JP2005317938A - 結晶化装置、結晶化方法、デバイス、光変調素子、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶化半導体を生成することのできる結晶化装置。
【解決手段】 入射する第1光束の位相を変調して得られたV字型の第1光強度分布の光束を非単結晶半導体(5)上に形成するための第1光変調素子(1)と、入射する第2光束の位相を変調して得られた第2光強度分布の光束を非単結晶半導体上に形成するための第2光変調素子(2)と、第1光変調素子に第1光束を入射させ、V字型の第1光強度分布に対応して非単結晶半導体上に形成されるV字型の温度分布の高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償するために、第1光変調素子への第1光束の入射開始から所定時間だけ遅れて第2光変調素子に第2光束を入射させるための照明系(3)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 入射する第1光束の位相を変調して得られたV字型の第1光強度分布の光束を非単結晶半導体(5)上に形成するための第1光変調素子(1)と、入射する第2光束の位相を変調して得られた第2光強度分布の光束を非単結晶半導体上に形成するための第2光変調素子(2)と、第1光変調素子に第1光束を入射させ、V字型の第1光強度分布に対応して非単結晶半導体上に形成されるV字型の温度分布の高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償するために、第1光変調素子への第1光束の入射開始から所定時間だけ遅れて第2光変調素子に第2光束を入射させるための照明系(3)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、結晶化装置、結晶化方法、デバイス、および光変調素子に関し、特に、所定の光強度分布を有するレーザ光を非単結晶半導体膜のような非単結晶体に照射して結晶化半導体膜を生成する技術に関する。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal-Display:LCD)の表示画素を選択するスイッチング素子などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)は、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)や多結晶シリコン(poly-Silicon)を用いて形成されている。
多結晶シリコンは、非晶質シリコンよりも電子または正孔の移動度が高い。したがって、多結晶シリコンを用いてトランジスタを形成した場合、非晶質シリコンを用いて形成する場合よりも、スイッチング速度が速くなり、ひいてはディスプレイの応答が速くなる。また、周辺LSIを薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを減らせるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺回路をディスプレイに組み入れる場合に、それらの周辺回路をより高速に動作させることができる。
多結晶シリコンは、結晶粒の集合からなるため、例えばTFTトランジスタをこの多結晶シリコンに形成した場合、チャネル領域内に結晶粒界が形成され、この結晶粒界が障壁となり単結晶シリコンに比べると電子または正孔の移動度が低くなる。また、多結晶シリコンを用いて形成された多数の薄膜トランジスタは、チャネル領域に形成される結晶粒界数が各薄膜トランジスタ間で異なり、これがバラツキとなって液晶表示装置であれば表示ムラの問題となる。そこで、最近、電子または正孔の移動度を向上させ且つチャネル部における結晶粒界数のバラツキを少なくするために、少なくとも1個のチャネル領域を形成できる大きさの大粒径の結晶粒の結晶化シリコンを生成する結晶化方法が提案されている。
従来、この種の結晶化方法として、多結晶半導体膜または非単結晶半導体膜と平行に近接させた位相シフターにエキシマレーザ光を照射して結晶化半導体膜を生成する「位相制御ELA(Excimer Laser Annealing)法」が知られている。位相制御ELA法の詳細は、たとえば非特許文献1に開示されている。
表面科学Vol.21, No.5, pp.278-287, 2000
表面科学Vol.21, No.5, pp.278-287, 2000
位相制御ELA法では、位相シフターの位相シフト部に対応する点において光強度が周辺よりも低い逆ピークパターン(中心において光強度が最も低く周囲に向かって光強度が急激に増大するパターン)の光強度分布を発生させ、この逆ピーク状の光強度分布を有する光を非単結晶半導体膜(多結晶半導体膜または非晶質半導体膜)に照射する。その結果、被照射領域内において光強度分布に応じて溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い点に対応して最初に凝固する部分もしくは溶融しない部分に結晶核が形成され、その結晶核から周囲に向かって結晶が横方向に成長(以降、「ラテラル成長」もしくは「ラテラル方向成長」とよぶ)することにより大粒径の単結晶粒が生成される。
また、非特許文献2には、位相シフターおよび結像光学系を介して得られるV字型の光強度分布の光を非単結晶半導体膜に照射することにより結晶粒を生成する結晶化方法が発表されている。さらに、非特許文献2は、非単結晶半導体膜に照射される光の強度分布が、その最大値を1.0に規格化したときに0.5〜1.0の強度範囲でV字形状に変化することが望ましいことを開示している。
H.Ogawa他, "Growth of Large Si Grains at Room Temperature by Phase-Modulated Excimer-Laser Annealing Method", IDW'03 Proceedings of The 10th International Display Workshops, p323
非特許文献2に開示された結晶化方法では、エキシマレーザ光源のようなパルス発振型のレーザ光源を用いており、その典型的な各パルス発光時間は20〜30nsec(ナノセカンド)である。これは、極短時間に発光エネルギーをシリコンのような半導体の一部に集中することにより半導体を溶融するのに必要な大きな光強度を得るためである。この結果、このパルスの各発光時間に亘って、同一の光強度分布(V字型)を半導体に照射させることができる。
以下、非特許文献2に開示された従来技術において、同一のV字型光強度分布を半導体に照射することに起因する不都合について、図18(a)ないし(d)を参照して説明する。図18(c)および(d)は、従来技術にしたがってa−Si(非晶質シリコンまたはアモルファスシリコン)層にV字型の光強度分布を有する光束を一定時間に亘って照射したときに得られるa−Si層での温度分布の変化に関する計算結果を示す図である。なお、温度分布の計算に際して、「Mitsuru Nakata他, “A New Nucleation-Site-Control Excimer-Laser-Crystallization Method”, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 40(2001) Pt. 1, No.5A, 3049p」に記載された計算方法を採用している。
また、温度分布の計算に際して、a−Siが溶融・凝固するときに吸収・発生する潜熱の影響を無視している。計算条件として、光の入射側から順に、200nmの厚さのSiO2層、200nmの厚さのa−Si層、および無限厚のSiO2層からなる層構造を想定している。図18(a)に示すV字型(図では連成されたV字型の複数の単位光強度分布からなる光強度分布のうち1つの山型の単位強度部分を示している)の単位光強度分布における最大光強度が1.0×1011W/cm2であり、各パルス発光時間が図18(b)に示すように20nsecであると想定している。さらに、a−Siの熱伝導率が24W/mKであり、比熱が861J/KKgであり、密度が2340Kg/m3であると想定している。また、SiO2の熱伝導率が1.5W/mKであり、比熱が1000J/KKgであり、密度が2300Kg/m3であると想定している。
パルス発光中の温度分布の変化を示す図18(c)を参照すると、V字型の光強度分布の光束が照射されている20nsec の間では、時間の経過に従って温度分布はV字型(図では連成されたV字型の光強度分布のうち山型の部分を示している)を保って上昇することがわかる。しかしながら、パルス発光後の温度分布の変化を示す図18(d)を参照すると、パルス発光の終了後には時間の経過に従って次第に温度が下降するとともに、V字型の温度分布の高温領域(ピーク部分)における温度勾配が経時的に平坦化することがわかる。これは、a−Si層における面内方向の熱拡散が原因である。
図19は、図18(c)に示す温度分布変化に伴うa−Siの結晶化の進展の様子を模式的に示す図である。図18(c)に示す温度分布変化に伴うSiの結晶化に際しては、図19に示すように、a−Siの受光領域全体が一旦溶融し、レーザ光の入射が遮断された後に温度の最も低い部分、すなわちV字型の温度分布(ひいては光強度分布)の底の部分で一部結晶化する。この後、V字型の温度分布の温度勾配の熱により、この結晶化した部分が核となって結晶が横方向に成長する。しかしながら、結晶の成長が最終段階でV字型の温度分布(ひいては光強度分布)の高温領域(ピーク付近)に達するころには、熱拡散の進行により高温領域における温度勾配が平坦化した状態(温度分布が丸まった状態)になっている。
したがって、本来の所望する結晶成長は高温領域に達する前に終端し、V字型の温度分布の高温領域において望ましくない結晶核が発生し、この高温領域は多結晶化してしまう。この結果、結晶成長の最終段階における熱拡散の影響により、結晶核からの十分な結晶成長を実現すること、ひいては大粒径の結晶粒の結晶化半導体を生成することができない。この場合、“大粒径の結晶粒”とは、1個のTFTのチャネル領域を中に完全に形成することができる大きさの結晶粒を言う。また、この場合、たとえば位置合わせ精度のマージンが狭くなる。
上述の計算では潜熱の影響を考慮しなかったが、凝固のときに発生する潜熱により固液界面の近傍で温度が上昇する。この現象は、「松村正清、”エキシマレーザを用いた巨大結晶粒Si薄膜の形成”、表面科学Vol.21, No.5, pp.278, 2000」に紹介されている。この文献に紹介された結果から類推すると、図19において高温領域における温度勾配が平坦化する時点での温度分布は潜熱の影響を受けて図20に示すようになっていることが推測される。この場合、潜熱放出の影響による温度勾配の平坦化が更に幅広く起こることになり、最初に結晶化を開始した結晶核からの結晶成長がさらに短くなる(横方向に短い結晶粒になる)ことが考えられる。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶化体を生成することのできる結晶化装置、結晶化方法、デバイス、光変調素子、及び表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1態様では、入射する第1光束の強度を変調して非単結晶体上で第1光強度分布を有するようになる光束を非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第1光変調素子と、
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有するようになる光束を前記非単結晶体上に照射させて、非単結晶体を溶融させるための第2光変調素子と、
前記第1光強度分布を有する光束の照射により前記非単結晶体が部分的に溶融している期間内に、前記第2光強度分布の光束を前記非単結晶体の前記溶融している部分に入射させるための照明系とを具備する結晶化装置が提供される。
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有するようになる光束を前記非単結晶体上に照射させて、非単結晶体を溶融させるための第2光変調素子と、
前記第1光強度分布を有する光束の照射により前記非単結晶体が部分的に溶融している期間内に、前記第2光強度分布の光束を前記非単結晶体の前記溶融している部分に入射させるための照明系とを具備する結晶化装置が提供される。
本発明の第2態様では、入射する第1光束の強度を変調して、間に山形の単位光強度分布を規定するように隣り合った少なくとも2つのV字型の単位強度分布を有する光強度分布を非単結晶体上で有するようになる第1の光束を非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第1光変調素子と、
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で第2光強度分布を有するようになる第2の光束を前記非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第2光変調素子と、
前記第1の光束の照射開始から所定時間だけ遅れて前記第2の光束を前記第1の光束により溶融されている非単結晶の部分に照射させるための照明系とを具備する結晶化装置が提供される。
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で第2光強度分布を有するようになる第2の光束を前記非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第2光変調素子と、
前記第1の光束の照射開始から所定時間だけ遅れて前記第2の光束を前記第1の光束により溶融されている非単結晶の部分に照射させるための照明系とを具備する結晶化装置が提供される。
第1態様および第2態様で、前記照明系は、照明光束を供給するための光源と、該光源から供給された光束を分割するためのビームスプリッターと、該ビームスプリッターからの一方の光束を前記第1光変調素子へ導くための第1光学系と、前記第1光学系よりも長い光路長を有し前記ビームスプリッターからの他方の光束を前記第2光変調素子へ導くための第2光学系とを有し得る。
また、これら態様で、好ましくは、前記第1光変調素子と前記第2光変調素子とは共通の光変調素子であり、前記照明系は、第1の角度分布を有する前記第1光束を前記共通の光変調素子に入射させた後に、前記第1の角度分布とは実質的に異なる第2の角度分布を有する前記第2光束を前記共通の光変調素子に入射させる。この場合、前記照明系は、照明光束を供給するための光源と、該光源から供給された光束を分割するためのビームスプリッターと、該ビームスプリッターからの一方の光束を整形して所定位置まで導くための第1整形光学系と、前記第1整形光学系よりも長い光路長を有し前記ビームスプリッターからの他方の光束を整形して所定位置まで導くための第2整形光学系と、前記所定位置に配置されて前記第1整形光学系を介した光束の光路と前記第2整形光学系を介した光束の光路とを合成するための光路合成素子と、該光路合成素子と前記共通の光変調素子との間に配置された共通の照明光学系とを有することが好ましい。
また、これらの態様で、好ましくは、前記第1光変調素子と前記第2光変調素子とは共通の光変調素子であり、前記照明系は、第1の偏光状態を有する前記第1光束を前記共通の光変調素子に入射させた後に、前記第1の偏光状態とは実質的に異なる第2の偏光状態を有する前記第2光束を前記共通の光変調素子に入射させる。この場合、前記照明系は、照明光束を供給するための光源と、該光源から供給された光束を分割するための偏光ビームスプリッターと、該ビームスプリッターで反射されたS偏光の光束を所定位置まで導くための第1光学系と、前記第1光学系よりも長い光路長を有し前記ビームスプリッターを透過したP偏光の光束を前記所定位置まで導くための第2光学系と、前記所定位置に配置されて前記第1光学系を介したS偏光の光束の光路と前記第2光学系を介したP偏光の光束の光路とを合成するための光路合成素子と、該光路合成素子と前記共通の光変調素子との間に配置された共通の照明光学系とを有することが好ましい。また、この場合、前記共通の光変調素子は、前記第1の偏光状態を有する前記第1光束に対する透過率と前記第2の偏光状態を有する前記第2光束に対する透過率とが実質的に異なるパターン領域を含んでいることが好ましい。
また、これら態様で、好ましくは、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子と前記非単結晶半導体との間に配置された共通の結像光学系をさらに備えている。
本発明の第3態様では、所定の光強度分布を有する光束を非単結晶体に照射して結晶化体を生成する結晶化方法において、
第1光強度分布を有する第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記第1照射工程により前記非単結晶体が溶融している時間内に、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の溶融している部分に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法が提供される。
第1光強度分布を有する第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記第1照射工程により前記非単結晶体が溶融している時間内に、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の溶融している部分に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法が提供される。
本発明の第4態様では、所定の光強度分布を有する光束を非単結晶体に照射して結晶化体を生成する結晶化方法において、
間に山形の単位光強度分布を規定するように隣り合った少なくとも2つのV字型の単位強度分布を有する光強度分布を非単結晶体上で有するようになる第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記山形の単位光強度分布の頂部に対応して、前記非単結晶体に形成された高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償するために、前記第1照射工程の開始から所定時間だけ遅れて第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の高温領域に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法が提供される。
間に山形の単位光強度分布を規定するように隣り合った少なくとも2つのV字型の単位強度分布を有する光強度分布を非単結晶体上で有するようになる第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記山形の単位光強度分布の頂部に対応して、前記非単結晶体に形成された高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償するために、前記第1照射工程の開始から所定時間だけ遅れて第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の高温領域に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法が提供される。
第3態様並びに第4態様で、好ましくは、前記第1照射工程では、第1光変調素子を介して位相変調された光束を前記非単結晶半導体に照射し、前記第2照射工程では、前記第1光変調素子とは特性の異なる第2光変調素子を介して位相変調された光束を前記非単結晶半導体に照射する。あるいは、前記第1照射工程では、共通の光変調素子に第1光束を入射させ、前記共通の光変調素子を介して位相変調された光束を前記非単結晶半導体に照射し、前記第2照射工程では、前記第1光束とは特性の異なる第2光束を前記共通の光変調素子に入射させ、前記共通の光変調素子を介して位相変調された光束を前記非単結晶半導体に照射することが好ましい。
本発明の第5態様では、第1もしくは第2態様の結晶化装置、または第3もしくは第4態様の結晶化方法を用いて製造されたデバイスが提供される。
本発明の第6態様では、入射する光束の偏光状態に応じて透過率が異なるパターン領域と、位相変調領域とを含んでいる光変調素子が提供される。本発明の第6態様では、第1もしくは第2態様の結晶化装置、または第3もしくは第4態様の結晶化方法を用いてチャネル領域が形成された薄膜トランジスタを有する表示装置が提供される。
本発明では、熱拡散や潜熱放出の影響に抗して、たとえばV字型の温度分布の高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償し、結晶成長の最終段階においても高温領域における所要の温度勾配を確実に維持することができる。この結果、結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶粒を生成することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、図1に示す第1照明光学系および第2照明光学系の内部構成を概略的に示す図である。図1を参照すると、第1実施形態の結晶化装置は、夫々入射光束の位相を変調するための第1光変調素子1および第2光変調素子2と、照明系3と、結像光学系4と、被処理基板5が上に載置される基板ステージ6とを備えている。
第1光変調素子1および第2光変調素子2の詳細な構成および作用については後述する。照明系3は、被処理基板5の非単結晶半導体を溶融させるエネルギー光を出力する光源として、たとえば248nmの波長を有するパルスレーザ光を供給するKrFエキシマレーザ光源31を備えている。この光源31として、XeClエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のような、被結晶化処理体または非単結晶半導体を溶融するエネルギー光線を射出する性能を有する他の適当な光源を用いることもできる。光源31から射出されたレーザ光は、ビームスプリッター32に入射する。
レーザ光の、ビームスプリッター32で反射された部分(第1のレーザ光)は、第1照明光学系33を介して、第1光変調素子1へ導かれる。一方、レーザ光の、ビームスプリッター32を透過した部分(第2のレーザ光)は、たとえば複数の反射部材により構成された比較的長い光路を有する遅延光学系34、一対のミラー35および36、並びに第1照明光学系33と同じ構成を有する第2照明光学系37を介して、第2光変調素子2へ導かれる。したがって、ビームスプリッター32から第2光変調素子2までの光路長は、ビームスプリッター32から第1光変調素子1までの光路長よりも所定距離だけ長く設定されている。この所定距離は、第1光変調素子1を介して照射された被処理基板5の非単結晶半導体が部分的に溶融している期間内に第2光変調素子2を介して照射するタイミングに相当する距離である。非単結晶半導体が部分的に溶融とは、第1光変調素子1を介してパルス的に照射された非単結晶半導体の降温過程において光強度分布の少なくとも最大値が溶融している期間をいう。なお、本発明の中では、非単結晶が溶融した液体状態に対しても、その材料を説明する手段として便宜上、「溶融されている非単結晶」等の表現を用いるものとする。
光源31から射出されて第1照明光学系33(または第2照明光学系37)に入射した光は、図2に示すように、ビームエキスパンダ3aを介して拡大された後、第1フライアイレンズ3bに入射する。こうして、第1フライアイレンズ3bの後側焦点面には複数の小光源が形成され、これらの複数の小光源からの光束は、第1コンデンサー光学系3cを介して、第2フライアイレンズ3dの入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ3dの後側焦点面には、第1フライアイレンズ3bの後側焦点面よりも多くの複数の小光源が形成される。
第2フライアイレンズ3dの後側焦点面に形成された複数の小光源からの光束は、第2コンデンサー光学系3eを介して、第1光変調素子1(または第2光変調素子2)を重畳的に照明する。ここで、第1フライアイレンズ3bおよび第1コンデンサー光学系3cは、第1ホモジナイザを構成し、この第1ホモジナイザにより光源31から供給されたレーザ光について第1光変調素子1(または第2光変調素子2)上での入射角度に関する均一化が図られる。
第2フライアイレンズ3dおよび第2コンデンサー光学系3eは、第2ホモジナイザを構成し、この第2ホモジナイザにより第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について第1光変調素子1(または第2光変調素子2)上での面内各位置での光強度に関する均一化が図られる。こうして、照明系3は、ほぼ均一な光強度分布を有するレーザ光により第1光変調素子1および第2光変調素子2を照明する。上記説明で、照明系3は、所定の発光時間を有する第1パルス光を第1光変調素子1に入射させた後、第1光変調素子1への第1パルス光の入射開始から所定時間(前記所定距離に対応する)だけ遅れて、第1パルス光と同じ発光時間を有する第2パルス光を第2光変調素子2に入射させ
ることが、判るであろう。前記所定距離は、第1光変調素子1を介して照射された被処理基板5の非単結晶半導体が部分的に溶融している期間内に第2光変調素子2を介して照射するタイミングに相当する距離である。
ることが、判るであろう。前記所定距離は、第1光変調素子1を介して照射された被処理基板5の非単結晶半導体が部分的に溶融している期間内に第2光変調素子2を介して照射するタイミングに相当する距離である。
第1光変調素子1で位相変調された第1のレーザ光は、ビームスプリッター7を透過した後、結像光学系4を介して、被処理基板5に入射する。一方、第2光変調素子2で位相変調された第2のレーザ光は、ビームスプリッター7で反射された後、結像光学系4を介して、被処理基板5に入射する。ここで、結像光学系4は、第1光変調素子1および第2光変調素子2のパターン面と被処理基板5(詳しくは、非単結晶半導体層の上面)とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被処理基板5は、第1光変調素子1および第2光変調素子2のパターン面と光学的に共役な面(結像光学系4の像面)に設定されている。
前記結像光学系4は、前正レンズ群4aと後正レンズ群4bとの間に開口絞り4cを備えている。開口絞り4cは、たとえば開口部(光透過部)の大きさの異なる複数の開口絞りからなり、これらの複数の開口絞り4cは光路に対して交換可能に構成されていてもよい。あるいは、開口絞り4cとして、開口部の大きさを連続的に変化させることのできる虹彩絞りを用いてもよい。いずれにしても、開口絞り4cの開口部の大きさ(ひいては結像光学系4の像側開口数NA)は、後述するように、被処理基板5の半導体層上において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。この結像光学系4は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
前記被処理基板5は、第1光変調素子1で位相変調された第1のレーザ光が結像され、溶融され、凝固する過程で結晶化される。被処理基板5は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラス基板の上に化学気相成長法(CVD)により下地膜および非晶質シリコン膜(半導体層)およびキャップ膜が順次形成されたものである。下地絶縁膜は、絶縁材、例えばSiO2で形成されており、非晶質シリコン膜とガラス基板が直接接触してガラス基板内のNaなどの異物が非晶質シリコン膜に混入するのを防止すると共に、非晶質シリコン膜の溶融温度が直接ガラス基板に伝熱されるのを防止する。非晶質シリコン膜は、結晶化される半導体膜であり、非単結晶膜で、非晶質半導体膜や多結晶半導体などである。
非単結晶膜は、上記半導体膜に限定されることはなく、非単結晶の金属などの非単結晶材料で形成されている膜でも良い。非晶質シリコン膜上には、キャップ膜として絶縁膜例えばSiO2膜が、好ましくは、成膜されている。キャップ膜は、非晶質シリコン膜に入射する光ビームの一部により加熱され、この加熱された温度を蓄熱する。この蓄熱効果は、キャップ膜がなければ光ビームの入射が遮断されたとき、非晶質シリコン膜の被照射面において高温部が相対的に急速に降温するが、この降温勾配を緩和させ、大粒径の横方向の結晶成長を促進させる。被処理基板5は、真空チャックや静電チャックなどにより基板ステージ6上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持される。
図3(a)は、第1実施形態における第1光変調素子1の位相パターンを、また、図3(b)は、第1光変調素子を用いて被処理基板上に形成される第1レーザ光の光強度分布を、夫々、概略的に示す図である。第1実施形態の第1光変調素子1は、図3(a)に示すように、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)1aと、90度の変調用位相値を有する矩形状(この実施の形態では正方形)の変調位相領域(図中斜線部で示す)1bとをラテラル方向(A断面と平行な方向)周期的に有する。ここで、変調位相領域1bは、1.0μm(結像光学系4の像面における換算値、以下同様に光変調素子に関する寸法は像面換算値で示す)のピッチにしたがって縦横に、マトリックス状に配置されている。
そして、中に1つの位相領域が含まれる1.0μm×1.0μmの単位セル(点線で囲まれた領域)1cに対する変調位相領域1bの占有面積率(デューティ)は、ラテラル方向に(A断面に沿って)0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域1dの両側における変調位相領域1bの占有面積率は50%(最大占有面積率)であり、繰り返し単位領域1dの中央における変調位相領域1bの占有面積率は0%(最小占有面積率)であり、その間における変調位相領域1bの占有面積率は28%、18%、11%、5%の順に変化している。1.0μm×1.0μmの単位セル1cは、結像光学系4の点像分布範囲以下の寸法を有する。
第1実施形態の第1光変調素子1を用いると、図3(b)に示すように、結像光学系4の像面位置に設定された被処理基板5の表面上には、単位領域1dに対応して、山型状の単位光強度分布(隣り合うV字型単位光強度の最小ピーク値部分間の光強度分布)が形成される。すなわち、変調位相領域1bの占有面積率が50%であるA断面位置に対応して光強度が最も小さく、変調位相領域1bの占有面積率が0%であるA断面位置に対応して光強度が最も大きい、山型状の単位光強度分布が形成される。実際には、第1光変調素子1は、ラテラル方向に並べられた複数の、図3(a)に示す位相パターンを有している。この結果、被照射面では、図3(b)に示す山型(即ち、V字型)の単位光強度分布がラテラル方向に複数形成され、従って、この明細書では、被照射面での光強度分布を複数のV字型光強度分布と定義する。図3(b)は、A断面方向に沿って連成される複数のV字型光強度分布のうち、位相パターンの繰り返し単位領域1dに対応する1つの山型の光強度分布を示している。
図4(a)並びに図4(b)は、第1実施形態における第2光変調素子2の位相パターン、並びに第2光変調素子2を用いて被処理基板5上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。第1実施形態の第2光変調素子2は、図4(a)に示すように、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)2aと、180度の変調用位相値を有する矩形状(この実施の形態では正方形)の変調位相領域(図中斜線部で示す)2bとを有する。ここで、変調位相領域2bは、1.0μm(像面換算値)のピッチにしたがって縦横に配置されている。
中に1つの位相領域が含まれている1.0μm×1.0μmの単位セル(点線で囲まれた正方形の領域)2cに対する変調位相領域2bの占有面積率(デューティ)は、図中水平方向に沿って(A断面に沿って)0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域2dの両側における変調位相領域2bの占有面積率は50%であり、繰り返し単位領域2dの中央における変調位相領域2bの占有面積率は0%であり、その間における変調位相領域2bの占有面積率は50%、50%、28%、11%の順に変化している。1.0μm×1.0μmの単位セル2cも、結像光学系4の点像分布範囲以下の寸法を有する。
第1実施形態の第2光変調素子2を用いると、図4(b)に示すように、結像光学系4の像面位置に設定された被処理基板5の表面上(被照射面)には、位相パターンの繰り返し単位領域2dに対応してピーク形状の単位光強度分布が形成される。この単位光強度分布では、変調位相領域2bの占有面積率が0%であるA断面位置に対応して光強度が最も大きく、変調位相領域2bの占有面積率が50%であるA断面位置に対応して光強度がほぼ0である中央ピーク形状となっている。
図3(b)に示された光強度分布と図4(b)に示された光強度分布とを比較すると、第2光変調素子2を用いて形成される中央ピーク形状の光強度分布の勾配の方が、第1光変調素子1を用いて形成されるV字型中の山型の光強度分布の勾配よりも大きいことがわかるであろう。これらの図に示す光強度分布は、光の波長λを248nm、結像光学系4の像側開口数NAを0.13、結像光学系4のσ値(コヒーレンスファクター)を0.5と想定して計算されたものである。以下、第3実施形態における光強度分布の計算も同じ条件を想定している。
図5(a)並びに図5(b)は、第1実施形態における光源のパルス発光特性、並びに第1光変調素子に入射する第1パルス光と第2光変調素子に入射する第2パルス光との時間的関係を概略的に示す図である。第1実施形態では、図5(a)に示すように、光源31からのパルス光の発光期間を20nsecに設定している。また、第1のビームスプリッター32から第1光変調素子1までの、第1のレーザ光の光路長と、ビームスプリッター32から第2光変調素子2までの第2のレーザ光の光路長との光路長差を、遅延時間40nsecに対応するように設定している(第2のビームスプリッター7から第1光変調素子1と第2光変調素子2とへの距離は同じに設定されている)。遅延時間40nsec=40×10-9secに対応する光路長差は、次の式(1)により求められる。遅延時間の設定は、少なくとも第1光変調素子1を利用して形成された光強度分布により溶融して結晶化する被照射面で、結晶化されないで、溶融状態の部分が残っている(この部分は、最大値溶融部と称し、山形の光強度分布の頂部に対応する領域)期間までの期間を適宜選択する。
(光路長差)=(光速度)×(遅延時間)
=(3.0×108m/sec)×(40×10-9sec)
=12m (1)
かくして、ビームスプリッター32から第1光変調素子1までの光路長とビームスプリッター32から第2光変調素子2までの光路長との光路長差が約12mになるように、複数の反射部材からなる遅延光学系34の内部構成が決定されている(図1では、ビームスプリッター32と第1光学変調素子1と、ビームスプリッター32と第2光学変調素子2との間の距離(遅延光学系34の距離は除く)が異なるように見えるが、これら距離は同じに設定されている)。遅延光学系34は、比較的多数の折り返し光路を設けて小型化することが望ましい。
=(3.0×108m/sec)×(40×10-9sec)
=12m (1)
かくして、ビームスプリッター32から第1光変調素子1までの光路長とビームスプリッター32から第2光変調素子2までの光路長との光路長差が約12mになるように、複数の反射部材からなる遅延光学系34の内部構成が決定されている(図1では、ビームスプリッター32と第1光学変調素子1と、ビームスプリッター32と第2光学変調素子2との間の距離(遅延光学系34の距離は除く)が異なるように見えるが、これら距離は同じに設定されている)。遅延光学系34は、比較的多数の折り返し光路を設けて小型化することが望ましい。
こうして、第1実施形態では、図5(b)に示すように、発光時間20nsecを有する第1パルス光が第1光変調素子1に入射した後、第1光変調素子1への第1パルス光の入射開始から40nsecだけ遅れて、第1パルス光と同じ発光時間20nsecを有する第2パルス光が第2光変調素子2に入射する。理解を容易にするために、他の実施形態においても第1実施形態と同様に、光源のパルス発光特性および第1パルス光と第2パルス光との時間的関係は図5(b)に示す条件を満足するものとする。
図6は、第1実施形態における結晶化の進展の様子を模式的に示す図である。第1実施形態では、図6に示すように、第1パルス光を第1光変調素子1に入射させて被処理基板5の表面にV字型の光強度分布(1回目の光強度分布)を照射することにより、被処理基板5の表面上にV字型の光強度分布に対応するV字型の温度分布を形成する。そして、温度の下降によりV字型の温度分布の高温領域(ピーク部分)における温度勾配が融点以下の温度に降温する前に、第1パルス光による山型光強度分布の最高温度部分およびその近傍に融点以上の温度の光パターンを照射する。すなわち被処理基板5上の非単結晶半導体が部分的に溶融している時間内に、第2パルス光を第2光変調素子2に入射させて被処理基板5の表面に中央ピーク形状の光強度分布(2回目の光強度分布)を照射する。
この結果、2回目の中央ピーク形状の光強度分布に対応する温度分布の追加により、熱拡散や潜熱放出の影響に抗してV字型の温度分布の高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償(補正)し、結晶成長の最終段階においても高温領域における所要の温度勾配を確実に維持することができる。図6は、この状態を示している。即ち、第1光変調素子1を介して非単結晶半導体に形成される1回目の光強度分布は、図6(a)に示されている。図6(b)は、光照射前の非単結晶半導体5の温度分布を示し、全面で常温を示し、半導体は固体の状態である。
次に、図6(a)に示された光強度分布をもつパルス状光束(第1のレーザ光)が、非単結晶半導体層5に入射すると、この半導体層5の被照射面は、融点以上の(c)に示す温度分布が形成される。即ち、融点以上の上記被照射面は、上記温度分布を維持して溶融する(液体状態)。上記パルス状光束の照射期間が終了すると降温状態となる。降温の過程において、(d)に示すように、部分的融点を過ぎると、光強度分布の最小値部に存在する結晶核から結晶成長が開始する。この状態を、(e)に示す。さらに、(f)に示すように降温が進行すると、さらに水平方向に結晶成長が進行し、(g)のようになる。この部分的に溶融領域が部分的に残っている状態で、第2光強度分布を有する(h)に示す光強度分布の光束を、同軸的に上記非単結晶半導体5に照射する。即ち、第1光強度分布の最大値に相当する非単結晶半導体5の被照射部溶融部に第2の光強度分布の融点以上の最大値を有する図6(h)に示す光束(第2のレーザ光)を照射する。換言すれば、(g)に示す液体状態部に融点以上の高温度を呈する(f)に示す光束が非単結晶半導体5を照射する。その結果、(i)に示すように山型状光強度分布の山の頂部においても結晶成長が水平方向にさらに成長する。
次に、図6(a)に示された光強度分布をもつパルス状光束(第1のレーザ光)が、非単結晶半導体層5に入射すると、この半導体層5の被照射面は、融点以上の(c)に示す温度分布が形成される。即ち、融点以上の上記被照射面は、上記温度分布を維持して溶融する(液体状態)。上記パルス状光束の照射期間が終了すると降温状態となる。降温の過程において、(d)に示すように、部分的融点を過ぎると、光強度分布の最小値部に存在する結晶核から結晶成長が開始する。この状態を、(e)に示す。さらに、(f)に示すように降温が進行すると、さらに水平方向に結晶成長が進行し、(g)のようになる。この部分的に溶融領域が部分的に残っている状態で、第2光強度分布を有する(h)に示す光強度分布の光束を、同軸的に上記非単結晶半導体5に照射する。即ち、第1光強度分布の最大値に相当する非単結晶半導体5の被照射部溶融部に第2の光強度分布の融点以上の最大値を有する図6(h)に示す光束(第2のレーザ光)を照射する。換言すれば、(g)に示す液体状態部に融点以上の高温度を呈する(f)に示す光束が非単結晶半導体5を照射する。その結果、(i)に示すように山型状光強度分布の山の頂部においても結晶成長が水平方向にさらに成長する。
したがって、第1実施形態では、結晶成長の最終段階においても、V字型の温度分布の高温領域における所要の温度勾配が確実に維持されているので、結晶成長が高温領域に達する前に終端することなく、また高温領域で多結晶化することなく、充分に長い結晶のラテラル成長を実現することができる。すなわち、第1実施形態では、結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶化半導体を生成することができる。その結果、たとえば位置合わせ精度のマージンが広くなる。
上述の第1実施形態では、1つの光源31からの光束をビームスプリッター32により2つの光束に分割している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば第1の光源からの光を第1光変調素子1へ導き且つ第2の光源からの光を第2光変調素子2へ導く構成にして、2つの光源からのパルス発光のタイミングをずらしてもよい。
上述の第1実施形態では、第1光変調素子1および第2光変調素子2と被処理基板5との間に、共通の結像光学系4を設けている。しかしながら、これに限定されることなく、第1光変調素子1からの光を被処理基板5へ導く第1結像光学系と第2光変調素子2からの光を被処理基板5へ導く第2結像光学系とを別々に設けることもできる。この場合、第1結像光学系および第2結像光学系と被処理基板5との間に、2つの光路を合成するための光路合成素子を配置する必要がある。
図7は、本発明の第2実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。図8(a)並びに図8(b)は、図7の第1照明光学系、並びに第2照明光学系の内部構成を概略的に示す図である。図7を参照すると、第2実施形態の結晶化装置は、結像光学系を用いない近接(デフォーカス)法(近接露光時に発生するフレネル回折パターンを照射する方法)にしたがう装置であって、照明系3Aと、被処理基板5が上に載置される基板ステージ6と、これらの間に配置され、第1パルス光(第1レーザ光)と第2パルス光(第2レーザ光)とに共通の光変調素子10とを備えている。図7では、図1の構成要素と同様の機能を有する要素に同じ参照符号を付している。
第2実施形態の照明系3Aでは、光源31から射出されたレーザ光がビームスプリッター32に入射する。ビームスプリッター32で反射された光(第1のレーザ光)は、第1整形光学系41を介して、たとえばビームスプリッターのような光路合成素子42に入射する。一方、ビームスプリッター32を透過した光(第2のレーザ光)は、遅延光学系34、一対のミラー35,36、並びに第2整形光学系43を介して、光路合成素子42に入射する。光路合成素子42を透過した第1のレーザ光は、共通の照明光学系44を介した後、第1パルス光として共通の光変調素子10を照明する。同様に、光路合成素子42で反射された第2のレーザ光は、共通の照明光学系44を介した後、第2パルス光として共通の光変調素子10を照明する。
第2実施形態では、第1のレーザ光の径を第1の倍率で拡大するための第1整形光学系41および共通の照明光学系44が、第1の角度分布(角度幅)を有する第1パルス光を共通の光変調素子10に入射させるための第1照明光学系を構成している。また、第2のレーザ光の径を前記第1の倍率よりも小さい第2の倍率で拡大するための第2整形光学系43および共通の照明光学系44が、第1の角度分布とは異なる第2の角度分布(角度幅)を有する第2パルス光を共通の光変調素子10に入射させるための第2照明光学系を構成している。第1整形光学系41は、図8(a)に示すように、光源から順に、負レンズ群3fと正レンズ群3gとを有する。同様に、第2整形光学系43も、図8(b)に示すように、光源から順に、負レンズ群3hと正レンズ群3iとを有する。
共通の照明光学系44は、図8(a)および図8(b)に示すように、光源側から順に、フライアイレンズ3jとコンデンサー光学系3kとを有する。ここで、共通の照明光学系44は、フライアイレンズ3jの後側焦点面とコンデンサー光学系3kの前側焦点面とがほぼ一致するように構成されている。第1整形光学系41によって径が拡大された光束(第1のレーザ光)は、共通の照明光学系44を介して照度分布の均一化された最大入射角度θ1を有する第1パルス光として共通の光変調素子10をケーラー照明する。
同様に、第2整形光学系43によって径が拡大された光束(第2のレーザ光)は、共通の照明光学系44を介して照度分布の均一化された最大入射角度θ2を有する第2パルス光として共通の光変調素子10をケーラー照明する。この場合、第2整形光学系43の拡大倍率よりも第1整形光学系41の拡大倍率の方が大きく設定されているので、第2整形光学系43を介してフライアイレンズ3jに入射する光束よりも第1整形光学系41を介してフライアイレンズ3jに入射する光束の方が大きな断面を有する。
この結果、第2整形光学系43を介して共通の光変調素子10に入射する第2パルス光の最大入射角度θ2よりも、第1整形光学系41を介して共通の光変調素子10に入射する第1パルス光の最大入射角度θ1の方が大きくなる。これは、共通の光変調素子10に入射する光の最大入射角度が、共通の照明光学系44の射出瞳を決定するフライアイレンズ3jの出口面における光束の断面サイズに依存するからである。以下のシミュレーションでは、第1パルス光の最大入射角度θ1を2.1度と想定し、第2パルス光の最大入射角度θ2を0度と想定している。
図9(a)並びに図9(b)は、夫々、第2実施形態における共通の光変調素子と被処理基板との位置関係、並びに共通の光変調素子の位相パターンの一部を概略的に示す図である。図10は、第2実施形態において共通の光変調素子に第1パルス光を入射させたときに被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。図11は、第2実施形態において共通の光変調素子に第2パルス光を入射させたときに被処理基板上に形成される光強度分布を概略的に示す図である。共通の光変調素子10は、図9(a)に示すように、被処理基板5の表面から155μmの間隔を隔てて被処理基板に近接配置されている。
また、共通の光変調素子10は、図9(b)に示すように、いわゆるライン型の位相シフターであって、一方向すなわちラテラル方向に沿って交互に繰り返される2つの矩形状の領域10aと10bとで構成されている。ここで、2つの領域10aおよび10bは、ともに例えば10μmの幅寸法を有し、2つの領域10aと10bとの間には180度の位相差が付与されている。共通の光変調素子10では、180度の位相差を有する2つの領域10aと10bとの間の直線状の境界線10cが位相シフト線を構成することになる。
最大入射角度θ1=2.1度を有する第1パルス光が共通の光変調素子10に入射すると、図10(b)に示すように、光変調素子10に近接して配置された被処理基板5の表面上には、図3(b)に示す光強度分布に類似したほぼ山型の光強度分布(1回目の光強度分布)、これは、隣り合うV字形の単位強度分布の最小強度部間の強度分布に相当する、が形成される。図10(b)は、各領域10a,10bにより形成される単位光強度分布を示し、実際には、被処理基板5上には、この単位光強度分布がラテラル方向に繋がった複数の単位光強度分布からなる光強度分布が得られる。この図から判るように、位相シフト線10cに対応して光強度が最も小さく、2つの位相シフト線10cの中央領域(領域10bの中央領域)に対応して光強度が最も大きいほぼ山型の光強度分布が形成される。
一方、最大入射角度θ2=0度を有する第2パルス光が共通の光変調素子10に入射すると、図11に示すように、被処理基板5の表面上には、図4(b)の光強度分布に類似したほぼ中央ピーク形状の光強度分布(2回目の光強度分布)が形成される。すなわち、位相シフト線10cに対応して光強度がほぼ0で、2つの位相シフト線10cの中間位置に対応して光強度が最も大きいほぼ中央ピーク形状の光強度分布が形成される。図10および図11に示す光強度分布は、光の波長λを248nmと想定して計算されたものである。
こうして、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、2回目のほぼ中央ピーク形状の光強度分布に対応する温度分布の追加により、熱拡散や潜熱放出の影響に抗してV字型の温度分布の高温領域における経時的な温度勾配の平坦化が補償される。その結果、第2実施形態においても、結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶化半導体を生成することができる。
上述の第2実施形態では、1つの光源31からの光束をビームスプリッター32により2つの光束に分割している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば第1の光源からの光を第1整形光学系41および共通の照明光学系44を介して共通の光変調素子10へ導き且つ第2の光源からの光を遅延光学系34、第2整形光学系43および共通の照明光学系44を介して共通の光変調素子10へ導く構成において2つの光源からのパルス発光のタイミングをずらしてもよい。
また、上述の第2実施形態では、共通の光変調素子10と被処理基板5とを近接配置している。しかしながら、これに限定されることなく、共通の光変調素子10と被処理基板5との間に、たとえば第1実施形態と同様の結像光学系を設ける構成も可能である。
図12は、本発明の第3実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。この図を参照すると、結晶化装置は、照明系3Bと、被処理基板5が上に載置される基板ステージ6と、これら照明系3Bと被処理基板5との間に順次配設され、第1パルス光(第1レーザ光)と第2パルス光(第2レーザ光)とに共通の光変調素子11並びに結像光学系4とを備えている。図12では、図1の構成要素と同様の機能を有する要素に同じ参照符号を付している。
この照明系3Bにおいて、光源31から射出されたレーザ光が偏光ビームスプリッター51に入射する。この偏光ビームスプリッター51は、S偏光の光成分を反射し、P偏光の光成分を透過する。偏光ビームスプリッター51で反射されたS偏光の光成分または光束(第1のレーザ光)は、ミラー52を介して、たとえば偏光ビームスプリッターのような光路合成素子53に入射し、これにより反射される。一方、偏光ビームスプリッター51を透過したP偏光の光成分または光束(第2のレーザ光)は、遅延光学系34およびミラー35を介して、前記光路合成素子53に入射する。光路合成素子53で反射された第1のレーザ光は、たとえば図2に示す内部構成を有する共通の照明光学系54を介した後、S偏光状態の第1パルス光として共通の光変調素子11を照明する。光路合成素子53を透過した第2のレーザ光は、共通の照明光学系54を介した後、P偏光状態の第2パルス光として共通の光変調素子11を照明する。ここで、S偏光とは、光の電場ベクトルが紙面垂直で、P偏光とは光の電場ベクトルが紙面平行と定義し、以下同様とする。
図13(a)並びに図13(b)は、夫々、第3実施形態における共通の光変調素子の位相パターン、並びに導電パターンの一部を概略的に示す図である。図14は、第3実施形態において共通の光変調素子に第1パルス光を入射させたときに被処理基板上に形成される単位光強度分布を概略的に示す図である。また、図15は、第3実施形態において共通の光変調素子に第2パルス光を入射させたときに被処理基板上に形成される単位光強度分布を概略的に示す図である。第3実施形態における共通の光変調素子11は、図13(a)に示す位相パターンと、図13(b)に示す導電体膜からなるパターンとを有する。
共通の光変調素子11の位相パターンは、図3(a)に示す第1実施形態の第1光変調素子1の位相パターンと基本的に同じ構成を有する。すなわち、共通の光変調素子11の位相パターンは、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)11aと、90度の変調用位相値を有する矩形状の変調位相領域(図中斜線部で示す)11bとを有する。ここで、変調位相領域11bは、1.0μm(結像光学系4の像面換算値)のピッチにしたがって縦横に配置されている。
1.0μm×1.0μmの単位セル11cに対する変調位相領域11bの占有面積率(デューティ)は、図中水平方向に沿って(A断面に沿って)0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域11dの両側における変調位相領域11bの占有面積率は50%であり、繰り返し単位領域11dの中央における変調位相領域11bの占有面積率は0%であり、その間における変調位相領域11bの占有面積率は28%、18%、11%、5%の順に変化している。
一方、共通の光変調素子11の導電体膜パターンは、位相パターンのA断面方向に沿って交互に繰り返される2つの種類のパターン領域11eと11fとを有する。第1領域11eには、0.05μmの厚さおよび0.3μm×0.3μm(結像光学系4の像面換算値)の大きさを有する正方形状のクロムからなるドットパターン11gが、0.5μm(結像光学系4の像面換算値)のピッチにしたがって縦横すなわちマトリックス状に形成されている。第2領域11fには、位相パターンのA断面方向すなわちラテラル方向に沿ってピッチ方向を有するライン・アンド・スペースパターンが形成されている。
ここで、第2領域11fのライン・アンド・スペースパターンは、0.05μmの厚さおよび0.05μm(結像光学系4の像面換算値)の幅寸法を有する帯状のクロムからなるライン部11hと、0.05μm(結像光学系4の像面換算値)の幅寸法を有する光透過性のスペース部11iとにより構成されている。導電体膜パターンの第1領域11eは、位相パターンの繰り返し単位領域11dの中央位置に対応するように形成されている。導電体膜パターンの第2領域11fは、位相パターンのA断面方向に沿って導電体膜パターンの第1領域11eとほぼ同じ幅寸法を有するように形成されている。
前記共通の光変調素子11は、S偏光状態で入射する第1パルス光の振動面の方向(電場の方向)が位相パターンのA断面方向と一致するように位置決めされている。共通の光変調素子11の製造に際して、1つの基板の同一面に位相パターンと導電体膜パターンとを形成することが望ましい。これの一例が図13(c)に示されている。この共通の光変調素子11は、透明の基板の一面に、導電体膜を形成し、この膜を選択エッチングして導電体膜パターン11f,11eが形成されている。このパターンの上に、透明材料からなる膜を形成し、この膜を選択エッチングして、基準位相領域11aと、変調位相領域11bとからなる位相パターンが形成されている。光変調素子11は、一方の透明基板の一面に位相パターンを形成し、他方の透明基板の一面に導電体膜パターンを形成し、両基板を一面で貼り合わせることにより、構成されることもできる。
第3実施形態にかかる共通の光変調素子11では、ライン・アンド・スペースパターン(11h,11i)が、光の波長(248nm=0.248μm)よりも小さいピッチを有する。また、ライン・アンド・スペースパターン(11h,11i)のライン部11hを構成するクロムは導体である。このため、ライン・アンド・スペースパターン(11h,11i)のピッチ方向と直交する方向に沿って振動面を有するP偏光の光は、導電体膜パターンの第2領域11fをほとんど透過することなく反射される。
一方、クロムドットパターンが形成された導電体膜パターンの第1領域11eでは、偏光状態に依存することなく光の透過率は一定である。こうして、導電体膜パターンの第1領域11eでは、S偏光状態の第1パルス光に対する透過率もP偏光状態の第2パルス光に対する透過率もともに40%である。しかしながら、導電体膜パターンの第2領域11fでは、S偏光状態の第1パルス光に対する透過率は40%であるが、P偏光状態の第2パルス光に対する透過率は2%と非常に小さくなる。すなわち、導電体膜パターンの第2領域11fは、入射する光束の偏光状態に応じて透過率が異なるパターン領域である。
したがって、S偏光状態の第1パルス光が共通の光変調素子11に入射すると、図14に示すように、結像光学系4の像面位置に設定された被処理基板5の表面上には、図3(b)に示す光強度分布に類似した山形(両側がV字型となる)の光強度分布(1回目の光強度分布)が形成される。すなわち、変調位相領域11bの占有面積率が50%であるA断面位置に対応して光強度が最も小さく、変調位相領域11bの占有面積率が0%であるA断面位置に対応して光強度が最も大きいV字型の光強度分布が形成される。なお、図14には、A断面方向に沿って連成される複数のV字型光強度分布のうち、位相パターンの繰り返し単位領域11dに対応する山型の光強度分布を示している。
一方、P偏光状態の第2パルス光が共通の光変調素子11に入射すると、上述したように、導電体膜パターンの第1領域11eは光が良好に透過するが、導電体膜パターンの第2領域11fは光がほとんど透過しない。その結果、図15に示すように、被処理基板5の表面上には、図14に示す山型の光強度分布の中央部分だけに概ね対応するようなほぼ中央ピーク形状の光強度分布(2回目の光強度分布)が形成される。
こうして、第3実施形態においても第1実施形態および第2実施形態と同様に、2回目のほぼ中央ピーク形状の光強度分布に対応する温度分布の追加により、熱拡散や潜熱放出の影響に抗してV字型の温度分布の高温領域(山形の温度分布の頂上)における経時的な温度勾配の平坦化が補償される。その結果、第3実施形態においても、結晶成長の最終段階における熱拡散や潜熱放出の影響を抑えて、結晶核からの十分な結晶成長を実現して大粒径の結晶粒の結晶化半導体を生成することができる。
上述の各実施形態では、図5(b)に示すように、光変調素子(1,10,11)に対する第1パルス光の照射と光変調素子(2,10,11)に対する第2パルス光の照射との間に20nsecの時間間隔を確保している。しかしながら、両パルス光の照射タイミングは、これに限定されることなく、たとえば図16(a)に示すように光変調素子(1,10,11)に対する第1パルス光の照射と光変調素子(2,10,11)に対する第2パルス光の照射とを時間的にほぼ連続させてもよい。また、図16(b)に示すように第1パルス光の照射と第2パルス光の照射とを時間的に一部重複させてもよい。上記実施形態において、第1の実施形態は1回目照射の光強度分布と2回目照射の光強度分布と異なる分布の光束を照射した例である。第2および第3の実施形態は、同一光強度分布の光束を照射した例である。
図17は、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域に電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。図17(a)に示すように、透明の絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなど)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNおよび膜厚100nmのSiO2積層膜など)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi,Ge,SiGeなど)および不図示のキャップ膜82a(例えば、膜厚30nm〜300nmのSiO2膜など)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板5を準備する。そして、本実施形態にしたがう結晶化装置を用いて、非晶質半導体膜82の表面の予め定められた領域に、レーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。
こうして、図17(b)に示すように、大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84が生成される。次に、キャップ膜82aをエッチングにより除去した後、図17(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。さらに、図17(d)に示すように、ゲート絶縁膜上にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)をイオン注入する。その後、窒素雰囲気でアニール処理(例えば、450°Cで1時間)を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85にソース領域91、ドレイン領域92を形成する。次に、図17(e)に示すように、層間絶縁膜89を成膜してコンタクト穴をあけ、チャネル90でつながるソース91およびドレイン92に接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図17(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の位置に合わせて、チャネル90を形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。こうして製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
前記実施の形態では、第1光変調素子として位相変調素子を使用しているけれども、間に山形の単位光強度分布を規定するように並んだV字形の光強度分布を被照射面で形成するように、入射光を、例えば、透過、反射、屈折並びに/もしくは回折するように変調可能な光学素子であれば、これに限定されることはない。同様に第2光変調素子も、入射光を前記山形の単位光強度部分の頂部に対応した強度ピーク値を有する光強度分布を被照射面で有するように光学変調できれば、位相変調素子に限定されない。
1,2 光変調素子
3,3A,3B 照明系
3a ビームエキスパンダ
3b,3d フライアイレンズ
3c,3e コンデンサー光学系
4 結像光学系
4c 開口絞り
5 被処理基板
6 基板ステージ
7,32 ビームスプリッター
31 KrFエキシマレーザ光源
33,37 照明光学系
34 遅延光学系
41,43 整形光学系
51,53 偏光ビームスプリッター
3,3A,3B 照明系
3a ビームエキスパンダ
3b,3d フライアイレンズ
3c,3e コンデンサー光学系
4 結像光学系
4c 開口絞り
5 被処理基板
6 基板ステージ
7,32 ビームスプリッター
31 KrFエキシマレーザ光源
33,37 照明光学系
34 遅延光学系
41,43 整形光学系
51,53 偏光ビームスプリッター
Claims (18)
- 入射する第1光束の強度を変調して非単結晶体上で第1光強度分布を有するようになる光束を非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第1光変調素子と、
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有するようになる光束を前記非単結晶体上に照射させて、非単結晶体を溶融させるための第2光変調素子と、
前記第1光強度分布を有する光束の照射により前記非単結晶体が部分的に溶融している期間内に、前記第2光強度分布の光束を前記非単結晶体の前記溶融している部分に入射させるための照明系とを具備する結晶化装置。 - 入射する第1光束の強度を変調して、間に山形の単位光強度分布を規定するように隣り合った少なくとも2つのV字型の単位強度分布を有する光強度分布を非単結晶体上で有するようになる第1の光束を非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第1光変調素子と、
入射する第2光束の強度を変調して非単結晶体上で第2光強度分布を有するようになる第2の光束を前記非単結晶体に照射させて、非単結晶体を溶融するための第2光変調素子と、
前記第1の光束の照射開始から所定時間だけ遅れて前記第2の光束を前記第1の光束により溶融されている非単結晶の部分に照射させるための照明系とを具備する結晶化装置。 - 前記照明系は、照明光束を射出するための光源と、該光源から射出された光束を前記第1の光束と第2の光束とに分割するためのビームスプリッターと、該ビームスプリッターからの第1の光束を前記第1光変調素子へ導くための第1光学系と、前記第1光学系よりも長い光路長を有し、前記ビームスプリッターからの第2の光束を前記第2光変調素子へ導くための第2光学系とを有する請求項1または2に記載の結晶化装置。
- 前記第1光変調素子と前記第2光変調素子とは共通の単一の光変調素子であり、
前記照明系は、第1の角度分布を有する前記第1の光束を前記共通の光変調素子に入射させた後に、前記第1の角度分布とは実質的に異なる第2の角度分布を有する前記第2の光束を前記共通の光変調素子に入射させる請求項1または2に記載の結晶化装置。 - 前記照明系は、照明光束を射出するための光源と、該光源から射出された光束を前記第1と第2の光束に分割するためのビームスプリッターと、該ビームスプリッターからの第1の光束を整形して所定位置まで導くための第1整形光学系と、前記第1整形光学系よりも長い光路長を有し前記ビームスプリッターからの第2の光束を整形して所定位置まで導くための第2整形光学系と、前記所定位置に配置されて前記第1整形光学系を介した光束の光路と前記第2整形光学系を介した光束の光路とを合成するための光路合成素子と、該光路合成素子と前記共通の光変調素子との間に配置された共通の照明光学系とを有する請求項4に記載の結晶化装置。
- 前記第1並びに第2の光束は、夫々第1並びに第2の互いに異なる偏光状態を有し、また、前記第1光変調素子と前記第2光変調素子とは共通の単一の光変調素子であり、
前記照明系は、第1の偏光状態を有する前記第1光束を前記共通の光変調素子に入射させた後に、前記第2の偏光状態を有する前記第2光束を前記共通の光変調素子に入射させる請求項1または2に記載の結晶化装置。 - 前記照明系は、照明光束を射出するための光源と、該光源から射出された光束をS偏光成分の第1の光束とP偏光成分の第2の光束に分割するための偏光ビームスプリッターと、該ビームスプリッターで反射されたS偏光の第1の光束を所定位置まで導くための第1光学系と、前記第1光学系よりも長い光路長を有し前記ビームスプリッターを透過したP偏光の第2の光束を前記所定位置まで導くための第2光学系と、前記所定位置に配置されて前記第1光学系を介したS偏光の光束の光路と前記第2光学系を介したP偏光の光束の光路とを合成するための光路合成素子と、該光路合成素子と前記共通の光変調素子との間に配置された共通の照明光学系とを有する請求項6に記載の結晶化装置。
- 前記共通の光変調素子は、前記第1の偏光状態を有する前記第1の光束に対する透過率と前記第2の偏光状態を有する前記第2の光束に対する透過率とが実質的に異なるパターン領域を含んでいる請求項6に記載の結晶化装置。
- 前記第1光変調素子および前記第2光変調素子と前記非単結晶体との間に配置され、第1並びに第2の光束を非単結晶体に照射させる共通の結像光学系をさらに備えている請求項1または2に記載の結晶化装置。
- 所定の光強度分布を有する光束を非単結晶体に照射して結晶化体を生成する結晶化方法において、
第1光強度分布を有する第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記第1照射工程により前記非単結晶体が溶融している時間内に、前記第1光強度分布とは実質的に異なる第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の溶融している部分に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法。 - 所定の光強度分布を有する光束を非単結晶体に照射して結晶化体を生成する結晶化方法において、
間に山形の単位光強度分布を規定するように隣り合った少なくとも2つのV字型の単位強度分布を有する光強度分布を非単結晶体上で有するようになる第1の光束を前記非単結晶体に照射する第1照射工程と、
前記山形の単位光強度分布の頂部に対応して、前記非単結晶体に形成された高温領域における経時的な温度勾配の平坦化を補償するために、前記第1照射工程の開始から所定時間だけ遅れて第2光強度分布を有する光束を前記非単結晶体の高温領域に照射する第2照射工程とを具備する結晶化方法。 - 前記第1照射工程では、第1光変調素子を介して変調された第1の光束を前記非単結晶体に照射し、
前記第2照射工程では、前記第1光変調素子とは変調特性の異なる第2光変調素子を介して変調された第2の光束を前記非単結晶体に照射する請求項10または11に記載の結晶化方法。 - 前記第1照射工程では、共通の光変調素子に第1の光束を入射させ、前記共通の光変調素子を介して位相変調された第1の光束を前記非単結晶体に照射し、
前記第2照射工程では、前記第1の光束とは特性の異なる第2の光束を前記共通の光変調素子に入射させ、前記共通の光変調素子を介して位相変調された光束を前記非単結晶体に照射する請求項10または11に記載の結晶化方法。 - 請求項1もしくは2に記載の結晶化装置または請求項10もしくは11に記載の結晶化方法を用いて製造されたデバイス。
- 入射する光束の偏光状態に応じて透過率が異なるパターン領域と、位相変調領域とを含んでいる光変調素子。
- 入射する第1の光束の位相を変調して得られた第1光強度分布の第1の光束を非単結晶体上に形成するための光変調素子と、
この光変調素子を介して第1の光束が照射された非単結晶体が部分的に溶融している期間内に前記第1光強度分布のピーク位置と同一ピーク位置を有する第2光強度分布を有する第2の光束を前記非単結晶体の前記第1光強度分布の光束による照射部に入射させるための照明系とを具備する結晶化装置。 - 前記第1光強度分布の光束は、最小値から最大値まで前記非単結晶体の融点以上の光強度を有し、
前記第2光強度分布の光束は、少なくとも最大値部の光束が前記非単結晶体の融点以上の光強度を前記非単結晶体に形成する請求項16に記載の結晶化装置。 - 請求項1もしくは2に記載の結晶化装置または請求項10もしくは11に記載の結晶化方法を用いてチャネル領域が形成された薄膜トランジスタを有する表示装置。
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