JP2007263234A - 軸受シール、軸受装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】衝撃による振動が作用した際においても、シール性を良好に維持できる軸受けシール、および軸受装置を提供する。
【解決手段】軸受シールBを、基端側から先端側に向かうに従ってリング中心軸線に接近するようなテーパを有したリング状のシールリップ200を含んで構成し、このシールリップ200には、周方向に摺動するピン101の外周面に接触するシール面220を形成し、シールリップ200の先端には、シール面220と連続した外周面26を形成し、シール面220と外周面26とを鈍角を成すように連続させることで第1エッジ27Aを形成し、シール面220とシール面220の基端側の面210とを鈍角を成すように連続させることで第2エッジ27Bを形成した。
【選択図】 図11

Description

本発明は、主として油圧ショベルなどの建設機械におけるピンヒンジジョイントに用いる軸受シール、およびこれを備えた軸受装置に関する。
建設機械の油圧ショベルにおいては、ブームとアーム、アームとバケットはピンにより揺動自在に連結されている。
ピンで連結された部分、つまり、ピンヒンジジョイントにおいては、軸受装置が設けられており、ピンとボスとの間にグリース等の潤滑剤を充填してスムーズに揺動できるようにするとともに、金属接触による摩耗、異音発生を防止するようにしている。この軸受装置には、ピンとボスとの間に外部からの泥水等が侵入するのを防止するとともに、ピンとボス間の隙間から潤滑剤が漏れ出てしまうのを防止するため、軸受シールが用いられている。
軸受シールは、一般的に、基端部から先端部へ向かってリング状内径寸法が次第に小さくなるように形成されたシールリップを備え、軸の外周面に先端部分の内周面を圧接して軸受装置内部の密封を図っている。このシールリップの最小内径寸法は、軸に装着されない状態においては、軸の外径寸法よりも小さくなっている。つまり、装着時において、シールリップは軸の外周面に押圧され外側に弾性変形し、先端部分の内周面をその弾性変形量に応じて軸の外周面に圧接させることにより、軸受装置内部の密封を図っている。
このようなシールリップを備えた軸受シールにおいて、密封性をさらに向上させるために先端部外側に環状突起を設けて軸の外周面への圧接力を高めたものもある。(例えば特許文献1)
特開昭61−65913号公報(第4〜7頁)
油圧ショベルなどの建設機械において、軸受シールをそのピンヒンジジョイントに用いた場合、衝撃による振動が大きく、ピンが高速で半径方向に繰り返して変位することになる。しかし、従来の軸受シールでは、シールリップ内周面のピンに対する接触面の接触圧分布は、接触面先端部分付近をピークにシールリップ内周面の基端側へ向かうにしたがって低下していく分布となるうえ、ピーク接触圧が十分に得られない可能性があった。
すなわち、衝撃による振動が作用した際に、ピンに対する接触面のピーク接触圧が十分に得られない場合は、シール性が低下してその隙間からダストや泥水が侵入したり、潤滑剤が漏れ出てしまうという問題があった。
本発明の目的は、衝撃による振動が作用した際においても、シール性を良好に維持できる軸受けシール、および軸受装置を提供することである。
請求項1に係る本発明は、軸受シールにおいて、基端側から先端側に向かうに従ってリング中心軸線に接近するようなテーパを有したリング状のシールリップを備え、前記シールリップには、周方向に摺動する軸部の外周面に接触するシール面が形成され、前記シールリップの先端には、前記シール面と連続した外周面が形成され、前記シール面と前記外周面とが鈍角を成して連続することで第1エッジが形成され、前記シール面と当該シール面の基端側の面とが鈍角を成して連続することで第2エッジが形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、軸受シールにおいて、基端側から先端側に向かうに従ってリング中心軸線に接近するようなテーパを有したリング状のシールリップを備え、前記シールリップには、周方向に摺動する軸部の外周面に接触するシール面が形成され、前記シール面には、周方向に沿った少なくとも1条の溝と、この溝を境いにして先端側の第1シール面と、前記溝を境いにして基端側の第2シール面とが形成され、前記シールリップの先端には、前記シール面と連続した外周面が形成され、前記第1シール面と前記外周面とが鈍角を成して連続することで第1エッジが形成され、前記第1シール面と前記溝の内周面とが鈍角を成して連続することで第2エッジが形成され、前記溝の内周面と前記第2シール面とが鈍角を成して連続することで第3エッジが形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の軸受シールにおいて、リング状のアウターシール部と、前記アウターシール部の内側に設けられたリング状のインナーシール部と、前記アウターシール部および前記インナーシール部の間に設けられたリング状剛性部とを備え、前記アウターシール部は、軸受に対して軸部が径方向に変位したときに、前記インナーシール部の変形よりも大きく変形するように形成され、前記インナーシール部は、前記シールリップを含んで形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る軸受け装置の発明は、軸受装置において、軸部と、軸部を周方向に摺動可能に支承する軸受部と、前記軸部および前記軸受部間の隙間を遮蔽する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の軸受シールを備えていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、シール面の先端側には、外周面とシール面とが鈍角を成して連続することで第1エッジが形成され、シール面の基端側には、シール面とシール面の基端側の面とが鈍角を成して連続することで第2エッジが形成されている。そのため、第1エッジで、軸受装置のガタで発生する軸部と軸受シール間の軸方向変位により発生する外部からのダストおよび泥水の侵入を防止し、また、第2エッジで、内部の潤滑剤が外部にかき出されることを防止することができる。
請求項2の発明によれば、シール面の先端側から第1エッジ、第2エッジ、および第3エッジが形成されているので、第1エッジで、軸受装置のガタで発生する軸部と軸受シール間の軸方向変位により発生する外部からのダストおよび泥水の侵入を防止し、第2エッジで、内部の潤滑剤が外部にかき出されることを防止することができるうえ、第3エッジで、第1エッジで防止しきれなかったダストおよび泥水の侵入を確実に防止することができる。
請求項3の発明によれば、軸部がシールリップを押圧する径方向に変位した際、アウターシール部とインナーシール部との間に設けられた半径方向に伸びないリング状剛性部が、シールリップ支持部分の径方向外側への変位を抑える。そして、インナーシール部の変形よりも大きく変形するアウターシール部が、軸部の径方向への変位に追随して変位して、軸部の変位を吸収する。そのため、衝撃による高速で変位量の多い径方向への軸部の動きに対しても、シールリップの各第1、第2、第3エッジ部分の軸部に対する接触を維持することができ、シール性をより一層確実に保持することができる。
請求項4の発明によれば、軸受装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の軸受シールを備えているので、軸受シールと軸部との間のシール性を確実に保持することができる。
〔第1実施形態〕
(軸受装置の全体構成)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る軸受装置100が示されている。この軸受装置100は、油圧ショベルを構成するブームとアームとを連結するピンヒンジジョイントとして用いられ、例えば、一方の部材となるアームには、軸部としてのピン101が設けられ、他方の部材となるブームには、軸受としてのボス102が設けられている。
ピン101は、円柱状の鋼製材料から構成され、アーム端部に設けられるブラケット103にボルト等によって固定されている。
ボス102は、この円柱状のピン101を内挿する円筒状の鋼製材料から構成され、ボス102の内径はピン101の外径よりも大きく、これらの間に隙間が形成されている。また、ボス102の円筒端面開口部分には、ブラケット103とボス102間の隙間を減らすために、シム104が設けられている。
このボス102の円筒内周面には、一対の軸受部105が間隔を空けて圧入され、この軸受部105の軸受面によってピン101が支承されている。そして、ピン101が軸受部105の軸受面に対して摺動することによって、ブームおよびアームが回動する。
このような軸受装置100において、軸受部105の軸方向外側でシム104の内側には、ボス102の内部円筒状の空間と外部空間との間をシールする軸受シールAが設けられている。この軸受シールAによってシールされたボス102の内部空間には、グリース等の潤滑剤が封入されており、封入された潤滑剤が軸受部105の軸受面とピン101の外周面との間に入り込むことにより、両者の摺動性を向上させ、ピン101の回動をスムーズに行うことができる。
(軸受シールの構造)
図2には、軸受シールAの全体構造が示されている。図3には、軸受シールAが軸受装置100に装着された状態が示されている。ただし、図2と図3とでは軸受シールAの向きを違えて図示してある。軸受けシールAは、径の異なる複数のリング状部材を同心円状に組み合わせて構成され、最外周に配置されたアウターリング10と、このアウターリング10の内側に配置されたリング状のシール20と、リング状の剛性部としてのインナーリング30とを備える。
アウターリング10は、剛性体によって形成され、シール20を外側から囲むリング状に形成されている。つまり、アウターリング10は、ボス102の内周面に沿って固着される円筒状のボス固着部11と、このボス固着部11の外端(図3中右側端:反潤滑剤封入空間側端)から略直角に折曲して設けられるリング状のフランジ部12とを備える形状である。なお、アウターリング10の材質としては、剛性の高い材料であればよく、例えば、SPC鋼等を採用することができるほか、SPC鋼に限らず、プラスチック、カーボン等種々の材料を選択することができる。
シール20は、リング状のアウターシール部21と、このアウターシール部21の内側に設けられたリング状のインナーシール部22と、このインナーシール部22とアウターシール部21とを接続する接続部23とを備え、これらアウターシール部21、インナーシール部22、および接続部23が弾性体からなる同一材料によって一体形成されているとともに、インナーシール部22がアウターシール部21より剛性が高く形成されている。弾性体としては、高い耐土砂磨耗性を持つウレタンゴムのほか、NBR、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料を用いることも可能である。
アウターシール部21は、アウターリング固着部21Aと、変形しやすい部位(易変形部位)としての薄肉変形部21Bとを備えた断面略U字状に形成されている。
アウターリング固着部21Aは、外径寸法がアウターリング10のボス固着部11の内径寸法と略同じに形成され、外周面がアウターリング10のボス固着部11の内周面に固着されている。
薄肉変形部21Bは、アウターリング固着部21Aの外端(反潤滑剤封入空間側端)からこのアウターリング固着部21Aの内周面との間に空間を隔ててかつこれと略平行に円筒状に延設され、この円筒部分の肉厚は薄く形成されている。
インナーシール部22は、接続部23に接続されるリング状の基端側から、先端側へ向かうに従って肉厚が次第に薄くなるように形成されている。インナーシール部22の内周面は、基端側から先端側へ向かうに従って、リング中心軸線に次第に近づくテーパを有したリング状シール面22Aとなっている。このリング状シール面22Aの先端部分には、周方向に連続した1条の溝24が設けられ、リング状シール面22Aを先端側の第1シール面22Bと基端側の第2シール面22Cとに分けている。
図4には、軸受装置100に装着された軸受シールAの詳細な構造が示されている。
インナーシール部22は、図4に拡大して示されるように、先端部分に、径方向外側に膨出した肉厚部25と、第1シール面22Bと連続する外側の外周面26とを備えている。外周面26は、軸線方向に沿った断面でみた場合に第1シール面22Bと鈍角を成して連続し、その連続部分には、第1エッジ27Aが形成されている。
溝24の内周面は、先端側の第1傾斜面240と、基端側の第2傾斜面241とを備え、断面略円弧状に形成されている。第1傾斜面240、および第2傾斜面241は、それぞれ第1シール面22B、および第2シール面22Cと鈍角を成して連続しており、その連続部分には、第2エッジ27Bおよび第3エッジ27Cが形成されている。なお、本実施形態では、インナーシール部22が本発明に係るシールリップ200になっている。
インナーリング30は、シール20とは別部材の断面略矩形状のリング状剛性体から形成され、インナーシール部22とアウターシール部21との間、ここでは、アウターシール部21とインナーシール部22とを接続する接続部23に埋設された状態で設けられている。インナーリング30の材質としては、剛性が高いものを採用するのが好ましく、例えば、SPC鋼等を採用することができるほか、所定の剛性を有するものであれば、SPC鋼に限らず、プラスチック、カーボン等種々の材料を選択することができる。
(軸受シールの装着状態)
軸受シールAをピン101に装着しない状態においては、インナーシール部22の先端側内径寸法(第1エッジ27A部分の内径寸法)は、ピン101の外径寸法よりも小さい。軸受シールAにピン101を挿入する際は、インナーシール部22の先端部分を広げながら軸受シールAに対してピン101を挿入し、ピン101を所望の位置まで移動させる。
ピン101が所望位置まで挿入されると、インナーシール部22のリング状シール面22Aがピン101の外周面に押圧されて外側に弾性変形し、先端側の第1シール面22Bの全域は、ピン101の外周面に圧接し、基端側の第2シール面22Cは、インナーシール部26の外側への弾性変形量に応じた接触面積でピン101の外周面に圧接する。
(ピンの軸方向変位に対する軸受シールの作用)
図5には、リング状シール面22Aのピン101に対する接触面の接触圧分布の概略図が示されている。
この際、リング状シール面22Aに形成された第1エッジ27A、第2エッジ27B、および第3エッジ27C部分のピン101に対する接触圧は、図5に示されるように、ピン101に対してそれぞれピーク接触圧となる。また、第2エッジ27Bおよび第3エッジ27C部分の接触圧は、第1エッジ27A部分の接触圧よりも高くなる。これに対し、溝24が設けられていない場合のピン101に対するインナーシール部22接触面のピーク接触圧は、第1エッジ27Aに相当する部位でピークとなるだけであり、リング状シール面22Aの基端側に向かうにしたがって減少する。
従って、インナーシール部22は、第2、第3エッジ27B,27C部分でのピーク接触圧により、ピン101の外周面に強く圧接することができるようになり、軸受装置100のガタで発生するピン101の軸方向変位(図4)に対して、第1エッジ27Aで外部からのダストおよび泥水の侵入を防止し、第2エッジ27Bで内部の潤滑剤が外部にかき出される事を防止するとともに、第3エッジ27Cで、第1エッジ27Aで防止しきれなかったダストおよび泥水の侵入を確実に防止することができる。
しかも、インナーシール部22の先端部分には、肉厚部25が設けられているので、インナーシール部22の径方向外側へのばね定数が高まり、インナーシール部22の圧接力を一層高めることができる。なお、この状態において、アウターリング10は、ボス102の円筒内面に密着しているため、ボス102とアウターリング10との間のシール性は確保されている。
図6には、軸受シールAおよび従来品に対して行った潤滑剤保持性能試験の結果が示されている。なお、試験は、軸受シールAおよび従来品の両軸受シールともシールリップの向きを潤滑剤が封入される内部空間側とは反対側の軸方向外側へ向けて軸部に装着して行った。図6では、長時間経過後の従来品の潤滑剤漏れ量に対する軸受シールAの潤滑剤漏れ量の比を、軸受シールAの相対潤滑剤漏れ量とした。また、従来品として用いた軸受シールは、アウターリングと、シールリップを備えたシールとから構成され、シールリップには、溝および肉厚部は設けられていない。軸受シールAおよび従来品の両シールの材質はウレタンゴムである。試験は、条件を周期:4秒/サイクル、偏芯:0.1mm、軸方向変位:8mm、および搖動角度:90度として行った。
図6に示されるように、従来品では試験開始直後から潤滑剤の漏れが発生し、時間が経つにつれ漏れ量が増加していくのに対し、第2エッジ27Bを備えた軸受シールAでは、約8時間試験を行ってもまったく潤滑剤の漏れが発生していない。つまり、軸受シールAが、軸部の軸方向変位による潤滑剤の外部へのかき出しに対して、非常に高い潤滑剤保持性能を発揮することを示している。
図7には、軸受シールAおよび従来品に対して行った耐ダスト侵入性能試験の結果が示されている。従来品の軸受シールとして、前述の潤滑剤保持性能試験で用いたものと同一の軸受シールを用いた。また、前述の試験と同様に両軸受シールともシールリップの向きを軸方向外側へ向けて軸部に装着して試験を行った。試験は、条件を周期:1.5秒/サイクル、偏芯:0.4mm、軸方向変位:2mm、および搖動角度:60度として行った。
図7に示されるように、従来品では試験時間が50時間を越えるとダストが多量に侵入してくるのに対し、第1エッジ27Aおよび第3エッジ27Cを備えた軸受シールAでは、試験時間が従来品の4倍の200時間となってもダスト侵入量をほぼゼロに抑えている。つまり、軸受シールAは、従来品に比べて非常に高い耐ダスト侵入性能を発揮することを示している。
(ピンの径方向変位に対する軸受シールの作用)
図8には、ボス102に対してピン101が径方向に変位したときの一方側および他方側の軸受シールAの状態が示されている。
図8において、実線で示される中立位置のピン101に対して、ピン101が設けられるアームに大きな力が作用すると、軸受シールAの径方向の一方側では、ピン101は、アウターリング10に近づく方向に変位して、二点鎖線で描かれた位置B1まで変位する。すると、軸受シールAのインナーシール部22は、径方向外側へ延びないインナーリング30によって径方向外側への変位が抑えられているので、薄肉変形部21Bが、インナーシール部22のピン101への圧接状態を維持したまま、アウターシール部21の内側のU字隙間を潰すように変形して、ピン101の変位を吸収する。
また、軸受シールAの他方側では、ピン101は、アウターリング10から離れる方向に変位して、二点鎖線で描かれた位置B2まで変位する。そして、この場合には、インナーシール部22のピン101への圧接状態を維持したまま、薄肉変形部21Bがアウターシール部21の内側のU字隙間を大きく開くように変形して、ピン101の変位を吸収する。
このように、軸受シールAは、アウターシール部21がインナーシール部22よりも大きく変形するように構成されているので、つまり、衝撃によってピン101が高速振動した際でも、薄肉変形部21Bが、ピン101の径方向への変位に迅速に追随して変位して、ピン101の変位を吸収する構成であるので、リング状シール面22Aの各エッジ27A,27B,27C部分のピン101に対するピーク接触圧を維持することができ、シール性をより確実に保つことができる。
なお、インナーシール部22先端に形成された外周面26と、リング状シール面22A先端側の第1シール面22Bとが成す角度は、90度以上であることが望ましい。また、第1シール面22Bと第1傾斜面240とが成す角度、および第2シール面22Cと第2傾斜面241とが成す角度も同様に、90度以上であることが望ましい。
図9には、軸受シールAを用いて、外周面26と第1シール面22Bとが成す角度を70度から120度まで変えて、第1エッジ27A部分のピーク接触圧をFEM(有限要素法)で求めた計算結果が示されている。図9に示されるように、ピーク接触圧は外周面26と第1シール面22Bとが成す角度が80度以上になると直線的に増加する。ここで建設機械に用いられるピンヒンジジョイントの軸受シールとしては、一般的にインナーシール部のピーク接触圧が0.5MP以上であることが望ましいので、90度以上であれば良好なピーク接触圧を得ることができるとわかる。また、このことから推認して、溝24の第1傾斜面240、および第2傾斜面241も、それぞれ第1シール面22B、および第2シール面22Cと90度以上の角度を成して連続すれば、望ましいピーク接触圧を得ることができるとわかる。
なお、ボス102の内部側にグリース等の潤滑剤を注入した場合、軸受シールAは、この潤滑剤の圧力によってピン101の軸方向外側に突出しようとするが、アウターリング10、およびシム104が設けられているので、軸方向外側への動きは規制される。
また、軸受シールAは、インナーシール部22先端を潤滑剤が封入される内部空間側とは反対方向の軸方向外側へ向けて装着されている。そのため、潤滑剤を封入(グリースアップ)する際に、インナーシール部22先端が潤滑剤封入時の圧力で開き、内部の潤滑剤が排出されるので、軸受装置100内部に潤滑剤が封入されているのかどうかを確認しながら潤滑剤を封入することができる。アウターシール部21は、アウターリング10なしでボス102に直接取り付けてもよい。
〔第2実施形態〕
図10には、軸受シールBの全体構造が示されている。図11には、軸受装置100に装着された軸受シールBの詳細な構造が示されている。
本実施形態では、インナーシール部22の内周面の先端側にシール面220が形成されているが、前記第1実施形態とは異なり、インナーシール部22の内周面には、溝24は設けられていない。そして、前記第1実施形態と同様に、このシール面220と外周面26とが鈍角を成して連続することで第1エッジ27Aが形成され、シール面220とシール面220の基端側の面210とが鈍角を成して連続することで第2エッジ27Bが形成されているので、インナーシール部22が、第2エッジ27B部分でのピーク接触圧により、ピン101の外周面に強く圧接することができるようになり、軸受装置100のガタで発生するピン101の軸方向変位に対して、第1エッジ27Aで外部からのダストおよび泥水の侵入を防止し、第2エッジ27Bで内部の潤滑剤が外部にかき出される事を防止することができる。また、インナーシール部22の内周面に溝24を設けない分、インナーシール部22の構造を簡素化でき製作が容易になる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。図の説明にあたっては、前記実施形態と同一部材および同一機能部位については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図12には、軸受シ−ルCが軸受装置100に装着された状態が示されている。
前記第1実施形態では、インナーシール部22とアウターシール部21とを一体に形成し、リング状剛性部としてのインナーリング30をインナーシール部22の中に埋設していたが、図12に示すように、シールリップ200を備えたインナーシール60と、アウターシール50とを別々に形成して、インナーリング70を、インナーシール60とアウターシール50との間に設けてもよい。このような構成としても、インナーシール60はシールリップ200を備え、シールリップ200のリング状シール面22Aには、溝24が設けられて各エッジ27A,27B,27Cが形成されるので、前記第1実施形態と同様な構成により、同様な作用効果を得ることができるうえ、アウターシール50をインナーシール60よりも変形しやすい弾性体から形成することで、ピン101の径方向の変位に対してアウターシール50をより応答性よく変形させることができ、シール性を一層向上させることができる。
本発明は、油圧ショベルなどの建設機械におけるピンヒンジジョイントに利用できるほか、ロボットや、各種加工機械の軸受部分にも利用することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸受装置を表す断面図である。 図2は、前記実施形態に係る軸受シールの構造を示す概要斜視図である。 図3は、前記実施形態に係る軸受シールの装着状態を示す断面図である。 図4は、前記実施形態に係る軸受シールの詳細な構造を示す断面図である。 図5は、前記実施形態に係る軸受シールのピンに対する接触面の接触圧分布を示す図である。 図6は、従来品および従来品に対する前記実施形態に係る軸受シールの相対潤滑剤漏れ量を示す図である。 図7は、従来品および前記実施形態に係る軸受シールに対するダスト侵入量を示す図である。 図8は、前記実施形態に係る軸受シールの作用を説明するための断面図である。 図9は、外周面と第1シール面との成す角度と、第1エッジ部分のピーク接触圧との関係を示す図である。 図10は、本発明の第2実施形態に係る軸受シールの構造を示す概要斜視図である。 図11は、前記実施形態に係る軸受シールの詳細な構造を示す断面図である。 図12は、前記第1実施形態に係る軸受シールの変形例を示す断面図である。
符号の説明
21…アウターシール部、22B…第1シール面、22C…第2シール面、24…溝、26…外周面、27A…第1エッジ、27B…第2エッジ、27C…第3エッジ、30…リング状剛性部、100…軸受装置、101…ピン(軸部)、105…軸受部、200…シールリップ、210…基端側の面、220…シール面、240…第1傾斜面(溝の内周面)、241…第2傾斜面(溝の内周面)、A,B…軸受シール。

Claims (4)

  1. 軸受シールにおいて、
    基端側から先端側に向かうに従ってリング中心軸線に接近するようなテーパを有したリング状のシールリップを備え、
    前記シールリップには、周方向に摺動する軸部の外周面に接触するシール面が形成され、
    前記シールリップの先端には、前記シール面と連続した外周面が形成され、
    前記シール面と前記外周面とが鈍角を成して連続することで第1エッジが形成され、
    前記シール面と当該シール面の基端側の面とが鈍角を成して連続することで第2エッジが形成されている
    ことを特徴とする軸受シール。
  2. 軸受シールにおいて、
    基端側から先端側に向かうに従ってリング中心軸線に接近するようなテーパを有したリング状のシールリップを備え、
    前記シールリップには、周方向に摺動する軸部の外周面に接触するシール面が形成され、
    前記シール面には、周方向に沿った少なくとも1条の溝と、この溝を境いにして先端側の第1シール面と、前記溝を境いにして基端側の第2シール面とが形成され、
    前記シールリップの先端には、前記シール面と連続した外周面が形成され、
    前記第1シール面と前記外周面とが鈍角を成して連続することで第1エッジが形成され、
    前記第1シール面と前記溝の内周面とが鈍角を成して連続することで第2エッジが形成され、
    前記溝の内周面と前記第2シール面とが鈍角を成して連続することで第3エッジが形成されている
    ことを特徴とする軸受シール。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軸受シールにおいて、
    リング状のアウターシール部と、
    前記アウターシール部の内側に設けられたリング状のインナーシール部と、
    前記アウターシール部および前記インナーシール部の間に設けられたリング状剛性部とを備え、
    前記アウターシール部は、軸受に対して軸部が径方向に変位したときに、前記インナーシール部の変形よりも大きく変形するように形成され、
    前記インナーシール部は、前記シールリップを含んで形成されている
    ことを特徴とする軸受シール。
  4. 軸受装置において、
    軸部と、
    軸部を周方向に摺動可能に支承する軸受部と、
    前記軸部および前記軸受部間の隙間を遮蔽する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の軸受シールを備えている
    ことを特徴とする軸受装置。
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