JP2007216850A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 現在一般的に用いられているX配管構造を有する車両にそのまま適用可能なブレーキバイワイヤシステムを提供する。
【解決手段】 マスタシリンダと、車両各輪に設けられたホイルシリンダと、前記マスタシリンダとは別途設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を制御する油圧アクチュエータと、運転者のブレーキ操作量に基づき、前記油圧アクチュエータを制御する制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記油圧アクチュエータは、それぞれ第1、第2の液圧源を備えた第1、第2の油圧アクチュエータから構成され、前記第1の油圧アクチュエータは、前記第1の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち左前輪および右後輪の液圧を制御し、前記第2の油圧アクチュエータは、前記第2の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち右前輪および左後輪の増減圧を行うこととした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ホイルシリンダ内の液圧を制御することで制動力を得るブレーキ制御装置に関し、特にブレーキバイワイヤ制御を行うブレーキ制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載のブレーキ制御装置にあっては、ブレーキペダルとホイルシリンダとを遮断し、ストロークセンサおよびマスタシリンダ圧センサの検出値に基づき目標ホイルシリンダ圧を演算する。この目標ホイルシリンダ圧に基づきポンプと接続するモータおよび電磁弁を駆動することにより、所望のホイルシリンダ圧を得ている。
特開2002−187537号公報
ここで、現在ではいわゆるX配管構造が主流であるが、X配管は対角輪(FL−RRまたはFR−RL)同士を配管によって接続し、それぞれの系を独立の液圧源(タンデム型マスタシリンダ等)によって増圧することにより、一方の対角輪側が失陥した場合であっても他方の対角輪が制動力を発生させるものである。そのため液圧源の数は2つであることが前提となっている。
しかしながら上記従来技術にあっては、液圧源の数はアキュムレータ1つのみであり、そもそもX配管構造とすることができない。このため、ブレーキバイワイヤシステムを搭載する場合、従来のX配管構造を有する車両にそのまま適用することができず、新たに設計をせざるを得なかった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、現在一般的に用いられているX配管構造を有する車両にそのまま適用可能なブレーキバイワイヤシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、マスタシリンダと、車両各輪に設けられたホイルシリンダと、前記マスタシリンダとは別途設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を制御する油圧アクチュエータと、運転者のブレーキ操作量に基づき、前記油圧アクチュエータを制御する制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記油圧アクチュエータは、それぞれ第1、第2の液圧源を備えた第1、第2の油圧アクチュエータから構成され、前記第1の油圧アクチュエータは、前記第1の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち左前輪および右後輪の液圧を制御し、前記第2の油圧アクチュエータは、前記第2の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち右前輪および左後輪の増減圧を行うこととした。
よって、現在一般的に用いられているX配管構造を有する車両にそのまま適用可能なブレーキバイワイヤシステムを提供できる。
以下、本発明の車両のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
[システム構成]
実施例1につき図1ないし図5に基づき説明する。図1は実施例1におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。実施例1におけるブレーキ制御装置は4輪ブレーキバイワイヤシステムであり、運転者によるブレーキペダルBPの操作とは独立して液圧を制御する2つの第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を備えている。
この第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はメインECU300からの指令に基づき第1、第2サブECU100,200により駆動される。ブレーキペダルBPはマスタシリンダM/Cと接続するストロークシミュレータS/SVにより反力を付与される。
第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はそれぞれ油路A1,A2によりマスタシリンダM/Cと接続し、油路B1,B2によりリザーバRSVと接続する。油路A1,A2には第1、第2M/C圧センサMC/Sen1,MC/Sen2が設けられている。
また、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2は、それぞれポンプP1,P2、モータM1,M2、および電磁弁を備え(図2参照)、それぞれ独立して液圧を発生させる油圧アクチュエータである。第1液圧ユニットHU1はFL,RR輪の液圧制御を行い、第2液圧ユニットHU2はFR,RL輪の液圧制御を行う。
すなわち、2つの液圧源であるポンプP1,P2によって、ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を直接増圧する。アキュムレータを用いずに直接ポンプP1,P2によってホイルシリンダW/Cを増圧するため、故障時にアキュムレータ内のガスが油路内にリークすることがない。また、ポンプP1はFL,RR輪、ポンプP2はFR,RL輪を増圧することにより、いわゆるX配管を構成する。
第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はそれぞれ別体に設けられている。別体とすることで、一方の液圧ユニットにリークが発生した場合であっても、他方のユニットにより制動力を確保するものである。なお、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を一体に設け、電気回路構成を1箇所に集約してハーネス等を短縮し、レイアウトを簡素化することとしてもよく、特に限定しない。
ここで、装置のコンパクト性を追求するためには液圧源の数は少ないほうが望ましいが、従来例のように液圧源が1つの場合、液圧源フェールの際にバックアップが存在しないこととなる。一方、液圧源を各輪に設けて4つとした場合、フェールに対しては有利であるが、装置が大型化して制御も困難となってしまう。とりわけ、ブレーキバイワイヤ制御には冗長系を組むことが必須であるが、液圧源の増大に伴ってシステムが発散するおそれがある。
また、現在では車両のブレーキ油路はX配管が一般的であるが、X配管は対角輪(FL−RRまたはFR−RL)同士を油路によって接続し、それぞれの系を独立の液圧源(タンデム型マスタシリンダ等)によって増圧する。これにより、一方の対角輪側が失陥した場合であっても他方の対角輪が制動力を発生させることで、失陥時における制動力が左右いずれかに偏ることを回避するものであり、液圧源の数は2つであることが前提となっている。
このため、従来例のように液圧源の数が1つの場合、そもそもX配管の構成をとることはできない。液圧源が3つまたは4つの場合であっても、同一液圧源により対角輪同士を接続することはできないため、X配管を観念する余地はない。
したがって本願実施例では、現在普及しているX配管構造を変更することなく耐フェール性を向上させるため、それぞれ液圧源としてポンプP1,P2を有する液圧ユニットHU1,HU2を設けて液圧源2重系をとることとする。
また、車両制動時には前輪荷重が大きいため後輪制動力はさほど期待できず、加えて後輪制動力が大きいとスピンするおそれがある。そのため、前後輪の制動力配分は一般的に前輪のほうが大きく、例えば前輪2に対し後輪1である。
ここで、耐フェール性を高めるため液圧源を多重系として複数の液圧ユニットを搭載する場合であっても、コスト面からなるべく同一スペックの液圧ユニットを複数搭載することが望ましい。しかし、前後輪の制動力配分を考慮した場合、4輪全てに液圧源を設ける場合は前輪と後輪でスペックの異なる液圧ユニットを2つずつ用意しなければならず、高コストとなる。液圧源を3つとする場合であっても、前後輪の制動力配分が異なる以上同様の問題が発生する。
したがって本願実施例では、2つの液圧ユニットHU1,HU2をX配管構造とし、液圧ユニットHU1,HU2の油圧回路において前輪FL,FRの液圧と後輪RL,RRの液圧が2:1になるようバルブ開度等を予め設定することとする。このように同一スペックの液圧ユニットHU1,HU2を2つ搭載することにより、低コストな液圧源2重系を達成しつつ前後輪制動力配分を2:1とするものである。
[メインECU]
メインECU300は各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2が発生する目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算する上位CPUである。このメインECU300は第1、第2電源BATT1,BATT2に接続してBATT1,BATT2のいずれかが正常であれば作動するよう設けられ、イグニッション信号IGNにより、またはCAN3により接続する他のコントロールユニットCU1〜CU6からの起動要求により起動する。
メインECU300には第1、第2ストロークセンサS/Sen1、S/Sen2からストローク信号S1,S2、第1、第2M/C圧センサMC/Sen1,MC/Sen2からM/C圧Pm1、Pm2が入力される。
また、メインECU300には車輪速VSPおよびヨーレイトY、前後加速度Gも入力される。さらに、リザーバRSVに設けられた液量センサL/Senの検出値が入力され、ポンプ駆動によるブレーキバイワイヤ制御を実行可能であるかが判断される。また、ストップランプスイッチSTP.SWからの信号により、ストローク信号S1,S2、およびM/C圧Pm1、Pm2によらずブレーキペダルBPの操作を検出する。
このメインECU300内には演算を行う2つの第1、第2CPU310,320が設けられている。第1、第2CPU310,320は、それぞれ第1、第2サブECU100,200とCAN通信線CAN1,CAN2によって接続され、第1、第2サブECU100,200を介して第1、第2CPU310,320にポンプ吐出圧Pp1,Pp2および実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrが入力される。このCAN通信線CAN1,CAN2は相互に接続されるとともに、バックアップ用に2重系が組まれている。
入力されたストローク信号S1,S2、M/C圧Pm1、Pm2、実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrに基づき、第1、第2CPU310,320は目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算し、CAN通信線CAN1,CAN2を介して各サブECU100,200へ出力する。
なお、第1CPU310において第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrをまとめて演算し、第2CPU320は第1CPU310のバックアップ用としてもよく特に限定しない。
また、メインECU300はこのCAN通信線CAN1,CAN2を介して各サブECU100,200の起動を行う。第1、第2サブECU100,200をそれぞれ独立して起動する信号を発するが、1つの信号で各サブECU100,200を同時に起動することとしてもよく特に限定しない。またイグニッションスイッチIGNにより起動することとしてもよい。
ABS(車輪のロック回避のため制動力を増減する制御),VDC(車両挙動が乱れた際に横滑りを防ぐため制動力を増減する制御)およびTCS(駆動輪の空転を抑制する制御)等の車両挙動制御時には、車輪速VSPおよびヨーレイトY、前後加速度Gも合わせて取り込んで目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrの制御を行う。VDC制御中にはブザーBUZZにより運転者に警告を発する。また、VDCスイッチVDC.SWにより制御のON/OFFを運転者の意思により切替可能となっている。
また、メインECU300はCAN通信線CAN3により他のコントロールユニットCU1〜CU6と接続し、協調制御を行う。回生ブレーキコントロールユニットCU1は制動力を回生して電力に変換し、レーダーコントロールユニットCU2は車間距離制御を行う。また、EPSコントロールユニットCU3は電動パワーステアリング装置のコントロールユニットである。
ECMコントロールユニットCU4はエンジンのコントロールユニット、ATコントロールユニットCU5は自動変速機のコントロールユニットである。さらに、メータコントロールユニットCU6は各メータを制御する。メインECU300に入力された車輪速VSPは、CAN通信線CAN3を介してECMコントロールユニットCU4、ATコントロールユニットCU5、メータコントロールユニットCU6へ出力される。
各ECU100,200,300の電源は第1、第2電源BATT1,BATT2である。第1電源BATT1はメインECU300および第1サブECU100に接続し、第2電源BATT2はメインECU300および第2サブECU200に接続する。
[サブECU]
第1、第2サブECU100,200はそれぞれ第1、第2液圧ユニットHU1,HU2と一体に設けられる。なお、車両レイアウトに合わせ別体としてもよい。
この第1、第2サブECU100,200には、メインECU300から出力された目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rr、および第1、第2液圧ユニットHU1,HU2からそれぞれポンプP1,P2の吐出圧Pp1,Pp2、各実ホイルシリンダ圧Pfl,PrrおよびPfr,Prlが入力される。
入力されたポンプ吐出圧Pp1,Pp2および実ホイルシリンダ圧Ffl〜Prrに基づき、目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを実現するよう各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2内のポンプP1,P2、モータM1,M2、および電磁弁を駆動して液圧制御を行う。なお、第1、第2サブECU100,200は各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2と別体であってもよい。
この第1、第2サブECU100,200は、一旦目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrが入力されると、新たな目標値が入力されるまでは前回入力値に収束するよう制御するサーボ制御系を構成している。
また、第1、第2サブECU100,200により電源BATT1,BATT2からの電力が第1、第2液圧ユニットHU1,HU2のバルブ駆動電流I1,I2およびモータ駆動電圧V1,V2に変換され、リレーRY11,12およびRY21,22を介して第1、第2液圧ユニットHU1,HU2へ出力される。
[液圧ユニットの目標値演算と駆動制御の分離]
本願のメインECU300は液圧ユニットHU1,HU2の目標値演算のみであり駆動制御は行わないが、仮にメインECU300が目標値演算と駆動制御の両方を行うものとした場合、CAN通信等により他のコントロールユニットとの協調制御に基づき液圧ユニットHU1,HU2に駆動指令を出力することとなる。
したがって、CAN通信線CAN3および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算が終了してから初めて目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrが出力されることとなるため、CAN通信線CAN3の通信速度および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算速度が遅い場合、ブレーキ制御も遅れてしまう。
また、車内の他の制御コントローラとの接続を行う通信線の速度を上げると高コストとなり、またノイズによる耐フェール性の低下を招くおそれがある。
そのため本願実施例では、ブレーキ制御におけるメインECU300の役割は液圧ユニットHU1,HU2の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrの演算に留め、油圧アクチュエータである液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御はサーボ制御系を有する第1、第2サブECU100,200により行うこととする。
これにより、液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御は第1、第2サブECU100,200に特化させ、他のコントロールユニットCU1〜CU6との協調制御はメインECU300に行わせることで、通信速度および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算速度に影響されずに行うことが可能となる。
したがって、ブレーキ制御系を他の制御系に対し独立させて制御することで、ハイブリッド車や燃料電池車で必須となっている回生協調ブレーキシステム、車両統合制御やITS等様々なユニットを付加した場合であっても、これらのユニットとの融合を円滑に行いつつ、ブレーキ制御の応答性を確保するものである。
とりわけ、本願のようなブレーキバイワイヤシステムにあっては、使用頻度の高い通常ブレーキ時においてブレーキペダル操作量に合わせた緻密な制御が要求される。そのため、本願のように液圧ユニットの目標値演算制御と駆動制御との分離はより有効となる。
[マスタシリンダおよびストロークシミュレータ]
ストロークシミュレータS/SVはマスタシリンダM/Cに内蔵され、ブレーキペダルBPの反力を発生させる。また、マスタシリンダM/CにはマスタシリンダM/CとストロークシミュレータS/SVとの連通/遮断を切り替える切替弁Can/Vが設けられている。
この切替弁Can/VはメインECU300により開弁/閉弁され、ブレーキバイワイヤ制御終了時やサブECU100,200の失陥時に速やかにマニュアルブレーキに移行可能となっている。また、マスタシリンダM/Cには第1、第2ストロークセンサS/Sen1,S/Sen2が設けられている。ブレーキペダルBPのストローク信号S1,S2がメインECU300に出力される。
[液圧ユニット]
図2、図3は液圧ユニットHU1,HU2の油圧回路図である。第1液圧ユニットHU1にはシャットオフバルブS.OFF/V、FL,RR輪インバルブIN/V(FL,RR)、FL,RR輪アウトバルブOUT/V(FL,RR)の各電磁弁、およびポンプP1、モータM1が設けられている。前輪FL,FRの液圧と後輪RL,RRの液圧が2:1になるよう、各バルブの開度等が予め設定されている。
ポンプP1の吐出側は油路C1(FL,RR)を介してそれぞれFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)と接続し、吸入側は油路B1を介してリザーバRSVと接続する。油路C1(FL,RR)はそれぞれ油路E1(FL,RR)を介して油路B1と接続する。
また、油路C1(FL)と油路E1(FL)の接続点I1は油路A1を介してマスタシリンダM/Cと接続する。さらに、油路C1(FL,RR)の接続点J1は油路G1を介して油路B1と接続する。
シャットオフバルブS.OFF/Vは常開電磁弁であり、油路A1上に設けられてマスタシリンダM/Cと接続点I1との連通/遮断を行う。
FL,RR輪インバルブIN/V(FL,RR)はそれぞれ油路C1,C1上に設けられた常閉比例弁であり、ポンプP1の吐出圧を比例制御してFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)に供給する。常閉とすることで、失陥時にマスタシリンダM/C圧PmがポンプP1側へ逆流することを防止する。
なお、インバルブIN/V(FL,RR)を常開とし、油路C1(FL,RR)上にポンプP1側への逆流防止用のチェック弁C/V(FL,RR)を設けて逆流を防止してもよい(図7参照)。常開とすることで、消費電力を低減するものである。
FL,RR輪アウトバルブOUT/V(FL,RR)はそれぞれ油路E1(FL,FR)上に設けられている。FL輪アウトバルブOUT/V(FL)は常閉比例弁であるが、RR輪アウトバルブOUT/V(RR)は常開比例弁となっている。また、油路G1上にはリリーフバルブRef/Vが設けられている。
第1液圧ユニットHU1とマスタシリンダM/Cとの間の油路A1には第1M/C圧センサMC/Sen1が設けられ、第1M/C圧Pm1をメインECU300へ出力する。また液圧ユニットHU1内であって油路C1(FL,FR)上にはFL,RR輪ホイルシリンダ圧センサWC/Sen(FL,RR)が設けられ、ポンプP1の吐出側にはポンプ吐出圧センサP1/Senが設けられてそれぞれの検出値Pfl,PrrおよびPp1を第1サブECU100へ出力する。
[通常ブレーキ]
(増圧時)
通常ブレーキ増圧時にはシャットオフバルブS.OFF/Vを閉弁、インバルブIN/V(FL,RR)を開弁、アウトバルブOUT/V(FL,RR)を閉弁し、モータMを駆動する。モータM1によりポンプP1が駆動されて吐出圧が油路C1(FL,FR)に供給され、インバルブIN/V(FL,RR)により液圧制御を行ってFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)に導入し、増圧を行う。
(減圧時)
通常ブレーキ減圧時にはインバルブIN/V(FL,RR)を閉弁、アウトバルブOUT/V(FL,RR)を開弁してホイルシリンダ圧をリザーバRSVに排出し、減圧を行う。
(保持時)
通常ブレーキ保持時にはインバルブIN/V(FL,RR)およびアウトバルブOUT/V(FL,RR)を全て閉弁し、ホイルシリンダ圧を保持する。
[マニュアルブレーキ]
システム失陥時等、マニュアルブレーキ時にはシャットオフバルブS.OFF/Vが開弁、インバルブIN/V(FL,RR)が閉弁される。したがってマスタシリンダ圧PmはRR輪ホイルシリンダW/C(RR)には供給されない。
一方、FL輪アウトバルブOUT/V(FL)は常閉であるため、マニュアル時には閉弁されてFL輪ホイルシリンダW/C(FL)にマスタシリンダ圧Pmが作用する状態となる。よって、運転者のペダル踏力によって増圧したマスタシリンダ圧PmをFL輪ホイルシリンダW/C(FL)に作用させ、マニュアルブレーキを確保する。
なお、マニュアルブレーキをRR輪にも作用させてもよいが、FL輪に加えRR輪のホイルシリンダ圧をペダル踏力により増圧する場合、運転者に与える踏力負荷が大きくなりすぎて現実的でない。したがって本願実施例では、第1液圧ユニットHU1においては制動力の大きいFL輪にのみマニュアルブレーキを作用させることとする。
このためRR輪アウトバルブは常開とされ、システム失陥時に速やかにRR輪ホイルシリンダW/C(RR)の残圧を排出させてRR輪のロックを回避することとする。
第2液圧ユニットHU2についても、回路構成および制御は同一である。第1液圧ユニットHU1と同様、FR輪アウトバルブOUT/V(FR)は常閉、RL輪アウトバルブOUT/V(RL)は常開とされてマニュアルブレーキはFR輪にのみ作用する。
[ブレーキバイワイヤ制御処理]
図4は、メインECU300および第1、第2サブECU100,200において実行されるブレーキバイワイヤ制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS101では第1、第2ストローク信号S1,S2を読み込み、ステップS102へ移行する。
ステップS102では第1、第2M/C圧Pm1,Pm2を読み込み、ステップS103へ移行する。
ステップS103ではメインECU300の第1、第2CPU310,320において第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算し、ステップS104へ移行する。
ステップS104ではメインECU300から第1、第2サブECU100,200へ目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを送信し、ステップS105へ移行する。
ステップS105では第1、第2サブECU100,200が目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを受信し、ステップS106へ移行する。
ステップS106では第1、第2サブECU100,200が第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を駆動して実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrを制御し、ステップS107へ移行する。
ステップS107では第1、第2サブECU100,200が実ホイルシリンダ圧Pfl〜PrrをメインECU300へ送信し、ステップS108へ移行する。
ステップS108ではメインECU300が各実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrを受信し、ステップS101へ戻る。
[ストロークシミュレータ切替弁開閉制御]
図5は、メインECU300において実行されるストロークシミュレータS/SVの切替弁Can/Vの開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS201では第1、第2ストローク信号S1,S2を読み込み、ステップS202へ移行する。
ステップS202では第1、第2M/C圧センサ値Pm1,Pm2を読み込み、ステップS203へ移行する。
ステップS203では読み込んだストローク信号S1,S2およびPm1,Pm2に基づき運転者によるブレーキ要求が有るかどうかを判断し、YESであればステップS204へ移行し、NOであればステップS209へ移行する。
ステップS204では切替弁Can/Vを閉弁し、ステップS205へ移行する。
ステップS205では図4のブレーキバイワイヤ制御を実行し、ステップS206へ移行する。
ステップS206では第1、第2ストローク信号S1,S2を読み込み、ステップS207へ移行する。
ステップS207では第1、第2M/C圧センサ値Pm1,Pm2を読み込み、ステップS208へ移行する。
ステップS208では読み込んだストローク信号S1,S2およびPm1,Pm2に基づき運転者によるブレーキ要求が有るかどうかを判断し、YESであればステップS205へ移行し、NOであればステップS209へ移行する。
ステップS209では切替弁Can/Vを開弁し、ステップS201へ戻る。
[本願実施例の効果]
(1)本願実施例では、油圧アクチュエータとしてそれぞれ第1、第2の液圧源P1,P2を備えた第1、第2液圧ユニットHU1,HU2から構成され、第1液圧ユニットHU1は、第1の液圧源P1によってFL輪およびRR輪の液圧を制御し、第2液圧ユニットHU2は、第2の液圧源P2によってFR輪およびRL輪の増減圧を行うこととした。これにより、従来のX配管構造を有する車両に本願ブレーキ制御装置をそのまま適用することにより、ブレーキバイワイヤシステム車両を容易に提供することができる。
(2)第1、第2の液圧源P1,P2はそれぞれ第1、第2ポンプP1,P2
であって、ホイルシリンダW/C(FL〜RR)は、この第1、第2ポンプP1,P2によって直接増圧されることとした。これにより、アキュムレータを用いることなくホイルシリンダW/C(FL〜RR)の増圧を可能とし、アキュムレータのガスが油路内に混入するといった故障を回避することができる。また、アキュムレータを搭載しないため、省スペース化を図ることができる。
(3)第1、第2液圧ユニットHU1,HU2は、それぞれ別体のユニットとした。これにより、一方の液圧ユニットにリークが発生した場合であっても、他方のユニットにより制動力を確保することができる。
(4)第1、第2液圧ユニットHU1,HU2は、一体のユニットとした。これにより、電気回路構成を1箇所に集約してハーネス等を短縮し、レイアウトを簡素化することができる。
(5)第1、第2液圧ユニットHU1,HU2には、それぞれ第1、第2電源B1,B2が供給されることとした。電源B1,B2のいずれかが失陥した場合であっても液圧ユニットHU1,HU2のいずれかを駆動することにより、制動力を確保することができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、図6に示すように、回生協調ブレーキシステム、ITS等様々な制御を行う統合コントローラ600を設けた場合であっても、ブレーキ制御系を他の制御系に対し独立させて制御を行っているため、ブレーキ制御系に特別の処置を施すことなく統合コントローラ600を容易に融合させることができる。
本願実施例1ではインバルブ13,14および23,24を常閉弁としたが、図7に示すように、インバルブ13,14および23,24を常開弁として油路10a,10b上にはポンプP1側への逆流防止用のチェック弁17,18を設け、ポンプ側への逆流を防止してもよい。インバルブ13,14によらずチェック弁により逆流を防止することで、消費電力を低減できる。
本願ブレーキ制御装置のシステム構成図である。 第1液圧ユニットの油圧回路図である。 第2液圧ユニットの油圧回路図である。 ブレーキバイワイヤ制御処理の流れを示すフローチャートである。 ストロークシミュレータ切替弁の開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。 本願ブレーキ制御装置のシステムに統合コントローラを融合させた例である。 インバルブを常開とし、チェックバルブによってポンプ側への逆流を防止する例である。
符号の説明
100,200 第1、第2サブECU
300 メインECU
310,320 第1、第2CPU
600 統合コントローラ
A〜G 油路
I,J 接続点
BP ブレーキペダル
BATT1,BATT2 第1、第2電源
BUZZ ブザー
C/V チェック弁
Can/V 切替弁
CAN1〜CAN3 CAN通信線
CU1 回生ブレーキコントロールユニット
CU2 レーダーコントロールユニット
CU3 EPSコントロールユニット
CU4 ECMコントロールユニット
CU5 ATコントロールユニット
CU6 メータコントロールユニット
HU1,HU2 第1、第2液圧ユニット
L/Sen 液量センサ
IGN.SW イグニッションスイッチ
IN/V インバルブ
M1,M2 第1、第2モータ
M/C マスタシリンダ
MC/Sen1,2 マスタシリンダ圧センサ
OUT/V アウトバルブ
P1,P2 第1、第2ポンプ
P1/Sen,P2/Sen ポンプ圧吐出圧センサ
Ref/V リリーフバルブ
RSV リザーバ
RY11〜22 リレー
S.OFF/V シャットオフバルブ
S/Sen1,S/Sen2 ストロークセンサ
S.SV ストロークシミュレータ
STP.SW ストップランプスイッチ
VDC.SW VDCスイッチ
W/C ホイルシリンダ
WC/Sen(FL〜RR) ホイルシリンダ圧センサ

Claims (6)

  1. マスタシリンダと、
    車両各輪に設けられたホイルシリンダと、
    前記マスタシリンダとは別途設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を制御する油圧アクチュエータと、
    運転者のブレーキ操作量に基づき、前記油圧アクチュエータを制御する制御手段と
    を備えたブレーキ制御装置において、
    前記油圧アクチュエータは、それぞれ第1、第2の液圧源を備えた第1、第2の油圧アクチュエータから構成され、
    前記第1の油圧アクチュエータは、前記第1の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち左前輪および右後輪の液圧を制御し、
    前記第2の油圧アクチュエータは、前記第2の液圧源によって前記ホイルシリンダのうち右前輪および左後輪の増減圧を行うこと
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1、第2の液圧源はそれぞれ第1、第2のポンプであって、
    前記ホイルシリンダは、前記第1、第2のポンプによって直接増圧されること
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1、第2の油圧アクチュエータは、それぞれ別体のユニットであること
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1、第2の油圧アクチュエータは、一体のユニットであること
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1、第2の油圧アクチュエータには、それぞれ第1、第2の電源が供給されること
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1、第2の液圧源の吐出側と前記ホイルシリンダとの間に常開弁を設け、
    前記常開弁と前記第1、第2の液圧源との間に、前記常開弁側への流れのみを許容する一方向弁を設けたこと
    を特徴とするブレーキ制御装置。
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