JP2007269530A - 鉛フリー低融点ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性に優れた鉛フリー低融点ガラスを提供する。
【解決手段】鉛フリー低融点ガラスを製造する方法であって、酸化物微粒子、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することを特徴とする鉛フリー低融点ガラスの製造方法に係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な鉛フリー低融点ガラス及びその製造方法に関する。
例えば、PbO−SiO−B系ガラス、PbO−P−SnF系ガラス等の低融点ガラスは、成形加工に要するエネルギーひいてはコスト、製造コスト等の面で高融点ガラスに比して極めて有利であるため、省エネルギーに対する昨今の社会的要請とも合致しており、電子部品の封着、被覆等に汎用されている。さらに、低融点ガラスは高融点ガラスに比べ、さらに、光機能性能の有機物を破壊しない温度で溶融することが可能であり、光機能性有機物含有(非線形)光学材料のホストとして光スイッチなどの光情報通信デバイスなどへの応用が期待されている。
ところが、鉛という有害物質を含むため、環境面あるいは健康面の観点から、鉛を含まないガラス、いわゆる鉛フリーガラスの要請が高くなっている。例えば、最近制定された WEEE/RoHS 指令(欧州議会制定の有害物質使用制限の指令)にもみられるように、有害物質の使用制限は世界レベルで進みつつある。このため、ガラスの製造業界においても、鉛フリーガラスの開発が盛んに進められている。
従来よりガラスの製造方法として採用されている代表例として溶融法がある。これは、所定のガラス組成を有する原料粉末を均一に混合し、1000℃以上の高温で溶融し、急冷することによりガラスを製造する方法である。この方法は、高温での処理が必要となるので、それだけコスト、設備等における負担が大きい。
溶融法では、融点を下げるために、鉛やアルカリ、ビスマスなどの含有を必要とする等、構成できるガラス組成には多くの制限があり、限界に来ている。これに対し、低温プロセスとして、ゾルゲル法、液相反応法が知られている。ところが、ゾルゲル法で得られるガラスは多孔質であり、緻密なガラスを得ようとすれば、ガラス組成にも依存するが結局1000℃以上での高温処理が必要となる。
これに対し、ゾルゲル法の欠点を改善するために、例えば有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、ゾルゲル法で作製されたゲル体と無水酸塩基反応法により得られた物質とを、混合し、加熱して溶融し、さらに熟成されたことを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法(特許文献1)が提案されている。
また、トリアルキルクロロシランとリン酸、又はトリアルキルクロロシランとリン酸及び金属塩化物を水の使用なしに加熱反応させることより、RSiO0.5−RSiO−MO−P(但し、Rはメチル基又はエチル基、Mは2価の金属)系の有機−無機ハイブリッド低融点ガラス(但し、Rはメチル基又はエチル基、Mは2価金属)を製造する方法も知られている(特許文献2)。
特開2004−277207 特開2004−43242
しかしながら、これらの方法によって得られるガラスは、耐熱性、気密性等を向上できるものの、特に耐水性等の点ではなお改善の余地がある。
従って、本発明の主な目的は、耐水性に優れた鉛フリー低融点ガラスを提供することにある。
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑みて研究を重ねた結果、特定の方法により得られるガラスがこれまでにない優れた耐水性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の鉛フリー低融点ガラス及びその製造方法に係る。
1. 鉛フリー低融点ガラスを製造する方法であって、酸化物微粒子、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することを特徴とする鉛フリー低融点ガラスの製造方法。
2. 酸化物微粒子がシリカ微粒子である、前記項1に記載の製造方法。
3. シリカ微粒子が平均粒径2〜20nmである、前記項2に記載の製造方法。
4. シリカ微粒子がその表面シラノール基を有する、前記項2又は3に記載の製造方法。
5. シリカ微粒子表面上のシラノール基の存在密度が2個/nm以上である、前記項3に記載の製造方法。
6. 無機酸がリン酸及び亜リン酸の少なくとも1種である、前記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7. 金属塩化物がスズ塩化物及び亜鉛塩化物の少なくとも1種である、前記項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
8. 熱処理温度が250〜400℃である、前記項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
9. 熱処理雰囲気が不活性ガス雰囲気である、前記項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
10. 請求項1〜9のいずれかの製造方法により得られる鉛フリー低融点ガラス。
11. ガラス転移温度が140〜300℃である、前記項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
12. ガラス軟化温度が150〜340℃である、前記項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
13. 30℃〜ガラス転移温度における熱膨張係数が50×10−7〜300×10−7/℃である、前記項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
本発明の製造方法では、予め酸化物微粒子を含む原料を加熱する方法を採用していることから、少なくとも耐水性が従来品に比して優れたガラスを得ることができる。また、比較的低温で合成できるため、製造コスト、設備コスト(メンテナンスコストも含む。)等においても有利であり、工業的規模での生産に適している。
本発明のガラスは、耐水性のほか、1)ガラス転移温度が低い、2)ガラス軟化温度が低い、3)熱膨張係数が小さい、等の少なくとも1つの特徴をもつ。例えば、従来の代表的な鉛含有ガラスは、ガラス転移温度:310℃、ガラス軟化温度:350℃、熱膨張係数:115×10−7/℃であるのに対し、本発明では、ガラス転移温度:250℃、ガラス軟化温度:290℃、熱膨張係数:110×10−7/℃という特性を有するガラスを提供することができる。
このような本発明ガラスは、例えばエレクトロニクス分野における封着ガラス、フォトニクスガラス等に用いることができる。また、例えばブラウン管の電子銃のファンネル又はネックチューブ、プラズマディスプレイパネルの隔壁部分、電子回路部品の封着部等に幅広く適用することができる。
1.鉛フリー低融点ガラスの製造方法
本発明の鉛フリー低融点ガラスの製造方法は、酸化物微粒子、無機酸及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することを特徴とする。
酸化物微粒子
酸化物微粒子は、限定的でなく、例えばケイ素、チタン等の酸化物の微粒子を用いることができる。特に、本発明では、ケイ素酸化物の微粒子(シリカ微粒子)を用いることが望ましい。シリカ微粒子自体は、公知又は市販のものでも良く、またその製造方法も限定されない。
酸化物微粒子(一次粒子)の平均粒径は、通常は2〜20nm程度、好ましくは5〜10nmのものを用いることが好ましい。この範囲内の酸化物微粒子を用いることによって、特にガラス化反応し易く、最終ガラス組成物中に酸化物微粒子の含有量を高くかつ低温温度でガラスを作製することができるという効果を得ることができる。なお、酸化物微粒子は、凝集していても良いが、容易に一次粒子に解れる程度のゆるい凝集状態であることが望ましい。
酸化物微粒子としてシリカ微粒子を用いる場合、シリカ微粒子の表面にはシラノール基(Si−OH)が存在していることが好ましい。この場合、シラノール基の存在密度(割合)は、2個/nm以上、特に4〜10個/nmであることが好ましい。かかる存在割合でシラノール基が存在する場合には、特にガラス化反応し易く、最終ガラス組成物中に酸化物微粒子の含有量を高くかつ低温温度でガラスを作製することができるという効果が得られる。
なお、シラノール基には、孤立したシラノール基と水素結合したシラノール基があり、ここで言うシラノール基とは孤立した及び水素結合したシラノール基の両方を指す。
酸化物微粒子の使用量は、用いる酸化物微粒子の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には無機酸及び金属塩化物の合計100モル%に対して5〜30モル%、特に8〜20モル%とすることが好ましい。上記範囲内に設定することによって、特にガラスの耐水性向上に対する寄与が大きくなるという効果を得ることができる。
以下に、本発明の酸化物微粒子の代表例としてシリカ微粒子についてさらに詳細に説明する。
本発明では、シリカ微粒子として、一次粒子径が10nm以下で、かつ、シリカ微粒子表面のシラノール基密度が2個/nm以上有し、1次粒子がゆるい凝集状態であり容易に1次粒子にほぐせるもの(ナノシリカ微粒子)を好適に用いることができる。
本発明で用いるシリカ微粒子の製造方法は、前記のとおり、限定されない。その合成方法として気相法と液相法とに大別され、具体的には1)乾式シリカ、2)湿式シリカ、3)ゾル−ゲル法シリカ、4)コロイダルシリカがある。
1)乾式シリカは、四塩化珪素等のシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、「ヒュームドシリカ」とも称されている。一般に、乾式シリカは、比表面積(BET法)が30〜500m/gであり、製造直後のシラノール基の存在密度は1〜1.5個/nm、空気中において飽和すると5個/nm程度となる。また、乾式シリカは、一般に細孔はなく、表面はひだ状になっており、無孔質(緻密質)である。
また、 乾式シリカは、四塩化珪素等のシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるため、製造直後のシラノール基密度はnm当たり1〜3個程度である。この場合、加湿処理するか、あるいはシリカ微粒子を水を含む極性溶媒中に分散させて、シリカの表面シラノール基密度をnm当たり4個以上に予め調製することが可能である。
2)湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈殿法によって得られるシリカが代表的であり、ホワイトカーボンとも称されている。また、同様に、珪酸ソーダを酸で中和することによって作るゲル法シリカも使用することができる。
湿式法シリカは、中和反応後に濾過や洗浄を行った後の乾燥工程を施さない脱水シリカケークを直接使用することもできる。湿式シリカは、平均4〜5個/nmのシラノール基密度を有し、飽和させると8個/nm程度となる。また、表面には細孔がある。
3)ゾル−ゲル法シリカは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の珪素のアルコキシドを酸性又はアルカリ性の含水有機溶媒中で加水分解することによって得られるものである。
4)コロイダルシリカは、一般に珪酸ソーダ水溶液を陽イオン交換性樹脂に通してシリカゾルを生成させた後、これを加熱熟成して粒子を成長させることによって得られるものである。
上記熟成条件は、使用するシリカの種類、状態等によって異なる。例えば、乾式シリカは、四塩化珪素等のシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるため、製造直後のシリカ微粒子のシラノール基密度はnm当たり1〜3個程度である。このように表面のシラノール基が少ないシリカに対しては、上記熟成時間を比較的長時間行う処理が推奨される。
以上をまとめると、乾式シリカは製造直後1〜1.5個/nm、空気中において飽和すると5個/nm、細孔はない無孔質シリカであり、湿式シリカは平均4〜5個/nmで飽和させて8個/nmのシラノール基密度を有する。当然、シラノール基密度が高くて、一次粒子径が小さければ小さいほどガラス化反応が起こりやすく、シリカ微粒子を高含有量あるいはより低温温度でガラスを作製することができる。上記1)〜4)のうち、本発明では、特に湿式シリカを用いることが好ましい。
原料として使用するシリカ微粒子は、粉末状であっても良いし、オルガノシリカゾルのスラリーの様態であっても良い。ただし、水を使用しないことが好ましいので、スラリーは有機溶媒(非水系溶媒)で分散した状態である必要がある。比表面積に関しては、大きければ大きいほど好ましいが、大きすぎると1次粒子が凝集してしまい、なかなか凝集を解すことができない。仮に1次粒子が凝集していても、容易に凝集を解すことが可能であれば問題ない。
なお、本発明におけるシリカ微粒子表面のシラノール基の存在密度(個/nm)は、赤外線吸収法により3750cm−1の孤立シラノール基の水酸基部分の伸縮振動の吸収、3640〜3680cm−1の水素結合したシラノール基の吸収強度を測定することによって測定・算出することができる。あるいは、水素化リチウムアルミニウムとシラノール基を反応させることによって測定・算出することもできる。
酸成分
酸成分としては、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸、トリエチル亜リン酸、トリフェニル亜リン酸、トリブチル亜リン酸、トリプロピル亜リン酸、メチル亜リン酸、フェニル亜リン酸、エチル亜リン酸、トリメチル亜リン酸等が挙げられる。本発明では、リン酸及び亜リン酸の少なくとも1種を用いることが好ましい。他に加熱等で分解すればリン酸、亜リン酸が発生するリン酸誘導体を使用しても構わない。具体的には、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等が挙げられる。
酸成分の使用量は、通常は酸成分及び金属塩化物の合計100モル%としてそのうち50〜70モル%とすることが好ましく、特に55〜65モル%とすることがより好ましい。これより酸成分が多くなると、酸化物粒子をガラス化反応により含有させても耐水性向上効果が十分に発現しない。また、これより酸成分が少なくなるとガラスとならず失透し易くなり、結晶化する傾向にある。
金属塩化物
金属塩化物としては、無機系の塩化物として、遷移金属等の塩化物のほか、塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化ゲルマニウム、塩化マンガン等を用いることができる。また、有機系の塩化物としては、例えばRSiCl,RSiCl(R:炭化水素基)等で表されるシリコン系有機クロライド化合物が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
金属塩化物の使用量は、通常は無機酸及び金属塩化物の合計100モル%としてそのうち5〜50モル%とすることが好ましく、特に20〜40モル%とすることがより好ましい。上記範囲内に設定することによって、光機能性を有する有機化合物等を容易にドープしたりすることができ、非線形光学材料等のフォトニクス材料のホストマトリックスとして利用する場合等に特に好適である。
混合物の調製
混合物は、上記の3成分を均一に混合すれば良い。混合方法は限定されず、例えばミキサー、ニーダー等の公知の装置を使用すれば良い。また、混合順序は、熱処理される前にこれら3成分が均一に混合されている限り、特に限定されない。混合は、水が実質的に存在しない条件下で行うことが好ましい。
混合物の調製に際し、必要に応じて、他の成分(溶媒等)を配合することもできる。ただし、溶媒を用いる場合は、水以外の溶媒、有機溶媒が好ましく、特に非水系溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、アセトン、キシレン、トルエン等の有機溶媒が挙げられる。
熱処理
本発明では、上記混合物を熱処理することによりガラスを作製する。本発明では、熱処理により混合物を溶融させることが好ましい。
熱処理温度は、所定のガラスが得られる限り制限されないが、通常は400℃以下とし、特に200〜400℃とすることが望ましい。熱処理雰囲気は、限定的ではなく、大気中、不活性ガス雰囲気中等のいずれであっても良い。特に、不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。また、熱処理雰囲気は、乾燥した雰囲気とすることが好ましく、例えば相対湿度20%以下とすることがより好ましい。
また、熱処理において、昇温速度は5℃〜30℃/分が好ましく、より好ましくは10℃〜20℃/分が好ましい。なお、冷却速度は、特に制限はないが、室温まで迅速に冷却させれば良い。
2.鉛フリー低融点ガラス
本発明は、前記の製造方法で得られる鉛フリー低融点ガラスも包含する。すなわち、鉛フリー低融点ガラスを製造する方法であって、酸化物微粒子、無機酸及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することを特徴とする鉛フリー低融点ガラスの製造方法により得られる鉛フリー低融点ガラス(本発明ガラス)も包含する。
本発明ガラスの形態は、通常はバルク体であるが、粒状、板状、薄膜状等の各種の形態をとることもできる。
本発明ガラスの基本組成は、用いる金属塩化物等によって異なるが、例えばHPO−SnCl−ZnCl系、HPO−SnCl系、HPO−ZnCl系、HPO−AlCl−ZnCl、HPO−SnCl−AlCl系、HPO−SnCl−MnCl系、HPO−MnCl−ZnCl、HPO−AgCl−ZnCl等が好ましい。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
本発明ガラスのガラス軟化温度(Ts)は、通常は150〜340℃程度、好ましくは180〜300℃の範囲内である。
本発明ガラスのガラス転移温度(Tg)は、通常は140〜300℃程度、好ましくは150〜280℃の範囲内である。
本発明ガラスの熱膨張係数(30℃〜ガラス転移温度まで範囲での平均熱膨張測定値)は、通常50×10―7〜300×10―7/℃程度、好ましくは50×10―7〜250×10―7/℃である。
本発明ガラスの耐水性は、純水に本発明ガラスを浸漬することにより測定する。具体的には、本発明ガラス1gを温度20℃の純水10mlに浸漬し、経時的にpHを測定し、中性を維持できる期間を調べる。本発明ガラスはリン酸系ガラスであることから、ガラス成分が溶出する場合(耐水性が低い場合)は酸性に変化する。一方、ガラス成分が溶出しない場合は、それだけ長期にわたり中性(pH=7付近)を維持することができる。本発明ガラスは、通常1ヶ月以上、特に3ヶ月以上にわたり中性を維持することができる。
本発明ガラスの密度は、限定的ではないが、緻密であることが好ましいことから、通常2.0〜4.0g/cm程度、好ましくは2.5〜3.6g/cmである。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をさらに明確にする。ただし、本発明の範囲は、これら実施例に限定されない。
実施例1
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:34モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、メタノールシリカゾル:10モル%(平均粒径8nm、シラノール基密度:5.3個/nm、pH3.1)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、ZnCl、メタノールシリカゾルを同時に加え、10℃/minの昇温速度で400℃まで上げた後、400℃で4時間保持し、最終生成物として透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):221℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):262℃
・熱膨張係数(α):83×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、コロイドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例2
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:34モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、メタノールシリカゾル:20モル%(平均粒径8nm、シラノール基密度:5.3個/nm、pH3.1)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、ZnCl、メタノールシリカゾルを同時に加え、10℃/minの昇温速度で400℃まで上げた後、400℃で4時間保持し、最終生成物として透明で均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):252℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):290℃
・熱膨張係数(α):70×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、コロイドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例3
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:34モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、メタノールシリカゾル:15モル%(平均粒径8nm、シラノール基密度:5.3個/nm、pH3.1)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、ZnCl、メタノールシリカゾルを同時に加え、10℃/minの昇温速度で400℃まで上げた後、400℃で4時間保持し、最終生成物である低融点ガラスを得た。透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):237℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):278℃
・熱膨張係数(α):76×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、コロイドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例4
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:34モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、気相法で作製したフュームドシリカ:10モル%(平均粒径6nm、シラノール基密度:2.8個/nm、pH4.0)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、ZnCl、ヒュームドシリカを同時に加え、10℃/minの昇温速度で400℃まで上げた後、400℃で4時間保持し、最終生成物である低融点ガラスを得た。透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):214℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):255℃
・熱膨張係数(α):90×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、ヒュームドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例5
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:24モル%、(CHSiCl:10モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、気相法で作製したヒュームドシリカ:10モル%(平均粒径6nm、シラノール基密度:2.8個/nm、pH4.0)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、(CHSiCl、ZnCl、ヒュームドシリカを同時に加え、10℃/minの昇温速度で250℃まで上げた後、250℃で4時間保持し、最終生成物である低融点ガラスを得た。透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):150℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):192℃
・熱膨張係数(α):180×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、ヒュームドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例6
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:24モル%、(C)SiCl:10モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、気相法で作製したヒュームドシリカ:10モル%(平均粒径6nm、シラノール基密度:2.8個/nm、pH4.0)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、(C)SiCl、ZnCl、ヒュームドシリカを同時に加え、10℃/minの昇温速度で280℃まで上げた後、280℃で4時間保持し、最終生成物として透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):161℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):203℃
・熱膨張係数(α):160×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、ヒュームドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例7
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、SnCl:24モル%、(CSiCl:10モル%、ZnCl:6モル%のトータル100モル%に対し、気相法で作製したヒュームドシリカ:10モル%(平均粒径6nm、シラノール基密度:2.8個/nm、pH4.0)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOにSnCl、(CSiCl、ZnCl、ヒュームドシリカを同時に加え、10℃/minの昇温速度で280℃まで上げた後、280℃で4時間保持し、最終生成物として透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):148℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):188℃
・熱膨張係数(α):195×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、ヒュームドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
実施例8
(1)ガラスの製造
PO:60モル%、(C)SiCl(:40モル%のトータル100モル%に対し、メタノールシリカゾル:20モル%(平均粒径8nm、シラノール基密度:5.3個/nm、pH3.1)を用いた。窒素雰囲気の反応装置中でHPOに(CSiCl、メタノールシリカゾルを同時に加え、10℃/minの昇温速度で280℃まで上げた後、280℃で4時間保持し、最終生成物として透明な均一なガラスを得た。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):151℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):183℃
・熱膨張係数(α):230×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後3ヶ月後もpHは中性のままであり、ガラス表面も透明のままであった。
・赤外線吸収:シリカ粒子表面の孤立及び水素結合したシラノール基に帰属される3740〜3760cm−1、3640〜3680cm−1に起因する吸収スペクトルが反応前に比べて大幅に減少した。
・NMR:核磁気共鳴測定装置「CMX−400型」(JEOL社製)で29Si−NMRによって確認した。Si−NMRのQ(約−92ppm、架橋酸素シロキサン結合が2つに相当する)、Q(約−101ppm、架橋酸素シロキサン結合が3つに相当する)、Q(約−111ppm、架橋酸素シロキサン結合が4つに相当する)によって確認することができる。シリカユニットは、反応する前に比べて反応後はQ、Qの比率が減り、Qの比率が増えていることから、ヒュームドシリカ粒子がガラス構造に寄与することによりガラスの耐水性が大幅に向上し、ガラス転移温度、ガラス軟化温度の向上、熱膨張係数の低下にも寄与していることがわかる。現在使用されている鉛含有ガラスと同等以上の性能を有していることが確認できた。
比較例1
(1)ガラスの製造
メタノールシリカゾルを使用しなかったほかは、実施例1と同様にしてガラスを作製した。これにより透明なガラスが得られた。
(2)物性の評価
前記(1)で得られたガラスについて各種の物性を測定した。その結果を以下に示す。
・熱分析装置(DSC)により求めたガラス転移温度(Tg):146℃
・熱機械測定装置(TMA)により求めたガラス軟化温度(Ts):182℃
・熱膨張係数(α):110×10―7/℃
・耐水性:純水浸漬試験により調べた。ガラスを純水に室温で浸漬し、pH試験紙で定期的にpHを調べた。このガラスはリン酸系ガラスなので、ガラスの耐水性が低いと純水のpHが中性の7から酸性側にシフトする。本ガラスは、浸漬後1日経過後にはpH3.5となり、2日経過後にはpH1.3となり、ガラスが水に溶出していることがわかり、次第にガラス表面が白濁化した。ガラスも白濁しており、耐水性が低いだけでなく、ガラス転移温度及びガラス軟化温度も低く、実用に耐えられるものではなかった。温度も低く実用に供するガラスではなかった。

Claims (13)

  1. 鉛フリー低融点ガラスを製造する方法であって、酸化物微粒子、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することを特徴とする鉛フリー低融点ガラスの製造方法。
  2. 酸化物微粒子がシリカ微粒子である、請求項1に記載の製造方法。
  3. シリカ微粒子が平均粒径2〜20nmである、請求項2に記載の製造方法。
  4. シリカ微粒子がその表面シラノール基を有する、請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. シリカ微粒子表面上のシラノール基の存在密度が2個/nm以上である、請求項3に記載の製造方法。
  6. 無機酸がリン酸及び亜リン酸の少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 金属塩化物がスズ塩化物及び亜鉛塩化物の少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 熱処理温度が250〜400℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 熱処理雰囲気が不活性ガス雰囲気である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかの製造方法により得られる鉛フリー低融点ガラス。
  11. ガラス転移温度が140〜300℃である、請求項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
  12. ガラス軟化温度が150〜340℃である、請求項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
  13. 30℃〜ガラス転移温度における熱膨張係数が50×10−7〜300×10−7/℃である、請求項10に記載の鉛フリー低融点ガラス。
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