JP2003090441A - オイルシール - Google Patents
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Abstract
定し信頼性の高いオイルシールを提供する。 【解決手段】 シールリップ1の内周側の面に、機内側
へ向けて大径になる機内側テーパ面11と、それより機
外側にあって機外側へ向けて大径になる機外側テーパ面
12と、両テーパ面11,12の間にあって、回転体の
外周面に密接される円筒面13が形成されている。機外
側テーパ面12は、円筒面13側の急勾配の第一テーパ
面12aと、それより機外側の、緩勾配の第二テーパ面
12bからなり、機外側テーパ面12には、軸回転時に
流体を円筒面13側へ押し戻すねじポンプ作用を惹起す
る複数の突条14を備える。
Description
械、産業機械等における回転体の外周を密封するオイル
シールに関する。
を示す部分的な断面斜視図、図5は、図4に示されるオ
イルシールのリップ内径部を示す拡大断面図である。す
なわちオイルシールは、図4及び図5に示されるよう
に、ゴム状弾性材料で成形されたシールリップ100を
備え、シールリップ100の内径部は、密封空間(機
内)側へ向けて大径になる密封空間側テーパ面101
と、このテーパ面101の内径から反密封空間(機外)
側へ向けて大径になる反密封空間側テーパ面102を有
する。そして、この種のオイルシールは、両テーパ面1
01,102によって形成されるエッジ部103が、図
示されていない回転軸の外周面と密封的に摺接されるこ
とによって軸封機能を奏し、機内の密封対象流体(例え
ば油)が軸周から機外の大気側へ漏洩するのを阻止する
ものである。
密封空間側テーパ面102に、エッジ部103の延長方
向(円周方向)に対して所定の角度をなす多数の突条1
03を形成することが知られている。この突条104,
104,…は、回転軸の回転に伴ってねじポンプ作用を
奏し、軸周を大気側へ漏れ出そうとする密封対象流体を
密封空間側へ押し戻すものである。この場合、反密封空
間側テーパ面102における小径側の部分102aは、
エッジ部103が、図5に一点鎖線で示される突条10
4の高さと同等の高さとなるように、勾配が大きく形成
されており、すなわちエッジ部103と回転軸の外周面
の間に隙間が形成されることがないようにして、突条1
04,104,…によるねじポンプ作用が失われる軸停
止持にも密封性を確保したものである(例えば実開平4
−17566号公報参照)。
0には、射出成形後に、シールリップ100の内径部を
メスで円周方向へ切断することによりエッジ部103を
仕上げたメスカットリップと、金型キャビティによりエ
ッジ部103の形状を与えたモールドリップがあるが、
メスカットリップの場合は、リップ内径(エッジ部10
3)やオフセットの寸法安定性が悪く、しかもきれいに
切断しないと、エッジ部103に密封性能低下の要因と
なる切れ残りが発生するため、モールドリップが採用さ
れることが多い。
に、軸回転時にポンプ作用を惹起させる突条104,1
04,…を形成したシールリップ100の場合、反密封
空間側テーパ面102の小径側の部分102aが急勾配
に形成されることによって、エッジ部103の断面形状
が鋭角状になるため、モールドリップにおいては、その
成形に用いられる金型のキャビティ内面のうち、エッジ
部103と対応する部分が、鋭角のV字形に凹んだ溝状
に形成される。したがって、射出成形の際に、このV字
形の溝には成形用ゴム材料が良好に充填されにくく、し
かも成形カスなどが付着しやすく、これらに起因するエ
ッジ部103の成形不良によって、密封性能の低下を来
すおそれがある。
転軸の外周面と摺接するため、摺動幅すなわち密封面の
幅が小さく、したがって、摺動負荷の集中によって早期
に摩耗して、軸停止時の密封性能が低下するおそれがあ
る。
れたもので、その技術的課題は、優れた密封性能が得ら
れると共に、品質が安定し信頼性の高いオイルシールを
提供することにある。
発明によって有効に解決することができる。すなわち請
求項1の発明に係るオイルシールは、シールリップの内
径部に、密封空間側へ向けて大径になる密封空間側テー
パ面と、この密封空間側テーパ面より反密封空間側にあ
ってこの反密封空間側へ向けて大径になると共に小径側
が急勾配に形成された反密封空間側テーパ面と、前記密
封空間側テーパ面と反密封空間側テーパ面の間に形成さ
れ回転体の外周面に密接される円筒面と、前記反密封空
間側テーパ面に形成されると共に円周方向に対して所定
の角度をなし一端が前記円筒面における反密封空間側の
端部に達する複数の突条とを備える。
求項1に記載された構成において、反密封空間側テーパ
面に対する突条の突出高さが、円筒面側から反密封空間
側へ向けて漸次増大するように形成される。
求項1又は2に記載された構成において、円筒面に、突
条と対応して円周方向に対する所定の角度をなし、回転
体の停止時にこの回転体の外周面に密接して、少なくと
も一部で溝深さが0になる複数の溝が形成されたもので
ある。
ルの第一の実施の形態を示す部分的な断面斜視図、図2
は、図1に示されるオイルシールのリップ内径部を示す
拡大断面図である。すなわちこのオイルシールは、図1
に示されるように、耐熱・耐寒・耐油性に優れたニトリ
ルゴム(NBR)、耐熱、耐摩耗性に優れたアクリルゴ
ム(ACM)、耐熱性、耐油性に優れたフッ素ゴム(F
KM)、高強度で耐摩耗性に優れたウレタンゴム(A
U)等から選択されたゴム状弾性材料で成形されたもの
であって、内周側に、装着状態における機内側(密封空
間側)を向いたシールリップ1と、機外の大気側(反密
封空間側)を向いたダストリップ2を有し、外周側に、
補強用の金属環4が埋設された基部3を有する。シール
リップ1の厚肉に形成されたヘッド10の外周面に形成
された溝10aには、回転軸の外周面に対するヘッド1
0の密接力を補償するためのエキステンションスプリン
グ(ガータスプリングとも言う)5が装着されている。
側の面は、図2に拡大して示されるように、装着状態に
おける機内(密封空間)側へ向けて大径になるテーパ状
に形成された機内側テーパ面11と、この機内側テーパ
面11より機外側にあって、装着状態における機外側
(反密封空間側)へ向けて大径になるテーパ状、すなわ
ち機内側テーパ面11とは逆向きのテーパ状に形成され
た機外側テーパ面12と、これら機内側テーパ面11と
機外側テーパ面12の間に円筒面状に形成された円筒面
13とで構成されており、円筒面13が、回転軸の外周
面との密封摺動部となる。
する第一テーパ面12aと、そこからダストリップ2側
へ向けて延びる第二テーパ面12bからなる二段テーパ
面に形成されており、当該オイルシールの軸心に対する
機外側テーパ面12の傾斜角度は、第一テーパ面12a
が相対的に急勾配、第二テーパ面12bが相対的に緩勾
配となっている。
向に対して所定の角度をなし一端が円筒面13における
機外側の端部に達するように延びる多数の突条14,1
4,…が形成されている。詳しくはこの突条14,1
4,…は、それぞれその延長方向と直交する断面が、山
形をなすものであって、図2に示されるように、円筒面
13側へ向かって回転軸の回転方向R側へ偏向するよう
に、螺旋の一部をなして延び、すなわち軸回転時に、機
内側から円筒面13と回転軸の外周面との密封摺動部を
漏れ出した密封対象油を機内側へ押し戻すねじポンプ作
用を惹起するものである。
テーパ面12における第二テーパ面12bと平行であっ
て円筒面13における機外側の縁部13aを通る面、す
なわち図2に一点鎖線で示される仮想面上にある。した
がって、各突条14は、機外側テーパ面12における第
二テーパ面12bからの高さ及び幅が一定であり、それ
よりも急勾配である第一テーパ面12aに形成された部
分では、円筒面13に近付くほど相対的に高さ及び幅が
減少し、円筒面13における機外側の縁部13aに達す
る端部で、高さがほぼ0となっている。
シールリップ1を機内側へ向けて、基部3が機器の軸孔
部に圧入嵌着されると共に、シールリップ1におけるヘ
ッド10の内周の円筒面13が、前記軸孔部に挿通され
た回転軸(図示省略)の外周面に密接することによっ
て、機内の密封対象流体である油が軸周から機外の大気
側へ漏洩するのを阻止し、ダストリップ2が、前記回転
軸の外周面に密接することによって、機内への異物の侵
入を阻止するものである。そして、軸回転時には、機外
側テーパ面12に形成された多数の突条14,14,…
が、機内側から円筒面13と回転軸の外周面との密封摺
動部を通過した油を機内側へ押し戻すねじポンプ作用を
惹起するため、優れた密封機能を奏する。
いて回転軸(図示省略)の外周面に摺接するため、先に
説明した図4及び図5に示される従来の技術のように、
エッジ部で摺動するものに比較して摺動幅(面積)が広
くなり、したがって、密封性が向上すると共に、単位面
積あたりに作用する摺動負荷が小さくなって、寿命も向
上する。
ド10の内周形状が金型の内面形状により与えられるモ
ールドリップの場合、成形用ゴム材料が充填される金型
キャビティの内面のうち、ヘッド10の内周部を成形す
る部分が、円筒面13及びその両側のテーパ面11,1
2aに対応して、幅の広い凹部として形成される。しか
も、円筒面13と機内側テーパ面11で構成される角部
A、及び円筒面13と第一テーパ面12aで構成される
角部Bは、それぞれ鈍角状であり、これに対応する前記
凹部の隅部も鈍角状である。したがって、射出成形の際
に、この凹部には成形用ゴム材料が良好に充填され、し
かも成形用ゴム材料の流れも良くなるので成形カスなど
が付着しにくくなり、その結果、品質を安定させること
ができ、ひいてはヘッド10の成形不良に起因するシー
ル性の低下を防止して、信頼性の高い製品を提供でき
る。
りあるいはR面とすることによって、成形カスなどの付
着や成形用ゴム材料の充填不足を一層確実に防止するこ
とができる。
第二の実施の形態を示すリップ内径部の拡大断面図であ
る。本形態のオイルシールは、機外側テーパ面に対する
突条14,14,…の突出高さ及び幅が、円筒面13寄
りの部分において、円筒面13側から機外側へ向けて漸
次増大する形状となっている点、及び、円筒面13に突
条14,14,…と対応する方向へ所定の角度をなして
延びる多数の溝15,15,…が形成された点で、第一
の実施の形態と異なっており、その他の構成は、基本的
に第一の実施の形態とほぼ同様である。
に一点鎖線で示されるように、円筒面13における機外
側の縁部13aから、機外側テーパ面12における第二
テーパ面12bと平行な面よりも内周側へ湾曲した曲線
状をなし、円筒面13側の端部近傍は、峰14aが円筒
面13とほぼ連続した面上にある。また、これに伴っ
て、各突条14の両側面14b,14cも、機外側へ向
けて舟の舷のように漸次増大する形状となっている。そ
して、第一テーパ面12aに形成された部分では、円筒
面13に近付くほど相対的に突条14の高さ及び幅が減
少し、円筒面13に達する端部で、高さがほぼ0となっ
ている。
…は、突条14,14,…と対応する方向へ所定の角度
をなして延びているため、軸回転時には、機内側から円
筒面13と回転軸の外周面との間の密封摺動部を機外側
へ通過しようとする密封対象の油の漏れ圧力に抗する方
向に、ねじポンプ作用を惹起するものである。また、こ
の溝15,15,…は、軸停止時には、回転軸の外周面
への締め付け力によって殆ど潰れた状態となる程度の、
微小深さ及び微小幅に形成されるか、あるいは図3の断
面中に破線で示されるように、円筒面13の機外側から
機内側へ向かって溝深さが漸減し、円筒面13の機内側
の端部で溝深さが0となるように形成される。
は、先に説明した第一の実施の形態と同様、円筒面13
において回転軸(図示省略)の外周面に摺接するため、
図4及び図5に示される従来の技術のようにエッジ部で
摺動するものに比較して摺動幅(面積)が広く、したが
って、密封性が向上すると共に、単位面積あたりに作用
する摺動負荷が小さくなって、寿命も向上する。そし
て、軸回転時には、機外側テーパ面12に形成された多
数の突条14,14,…が、機内側から円筒面13と回
転軸の外周面との密封摺動部を通過した油を機内側へ押
し戻すねじポンプ作用を惹起し、加えて、円筒面13に
形成された溝15,15,…も、油を機内側へ押し戻す
ねじポンプ作用を惹起するため、優れた密封機能を奏す
る。
円筒面13との間に薄膜状に介入している油の流体力学
的作用が失われるので、円筒面13がヘッド10自体の
有する締め付け力及びエキステンションスプリング5
(図1参照)に与えられる締め付け力によって、溝1
5,15,…が、回転軸外周面に押し付けられて殆ど消
滅した状態になり、あるいは少なくとも円筒面13にお
ける機内側の端部で溝深さが0となる。このため、ねじ
ポンプ作用が失われる軸停止時に、機内の油が溝15,
15,…を通じて機外へ漏出することはない。
パ面12bと平行な面よりも内周側へ湾曲した曲線状を
なしているので、この突条14は、峰14aを第二テー
パ面12bと平行に形成した場合に比較すると、円筒面
13寄りの部分が長い範囲にわたって、回転軸の外周面
と接触ないし極めて近接した状態となる。したがってね
じポンプ作用が大きくなり、密封性を一層高めることが
できる。しかも各突条14における円筒面13寄りの部
分が長い範囲にわたって、回転軸の外周面と接触するこ
とによって、円筒面13の摺動負荷も分散されるので、
一層超寿命化を図ることができる。
れば、シールリップの内径部における密封空間側テーパ
面と反密封空間側テーパ面の間に形成された円筒面で回
転体と密接され、しかも反密封空間側テーパ面に形成さ
れた突条が、軸回転時に漏洩流体を機内側へ押し戻すね
じポンプ作用を発揮するため、密封性が向上し、かつ摺
動幅が広いので、単位面積あたりに作用する摺動負荷が
小さくなって、寿命を向上させることができる。また、
このオイルシールの成形においては、円筒面と対応する
金型の内面で成形用ゴム材料の流れが良くなるので成形
カスなどが付着しにくくなり、その結果、品質を安定さ
せて、信頼性の高い製品を提供できる。
ば、反密封空間側テーパ面に対する突条の突出高さが、
円筒面側から反密封空間側へ向けて漸次増大するように
形成されているため、この突条の円筒面寄りの部分が長
い範囲にわたって回転軸の外周面と接触ないし極めて近
接した状態となり、ねじポンプ作用による密封性を一層
高めることができる。
ば、円筒面にも、軸回転時に漏洩流体を機内側へ押し戻
すねじポンプ作用を発揮する溝が形成されているため、
回転時における密封性を更に高めることができる。しか
もねじポンプ作用が失われる軸停止時には、この溝が少
なくとも一部で不連続となるため、漏れを発生すること
がない。
を示す部分的な断面斜視図である。
示す拡大断面図である。
を示すリップ内径部の拡大断面図である。
断面斜視図である。
示す拡大断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 シールリップ(1)の内周側の面に、密
封空間側へ向けて大径になる密封空間側テーパ面(1
1)と、この密封空間側テーパ面(11)より反密封空
間側にあってこの反密封空間側へ向けて大径になると共
に小径側が急勾配に形成された反密封空間側テーパ面
(12)と、前記密封空間側テーパ面(11)と反密封
空間側テーパ面(12)の間に形成され回転体の外周面
に密接される円筒面(13)と、前記反密封空間側テー
パ面(12)に形成されると共に円周方向に対して所定
の角度をなし一端が前記円筒面(13)における反密封
空間側の端部に達する複数の突条(14)と、を備える
ことを特徴とするオイルシール。 - 【請求項2】 反密封空間側テーパ面(12)に対する
突条(14)の突出高さが、円筒面(13)側から反密
封空間側へ向けて漸次増大するように形成されたことを
特徴とする請求項1に記載されたオイルシール。 - 【請求項3】 円筒面(13)に、突条(14)と対応
して円周方向に対する所定の角度をなし、回転体の停止
時にこの回転体の外周面に密接して、少なくとも一部で
溝深さが0になる複数の溝(15)が形成されたことを
特徴とする請求項1又は2に記載されたオイルシール。
Priority Applications (1)
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JP2001287157A JP4600633B2 (ja) | 2001-09-20 | 2001-09-20 | オイルシール |
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Publications (2)
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- 2001-09-20 JP JP2001287157A patent/JP4600633B2/ja not_active Expired - Fee Related
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