JP2006080490A - 光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイス - Google Patents

光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 所望の逆ピーク状の光強度分布を所望する位置に安定的に形成することができ、且つ半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することのできる結晶化装置。
【解決手段】 180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子(1)と、光変調素子を照明するための照明光学系(10)と、光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系(4)とを備えている。照明光学系は、位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で光変調素子を照明する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、およびデバイスに関する。特に、本発明は、所定の光強度分布を有するレーザ光を非単結晶半導体膜に照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に関するものである。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal-Display:LCD)の表示画素を選択するスイッチング素子などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)は、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)や多結晶シリコン(poly-Silicon)を用いて形成されている。
多結晶シリコンは、非晶質シリコンよりも電子または正孔の移動度が高い。したがって、多結晶シリコンを用いてトランジスタを形成した場合、非晶質シリコンを用いて形成する場合よりも、スイッチング速度が速くなり、ひいてはディスプレイの応答が速くなる。また、周辺LSIを薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを減らせるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺回路をディスプレイに組み入れる場合に、それらの周辺回路をより高速に動作させることができる。
多結晶シリコンは結晶粒の集合からなるため、例えばTFTトランジスタを形成した場合、チャネル領域に結晶粒界が形成され、この結晶粒界が障壁となり単結晶シリコンに比べると電子または正孔の移動度を低くする。また、多結晶シリコンを用いて形成された多数の薄膜トランジスタは、チャネル部に形成される結晶粒界数が各薄膜トランジスタ間で異なり、これがバラツキとなって液晶表示装置であれば表示ムラの問題となる。そこで、最近、電子または正孔の移動度を向上させ且つチャネル部における結晶粒界数のバラツキを少なくするために、少なくとも1個のチャネル領域を形成できる大きさの大粒径の結晶化シリコンを生成する結晶化方法が提案されている。
従来、この種の結晶化方法として、非単結晶半導体膜(多結晶半導体膜または非単結晶半導体膜)と平行に近接させた位相シフターにエキシマレーザ光を照射して結晶化半導体膜を生成する「位相制御ELA(Excimer Laser Annealing)法」が知られている。位相制御ELA法の詳細は、たとえば非特許文献1に開示されている。
表面科学Vol.21, No.5, pp.278-287, 2000
位相制御ELA法では、位相シフターの位相シフト部に対応する点において光強度が周辺よりも低い逆ピークパターン(中心において光強度が最も低く周囲に向かって光強度が急激に増大するパターン)の光強度分布を発生させ、この逆ピーク状の光強度分布を有する光を非単結晶半導体膜に照射する。その結果、被照射領域内において光強度分布に応じて溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い点に対応して最初に凝固する部分もしくは溶融しない部分に結晶核が形成され、その結晶核から周囲に向かって結晶が横方向に成長(以降、「ラテラル成長」とよぶ)することにより大粒径の単結晶粒が生成される。
さらに、位相シフターの位相段差により生成された逆ピーク状の光強度分布の光束を非単結晶半導体膜に照射することにより結晶の成長開始点の位置決めを行うことが、たとえば非特許文献2に開示されている。また、非特許文献2には、位相段差の位相差(位相量)を適宜設定することにより、逆ピーク状の光強度分布におけるボトムピーク(逆ピーク点)における光強度を最適に調整する技術が記載されている。
M. Jyumonji 他, "Arrays of Large Si Grains Grown at Room Temperature for x-Si TFTs", SID 04 Digest, pp.434, 2004
上述したように、非特許文献2によれば、逆ピーク状の光強度分布におけるボトムピーク値は、位相段差の位相差により決定される。具体的に、図16(a)に示すように、位相差が180度の位相段差191aを有する位相シフター191を用いると、結像光学系のフォーカス位置(結像面)に形成される逆ピーク状の光強度分布は、図16(c)に示すように、破線で示す位相段差に対応する線191bに対して左右対称であり、そのボトムピーク192における光強度はほぼ0である。また、結像光学系のフォーカス位置から上下に微小移動したデフォーカス位置において形成される逆ピーク状の光強度分布も、図16(b)および(d)に示すようにほぼ左右対称であり、そのボトムピーク192における光強度は僅かに0から上昇するものの非常に小さい。
このように、位相差が180度の位相シフターを用いる場合、デフォーカス方向に依存することなく光強度分布の対称性が維持されるので、深い焦点深度を実現することができる。しかしながら、ボトムピークにおける光強度が非常に小さいため、その近傍のある程度の面積の領域では結晶成長開始強度(結晶成長が開始する光強度)以下となる。その結果、ボトムピークの近傍は、アモルファスの状態のままで変化しないか、もしくは溶融してもポリシリコンまたは微細結晶の状態にとどまり、目的とする大粒径の結晶となる部分の面積率(すなわち結晶粒の充填率)を高めることができない。ここで、充填率とは、逆ピーク状の光強度分布を有する光を照射したときの照射面に対する結晶化領域の割合である。
代わって、図17(a)に示すように、位相差が60度の位相段差193aを有する位相シフター193を用いると、結像光学系のフォーカス位置に形成される逆ピーク状の光強度分布は、図17(c)に示すように、破線で示す位相段差に対応する仮想線193bに対してほぼ左右対称であり、そのボトムピーク192における光強度はある程度大きくなる。これに対し、結像光学系のフォーカス位置から上下に微小移動したデフォーカス位置では、図17(b)および(d)に示すように、形成される逆ピーク状の光強度分布の対称性は大きく崩れ、そのボトムピークの位置がシフト(移動)する。なお、結像光学系のフォーカス位置に保持される被処理基板には、デフォーカスの原因となる板厚偏差が不可避的に存在する。
このように、位相差が60度の位相シフターを用いると、位相差が180度の位相シフターを用いるよりも、ボトムピークにおける光強度が大きくなって結晶成長開始強度に近づくため、結晶化領域を広くすることができる。しかしながら、位相差が60度の位相シフターでは、フォーカス位置から上下したデフォーカス位置での光強度分布の対称性が大きく崩れる。しかも、図17(b)の光強度分布と図17(d)の光強度分布とでは、デフォーカス方向に依存して対称性の崩れ方が逆になるので、焦点深度が浅く(狭く)なってしまう。
さらに、デフォーカスによりボトムピークの位置が面内でシフトするので、生成される結晶粒の位置も所望する位置からシフトしてしまい、この結晶粒を用いて回路を形成する場合に問題になる。すなわち、所望する位置に結晶粒が形成できない場合、トランジスタのチャネル部の中に結晶粒の境界が入ることとなり、トランジスタの特性が劣化することになる。本発明において用いる位相の定義を、図18を参照して説明する。平面波が入射した場合の位相シフター直後の波面を考え、光の進行方向にシフトしている場合その領域を「位相進み」側の領域とし、逆に光源側にシフトしている場合その領域を「位相遅れ」側の領域と定義する。位相シフターが凹凸形状により形成されている場合、その段差の両側において凸の側が位相遅れの側、凹の側が位相進みの側となる。凹凸形状以外の位相シフターに対してもこの定義を適用できる。また、用いる結像光学系の解像度以下の微細パターンで位相を制御する方法も考えられるが、その場合は像面に形成される位相分布に対して同様の定義を適用すればよい。また、位相シフターの説明において位相値を用いる場合に、その値は位相進みの方向を正とする。例えば、+90度は位相進みを、−90度は位相遅れを意味する。ちなみに、ボトムピークのシフト方向は、結像光学系から離れるデフォーカス位置では位相段差の位相進みの側(位相シフター193の図中右側)であり、結像光学系へ近づくデフォーカス位置では位相段差の位相遅れの側(位相シフター193の図中左側)である。
また、位相差が60度の位相シフターを用いると、図17(b)および(d)に示すように、デフォーカス位置での逆ピーク状の光強度分布において、ボトムピークの両側にあるピークのうちの片側のピーク強度が持ち上がって大きく増大する。その結果、この片側のピーク位置において半導体膜がアブレーションにより破壊されてしまうという不都合もある。ちなみに、ピーク強度が大きく増大する側は、結像光学系から離れるデフォーカス位置では位相段差の位相遅れの側(位相シフター193の図中左側)であり、結像光学系へ近づくデフォーカス位置では位相段差の位相進みの側(位相シフター193の図中右側)である。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、所望の逆ピーク状の光強度分布を所望する位置に安定的に形成することができ、且つ半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することのできる結晶化装置および結晶化方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子と、
前記光変調素子を照明するための照明光学系と、
前記光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、
前記照明光学系は、前記位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明することを特徴とする光照射装置を提供する。
第1形態の好ましい態様によれば、前記光変調素子は、0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、前記照明光学系は、前記位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう成分を含む方向に沿って前記光変調素子を照明する。あるいは、前記光変調素子は、180度よりも実質的に大きく360度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、前記照明光学系は、前記位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう成分を含む方向に沿って前記光変調素子を照明することが好ましい。
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記照明光学系は、前記光変調素子の光入射側に配置されたくさび状プリズムを有する。あるいは、前記照明光学系は、射出瞳またはその近傍に配置された開口絞りを有し、該開口絞りの開口部は光軸に対して偏心していることが好ましい。また、前記光変調素子は、前記位相段差の段差線の方向に沿って強度が変化する光強度分布を形成するための位相変調パターンを有することが好ましい。また、前記位相段差は、前記結像光学系の点像分布範囲での位相変調量のベクトル的平均値の差により形成されていることが好ましい。
本発明の第2形態では、第1形態の光照射装置と、前記所定面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化装置を提供する。
本発明の第3形態では、第1形態の光照射装置を用いて、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化方法を提供する。
本発明の第4形態では、第2形態の結晶化装置または第3形態の結晶化方法を用いて製造されたことを特徴とするデバイスを提供する。
本発明の第5形態では、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子と、
前記光変調素子を照明するための照明光学系と、
前記光変調素子により位相変調された光に基づいて少なくとも1つのピークパターンを有する、ラテラル方向の光強度分布を照射面に形成するための結像光学系とを備え、
前記照明光学系は、前記位相段差の段差線に対してラテラル方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明する光照射装置を提供する。
本発明の典型的な態様にしたがう結晶化装置では、光変調素子の位相段差の段差線と直交する方向に傾いた照明光で光変調素子を照明するので、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子を用いても、たとえば逆ピーク状の光強度分布の対称性がデフォーカス方向に依存することなく良好に維持され、ひいては深い焦点深度を実現することができる。その結果、本発明では、所望の逆ピーク状の光強度分布を所望する位置に安定的に形成することができ、且つ半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、図1の照明光学系の内部構成を概略的に示す図である。図1および図2を参照すると、本実施形態の結晶化装置は、入射光束を位相変調して所定の光強度分布を有する光束を形成するための位相シフター(光変調素子)1と、位相シフターを照明するための照明光学系10と、結像光学系4と、被処理基板5を保持するための基板ステージ6とを備えている。
位相シフター1は、図3に示すように、一方向に沿って並んだ4つの位相領域1a〜1dからなる単位パターンをラテラル方向に(図面で左右方向に)繰り返し配置することにより構成されている。具体的に、位相シフター1の単位パターンは、基準の位相値を有する第1位相領域1aと、第1位相領域1aに対して+90度の位相値(第1位相領域1aでの位相変調量を0度と基準化したときの相対的な位相差)を有する第2位相領域1bと、第1位相領域1aに対して+180度の位相値を有する第3位相領域1cと、第1位相領域1aに対して+270度の位相値を有する第4位相領域1dとが、図中右側から左側に向かって順に隣り合って並んで構成されている。
したがって、位相シフター1の単位パターンに対して平行光が垂直に入射したときには、第1位相領域1aを通過した光の位相を基準にすると、第2位相領域1bを通過した光は90度だけ位相が進み、第3位相領域1cを通過した光は180度だけ位相が進み、第4位相領域1dを通過した光は270度だけ位相が進むことになる。換言すれば、2つの任意の位相領域間に形成される位相段差において、図中右側から図中左側へ位相が順次90度だけ進む。各位相領域1a〜1dは、その単位パターンの繰り返し方向に沿って同じ幅寸法wを有する。
照明光学系10は、照明光学系本体2と、この照明光学系本体2と位相シフター1との間で位相シフター1の直前に配置されたくさび状プリズム3とにより構成されている。光学系本体2は、たとえば248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源2aを備えている。光源2aとして、XeClエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のような被結晶化処理体を溶融するエネルギー光線を出射する性能を有する他の適当な光源を用いることもできる。光源2aから供給されたレーザ光は、ビームエキスパンダ2bを介して拡大された後、第1フライアイレンズ2cに入射する。
こうして、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面には複数の小光源が形成され、これらの複数の小光源からの光束は、第1コンデンサー光学系2dを介して、第2フライアイレンズ2eの入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ2eの後側焦点面には、第1フライアイレンズ2cの後側焦点面よりも多くの複数の小光源が形成される。第2フライアイレンズ2eの後側焦点面に形成された複数の小光源からの光束は、第2コンデンサー光学系2fおよびくさび状プリズム3を介して、位相シフター1を重畳的に照明する。このくさび状プリズム3の構成および作用については後述する。
第1フライアイレンズ2cおよび第1コンデンサー光学系2dは、第1ホモジナイザを構成し、この第1ホモジナイザにより光源2aから供給されたレーザ光について、位相シフター1上での入射角度に関する均一化が図られる。また、第2フライアイレンズ2eおよび第2コンデンサー光学系2fは第2ホモジナイザを構成し、この第2ホモジナイザにより第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について、位相シフター1上での面内各位置での光強度に関する均一化が図られる。
こうして、照明光学系10は、ほぼ均一な光強度分布を有するレーザ光により位相シフター1を照射する。この位相シフター1に入射し、位相シフター1で位相変調されたレーザ光は、結像光学系4を介して、被処理基板5に入射する。ここで、結像光学系4は、位相シフター1の位相パターン面と被処理基板5とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被処理基板5は、位相シフター1の位相パターン面と光学的に共役な面(結像光学系4の像面)に設定されている。
結像光学系4は、正レンズ群4aと、正レンズ群4bと、これらレンズ群との間に配置された開口絞り4cを備えている。開口絞り4cの開口部(光透過部)の大きさ(ひいては結像光学系4の像側開口数NA)は、被処理基板5の半導体膜上において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。結像光学系4は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
被処理基板5は、基板上に、下層絶縁膜、半導体薄膜、上層絶縁膜の順に成膜することにより構成されている。すなわち、被処理基板5は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラスのような透明基板の上に化学気相成長法(CVD)により下地絶縁膜、非単結晶膜例えば非晶質シリコン膜およびキャップ膜が順次形成されたものである。下地絶縁膜およびキャップ膜は、絶縁膜例えばSiO2である。下地絶縁膜は、非晶質シリコン膜とガラス基板が直接接触してNaなどの異物が非晶質シリコン膜に混入するのを防止し、非晶質シリコン膜の熱が直接ガラス基板に伝熱されるのを防止する。
非晶質シリコン膜は、結晶化される半導体膜である。キャップ膜は、非晶質シリコン膜に入射する光ビームの一部により加熱され、この加熱された温度を蓄熱する。この蓄熱効果は、光ビームの入射が遮断されたとき、非晶質シリコン膜の被照射面において高温部が相対的に急速に降温するが、この降温勾配を緩和させ、大粒径の横方向の結晶成長を促進させる。被処理基板5は、真空チャックや静電チャックなどにより基板ステージ6上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持されている。
前述したように、従来技術では、位相差が180度とは実質的に異なる位相段差を有する位相シフター、たとえば位相差が60度の位相段差を有する位相シフターを用いると、結像光学系4のデフォーカス位置に形成される逆ピーク状の光強度分布の対称性は大きく崩れ、且つそのボトムピークの位置がシフトする。以下、図4(a)並びに(b)を参照して、位相シフター1の位相段差における位相差が180度とは実質的に異なる場合に、結像光学系4に対するデフォーカスに応じてボトムピークの位置がシフトする原因について説明する。
まず、照明光学系本体2と位相シフター1との間に、前述したくさび状のプリズム3が介在しない状態を想定し、位相シフター1に入射する照明光が位相シフター1に垂直な平行光であるものと近似する。これは、コヒーレント結像と呼ばれる状態である。また、結像光学系4のデフォーカス位置における結像を考えるにあたり、位相シフター1の直後の三次元的な光強度分布(図4(a)中破線で示す)を求め、その三次元的な光強度分布が結像光学系4により、被照射面(被処理基板5の半導体膜)の直後に結像されるものと考える。被照射面直前の三次元的光強度分布は、図17(b)並びに(d)を参照して説明したように被照射面直後の三次元的光強度分布と対称になる。これらの仮定や近似が十分な精度を有することは実施例において示される。
位相シフター1の直後の(光射出面近くの)三次元的光強度分布は、位相物体の境界においてフレネル回折により生じるベッケ線として解析的に求められている。この点については、例えば、鶴田著、「応用光学I」、培風館、P172〜175、1990などの文献を参照することができる。この内容は、ここで組み入れられる。これによれば、180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差の直後に形成される三次元的光強度分布は、位相段差の位置から低屈折率側もしくは本発明の定義での位相が進む側(位相進み側)にずれた位置に一番暗い部分すなわちボトムピークを有する(図4(b)を参照)。
また、位相段差の位置を基準としたボトムピークの位置ずれ量xは、位相シフター1からの距離zの平方根に比例して大きくなる。尚、この距離を考えるのにあたり、位相シフターの段差は、充分に薄いものとみなせる。すなわち、位相段差1aからのボトムピークの位置ずれ量xは、次の式(1)により表される。なお、式(1)において、λは使用光の波長であり、zは三次元的光強度分布の位相シフター1からの距離であり、ω0は位相段差の位相差により決まる一定の値であってボトムピークに対応する値である。
x=ω0×(λ・z/2)1/2 (1)
例えば、位相段差の位相差が90度であるとき、ベッケ線の解析結果より、ω0=0.37の位置においてボトムピークになる。したがって、λ=0.248μmとし、z=10μmとした場合、位相段差からのボトムピークの位置ずれ量はx=0.41μmとなる。図5には、使用光の波長をλ=0.248μmに固定し且つ位相段差の位相差を30度、60度、90度にそれぞれ設定したときのボトムピークの位置ずれ量xと三次元的光強度分布の位相シフター1からの距離zとの関係を計算して示す。
本実施形態では、照明光学系本体2と位相シフター1との間の光路中において、位相シフター1に近接してくさび状のプリズム3を配置している。そして、図6(b)に示すように、くさび状のプリズム3の作用により、矢印aで示すプリズム3に垂直に入射した光線を位相シフター1の位相段差の段差線と直交する方向に傾いた、矢印bで示す光線にし、この照明光で位相シフター1を照明することにより、デフォーカスによるボトムピークの位置ずれを実質的に回避している。図6(a)は、比較のためにくさび状のプリズム3を配置していない状態を示す。以下、傾いた照明光によりボトムピークの位置ずれが実質的に回避される点について説明する。
フレネル回折の一般的な特性として、光変調素子である位相シフター1に入射する照明光の角度を垂直からθだけ傾けることにより、回折像は次の式(2)の換算座標(xm)に置き換えた形状に変化する。
m=x−tanθ・z (2)
すなわち、位相シフター1から距離zの位置に形成される光強度分布は、照明光が傾いて進行するラテラル方向に(tanθ・z)で現される距離だけ横ずれする。従って、照明光の傾き角θをラテラル方向と平行な面内で調整することにより、デフォーカスによるボトムピークの位置ずれを補正することが可能となる。この場合、距離zの全ての値に対してボトムピークの位置を位相シフター1の位相段差の段差線の位置と一致させることが望ましいが、暗部領域(逆ピークパターンのピーク近くの領域)は湾曲しているために不可能である。
ただし、目標距離z0を決めて、その距離z0においてボトムピークの位置を位相シフター1の位相段差の段差線の位置と一致させることにより−z0〜+z0の範囲で大まかな補正が可能となる。この補正に必要な照明光の最適入射角度θ0は、次の式(3)を満足し、次の式(4)で表される。
m=x0−tanθ0・z0=0 (3)
θ0=tan-1[ω0・{λ/(2・z0)}1/2] (4)
具体的に、位相シフター1の位相段差の位相差が90度の場合、ω0=0.37であるから、λ=0.248μmとし、z0=10μmとすると、照明光の最適入射角度はθ0=2.4度(0.041rad(ラジアン))となる。同じ条件(λ=0.248μm,z0=10μm)における位相シフター1の位相段差の位相差(度)と照明光の最適入射角度θ0(度)との関係を図7に示す。
前述したように、0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差の直後に形成される三次元的光強度分布では、位相段差の位置から(位相段差に対応する仮想線から)位相進み側にボトムピークがシフトする。したがって、この場合、デフォーカスによるボトムピークの位置ずれを補正するには、位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう成分を含む方向に沿って位相シフター1を照明すればよい。一方、180度よりも実質的に大きく360度よりも実質的に小さい位相差の位相段差の直後に形成される三次元的光強度分布では、位相段差の位置から位相遅れ側にボトムピークがシフトする。したがって、この場合、デフォーカスによるボトムピークの位置ずれを補正するには、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう成分を含む方向に沿って位相シフター1を照明すればよい。
以上の説明では、照明光の最適入射角度θ0を求める際に、結像光学系4が等倍光学系であると想定している。一般に、倍率がM分の1の結像光学系を用いる場合には、結像光学系の像面側に換算した同様の計算により照明光の最適入射角度θ0’を求め、求めた角度θ0’の値をM分の1倍することにより、実際に位相シフター1に照射すべき照明光の傾き角度θ0(=θ0’/M)が得られる。
図6(b)に示すように、光変調素子である位相シフター1の直前にくさび状プリズム(小角プリズムまたはウエッジプリズム)3を設けることにより斜め照明を実現する場合、プリズム角(くさび状プリズム3の頂角)φと垂直入射光線のフレ角θとの間には、次の式(5)に示す関係が成立する。
θ≒φ(n−1) (5)
ここで、nは、くさび状プリズム3を形成する光学材料の屈折率である。具体的に、位相シフター1の位相段差の位相差が90度の場合における照明光の最適入射角度θ0=2.4度に等しいフレ角θを確保するには、くさび状プリズム3を形成する光学材料の屈折率をn=1.508として、φ=4.8度のプリズム角を有するくさび状プリズム3を用いればよいことがわかる。
本実施形態では、具体的な数値に基づく実施例において、本発明の効果を検証した。本実施例では、光の波長が248nm(=0.248μm;エキシマレーザ光)であり、結像光学系4の倍率が1倍(等倍)であり、結像光学系4の像側開口数NAが0.13であり、照明シグマ値(コヒーレンスファクター;照明光学系10の開口数/結像光学系4の物側開口数)が0.47である。また、図3に示す位相シフター1において、各位相領域1a〜1dの幅寸法wは5μmである。
さらに、図6(b)に示すように、φ=4.8度のプリズム角を有するくさび状プリズム3を用いることにより、位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう成分を含む方向に傾いたθ=2.4度の入射角度を有する矢印bで示す照明光で位相シフター1を照明した。その結果、本実施例では、被処理基板5の表面上において図8(b)並びに(c)に示すような光強度分布が得られた。一方、比較例では、本実施例と同じ条件において、従来技術にしたがって垂直入射する照明光で位相シフター1を照明した。その結果、比較例では、被処理基板5の表面上において図9(a)並びに(c)に示すような光強度分布が得られた。
垂直照明(図9(a)に矢印aで示す方向からの照明)を用いた比較例の場合、結像光学系4のフォーカス位置に形成される逆ピーク状の光強度分布は、図9(b)に示すようにほぼ左右対称である。しかしながら、結像光学系4のフォーカス位置から10μmだけ下に(結像光学系4から離れる向きに)微小移動したデフォーカス位置では、図9(c)に示すように、形成される逆ピーク状の光強度分布の対称性は大きく崩れ、そのボトムピークの位置が位相段差の位相進みの側へシフトしている。また、垂直照明では、デフォーカスにより、位相遅れの側(図中右側)のピークが大きく増大している。
これに対し、斜め照明すなわち傾斜照明(図8(a)に矢印bで示す方向からの照明)を用いた本実施例の場合、結像光学系4のフォーカス位置に形成される逆ピーク状の光強度分布は、図8(b)に示すようにほぼ左右対称である。また、結像光学系4のフォーカス位置から10μmだけ下に微小移動したデフォーカス位置においても、図8(c)に示すように、形成される逆ピーク状の光強度分布の対称性は良好に維持され、そのボトムピークの位置も実質的にシフトすることなく位相段差の段差線に対応する位置に良好に維持されされている。さらに、斜め照明では、デフォーカスしても逆ピーク状の光強度分布のピークはほとんど増大することなくほぼ一定である。
こうして、本実施例では、被処理基板5の表面上において、位相シフター1の位相段差の段差線に対応する位置の近傍に結晶核を形成し、この結晶核から段差線と直交する方向(ラテラル方向)に結晶成長させることにより、結晶粒を面内に充填することができた。このとき、結像光学系4のフォーカス位置に対して被処理基板5の表面を上下方向に10μmだけデフォーカスさせても、結晶粒の位置がほとんど面内シフトすることなく、またアブレーションにより半導体膜の一部が破壊されることもなかった。
以上のように、本実施形態では、位相シフター1の位相段差の段差線と直交する方向へと傾いた照明光で位相シフター1を照明しているので、180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する位相シフター1を用いても、逆ピーク状の光強度分布の対称性がデフォーカス方向に依存することなく良好に維持され、ひいては深い焦点深度を実現することができる。その結果、所望の逆ピーク状の光強度分布を所望する位置に安定的に形成することができ、且つ半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することができる。
上述の実施形態では、位相シフター1の直前に配置されたくさび状プリズム3の偏角作用により、垂直から所要の角度だけ傾いた照明光で位相シフター1を照明している。このような照明光を形成するのは、上記技術に限定されることはない。例えば、図10に示すように、照明光学系2の射出瞳またはその近傍(すなわち第2フライアイレンズ2eの射出面の近傍)に開口絞り2gを配置する変形例も可能である。この場合、開口絞り2gの開口部(光透過部)2gaを光軸AXに対して所定距離だけ偏心させることにより、垂直から所要の角度θだけ傾いた照明光で位相シフター1を照明することができる。
また、上述の実施形態では、位相段差により逆ピーク状の光強度分布を形成する位相シフター1を用いている。しかしながら、図11に示すように、逆ピーク状の光強度分布を形成する位相シフター(光変調素子)1に加えて、入射光束に基づいて光強度勾配分布を形成するパターンを有する第2光変調素子21を用いることもできる。ここで、第2光変調素子21は、その位相パターン面が位相シフター1の位相パターン面と対向するように配置されている。図11において、位相シフター1の位相段差の段差線はX方向に沿って延びている。
第2光変調素子21は、図12(a)に示すように、各々が結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さいサイズの複数のセル(不図示)を有する。各セルには、たとえば0度の位相値を有する第1領域(図中空白部で示す)21aと、たとえば+90度の位相値を有する第2領域(図中斜線部で示す)21bと、が形成されている。そして、各セル内における第1領域21aと第2領域21bとの占有面積率がセル毎に変化している。具体的には、セル内における第1領域21aの占有面積比は、図中中央のセルにおいて最も50%に近く、図中両側のセルにおいて最も100%に近く、その間においてX方向に沿って単調に変化している。
こうして、第2光変調素子21の作用により、図12(b)に示すように、第1領域21aの占有面積比が最も100%に近い両側位置において最も光強度が大きく、第1領域21aの占有面積比が最も50%に近い中央位置において最も光強度が小さい一次元の(X方向に勾配を有する)V字型の光強度勾配分布が得られる。第2光変調素子21は、例えば石英ガラス基板に所要の段差に対応する厚さ分布を形成することにより製造することができる。石英ガラス基板の厚さの変化は、選択エッチング等により形成することができる。
その結果、図11の変形例では、図13に示すように、第2光変調素子21を介して形成される一次元V字型の光強度勾配分布22aと、位相シフター1を介して形成される逆ピーク状の光強度分布22bとの合成光強度分布、すなわちV字型パターン+逆ピーク状パターンの光強度分布22cが被処理基板5の表面上に形成される。その結果、図11の変形例では、一次元V字型の光強度勾配分布22aにおける光強度の勾配方向(X方向)に沿って結晶核からの十分なラテラル方向の結晶成長を実現して、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
図11の変形例において、結像光学系4によるフォーカスの観点から、位相シフター1の位相パターン面と第2光変調素子21の位相パターン面とができるだけ近接するように配置することが望ましい。例えば、位相シフター1と第2光変調素子21とを貼り合わせて使用しても良い。
上記例では、位相シフター1の後側に第2光変調素子21を配置しているが、これに限定されることなく、第2光変調素子21の後側に位相シフター1を配置することもできる。さらに、位相シフター1と第2光変調素子21とを別々に用いているが、これに限定されることなく、例えば位相シフター1の位相パターンと第2光変調素子21の位相パターンとの合成位相パターンを有する1つの光変調素子を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、位相シフター1の単位パターンにおいて、たとえば0度の位相値を有する平坦な第1位相領域1aと+90度の位相値を有する平坦な第2位相領域1bとの間に、90度の位相差を有する位相段差が形成されている。しかしながら、これに限定されることなく、図14に示すように結像光学系4の点像分布範囲4d(破線の円内の範囲)での位相変調量のベクトル的平均値の差により例えば90度の位相差を有する位相段差を形成する変形例も可能である。ここで、結像光学系4の点像分布範囲とは、点像分布関数において0となる、もしくは0とみなせる線で囲まれた範囲である。一般には、点像分布範囲は、結像光学系4の開口数をNAとし、波長をλとした場合、像面上で半径0.61λ/NAの円で表わされ、位相シフター(光変調素子)1上においては結像光学系4の倍率で割った値になる。
図14の変形例では、たとえば0度の位相値(基準となる位相値)を有する第1位相領域(図中空白部で示す)11aからなる各セル11dの中に、第1位相領域11aに対して+90度の位相値を有する第2位相領域(図中斜線部で示す)11b、または第1位相領域11aに対して−90度の位相値を有する第3位相領域(図中斜線部で示す)11cが形成されている。具体的に、図中右側半分のセルにはすべて第2位相領域11bが形成され、図中左側半分のセルにはすべて第3位相領域11cが形成されている。また、各セルにおける第2位相領域11bの面積占有率および第3位相領域11cの面積占有率はともに50%である。
この場合、図中右側半分の領域において、結像光学系4の点像分布範囲4dでの位相変調量のベクトル的平均値は、次の式(6)から+45度である。一方、図中左側半分の領域において、結像光学系4の点像分布範囲4dでの位相変調量のベクトル的平均値は、次の式(7)から−45度である。したがって、図中右側半分の領域と図中左側半分の領域との境界線31に沿って、位相変調量のベクトル的平均値の差、すなわち+45度と−45度との差により、90度の位相差を有する位相段差が形成されることになる。
0.5×ei0+0.5×ei(π/2)=0.5×21/2×ei(π/4) (6)
0.5×ei0+0.5×ei(-π/2)=0.5×21/2×ei(-π/4) (7)
その結果、図14の変形例にかかる位相パターンを有する光変調素子を斜め照明することにより、位相シフター1を斜め照明する上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。ちなみに、結像光学系4の点像分布範囲4dでの位相変調量のベクトル的平均値すなわち平均位相値Pavは、次の式(8)で定義される。なお、式(8)において、argは位相値を得る関数であり、x,yは位相パターン面での座標であり、θは位相パターン面上のある点での位相である。
Figure 2006080490
次に、図15(a)ないし(e)を参照して、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域に電子デバイスを作製する方法を説明する。図15(a)に示すように、絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなど)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNおよび膜厚100nmのSiO2積層膜など)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi,Ge,SiGeなど)および不図示のキャップ膜82a(例えば、膜厚30nm〜300nmのSiO2膜など)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板5を準備する。そして、本実施形態にしたがう結晶化装置を用いて、非晶質半導体膜82の表面の予め定められた領域に、レーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。
こうして、図15(b)に示すように、大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84が生成される。次に、キャップ膜82aをエッチングにより除去した後、図15(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。さらに、図15(d)に示すように、ゲート絶縁膜上にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)をイオン注入する。その後、窒素雰囲気でアニール処理(例えば、450°Cで1時間)を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85にソース領域91、ドレイン領域92を形成する。次に、図15(e)に示すように、層間絶縁膜89を成膜してコンタクト穴をあけ、チャネル90でつながるソース91およびドレイン92に接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図15(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の位置に合わせて、チャネル90を形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。こうして製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
なお、上述の説明では、非単結晶半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般的に結像光学系を介して所定の光強度分布を所定面に形成する光照射装置に対して本発明を適用することができる。また、位相シフターとくさび状のプリズムとは、離して配置しても、接触させて配置しても良い。さらに、位相シフターの一面を他の面に対して所定角度を有する傾斜面とれば、必ずしも、別個のくさび状のプリズムは使用しなくても良い。
本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。 図1の照明光学系の内部構成を概略的に示す図である。 図1の位相シフターの一部の構成を概略的に示す図である。 デフォーカスに応じてボトムピークの位置がシフトする原因について説明する図である。 ボトムピークの位置ずれ量xと三次元的光強度分布の位相シフターからの距離zとの関係を示す図である。 傾いた照明光を位相シフターに照射することによりボトムピークの位置ずれが実質的に回避されることを説明するための図である。 位相段差の位相差(度)と照明光の最適入射角度θ0(度)との関係を示す図である。 本実施形態の実施例における斜め照明により被処理基板の表面上に形成された光強度分布を説明するための図である。 従来技術にしたがう垂直照明により被処理基板の表面上に形成された光強度分布を説明するための図である。 位相シフターを斜め照明する構成の変形例を概略的に示す図である。 入射光束に基づいて光強度勾配分布を形成する第2光変調素子を付設した変形例を示す図である。 (a)は図11の変形例における第2光変調素子のパターンを示す図であり、(b)はこの第2の光変調素子を使用した場合に得られる光強度分布を示す図である。 図11の変形例において形成されるV字型の光強度勾配分布と逆ピーク状の光強度分布との合成光強度分布を示す斜視図である。 変形例にかかる光変調素子の構成を概略的に示す図である。 本実施形態の結晶化装置を用いて電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。 位相差が180度の位相シフターを用いたときに結像光学系を介して形成される逆ピーク状の光強度分布を説明するための図である。 位相差が60度の位相シフターを用いたときに結像光学系を介して形成される逆ピーク状の光強度分布を説明するための図である。 位相シフターの「位相遅れ」および「位相進み」の定義を説明する図である。
符号の説明
1 位相シフター
1a〜1d 位相シフターの各位相領域
2 照明光学系本体
2a 光源
2b ビームエキスパンダ
2c,2e フライアイレンズ
2d,2f コンデンサー光学系
2g 開口絞り
3 くさび状プリズム
4 結像光学系
4c 開口絞り
5 被処理基板
6 基板ステージ

Claims (11)

  1. 180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子と、
    前記光変調素子を照明するための照明光学系と、
    前記光変調素子により位相変調された光に基づいて所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、
    前記照明光学系は、前記位相段差の段差線とほぼ直交する方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明することを特徴とする光照射装置。
  2. 前記光変調素子は、0度よりも実質的に大きく180度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、
    前記照明光学系は、前記位相段差の位相進みの側から位相遅れの側へ向かう成分を含む方向に沿って前記光変調素子を照明することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記光変調素子は、180度よりも実質的に大きく360度よりも実質的に小さい位相差の位相段差を有し、
    前記照明光学系は、前記位相段差の位相遅れの側から位相進みの側へ向かう成分を含む方向に沿って前記光変調素子を照明することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
  4. 前記照明光学系は、前記光変調素子の光入射側に配置されたくさび状プリズムを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射装置。
  5. 前記照明光学系は、射出瞳またはその近傍に配置された開口絞りを有し、該開口絞りの開口部は光軸に対して偏心していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射装置。
  6. 前記光変調素子は、前記位相段差の段差線の方向に沿って強度が変化する光強度分布を形成するための位相変調パターンを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光照射装置。
  7. 前記位相段差は、前記結像光学系の点像分布範囲での位相変調量のベクトル的平均値の差により形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光照射装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光照射装置と、前記所定面に非単結晶半導体膜を保持するためのステージとを備え、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光照射装置を用いて、前記所定面に保持された非単結晶半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化方法。
  10. 請求項8に記載の結晶化装置または請求項9に記載の結晶化方法を用いて製造されたことを特徴とするデバイス。
  11. 180度と実質的に異なる位相差の位相段差を有する光変調素子と、
    前記光変調素子を照明するための照明光学系と、
    前記光変調素子により位相変調された光に基づいて少なくとも1つのピークパターンを有する、ラテラル方向の光強度分布を照射面に形成するための結像光学系とを備え、
    前記照明光学系は、前記位相段差の段差線に対してラテラル方向に傾いた照明光で前記光変調素子を照明する光照射装置。
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