JP2009198628A - 反射防止構造及び反射防止成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入射する電磁波の波長λよりも小さい底面サイズDを有し、波長λよりも短いピッチPで隙間なく配列された無数の角錐台状微細凸部4を備えた微細構造層3を平面層2の上に積層して成る2層構造とし、角錐台状微細凸部4の先端部4tと、微細構造層3と平面層2との境界面5とをそれぞれ平面状の反射面として機能させる。
【選択図】図1
Description
例えば、自動車の運転席には、スピードメータや燃料計などの各種計器類をまとめて収納したディスプレイ部の前面にメーターフロントカバーが嵌め込まれている。しかし、このメーターフロントカバーに、フロントウインドウやサイドウインドウを通して車外の景色が映り込むことによって、ディスプレイ部の各種表示が見づらくなることがある。
そのため、その上方位置にメーターフードを配置して、メーターディスプレイへの外光の入射を遮り、車外景色の映り込みを防止するようにしている。
すなわち、例えば波形や三角形状をなす無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率に等しくなる。一方、凹凸の底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって透明性素材の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる。
このとき、角錐状微細凸部4の底面サイズ、すなわち、底面を形成する多角形に外接する円の径D(図の例では、対角線の長さに一致)についても、後述するように、入射電磁波の波長λよりも小さいことになる。
このとき、角錐台状微細凸部4は頂部(先端部)が平面状をなしているため、先端部が折れ難くなる。また、反射波同士の相殺による低反射化が期待できるため、凸部の高さHをさほど高くする必要もなくなる。したがって、このような微細構造が他の部材と擦れ合ったり、ぶつかったりしたとしても損傷を受けにくいものとなり、電磁波の反射防止機能と耐傷付き性とを両立させることができる。
この他、紫外線についてはD≦150nm、近赤外線についてはD≦780nmであることが好ましい。
まず、微細構造層3の表面における屈折率(構造層表面における微細凸部先端面4tの占有面積率によって決まる)と空気層との屈折率差をΔnt、微細構造層3を構成する材料と平面層2を構成する材料との屈折率差をΔnbとするとき、これら屈折率差の比Δnt/Δnbが0.8〜1.2のとき反射防止性が向上する。なお、この比Δnt/Δnbについては、0.9〜1.1であることがより好ましい。
また、両反射面5及び4tは実質的に平行であることが望ましいが、この場合の平行度としては、両面のなす角度が5°以内であれば相殺作用に大きく影響することはない。
具体的には、反射面間距離L=A×(入射波長λ/(2×平均屈折率n))の式(1)で表され、Aの値が0.6〜1.4の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、0.8〜1.2の範囲である。なお、ここで言う屈折率とは、入射電磁波に対する屈折率を意味することは言うまでもない。
なお、電磁波の種類による反射面距離Dについては、上記(1)式で導出される範囲であればよいが、特に好ましくは、紫外線領域で80〜160nm、赤外線領域では350nm〜45μm程度である。
すなわち、ポリエチレンテレフタレート基材(平面層2)上に、アクリル樹脂から成り、外接円径141nmの底面を備えた四角錐台形をなし、高さの異なる微細凸部4を隙間なく配列して成る種々の厚さの微細構造層3を備えた反射防止成形体(Δnb/Δnt=1.18)を試作した。そして、その反射率を測定し、H(高さ)/L(反射面間距離)比で整理した結果を示すものである。
さらに、微細凸部4の底面の中心と先端面の中心を結ぶ直線は、必ずしも底面(基材面)に対して垂直である必要はなく、傾いていたとしても支障はない。
すなわち、微細凸部4の中心を通る垂直断面における底辺をX軸上に、稜線を延長したときの交点として現れる頂点までの高さをhとし、この頂点をZ軸上にとると、凸部4の稜線上のX座標値は、次式(2)に基づいて、図4に示すように表わすことができる。このとき、頂点の位置によって定数項を加えて補正することもできる。
X=(D/2)×{1−(Z/h)m}・・・(2)
但し、本発明においては、微細凸部4の全てが同じ形状であることは必ずしも必要ではなく、例えば、八角錐台と四角錐台を組み合わせることも考えられる。なお、必ずしも等辺形である必要はないが、方向性の観点からは、上記のような正三角形や正方形、正六角形等を採用することが好ましい。
そして、このような成形体を各種ディスプレイ装置のパネルや、ショウウインドウ、展示ケースなどの透明パネルに適用することによって、外光や室内照明の反射を低減し、反射像の映り込みを効果的に防止して、映像や表示、内部展示物の視認性を向上させることができる。
また、上記成形型と平面層として機能する基材の間に、活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射することによって当該樹脂を硬化させ、平面層2の表面に微細凸部4を備えた微細構造層3を成形して、反射防止成形体とすることができる。
本発明においては、反射面5が形成されるに足る屈折率差Δnbを確保することができる限り、これら材料の組合せについては特に限定されるものではなく、以下に述べる材料を任意に組み合わせることができる。但し、前述したようにΔnt/Δnbが0.8〜1.2の範囲となるような組合せを選択することが望ましい。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線としては、代表的には、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられるが特に限定されるものではない。
市販の電子線描画装置で作成した金型を使用して、この金型に紫外線硬化アクリル樹脂を流し込み、平面層として機能するポリエチレンテレフタレート(PET)基材を押し当てた状態で、紫外線を照射して固化させた。これによって、表1に示すように、PETから成る基材(平面層2)の両面に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成り、底部外接円の直径Dが1000nm、高さHが750nmであって、221nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離Dが800nmの反射防止成形体を作製した。
なお、反射面間距離L(言い換えると、微細構造層3の厚み)については、金型に紫外線硬化アクリル樹脂を流し込む際に、スピンコーターを用いて微細構造層3の膜厚調整を行った。
また、当該成形体の表面を、ブロード布を用いて、面圧392Paで5000回往復摺動した後における傷の発生具合を目視により観察し、傷の発生が確認できたものを「×」、発生が認められなかったものを「○」として、耐傷付き性を評価した。これらの結果を表2に示す。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成る基材(平面層2)の両面に、メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリフルオロエチル共重合体(MMA−TFEME)から成り、底部外接円の直径Dが300nm、高さHが220nmであって、41nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)が230nmの反射防止成形体を作製した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、PET基材(平面層2)の両面に、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ベンジル共重合体(MMA−BMA)から成り、底部外接円の直径Dが250nm、高さHが160nmであって、74nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)が180nmの反射防止成形体を作製した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MMA−S)から成る基材(平面層2)の両面に、メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリフルオロエチル共重合体(MMA−TFEME)から成り、底部外接円の直径Dが200nm、高さHが200nmであって、63nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)が220nmの反射防止成形体を作製した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MMA−S)から成る基材(平面層2)の両面に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成り、底部外接円の直径Dが100nm、高さHが200nmであって、29nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)が210nmの反射防止成形体を作製した。
底部外接円の直径Dが200nm、高さHが240nmであって、m=1.2次の線形式(2)で表される稜線形状を有し、80nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台状の微細凸部4とし、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)を245nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例6に係わる反射防止成形体を作製した。
そして、得られた成形体について、反射率及び耐傷付き性を実施例2と同様の要領によりそれぞれ評価した。この結果を表2に併せて示す。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリカーボネート(PC)から成る基材(平面層2)の両面に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成り、底部外接円の直径Dが200nm、高さHが240nmであって、m=1.5次の線形式(2)で表される稜線形状を有し、80nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台状をなす微細凸部4が隙間なく配列された微細構造層3を備え、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)が250nmの反射防止成形体を作製した。
高さHが160nmであって、89nm四方の先端面4tを備えた正四角錐台形の微細凸部4とし、反射面間距離L(微細構造層3の厚み)を200nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例8に係わる反射防止成形体を作製した。
そして、得られた成形体について、反射率及び耐傷付き性を実施例2と同様の要領によりそれぞれ評価した。この結果を表2に併せて示す。
底部外接円の直径Dが200nm、高さHが180nmである正四角錐の微細凸部4としたこと以外は、上記実施例8と同様の操作を繰り返すことによって、当該比較例に係わる反射防止成形体を作製した。
そして、得られた成形体について、反射率及び耐傷付き性を実施例2と同様の要領によりそれぞれ評価した。この結果を表2に併せて示す。
これに対し、比較例1の反射防止成形体においては、アスペクト比が小さく、先端が尖っているために、反射防止性能が低く、耐傷付き性にも劣る結果となった。
2 平面層
3 微細構造層
4 微細凸部
4t 先端部(先端面)
5 境界面
Claims (8)
- 平面層と、
多角形底面を備え、該底面多角形に外接する円の径がDである無数の角錐台状微細凸部が前記平面層上にピッチPで隙間なく配列された微細構造層とから成り、
前記平面層と微細構造層との境界面である反射面と、上記角錐台状微細凸部の先端部とに平面状の反射面とを有すると共に、上記外接円径D及びピッチPが入射する電磁波の波長λよりも小さいことを特徴とする反射防止構造。 - 上記微細構造層の表面における屈折率と空気層との屈折率差をΔnt、微細構造層を構成する材料と平面層を構成する材料との屈折率差をΔnbとするとき、これら屈折率差の比Δnt/Δnbが0.8〜1.2であり、上記2つの反射面間の距離Lが次式(1)により算出される値であると共に、上記微細凸部の高さHと前記反射面間の距離Lの比H/Lが0.7〜1であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造。
L=A(λ/2n) ・・・(1)
(式中のnは微細構造層の平均屈折率、Aは0.6〜1.4の範囲の任意の値を示す) - 上記角錐台状微細凸部の稜線形状が次式(2)で表わされるm次の線形式で表される曲線をなし、次数mが1.0を超え、1.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止構造。
X=(D/2)×{1−(Z/h)m}・・・(2)
(式中のhは角錐台状微細凸部の稜線の延長線の交点として現れる頂点までの高さを示す) - 上記角錐台状微細凸部の底面多角形に対する外接円径D及びピッチPが380nm以下であり、上記反射面間距離Lが160〜240nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記角錐台状微細凸部の底面多角形に対する外接円径D及びピッチPが250nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止構造。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止成形体。
- 上記微細構造層及び平面層が透明であることを特徴とする請求項6に記載の反射防止成形体。
- 請求項6又は7に記載の反射防止成形体を用いたことを特徴とする自動車部品。
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JP2008038226A JP2009198628A (ja) | 2008-02-20 | 2008-02-20 | 反射防止構造及び反射防止成形体 |
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JP2012014107A (ja) * | 2010-07-05 | 2012-01-19 | Asahi Glass Co Ltd | 光学部材 |
US9268067B2 (en) | 2011-02-22 | 2016-02-23 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Optical component having antireflection structure |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007264594A (ja) * | 2006-03-01 | 2007-10-11 | Nissan Motor Co Ltd | 反射防止微細構造、反射防止成形体及びその製造方法 |
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2008
- 2008-02-20 JP JP2008038226A patent/JP2009198628A/ja active Pending
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JP2012014107A (ja) * | 2010-07-05 | 2012-01-19 | Asahi Glass Co Ltd | 光学部材 |
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