JPH11311337A - オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有効な接触領域を十分確保可能としてシール
性の向上を図ったオイルシールを提供する。 【解決手段】 シールリップ１は、リップの最先端のエ
ッジ部Ｅから、リップの根本側（密封流体側）に向かっ
て延びる面に、平面部２ａ，溝部３ａ，平面部２ｂ，溝
部３ｂ，平面部２ｃの順に、平面部と溝部を交互に複数
形成し、平面部２ａ，平面部２ｂ，平面部２ｃは同一平
面上に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オイル等の密封流
体をシールするオイルシールに関するものであり、例え
ば、オートテンショナー等に適用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、この種のオイルシールは、た
とえば、オートテンショナーに適用されている。

【０００３】以下、従来技術に係るオイルシールを構成
するシールリップについて、図７および図８を参照して
説明する。

【０００４】図７は従来技術に係るシールリップの概略
構成断面図であり、図８は従来技術に係るシールリップ
の使用状態を示す概略構成図である。

【０００５】オートテンショナー等に適用される場合に
おいては、高周波・重畳波・微振幅を伴う軸振動の条件
下で使用される。

【０００６】したがって、シールリップの接触幅を安定
して広く保つことが必要である。

【０００７】そこで、従来技術に係るシールリップ１１
は、図７に示したようにリップの最先端のエッジ部Ｅ１
から所定の間隔を開けて、さらにエッジＥ２を設ける構
成が考えられた。

【０００８】このように構成したことによって、図８に
示したように、軸１０の表面に対して、先端側（密封流
体側）の接触領域Ｖとリップの根本側（大気側）の接触
領域Ｗの２か所で接触させることができた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。

【００１０】上述した構成では、２か所で接触させるこ
とができたものの、エッジ形状部によって軸表面に当接
（摺接）させるため、接触領域（接触面積）を十分に確
保することはできなかった。

【００１１】しかも、先端側の接触領域Ｖのみが強く接
触し、根本側の接触領域Ｗでは、十分な接触圧が得られ
なかった。

【００１２】したがって、有効な接触幅（接触領域）を
得られたものではなく、高周波・重畳波・微振幅を伴う
軸振動の条件下ではあまり効果的ではなかった。

【００１３】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、有効
な接触領域を十分確保可能としてシール性の向上を図っ
たオイルシールを提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、相手部材の表面に摺動自在に接触
してシールするシールリップを備えたオイルシールにお
いて、リップ先端からリップの根本に向かって延びる面
に、平面部と溝部を交互に複数形成すると共に、前記平
面部は略同一平面上に形成することを特徴とする。

【００１５】したがって、溝部を複数形成したことで、
シールリップが柔軟性を有しながら相手部材の表面に沿
って当接し、かつ、同一平面上に形成された複数の平面
部が相手部材の表面に当接するため、十分な当接面積が
得られる。

【００１６】リップの最も先端側には平面部を形成する
とよい。

【００１７】したがって、リップの最も先端では、平面
接触するため十分にシールされる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する
趣旨のものではない。

【００１９】図１〜図６を参照して、本発明の実施の形
態に係るオイルシールについて説明する。

【００２０】本発明の実施の形態に係るオイルシール
は、高周波・重畳波・微振幅を伴う軸振動の条件下で使
用される、例えば、オートテンショナー等に有効に適用
されるものである。

【００２１】まず、オートテンショナーの適用例につい
て、図６を参照して説明する。図６はオートテンショナ
ーを適用したレイアウトの概略構成図である。

【００２２】図６中、７１はクランクシャフトであり、
エンジン等の駆動源から駆動力が伝達されることで回転
駆動する。

【００２３】このクランクシャフト７１と、各カムシャ
フト７２，７３及び各アイドラ８１，８２にチェーン９
０が懸架されて、クランクシャフト７１による回転駆動
力を伝達する構成となっている。

【００２４】そして、オートテンショナーＡによって、
チェーン９０に対して所定のテンションを付与してい
る。

【００２５】オートテンショナーＡは、概略、アクチュ
エータ５とテンションプーリ６とから構成されており、
テンションプーリ６がチェーン９０から受ける力がアク
チュエータ５により検知され、所定のテンションを維持
するように、アクチュエータ５によってテンションを付
与するものである。

【００２６】次に、アクチュエータについて、図５を参
照して説明する。図５はアクチュエータの概略構成断面
図である。

【００２７】アクチュエータ５は、概略、シリンダ３０
と、軸１０と共に往復動するピストン４０と、ピストン
４０によって密閉される高圧室５０と、高圧室５０に設
けられピストン４０を押し戻すリターンスプリング５１
と、内部の油等の流体をシールするオイルシール３００
と、テンションを検知するためのダイヤフラム６０等か
ら構成されるものである。

【００２８】上述のようにテンションプーリ６がチェー
ン９０から力を受けると、図５中の矢印に示したように
張力が加わり、軸１０に、この張力が作用する。

【００２９】そして、この張力と高圧室５０の圧力やリ
ターンスプリング５１によるばね力によって軸１０とピ
ストン４０が共に往復動する。

【００３０】ここで、チェーン９０の回転に応じてテン
ションプーリ６は力を受けるため、軸１０は高周波・重
畳波・微振幅を伴って振動する条件となる。

【００３１】したがって、オイルシール３００は、高周
波・重畳波・微振幅を伴いながら振動する軸１０に対し
て適正にシールする必要があり、そのためには、軸１０
の表面に摺動自在に接触するシールリップが重要な役割
を有する。

【００３２】次に、本発明の実施の形態に係るシールリ
ップについて図１及び図２を参照して説明する。

【００３３】図１は本発明の実施の形態に係るシールリ
ップの概略構成断面図であり、図２は本発明の実施の形
態に係るシールリップの使用状態を示す概略構成図であ
る。

【００３４】図１に示すように、本実施の形態における
シールリップ１は、リップの最先端のエッジ部Ｅから、
リップの根本側（大気側）に向かって延びる面に、平面
部２ａ，溝部３ａ，平面部２ｂ，溝部３ｂ，平面部２ｃ
の順に、平面部と溝部を交互に複数形成している。

【００３５】そして、平面部２ａ，平面部２ｂ，平面部
２ｃは同一平面上に形成されている。

【００３６】なお、図中、２０は、相手部材としての軸
１０の表面に、シールリップ１を適正に押圧させるため
のばねである。

【００３７】以上のような構成によって、オイルシール
の使用状態においては、溝部を複数形成したことによっ
て、シールリップ１に柔軟性を持たせることができ（変
形させやすくすることができ）、シールリップ１を軸１
０の表面に沿って当接させることができる。

【００３８】そして、各平面部２ａ，２ｂ，２ｃを同一
平面上に形成したので、各部の軸１０へのそれぞれの当
接領域Ｓ，Ｔ，Ｕは平面的に当接し、十分な当接面積
（当接領域）が得られる。

【００３９】しかも、これらの当接領域Ｓ，Ｔ，Ｕは平
面的に軸１０へ当接するため、各部での接触圧の偏りが
防止され、均等な力で接触させることが可能となるの
で、それぞれの領域で有効にシールさせることができ
る。

【００４０】また、特に、シール性に影響するリップの
最先端側を平面部２ａで形成したので、十分にシールで
きる。

【００４１】以上のように、有効な接触領域を十分確保
できるので、高周波・重畳波・微振幅を伴って軸振動す
る条件下においても、安定したシール性を維持できる。

【００４２】なお、周波数２５０Ｈｚ，軸のストローク
０．２ｍｍ，温度１００℃，時間１００ｈの条件で漏れ
量の比較試験を行ったところ、従来品では約０．１ｇで
あったのに対して、本実施の形態では約０．０１ｇとな
り、シール性が飛躍的に向上することが確認できた。

【００４３】ここで、オイルシール全体の構成について
は、上述した実施の形態に係るシールリップが適用可能
なオイルシールであれば、特に限定されるものではな
い。

【００４４】以下、オイルシール全体の構成例を図３及
び図４を参照して説明する。

【００４５】図３に示したオイルシール１００は、断面
がＵ字状の、いわゆるＵパッキンであり、外周リップ１
０１と内周側のシールリップ１０２とを有したものであ
り、シールリップ１０２に上述した本発明の実施の形態
を適用することができる。

【００４６】また、図４に示したオイルシール２００
は、外周に装着される金属環２０１と、金属環２０１に
一体的に成形される、シールリップ２０２及びダストリ
ップ２０３と、を有したものであり、シールリップ２０
２に上述した本発明の実施の形態を適用することができ
る。

【００４７】なお、リップの最先端のエッジ部から、リ
ップの根本側（大気側）に向かって延びる面に形成する
平面部及び溝部の数や配置位置等は、使用条件やリップ
の素材等によって適宜設定すれば良い。

【００４８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、シール
リップのリップ先端からリップの根本に向かって延びる
面に、平面部と溝部を交互に複数形成すると共に、平面
部を略同一平面上に形成したことによって、溝部を複数
形成したことで、シールリップが柔軟性を有しながら相
手部材の表面に沿って当接し、かつ、同一平面上に形成
された複数の平面部が相手部材の表面に当接するため、
十分な当接面積が得られて、各平面部は均等な接触圧で
当接可能なため、有効な接触領域が十分確保されてシー
ル性が向上する。

【００４９】シール性に影響の大きなリップの最も先端
側には平面部を形成することで、十分にシールできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施の形態に係るシールリップ
の概略構成断面図である。

【図２】図２は本発明の実施の形態に係るシールリップ
の使用状態を示す概略構成図である。

【図３】図３はオイルシールの構成例を示す模式図であ
る。

【図４】図４はオイルシールの構成例を示す模式図であ
る。

【図５】図５はアクチュエータの概略構成断面図であ
る。

【図６】図６はオートテンショナーを適用したレイアウ
トの概略構成図である。

【図７】図７は従来技術に係るシールリップの概略構成
断面図である。

【図８】図８は従来技術に係るシールリップの使用状態
を示す概略構成図である。

【符号の説明】

１，１０２，２０２ シールリップ ２ａ，２ｂ，２ｃ 平面部 ３ａ，３ｂ 溝部 １０ 軸 １００，２００，３００ オイルシール Ａ オートテンショナー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】相手部材の表面に摺動自在に接触してシー
   ルするシールリップを備えたオイルシールにおいて、 リップ先端からリップの根本に向かって延びる面に、平
   面部と溝部を交互に複数形成すると共に、前記平面部は
   略同一平面上に形成することを特徴とするオイルシー
   ル。
2. 【請求項２】リップの最も先端側には平面部を形成する
   ことを特徴とする請求項１に記載のオイルシール。