JP2007256340A - 反射防止微細構造及び反射防止構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多角形又は略円形底面を有する無数の微細な錐体状突起Pが可視光線の波長よりも短いピッチで配置された反射防止微細構造において、上記錐体状突起Pの底面と直角をなし、当該突起の頂点を含む断面における頂点と底辺を結ぶ線(稜線)の形状を表わす線形式X=(D/2)×{1−(Z/H)n}又はZ={H/(D/2)n}×Xn の次数nを1を超過3以下とする。
【選択図】図1
Description
すなわち、例えば波形あるいは三角形をなす無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率(1.0)に等しくなる一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって成形品の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(この場合の屈折率は段階的に変化する)と同様の原理によって、当該反射防止膜よりも優れた反射防止性能を備えたものとなる。
すなわち、微細凹凸構造の最表面から底面までの有効屈折率変化を考えれば、微細凹凸の断面形状、すなわちその頂点と底部を結ぶ稜線の形状には、さらなる最適化の余地があるものと思われ、これによって微細凹凸構造を備えた反射防止構造体における光の反射防止効果をさらに向上させることができるものと考えられる。
X=(D/2)×{1−(Z/H)n}・・・(1)
Z={H/(D/2)n}×Xn ・・・(2)
このとき、円錐状突起のアスペクト比(H/D)が小さくなると、極小値を示す次数nが低い方に若干移行することが確認されている。
なお、錐体状突起の稜線形状を表わす線形式における次数nは、1.1〜2.5の範囲、さらには1.2〜2の範囲とすることがより望ましい。
また、次数nが1よりも小さい場合には、図3(c)に示すように、側面が内側に凹んだ形状となる。
また、外接する円の直径Dについては、50nmを超え、380nm未満とすることが望ましい。すなわち、底面に外接する円の直径Dが50nm以下となるような微細構造を工業的に得ることが極めて困難である一方、この直径Dが可視光線の最短波長である380nm以上となると、反射防止効果が得られなくなることによる。
また、自動車を始めとする各種の部品、例えば、ウインドウやルーフのガラス、メーターフロントカバー、ヘッドランプ、リヤフィニッシャー、液晶などの表示装置の最前面に用いるフィルムなど適用することによって、同様の反射防止効果を得ることができる。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線としては、一般に紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられるが特に限定されるものではない。
なお、溶融した無機系透明材料を流し込んだのち、必要に応じて、冷却しないうちに同様の反射防止微細構造を有する第2の型を押し当てることによって、基材の両面に微細構造を形成することができる。
市販の電子線描画装置で作成した金型を使用して、この金型を150℃に加熱したのち、10MPaの圧力でポリメチルメタクリレート基材の両面に1時間押し当てた後、70℃以下まで冷却することによって、底面形状が正方形であって、これに外接する円の直径Dが250nm、高さHが500nmであって(H/D=2)、次数が1.2次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、変角分光光度計(大塚電子製)を用い、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.08%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、外接する円の直径Dが250nm、高さHが750nmであって(H/D=3)、次数が1.5次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用い、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.06%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、これに外接する円の直径Dが300nm、高さHが300nmであって(H/D=1)、次数が2次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を両面に備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.51%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、外接する円の直径Dが250nm、高さHが500nmであって(H/D=2)、次数が3次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.57%であった。
上記実施例2で作成した金型を使用し、当該金型と基材の間に紫外線硬化樹脂を挟持した状態で紫外線を照射し、ポリメチルメタクリレート基材の裏面側に、上記実施例2と同様の形状の錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を形成した。ついで、当該基材の表面側に、基材に近い側から、膜厚が181.9nmであって屈折率が1.38の第1層、膜厚が12.8nmであって屈折率が2.5の第2層、膜厚が34.9nmであって屈折率が1.45の第3層、膜厚が37.4nmであって屈折率が2.5の第4層、膜厚が22.3nmであって屈折率が1.45の第5層、膜厚が28.6nmであって屈折率が2.5の第6層、及び膜厚が97.1nmであって屈折率が1.38の第7層をそれぞれ順次蒸着することによって、都合7層から成る多層反射防止膜を形成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.77%であった。
上記実施例2で作成した金型を使用して、同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、上記実施例2と同様の形状の錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を形成した。次いで、当該基材の表面側のみに、直径2μm、深さ1μmの円形凹部をその表面に占める占有率が2%となるようにランダムに形成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.05%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、外接する円の直径Dが250nm、高さHが750nmであって(H/D=3)、次数が2次の線形式(2)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.03%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、金型の加熱温度のみを170℃に変更したこと以外は上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリカーボネート基材の両面に、底面形状が円形であって、その直径(外接する円の直径)Dが250nm、高さHが500nmであって(H/D=2)、次数が1.5次の線形式(2)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.18%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、金型の加熱温度のみを170℃に変更したこと以外は上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリカーボネート基材の両面に、底面形状が円形であって、その直径(外接する円の直径)Dが250nm、高さHが500nmであって(H/D=2)、次数が2.5次の線形式(2)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、0.39%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、これに外接する円の直径Dが250nm、高さHが500nmであって(H/D=2)、次数が0.4次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、1.20%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、外接する円の直径Dが300nm、高さHが150nmであって(H/D=0.5)、次数が1次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、2.30%であった。
ポリメチルメタクリレート基材の両面に、上記実施例5において表面側に形成した7層から成る多層反射防止膜をそれぞれ形成した。
得られた多層反射防止膜から成る反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、3.51%であった。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面形状が正方形であって、外接する円の直径Dが400nm、高さHが800nmであって(H/D=2)、次数が1次の線形式(1)で表わされる稜線形状を有する錐体状突起Pが六方細密状態に配列された反射防止微細構造を備えた反射防止構造体を作成した。
得られた反射防止構造体について、同様の変角分光光度計を用いて、光の入射角度が0度の場合における波長380〜780nmの平均反射率を測定した結果、1.6%であった。
この結果、稜線形状を表わす線形式の次数が低い比較例1、H/D比が低い比較例2、多層反射防止膜から成る比較例3、さらに錐体状突起の底面に外接する円の直径Dが可視光線の最短波長よりも大きい比較例4の平均反射率に較べて、所定の寸法、形状を備えた反射防止微細構造を備えた実施例1〜9の反射防止構造体の平均反射率が大幅に低下していることが確認された。
なお、錐体状突起が可視光線の最短波長よりも大きい400nmの頂点間距離で配置された比較例4の構造体においては、波長380〜780nmの平均反射率は1.6であったが、短波長光の反射率が特に高くなる傾向が認められた。
Claims (10)
- 多角形又は略円形底面を有する無数の錐体状突起が可視光線の波長よりも短いピッチで配置されて成る反射防止微細構造において、
上記錐体状突起の頂点を含み、底面に垂直な断面における頂点と底辺を結ぶ線がn次の線形式(但し、1<n≦3)で表される曲線であることを特徴とする反射防止微細構造。 - 上記n次の線形式が、底面に平行な軸をX軸、底面に垂直な軸をZ軸、上記錐体状突起の高さをH、錐体状突起の底面の平面形状に外接する円の直径をDとしたとき、次式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載の反射防止微細構造。
X=(D/2)×{1−(Z/H)n)・・・(1) - 上記n次の線形式が、底面に平行な軸をX軸、底面に垂直な軸をZ軸、上記錐体状突起の高さをH、錐体状突起の底面の平面形状に外接する円の直径をDとしたとき、次式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の反射防止微細構造。
Z={H/(D/2)n}×Xn ・・・(2) - 上記錐体状突起の高さH、錐体状突起の底面の平面形状に外接する円の直径Dが
50nm<D<380nm
1≦H/D≦3
の関係を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の反射防止微細構造。 - 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を基材の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止構造体。
- 上記基材が透明であることを特徴とする請求項5に記載の反射防止構造体。
- 上記基材の他方の面に多層反射防止膜を備えていることを特徴とする請求項6に記載の反射防止構造体。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えた成形型と、基材の少なくとも一方を加熱した状態で両者を相対的に押し当て、基材表面に上記微細構造を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えた成形型と基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、基材表面に上記微細構造を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えていることを特徴とする自動車用部品。
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