JP2007247569A - ガスエンジンのノッキング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスエンジンのノッキングの発生を事前に防止して、安定的かつ高効率な運転を行なうことができるようにする。
【解決手段】 ノッキングの度合いであるノック度をシリンダ(2)毎に検出するノック度検出手段(26,28)と、ノック度検出手段が検出したノック度が所定ノック度を超える頻度である評価ノッキング頻度を計算するコントローラ(40)と、このコントローラの指示に基づいてシリンダ毎にノッキングの発生を事前に防止するための措置を行なうことができるノッキング防止手段(18,32,20,30)とを備え、コントローラは、評価ノッキング頻度に関する数値が所定頻度を超えるときに、ノッキング防止手段に対してシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を採らせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天然ガス、都市ガス等のガス燃料を主燃料とするガスエンジンのノッキング制御装置に関する。
近年、環境保全の観点からクリーンなエネルギ源が求められている。この観点から、天然ガス、都市ガス等のガス燃料をその主燃料とするガスエンジンを用いた発電設備等が普及しつつある。
しかしながら、その燃料の特性等から、このガスエンジンを安定した状態で運転することは比較的困難であり、安定的かつ高効率な運転を行なうためには、ノッキングや失火などの異常燃焼を早期に検出し、これを回避することが必要である。
この異常燃焼を早期に検出するためには、シリンダに取り付けられた振動センサによりノッキングを検出する装置がある(例えば、特許文献1参照)。これに加えて、ノッキングを早期に検出するための検出方法及び検出装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平08−177603号公報 特開2005−42583号公報
しかしながら、上述の特許文献1や特許文献2に記載の発明は、いずれもノッキングが実際に発生したか否かをその発生信号によって判定し、それに早期に対処するためのものであり、ノッキングの発生を事前に、すなわち発生前に予測して、ノッキングの発生を未然に防止するものではない。そして、一旦ノッキングが発生するとエンジンの損傷に繋がる場合もある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、ガスエンジンのノッキングの発生を事前に防止することができ、ガスエンジンの安定的かつ高効率な運転を行なうことができる、ガスエンジンのノッキング制御装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、ノッキングの度合いであるノック度をシリンダ毎に検出するノック度検出手段と、ノック度検出手段が検出したノック度が所定ノック度を超える頻度である評価ノッキング頻度を計算するコントローラと、コントローラの指示に基づいてシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を行なうことができるノッキング防止手段とを備えたガスエンジンのノッキング制御装置において、コントローラは、評価ノッキング頻度に関する数値が所定頻度を超えるときにノッキング防止手段に対してシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を採らせることにある。
このように、本発明のガスエンジンのノッキング制御装置によれば、コントローラが、評価ノッキングの発生頻度が所定頻度を超えるときに、ノッキング防止手段に対してシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を採らせるから、ノッキングが発生する可能性が高まっているシリンダに対して、事前にノッキング防止措置を採ることができ、その発生を未然に防止することができる。
この評価ノッキングとは、エンジンに損傷を与えるようなノッキングのほか、特にノッキングの前兆現象なども含めた、いわば広い意味での仮想のノッキング状態をいう。上述の所定ノック度を変化させることにより評価ノッキングの大きさ、すなわち、ノッキング防止措置が採られる対象のノッキングの程度を自在に調節することができ、また、上述の所定頻度を変化させることにより、ノッキング防止措置を作動させる頻度を自在に調節することができる。したがって、この所定ノック度及び所定頻度を適切に設定することにより、ガスエンジンを、ノッキングを発生させずに安定的かつ効率的に運転することができる。
好ましくは、上記ノッキング防止手段は、シリンダ毎に燃料のガス噴射量を調節することができるガス噴射量調節機構を備え、コントローラは、評価ノッキング頻度を上記数値としてこの評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているときに、ガス噴射量調節機構に対して評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているシリンダのガス噴射量を減少させるように指示する。
好ましくは、上記エンジンは、複数のシリンダを有し、上記ノッキング防止手段は、シリンダ毎に燃料のガス噴射量を調節することができるガス噴射量調節機構を備え、コントローラは、複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この評価ノッキング頻度から平均値を差し引いた差値を上記数値としてこの差値が所定頻度を超えているときに、ガス噴射量調節機構に対して差値が所定頻度を超えているシリンダのガス噴射量を減少させるように指示する。
上記のいずれの好ましい態様においても、このようにガス噴射量を減少させることにより、特にシリンダ内の未燃混合気中の燃料濃度を低くすることができ、ノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができる。
さらに好ましくは、コントローラは、上記複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この平均値から評価ノッキング頻度を差し引いた差値が所定頻度を超えているときに、ガス噴射量調節機構に対してこの差値が所定頻度を超えているシリンダのガス噴射量を増加させるように指示する。
すなわち、他のシリンダに比べて特にノッキングの発生の可能性が低いシリンダがある場合には、各シリンダの間のバランス調整を行って、平均値を常に適正なものに維持する。
好ましくは、上記ガスエンジンは、パイロット燃料着火方式のガスエンジンであり、上記ノッキング防止手段は、パイロット燃料噴射時期を調節するパイロット燃料噴射時期調節機構を備え、コントローラは、評価ノッキング頻度を上記数値としてこの評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているときに、パイロット燃料噴射時期調節機構に対してこの評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているシリンダのパイロット燃料噴射時期を遅らすように指示する、
又は、
上記ガスエンジンは、火花点火方式のガスエンジンであり、上記ノッキング防止手段は、火花点火時期を調節する火花点火時期調節機構を備え、コントローラは、評価ノッキング頻度を上記数値としてこの評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているときに、火花点火時期調節機構に対してこの評価ノッキング頻度が所定頻度を超えているシリンダの火花点火時期を遅らすように指示する。
好ましくは、上記エンジンは、複数のシリンダを有するパイロット燃料着火方式のガス
エンジンであり、上記ノッキング防止手段は、パイロット燃料噴射時期を調節するパイロット燃料噴射時期調節機構を備え、コントローラは、複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この評価ノッキング頻度から平均値を差し引いた差値を上記数値としてこの差値が所定頻度を超えているときに、パイロット燃料噴射時期調節機構に対してこの差値が所定頻度を超えているシリンダのパイロット燃料噴射時期を遅らすように指示する、
又は、
上記エンジンは、複数のシリンダを有する火花点火方式のガスエンジンであり、上記ノッキング防止手段は、火花点火時期を調節する火花点火時期調節機構を備え、コントローラは、複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この評価ノッキング頻度から平均値を差し引いた差値を上記数値としてこの差値が所定頻度を超えているときに、火花点火時期調節機構に対してこの差値が所定頻度を超えているシリンダの火花点火時期を遅らすように指示する。
上記のいずれの好ましい態様においても、パイロット燃料着火方式のガスエンジンにおいては、パイロット燃料噴射時期を遅らすことにより混合気の着火時期が遅れ、また、火花点火方式のガスエンジンにおいては、火花点火時期を遅らすことにより混合気の着火時期が遅れ、それによって特にシリンダ内の圧力上昇が抑えられて、未燃混合気の温度上昇が抑制される。これにより、ノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができる。
さらに好ましくは、コントローラは、複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この平均値から評価ノッキング頻度を差し引いた差値が所定頻度を超えているときに、パイロット燃料噴射時期調節機構に対してこの差値が所定頻度を超えているシリンダのパイロット燃料噴射時期を早めるように指示する、
又は、
コントローラは、複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値を計算すると共に、この平均値から評価ノッキング頻度を差し引いた差値が所定頻度を超えているときに、火花点火時期調節機構に対してこの差値が所定頻度を超えているシリンダの火花点火時期を早めるように指示する。
すなわち、他のシリンダに比べて特にノッキングの発生の可能性が低いシリンダがある場合には、各シリンダの間のバランス調整を行って、平均値を常に適正なものに維持する。
本発明のガスエンジンのノッキング制御装置は、ノッキングの度合いであるノック度をシリンダ毎に検出するノック度検出手段と、ノック度検出手段が検出したノック度が所定ノック度を超える頻度である評価ノッキング頻度を計算するコントローラと、コントローラの指示に基づいてシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を行なうことができるノッキング防止手段とを備えたガスエンジンのノッキング制御装置において、コントローラは、評価ノッキング頻度に関する数値が所定頻度を超えるときにノッキング防止手段に対してシリンダ毎にノッキングの発生を防止するための措置を採らせるから、ガスエンジンのノッキングの発生を事前に防止することができ、ガスエンジンの安定的かつ高効率な運転を行なうことができる、という優れた効果を奏する。
本発明に係るガスエンジンのノッキング制御装置の発明を実施するための最良の形態を、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
図1は、多気筒(L気筒)ガスエンジン1の一つ(第j)のシリンダ2を示し、シリン
ダ2の吸気側には吸気弁4を介在させて吸気管6が、排気側には排気弁8を介在させて排気管10がそれぞれ接続される。吸気管6は吸気主管12に接続されて、外部空気の供給を受ける。
吸気弁4と吸気主管12との間の吸気管6には燃料ガス管14が接続され、この燃料ガス管14は燃料ガス主管16に接続されて、燃料ガスの供給を受ける。燃料ガス管14の吸気管6側には、燃料ガス噴射弁18が介挿される。燃料ガスはこの燃料ガス噴射弁18を通して吸気管6内へ噴射され、この噴射された燃料ガスと外部空気との混合気が、吸気弁4を介してシリンダ2内へ供給される。
ガスエンジン1のシリンダ2には、パイロット燃料噴射弁20が取り付けられる。ガスエンジン1は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の低減や燃費効率の向上を図るためにリーンバーン方式が主流になりつつあり、また、出力の向上を図るうえで吸入空気が過給されることが多く、ガスエンジンの筒内圧は高圧化している。また、エネルギの有効利用を図る観点から、ガスエンジンの中には下水処理場から発生する消化ガスや、塵及び廃材を原料としたバイオマスガス等の低カロリー特殊ガスを主燃料として使用するものもある。
このように、筒内圧が高く、あるいは主燃料が低カロリー特殊ガスであるような条件下においては、主燃料の安定した点火を図るために、大きな点火エネルギを発生させることができる点火方式が要求されるようになった。このため、一般的なスパープラグによる火花点火方式から、スパープラグの数千倍の点火エネルギを発生させるパイロット燃料噴射による点火方式が主流になりつつあり、このパイロット燃料噴射はパイロット燃料噴射弁20によって行われる。
上述のパイロット燃料噴射弁20は、燃料管22を介してコモンレール24に接続される。このコモンレール24は、高圧の液体燃料を各シリンダのパイロット燃料噴射弁20へ供給するためのものである。各シリンダ2の頭部には、ノッキングの発生状態を監視するノックセンサ26がそれぞれ取り付けられる。ノックセンサ26としては、例えば、シリンダ2の振動を測定することによりノッキングの発生を検出するものなどがある。
ノックセンサ26は、燃焼診断ユニット28を介してエンジンコントローラ40に電気的に接続される。また、上述のパイロット燃料噴射弁20は、パイロット燃料噴射弁ドライバ30を介してエンジンコントローラ40に電気的に接続され、エンジンコントローラ40からパイロット燃料噴射に関する指令を受ける。
上述の燃料ガス噴射弁18は、燃料ガス噴射弁ドライバ32を介してエンジンコントローラ40に電気的に接続され、エンジンコントローラ40から燃料ガス噴射に関する指令を受ける。その他、エンジンコントローラ40にはエンジン出力、クランク角度、TDC、クランク回転数、クランク位相などが入力される。
次に、本発明のガスエンジンのノッキング制御装置の作動について、図2及び図3を追加参照して説明する。
ノックセンサ26が各シリンダ2のノッキングの発生状態を監視している。具体的には、ノックセンサ26が第j(j=1〜L)シリンダ2の振動を測定する。そして、燃焼診断ユニット28がこのノックセンサ26が測定した振動の大きさを、第jシリンダ2のノック度kとして0〜1の範囲の数値に変換する。
エンジンコントローラ40は、この燃焼診断ユニット28から第jシリンダ2のノック
度kを検出し(ステップS2)、このノック度kが予め設定した閾値ko(所定ノック度)を超えているか否かを判定する(ステップS4)。この閾値koは、例えば0.6程度の数値として設定され、この場合には最大ノッキング時(k=1)の60%程度のものが、以下の予防措置の対象となる評価ノッキングとされる。なお、このノック度kの算出方法は、一例が上述の特許文献2に開示されているので、その説明を省略する。
ステップS4の判定結果が肯定(Yes)の場合には、評価ノッキングが1回発生したとして、評価ノッキング発生回数を次式(1)によりカウントする(ステップS6)。
Kn=Kn+1 ・・・(1)
ステップS8を実行した後、又は上述のステップS4の判定結果が否定(No)のときには、サイクル数を次式(2)によりカウントする(ステップS8)。
C=C+1 ・・・(2)
次に、このサイクル数Cが所定サイクル数Coに達したか否かを判定し(ステップS10)、このステップS10の判定結果が否定の場合、すなわち、サイクル数Cが所定サイクル数Coに達していない場合には、上述のステップS2以降を繰り返す。
一方、ステップS10の判定結果が肯定の場合、すなわち、サイクル数Cが所定サイクル数Coになった場合には、第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjを次式(3)により計算する(ステップS12)。
Fj=ΣKi/(n・Co)・・・(3)
(ただし、i=n,n−1,・・・,1)
次に、全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmを計算し、第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjとこの全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmとの差(Fj−Fm)の絶対値が、予め設定した閾値F1(所定頻度)を超えているか否かを判定する(ステップS14)。
又は、第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjそのものが予め設定した閾値F2(所定頻度)を超えているか否かを判定する(ステップS14)。この全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmに対する相対的判定方法、又は、評価ノッキング頻度Fjそのものによる絶対的判定方法のいずれを採るかは、エンジン1の特性などにより適宜に判断する。
ステップS14の判定結果が肯定の場合、すなわち、第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjが相対的に又は絶対的に大きく、一定程度ノッキングの発生の可能性があると判定された場合には、エンジンコントローラ40は次の措置を採る。
第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjと全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmとの差値(Fj−Fm)が閾値F1を超える場合、又は、第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjが閾値F2を超える場合には、燃料ガス噴射弁ドライバ32を作動させて第jシリンダ2の燃料ガス噴射弁18の開弁期間を減少させ、吸入空気に混合させる燃料ガスの噴射量を減少させる(ステップS16)。
ガスエンジンの燃焼は一般的に予混合燃焼方式であり、この予混合燃焼方式の場合、パイロット噴射又は火花点火による着火で燃焼を開始し、以後火花伝播により燃焼が進行する。最後まで火花伝播により燃焼が進行すれば正常な燃焼となるが、燃焼過程の途中で未燃混合気が自発火し、火炎が伝播してくる前に燃焼が起こることがある。これがノッキングと言われる現象である。
このノッキング発生に関与する因子として、未燃混合気中の燃料濃度、未燃混合気の温
度、自発火に至るまでの反応時間などがあり、未燃混合気中の燃料濃度が高いほど、未燃混合気の温度が高いほど、そして自発火に至るまでの反応時間が充分稼げるほど、それぞれノッキングが発生し易くなる。
ステップS16の燃料ガスの噴射量の減少によって、特にシリンダ内の未燃混合気中の燃料濃度を低くすることができ、第jシリンダ2についてノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができる。
これと共に、エンジンコントローラ40は、パイロット燃料噴射弁ドライバ30を作動させて、第jシリンダ2のパイロット燃料噴射弁20のパイロット燃料噴射時期を遅延させる(ステップS18)。このパイロット燃料噴射時期の遅延により混合気の着火時期が遅れ、特にシリンダ内の圧力上昇が抑えられて、未燃混合気の温度上昇が抑制される。これによっても、第jシリンダ2についてノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができる。
このように、本実施の形態では、第jシリンダ2について上述の燃料ガス噴射弁18の開弁期間の減少と、上述のパイロット燃料噴射時期の遅延とを同時に行なうから、第jシリンダ2についてのノッキングの発生をさらに確実に防止することができる。
この一方、エンジンコントローラ40は、全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmから第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjを差し引いた差値(Fm−Fj)が、上述の閾値F1を超える場合には、燃料ガス噴射弁ドライバ32を作動させて第jシリンダ2の燃料ガス噴射弁18の開弁期間を増加させ、吸入空気に混合させる燃料ガスの噴射量を増加させる(ステップS16)。また、パイロット燃料噴射弁ドライバ30を作動させて、第jシリンダ2のパイロット燃料噴射弁20のパイロット燃料噴射時期を早める(ステップS18)。
これは、第jシリンダ2について、その評価ノッキング頻度Fjが他のシリンダに比べて小さくノッキングの発生の可能性が特に低いと考えられる場合には、エンジンコントローラ40が第jシリンダ2の燃料ガスの噴射量を増加させ、第jシリンダ2のパイロット燃料噴射弁20のパイロット燃料噴射時期を早めることにより、各シリンダ2の間のバランスを調節するようにしたためである。これにより、上記平均値Fmを常に適正に維持することができる。
なお、この全シリンダの評価ノッキング頻度の平均値Fmから第jシリンダ2の評価ノッキング頻度Fjを差し引いた差値(Fj−Fm)を評価するための閾値は、必ずしも上述の閾値F1に限定されるものではなく、より適切な任意の閾値F3(所定頻度)を用いてよいことは勿論である。
ステップS14の判定結果が否定の場合、及び、上述のステップS16及びS18を実行した場合には、上述の評価ノッキング発生回数Kn及びサイクル数Cをリセットし、ともに零とする(ステップS20)。この後、再び上述のステップS2以降を繰り返す。
このように、本発明のガスエンジンのノッキング制御装置によれば、エンジンコントローラ40は、評価ノッキング頻度に関する数値である(Fj−Fm)が所定頻度F1を超えるとき、又は、評価ノッキング頻度に関する数値であるFjそのものが所定頻度F2を超えるときに、シリンダ2毎にノッキングの発生を事前に防止するための措置を採るから、ノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができ、ガスエンジンの安定的かつ高効率な運転を行なうことができる。
なお、本発明は上述の一実施の形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述のガスエンジン1はパイロット燃料噴射弁20を有し、このパイロット燃料噴射弁20の噴射時期を遅らせることにより、ノッキングの発生を事前に防止するものである。
しかしながら、ガスエンジンには火花点火方式を採るものがあり、この火花点火方式のガスエンジンについては、上述のステップS18において火花点火時期を遅らせることにより混合気の着火時期が遅れ、シリンダ2内の圧力上昇が抑えられて、未燃混合気の温度上昇が抑制される。これにより、ノッキングの発生を事前にかつ確実に防止することができる。
この一方、他のシリンダ2に比べてノッキングの発生の可能性が低い場合には、火花点火時期を早める措置をとり、各シリンダ2の間のバランスを調節する。その他は、上述のパイロット燃料噴射弁20を有するガスエンジン1の場合と同様である。
また、上述の評価ノッキング頻度の平均値Fmは、必ずしも全シリンダ2の評価ノッキング頻度の平均値である必要はなく、特定の複数のシリンダの評価ノッキング頻度の平均値であってもよい。
さらに、本発明のガスエンジンのノッキング制御装置と共に、ノッキングが実際に発生したときにこれを早期に検出してノッキング防止措置を採る従来のガスエンジンのノッキング制御装置を、同時に実施するものであってもよいことは勿論である。
本発明のガスエンジンのノッキング制御装置を実施するための最良の形態を示す模試図である。 図1のガスエンジンのノッキング制御装置の作動を示すフローチャートの前部である。 図2のフローチャートの後部である。
符号の説明
1 ガスエンジン
2 シリンダ
4 吸気弁
6 吸気管
8 排気弁
10 排気管
12 吸気主管
14 燃料ガス管
16 燃料ガス主管
18 燃料ガス噴射弁
20 パイロット燃料噴射弁
22 燃料管
24 コモンレール
26 ノックセンサ
28 燃焼診断ユニット
30 パイロット燃料噴射弁ドライバ
32 燃料ガス噴射弁ドライバ
40 エンジンコントローラ
C サイクル数
Co 所定サイクル数
Fj 評価ノッキング頻度
Fm 評価ノッキング頻度平均値
F1,F2 閾値(所定頻度)
k ノック度
ko 閾値(所定ノック度)
Kn 評価ノッキング発生回数

Claims (7)

  1. ノッキングの度合いであるノック度(k)をシリンダ(2)毎に検出するノック度検出手段(26,28)と、前記ノック度検出手段が検出した前記ノック度が所定ノック度(ko)を超える頻度である評価ノッキング頻度(Fj)を計算するコントローラ(40)と、前記コントローラの指示に基づいてシリンダ毎に前記ノッキングの発生を防止するための措置を行なうことができるノッキング防止手段(18,32,20,30)とを備えたガスエンジン(1)のノッキング制御装置において、前記コントローラは、前記評価ノッキング頻度に関する数値が所定頻度(F1,F2,F3)を超えるときに前記ノッキング防止手段に対してシリンダ毎に前記ノッキングの発生を防止するための措置を採らせることを特徴とするガスエンジンのノッキング制御装置。
  2. 前記ノッキング防止手段は、シリンダ(2)毎に燃料のガス噴射量を調節することができるガス噴射量調節機構(18,32)を備え、前記コントローラ(40)は、前記評価ノッキング頻度(Fj)を前記数値として前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度(F2)を超えているときに前記ガス噴射量調節機構に対して前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度を超えているシリンダの前記ガス噴射量を減少させるように指示することを特徴とする請求項1に記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
  3. 前記エンジン(1)は、複数の前記シリンダ(2)を有し、前記ノッキング防止手段は、シリンダ毎に燃料のガス噴射量を調節することができるガス噴射量調節機構(18,32)を備え、前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記評価ノッキング頻度から前記平均値を差し引いた差値を前記数値として前記差値が前記所定頻度(F1)を超えているときに前記ガス噴射量調節機構に対して前記差値が前記所定頻度を超えているシリンダの前記ガス噴射量を減少させるように指示することを特徴とする請求項1に記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
  4. 前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記平均値から前記評価ノッキング頻度を差し引いた差値が前記所定頻度(F1,F3)を超えているときに前記ガス噴射量調節機構に対して前記差値が前記所定頻度を超えているシリンダの前記ガス噴射量を増加させるように指示することを特徴とする請求項3に記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
  5. 前記ガスエンジンは、パイロット燃料着火方式のガスエンジン(1)であり、前記ノッキング防止手段は、パイロット燃料噴射時期を調節するパイロット燃料噴射時期調節機構(20,30)を備え、前記コントローラ(40)は、前記評価ノッキング頻度(Fj)を前記数値として前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度(F2)を超えているときに前記パイロット燃料噴射時期調節機構に対して前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度を超えているシリンダの前記パイロット燃料噴射時期を遅らすように指示する、
    又は、
    前記ガスエンジンは、火花点火方式のガスエンジンであり、前記ノッキング防止手段は、火花点火時期を調節する火花点火時期調節機構を備え、前記コントローラ(40)は、前記評価ノッキング頻度(Fj)を前記数値として前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度(F2)を超えているときに前記火花点火時期調節機構に対して前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度を超えているシリンダの前記火花点火時期を遅らすように指示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
  6. 前記エンジン(1)は、複数の前記シリンダ(2)を有するパイロット燃料着火方式のガスエンジン(1)であり、前記ノッキング防止手段は、パイロット燃料噴射時期を調節するパイロット燃料噴射時期調節機構(20,30)を備え、前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記評価ノッキング頻度から前記平均値を差し引いた差値を前記数値として前記差値が前記所定頻度(F1)を超えているときに前記パイロット燃料噴射時期調節機構に対して前記差値が前記所定頻度を超えているシリンダの前記パイロット燃料噴射時期を遅らすように指示する、
    又は、
    前記ガスエンジンは、火花点火方式のガスエンジンであり、前記ノッキング防止手段は、火花点火時期を調節する火花点火時期調節機構を備え、前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記評価ノッキング頻度から前記平均値を差し引いた差値を前記数値として前記差値が前記所定頻度(F1)を超えているときに前記火花点火時期調節機構に対して前記評価ノッキング頻度が前記所定頻度を超えているシリンダの前記火花点火時期を遅らすように指示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
  7. 前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記平均値から前記評価ノッキング頻度を差し引いた差値が前記所定頻度(F1,F3)を超えるときに前記パイロット燃料噴射時期調節機構に対して前記差値が前記所定頻度を超えているシリンダの前記パイロット燃料噴射時期を早めるように指示する、
    又は、
    前記コントローラ(40)は、前記複数のシリンダの前記評価ノッキング頻度(Fj)の平均値(Fm)を計算すると共に前記平均値から前記評価ノッキング頻度を差し引いた差値が前記所定頻度(F1,F3)を超えるときに前記火花点火時期調節機構に対して前記差値が前記所定頻度を超えているシリンダの前記火花点火時期を早めるように指示することを特徴とする請求項6に記載のガスエンジンのノッキング制御装置。
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