JP2008203473A - 反射防止構造及び構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光の波長以下の大きさを有し、光の波長以下のピッチで配列された複数の錐体状突起2aを備えた基材2における少なくとも錐体状突起2aの先端部分に、当該基材2の材料よりも屈折率が小さい材料から成る低屈折率層3を少なくとも1層積層する。
【選択図】図1
Description
また、自動車の運転席には、スピードメータや燃料計などの各種計器類をまとめて収納したディスプレイ部があり、このディスプレイ部の前面にはメーターフロントカバーが嵌め込まれているが、このメーターフロントカバーに、フロントウインドウやサイドウインドウを通して車外の景色が映り込むことによって、ディスプレイ部の各種表示が見づらくなることがある。このため、ディスプレイの上方にメーターフードを配置して、メーターフロントカバーへの外光の直接入射を防止するようにしている。
当該反射防止構造においては、例えば波形あるいは鋸歯状の無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率(1.0)に等しくなる一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって素材の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた中間的な屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(この場合の屈折率は段階的に変化することになる)と同様の原理によって、このような反射防止膜よりも優れた反射防止性能を発揮するものとなる。
このような構造を有する反射防止構造1においては、無数の錐体状突起2aによって反射防止機能が発揮されると共に、光が入射する錐体状突起2aの先端部における空気層との屈折率差が、低屈折率層3の成膜前に較べてより小さくなることから、反射防止性能が向上することになる。
このとき、各層の膜厚については少なくとも5nmあればよく、好ましくは10〜100nmであれば良い。また、全ての層の膜厚の合計厚みは150nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下が好ましい。
このとき、低屈折率層3は、錐体状突起2aの高さHの先端側20%以上の領域、すなわち、図3に示すように、少なくとも0.2Hの高さ領域に積層することが望ましく、こうすることによって所期の効果が得られることが確認されている。
そして、この場合には、図3に示したように、錐体状突起2aの先端部分のみに低屈折率層3を積層して、根本部分の酸化チタンを露出させておくことによって、このような微細構造の底部に、各種の汚れが詰まったとしても、酸化チタンの光触媒機能によって分解することができ、反射防止効果と汚れ防止効果を同時に発揮させることができるようになる。
また、当該錐体状微細突起2aのピッチPについても、可視光線の波長より小さく配置することが必要であり、具体的には、同様に50nm≦P<380nmであり、好ましくは100nm≦P≦300nm、さらに好ましくは150nm≦P≦300nmである。
このアスペクト比は、反射防止機能を高める観点からは、高い方が好ましいが、本発明においては、錐体状微細突起2aを備えた基材2の表面に、低屈折率層3を形成することによって、反射防止機能を向上させたことから、所望の反射防止性能を得るための微細突起2aの高さH、あるいはアスペクト比(H/D)を低くすることができ、当該反射防止構造の耐傷付き性や耐擦傷性を向上させることができる。
Z={H/(D/2)n}×Xn ・・・(1)
このナノインプリントの方法として熱または活性エネルギー線のどちらを用いる方法でもよい。熱を用いた方法は熱可塑性樹脂を加熱して、金型を押し当て形を転写し、活性エネルギー線を用いる方法は、型に活性エネルギー線にて重合し硬化するポリマーまたはオリゴマー、モノマーなどを入れ固める方法である。ここで用いられるポリマー、オリゴマー、モノマーについては特に限定されるものではなく、市販されているアクリル系ポリマーやアクリル系オリゴマー、アクリル系モノマーを用いて、活性エネルギー線により、ウレタン反応やラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの既知の反応で硬化するものであれば特に限定されない。本発明において、ナノインプリントとは、数nmから数10μm程度の大きさを有する微細構造の転写を言う。
このようなスタンパの材料としては、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、セラミック、プラスチック、炭素材料等、強度と要求される精度の加工性を有するものであれば支障なく用いることができ、具体的には、Si、SiC、SiN、多結晶Si、ガラス、Ni、Cr、Cu、C、あるいはこれらの1種以上を含むものを挙げることができ、例えば、電子線描画が容易なSiなどに形状を描画して、Niなどの金属により耐久性の高い電鋳型を作ることも可能である。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線として、一般には、紫外線やX線、その他の電子線、電磁波などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
例えば、当該低屈折率層3を塗布により積層する場合は、ポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)などのメタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類、ポリスチレン(屈折率:1.58)やポリカーボネート(屈折率:1.59)などの芳香族系ビニル類など、溶剤に希釈して塗布できるものであれば良い。
すなわち、平らな熱可塑性樹脂の基材に対して、蒸着やスパッタを用いたドライプロセス、溶液を塗布するウェットプロセスまたはドライプロセスとウェットプロセスの両方を用いる方法で基材表面から次第に屈折率が低い材料を積層して多層膜を作製する。これを熱ナノインプリントにより成型することで、積層構造の錐体状微細突起を作製することができる。
また、樹脂の劣化による黄変を補うためのブルーイング剤を用いることもできる。さらに、微細構造を埋めてしまわないような薄膜コーティングを表面に施すことによって光や傷による劣化を防ぐ方法もある。
このような微細構造の形成方法には、特に制限は無く、例えば基材に直接付与する方法や、基材と同じ屈折率で成形が容易な塗布物を塗布して薄膜を作り、そこに微細構造を転写する方法などがある。
このような反射防止加工としては、例えば、光の波長以下の同一高さの微細突起のみからなる反射防止構造や、反射防止層の膜厚を制御し薄膜表面と基材接着面との反射光を干渉させ反射光を打ち消す構造などを設けることが挙げられる。
表示装置の形式としては特に限定されず、例えば、アナログメーターのように機械的な表示と照明を組み合わせた方式、デジタルメーターやモニターのように液晶やLED、ELなどのバックライトや発光面を用いた方式、モバイル機器のように反射方式の液晶を用いることもある。
まず、市販の電子線描画装置を用いて、開口径200nm、深さ300nmの円錐状凹部がピッチ200nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリメチルメタクリレート(PMMA、屈折率:1.49)の両面に、底面径D=200nm、高さH=300nmの円錐形微細突起(アスペクト比:1.5)がピッチP=200nmに正方配列された微細構造を転写することによって、ポリメチルメタクリレートから成り、両面に上記微細突起を備えた基材を得た。
得られた反射防止構造体について、変角分光光度計(大塚電子製、可視・近赤外自動変角測定装置)により、基準サンプルとして鏡面アルミニウムを用い、380〜780nmの各波長について、入射角0°のときの反射率を測定し、得られた値から平均反射率を算出した。
その結果、平均反射率は、0.25%であった。この結果を当該反射防止構造体の諸元と共に、表1に示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径300nm、深さ600nmの円錐状凹部がピッチ300nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリカーボネート(PC、屈折率:1.58)の両面に、底面径D=300nm、高さH=600nmの円錐形微細突起(アスペクト比:2)がピッチP=300nmに正方配列された微細構造を転写することによって、両面に上記寸法の微細突起を備えた基材を得た。
得られた反射防止構造体について、上記同様の方法によって、反射防止性能を評価した結果、入射角0°のときの平均反射率が0.21%であった。これらの結果を当該反射防止構造体の諸元と共に、表1に示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径100nm、深さ400nmの円錐状凹部がピッチ100nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、酸化チタンのゾル膜を挟み込み、加熱してゲル化させ、酸化チタン(屈折率:2.4)から成り、両面に、底面径D=100nm、高さH=400nmの円錐形微細突起(アスペクト比:4)がピッチP=100nmに正方配列された基材を作製した。
当該反射防止構造体について、上記同様の方法によって、反射防止性能を評価した結果、入射角0°のときの平均反射率が0.51%であった。これらの結果を当該反射防止構造体の諸元と共に、表1に示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径200nm、深さ600nmの円錐状凹部がそれぞれピッチ200nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリカーボネートの両面に、アクリルレジストを塗布してパターン転写し、紫外線によって硬化させ、両面に底面径D=200nm、高さH=600nmの円錐形微細突起(アスペクト比:3)がピッチP=200nmに正方配列された基材を得た。
得られた反射防止構造体について、上記同様の方法によって、反射防止性能を評価した結果、入射角0°のときの平均反射率は0.04%であった。これらの結果を当該反射防止構造体の諸元と共に、表1に示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径200nm、深さ100nmの円錐状凹部がそれぞれピッチ200nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリカーボネートの両面に、アクリルレジストを塗布してパターン転写し、紫外線によって硬化させ、両面に底面径D=200nm、高さH=100nmの円錐形微細突起(アスペクト比:0.5)がピッチP=200nmに正方配列された基材を得た。
上記実施例1と同様の手法により、開口径200nm、深さ500nmであって、稜線形状を表す線形式(1)における次数nが2である略円錐状凹部がピッチ200nmで正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリメチルメタクリレートの両面に、底面径D=200nm、高さH=500nmの円錐形微細突起(アスペクト比:2.5)がピッチP=200nmに正方配列された基材を得た。
得られた発色性反射防止構造体について、上記同様の方法によって、反射防止性能を評価した結果、入射角0°のときの平均反射率が0.12%であった。これらの結果を当該反射防止構造体の諸元と共に、表1に併せて示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径200nm、深さ600nmの円錐状凹部がピッチ200nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、酸化チタンのゾル膜を挟み込み、加熱してゲル化させ、酸化チタン(屈折率:2.4)から成り、両面に、底面径D=200nm、高さH=600nmの円錐形微細突起(アスペクト比:3)がピッチP=200nmに正方配列された基材を作製し、この上に低屈折率層を積層することなく、上記同様の方法によって、反射防止性能を調査した結果、入射角0°のときの平均反射率は2.3%であった。これらの結果を表1に併せて示す。
上記実施例1と同様の手法により、開口径500nm、深さ600nmの円錐状凹部がピッチ500nmに正方配列したスタンパを作製し、このスタンパを用いて、厚さ2mmのポリメチルメタクリレート(PMMA、屈折率:1.49)の両面に、底面径D=500nm、高さH=600nmの円錐形微細突起(アスペクト比:1.2)がピッチP=500nmに正方配列された微細構造を転写し、両面に上記微細突起を備えた基材を得た。
2 基材
2a 錐体状突起
3 低屈折率層
Claims (8)
- 円形又は多角形底面を有し、円形底面の径又は多角形底面に外接する円の径が50nm以上380nm未満である無数の錐体状突起が50nm以上380nm未満のピッチで配列されて成る基材に、当該基材よりも屈折率が小さい材料から成る低屈折率層を積層して成る反射防止構造であって、当該低屈折率層が上記錐体状突起の少なくとも頂点近傍部に積層されていることを特徴とする反射防止構造。
- 錐体状突起の高さをHとするとき、上記低屈折率層が錐体状突起の頂点から少なくとも0.2Hの高さ範囲に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造。
- 上記低屈折率層が屈折率の異なる複数の材料から成る多層構造を有し、各層の屈折率が表面側から基材に向けて段階的に高くなるように積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止構造。
- 上記錐体状突起の高さHが50〜1500nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記微細突起の先端を含み、底面に垂直な断面における先端と底面の外周を結ぶ線が次式(1)に示す線形式で表わされ、次数nが1.1〜5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
Z={H/(D/2)n}×Xn ・・・(1) - 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を備えたことを特徴とする反射防止構造体。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を基材の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止構造体。
- 請求項6又は7に記載の反射防止構造体を備えていることを自動車用部材。
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