JPH0996364A - Ｘリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】圧力下での応力集中を緩和し、Ｘリングの破損
を防止するとともに、寿命の向上を図ることにある。 【解決手段】Ｘリング１の内径側のリップ２ａ、２ｂの
つけ根部分に、対向するハウジングへ向けて延びるリブ
４ａ、４ｂを設け、リブ４ａ、４ｂのつけ根５ａ、５ｂ
にテーパー面を形成して補強部を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】互いに往復動又は回転運動を
する２部材間をシールするＸリングに関し、特に高温、
高圧下で使用されるＸリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のＸリング１５は、図７に示すよう
に内径側と外径側に各々２つのリップ２ａ，２ｂ，３
ａ，３ｂを有している。図８（ａ）には、ハウジング９
の軸孔の内周に開設された略コの字形の溝に装着し、軸
孔に挿入された軸１０を内径側の２つのリップ２ａ，２
ｂでシールする。

【０００３】従来のＸリング１５は、図８（ｂ）に示す
ように、シールする流体の圧力が高いと、反密封流体側
に押しつけられ、ハウジング９と軸１０の隙間からリッ
プ２ｂの一部がはみ出して損傷し、寿命が低下するとい
う不具合が発生していた。

【０００４】この不具合を解消したものが、図９に示す
ように内径側のリップ２ａ，２ｂのつけ根にハウジング
の側面に向けて延びるリブ４ａ，４ｂを設けたリブ付き
のＸリング１６である。このリブ付きのＸリング１６で
は、図１０（ｂ）に示すように、シールする流体の圧力
が高い場合でも、反密封流体側のリップ２ｂとハウジン
グ９の側面との間には、リブ４ｂが介在し、リップ２ｂ
がハウジング９と軸１０との隙間にはみ出して損傷する
ことはない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなリブ付きのＸリング１６には、シールする流体の圧
力が高い場合に、リブ４ｂがハウジング９の側面に押し
つけられ、リップ２ｂも反密封流体側に押されて変形す
るため、リブ４ｂとリップ２ｂのつけ根に応力が集中
し、図１０（ｂ）に示すように、そこから亀裂が発生し
やすいという問題があった。

【０００６】本発明は、上記のような従来技術の課題を
解決しようとするものであって、リップのつけ根の突起
に補強部を設けることにより、圧力下での応力集中を緩
和し、Ｘリングの破損を防止するとともに、寿命の向上
を図ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】ハウジングの断面略コの
字形の溝に装着され、該ハウジングの軸孔に挿入される
軸と密封接触し、内外径に各々２つのリップを有すると
ともに、前記内径側の各リップのつけ根から、対向する
前記溝の各側面へ向けて延びる突起を有するＸリングに
おいて、該突起に補強部を設けたことを特徴とする。

【０００８】補強部として、突起のつけ根がテーパー面
となるようにしてもよい。。

【０００９】補強部として、突起のつけ根がＲ形状とな
るようにしてもよい。

【００１０】突起をリングの周方向に連続して設けても
よい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて説明する。

【００１２】（第１の実施の形態）図１は、本発明の第
１の実施形態に係るＸリング１の断面図である。図２
（ａ）は、Ｘリング１の初期装着状態を示している。こ
の状態では、Ｘリング１に対して密封流体による圧力は
作用していない。

【００１３】Ｘリングは、図２（ａ）に示すように、ハ
ウジング９に設けられた断面略コの字形の溝１１とハウ
ジングの軸孔に挿入される軸１０との間につぶしろを持
って装着され、往復運動又は回転運動用に使用される。
内外径にそれぞれ２つずつのリップ２ａ、２ｂ、３ａ、
３ｂを有し、シール面の２点でシールしている。

【００１４】本実施形態に係るＸリング１は、弾性材の
一体成形により形成する。図１、図２（ａ）に示すよう
に、内径側のリップ２ａ、２ｂのつけ根部分に、対向す
るハウジング９の側面９ａ、９ｂへ向けて延びる突起と
して周方向の延長を有するリブ４ａ、４ｂを設けてい
る。このリブ４ａ、４ｂは、装着時に必ずしも対向する
ハウジングの側面９ａ、９ｂに当接している必要はない
が、装着時のＸリングの位置を安定化させる観点から当
接していることが望ましい。このリブ４ａ、４ｂを設け
ることにより、圧力下でも、内径側のリップ２ａ、２ｂ
がハウジングの側面９ａ、９ｂに接することがなく、リ
ップがハウジングと軸との隙間にはみだして損傷する、
いわゆるはみだし損傷を防止することができる。

【００１５】軸に摺接する内径側のリップ２ａ、２ｂの
幅ｈ（図１）を外径側のリップ３ａ、３ｂの幅Ｈ（図
１）よりも小さく設定すれば、内径側のリップ２ａ、２
ｂは、一層はみだしにくくなる。

【００１６】しかし、従来技術に関する説明で述べたよ
うに、このリブ４ａ、４ｂとリップ２ａ、２ｂのつけ根
の部分が、高圧下では、応力集中により亀裂が生じやす
い。このため、このリブ４ａ、４ｂを補強する必要があ
る。補強手段としては、弾性材自体の剛性を上げる、リ
ップ部の肉厚を上げる、他の補強材を挿入する等の方法
がある。

【００１７】本実施形態では、図１のように、リブ４
ａ、４ｂのつけ根５ａ、５ｂをテーパー面として補強部
を設けている。図２（ｂ）には、リブのつけ根をテーパ
ー面としたＸリング１の高圧下での変形状態を示す。リ
ブ４ａ、４ｂのつけ根５ａ、５ｂをテーパー面とすれ
ば、矢印方向に高圧がかかった場合に、リブ４ｂ及びリ
ップ２ｂが変形した状態でも、リブ４ｂとリップ２ｂの
つけ根における応力の集中が緩和され、亀裂の発生を防
止することができる。従って、補強部材を用いることな
く成形によって、Ｘリング１の破損を防止して寿命の向
上を図ることができる。

【００１８】テーパー面を形成する補強部５ａ、５ｂの
内径側の端部は、必ずしもＲ形状とすることは要しない
が、エッジとならないようにすることが望ましい。

【００１９】また、リブ４ａ、４ｂを全周に亙って設け
ると外径側のリップ３ａ、３ｂとリブ４ａ、４ｂとの間
のスペースに蓄圧され、変形・異常摩耗等の原因となる
可能性がある。従って、本実施形態では、蓄圧防止のた
めに、リブ４ａ、４ｂを全周に亙って設けるのではな
く、切欠き７ａ、８ａを等間隔に設けている。切欠きの
間の端部は、テーパー面とすればよい。

【００２０】リブ４ａ、４ｂの外径側のつけ根も同様に
テーパー面として補強部６ａ、６ｂを設けてもよい。

【００２１】（第２の実施形態）図３は、本発明の第２
の実施形態に係るＸリング１２の断面図である。図４
（ａ）は、Ｘリング１２の初期装着状態を示している。
第１の実施形態と同様の部分については、同じ番号を付
して説明する。

【００２２】本実施形態に係るＸリング１２も、弾性材
の一体成形により形成する。ハウジング９に設けられた
断面略コの字形の溝１１とハウジングの軸孔に挿入され
る軸１０との間につぶししろを持って装着され、往復運
動又は回転運動用に使用されるものであり、内外径にそ
れぞれ２つずつのリップ２ａ、２ｂ、３ａ、３ｂを有
し、シール面の２点でシールしている。また、図３、図
４（ａ）に示すように、軸１０に摺接する内径側のリッ
プ２ａ、２ｂの幅ｈを外径側のリップ３ａ、３ｂの幅Ｈ
よりも小さくし、内径側のリップ２ａ、２ｂのつけ根部
分に、対向するハウジングの側面９ａ、９ｂへ向けて延
びるリブ４ａ、４ｂを設けている。本実施形態でも、蓄
圧防止のために、リブ４ａ、４ｂを全周に亙って設ける
のではなく、切欠き７ａ、８ａを等間隔に設け、切欠き
の間はテーパー面としている。

【００２３】本実施形態では、リブ４ａ、４ｂのつけ根
をＲ形状として補強部５´ａ、５´ｂを設けている。Ｒ
形状とすれば、図４（ｂ）のように、高圧下においてリ
ブ４ｂ及びリップ２ｂが変形した状態でも、リブ４ｂ及
びリップ２ｂのつけ根における応力の集中が緩和され、
亀裂の発生を防止することができる。従って、補強部材
を用いることなく成形によって、Ｘリング１２の破損を
防止して寿命の向上を図ることができる。

【００２４】（他の実施形態）第１、第２の実施形態に
おいては、内径側にリブを設けたＸリングについて説明
したが、軸の外周に開設された溝に装着し、外径側にお
いてハウジングと摺接して、シールするＸリングであっ
てもよい。この場合は、図５のように内径側のリップ２
ａ、２ｂの幅ｈより外径側のリップ３ａ、３ｂの幅Ｈを
狭くして、外径側のリップ３ａ、３ｂのつけ根から対向
するハウジングの側面に向けて伸びるリブ４ａ、４ｂを
設け、このリブ４ａ、４ｂとリップ３ａ、３ｂのつけ根
をテーパー面又はＲ形状として補強部５ａ、５ｂを設け
る。このようにすれば、外径側のリップのはみ出し損傷
を防止して、寿命の向上を図ることができる。リブに
も、第１、第２の実施形態と同様に切欠きを設けてもよ
い。

【００２５】また、図６のように、一方のリップのつけ
根のみにリブをハウジングの側面に向けて設けるように
してもよい。リブの形状、切欠き等については、第１、
第２の実施形態と同様である。このＸリング１４は、圧
力の作用する方向が一方のみに定まっている場合に使用
できる。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、リップのつけ根の突起
に補強部を設けたので、圧力下での応力集中を緩和し、
Ｘリングの破損を防止するとともに、寿命の向上を図る
ことができる。

【００２７】また、補強部として、突起のつけ根がテ−
パー面を形成するようにしたので、圧力下での応力集中
を緩和し、補強部材を用いることなく成形によって、Ｘ
リングの破損を防止するとともに、寿命の向上を図るこ
とができる。

【００２８】また、補強部として、突起のつけ根がＲ形
状となるようにしたので、圧力下での応力集中を緩和
し、補強部材を用いることなく成形によって、Ｘリング
の破損を防止するとともに、寿命の向上を図ることがで
きる。

【００２９】突起をリングの周方向に連続して設けたの
で、リングのより広い範囲での破損を防止することがで
き、より寿命を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の第１の実施形態に係るＸリン
グの断面図である。

【図２】図２（ａ）は、本発明の第１の実施形態に係る
Ｘリングの初期装着状態を示す図である。図２（ｂ）
は、本発明の第１の実施形態に係るＸリングの圧力下で
の装着状態を示す図である。

【図３】図３は、本発明の第２の実施形態に係るＸリン
グの断面図である。

【図４】図４（ａ）は、本発明の第２の実施形態に係る
Ｘリングの初期装着状態を示す図である。図４（ｂ）
は、本発明の第２の実施形態に係るＸリングの圧力下で
の装着状態を示す図である。

【図５】図５は、本発明の他の実施形態に係るＸリング
の断面図である。

【図６】図６は、本発明の他の実施形態に係るＸリング
の断面図である。

【図７】図７は、従来のＸリングの断面図である。

【図８】図８（ａ）は、従来のＸリングの初期装着状態
を示す図である。図８（ｂ）は、従来のＸリングの圧力
下での装着状態と、反密封流体側でのリップの変形を示
す拡大図である。

【図９】図９は、従来のリブ付きのＸリングの断面図で
ある。

【図１０】図１０（ａ）は、従来のリブ付きのＸリング
の初期装着状態を示す図である。図１０（ｂ）は、従来
のリブ付きのＸリングの圧力下での装着状態と、反密封
流体側でのリップの変形を示す拡大図である。

【符号の説明】

１、１２、１３、１４、１５、１６ Ｘリング ２ａ、２ｂ 内径側リップ ３ａ、３ｂ 外径側リップ ４ａ、４ｂ リブ（突起） ５ａ、５ｂ、５´ａ、５´ｂ 補強部 ９ ハウジング １０ 軸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジングの断面略コの字形の溝に装着さ
   れ、 該ハウジングの軸孔に挿入される軸と密封接触し、 内外径に各々２つのリップを有するとともに、 前記内径側の各リップのつけ根から、対向する前記溝の
   各側面へ向けて延びる突起を有するＸリングにおいて、 該突起に補強部を設けたことを特徴とするＸリング。
2. 【請求項２】前記補強部として、前記突起のつけ根がテ
   ーパー面を形成するようにしたことを特徴とする請求項
   １記載のＸリング。
3. 【請求項３】前記補強部として、前記突起のつけ根がＲ
   形状となるようにしたことを特徴とする請求項１記載の
   Ｘリング。
4. 【請求項４】前記突起は、リングの周方向に連続して設
   けられていることを特徴とする請求項１乃至３記載のＸ
   リング。