fを介して、光変調素子1Aを逆方向斜め照明する。こうして、図12に示す第1の形態では、透過率変調フィルター2gbを交換または調整することにより、光変調素子1Aを逆方向斜め照明する照明光の光強度だけを所望の値に低減することができ、ひいては光変調素子1Aを正方向斜め照明する照明光の光強度と逆方向斜め照明する照明光の光強度との比を容易に調整する(変化させる)ことができる。
透過率変調フィルター2gbを交換する場合には、透過率の異なる変調フィルター2gbを複数用意しておいて、適宜、適当なものに交換する。この場合には、光変調素子を交換する場合に比べて、フィルターの方がはるかに製造が容易で安価である利点を有する。透過率変調フィルター2gbを調整する場合には、1つのフィルターに透過度の異なる複数の領域を形成しておき、適宜使用する領域を、例えば、フィルターを移動させることにより、入射光に対応させれば良い。また、1つのフィルターに透過度が連続して変化する領域を形成しておき、この領域の一部を適宜選択して使用するようにしても良い。この実施の形態では、透過度が連続して変化する円環状のフィルター領域を有するフィルターを駆動機構2cにより、回動させて、必要な領域または部分を使用している。
上述の第1の形態では、第2開口部2ga2の直後に透過率変調フィルター2gbを配置しているが、可能な場合には第2開口部2ga2の直前に透過率変調フィルター2gbを配置しても良い。また、上述の第1の形態では、開口絞り2gaに矩形状の開口部2ga1、2ga2が形成されているが、これに限定されることなく、開口部2ga1、2ga2の形状および配置などについて様々な変形例が可能である。
また、上述の第1の形態では、一対の開口部2ga1、2ga2の形状および大きさが固定的であるが、これに限定されることなく、第1開口部2ga1および第2開口部2ga2のうちの少なくとも一方の大きさを公知の技術を使用して可変に構成することにより、正方向斜め照明する照明光の光強度と逆方向斜め照明する照明光の光強度との比を調整することができる。この場合、透過率変調フィルター2gbの配置を省略することもできる。
図13は、本実施形態において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を変化させるための第2の形態を説明する図である。図13に示す第2の形態では、光変調素子1Aの直前にウォラストンプリズム2hが配置され、開口絞り2g’(図12の開口絞り2gaと同じ位置に配置された通常の開口絞り)の後側に光軸を中心として、駆動機構20aにより回転可能な1/2波長板2jが配置され、ビームエキスパンダ2bと第1フライアイレンズ2cとの間に直線偏光器2kが配置されている。ウォラストンプリズム2hは、入射光の偏光方向により異なる方向へ光を射出する偏光プリズムである。以下、図14を参照して、ウォラストンプリズム2hの構成および作用について説明する。
図14を参照すると、ウォラストンプリズム2hは、頂角がθの一対の直角プリズム2haと2hbとを平行平面状の形態に貼り合わせることにより構成されている。ウォラストンプリズム2hに対して光軸に沿って垂直入射した光線Liは、光軸に対して角度αをなす第1方向に沿って射出される正常光線Loと、光軸に対して角度αをなし且つ第1方向に対して角度2αをなす第2方向に沿って射出される異常光線Leとに分離される。ウォラストンプリズム2hの分離角αは、以下の式(2)で近似される。式(2)において、θは直角プリズムの頂角であり、neは異常光線の屈折率であり、noは正常光線の屈折率である。
Figure 2008103692
矢印Feで示す方向に偏光する直線偏光の光がウォラストンプリズム2hに入射した場合、正常光線Loは発生することなく、異常光線Leだけが発生する。一方、矢印Feで示す方向と直交する方向、すなわち矢印Foで示す方向に偏光する直線偏光の光がウォラストンプリズム2hに入射した場合、異常光線Leは発生することなく、正常光線Loだけが発生する。一般に、矢印Feで示す方向に対して角度φをなす方向(参照符号Fiで示す方向)に偏光する直線偏光の光がウォラストンプリズム2hに入射した場合、異常光線Leの光強度:正常光線Loの光強度は、cos2φ:sin2φとなる。
図13に示す第2の形態では、光源2aから射出された光が、ビームエキスパンダ2bを介して拡大された後、直線偏光器2kにより直線偏光の光に変換される。直線偏光器2kを経た直線偏光の光は、第1フライアイレンズ2c、第1コンデンサー光学系2d(不図示)、および第2フライアイレンズ2e(不図示)を介して、開口絞り2g’に入射する。開口絞り2g’を通過した直線偏光の光は、光軸を中心として回転可能な1/2波長板2jにより所要の方向に偏光する直線偏光の光となり、第2コンデンサー光学系2f(不図示)を介して、ウォラストンプリズム2hに入射する。
こうして、ウォラストンプリズム2hから射出された異常光線Leは光変調素子1Aを正方向斜め照明し、ウォラストンプリズム2hから射出された正常光線Loは光変調素子1Aを逆方向斜め照明する。このとき、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とは光の偏光方向が互いに直交するため、干渉することなく互いに独立した光源と考えることができる。図13に示す第2の形態では、1/2波長板2jを介してウォラストンプリズム2hに入射する光の偏光方向を変化させることにより、光変調素子1Aを正方向斜め照明する照明光の光強度に対する逆方向斜め照明する照明光の光強度の比tan2φを容易に調整する(変化させる)ことができる。
[数値実施例]
数値実施例にしたがって、本実施形態の効果を検証する。数値実施例では、図15に示す基本パターンを有する光変調素子1Bを用いている。光変調素子1Bの基本パターンにおいて、矩形状の位相値0度の領域1aを挟んで上下に配置された矩形状の位相値+40度の領域1bと矩形状の位相値−40度の領域1cとのX方向に沿った中心間距離は0.5μmである。X1の行に並ぶ5つの+40度の領域1b、X2の行に並ぶ5つの−40度の領域1c、X3の行に並ぶ5つの+40度の領域1b、X4の行に並ぶ5つの−40度の領域1cのY方向寸法は1μmである。なお、ここに示す寸法は、結像光学系の倍率を考慮して像面に換算した値である。
X5の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1b、X6の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1c、X7の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1b、X8の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1c、X9の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1b、X10の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向に沿った中心間距離はそれぞれ1μmである。
具体的に、X1の行に並ぶ5つの+40度の領域1bのX方向寸法X+は、図中左側から順に、0.6μm、0.458μm、0.35μm、0.276μm、0.24μmである。X2の行に並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向寸法X+は、図中左側から順に、0.228μm、0.261μm、0.312μm、0.385μm、0.475μmである。X3の行に並ぶ5つの+40度の領域1bのX方向寸法X+は、図中左側から順に、0.35μm、0.312μm、0.274μm、0.245μm、0.216μmである。
X4の行に並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向寸法X+は、図中左側から順に、0.209μm、0.224μm、0.238μm、0.257μm、0.276μmである。X5の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1bのX方向寸法X+は0.253μmであり、Y方向寸法Y+は0.8μmである。X6の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向寸法X+は0.28μmであり、Y方向寸法Y+は0.6μmである。
X7の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1bのX方向寸法X+およびY方向寸法Y+はともに0.366μmである。X8の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向寸法X+およびY方向寸法Y+はともに0.316μmである。X9の行に間隔を隔てて並ぶ5つの+40度の領域1bのX方向寸法X+およびY方向寸法Y+はともに0.257μmである。X10の行に間隔を隔てて並ぶ5つの−40度の領域1cのX方向寸法X+およびY方向寸法Y+はともに0.182μmである。
上述の説明ではX1の行に並ぶ5つの+40度の領域1bよりも図中下側の位相変調領域に着目しているが、光変調素子1Bの基本パターンは、位相変調領域はX1の行に並ぶ5つの+40度の領域1bの中央をY方向に横断する中心線に関して対称な構成を有する。光変調素子1Bでは、図15に示すような基本パターンが、X方向およびY方向に沿って二次元的に、あるいはY方向に沿って一次元的に繰り返し多数形成されている。図16では、紙面に限りがあるため、光変調素子1Bを構成する多数の基本パターンのうち、Y方向に沿って一次元的に繰り返し形成された一対の基本パターンだけを示している。
図16において、破線の楕円41で示す領域は位相遅れの領域であり、破線の楕円42で示す領域は位相進みの領域であり、位相遅れの領域41と位相進みの領域42との間でX方向に延びる破線の直線43は位相段差の段差線である。光変調素子1Bを用いる場合、被処理基板4上において位相段差に対応する位置に逆ピーク状の光強度分布すなわちディップが生成され、ディップからX方向に沿って結晶成長のための光強度勾配が生成される。なお、光変調素子1Bのさらに詳細な構成については、特開2006−100771号公報を参照することができる。
このように、光変調素子1Aの位相段差が幾何学的な段差構造により形成されているのに対し、光変調素子1Bの位相段差は結像光学系3の点像分布範囲での位相変調量のベクトル的平均値の差により形成されている。結像光学系3の点像分布範囲での位相変調量のベクトル的平均値すなわち平均位相値Pavは、次の式(3)で定義される。なお、式(3)において、argは位相値を得る関数であり、x,yは光変調素子上の座標であり、θ(x,y)は光変調素子上の点(x,y)での位相であり、積分は点像分布範囲の内側で行われる。
Figure 2008103692
数値実施例では、図13に示す第2の形態にしたがって、光変調素子1Bを正方向斜め照明する照明光の光強度に対する逆方向斜め照明する照明光の光強度の比を調整している。また、数値実施例において、光の波長は308nmであり、結像光学系3の物体側開口数は0.15であり、コヒーレンスファクター(照明σ値;照明系2の射出側開口数/結像光学系3の物体側開口数)は0.5であり、結像光学系3の結像倍率は1/5であり、正方向斜め照明の角度は+0.71度であり、逆方向斜め照明の角度は−0.71度である。
ちなみに、ウォラストンプリズム2hを水晶により形成する場合、斜め照明角α=0.71度を実現するには、水晶の屈折率ne=1.612、no=1.602を式(2)に代入することにより、頂角θ=32°の直角プリズムを用いてウォラストンプリズム2hを形成すればよいことがわかる。また、光変調素子1Bにおいて、式(3)によって得られる位相遅れの領域41の位相値は−10度であり、位相進みの領域42の位相値は+10度である。
図17は、数値実施例において光変調素子1Bを正方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。図18は、数値実施例において光変調素子1Bを逆方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。図17および図18では、無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度の等高線で光強度分布を表している。この表記は、図20および図21においても同様である。また、図19は、図17の線A−Aに沿った光強度分布を示す図である。数値実施例では、ウォラストンプリズム2hに入射する光の偏光方向の角度φを0度に設定することにより正方向斜め照明を実現し、角度φを90度に設定することにより逆方向斜め照明が実現している。
図20は、数値実施例において正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:1の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。図21は、数値実施例において正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:2の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。また、図22は図20の線B−Bに沿った光強度分布を示す図であり、図23は図21の線C−Cに沿った光強度分布を示す図である。
数値実施例では、ウォラストンプリズム2hに入射する光の偏光方向の角度φを24.1度に設定することにより、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:1(cos2φ=0.833:sin2φ=0.167)の光強度比に設定している。また、ウォラストンプリズム2hに入射する光の偏光方向の角度φを32.3度に設定することにより、正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:2(cos2φ=0.715:sin2φ=0.285)の光強度比に設定している。
図17、図19、および図20ないし図23を参照すると、数値実施例において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を5:0から5:1を経て5:2へ変化させても、ディップ幅(光強度が最大値である位置でのディップの幅)およびディップの半値幅(光強度が最大値の半分の値である位置でのディップの幅)をほぼ一定に保ちつつ、左右対称なディップ(逆ピーク状の光強度分布)がY方向に沿って間隔を隔てて形成されることが確認された。また、数値実施例において光強度比を変化させても、ディップからX方向に沿った結晶成長のための光強度勾配もほとんど変化しないことが確認された。
特に、図19と図22と図23とを比較すると、数値実施例において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を5:0から5:1を経て5:2へ変化させると、ディップ幅およびディップの半値幅をほぼ一定に保ちつつ、ディップ強度が約0.58から約0.61を経て約0.63へ増大することがわかる。なお、図示を省略したが、結像光学系3のフォーカス位置から被処理基板4を±5μm程度デフォーカスさせても、光強度分布がほとんど変化しないことが確認された。
図24は、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域に電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。図24(a)に示すように、透明の絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなど)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNおよび膜厚100nmのSiO2積層膜など)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi,Ge,SiGeなどの半導体の膜)および不図示のキャップ膜82a(例えば、膜厚30nm〜300nmのSiO2膜など)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板5を準備する。そして、本実施形態にしたがう結晶化装置を用いて、非晶質半導体膜82の表面の予め定められた領域に、レーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。
こうして、図24(b)に示すように、大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84が生成される。次に、キャップ膜82aをエッチングにより半導体膜84から除去した後、図24(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。さらに、図24(d)に示すように、ゲート絶縁膜上にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)をイオン注入する。その後、窒素雰囲気でアニール処理(例えば、450°Cで1時間)を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85にソース領域91、ドレイン領域92を形成する。次に、図24(e)に示すように、層間絶縁膜89を成膜してコンタクト穴をあけ、チャネル90でつながるソース91およびドレイン92に接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図24(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の位置に合わせて、即ち、結晶粒内にチャネル90を形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。こうして製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
上述の説明では、非単結晶半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般的に結像光学系を介して所定の光強度分布を所定面に形成する光照射装置に対して本発明を適用することができる。
本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。 図1の結晶化装置の照明系の内部構成を概略的に示す図である。 (a)はディップ強度が横方向成長開始強度よりもわずかに低い場合に得られる結晶状態を、(b)はディップ強度が横方向成長開始強度よりも大きい場合に得られる結晶状態を、(c)はディップ強度が横方向成長開始強度よりもかなり小さい場合に得られる結晶状態を夫々示す図である。 本発明において用いる位相の定義を説明する図である。 図1の結晶化装置の光変調素子と、この光変調素子を正方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 光変調素子と、この光変調素子を逆方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 光変調素子と、この光変調素子を正方向斜め照明したときの位相段差の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A、B、Cで示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。 光変調素子と、この光変調素子を正方向斜め照明したときの位相段差から離れた平坦部の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A’、B’、C’で示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。 光変調素子と、この光変調素子を逆方向斜め照明したときの位相段差の直後における光の位相分布を表すとともに、点像分布範囲内の代表点として参照符号A''、B''、C''で示す点での複素振幅をベクトル表示した図である。 正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:1の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:2の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 本実施形態において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を変化させるための第1の形態を説明する図である。 本実施形態において正方向斜め照明の光強度と逆方向斜め照明の光強度との比を変化させるための第2の形態を説明する図である。 図13に示す装置で使用されているウォラストンプリズムの構成および作用を説明する図である。 本発明の装置並びに方法で使用され得る、数値実施例で用いられた光変調素子の基本パターンを概略的に示す図である。 図15に示す光変調素子において一対の基本パターンがY方向に並んで形成されている様子を示す図である。 図15に示す光変調素子を正方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 図15に示す光変調素子を逆方向斜め照明して得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 図17の線A−Aに沿った光強度分布を示す図である。 数値実施例において正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:1の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 数値実施例において正方向斜め照明と逆方向斜め照明とを5:2の光強度比で同時に行ったときに得られる光強度分布の計算結果を示す図である。 図20の線B−Bに沿った光強度分布を示す図である。 図21の線C−Cに沿った光強度分布を示す図である。 (a)乃至(e)は、本実施形態の結晶化装置を用いて電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。
符号の説明
1,1A,1B 光変調素子
2 照明系
2a 光源
2b ビームエキスパンダ
2c,2e フライアイレンズ
2d,2f コンデンサー光学系
2g 開口絞り機構
2ga,2g’ 開口絞り
2gb 透過率変調フィルター
2h ウォラストンプリズム
2j 1/2波長板
2k 直線偏光器
3 結像光学系
3c 開口絞り
4 被処理基板
5 基板ステージ

Claims (16)

  1. 180度と実質的に異なる位相差の位相段差の段差線を有し、入射光を位相変調する光変調素子と、
    前記位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明する照明光学系と、
    前記光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を結晶化する所定面に形成する結像光学系とを備え、
    前記照明光学系は、前記位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう第1方向に沿って前記光変調素子を照明する第1照明光と、前記位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう第2方向に沿って前記光変調素子を照明する第2照明光とで前記光変調素子を同時に照明し、前記第1照明光の光強度と前記第2照明光の光強度とを実質的に異なる値に設定するための光強度設定機構を有する光照射装置。
  2. 前記光強度設定機構は、前記第1照明光の光強度と前記第2照明光の光強度との比を可変的に設定するための光強度比可変ユニットを有する請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記光強度比可変ユニットは、前記光変調素子の近傍に配置されて入射光の偏光方向により異なる方向へ光を射出する偏光プリズムと、該偏光プリズムよりも光源側に設けられて前記偏光プリズムへの入射光の偏光方向を調整するための偏光調整部材とを有する請求項2に記載の光照射装置。
  4. 前記偏光プリズムは、ウォラストンプリズムである請求項3に記載の光照射装置。
  5. 前記偏光調整部材は、前記照明光学系の光軸を中心として回転可能な波長板を有する請求項3または4に記載の光照射装置。
  6. 前記光強度比可変ユニットは、前記照明光学系の射出瞳に対応する位置またはその近傍の位置に設けられて、前記第1照明光の光強度および前記第2照明光の光強度のうちの少なくとも一方の光強度を調整する光強度変調部材を有する請求項2に記載の光照射装置。
  7. 前記光強度変調部材は、前記第1照明光を通過させるための第1開口部と、前記第2照明光を通過させるための第2開口部と、前記第1開口部および前記第2開口部のうちの少なくとも一方の前側または後側に配置された透過率変調部材とを有する請求項6に記載の光照射装置。
  8. 前記光強度変調部材は、前記第1照明光を通過させるための第1開口部と、前記第2照明光を通過させるための第2開口部とを有し、前記第1開口部および前記第2開口部のうちの少なくとも一方の大きさが可変に構成されている請求項6に記載の光照射装置。
  9. 前記光変調素子は、0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、
    前記光強度設定機構は、前記第1照明光の光強度を前記第2照明光の光強度よりも実質的に大きく設定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光照射装置。
  10. 前記光変調素子は、180度よりも実質的に大きく360度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、
    前記光強度設定機構は、前記第2照明光の光強度を前記第1照明光の光強度よりも実質的に大きく設定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光照射装置。
  11. 前記光変調素子は、前記位相段差の段差線の方向に沿って強度が変化する光強度分布を形成するための位相変調パターンを有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光照射装置。
  12. 前記位相段差は、前記結像光学系の点像分布範囲での位相変調量のベクトル的平均値の差により形成されている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光照射装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光照射装置と、前記所定面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光照射装置を用いて、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化方法。
  15. 請求項13に記載の結晶化装置を用いて製造されたデバイス。
  16. 請求項14に記載の結晶化方法を用いて製造されたデバイス。
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