JP5381131B2 - 発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法 - Google Patents

発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法に関する。
近年、半導体発光素子(例えば、発光ダイオード)を被覆する部材として、ガラスが提案されている。一般的にガラスでの封止温度は500℃以上と高く、低温(400℃以下)とすることが求められている。半導体発光素子を被覆するためのガラスを明確には記載していないが、低温での溶融環境下でも均質なガラス物品を得るためのガラス用混合原料を開示している文献もある(特許文献1)。
特開2006−69881号公報
しかしながら、特許文献1は、ガラス原料を調合するときの混合原料についてその粒径(D50が10μm以下)を開示しており、調合された混合原料を一度溶解し、その後に粉砕して得られるガラス粉末(ガラスフリットとも言う)については何ら開示及び示唆をしていない。また、特許文献1は、開示したガラス用混合物が半導体発光素子を被覆するために用いられることを何ら開示及び示唆していない。
一般に、半導体発光素子は、大型のものであっても(L)1mm×(W)1mm×(H)0.2mmと小さく、それを封止するためのガラスの量もわずかである。そのため、半導体発光素子を被覆するガラスにおいては、わずかな結晶や着色も半導体発光素子の発光効率を減少させるという問題がある。発明者の様々な実験によると、半導体発光素子の発光効率を減少させることなく半導体発光素子を400℃で封止するためには、ガラス粉末時の粒径やガラス粉末の処理方法が大きく起因するという知見を得た。しかしながら、特許文献1ではそれについての開示及び示唆がないため、所望の発光効率を得られるガラス被覆発光素子を得られないという問題点がある。
また、ガラス粉末をスラリー状又はペースト状にして焼成しても所望の発光効率を得られるガラス粉末が求められていた。
そこで、本発明の目的は、400℃以下で封止することができ、所望の発光効率が得られる発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の態様により達成される。
(1)発光素子を400℃以下で封止することのできる発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法であって、P25−SnO系のガラスを粉砕してガラス粉砕物を生成する粉砕処理と、前記ガラス粉砕物を、600℃以上1500℃以下で乾燥、且つ、酸素分圧が1KPa以下の不活性ガス雰囲気中に直接散布して、前記ガラス粉砕物の表面を軟化ないしは溶融して粒径0.1〜500μmのガラス球状粉末を生成する球状化処理と、を備えることを特徴とする発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
(2)前記ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、P25を25〜50モル%、SnOを30〜70モル%、ZnOを0〜35モル%を含むガラス組成を有することを特徴とする(1)に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
(3)前記球状化処理において、酸素分圧が1KPa以下であり、且つ、露点が−20℃以下である不活性ガスを用いることを特徴とする(1)または(2)に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
(4)前記球状化処理において、前記ガラス粉砕物を下方に向かって散布し、不活性ガス雰囲気中を自由落下させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
(5)前記球状化処理において、前記ガラス粉砕物を下方に向かって散布し、気流を制御しながら不活性ガス雰囲気中を落下させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
(6)前記球状化処理において、上部が600℃以上であり下部が600℃未満である空間内を落下させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によれば、半導体発光素子を400℃以下で封止することができ、着色を生じにくく、所望の発光効率が得られる発光素子被覆用ガラス粉末を製造することができる。
本発明のガラス被覆発光装置の断面図である。 球状化処理装置の説明図。 粉砕後及び比較例1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例3の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例2の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明の実施形態を、添付した図面を参照して以下に詳細に説明する。図では、対応する部分は、対応する参照符号で示している。下記の実施形態は、一例として示されたもので、本発明の精神から逸脱しない範囲で種々の変形をして実施することが可能である。
初めに、図面を用いて、ガラス被覆発光装置について説明する。
図1は、ガラス被覆発光装置の断面図である。ガラス被覆発光装置は、基板100と、基板上に形成される配線110と、配線110と電気的に接続されるバンプ120と、バンプ120を介して配線110と電気的に接続される半導体発光素子(例えば、発光ダイオード)130と、半導体発光素子130を被覆する被覆部材であるガラス140とを有する。
基板100は、特に制限はないが、例えば、純度98.0質量%〜99.5質量%、厚さ0.5mm〜1.2mmの矩形の絶縁性の基板であり、たとえばアルミナ基板またはマグネシア(MgO)基板である。または、ガラスとセラミックスの複合材料の場合もある。なお、基板100の表面に形成される配線110は、銅、銀、金、アルミ等の導体であればよく、たとえば、金ペーストにより製造された金配線である。
半導体発光素子130は、たとえば、基板と、LEDと、プラス電極と、マイナス電極とを有する。LEDは、波長が360〜480nmの紫外光または青色光を放出するLEDであり、GaNにInを添加したInGaNを発光層とする量子井戸構造のLED(InGaN系LED)である。典型的には、基板として熱膨張係数(α)が約80×10−7/℃であるサファイア基板が使用される。他にも、GaN、SiCなどを基板として用いる場合もある。
図1では、ガラスは半導体発光素子を凸字状に覆っているが、半球形状にしたり、球形状の一部を平面で切除したような形状に形成することもできる。
ガラス140は、以下のような材料を400℃以下、例えば380℃焼成することにより製造される。
(1)発光素子被覆用ガラス粉末(ガラスフリット)
(2)発光素子被覆用ガラス粉末を有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールなど)に混合した発光素子被覆用スラリー
(3)発光素子被覆用ガラス粉末を高分子材料(例えば、ニトロセルロースなど)及び有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールなど)に混合した発光素子被覆用ペースト
次に本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法及びそれにより製造された発光素子被覆用ガラス粉末について説明する。
本発明の発光素子を400℃以下で封止することのできる発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法は、400℃以下で封止することのできる所望の組成となるように調整されたガラス混合原料を溶解してガラス化し、ガラス化したガラスを粉砕してガラス粉砕物を生成する粉砕処理と、得られたガラス粉砕物から所定のガラス球状粉末を生成する球状化処理と、を備えて構成される。
粉砕処理は、乾式で行うことが好ましい。湿式であると、混合した後の粒子の周りに、OH基が付着する。そのため、400℃以下で焼成した際に、ガラスが着色してしまうおそれがある。乾式で処理を行う際の雰囲気としては、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンキセノン、フッ素、塩素、臭素、ノックス(NOx)、ソックス(SOx)、一酸化炭素、二酸化炭素、水素あるいはこれらのガスの混合雰囲気を採用してもよい。さらに、これらの気体の圧力は任意に変化させることが可能であり、大気圧下で行うものであっても、減圧状態下、高圧状態下で行うものであってもよい。
また、粉砕処理は、所望の粉砕効果を実現することが可能であるならばどのような粉砕装置を使用することも可能である。特に好適なものとして、乾式粉砕を行うことができるものであればよい。例えば、気流式粉砕機を使用して粉砕することが可能である。なお、あまりにも細かく粉砕することは、好ましくない粒径の粒子を多数発生させてしまう原因にもなるので、所望の粒径となった以降は、それ以上粉砕しないことが重要である。そのためにも、例えば、所望の粒子は通過させないような網目を有する篩を用いて、所望の粒子を取り出すという作業を行うことが好ましい。
ここで、気流式粉砕機とは、高速ジェット気流等によって被粉砕物を強制的に衝突させて粉砕を行う方式を採用した粉砕装置であって、粒度の揃った粉末を調整するに好適である。そして特に、本装置を利用する際には、利用するジェット気流そのものを低湿度環境に保持されるように調整した雰囲気とすることによって、所望の粉砕環境を実現することも可能である。また、前述の粉砕装置は、単独で使用してもよいし、他の粉砕装置などと接続することによって連続したプラント設備として利用することも可能であって、利用者の要望や、粉砕する封着材料の種類、量、用途などに応じて適宜選択することが可能である。
球状化処理は、粉砕処理によって得られた粉砕物を600℃以上の温度の乾燥、且つ、不活性ガス雰囲気中に直接散布して行う。この処理により、粉砕物はその表面が軟化ないしは溶融されてなだらかになり、球状粉末に近い形状となる。これにより、このガラス球状粉末を用いて、LEDの封止を行った際に、ガラスの着色や気泡を生じにくく、高い光の取り出し効率を得ることができる。ここで、直接散布とは、エタノール等のアルコールやイオン交換水等の水に懸濁させてスラリー状にせずに、得られた粉砕物をそのまま散布することをいう。エタノール等のアルコールに懸濁すると、加熱によりアルコールが燃焼することにより粉砕物の状態が変化しガラス転位温度(Tg)が上昇するからである。また、イオン交換水等の水に懸濁すると、水分によりガラス粉末の表面における後述する架橋酸素の割合が低下するからである。さらに600℃より低ければ、粉砕物を球状化することができないおそれがあり、好ましくは850℃以上である。また、通常は1500℃以下で十分である。なお、本発明ではガラス粉末が加熱される温度が重要であり、ガラス粉末を加熱する雰囲気の温度は特に限定されない。ここで、乾燥とは、露点が−20℃以下をいい、好ましくは−30℃以下である。露点が−20℃より高いと、本球状化処理を通じてガラス粉末の内部により多くの水分が含まれ、そのためこのガラス粉末を用いて半導体発光素子130を封止すると、焼成時に水分が軟化ガラス中で泡となり冷却後まで泡が残って光散乱性が顕著になり、封止部分の透明性が失われるおそれがあるからである。また、不活性ガス雰囲気とは、酸素分圧が1KPa以下をいい、好ましくは0.1KPa以下である。酸素分圧が1KPaより高いと、2価で存在しているSnが本球状化処理を通じて酸化されSnが4価に変質するおそれがあるからである。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウムなどを用いることができる。そして、加熱後は、急冷することにより粉砕物が球状のまま固化する。特に、30秒以内に600℃以上から250℃以下まで急冷することが好ましい。
また、球状化処理は、粉砕物の球状化を実現することが可能であるならばどのような球状化処理装置を使用することも可能である。例えば、図2に示すように、上部にカンタル発熱体201を配置し、例えば石英管により構成され上部を600℃以上で下部を600℃未満とした管状炉202内で、窒素雰囲気下、上部から下方に向かって粉砕物を旋回させて落下させたり、自由落下させることによりなされる。そのほか、アルゴンプラズマを用いたり、CO又はYAGレーザーを用いて加熱してもよい。なお、管状炉内は気流を制御可能なことが好ましく、管状炉内の下部に排気ダクトを設け、所望の粒径以下のガラス粉末を所望の粒径のガラス粉末と分けて回収することがさらに好ましい。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、粉末ガラス中の粒径0.1〜500μmの粒子の相対粒子量が容量%で99%以上になるようにして用いられることが好ましい。より好ましくは、粉末ガラス中の粒径1〜30μmの粒子の相対粒子量が容量%で99%以上になるようにして用いられることが好ましい。0.1μm未満の粒子が多いとガラスが不透明になるおそれがあるからである。一方、500μmより大きな粒子が多いと発光素子を均質に封止できないおそれがあるからである。ここで、ガラス球状粉末の粒径とは、本発明の製造方法によって製造されたガラス粉末が、ほぼ球形に近い球状粉末になるので、基本的には直径であるが、完全な球状に限られるものではなく、楕円体でもよく、真球状でない場合にはその粒子の最も長い軸方向長さをいう。真球状でない粒子を含む場合には、容量%で表わした場合に、長径と短径とのアスペクト比が1.5以下の粒子が99%以上であればよい。
粒度分布の計測については、どのような原理であってもよいが、それぞれの粒子を分散した状態で測定することができる方法であって、測定結果の再現性が5%以内に収まる方法であり、ハンドリングによる個人差が出にくいものであれば好適である。例えば、縮分操作した試料によるレーザー回折計測装置による計測を採用するのが好ましい。また電子顕微鏡や各種微細構造の観測装置と得られた画像の解析装置等を併用することによって、粒度分布を計測することで代用することも可能である。本発明の発光素子を被覆するガラス粉末は、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100)を用いて測定した。
容積率については、電子顕微鏡や各種微細構造の観測装置で得られた画像から算出することができ、また、画像の解析装置により求めることもできる。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、ガラス転位温度(Tg)が250℃〜350℃の範囲のものを用いる。250℃未満ではガラスが不安定になり、耐水性および/または化学的耐久性が著しく劣るおそれがある。350℃超ではガラスが軟化する温度が高くなり、400℃で封止することができなくなる。より好ましくは260℃から320℃、さらに好ましくは270℃から310℃である。
ガラス転移温度の計測については、どのような原理であってもよいが、例えば、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)により計測することができる。本発明の発光素子を被覆するガラス粉末は、セイコーインスツル社製示差熱分析装置EXSTAR6000TG/DTAを用いて10℃/分の昇温速度で、室温から600℃までサンプルを昇温することにより計測された。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、熱膨張係数(α)が140×10−7/℃以下であることが好ましく、128×10−7/℃以下であることがより好ましい。また熱膨張係数(α)は、110×10−7/℃以上であることが好ましく、115×10−7/℃以上であることがより好ましい。熱膨張係数(α)が110×10−7/℃未満では、ガラス転移温度(Tg)が上昇する。また、熱膨張係数(α)が140×10−7/℃を超えると、ガラスで発光素子を被覆した後、この素子を室温まで冷却する過程においてまたはその後の工程において、ガラスの発光素子に接する部分を起点として割れが発生するおそれがある。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、Pをネットワークフォーマーとして含有する。具体的には、P−SnO系のガラスである。なお、粉砕処理により粉砕するガラスも当然ながらP−SnO系のガラスであり、以下、組成の説明における発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、粉砕処理により粉砕するガラスも含む意味である。
以下、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末のガラス組成のモル%を単に%と表記して説明する。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末のガラス組成は好ましくは、Pを25〜50%、SnOを30〜70%、ZnOを0〜35%含むものであり、より好ましくは、Pを27〜33%、SnOを50〜70%、ZnOを0〜10%、CaOを0.5〜5%を含むものである。
以下に、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末のガラス組成をより具体的に説明する。Pは、ガラスを安定化させる成分であり、25〜50%、好ましくは27〜33%である。25%未満ではガラス化が困難になるおそれがあり、50%超では、耐水性が低下するおそれがあるからである。
SnOは、流動性を増す効果があり、30〜70%、好ましくは50〜70%である。30%未満では軟化点が高くなりすぎ、流動性が悪くなるため、強度と気密性が低下するおそれがあり、70%超ではガラス化が困難になるからである。
また、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分、例えば耐水性を向上させ、熱膨張係数を低下させる等、ガラスを安定化させる成分であるZnOを、35%以下、好ましくは10%以下含ませることができる。さらに、(i)MgO、CaO、SrO、BaOを総量で10%以下含んでもよく、(ii)B、Al、Ga、In、La、Y、Gdを総量で7%以下含んでいてもよく、(iii)Biを5%以下含んでいてもよく、(iv)SiO、ZrO、TiOを総量で5%以下含んでいてもよく、(v)TeO、CeOを総量で3%以下含んでいてもよく、(vi)WOを3%以下含んでいてもよく、且つ、(i)〜(vi)の合計が15%以下であればよい。これらの規定量を超えるとガラス転移温度(Tg)が上昇したり、着色が発生するおそれがあるからである。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末の表面における酸素の局所的な存在状態は、架橋酸素と非架橋酸素の2種類に区別することが出来る。架橋酸素は2個のリンイオンまたはホウ素イオンと共有結合している状態を示す。非架橋酸素は1個または0個のリンイオンとの共有結合と、他のイオン(例えばSn2+,Zn2+,Ca2+)とのイオン結合が共存した状態を示す。例えば、33%のPと67%のSnOで構成されるガラスでは、理論的には約25%の架橋酸素と約75%の非架橋酸素が存在することになるが、ガラス粉末の表面が粉砕時のイオン再配列、水分等の周辺不純物との反応などにより化学状態が変質する場合があるが、そのときに架橋酸素の割合が少なすぎると不安定になり、発光素子を封止するための熱処理時に結晶化しやすくなる、または着色して不透明になるおそれがある。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末は、ガラス粉末の表面で5%以上の架橋酸素が存在する。好ましくは架橋酸素が10%以上であり、さらに好ましくは15%以上である。架橋酸素および非架橋酸素の定量はX線光電子分光法で測定される。530eV近傍に現れるO1sのシグナルは典型的には高エネルギー側の架橋酸素と低エネルギー側の非架橋酸素の2つのピークで分離・定量できる。詳細は参考文献<X線分析の進歩 29 (X線工業分析 33集) 日本分析化学会・X線分析研究懇談会 編 165−189ページ(1998年)>に記載されている。
また、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末の粉末表面は、乾燥していることが好ましく、110℃で2時間乾燥したときの重量減少が0.5%未満である。乾燥していなければ球状処理時に水分等の周辺不純物との反応などにより化学状態が変質する場合があるからである。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造されたガラス粉末を焼成することにより得られた発光素子を被覆するガラスの可視光での全光線透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。60%未満であると、光取り出し効率が悪くなるおそれがある。
この実施例では、酸化物基準のモル%表記で、30%のP、60%のSnO、6%のZnO、3%のCaO及び1%のBで構成されるガラス粉末を得るため、以下の(1)ガラス作製、(2)ガラス粉砕、(3)ガラス粉末の球状化処理により実施例1及び比較例2〜4の球状ガラス粉末を得た。
(1)ガラス作製
全て粉末の原料、ピロリン酸スズ(日本化学工業製)、酸化第1錫(日本化学産業製、「Sグレード」)、メタリン酸カルシウム(日本化学工業製)、無水ホウ酸を、窒素置換されて露点が約−70℃のグローブボックス内で所定の酸化物比になるように秤量し、混合した。混合原料を石英製るつぼに入れ石英製の蓋を置き、露点約−90℃のグローブボックス内の電気炉室に移し、950℃で30分間溶融した。30分経過後、露点約−90℃のグローブボックス内でカーボン板に流しだし、融液を急冷してガラスを得た。
(2)ガラス粉砕
得られたガラスを、グローブボックス内の露点約−70℃の部屋に移し、乳鉢と乳棒で粗く粉砕し、メッシュ間隔250μmの篩を通過し、同間隔106μmを通過しなかったガラス租粉を回収した。粉砕時に微粉末の凝集体を作らないために、粉砕はごく短時間で行い、こまめに篩に掛け、ガラスを過剰に砕かないように配慮した。(租粉砕工程)
租粉砕工程で得られたガラス租粉をジェットミルで粉砕して、約3μm径のガラス粉末を得た。ジェットミル装置は日清エンジニアリング社製SJ−150を用い、ガラス租粉を100g/時の速度で供給し、供給圧力0.5MPa、粉砕圧力0.5MPaの条件で粉砕した。供給ガスは大気をコンプレッサーで圧縮し、配管経路内に水分と油分を吸着するフィルターを配置して、露点が−30〜−50℃程度の乾燥した空気が供給される。
得られたガラス粉末を測定したところ平均粒径は3.2μm、粒径1.4−5.1μmの粒子の数が測定した全粒子数の80%以上、粒径0.6−8.0μmの粒子の数が測定した全粒子数の99%以上であった。粉砕後の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。
(3)ガラス粉末の球状化処理
上記で得たガラス粉末を、ガラス粉末のままAr雰囲気中のArプラズマ火炎部に落下又は噴射させて球状化処理を行い得られたガラス粉末を実施例1、未処理のガラス粉末を比較例1、ガラス粉末を50mlのエタノールに懸濁させたスラリー、又は、ガラス粉末を50mlのイオン交換水に懸濁させたスラリーをそれぞれAr雰囲気中のArプラズマ火炎部に落下又は噴射させて球状化処理を行い得られたガラス粉末をそれぞれ比較例2、3とした。
実施例1及び比較例1〜3の平均粒径および測定した全粒子の個数で80%以上を含む粒径、0.1〜500μmの粒子が占める容積率、Tg、ガラス粉末表面の架橋酸素および非架橋酸素の存在割合を表1に示す。また、実施例1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図4に、比較例1〜3の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ図3、6、5に示す。なお、粒度分布は島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2100」を用いて測定し、容積率は走査型電子顕微鏡(SEM)写真から算出した。ガラス転移温度(Tg)はセイコーインスツル社製示差熱分析装置「EXSTAR6000TG/DTA」を用いて110mgのガラス粉末を10℃/分の昇温速度で、室温から600℃まで昇温することにより計測し、架橋酸素と非架橋酸素の割合はX線光電子分光法で測定した。
[封止模擬実験]
LEDの封止を模擬して、400℃での熱処理を行い、熱処理後の色調を評価した。
実施例1及び比較例1〜3のガラス粉末約1gを1mlのブチルカルビトールアセテートと混合してスラリー状にした。それらのスラリーをマグネシア板に数的垂らし、250℃で3時間保持した後に400℃で10分間焼成した。昇温速度は5℃/分とした。
熱処理後のガラスを目視した色調評価を行った。この結果、実施例のものは着色がなくほぼクリアであったが、比較例1〜3はいずれも着色を生じた。特に、比較例2ではガラスが充分軟化をすることもなかった。
このように、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末である実施例1から分かるように、本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された発光素子被覆用ガラス粉末によれば、発光素子を400℃以下で封止することができ、所望の透光性を得ることができた。これにより、発光素子を被覆した場合、所望の発光効率を得ることができる。
また、この実施例から発光素子被覆用ガラス粉末をスラリー状にした発光素子被覆用スラリーを焼成しても透光性を得ることが確認できた。
本発明の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法によって製造された光学素子被覆用ガラス粉末は、液晶パネル用バックライト光源、一般照明や自動車用ヘッドライドなどに用いられる発光素子、例えばLED素子の封止に利用できる。
100:基板
130:発光素子
140:ガラス
201:カンタル発熱体
202:管状炉

Claims (6)

  1. 発光素子を400℃以下で封止することのできる発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法であって、
    25−SnO系のガラスを粉砕してガラス粉砕物を生成する粉砕処理と、
    前記ガラス粉砕物を、600℃以上1500℃以下で乾燥、且つ、酸素分圧が1KPa以下の不活性ガス雰囲気中に直接散布して、前記ガラス粉砕物の表面を軟化ないしは溶融して粒径0.1〜500μmのガラス球状粉末を生成する球状化処理と、
    を備えることを特徴とする発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
  2. 前記ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、P25を25〜50モル%、SnOを30〜70モル%、ZnOを0〜35モル%を含むガラス組成を有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
  3. 前記球状化処理において、酸素分圧が1KPa以下であり、且つ、露点が−20℃以下である不活性ガスを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
  4. 前記球状化処理において、前記ガラス粉砕物を下方に向かって散布し、不活性ガス雰囲気中を自由落下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
  5. 前記球状化処理において、前記ガラス粉砕物を下方に向かって散布し、気流を制御しながら不活性ガス雰囲気中を落下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
  6. 前記球状化処理において、上部が600℃以上であり下部が600℃未満である空間内を落下させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子被覆用ガラス粉末の製造方法。
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