JP2005244195A - 光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、デバイス、および光学変調素子 - Google Patents

光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、デバイス、および光学変調素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 深い焦点深度に基づいて所望の逆ピーク状の光強度分布を安定的に形成することができ且つ半導体膜上に形成される結晶粒の充填率を高めることのできる結晶化装置。
【解決手段】 180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が第1間隔で並ぶパターンを有する光学変調素子(1)と、入射光束を偏光状態の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子(2)と、光学変調素子および光束分割素子を介した2つの光束に基づいて、第2間隔だけ互いに離間した2つの光強度分布の合成に対応する所定の逆ピーク状の光強度分布を所定面(5)に形成するための結像光学系(4)とを備えている。第2間隔は、第1間隔の奇数倍に対応している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光照射装置、結晶化装置、結晶化方法、デバイス、および光学変調素子に関する。特に、本発明は、所定の光強度分布を有するレーザ光を多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に関するものである。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal-Display:LCD)の表示画素を選択するスイッチング素子などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)は、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)層や多結晶シリコン(poly-Silicon)層に形成されている。
多結晶シリコン層は、非晶質シリコン層よりも電子または正孔の移動度が高い。したがって、多結晶シリコン層にトランジスタを形成した場合、非晶質シリコン層に形成する場合よりも、スイッチング速度が速くなり、ひいてはディスプレイの応答が速くなる。また、周辺LSIを薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを減らせるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺回路は、ディスプレイに組み入れる場合に、それらの周辺回路をより高速に動作させることができる。
多結晶シリコンは結晶粒の集合からなるため、例えばTFTトランジスタを形成した場合チャネル領域に結晶粒界が形成され、この結晶粒界が障壁となり単結晶シリコンに比べると電子または正孔の移動度を低くする。また、多結晶シリコンに形成された多数の薄膜トランジスタは、チャネル部に形成される結晶粒界数が各薄膜トランジスタ間で異なり、これがバラツキとなって、液晶表示装置であれば表示ムラの問題となる。そこで、最近、電子または正孔の移動度を向上させ且つチャネル部における結晶粒界数のバラツキを少なくするために、少なくとも1個のチャネル領域を形成できる大きさの大粒径の結晶化シリコンを生成する結晶化方法が提案されている。
従来、この種の結晶化方法として、多結晶半導体膜または非晶質半導体膜と平行に近接させた位相シフターにエキシマレーザ光を照射して結晶化半導体膜を生成する「位相制御ELA(Excimer Laser Annealing)法」が知られている。位相制御ELA法の詳細は、たとえば非特許文献1に記載されている。
表面科学Vol.21, No.5, pp.278-287, 2000
位相制御ELA法では、位相シフターの位相シフト部に対応する点において光強度が周辺よりも低い逆ピークパターン(中心において光強度が最も低く周囲に向かって光強度が急激に増大するパターン)の光強度分布を発生させ、この逆ピーク状の光強度分布を有する光を非単結晶半導体膜(多結晶半導体膜または非晶質半導体膜)に照射する。その結果、被照射領域内において光強度分布に応じて溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い点に対応して最初に凝固する部分もしくは溶融しない部分に結晶核が形成され、その結晶核から周囲に向かって結晶が横方向に成長(以降、「ラテラル成長」もしくは「ラテラル方向成長」とよぶ)することにより大粒径の単結晶粒が生成される。
従来、さらに、非特許文献2に記載された大粒径の結晶化方法がある。非特許文献2では、たとえばV字型の光強度勾配分布を形成するパターンを有する素子、および逆ピーク状の光強度最小分布を形成するパターンを有する素子を、ともにSiO2の基板に位相段差を設けることにより実現している。そして、互いに重ね合わせた2枚の素子に被処理基板を近接させた状態でエキシマレーザ光を照射することにより、被処理基板上に結晶化半導体膜を生成している。
また、非特許文献3に記載された大粒径の結晶化方法がある。非特許文献3では、たとえばV字型の光強度勾配分布を形成するパターンを有する素子を光吸収材料SiONxの厚み分布により実現し、逆ピーク状の光強度最小分布を形成するパターンを有する素子をSiO2の位相段差により実現している。これら2つの素子は、1枚の基板に積層形成されている。そして、この1枚の素子基板に被処理基板を近接させた状態でエキシマレーザ光を照射することにより、被処理基板上に結晶化半導体膜を生成している。
M. NAKATA and M. MATSUMURA, "Two-Dimensionally Position-Controlled Ultra-Large Grain Growth Based on Phase-Modulated Excimer-Laser Annealing Method", Electrochemical Society Proceeding Volume 2000-31, page 148-154 井上,中田,松村,「シリコン薄膜の振幅・位相制御エキシマレーザ溶融再結晶化法−新しい2−D位置制御大結晶粒形成法−」,電子情報通信学会論文誌,社団法人電子情報通信学会,2002年8月,第J85−C巻,第8号,p.624−629
従来技術は位相段差が180度であったが、以下のような不都合があった。
位相シフター191と被処理基板の間に結像光学系を設けて、位相シフター191の像を結像光学系により被処理基板の所定面に結像させる結晶化装置において、結像光学系を介して被処理基板上に形成される逆ピーク状の光強度分布における最小光強度(逆ピーク点における光強度)192は、位相シフター191の段差193によって得られる位相差に依存する。図29(b)に示すように、段差193による位相差が180度の位相シフターを用いたとき、結像光学系のフォーカス位置(結像面)に形成される逆ピーク状の光強度分布は左右対称であり、その最小光強度はほぼ0である。
また、結像光学系のフォーカス位置から上下に微小移動したデフォーカス位置においても、形成される逆ピーク状の光強度分布は、図29(a)および(c)に示すように左右対称であり、その最小光強度は僅かに上昇するものの非常に小さい光強度である。このように、180度の位相シフターを用いる場合、デフォーカス方向に依存することなく光強度分布の対称性が維持されるので、深い焦点深度を実現することができる。しかしながら、逆ピーク点における最小光強度が非常に小さいため、最小光強度の照射領域は溶融せず結晶化されない領域(結晶成長の開始点よりも光強度の小さい領域)がある程度大きくなり、結晶粒の充填率を高めることができないという不都合があった。即ち、最小光強度により照射されたとき発生する被照射面の温度が、融点近傍の温度になるように最小光強度を選択することにより、照射面のほとんどを溶融させることができ、結晶化領域を広くすることが可能となる。
所望する位相差を有する位相シフター191を形成するための段差は、レーザ光の波長をλ、透明基材の屈折率nとしたとき、λ/2(n−1)で求められる。石英基材の屈折率を1.46、XeC1エキシマレーザ光の波長が308nmで、180°の位相差を付けるためには334.8nmの段差をエッチング等の方法で形成することができる。位相差が60度となるように段差193を選択した位相シフターを用いたとき、結像光学系のフォーカス位置に形成される逆ピーク状の光強度分布は、図30(b)に示すように、左右対称であり、その最小光強度はある程度大きくなっている。これに対し、結像光学系のフォーカス位置から上下に微小移動したデフォーカス位置では、図30(a)および(c)に示すように、形成される逆ピーク状の光強度分布の対称性は大きく崩れ、その最小光強度(逆ピーク点)の位置が移動する。なお、被処理基板には、デフォーカスの原因となる板厚偏差が不可避的に存在する。
このように、位相差が60度の位相シフター191は、位相差が180度の位相シフターより、逆ピーク点における最小光強度がある程度大きくなるため、結晶化領域を広げることができる。しかしながら、フォーカス位置から上下したデフォーカスでの光強度分布は、対称性が大きく崩れ、しかも図30(a)と(b)の光強度分布では、デフォーカス方向に依存して対称性の崩れ方が逆になるので、焦点深度が浅く(狭く)なってしまう。また、デフォーカスにより逆ピーク点の位置が面内で移動するので、生成される結晶粒の位置も所望する位置からシフトしてしまい、この結晶粒に回路を形成する場合に問題になるという不都合があった。即ち、所望する位置に結晶粒が形成できない場合、トランジスタのチャネル部から結晶粒がずれるため、トランジスタの特性が劣化する課題があった。
また、位相差が180度の位相シフターを用いるときも、60度の位相シフターを用いるときも、たとえばフォーカス状態の逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側には図中破線の円で示すように光強度分布が上に凸状の不要なピーク形状が発生する。即ち、この不要なピーク形状は、高光強度部分である。逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側または片側にピーク形状があると、そのピーク形状部分だけ光強度が大きくなるため、アブレーションが発生して半導体膜が破壊されるという不都合があった。また、逆ピーク状の光強度分布を被処理基板に照射して結晶化半導体膜を生成する場合、逆ピーク部分から開始した結晶成長がピーク形状部分の下り勾配部分で停止してしまうため、大粒径の結晶を生成することができないという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、所望の逆ピーク状の光強度分布を所望する位置に安定的に形成することができ、且つ半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することのできる結晶化装置および結晶化方法を提供することを目的とする。また、本発明は、アブレーションを発生させることなく結晶成長させることのできる結晶化装置および結晶化方法を提供することを目的とする。充填率とは、逆ピーク状の光強度分布を有する光を照射したときの、照射面に対する結晶化領域の割合である。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、180度と実質的に異なる位相段差が第1間隔で並ぶパターンを有する光学変調素子と、この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子と、第2間隔だけ互いに離間した2つの光強度分布の合成に対応する所定の逆ピーク状の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、前記第2間隔は、前記第1間隔の奇数倍に対応していることを特徴とする光照射装置を提供する。また、本発明の第2形態では、複数の位相段差(位相差が実質的に180度の位相段差を除く)が設けられてなり、入射光束を位相変調して逆ピーク状の光強度分布を形成するための光学変調素子と、この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの逆ピーク状光強度分布の光束に分割するための光束分割素子と、前記光学変調素子および/又は前記光束分割素子を介した光束に基づいて、互いに離間した2つの逆ピーク状光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを具備し、前記2つの逆ピーク状光強度分布の離間距離を前記位相段差間に相当する間隔の奇数倍にすることを特徴とする光照射装置を提供する。
本発明の第1形態および第2形態では、180度と実質的に異なる位相差が第1間隔で並ぶパターンを有する光学変調素子と、入射光束を偏光状態の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子との協働作用により、互いに離間した2つの逆ピーク状の光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布を所定面に形成する。この場合、所定面に形成される逆ピーク状の光強度分布はデフォーカスの影響をほとんど受けない。その結果、本発明の光照射装置を結晶化装置に適用した場合、深い焦点深度に基づいて所望の逆ピーク状の光強度分布を安定的に形成することができ、且つ基板の半導体膜上に形成される結晶粒の充填率を高めることができる。
本発明の第3形態では、複数の位相段差(位相差が実質的に180度の位相段差を除く)が設けられてなり、入射光束を位相変調して逆ピーク状の光強度分布を形成するための光学変調素子と、
この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子と、
第2間隔だけ互いに離間した2つの光強度分布の合成に対応する所定の逆ピーク状の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、
隣り合う2つの位相段差の間隔は、前記逆ピーク状の光強度分布を形成する第1基準間隔と前記逆ピーク部を形成しない第1補正間隔との間で前記位相段差の方向に沿って変化し、
前記第2間隔は、前記第1基準間隔の奇数倍に対応していることを特徴とする光照射装置を提供する。
第3形態の好ましい態様によれば、前記隣り合う2つの位相段差の間隔は、前記位相段差の方向に沿って増減している。また、前記隣り合う2つの位相段差の第1補正間隔と前記第1基準間隔との差の絶対値に対応する前記所定面上の補正量Cは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、C≦0.5×λ/NAの条件を満足することが好ましい。
第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、前記光学変調素子は、前記逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えるために、前記位相段差の近傍に設けられた光遮蔽領域を有する。この場合、前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状光遮蔽領域を有することが好ましい。この場合、前記線状光遮蔽領域の中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NAの条件を満足することが好ましい。
また、第1形態〜第3形態では、前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立光遮蔽領域を有することが好ましい。この場合、前記複数の孤立光遮蔽領域の中心を結ぶ中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NAの条件を満足することが好ましい。
あるいは、第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、前記光学変調素子は、前記逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えるために、前記位相段差の近傍に設けられた位相変調領域を有する。この場合、前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状位相変調領域を有することが好ましい。この場合、前記線状位相変調領域の中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NAの条件を満足することが好ましい。
また、第1形態〜第3形態では、前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立位相変調領域を有することが好ましい。この場合、前記複数の孤立位相変調領域の中心を結ぶ中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NAの条件を満足することが好ましい。また、前記位相段差の一方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量と前記位相段差の他方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量とは絶対値がほぼ等しく且つ符号が異なることが好ましい。
また、第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、隣接する2つの位相段差の間に形成された位相領域は交互に異なる基準位相値を有し、各位相領域には、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ前記基準位相値と異なる第1位相値を有する第1領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布が形成され、隣接する2つの位相領域の間で、前記第1領域の位相変調量の絶対値がほぼ等しく且つその符号が異なる。この場合、前記補正量Cは、前記占有面積率が50%に最も近い位置で極小になっていることが好ましい。
また、第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、前記光束分割素子は、前記光学変調素子と前記結像光学系との間または前記結像光学系と前記所定面との間に配置された複屈折素子を有する。この場合、前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対して所定の角度をなすように設定された複屈折性の平行平面板を有することが好ましい。あるいは、前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板からなるサバール板を有することが好ましい。あるいは、前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板と、該一対の平行平面板の間に設けられた1/2波長板とを有することが好ましい。
また、第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、前記光束分割素子は、前記結像光学系の瞳面またはその近傍に配置された複屈折素子を有する。この場合、前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の偏向プリズムからなるウォラストンプリズムを有することが好ましい。また、前記複屈折素子は、水晶、方解石、またはフッ化マグネシウムにより形成されていることが好ましい。
また、第1形態〜第3形態の好ましい態様によれば、前記光束分割素子により分割された2つの光束の強度が互いにほぼ等しくなるように、前記光束分割素子への入射光束の偏光状態を制御するための制御素子をさらに備えている。この場合、前記制御素子は、前記光束分割素子の入射側に配置された1/4波長板を有することが好ましい。
本発明の第4形態では、第1形態〜第3形態の光照射装置を備え、前記所定面に設定された多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化装置を提供する。
本発明の第5形態では、第1形態〜第3形態の光照射装置を用いて、前記所定面に設定された多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化方法を提供する。
本発明の第6形態では、第4形態の結晶化装置または第5形態の結晶化方法を用いて製造されたことを特徴とするデバイスを提供する。
本発明の第7形態では、180度と実質的に異なる位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
隣り合う2つの位相段差の間隔は前記位相段差の方向に沿って増減していることを特徴とする光学変調素子を提供する。
本発明の第8形態では、180度と実質的に異なる位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
隣り合う2つの位相段差の間に形成された位相領域は交互に異なる基準位相値を有し、
各位相領域には、前記基準位相値と異なる第1位相値を有する第1領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布が形成され、
隣り合う2つの位相領域の間で、前記第1領域の位相変調量の絶対値がほぼ等しく且つその符号が逆であることを特徴とする光学変調素子を提供する。
本発明の第9形態では、180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
前記位相段差の近傍に設けられた光遮蔽領域を有することを特徴とする光学変調素子を提供する。
第9形態の好ましい態様によれば、前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状光遮蔽領域を有する。あるいは、前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立光遮蔽領域を有することが好ましい。
本発明の第10形態では、180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
前記位相段差の近傍に設けられた位相変調領域を有することを特徴とする光学変調素子を提供する。
第10形態の好ましい態様によれば、前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状位相変調領域を有する。あるいは、前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立位相変調領域を有することが好ましい。また、前記位相段差の一方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量と前記位相段差の他方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量とは絶対値がほぼ等しく且つ符号が異なることが好ましい。
本発明の結晶化装置および結晶化方法によれば、半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することができる。また、アブレーションを発生させることなく結晶成長させることができる。本発明の結晶化装置および結晶化方法では、180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が第1間隔で並ぶパターンを有する光学変調素子と、入射光束を偏光状態の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子との協働作用により、互いに離間した2つの逆ピーク状の光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布を半導体膜基板の表面に形成する。この場合、半導体膜基板にはデフォーカスの原因となる板厚偏差が不可避的に存在するが、半導体膜基板の表面に形成される逆ピーク状の光強度分布はデフォーカスの影響をほとんど受けない。その結果、本発明の結晶化装置および結晶化方法では、深い焦点深度に基づいて所望の逆ピーク状の光強度分布を安定的に形成することができ、且つ基板の半導体膜上に形成される結晶粒の充填率を高めることができる。
また、本発明の結晶化装置および結晶化方法では、位相段差の近傍に設けられた光遮蔽領域または位相変調領域を有する光学変調素子を用いることにより、逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えた所望の逆ピーク状の光強度分布を多結晶半導体膜または非晶質半導体膜上に形成することができる。その結果、ピーク形状に起因するアブレーションの発生により半導体膜が破壊されることがなくなる。また、逆ピーク部分から開始した結晶成長がピーク形状部分で停止することなく、大粒径の結晶を生成することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、図1の照明系の内部構成を概略的に示す図である。図1および図2を参照すると、本実施形態の結晶化装置は、透光性基板に複数の段差(位相差が実質的に180度の段差を除く)が設けられてなり、入射光束を位相変調して逆ピーク状の光強度分布を形成するための光学変調素子1と、非干渉性でかつ異なる2つの光束に分割する手段例えば入射光束を偏光状態の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子2(例えば複屈折素子)と、上記光学変調素子1および/又は前記光束分割素子2を介した光束に基づいて、互いに離間した2つの逆ピーク状光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、上記2つの逆ピーク状光強度分布の離間距離を上記段差間に相当する間隔の奇数倍にすることを特徴とする。
なお、光学変調素子1は、例えば位相シフターであり、そのパターン面(段差を有する面)が光束分割素子2と対向するように光束分割素子2と近接して配置されている。光学変調素子1は、透過光強度分布の最小光強度が0に近い位相差180度を避け、最小光強度を被単結晶化基板の融点近傍に設定できるように構成される。光束分割素子2は、光学変調素子1により形成された逆ピーク状の光強度分布を非干渉性でかつ離間した異なる2つの光束に分割する。この離間距離は、上記段差間に相当する間隔の奇数倍にすることにより、左右対称で、最小光強度が被単結晶化基板の融点近傍に設定できる逆ピーク状の光強度分布を得るものである。左右対称で、最小光強度が被単結晶化基板の融点近傍に設定できる逆ピーク状の光強度分布は、同一粒径でかつ大粒径の結晶化領域を安定に形成することを可能にする。この光強度分布は、照射部全域を融点近傍の温度に設定できるので、半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することができる。また、アブレーションを発生させることなく結晶成長させることができる。光学変調素子1および光束分割素子2は、一体に構成してもよい。
次に、光学変調素子1および光束分割素子2の構成および作用については各実施例を参照して後述する。また、本実施形態の結晶化装置は、光学変調素子1を照明するための照明系3を備えている。照明系3は、被結晶化処理体を溶融するエネルギーを有する光線を出射する光源と、ほぼ均一な入射角および光強度分布を出射するホモジナイザとからなる。光源は、たとえば図2に示す光学系で248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源3aを備えている。なお、光源3aとして、XeClエキシマレーザ光源やYAGレーザ光源のような被結晶化処理体を溶融するエネルギー光線を出射する性能を有する他の適当な光源を用いることもできる。
光源3aから供給されたレーザ光は、ビームエキスパンダ3bを介して拡大された後、第1フライアイレンズ3cに入射する。こうして、第1フライアイレンズ3cの後側焦点面には複数の光源が形成され、これらの複数の光源からの光束は第1コンデンサー光学系3dを介して、第2フライアイレンズ3eの入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ3eの後側焦点面には、第1フライアイレンズ3cの後側焦点面よりも多くの複数の光源が形成される。第2フライアイレンズ3eの後側焦点面に形成された複数の光源からの光束は、第2コンデンサー光学系3fを介して、光学変調素子1を重畳的に照明する。
ここで、第1フライアイレンズ3cおよび第1コンデンサー光学系3dは、第1ホモジナイザを構成し、この第1ホモジナイザにより光源3aから供給されたレーザ光について光学変調素子1上での入射角度に関する均一化が図られる。また、第2フライアイレンズ3eおよび第2コンデンサー光学系3fは第2ホモジナイザを構成し、この第2ホモジナイザにより第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について光学変調素子1上での面内各位置での光強度に関する均一化が図られる。こうして、照明系3は、ほぼ均一な光強度分布を有するレーザ光により光学変調素子1を照射する。
光学変調素子1で位相変調されたレーザ光は、光束分割素子2、結像光学系4を介して、被処理基板5に入射される。ここで、光束分割素子2は、光学変調素子1により形成された逆ピーク状の光強度分布を非干渉性でかつ離間した、異なる2つの光束に分割する。この離間距離は、光学変調素子1を構成する段差間に相当する間隔の奇数倍にする。この離間距離は、左右対称で、最小光強度が被単結晶化基板の融点近傍に設定できる逆ピーク状の光強度分布を得るための距離である。左右対称で、最小光強度が被単結晶化基板の融点近傍に設定できる逆ピーク状の光強度分布は、同一粒径(均一性)でかつ大粒径の結晶化領域を安定に形成することを可能にする。この光強度分布は、照射部全域を融点近傍の温度に設定できるので、半導体膜に高い充填率で結晶粒を形成することができる。また、アブレーションを発生させることなく結晶成長させることができる。結像光学系4は、光学変調素子1のパターン面と被処理基板5とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被処理基板5は、光学変調素子1のパターン面と光学的に共役な面(結像光学系4の像面)に設定されている。結像光学系4は、正レンズ群4aと正レンズ群4bとの間に開口絞り4cを備えている。
開口絞り4cは、開口部(光透過部)の大きさの異なる複数の開口絞りを有し、これらの複数の開口絞り4cは光路に対して交換可能に構成されていてもよい。あるいは、開口絞り4cは、開口部の大きさを連続的に変化させることのできる虹彩絞りを有していてもよい。いずれにしても、開口絞り4cの開口部の大きさ(ひいては結像光学系4の像側開口数NA)は、後述するように、被処理基板5の半導体膜上において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。なお、結像光学系4は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
また、被処理基板5は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラスの上に化学気相成長法(CVD)により下地絶縁膜、非晶質シリコン膜およびキャップ膜が順次形成されたものである。下地絶縁膜およびキャップ膜は、絶縁膜例えばSiO2である。下地絶縁膜は、非単結晶膜例えば非晶質シリコン膜とガラス基板が直接接触してNaなどの異物が非晶質シリコン膜に混入するのを防止し、非晶質シリコン膜の溶融温度が直接ガラス基板に伝熱されるのを防止する。非晶質シリコン膜は、結晶化される半導体膜である。キャップ膜は、非晶質シリコン膜に入射する光ビームの一部により加熱され、この加熱された温度を蓄熱する。この蓄熱効果は、光ビームの入射が遮断されたとき、非晶質シリコン膜の被照射面において高温部が相対的に急速に降温するが、この降温勾配を緩和させ、大粒径の横方向の結晶成長を促進させる。被処理基板5は、真空チャックや静電チャックなどにより基板ステージ6上において予め定められた所定の位置に位置決めされて保持されている。
以下、本実施形態の各実施例において、光の波長λは248nmであり、結像光学系4の像側開口数NAは0.13であり、結像光学系4のσ値は0.47であり、結像光学系4の倍率は例えば1/5である(必要に応じて拡大光学系でもよい)。また、光学変調素子1のパターンの寸法は、結像光学系4の像側に換算した値、すなわち像側換算値で示されている。また、第2実施例〜第5実施例では、光学変調素子1の構成だけが第1実施例と異なっており、その他の構成は第1実施例と同様である。
[第1実施例]
図3は、第1実施例における光学変調素子の構成および作用を説明する図である。第1実施例の光学変調素子1は、透明体からなり図3(a)に示すように、たとえば位相値が0度の矩形状の領域1aと位相値が60度の矩形状の領域1bとが一方向に沿って交互に繰り返される位相差60度のライン型位相シフターである。こうして、2つの矩形状の領域1aと1bとの間には、60度の位相差線(位相の境界線:位相シフト線)1cが形成されている。そして、光学変調素子1の全体では、位相差線1cが所定ピッチ例えば像側換算値で5μmのピッチ(実際には25μmのピッチ)で形成されている。位相差線(位相の境界線:位相シフト線)1cとは、透明体に形成された段差であり、この段差は、光強度に周期的な空間分布(逆ピーク光強度分布)を付与する。
したがって、光束分割素子2が介在されない場合、結像光学系4のフォーカス位置(像面)に設定された被処理基板5の表面には、図3(b)に示すように、光学変調素子1の位相差線1cに対応する線領域において光強度が最小で周囲に向かって光強度が急激に増大する左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。これに対し、結像光学系4のフォーカス位置から僅か例えば10μmだけ移動したデフォーカス位置に設定された被処理基板5の表面には、図3(c)に示すように、光学変調素子1の位相差線1cに対応する線領域から位置ずれした線領域において光強度が最小で周囲に向かって光強度が急激に増大する左右非対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。光学変調素子1は、上記式により例えば石英ガラス基板に所要の位相差に対応する厚さ分布を形成することにより製造することができる。石英ガラス基板の厚さの変化は、選択エッチングやFIB(Focused Ion Beam)加工により高精度に形成することができる。
図4は、各実施例における光束分割素子の構成および作用を説明する図である。図4(a)を参照すると、各実施例の光束分割素子2は、例えばその結晶光学軸2aが光軸に対して所定の角度θをなすように設定された複屈折性の平行平面板からなる複屈折素子2Eである。複屈折素子2Eを形成する複屈折性の光学材料として、たとえば水晶、方解石、フッ化マグネシウムなどを用いることができる。
図4(a)に示すように、たとえばランダム偏光状態の光線Gが光軸と平行に複屈折素子2Eに入射すると、図4(a)の紙面に垂直な方向を偏光方向とする直線偏光状態の光線すなわち正常光線oは複屈折素子2Eの屈折作用を受けることなく直進して、光軸と平行に射出される。一方、図4(a)の紙面における水平方向を偏光方向とする直線偏光状態の光線すなわち異常光線eは、複屈折素子2Eの入射界面で屈折されて光軸とφの角度をなす方向に進んだ後、複屈折素子2Eの射出界面で屈折されて光軸と平行に射出される。この現象は広く知られたものであり、例えば、辻内順平著、朝倉書店出版の「光学概論II」の第5章や、工藤恵栄および上原富美哉著、現代工学社出版の「基礎光学<光線光学・電磁光学>」などに詳述されている。
このとき、複屈折素子2Eから光軸と平行に射出される正常光線oと異常光線eとの距離すなわち分離幅(離間距離)dは、複屈折素子2Eを形成する光学材料の種類、結晶光学軸との方向、切り出し方、複屈折素子2の光軸方向の寸法すなわち厚さなどに依存する。即ち、分離幅(離間距離)dは、複屈折素子2Eを構成する材料と厚さにより決定され、上記光変調素子1に形成される間隔の奇数分の1の関係で選択される。図4(b)は光変調素子1上の1点が、複屈折素子2Eにより、二点に分離されて観察される様子を示した図である。なお、複屈折素子2Eによる分離幅dは結像光学系4の物体側における値であり、結像光学系4の像面における分離幅は、分離幅dに結像光学系4の倍率1/5を乗じた値になる。
一軸結晶材料により形成された平行平面板状の複屈折素子2に垂直に光線を入射させた場合の分離幅dは、次の式(1)により表わされる。
d=tanφ×t (1)
ただし、tanφ=(no2−ne2)sinθ・cosθ/(ne2cos2θ+no2sin2θ)
なお、式(1)において、noは正常光線oの屈折率であり、neは異常光線eの屈折率である。また、上述したように、φは異常光線eと入射界面の法線(すなわち光軸)との角度であり、θは結晶光学軸2aと入射界面の法線との角度であり、tは複屈折素子2Eの厚さである。
一例として、248nmの波長を有する光およびθ=45度に設定された人工水晶製の複屈折素子2Eを用いる場合、分離幅d=25μmを得るに必要な複屈折素子2の厚さtを求めてみると、波長248nmの光に対する人工水晶の屈折率はne=1.6124,no=1.6016であるから、t=3697μmとなる。各実施例では、複屈折素子2Eとして、人工水晶により形成され且つ結晶光学軸の角度θが45度に設定された厚さtが3697μmの平行平面板を用いている。したがって、複屈折素子2Eによる分離幅dは25μmであり、結像光学系4の像面における分離幅は5μmである。
図5は、第1実施例における光学変調素子1と光束分割素子2との協働作用を説明する図である。上述したように、図1に示す結晶化装置において複屈折素子2Eが介在しない場合、結像光学系4のフォーカス位置に設定された被処理基板5の表面には、図3(b)に示すように、光学変調素子1の位相差1cに対応する線領域において光強度が最小で周囲に向かって光強度が急激に増大する左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。また、図4に示す複屈折素子2Eを図1に示す結晶化装置に介在させた場合、入射光束が偏光状態の異なる非干渉性の2つの光束に分割されるので、被処理基板5の表面には互いに離間した2つの逆ピーク状の光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布が形成されることになる。
このとき、複屈折素子2Eへの入射光束がランダム偏光状態であれば、複屈折素子2Eを介して分割された2つの光束の強度が互いにほぼ等しくなる。また、複屈折素子2Eを介して分割された2つの光束が被処理基板5の表面で重ね合わされるとき、2つの光束は互いに干渉しないので単純に光強度の和として合成される。上述したように、第1実施例では、光学変調素子1の段差1cが5μm(像側換算値)のピッチで形成され、被処理基板5の表面における2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔(すなわち結像光学系4の像面における分離幅)も5μmである。
換言すれば、被処理基板5の表面に結像される複屈折素子2Eにより分割された2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔は、光学変調素子1の位相差線1cの間隔に対応(一般には位相差線1cの間隔の奇数倍に対応)するように設定される。この実施形態は、奇数倍の倍数が1の実施例であり、他の3、5、7・・・などでもよい。したがって、フォーカス状態では、正常光線oにより形成される逆ピーク状の光強度分布(図5(a))と異常光線eにより形成される逆ピーク状の光強度分布(図5(b))とが完全に重なり合うだけである。その結果、最終的には複屈折素子2Eの影響を受けることなく、図3(b)に示すように、光学変調素子1の位相差線1cに対応する線領域において光強度が最小で周囲に向かって光強度が急激に増大する左右対称な逆ピーク状の光強度分布(図5(c))が被処理基板5の表面に形成される。
一方、複屈折素子2が介在しない場合、結像光学系4のデフォーカス位置に設定された被処理基板5の表面には、図3(c)に示すように、光学変調素子1の位相差線1cに対応する線領域から位置ずれした線領域において光強度が最小で周囲に向かって光強度が急激に増大する左右非対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。複屈折素子2Eを介した光束は、入射光束が偏光状態の異なる非干渉性の2つの光束に分割されるので、被処理基板5の表面に、互いに離間した2つの左右非対称な逆ピーク状の光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布が形成することになる。
すなわち、デフォーカス状態では、図5(a)に示すような正常光線oにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布と、図5(b)に示すような異常光線eにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布とが形成されることになる。ここで、図5(a)に示す左右非対称な逆ピーク状の光強度分布と図5(b)に示す左右非対称な逆ピーク状の光強度分布とは、複屈折素子2Eの作用により5μmだけ位置ずれしている。また、図3(c)において隣接する2つの逆ピーク状の光強度分布は、隣接する2つの位相差線1cの中間線に対応する線領域に関して反転対称になっており、その中間線に対応する線領域のピッチも5μmである。
したがって、デフォーカス状態では、正常光線oにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布と、異常光線eにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布との合成により、図5(c)に示すように左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成されることになる。なお、デフォーカス状態において被処理基板5の表面に形成される逆ピーク状の光強度分布では、光強度の最小になる逆ピーク点が位相差線1cに対応する線領域から位置ずれすることはなくなる。図5(c)には、図3(a)の光学変調素子1の断面図を示し、位相差線1cと点線により関連付けて示されている。
以上のように、第1実施例では、位相差が60度(位相差が180度と実質的に異なる)位相シフトパターンの光学変調素子1を用いているので、被処理基板5の表面に形成される逆ピーク状の光強度分布における逆ピーク点の最小光強度は0よりもある程度大きい値になる。照射領域の総て又はほとんどの領域を溶融領域に設定できる。また、被処理基板5にはデフォーカスの原因となる板厚偏差が不可避的に存在するが、光学変調素子1と光束分割素子2との協働作用により、被処理基板5の表面に形成される逆ピーク状の光強度分布はデフォーカスの影響をほとんど受けることなく左右対称である。その結果、第1実施例では、深い焦点深度に基づいて所望の逆ピーク状の光強度分布を安定的に形成することができ、且つ被処理基板5の半導体膜上に形成される結晶粒の充填率を高めることができる。
なお、上述の第1実施例において、複屈折素子2Eを光学変調素子1の近傍に配置している。しかしながら、これに限定されることなく、複屈折素子2Eを光学変調素子1と被処理基板5との間に配置することにより、上述の複像効果を有効に発生させることができる。具体的には、図37に示すように、複屈折素子2Eを光学変調素子1と結像光学系4との間に配置するか、あるいは結像光学系4と被処理基板5との間に配置することが望ましい。
また、複屈折素子2Eの光入射面を表面加工することにより所望する位相差を得るための段差を設けて、複屈折素子2Eの機能と光学変調素子1の機能とを一体化することも可能である。即ち、光学変調手段と光束分割手段とを一体に形成してもよい。
また、上述の第1実施例では、複屈折素子2Eが1枚の複屈折性の平行平面板により構成されているので、正常光線oと異常光線eとで光路長が異なる。このため、複屈折素子2Eを介して分割された2つの光束の間に位相差が生じ、この2つの光束の結像位置が光軸方向に分離する。この問題を回避するための、光束分割素子2として、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板からなるサバール(Savart)板を用いることができる。
図6を参照すると、サバール板20を構成する一対の平行平面板20aと20bとは互いに同じ厚さを有し、その結晶光学軸が光軸と約45度の角度をなすようにそれぞれ設定されている。すなわち、第2平行平面板20bは、第1平行平面板20aを光軸廻りに90度回転させた状態にある。サバール板20では、図6に示すように正常光線oと異常光線eとの光路長が同じになるので、上述したような位相差による結像位置の分離問題は発生しない。
あるいは、位相差による結像位置の分離問題を回避するために、光束分割素子として、いわゆるフランコン(Francon)によるサバール板の変形を用いることができる。図7を参照すると、フランコンによるサバール板の変形例に基づく複屈折素子21は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板21aおよび21bと、この一対の平行平面板21aと21bとの間に設けられた1/2波長板21cとにより構成されている。
複屈折素子21を構成する一対の平行平面板21aと21bとは互いに同じ厚さを有し、その結晶光学軸が光軸と約45度の角度をなすようにそれぞれ設定されている。すなわち、第1平行平面板21aと第2平行平面板21bとは、1/2波長板21cに関して対称に配置されている。また、1/2波長板21cを介して、正常光線oが異常光線eに変換され、異常光線eが正常光線oに変換される。その結果、複屈折素子21では、図7に示すように正常光線oと異常光線eとの光路長が同じになるので、上述したような位相差による結像位置の分離問題は発生しない。
また、上述の第1実施例では、光束分割素子2として、光学変調素子1の近傍に配置された複屈折素子2Eを用いている。しかしながら、これに限定されることなく、図8に示すように、複屈折素子2Eに代えて、結像光学系4の瞳面またはその近傍に配置された複屈折素子22を用いることができる。この複屈折素子22は、図9に示すように、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の偏光プリズム22aおよび22bからなるウォラストンプリズムである。
ここで、第1偏光プリズム22aの結晶光学軸は図9の紙面において水平に設定され、第2偏光プリズム22bの結晶光学軸は図9の紙面に垂直に設定されている。すなわち、結晶光学軸が互いに直交する一対の偏光プリズム22aと22bとにより平行平面板状のウォラストンプリズム22が構成されている。ウォラストンプリズム22は、入射光を偏光状態の異なる2つの光束、すなわち図9の紙面に垂直な方向を偏光方向とする直線偏光状態の光束と、図9の紙面に平行な方向を偏光方向とする直線偏光状態の光束とに分離する。
このとき、偏光状態の異なる2つの光束は、入射光に関して対称な偏向角で分離される。ウォラストンプリズム22による2つの光束の分離角θwは、正常光線oの屈折率をnoとし、異常光線eの屈折率をneとするとき、次の式(2)で表わされる。
sinθw=2(ne−no)tanθw{1−(ne−no)2・tan2θw/2+・・・}(2)
光束分割素子2としてウォラストンプリズム22を用いる場合、分離角θwを適宜設定することにより、上述の第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、ウォラストンプリズムと同様に偏光方向により角度分離する光束分割素子2としてローションプリズムやセナルモンプリズムがあり、これらも用いることができる。また、右回り偏光と左回り偏光に角度分離する素子としてフレネルの(多重)プリズムがあるが、これも用いることができる。なお、これらの光束分割素子2やサバール板などは、これを通すことにより物体が二つに見えるため総称して複像子と呼ばれている。
また、上述の第1実施例では、図10(a)に示すように、ランダム偏光状態の光束が複屈折素子2Eに入射し、複屈折素子2Eにより分割される2つの光束の強度が互いにほぼ等しくなる場合を想定している。しかしながら、複屈折素子2Eに入射する光束の偏光状態に偏りがあると、複屈折素子2Eにより分割された2つの光束の強度は互いに等しくならない。具体的には、図10(b)に示すように、その紙面に垂直な方向を偏光方向とする直線偏光状態の光束が複屈折素子2Eに入射する場合、入射光束がその偏光状態を維持したまま複屈折素子2Eを直進し、入射光束が分割されなくなってしまう。入射光束が分割とは、正常光線と異常光線とに分離されることであり、分割された光束の光強度は、入射光束の光強度がほぼ同等でもよい。
複屈折素子2Eにより分割される2つの光束の強度が異なると、被処理基板5の表面に形成される逆ピーク状の光強度分布における逆ピーク点の最小光強度が一定にならない。その結果、光強度の異なる2種類の逆ピーク点の近傍から結晶成長が開始することになり、形成される結晶の大きさおよび形状に違いが生じるという問題が発生する。そこで、第1実施例において複屈折素子2に入射する光束の偏光状態に偏りがある場合、複屈折素子2Eにより分割された2つの光束の強度が互いにほぼ等しくなるように、複屈折素子2Eへの入射光束の偏光状態を制御するための制御素子を付設することが好ましい。
複屈折素子2Eへの入射光束の偏光状態を制御するための制御素子として、図10(c)に示すように、複屈折素子2Eの入射側に配置された1/2波長板7を用いることができる。具体的には、図10の紙面に垂直な方向を偏光方向とする直線偏光状態の光束が1/2波長板7に入射する場合、1/2波長板7の作用により光束の偏光方向が光軸廻りに45度回転されて複屈折素子2に入射する。その結果、ランダム偏光状態の光束が複屈折素子2に入射する場合と同様に、複屈折素子2Eにより分割される2つの光束の強度は互いにほぼ等しくなる。なお、1/2波長板7に代えて1/4波長板を用いて直線偏光を円偏光に変換して複屈折素子2Eに入射させることにより、分割された2つの光束の強度を互いにほぼ等しくすることもできる。
[第2実施例]
第1実施例では、複屈折素子2Eで分割された2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔が位相差線1cの間隔に対応しているので、合成により得られた逆ピーク状の光強度分布における逆ピーク点の最小光強度の大きさは一定である。これに対し、図11に示すように、2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔と位相差線1cの間隔とを意図的にずらして、逆ピーク点とその片側のピーク形状位置とを重ね合わせることにより、ピークを実質的に消去したり逆ピークを浅くしたりすることができる。
逆ピークとは、光学変調素子1により形成された最小光強度分布を示す凹曲線である。この凹曲線の最小光強度値が逆ピーク点である。ピーク形状とは、逆ピークパターンの最大光強度を呈する光強度分布曲線である。ピークを実質的に消去することにより、最大光強度がアブレーションが発生する温度以上のときも、アブレーションが発生しない光強度に制御されるとともに、ピーク部で結晶成長が止まるのを回避できるため、結晶成長が継続し、より大きな結晶化を可能にする。逆ピーク点とピーク形状位置との間隔Dは、次の式(3)により近似される。
D≒0.5×λ/NA (3)
本実施形態の各実施例では、前述したようにλが248nmでありNAが0.13であるから、逆ピーク点とピーク形状位置との間隔Dは約1μmである。図12は、第2実施例における光学変調素子1の構成および第2実施例で形成される光強度分布を模式的に示す図である。第1実施例の光学変調素子1では、図3(a)に示すように、位相値が0度の矩形状の領域1aと位相値が60度の矩形状の領域1bとが一方向に沿って交互に繰り返され、60度の位相差1cが像側換算値で5μmのピッチで形成されている。
これに対し、第2実施例の光学変調素子1では、図12(a)に示すように、位相値が0度の領域1dと位相値が60度の領域1eとが一方向に沿って交互に繰り返されているが、結晶化したい位置を二次元的により正確に決定したい場合に好適な実施例である。位相値が0度の領域1dと位相値が60度の領域1eとが一方向に沿って交互に繰り返されている光学変調素子1において、この実施例は例えば位相値が60度の領域1eの幅を例えば5μmの部分(基準間隔)と4μmの部分(補正間隔)とを形成することにより、5μmの部分のみに逆ピークが形成されるようにした例である。基準間隔の形成位置や大きさは、基準間隔の形成位置をトランジスタ回路形成位置や結晶化領域の面積に応じて決定する。即ち、隣接する2つの位相差線1f間の間隔(領域1dおよび1eの幅)はA断面位置において5μmであり、A断面位置から位相差線1fの方向に例えば5μmだけ間隔を隔てたB断面位置において領域1e4μmまたは領域1dが6μmである。すなわち、第2実施例の光学変調素子1では、A断面位置において2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔と位相差線1f間の間隔とが対応している。
しかしながら、A断面位置以外の断面位置においては、光学分割素子2で分割された2つの逆ピーク状の光強度分布間の間隔と位相差線1f間の間隔とがずれており、B断面位置においてそのずれ量が最大で1μmになっている。このように、第2実施例の光学変調素子1では、隣接する2つの位相差線1fの間隔は、第1基準間隔(設計値)である5μmと第1補正間隔である4μmまたは6μmとの間で位相差線1fの方向に沿って増減を繰り返している。そして、隣り合う2つの位相差線1f間の第1補正間隔と第1基準間隔との差の絶対値に対応する補正量Cは、0μm〜1μmであり、次の式(4)を満たしている。
C≦0.5×λ/NA (4)
以上のように、第2実施例では、光学変調素子1のA断面位置において2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔と位相差線1f間の間隔とが対応している。したがって、図12(a)に示す光学変調素子1のA断面位置に対応する被処理基板5の表面位置には、図12(b)に示すように、逆ピーク状の光強度分布が形成される。一方、図12(a)に示す光学変調素子1のB断面位置において2つの逆ピーク状の光強度分布の間隔と位相差線1f間の間隔とが概ね間隔Dだけずらされ、逆ピーク点とその片側のピーク形状位置とが重ね合わされるので、光学変調素子1のB断面位置に対応する被処理基板5の表面位置には、図12(c)に示すように、逆ピークが実質的に消去された光強度分布が形成される。
第2実施例の光学変調素子1では、隣接する2つの位相差線1f間の間隔が第1基準間隔である5μmと第1補正間隔である4μmまたは6μmとの間で位相差線1fの方向に沿って増減を繰り返している。したがって、光学変調素子1のA断面位置に対応する被処理基板5の表面位置において逆ピーク点の光強度が最も小さく、B断面位置に対応する被処理基板5の表面位置に向かって位相差線1fの方向に逆ピーク点の光強度が増大する。
その結果、第2実施例では、光学変調素子1のA断面位置に対応する被処理基板5の表面位置に逆ピーク点を制限することができる。すなわち、第2実施例では、第1実施例の効果に加えて、結晶の形成位置を二次元的に決定するという効果を達成することができる。
[第3実施例]
第1実施例では、特にフォーカス状態で形成される逆ピーク状の光強度分布において、逆ピークの両側に不要なピーク形状が現れる。前述したように、ピーク形状の存在は、アブレーションの原因および結晶成長の停止原因になる。まず、第3実施例の具体的な説明に先立って、逆ピークの両側にピーク形状が発生する原理を説明する。一般に、結像光学系4による結像の複素振幅分布U(x,y)は、比例係数を省略すると、次の式(5)で表わされる。
U(x,y)=O(x,y)*PSF(x,y) (5)
なお、式(5)において、O(x,y)は物体の複素振幅透過率分布を、*はコンボリューション(畳み込み積分)を、PSF(x,y)は結像光学系4の点像分布関数をそれぞれ示している。ここで、点像分布関数とは、結像光学系4による点像の複素振幅分布と定義される。結像光学系4が均一円形瞳を有し且つ無収差である場合、点像分布関数PSF(x,y)は、次の式(6)で表わされる。
PSF(x,y)=2J1(a・r)/(a・r) (6)
ただし、a=(2π・NA)/λ
r=(x2+y21/2
なお、式(6)において、J1はベッセル(Bessel)関数を、λは光の波長を、NAは上述したように結像光学系4の像側開口数をそれぞれ示している。上式(6)による点像分布関数PSFを図13に示す。図13において、縦軸は点像分布関数PSFの値であり、横軸は(a・r)の値である。図13を参照すると、点像分布関数PSFの値が負である領域すなわち「負領域」が存在し、この負領域の存在がピーク形状の発生の原因である。
ここで、原点に最も近い負領域の位置範囲は、次の式(7)で表わされる。また、a=(2π・NA)/λを式(7)に代入すると、次の式(8)に示す関係が得られる。
3.8<a・r<7.0 (7)
0.61×λ/NA<r<1.11×λ/NA (8)
次に、位相差が180度の位相シフターの場合を例にとって、さらに具体的にピーク形状の発生を説明する。図14(a)は、位相差が180度の位相シフターの複素振幅透過率分布O(x)を示している。図14(a)中の左側領域すなわち位相値が180度の領域40および右側領域すなわち位相値が0度の領域41のうち、右側領域41に着目して点像分布関数PSF(x)とのコンボリューションの様子を複数の細線42で、その結果として得られる像の複素振幅分布U(x)を太線43aで図14(b)に示す。太線43aで示す複素振幅分布U(x)は段差の位置44に関して点対称になり、右側には凸部45が左側には凹部46が生じる。
なお、位相値が0度の領域41に対応する像の複素振幅分布U(x)の正確な形状を図15に示す。図14(a)中の左側領域すなわち位相値が180度の領域40に関しても同様の現象が生じる。こうして、図14(c)に示すように、位相値が0度の領域41に対応する太線43aで示す複素振幅分布U(x)と位相値が180度の領域40に対応する太線43bで示す複素振幅分布U(x)とを重ね合わせて得られる太線43で示す最終的な複素振幅分布U(x)にも、右側の凸部47と左側の凹部48とが強調されて残る。その結果、図14(d)に示すように、位相シフターの位相差により形成される逆ピーク状の光強度分布49には、図14(c)に示す凸部47および凹部48に対応して、逆ピークの両側にピーク形状(図中破線の円で示す)49aが発生する。
図16は、図14に対応する図であって、本発明によりピーク形状を抑える第1の手法を説明する図である。図16(a)を参照すると、第1の手法では、図14(c)における凸部47および凹部48に対応する位置に光遮蔽領域60および61をそれぞれ設けている。したがって、図16(a)に示すように、光遮蔽領域60および61における複素振幅透過率分布O(x)の値は0になる。
その結果、図16(b)に示すように、点像分布関数PSF(x)とのコンボリューションのうち、光遮蔽領域60に対応して太い破線62で示す部分が欠けることになり、その結果として得られる像の複素振幅分布U(x)は太線63aで示すようになる。太線43aで示す複素振幅分布U(x)と太線63aで示す複素振幅分布U(x)とを比較すると、光遮蔽領域60の作用により太線43aで示す複素振幅分布U(x)における凸部45が凹部64aに変化する。凹部46はわずかに変化し凹部65aとなるが基本的に凹部46と凹部65aは同一とみなしてよい。このとき、凹部64aの面積が凹部65aの面積(=凹部46の面積)とほぼ等しいことが望ましい。
その場合、図16(c)に示すように、光遮蔽領域60が形成された位相値0度の領域に対応する太線63aで示す複素振幅分布U(x)と光遮蔽領域61が形成された位相値180度の領域に対応する太線63bで示す複素振幅分布U(x)とを重ね合わせて得られる太線63で示す最終的な複素振幅分布U(x)では、図中破線の楕円で示すように凹部64aと凹部65aの反転に対応する凸部65bとが相殺され、凹部65aと凹部64aの反転に対応する凸部64bとが相殺されて、太線43で示す複素振幅分布U(x)において見られた凸部47および凹部48が消えてこの部分で比較的平らな分布を得ることができる。その結果、第1の手法では、図16(d)に示すように、位相シフターの位相差により形成される逆ピーク状の光強度分布66には、逆ピークの両側にピーク形状が実質的に発生しない。
図17は、図14に対応する図であって、本発明によりピーク形状を抑える第2の手法を説明する図である。図17(a)を参照すると、第2の手法では、図14(c)における凸部47および凹部48に対応する位置に位相変調領域70および71をそれぞれ設けている。ここで、位相変調領域70および71における位相変調量は180度に設定されている。したがって、図17(a)に示すように、位相変調領域70における複素振幅透過率分布O(x)の値は位相値180度の領域と同じにあり、位相変調領域71における複素振幅透過率分布O(x)の値は位相値0度の領域と同じになる。
その結果、図17(b)に示すように、点像分布関数PSF(x)とのコンボリューションのうち、位相変調領域70に対応して太い破線72で示す部分が反転することになり、その結果として得られる像の複素振幅分布U(x)は太線73aで示すようになる。太線43aで示す複素振幅分布U(x)と太線73aで示す複素振幅分布U(x)とを比較すると、位相変調領域70の作用により太線43aで示す複素振幅分布U(x)における凸部45が凹部74aに変化する。凹部46はわずかに変化し凹部75aとなるが基本的に凹部46と凹部75aは同一とみなしてよい。このとき、凹部74aの面積が凹部75aの面積(=凹部46の面積)とほぼ等しいことが望ましい。
その場合、図17(c)に示すように、位相変調領域70が形成された位相値0度の領域に対応する太線73aで示す複素振幅分布U(x)と位相変調領域71が形成された位相値180度の領域に対応する太線73bで示す複素振幅分布U(x)とを重ね合わせて得られる太線73で示す最終的な複素振幅分布U(x)では、図中破線の楕円で示すように凹部74aと凹部75aの反転に対応する凸部75bとが相殺され、凹部75aと凹部74aの反転に対応する凸部74bとが相殺されて、図14で説明された太線43で示す複素振幅分布U(x)において見られた凸部47および凹部48が消えてこの部分で比較的平らな分布を得ることができる。その結果、第2の手法においても第1の手法と同様に、図17(d)に示すように、位相シフターの段差により形成される逆ピーク状の光強度分布76には、逆ピークの両側の最大光強度部にピーク形状(図15の凸部45)が実質的に発生しない。
次に、光遮蔽領域(60,61)や位相変調領域(70,71)の位置および大きさについて説明する。上述したように、図14(b)において、像の複素振幅分布U(x)の凸部45および凹部46の位置は、上記コンボリューションの式(5)で段差よりも右側の領域41のみを積分することにより求まる。その結果を正確に示した図15を参照すると、凸部45は段差から0.4λ/NA〜0.7λ/NAの範囲に位置する。したがって、光遮蔽領域(60,61)や位相変調領域(70,71)も、この位置の近傍に設ければよい。また、光遮蔽領域(60,61)や位相変調領域(70,71)の大きさについては、凹部(64a,74a)の面積と凹部(65a,75a)の面積とがほぼ等しくなるように設定すればよい。具体的には、光遮蔽領域が小さすぎると光強度分布にピーク形状が残り大きすぎると補正されすぎて逆に凹型形状となるので、光強度分布を計算しながら最適な大きさを求めればよい。光遮蔽領域61は、一部分の光のみ透過するものであってもよい。
第3A実施例では、第1実施例の光学変調素子1に対して、上述した本発明の第2の手法を適用している。具体的に、第3A実施例では、本発明の第2の手法にしたがって第1実施例の光学変調素子1に線状の位相変調領域を付設して得られる位相変調型の位相シフターを用いている。第3A実施例の光学変調素子1では、図18(a)に示すように、位相差線1cに平行に延びる線状位相変調領域1gが位相差線1cの両側に形成されている。ここで、位相値が0度の矩形状の領域1aに形成された線状位相変調領域1gの位相値は60度であり、位相値が60度の矩形状の領域1bに形成された線状位相変調領域1gの位相値は0度である。換言すれば、位相差線1cの位相変調量および線状位相変調領域1gの位相変調量はともに60度である。
また、線状位相変調領域1gの幅寸法は0.07μmに設定され、線状位相変調領域1gの中心線と近傍の位相差線1cとの像側換算距離Dは1.0μmに設定されている。すなわち、距離Dは、概ね0.52×λ/NAに対応しており、上述した0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NAの範囲内で設定されている。その結果、第3A実施例では、図18(b)に示すフォーカス状態において、位相差線1cに対応する線領域において光強度が最も小さく周囲に向かって光強度が急激に増大する逆ピーク状の光強度分布が形成され、図中破線の円Hで示すように逆ピークJの両側のピーク形状は良好に抑えられる。
また、第3A実施例では、デフォーカス状態において、図19(a)に示すような正常光線oにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布(図5(a)相当)と、図19(b)に示すような異常光線eにより形成される左右非対称な逆ピーク状の光強度分布(図5(b)相当)との合成により、図19(c)に示すように左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。そして、デフォーカス状態においてもフォーカス状態と同様に、図中破線の円で示すように逆ピークの両側のピーク形状は良好に抑えられる。図5(c)に示す線状位相領域を設けない場合のデフォーカス状態の光強度分布ではわずかに残っているピーク形状が、図19(c)では完全に除去されていることから、本実施例の方が優れていることが確認される。
第3B実施例では、本発明の第2の手法にしたがって第1実施例の光学変調素子1に複数の孤立位相変調領域を付設して得られる位相変調型の位相シフターを用いている。第3B実施例の光学変調素子1では、図20に示すように、位相差線1cに平行に並ぶ複数の島状高部又は低部例えば正方形状の孤立位相変調領域1hが位相差線1cの両側に形成されている。ここで、位相値が0度の矩形状の領域1aに形成された孤立位相変調領域1hの位相値は60度であり、位相値が60度の矩形状の領域1bに形成された孤立位相変調領域1hの位相値は0度である。換言すれば、位相差線1cの位相変調量および孤立位相変調領域1hの位相変調量はともに60度である。
また、孤立位相変調領域1hの幅寸法(一辺の寸法)および間隔は0.21μmおよび0.63μmにそれぞれ設定され、複数の孤立位相変調領域1hの中心を結ぶ中心線と近傍の位相差線1cとの像側換算距離Dは第3A実施例の場合と同様に1.0μmに設定されている。換言すれば、第3A実施例における線状位相変調領域1gと第3B実施例における複数の孤立位相変調領域1hとは、位相変調面積が互いにほぼ等しくなるように、ひいては光学的にほぼ等価な効果を有するように設定されている。
その結果、図示を省略したが、第3B実施例においても第3A実施例と同様に、フォーカス状態およびデフォーカス状態において位相差線1cに対応する線領域において光強度が最も小さく周囲に向かって光強度が急激に増大する互いに類似した逆ピーク状の光強度分布が形成され、ピーク状の光強度分布における逆ピークの両側のピーク形状は良好に抑えられる。
以上のように、第3実施例(第3A実施例および第3B実施例)では、光学変調素子1として位相差線1cの近傍に設けられた位相変調領域(1g,1h)を有する位相シフターを用いることにより、逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えた所望の逆ピーク状の光強度分布を被処理基板5上に形成することができる。その結果、第3実施例では、ピーク形状に起因するアブレーションの発生により半導体膜が破壊されることがなくなり、逆ピーク部分から開始した結晶成長がピーク形状部分で停止することなく大粒径の結晶を生成することができる。
なお、第3A実施例と第3B実施例とを比較すると、孤立位相変調領域1hの最小寸法の方が線状位相変調領域1gの最小寸法よりも大きい。したがって、第3B実施例における位相シフターの方が第3A実施例における位相シフターよりも作製が容易である。すなわち、解像度の低い露光装置やプロセスでも第3B実施例の実現が可能であり、またプロセスによる寸法変動があっても第3B実施例の方が相対的な変化率が少ないので光強度分布に及ぼすバラツキが小さいという利点がある。また、孤立位相変調領域1hは、図20では正方形状の形態を有するが、結像光学系4の解像度(〜λ/NA)に比して十分に小さい寸法を有する任意の形状を適用することができる。
また、図示を省略したが、第3C実施例では、本発明の第1の手法にしたがって第1実施例の光学変調素子1に線状の光遮蔽領域を付設して得られる光遮蔽型の位相シフターを用いることができる。すなわち、第3C実施例の光学変調素子1は、図18(a)に示す線状位相変調領域1gが線状光遮蔽領域で置換された構成を有する。さらに、図示を省略したが、第3D実施例では、本発明の第1の手法にしたがって第1実施例の光学変調素子1に複数の孤立光遮蔽領域を付設して得られる光遮蔽型の位相シフターを用いることもできる。すなわち、第3D実施例の光学変調素子1は、図20に示す孤立位相変調領域1hが孤立光遮蔽領域で置換された構成を有する。
第3C実施例および第3D実施例では、光学変調素子1として位相差線1cの近傍に設けられた光遮蔽領域を有する位相シフターを用いることにより、逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えた所望の逆ピーク状の光強度分布を被処理基板5上に形成することができる。その結果、ピーク形状に起因するアブレーションの発生により半導体膜が破壊されることがなくなり、逆ピーク部分から開始した結晶成長がピーク形状部分で停止することなく大粒径の結晶を生成することができる。
なお、第3C実施例と第3D実施例とを比較すると、孤立光遮蔽領域の最小寸法の方が線状光遮蔽領域の最小寸法よりも大きくなる。したがって、第3D実施例における孤立光遮蔽領域の方が第3C実施例における線状光遮蔽領域よりも形成が容易であり、ひいては第3D実施例における位相シフターの方が第3C実施例における位相シフターよりも作製が容易である。また、光遮蔽領域の形成に際しては、例えば位相差を形成するための段差を形成した後に、通常のリソグラフィーの方法によりクロムのパターンを形成すればよい。
[第4実施例]
図21は、第4実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。また、図22は、図21に示す光学変調素子における基本パターンを示す図である。図21を参照すると、第4実施例の光学変調素子1には第1実施例の場合と同様に、位相値が0度の矩形状の領域1aと位相値が60度の矩形状の領域1bとが一方向に沿って交互に繰り返し形成されている。換言すれば、隣接する2つの位相差線1cの間に形成された位相領域(1a,1b)は、交互に異なる基準位相値(0度,60度)を有する。
そして、各位相領域(1a,1b)には、結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ基準位相値と異なる第1位相値を有する第1領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布が形成されている。具体的に、位相値が0度の矩形状の領域1aには、60度の位相値を有する正方形状の領域1iが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。一方、位相値が60度の矩形状の領域1bには、0度の位相値を有する正方形状の領域1jが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。
すなわち、隣接する2つの位相領域1aと1bとの間で、基準位相値(0度,60度)と異なる第1位相値(60度,0度)を有する第1領域(1i,1j)の位相変調量の絶対値がほぼ等しく且つその符号が異なる。さらに、位相値が0度の矩形状の領域1aの基本パターンを示す図22(a)を参照すると、光学変調素子1の基本パターンは、結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さいサイズの複数のセル(図中矩形状の破線で示す)1kを有する。
各セル1kには、0度の位相値(基準位相値)を有する位相領域(図中空白部で示す)1aと、60度の位相値(第1位相値)を有する第1領域(図中斜線部で示す)1iと、が形成されている。図22(a)に示すように、各セル1k内における第1領域1iと位相領域1aとの占有面積率がセル毎に変化している。さらに具体的には、セル内における位相領域1aの占有面積比は、図中左側のセルにおいて最も50%に近く、図中右側のセルにおいて最も100%に近く、その間において単調に変化している。したがって、位相領域1aの占有面積比が最も100%に近い両側位置において最も光強度が大きく、位相領域1aの占有面積比が最も50%に近い中央位置において最も光強度が小さい一次元のV字型の光強度勾配分布が得られる。
したがって、位相領域1aの占有面積比が最も100%に近い両側位置において最も光強度が大きく、位相領域1aの占有面積比が最も50%に近い中央位置において最も光強度が小さい一次元のV字型の光強度勾配分布が得られる。同様に、60度の基準位相値を有する位相領域1bにおいても、位相領域1bの占有面積比が最も100%に近い両側位置において最も光強度が大きく、位相領域1bの占有面積比が最も50%に近い中央位置において最も光強度が小さい一次元のV字型の光強度勾配分布が得られる。
すなわち、光束分割素子(複屈折素子)2が介在しない場合には、0度の基準位相値を有する位相領域1aにおいて位相差線1cのピッチ方向と直交する方向であるB断面(図21を参照)に沿って、図23(b)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。また、60度の基準位相値を有する位相領域1bにおいて位相差線1cのピッチ方向と直交する方向であるC断面(図21を参照)に沿って、図24(b)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。
そして、被処理基板5の表面が結像光学系4に対して上下にデフォーカスすると、図23(b)に示すV字型の光強度勾配分布は、図23(a)および(c)に示すようにデフォーカス方向に依存して非対称に変化する。同様に、被処理基板5の表面が結像光学系4に対して上下にデフォーカスすると、図24(b)に示すV字型の光強度勾配分布も、図24(a)および(c)に示すようにデフォーカス方向に依存して非対称に変化する。
しかしながら、第4実施例では、光束分割素子2の作用により、フォーカス状態では、図23(b)に示すV字型の光強度勾配分布と図24(b)に示すV字型の光強度勾配分布との合成により、B断面およびC断面に沿って図25(b)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。また、上方向へのデフォーカス状態では、図23(a)に示す光強度勾配分布と図24(a)に示す光強度勾配分布との合成により、B断面およびC断面に沿って図25(a)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。
さらに、下方向へのデフォーカス状態では、図23(c)に示す光強度勾配分布と図24(c)に示す光強度勾配分布との合成により、B断面およびC断面に沿って図25(c)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。このように、図25(a)〜(c)を参照すると、第4実施例では、デフォーカスの影響をほとんど受けることなく、B断面およびC断面に沿って所望のV字型の光強度勾配分布が安定的に得られる。すなわち、結像光学系4の焦点深度が深くなる。
また、第4実施例の光学変調素子1では、第1実施例の場合と同様に、位相値が0度の領域1aと位相値が60度の領域1bとが交互に繰り返し形成されている。したがって、位相段差1cのピッチ方向であるA断面(図21を参照)に沿って、第1実施例の場合と同様に所望の逆ピーク状の光強度分布を得ることができる。こうして、第4実施例では、V字型の光強度勾配分布と逆ピーク状の光強度分布との合成光強度分布、すなわちV字型パターン+逆ピーク状パターンの光強度分布が被処理基板5の表面上に形成される。
V字型パターン+逆ピーク状パターンの光強度分布では、結晶核の形成位置すなわち結晶成長の開始点を、逆ピーク状の光強度分布において光強度の最も小さい位置へ極力近づけることができる。そして、V字型の光強度勾配分布における光強度の勾配方向に沿って結晶核からの十分なラテラル方向の結晶成長を実現して、大粒径の結晶化半導体膜を生成することができる。
[第5実施例]
第4実施例では、第1実施例の光学変調素子1に対して、基準位相値(0度,60度)と異なる第1位相値(60度,0度)を有する第1領域(1i,1j)を付設している。これに対し、第5実施例では、第2実施例の光学変調素子1に対して、基準位相値と異なる第1位相値を有する正方形状の第1領域を付設している。図26は、第5実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。図26を参照すると、第5実施例の光学変調素子1には第2実施例の場合と同様に、位相値が0度の領域1dと位相値が60度の領域1eとが一方向に沿って交互に繰り返し形成されている。
そして、位相値が0度の領域1dには、60度の位相値を有する正方形状の領域1mが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。一方、位相値が60度の領域1eには、0度の位相値を有する正方形状の領域1nが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。なお、位相領域1dと位相領域1eとの間には、位相差線1fが第2実施例の場合と同様にジグザグ状に形成されている。
具体的には、隣接する2つの位相差線1fの間隔は、最も大きな正方形状の領域1mおよび1nが形成されている位置において、第1基準間隔である5μmになっている。そして、最も大きな正方形状の領域1mおよび1nが形成されている2つの位置の中間位置において、隣接する2つの位相差線1fの間隔は、第1補正間隔である4μmまたは6μmになっている。換言すれば、補正量Cは、位相領域1dまたは位相領域1eの占有面積率が50%に最も近い位置で極小になっている。
第5実施例では、第4実施例と同様に、X方向に沿って(第4実施例におけるB断面およびC断面に対応)V字型の光強度勾配分布が得られる。このとき、V字型の光強度勾配分布において最も光強度の小さい位置は、位相領域1dまたは位相領域1eの占有面積率が50%に最も近い位置に対応している。一方、第5実施例では、第4実施例とは異なり第2実施例と同様に、図26中破線の楕円で示す位置に逆ピーク点を有する点逆ピーク状の光強度分布が形成される。
すなわち、第5実施例では、図27に示すように、X方向に沿って一次元的に光強度の勾配を有するV字型の光強度勾配分布5aと、図26中破線の楕円で示す位置に対応して形成される逆ピーク点5bを有する点状の逆ピーク状の光強度分布5cとの合成光強度分布、すなわちV字型パターン+点逆ピーク状パターンの光強度分布5dが被処理基板5の表面上に形成される。図27に示すV字型パターン+点逆ピーク状パターンの光強度分布5dは、結晶化に対して理想的な光強度分布であり、結晶成長の後半部分で幅方向に対して均一な勾配を実現することができ、ひいては結晶粒の幅を大きくすることができる。
[第6実施例]
図31は、第6実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。図31を参照すると、第6実施例の光学変調素子1は、一方向(図中縦方向)に沿って交互に繰り返し形成された2つの領域、すなわち幅が5μmの位相分布領域1pと幅が5μmの位相均一領域1qとを有する。位相分布領域1pには、結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ90度の位相値を有する矩形状の領域(ハッチングを施した部分)1rが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。位相分布領域1pにおいて、領域1r以外の領域は0度の位相値を有する。領域1rの占有面積率は、0%から約50%の間で変化している。一方、位相均一領域1qは、全体に亘って0度の位相値を有する。そして、位相分布領域1pと位相均一領域1qとの境界線が実質的に位相段差を形成する。
第6実施例では、フォーカス状態において、A断面に沿って図32(a)に示すような左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。そして、デフォーカス状態においても、A断面に沿って図32(b)に示すような左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。また、フォーカス状態において、B断面に沿って図33(a)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。そして、デフォーカス状態においても、B断面に沿って図33(b)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。
こうして、第6実施例では、第1実施例と同様に、光束分割素子の作用により、A断面に沿って、デフォーカスの影響をほとんど受けることなく左右対称な逆ピーク状の光強度分布を得ることができる。また、第5実施例と同様に、結晶化に対して理想的な光強度分布、すなわちV字型パターン+点逆ピーク状パターンの光強度分布を得ることができる。ただし、第6実施例では、B断面に沿って得られるV字型の光強度勾配分布がある程度デフォーカスの影響を受けることになる。
[第7実施例]
図34は、第7実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。図34を参照すると、第7実施例の光学変調素子1は、図21に示す第4実施例の光学変調素子と同様に、一方向(図中縦方向)に沿って交互に繰り返し形成された2つの位相領域、すなわち幅が5μmの位相領域1sと幅が5μmの位相領域1tとを有する。位相領域1sでは、結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ60度の位相値を有する正方形状の領域1uが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。
一方、位相領域1tでは、結像光学系4の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ−60度の位相値を有する正方形状の領域1vが、その占有面積率が位置によって変化するように形成されている。なお、位相領域1sおよび位相領域1tにおいて、ハッチングが施された正方形状の領域1uおよび1v以外の領域は0度の位相値を有する。また、正方形状の領域1uおよび1vの占有面積率は、0%から約50%の間で変化している。そして、位相領域1sと位相領域1tとの境界線が実質的に位相段差を形成する。
第7実施例では、フォーカス状態において、A断面に沿って図35(a)に示すような左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。そして、デフォーカス状態においても、A断面に沿って図35(b)に示すような左右対称な逆ピーク状の光強度分布が形成される。また、フォーカス状態において、B断面に沿って図36(a)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。そして、デフォーカス状態においても、B断面に沿って図36(b)に示すようなV字型の光強度勾配分布が得られる。
こうして、第7実施例では、第1実施例と同様に、光束分割素子の作用により、A断面に沿って、デフォーカスの影響をほとんど受けることなく左右対称な逆ピーク状の光強度分布を得ることができる。また、第4実施例と同様に、光束分割素子の作用により、B断面に沿って、デフォーカスの影響をほとんど受けることなくV字型の光強度勾配分布を得ることができる。さらに、第5実施例と同様に、結晶化に対して理想的な光強度分布、すなわちV字型パターン+点逆ピーク状パターンの光強度分布を得ることができる。
図28は、本実施形態の結晶化装置を用いて結晶化された領域に電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。図28(a)に示すように、絶縁基板80(例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミドなど)の上に、下地膜81(例えば、膜厚50nmのSiNおよび膜厚100nmのSiO2積層膜など)および非晶質半導体膜82(例えば、膜厚50nm〜200nm程度のSi,Ge,SiGeなど)を、化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜した被処理基板5を準備する。そして、本実施形態にしたがう結晶化装置を用いて、非晶質半導体膜82の表面の予め定められた領域に、レーザ光83(例えば、KrFエキシマレーザ光やXeClエキシマレーザ光など)を照射する。
こうして、図28(b)に示すように、大粒径の結晶を有する多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84が生成される。次に、図28(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84を例えば薄膜トランジスタを形成するための領域となる島状の半導体膜85に加工し、表面にゲート絶縁膜86として膜厚20nm〜100nmのSiO2膜を化学気相成長法やスパッタ法などを用いて成膜する。さらに、図28(d)に示すように、ゲート絶縁膜上にゲート電極87(例えば、シリサイドやMoWなど)を形成し、ゲート電極87をマスクにして不純物イオン88(Nチャネルトランジスタの場合にはリン、Pチャネルトランジスタの場合にはホウ素)をイオン注入する。その後、窒素雰囲気でアニール処理(例えば、450°Cで1時間)を行い、不純物を活性化して島状の半導体膜85にソース領域91、ドレイン領域92を形成する。次に、図28(e)に示すように、層間絶縁膜89を成膜してコンタクト穴をあけ、チャネル90でつながるソース91およびドレイン92に接続するソース電極93およびドレイン電極94を形成する。
以上の工程において、図28(a)および(b)に示す工程で生成された多結晶半導体膜または単結晶化半導体膜84の大粒径結晶の位置に合わせて、チャネル90を形成する。以上の工程により、多結晶トランジスタまたは単結晶化半導体に薄膜トランジスタ(TFT)を形成することができる。こうして製造された多結晶トランジスタまたは単結晶化トランジスタは、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、メモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
なお、上述の説明では、多結晶半導体膜または非晶質半導体膜に所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成する結晶化装置および結晶化方法に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般的に結像光学系を介して所定の光強度分布を所定面に形成する光照射装置に対して本発明を適用することができる。さらに、上記実施形態では、位相差が60度の光変調素子1の例について説明したが、位相差が実質的に180度以外であれば何れの位相差でもよい。
本発明の実施形態にかかる結晶化装置の構成を概略的に示す図である。 図1の照明系の内部構成を概略的に示す図である。 第1実施例における光学変調素子の構成および作用を説明する図である。 各実施例における光束分割素子の構成および作用を説明する図である。 第1実施例における光学変調素子と光束分割素子との協働作用を説明する図である。 本実施形態における光束分割素子として使用可能なサバール板の構成および作用を説明する図である。 本実施形態における光束分割素子として使用可能なサバール板の変形例の構成および作用を説明する図である。 結像光学系の瞳面またはその近傍に複屈折素子を配置した変形例を示す図である。 図8に示すウォラストンプリズムの構成および作用を説明する図である。 複屈折素子への入射光束の偏光状態を制御するための制御素子を付設した変形例を示す図である。 逆ピーク点と片側のピーク形状位置とを重ね合わせることにより逆ピークを実質的に消去したり逆ピークを浅くしたりする手法を説明する図である。 第2実施例における光学変調素子の構成および第2実施例で形成される光強度分布を模式的に示す図である。 均一円形瞳を有し且つ無収差である結像光学系の点像分布関数PSFを示す図である。 位相段差が180度のライン型位相シフターを用いて逆ピーク状の光強度分布を形成したときに逆ピークの両側にピーク形状が発生する様子を説明する図である。 ライン型位相シフターの位相値が0度の領域に対応する像の複素振幅分布U(x)の正確な形状を示す図である。 図14に対応する図であって、本発明によりピーク形状を抑える第1の手法を説明する図である。 図14に対応する図であって、本発明によりピーク形状を抑える第2の手法を説明する図である。 第1実施例の光学変調素子に本発明の第2の手法を適用した第3A実施例を示す第1の図である。 第1実施例の光学変調素子に本発明の第2の手法を適用した第3A実施例を示す第2の図である。 第1実施例の光学変調素子に本発明の第2の手法を適用した第3B実施例を示す図である。 第4実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。 図21に示す光学変調素子における基本パターンを示す図である。 第4実施例において光束分割素子がない場合にB断面に沿って得られる光強度勾配分布を示す図である。 第4実施例において光束分割素子がない場合にC断面に沿って得られる光強度勾配分布を示す図である。 第4実施例においてB断面およびC断面に沿って得られるV字型の光強度勾配分布を示す図である。 第5実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。 第5実施例において形成されるV字型の光強度勾配分布と点逆ピーク状の光強度分布との合成光強度分布を示す斜視図である。 本実施形態の結晶化装置を用いて電子デバイスを作製する工程を示す工程断面図である。 位相段差の位相量が180度の位相シフターを用いたときに結像光学系を介して形成される逆ピーク状の光強度分布を模式的に示す図である。 位相段差の位相量が60度の位相シフターを用いたときに結像光学系を介して形成される逆ピーク状の光強度分布を模式的に示す図である。 第6実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。 第6実施例においてA断面に沿って得られる光強度分布を示す図である。 第6実施例においてB断面に沿って得られる光強度分布を示す図である。 第7実施例の光学変調素子のパターンを示す図である。 第7実施例においてA断面に沿って得られる光強度分布を示す図である。 第7実施例においてB断面に沿って得られる光強度分布を示す図である。 複屈折素子を光学変調素子と結像光学系との間あるいは結像光学系と被処理基板との間に配置した変形例を示す図である。
符号の説明
1 光学変調素子
2 光束分割素子(複屈折素子)
3 照明系
3a KrFエキシマレーザ光源
3b ビームエキスパンダ
3c,3e フライアイレンズ
3d,3f コンデンサー光学系
4 結像光学系
4c 開口絞り
5 被処理基板
6 基板ステージ
7 制御素子(1/2波長板)

Claims (42)

  1. 複数の位相段差(位相差が実質的に180度の位相段差を除く)が設けられてなり、入射光束を位相変調して逆ピーク状の光強度分布を形成するための光学変調素子と、
    この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの逆ピーク状光強度分布の光束に分割するための光束分割素子と、
    前記光学変調素子および/又は前記光束分割素子を介した光束に基づいて、互いに離間した2つの逆ピーク状光強度分布の合成に対応する所定の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを具備し、
    前記2つの逆ピーク状光強度分布の離間距離を前記位相段差間に相当する間隔の奇数倍にすることを特徴とする光照射装置。
  2. 180度と実質的に異なる位相段差が第1間隔で並ぶパターンを有する光学変調素子と、
    この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子と、
    第2間隔だけ互いに離間した2つの光強度分布の合成に対応する所定の逆ピーク状の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、
    前記第2間隔は、前記第1間隔の奇数倍に対応していることを特徴とする光照射装置。
  3. 複数の位相段差(位相差が実質的に180度の位相段差を除く)が設けられてなり、入射光束を位相変調して逆ピーク状の光強度分布を形成するための光学変調素子と、
    この光学変調素子を介した光束を非干渉性の異なる2つの光束に分割するための光束分割素子と、
    第2間隔だけ互いに離間した2つの光強度分布の合成に対応する所定の逆ピーク状の光強度分布を所定面に形成するための結像光学系とを備え、
    隣り合う2つの位相段差の間隔は、前記逆ピーク状の光強度分布を形成する第1基準間隔と前記逆ピーク部を形成しない第1補正間隔との間で前記位相段差の方向に沿って変化し、
    前記第2間隔は、前記第1基準間隔の奇数倍に対応していることを特徴とする光照射装置。
  4. 前記隣り合う2つの位相段差の間隔は、前記位相段差の方向に沿って増減していることを特徴とする請求項3に記載の光照射装置。
  5. 前記隣り合う2つの位相段差の第1補正間隔と前記第1基準間隔との差の絶対値に対応する前記所定面上の補正量Cは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、
    C≦0.5×λ/NA
    の条件を満足することを特徴とする請求項3または4に記載の光照射装置。
  6. 前記光学変調素子は前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さく所定の変調位相値を有する領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布領域を有し、該位相分布領域の周辺境界が実質的に前記180度と実質的に異なる位相段差を形成していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光照射装置。
  7. 前記光学変調素子は前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さく所定の変調位相値を有する領域の占有面積率が位置によって変化する、少なくとも二種類の位相分布領域を有し、該二種類の位相分布領域の変調位相値は絶対値が等しく符号が逆であり、該二種類の位相相分布領域の境界線が実質的に前記180度と実質的に異なる位相段差を形成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光照射装置。
  8. 前記光学変調素子は、前記逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えるために、前記位相段差の近傍に設けられた光遮蔽領域を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光照射装置。
  9. 前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状光遮蔽領域を有することを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。
  10. 前記線状光遮蔽領域の中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、
    0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NA
    の条件を満足することを特徴とする請求項9に記載の光照射装置。
  11. 前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立光遮蔽領域を有することを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。
  12. 前記複数の孤立光遮蔽領域の中心を結ぶ中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、
    0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NA
    の条件を満足することを特徴とする請求項11に記載の光照射装置。
  13. 前記光学変調素子は、前記逆ピーク状の光強度分布において逆ピークの両側に発生するピーク形状を抑えるために、前記位相段差の近傍に設けられた位相変調領域を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光照射装置。
  14. 前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状位相変調領域を有することを特徴とする請求項13に記載の光照射装置。
  15. 前記線状位相変調領域の中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、
    0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NA
    の条件を満足することを特徴とする請求項14に記載の光照射装置。
  16. 前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立位相変調領域を有することを特徴とする請求項13に記載の光照射装置。
  17. 前記複数の孤立位相変調領域の中心を結ぶ中心線と前記位相段差との距離に対応する前記所定面上の距離Dは、光の波長をλとし、前記結像光学系の像側開口数をNAとするとき、
    0.4×λ/NA<D<0.7×λ/NA
    の条件を満足することを特徴とする請求項16に記載の光照射装置。
  18. 前記位相段差の一方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量と前記位相段差の他方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量とは絶対値がほぼ等しく且つ符号が異なることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の光照射装置。
  19. 隣接する2つの位相段差の間に形成された位相領域は交互に異なる基準位相値を有し、
    各位相領域には、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも光学的に小さい寸法を有し且つ前記基準位相値と異なる第1位相値を有する第1領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布が形成され、
    隣接する2つの位相領域の間で、前記第1領域の位相変調量の絶対値がほぼ等しく且つその符号が異なることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光照射装置。
  20. 前記補正量Cは、前記占有面積率が50%に最も近い位置で極小になっていることを特徴とする請求項19に記載の光照射装置。
  21. 前記光束分割素子は、前記光学変調素子と前記結像光学系との間または前記結像光学系と前記所定面との間に配置された複屈折素子を有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の光照射装置。
  22. 前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対して所定の角度をなすように設定された複屈折性の平行平面板を有することを特徴とする請求項21に記載の光照射装置。
  23. 前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板からなるサバール板を有することを特徴とする請求項21に記載の光照射装置。
  24. 前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の平行平面板と、該一対の平行平面板の間に設けられた1/2波長板とを有することを特徴とする請求項21に記載の光照射装置。
  25. 前記光束分割素子は、前記結像光学系の瞳面またはその近傍に配置された複屈折素子を有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の光照射装置。
  26. 前記複屈折素子は、結晶光学軸が光軸に対してそれぞれ所定の角度をなすように設定された複屈折性の一対の偏向プリズムからなるウォラストンプリズムを有することを特徴とする請求項25に記載の光照射装置。
  27. 前記複屈折素子は、水晶、方解石、またはフッ化マグネシウムにより形成されていることを特徴とする請求項21乃至26のいずれか1項に記載の光照射装置。
  28. 前記光束分割素子により分割された2つの光束の強度が互いにほぼ等しくなるように、前記光束分割素子への入射光束の偏光状態を制御するための制御素子をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の光照射装置。
  29. 前記制御素子は、前記光束分割素子の入射側に配置された1/4波長板を有することを特徴とする請求項28に記載の光照射装置。
  30. 請求項1乃至29のいずれか1項に記載の光照射装置を備え、前記所定面に多結晶半導体膜または非晶質半導体膜を位置決めするためのステージを設けてなることを特徴とする結晶化装置。
  31. 請求項1乃至29のいずれか1項に記載の光照射装置を用いて、前記所定面に多結晶半導体膜または非晶質半導体膜を位置決めしたのち、前記所定の光強度分布を有する光を照射して結晶化半導体膜を生成することを特徴とする結晶化方法。
  32. 請求項30に記載の結晶化装置または請求項31に記載の結晶化方法を用いて製造されたことを特徴とするデバイス。
  33. 180度と実質的に異なる位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
    隣り合う2つの位相段差の間隔は前記位相段差の方向に沿って増減していることを特徴とする光学変調素子。
  34. 180度と実質的に異なる位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
    隣り合う2つの位相段差の間に形成された位相領域は交互に異なる基準位相値を有し、
    各位相領域には、前記基準位相値と異なる第1位相値を有する第1領域の占有面積率が位置によって変化する位相分布が形成され、
    隣り合う2つの位相領域の間で、前記第1領域の位相変調量の絶対値がほぼ等しく且つその符号が逆であることを特徴とする光学変調素子。
  35. 位相差が180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
    前記位相段差の近傍に設けられた光遮蔽領域を有することを特徴とする光学変調素子。
  36. 前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状光遮蔽領域を有することを特徴とする請求項35に記載の光学変調素子。
  37. 前記光遮蔽領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立光遮蔽領域を有することを特徴とする請求項35に記載の光学変調素子。
  38. 180度と実質的に異なる位相変調量の位相段差が所定の周期で並ぶパターンを有する光学変調素子であって、
    前記位相段差の近傍に設けられた位相変調領域を有することを特徴とする光学変調素子。
  39. 前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に延びる線状位相変調領域を有することを特徴とする請求項38に記載の光学変調素子。
  40. 前記位相変調領域は、前記位相段差にほぼ平行に並ぶ複数の孤立位相変調領域を有することを特徴とする請求項38に記載の光学変調素子。
  41. 前記位相段差の一方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量と前記位相段差の他方の側に設けられた位相変調領域の位相変調量とは絶対値がほぼ等しく且つ符号が異なることを特徴とする請求項38乃至40のいずれか1項に記載の光学変調素子。
  42. 変調位相値を有する領域の占有面積率が位置によって変化する、少なくとも二種類の位相分布領域を有し、該二種類の位相分布領域の変調位相値は絶対値が等しく符号が逆であり、該二種類の位相相分布領域の境界線が実質的に前記180度と実質的に異なる位相段差を形成することを特徴とする光学変調素子。
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