JP5146722B2 - 反射防止構造及び構造体 - Google Patents
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また、自動車の運転席には、スピードメータや燃料計などの各種計器類をまとめて収納したディスプレイ部があり、この前面にはメーターフロントカバーが嵌め込まれているが、このメーターフロントカバーに、フロントウインドウやサイドウインドウを通して車外の景色が映り込むことによって、ディスプレイ部の各種表示が見づらくなることがあるため、メーターフロントカバーへの外光の直接入射を防止するべく、ディスプレイの上方にメーターフードを配置するようにしている。
当該反射防止構造においては、例えば波形あるいは鋸歯状の無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率(1.0)に等しくなる。一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって素材の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた中間的な屈折率となる。結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになる。従って、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(この場合の屈折率は段階的に変化することになる)と同様の原理によって、このような反射防止膜よりも優れた反射防止性能を発揮するものとなる。
一方、上記特許文献2には、耐久性を向上させるために微細突起の表面に硬質膜を付与することが提案されている。しかし、微細突起の表面硬度を硬くすると、微細突起が変形した際に、素材の伸縮性が乏しく容易に脆性破壊が起こる。すなわち、微細突起表面の硬度が高いだけでは、微細突起の耐久性を向上することが難しい。
そして、本発明の自動車用部品は、本発明の上記反射防止構造体を備えていることを特徴としている。
そして、上記微細突起の稜線形状が上記式で表わされ、次数nが1.1〜5であることにより、厚み方向の屈折率の変化が連続的で、よりなだらかなものとなって、反射防止性能が向上する。
なお、図1においては、微細突起2が円錐形をなす場合、すなわち底面が円形の場合を例示したが、微細突起2が角錐の場合、すなわち底面が多角形をなす場合には、当該多角形底面に外接する円の直径Dをもって底面サイズとする。
頂点から底面にかけて連続的に体積が増加することにより、空気層から基材層までの有効屈折率を徐々に変化させるという観点から、底面形状は略円形である円形や楕円形、又は多角形である三角形、四角形、五角形、六角形、さらには多角形の各辺が外側に膨らんだような形状の円形と多角形の中間のような形状のものが挙げられる。これらの中で、円形、四角形、六角形については比較的製造しやすくかつ密に配列できるので好ましい。
この径Dの値として、特に好ましくは、50〜300nm、さらに好ましくは、100〜250nmである。
微細突起のピッチPとして、特に好ましくは、50nm〜300nm、さらに好ましくは、100nm〜250nmであり、特に限定はされないが、いずれの場合においても、D=Pとなる場合が最も密に配列された状態であり、好ましい。
すなわち、微細突起の先端を含み、底面に垂直な断面における先端と底面の外周を結ぶ線(稜線)が、図2に示すように、次式(1)で表わされ、次数nが1.1〜5の範囲の場合、厚み方向の屈折率の変化が連続的で、よりなだらかなものとなることから、反射防止性能が向上する。
Z=H−{H/(D/2)n}×Xn ・・・(1)
なお、微細突起が錐台状をなすとき、頂点面に外接する円の直径が50nm以下となることが好ましい。すなわち、これを逸脱すると頂点面付近での有効屈折率変化が大きくなり、反射防止性が低下する。
微細突起に用いる粒子の種類としては、特に限定されず、例えば、ポリメチルメタクリレートやポリスチレン、アミド、イミド、ポリエステルなどの有機系粒子、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの無機酸化物系粒子、金、銀、プラチナ、鉄などの金属コロイド粒子、チタン酸バリウムなどのセラミック系粒子を用いることができ、特に耐久性を向上させるためには、圧縮強度が高く、表面改質などにより樹脂との密着性が良くなる無機酸化物系が好ましい。これら粒子の形状についても、特に限定されることはなく、真球状、ラグビーボール状、こんぺいとう状、不定形、多孔状などが挙げられる。
ここで、粒子径が10nm未満の場合には、表面への粒子の露出が小さいため、粒子と樹脂が一緒に摩耗することになり、耐久性を向上させることができない。一方、50nmを超えると、成型時に微細突起部に粒子が入り難く、微細突起の耐久性を向上させることができなくなる。
すなわち、20重量%未満では微細突起の耐久性が向上せず、60重量%を超えると、粒子の分散状態が悪化し、成型品が脆くなったり、透明性が悪化したりする。
例えば、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸メチルなどのポリアクリル酸エステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、透明フッ素樹脂、ポリアレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂などを列挙することができる。
フッ素基の導入方法としては、樹脂の場合、あらかじめポリマー骨格内にフッ素基を有する樹脂を用いることで上記性能を発揮することができる。一方、粒子に導入する場合は、粒子が無機酸化物である場合、フッ素官能基を有するシリケート類、チタネート類、アルミネート類などを用いることで、容易にフッ素基を導入できる。
得られた反射防止構造体について、変角分光光度計(大塚電子製、可視・近赤外自動変角測定装置)により、基準サンプルとして鏡面アルミニウムを用い、380〜780nmの各波長について、入射角0°のときの反射率を測定し、得られたスペクトルから平均反射率をそれぞれ算出した。
〔ヘイズ測定〕
得られた反射防止構造体について、JIS K7361に準拠し、ヘイズメーター(日本電色株式会社製ヘイズメーター:NDH2000)を用いてヘイズ値をそれぞれ測定した。
UV硬化アクリル樹脂(メタクリル酸エチル)70重量%及びγメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%中に、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:20nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が20重量%となるように混合し、石英基材上に膜厚50μmに塗布した。
次に、その表面に、開口径250nm、深さ500nmの円錐状凹部がピッチ250nmで六方細密配列したNi金型を押し当てた後、高圧水銀灯(80W)を用いて、紫外線を10分間照射することによって、樹脂(破断伸び率:115%)とシリカ粒子から成り、底面径D=250nm、高さH=500nmの円錐状微細突起がピッチP=250nmで六方細密配列されて成る微細構造を形成した。次いで、裏面にも同様の微細突起から成る構造を形成し、基材両面に同様の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても0.9%から変化はなかった。
微細突起の底面径D=100nm、高さH=300nm、ピッチP=100nmとなるようなNi金型を用い、樹脂を熱可塑性エラストマー50重量%とし、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:20nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が50重量%となるように混合したこと以外は、上記参考例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:150%)とシリカ粒子から成り上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても0.7%から変化はなかった。
微細突起の底面径D=300nm、高さH=600nm、ピッチP=300nmとなるようなNi金型を用い、樹脂をポリメチルメタクリレート70重量%、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%とし、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:30nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が20重量%となるように混合したこと以外は、上記参考例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:116%)とシリカ粒子から成り上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても1.5%から変化がなかった。
微細突起の底面径D=300nm、高さH=300nm、ピッチP=300nmとなるようなNi金型を用い、樹脂をポリエチルメタクリレート30重量%、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%とし、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:10nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が60重量%となるように混合したこと以外は、上記参考例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:105%)とシリカ粒子から成り上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても1.0%から変化がなかった。
微細突起の底面径D=250nm、高さH=500nm、ピッチP=250nmとなるようなNi金型を用い、樹脂をポリブチルメタクリレート60重量%、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%とし、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:20nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が30重量%となるように混合したこと以外は、上記参考例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:112%)とシリカ粒子から成り上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても1.1%から変化がなかった。
微細突起の形状が、底面径D=200nm、高さH=600nm、ピッチP=200nmであると共に、式(1)で表される稜線形状の次数nが2である形状の稜線を備えた略円錐状となるようなNi金型を用い、樹脂をポリブチルメタクリレート60重量%、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%とし、トルエン分散シリカゾル(球換算粒子径:20nm、粒子の圧縮強度:6.2GPa、濃度:20%溶液)を固形分が30重量%となるように混合したこと以外は、上記参考例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:112%)とシリカから成り、上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても0.8%から変化がなかった。
微細突起の形状が、式(1)で表される稜線形状の次数nが3である形状の稜線を備えた略円錐状となるようなNi金型を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、石英基材の両面に、樹脂(破断伸び率:112%)とシリカから成り、上記形状、寸法の微細突起を備えた本例の反射防止構造体を得た。
また、ヘイズ値についても1.4%から変化がなかった。
上記実施例1で用いた金型に、テトラメチルシロキサンを流し込み、石英板で押さえて200℃に加熱し、石英板の表面に、同様の形状・配置の微細突起を形成した。次いで、石英板の裏面にも微細突起を同様に形成し、酸化ケイ素成分(破断伸び率:101%)から成る本例の反射防止構造体とした。
また、ヘイズ値については、磨耗試験によって1.0%から4.8%に悪化した。
上記実施例1で用いた金型に、UV硬化樹脂(メチルメタクリレート)を流し込み、石英板で押さえて、実施例1と同様に紫外線を照射して、石英板表面に同様の形状・配置の微細突起を形成した。次いで、石英板の裏面に樹脂(破断伸び率:105%)の微細突起を同様に形成し、本例の反射防止構造体とした。
また、ヘイズ値については、磨耗試験によって1.0%から3.5%に悪化することが確認された。
2 微細突起
Claims (5)
- 略円形又は多角形底面を有する錐体状をなし、円形底面の径又は多角形底面に外接する円の径Dが50〜380nmの無数の微細突起が50〜380nmのピッチで配置されて成り、上記微細突起が球換算直径で10〜50nmの粒子と、破断伸び率が105〜150%の樹脂から成ると共に、上記粒子の添加量が重量比で20〜60%であって、
上記微細突起の稜線形状が次式(1)で表わされ、次数nが1.1〜5であることを特徴とする反射防止構造。
Z=H−{H/(D/2) n }×X n ・・・(1)
(式中のHは微細突起の高さを表す。) - 上記微細突起の高さが150〜1500nmであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造。
- 上記樹脂が透明であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止構造。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を基材の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止構造体。
- 請求項4に記載の反射防止構造体を備えていることを特徴とする自動車用部品。
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