JP2007203892A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブレーキペダルのキックバックを確実に抑制したブレーキ液圧制御装置を提供する。
【解決手段】 マスタシリンダとホイルシリンダとを連通/遮断する切替手段と、車両の状態に基づき、油圧アクチュエータ、液圧源、および切替手段を制御する制御手段とを備えたブレーキ液圧制御装置において、制御手段は、油圧アクチュエータによってホイルシリンダの液圧を制御する場合、切替手段を遮断し、マスタシリンダによってホイルシリンダを増圧する場合、切替手段を連通し、ホイルシリンダの液圧を、液圧源によって制御する状態からマスタシリンダによって増圧する状態に移行する場合、切替手段を徐々に連通することにより、マスタシリンダとホイルシリンダとを徐々に連通することとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ホイルシリンダ内の液圧を制御することで制動力を得るブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載される技術にあっては、通常時にはマスタシリンダとホイルシリンダとをカット弁(電磁弁)により遮断し、アキュムレータ圧によってホイルシリンダを増圧している。一方、失陥時にはカット弁を開弁することによりマスタシリンダとホイルシリンダとを連通し、マニュアルブレーキを確保している。また、失陥時にはホイルシリンダと接続するリニア制御弁(比例電磁弁)は閉弁され、マスタシリンダ圧を全てホイルシリンダに導入する構成となっている。
ここで、通常ブレーキからマニュアルブレーキに切り替える際、カット弁の開弁と同時にリニア制御弁が閉弁されるとホイルシリンダ内の残圧が逃げ場を失って急激にマスタシリンダに作用し、ペダルキックバックを生じてしまう。そのため特許文献1の技術にあっては、通常ブレーキからマニュアルブレーキに切り替える際には、まずリニア制御弁を閉弁してからカット弁を開弁することで、マスタシリンダへのキックバックを低減している。
特開平10−287227号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、マニュアルブレーキ切替直前まで通常増圧を行っていた場合、ホイルシリンダには高い残圧が残っているため、リニア弁閉弁タイミングとカット弁開弁タイミングをずらしたとしても、カット弁開弁に伴って残圧がマスタシリンダに逆流してしまう。そのため、ブレーキペダルのキックバックは解消されない、という問題があった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ブレーキペダルのキックバックを確実に抑制したブレーキ液圧制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、マスタシリンダと、車両各輪に設けられたホイルシリンダと、前記マスタシリンダとは別途設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を制御する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータ内に設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を増圧する液圧源と、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを連通/遮断する切替手段と、前記車両の状態に基づき、前記油圧アクチュエータ、前記液圧源、および前記切替手段を制御する制御手段とを備えたブレーキ液圧制御装置において、前記制御手段は、前記油圧アクチュエータによって前記ホイルシリンダの液圧を制御する場合、前記切替手段を遮断し、前記マスタシリンダによって前記ホイルシリンダを増圧する場合、前記切替手段を連通し、前記ホイルシリンダの液圧を、前記液圧源によって制御する状態から前記マスタシリンダによって増圧する状態に移行する場合、前記切替手段を徐々に連通することにより、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを徐々に連通することとした。
よって、ホイルシリンダ圧がマスタシリンダへ急激に逆流することを回避し、ブレーキペダルのキックバックを確実に抑制したブレーキ液圧制御装置を提供できる。
以下、本発明の車両のブレーキ液圧制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[システム構成図]
実施例1につき図1ないし図4に基づき説明する。図1はブレーキ液圧制御装置のシステム構成図である。本願車両のブレーキ液圧制御装置はいわゆるブレーキバイワイヤシステムであり、前輪には液圧ブレーキ装置を備える一方、後輪側は油圧を用いず電気的にブレーキ制御を行う方式を採用しているが、後輪側も油圧により制動力を得ることとしてもよく特に限定しない。
マスタシリンダM/CにはストロークセンサS/Sen及びストロークシミュレータS/Simが設けられている。ブレーキペダルBPの踏み込みに伴ってマスタシリンダM/C内に液圧が発生するとともに、ブレーキペダルBPのストロークSがコントロールユニット1(制御手段)に出力される。
発生したマスタシリンダ圧は油路A(FL,FR)を介して液圧ユニットHU(油圧アクチュエータ)に供給され、液圧制御が施された後油路D(FL,FR)を介してキャリパ5内のホイルシリンダW/C(FL,FR)に供給される。
コントロールユニット1はメインECU300およびサブECU100を有する。メインECU300はストロークSに基づき車速やヨーレイトなど車両の状態量を考慮してFL,FR輪目標ホイルシリンダ圧P*fl,P*frを演算するとともに、制動時には回生ブレーキ装置9により前輪を制動する。
サブECU100は、入力された目標液圧に基づき液圧ユニットHUへ指令信号を出力してホイルシリンダW/C(FL,FR)の液圧を制御する。後輪側ブレーキアクチュエータ6はメインECU300からの指令信号に基づいて電動キャリパ7の制動力を制御する。
メインECU300およびサブECU100の電源は共通の電源BATTであり、液圧ユニットHUにはサブECU100を介して電圧V、電流Iが供給される。液圧ユニットHUからサブECU100には第1、第2マスタシリンダ圧Pm1,Pm2、FL,FR輪実ホイルシリンダ圧Pfl,Pfrおよびポンプ吐出圧Ppが出力される。
メインECU300およびサブECU100はCAN通信線CANにより相互通信可能に接続され、互いにFL,FR輪ホイルシリンダ圧の目標値P*fl,P*frおよび実際値Pfl,Pfrを共有する。また、ポンプPの吐出圧Pp、第1、第2マスタシリンダ圧センサMC/Sen1,2(図2参照)の検出値Pm1,Pm2も共有する。
液圧ユニットHUは、ブレーキバイワイヤ制御における制動時はマスタシリンダM/CとホイルシリンダW/C(FL,FR)との連通をシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)(切替弁 図2参照)により遮断する。一方、ポンプP(液圧源)によりホイルシリンダW/C(FL,FR)に液圧を供給し、制動力を発生する。
また、運転者の急制動操作により車輪がロック傾向となった場合、インバルブIN/V(FL,FR)(増圧電磁弁 図2参照)を駆動してポンプP側からホイルシリンダW/C(FL,FR)への液圧の供給を遮断する。
そして、アウトバルブOUT/V(FL,FR)(減圧電磁弁 図2参照)を適宜駆動することで、ホイルシリンダW/C(FL,FR)内の液圧を減圧し、車輪のロックを回避しつつ制動力を得る。また、ブレーキバイワイヤ機能故障時には、マスタシリンダ圧をホイルシリンダW/C(FL,FR)に液圧を供給し、制動力を得る。
メインECU300は電圧Vを検出し、液圧ユニットHU内のモータM、インバルブIN/V(FL,FR)、およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)(図2参照)の最低作動電圧Va以下となった場合、マニュアルブレーキ切替準備制御を実行するようサブECU100に指令を出力する。
電源BATTの電圧Vが低下してブレーキバイワイヤ制御からマニュアルブレーキに移行する際、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/C(FL,FR)とが急激に連通されるとブレーキペダルBPにキックバックが生じるため、マニュアルブレーキ切替準備制御を行ってキックバックを抑制するものである。
なお、本実施例では後輪側ブレーキアクチュエータ6にマスタシリンダ圧を供給する油路構成を備えていない。すなわち、後輪は前輪に比べて制動力が小さく(一般的に前輪と後輪の制動力比は7:3程度)、フェールに陥ったとしても前輪のみで十分な制動力を確保できるためである。
[液圧ユニットの油圧回路図]
図2は、液圧ユニットHUの油圧回路図である。液圧ユニットHUはいわゆるタンデム型ユニットであり、FL輪ホイルシリンダW/C(FL)に接続するP系統と、FR輪ホイルシリンダW/C(FR)に接続するS系統を有する。
左右のFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)はともに同一のポンプPと接続する。このポンプPはギヤポンプであり、モータMによって駆動される。モータMはメインECU300により制御される。
マスタシリンダM/Cは油路A(FL,FR)、常開電磁弁であるシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)、接続点I(FL,FR)、及び油路D(FL,FR)を介してホイルシリンダW/Cへ接続する。実施例1ではシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)をON/OFF弁とするが、比例弁としてもよい。
ポンプPの吸入側は油路Bを介してリザーバRSVと接続され、吐出側の油路Fは接続点Jを介して油路C(FL,FR)と接続される。マスタシリンダM/Cには運転者の踏力を検出するストロークセンサS/Sen及びストロークシミュレータS/Simが設けられて検出信号をメインECU300へ出力する。
油路C(FL,FR)には常開比例弁であるインバルブIN/V(FL,FR)が設けられ、それぞれ油路E(FL,FR)と接続する。油路E(FL,FR)には常閉比例弁であるアウトバルブOUT/V(FL,FR)が設けられ、油路Bと接続する。
また、油路C(FL,FR)にはポンプPからインバルブIN/V(FL,FR)への流れのみを許容するチェック弁C/V(FL,FR)が設けられている。さらに、油路C(FL,FR)と油路Bとを接続する油路Gには、過剰吐出圧をリザーバRSVへ逃がすリリーフバルブRef/Vが設けられている。
油路A(FL,FR)であってマスタシリンダM/CとシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の間には、第1、第2マスタシリンダ圧センサMC/Sen1,MC/Sen2が設けられ、第1、第2マスタシリンダ圧Pm1,m2をメインECU300へ出力する。
また、油路D(FL,FR)にはFL,FR輪ホイルシリンダ圧センサWC/Sen(FL,FR)が設けられ、油路Fにはポンプ吐出圧センサP/Senが設けられている。検出されたFL,FR実ホイルシリンダ圧Pfl,Pfr、およびポンプ吐出圧PpはサブECU100へ出力される。
なお、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の最低作動電圧Vbは、モータM、インバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Vaよりも小さく設けられている。
すなわち、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)のコイル巻数N1はインバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)のコイル巻数N2よりも大きく、少ない電圧でより大きな励磁力を発生させることが可能となっている。
失陥時に確実にマスタシリンダM/CとホイルシリンダW/C(FL,FR)を連通してマニュアルブレーキを確保するためには、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を常開とせざるを得ない。そのため通常のブレーキバイワイヤ時にはシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を閉弁する必要がある。
したがってシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)のコイル巻数N1を大きくし、励磁力を確保しつつ消費電流を低減するものである。小電流で励磁させることで、耐久性をも向上させている。
一方、インバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)は、ブレーキバイワイヤ制御時、かつ増減圧時の限られた時間でしか使用されないため、大電流を流しても消費電流はさほど大きくならない。
また、インバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の応答性はそのまま制動力の応答性となって現れるため、大電流を流して励磁力を確保する。さらに、大電流が許容されることでコイル巻数N2を小さく設定して小型化を達成するものである。
(増圧時)
増圧時には、ポンプPにより油路Bを介してリザーバRSVから作動油を汲み出し、常開のインバルブIN/V(FL,FR)を介してホイルシリンダW/Cを増圧する。
このとき常開のシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)は閉弁され、マスタシリンダ圧PmがホイルシリンダW/C(FL,FR)に導入されないものとしている。また、アウトバルブOUT/V(FL,FR)も閉弁され、ホイルシリンダW/C(FL,FR)とリザーバRSVとを遮断する。
(減圧時)
減圧時にはポンプPを停止し、アウトバルブOUT/V(FL,FR)を開弁する。常開のシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)は閉弁とする。これによりホイルシリンダW/Cは油路D(FL,FR)、油路E(FL,FR)、油路Bを介してリザーバRSVと連通し、ホイルシリンダW/C(FL,FR)の減圧が行われる。
(保持時)
保持時にはポンプPを停止し、チェック弁C/V(FL,FR)によりインバルブIN/V(FL,FR)の開/閉によらずポンプP側への逆流を回避する。また、アウトバルブOUT/V(FL,FR)、及びシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を閉弁とする。これによりホイルシリンダW/C(FL,FR)はマスタシリンダM/C及びリザーバRSVとの連通を遮断され、液圧が保持される。
なお、実施例1ではインバルブIN/V(FL,FR)を常開としたためチェック弁C/V(FL,FR)によって逆流を防止するが、インバルブIN/V(FL,FR)を常閉とすることでチェック弁C/V(FL,FR)を用いずに逆流を防止してもよく、特に限定しない。
(フェイル時)
フェイル時には各電磁弁は非通電状態となり、常開のシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)及びインバルブIN/V(FL,FR)は自動的に開弁し、常閉のアウトバルブOUT/V(FL,FR)は閉弁となる。これによりマスタシリンダM/CとホイルシリンダW/C(FL,FR)は連通され、ホイルシリンダW/C(FL,FR)とリザーバRSVとが遮断されてマニュアルブレーキが確保される。
[ブレーキバイワイヤ増圧制御からマニュアルブレーキへの切替準備制御]
マニュアルブレーキへの切替直前までブレーキバイワイヤ増圧制御を行っていた場合、ホイルシリンダW/C(FL,FR)には高い残圧が残っている。
そのため、マニュアルブレーキに切り替えるとき、急にシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を開弁した際、開弁に伴ってホイルシリンダW/C(FL,FR)内の残圧がマスタシリンダM/Cに急激に逆流してしまう。
また、マニュアルブレーキ移行時(電源電圧V<アウトバルブ最低作動電圧Va)は、アウトバルブOUT/V(FL,FR)が作動せず、常閉状態となってアウトバルブOUT/V(FL,FR)から作動油が排出されないためホイルシリンダW/C(FL,FR)に残圧が発生する。
したがって、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)開弁時のキックバックの影響が顕著となる。アウトバルブOUT/V(FL,FR)はマニュアルブレーキ時に制動力を確保するため一般に常閉とされるため、この問題は大きいものとなる。
したがって本願実施例では、電源電圧Vの低下によってインバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)が作動停止した際、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を断続的に開閉する。
これによりホイルシリンダW/C内の残圧を徐々にマスタシリンダM/Cに導入し、マスタシリンダM/Cへの急激な逆流を回避することでペダルキックバックの低減を図る。断続開閉であれば比例弁を用いる必要がないため、実施例1ではシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)をON/OFF弁としてコスト低減を達成する。
また、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の最低作動電圧Vbは、モータM、インバルブIN/V(FL,FR)およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Vaよりも低く設けられている。そのため、常閉のアウトバルブOUT/V(FL,FR)が閉弁された後であってもシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の制御を継続し、確実にキックバック低減を図りつつ、減圧するものである。
なお、実施例1ではシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を断続的に開閉することとしたが、ホイルシリンダW/Cの残圧がマスタシリンダに急激に逆流することを回避できればよいため、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を比例弁とし、開度を徐々に大きくして急な逆流を回避してもよい(図5参照)。
[マニュアルブレーキ切替準備制御処理]
図3は、サブECU100において実行されるP系統マニュアルブレーキ切替準備制御処理(ステップS100)の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。なお、図3ではP系統(FL輪)についてのみ説明するが、FR輪(S系統)についても同一の制御を行う。
ステップS101では電源BATTの電圧Vを検出し、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、電源電圧VがモータM、インバルブIN/V(FL,FR)、アウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Va以上であるかどうかが判断され、YESであればステップS103へ移行し、NOであればステップS104へ移行する。
ステップS103ではブレーキバイワイヤ制御を継続し、制御を終了する。
ステップS104ではFL輪実ホイルシリンダ圧Pflを検出し、ステップS105へ移行する。
ステップS105ではペダルストロークSに基づき運転者のブレーキ意思が増圧か減圧かを判断し、増圧であればステップS106へ移行し、減圧であればステップS107へ移行する。
ステップS106では第1マスタシリンダ圧Pm1よりもFL輪実ホイルシリンダ圧Pflのほうが小さいかどうかが判断され、YESであればステップS109へ移行し、NOであればステップS107へ移行する。
ステップS107ではシャットオフバルブFL輪S.OFF/V(FL)を断続的に開閉し、ステップS108へ移行する。
ステップS108ではFL輪実ホイルシリンダ圧Pflが0Mpa(大気圧)であるかどうかが判断され、YESであれば残圧はないとしてステップS109へ移行し、NOであればステップS105へ戻る。Pfl=0Mpaであれば、FL輪ホイルシリンダW/C(FL)の残圧は完全に抜けておりFL輪のブレーキ引きずりを回避可能となるためである。
ステップS109ではシャットオフバルブS.OFF/V(FL)を完全に開弁し、P系統(FL輪)をマニュアルブレーキとして制御を終了する。
[マニュアルブレーキ切替制御の経時変化]
図4はマニュアルブレーキ切替制御のタイムチャートである。図4についても、FR輪とFL輪とは同一であるためFL輪についてのみ説明する。
(時刻t1)
時刻t1において電源電圧VがモータM、各輪のインバルブIN/V(FL,FR)、およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Vaを下回り、モータM、インバルブIN/V(FL,FR)、およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)が作動不能となってブレーキバイワイヤ制御から切替準備制御に移行する。
シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の最低作動電圧VbはVaよりも小さく、常開のシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)は作動可能であり閉弁されている。
(時刻t2)
時刻t2においてFL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)が開弁される。これによりFL輪実ホイルシリンダ圧Pflが低下する。
(時刻t3〜t8)
FL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)の閉弁、開弁を繰り返し、FL輪実ホイルシリンダ圧Pflを低下させる。
(時刻t9)
時刻t9においてFL輪実ホイルシリンダ圧Pfl=0MPa(大気圧)となり、FL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)が完全に開弁される。同時に電源電圧VがシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の最低作動電圧Vbを下回り、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)が作動不能となる。これによりFL輪(P系統)はマニュアルブレーキに移行する。
時刻t8の時点でFL輪実ホイルシリンダ圧Pflは十分低下しているため、時刻t9においてFL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)が開弁されても、FL輪実ホイルシリンダ圧PflがマスタシリンダM/Cに急激に逆流することはない。
(時刻t10)
時刻t10においてマニュアルブレーキによりマスタシリンダ圧PmがFL輪ホイルシリンダW/C(FL)に作用し、FL輪実ホイルシリンダ圧Pflが立ち上がる。
なお、チェック弁C/V(FL,FR)によってFL,FR輪間の作動油の逆流は防止されるため、マニュアルブレーキ移行タイミング(時刻t9に相当)がFL輪とFR輪で互いにずれていたとしても、一方の残圧が他方に流入することはない。
[実施例1の効果]
(1)実施例1では、マスタシリンダM/Cと、車両各輪に設けられたホイルシリンダW/Cと、マスタシリンダM/Cとは別途設けられ、ホイルシリンダW/Cの液圧を制御する液圧ユニットHUと、液圧ユニットHU内に設けられ、ホイルシリンダW/Cの液圧を増圧するポンプPと、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとを連通/遮断するシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)と、車両の状態に基づき、液圧ユニットHU、ポンプP、およびシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を制御するコントロールユニット1とを備えたブレーキ液圧制御装置において、コントロールユニット1は、液圧ユニットHUによってホイルシリンダW/Cの液圧を制御する場合、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を遮断し、マスタシリンダM/CによってホイルシリンダW/Cを増圧する場合、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を連通し、ホイルシリンダW/Cの液圧を、ポンプPによって制御する状態からマスタシリンダM/Cによって増圧する状態に移行する場合、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を徐々に連通することにより、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとを徐々に連通することとした。
これにより、ホイルシリンダW/C内の残圧を徐々にマスタシリンダM/Cに導入し、マスタシリンダM/Cへの急激な逆流を回避することでペダルキックバックの低減を図ることができる。
また、ホイルシリンダW/Cの液圧は、ポンプPを駆動してインバルブIN/V(FL,FR)を開弁することにより増圧されるとともに、常閉のアウトバルブOUT/V(FL,FR)を開弁することにより減圧され、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の最低作動電圧Vbは、ポンプP、インバルブIN/V(FL,FR)、およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Vaよりも低く設けられ、コントロールユニット1は、電源電圧VがポンプP、インバルブIN/V(FL,FR)、およびアウトバルブOUT/V(FL,FR)の最低作動電圧Vaよりも下回った場合、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を徐々に連通することとした。
これにより、常閉のアウトバルブOUT/V(FL,FR)が閉弁された後であってもシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の制御を継続し、確実にキックバック低減を図りつつ、減圧することができる。
マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとは、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)によって連通/遮断され、サブECU100は、ON/OFF弁であるシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を断続的に開閉することにより、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとを徐々に連通させることとした。
これにより、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を比例弁とせずともホイルシリンダW/C内の残圧を徐々にマスタシリンダM/Cに導入してペダルキックバックの低減を図ることが可能となり、高価な比例弁を用いることなく請求項1の作用効果を得ることができる。
サブECU100は、ホイルシリンダW/C圧が大気圧相当の液圧にまで低下した場合、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を完全に開弁することとした。これにより、実ホイルシリンダ圧Pfの残圧が抜けてからホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cを完全に連通するため、残圧によるブレーキの引きずりを防止することができる。
以下、実施例1の変形例を示す。
[実施例1−1]
図5は実施例1−1における液圧ユニットHUの油圧回路図である。実施例1−1では、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を比例弁とし、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を徐々に開弁することにより、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとを徐々に連通させることとしても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
[実施例2]
実施例2につき図6ないし図10に基づき説明する。図6は実施例2におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。実施例1ではフロントのみブレーキバイワイヤ制御を用い、油圧アクチュエータの数も液圧ユニットHU1つのみであった。
これに対し実施例2は4輪ブレーキバイワイヤシステムであり、独立して液圧を制御する2つの第1、第2液圧ユニットHU1,HU2(油圧アクチュエータ)を備える点で実施例1と異なる。実施例2では、この4輪ブレーキバイワイヤシステム搭載車両においてマニュアルブレーキ切替制御を行う。
[システム構成]
コントロールユニット1には、各車輪FL〜RR輪の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算するメインECU300と、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を駆動するサブECU100,200が設けられている。この第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はメインECU300からの指令に基づき第1、第2サブECU100,200により駆動される。
第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はそれぞれP,S系統の油路A1,A2によりマスタシリンダM/Cと接続し、油路B1,B2によりリザーバRSVと接続する。油路A1,A2には第1、第2M/C圧センサMC/Sen1,MC/Sen2が設けられている。
また、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2は、それぞれポンプP1,P2、モータM1,M2、および電磁弁を備え(図7参照)、それぞれ独立して液圧を発生させる油圧アクチュエータである。第1液圧ユニットHU1はFL,RR輪の液圧制御を行い、第2液圧ユニットHU2はFR,RL輪の液圧制御を行う。
すなわち、2つの液圧源であるポンプP1,P2によって、ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を直接増圧する。アキュムレータを用いずに直接第1、第2ポンプP1,P2によってホイルシリンダW/Cを増圧するため、故障時にアキュムレータ内のガスが油路内にリークすることがない。また、第1ポンプP1はFL,RR輪、ポンプ第2P2はFR,RL輪を増圧することにより、いわゆるX配管を構成する。
第1、第2液圧ユニットHU1,HU2はそれぞれ別体に設けられている。別体とすることで、一方の液圧ユニットにリークが発生した場合であっても、他方のユニットにより制動力を確保するものである。なお、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を一体に設け、電気回路構成を1箇所に集約してハーネス等を短縮し、レイアウトを簡素化することとしてもよく、特に限定しない。
ここで、装置のコンパクト性を追求するためには液圧源の数は少ないほうが望ましいが、従来例のように液圧源が1つの場合、液圧源フェールの際にバックアップが存在しないこととなる。一方、液圧源を各輪に設けて4つとした場合、フェールに対しては有利であるが、装置が大型化して制御も困難となってしまう。とりわけ、ブレーキバイワイヤ制御には冗長系を組むことが必須であるが、液圧源の増大に伴ってシステムが発散するおそれがある。
また、現在では車両のブレーキ油路はX配管が一般的であるが、X配管は対角輪(FL−RRまたはFR−RL)同士を油路によって接続し、それぞれの系を独立の液圧源(タンデム型マスタシリンダ等)によって増圧する。これにより、一方の対角輪側が失陥した場合であっても他方の対角輪が制動力を発生させることで、失陥時における制動力が左右いずれかに偏ることを回避するものであり、液圧源の数は2つであることが前提となっている。
このため、従来例のように液圧源の数が1つの場合、そもそもX配管の構成をとることはできない。液圧源が3つまたは4つの場合であっても、同一液圧源により対角輪同士を接続することはできないため、X配管を観念する余地はない。
したがって本願実施例では、現在普及しているX配管構造を変更することなく耐フェール性を向上させるため、それぞれ液圧源としてポンプP1,P2を有する液圧ユニットHU1,HU2を設けて液圧源2重系をとることとする。
また、車両制動時には前輪荷重が大きいため後輪制動力はさほど期待できず、加えて後輪制動力が大きいとスピンするおそれがある。そのため、前後輪の制動力配分は一般的に前輪のほうが大きく、例えば前輪2に対し後輪1である。
ここで、耐フェール性を高めるため液圧源を多重系として複数の液圧ユニットを搭載する場合であっても、コスト面からなるべく同一スペックの液圧ユニットを複数搭載することが望ましい。しかし、前後輪の制動力配分を考慮した場合、4輪全てに液圧源を設ける場合は前輪と後輪でスペックの異なる液圧ユニットを2つずつ用意しなければならず、高コストとなる。液圧源を3つとする場合であっても、前後輪の制動力配分が異なる以上同様の問題が発生する。
したがって本願実施例では、2つの液圧ユニットHU1,HU2をX配管構造とし、液圧ユニットHU1,HU2の油圧回路において前輪FL,FRの液圧と後輪RL,RRの液圧が2:1になるようバルブ開度等を予め設定することとする。このように同一スペックの液圧ユニットHU1,HU2を2つ搭載することにより、低コストな液圧源2重系を達成しつつ前後輪制動力配分を2:1とするものである。
[メインECU]
メインECU300は各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2が発生する目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算する上位CPUである。このメインECU300は第1、第2電源BATT1,BATT2に接続してBATT1,BATT2のいずれかが正常であれば作動するよう設けられ、イグニッション信号IGNにより、またはCAN3により接続する他のコントロールユニットCU1〜CU6からの起動要求により起動する。
メインECU300には第1、第2ストロークセンサS/Sen1、S/Sen2からストローク信号S1,S2、第1、第2M/C圧センサMC/Sen1,MC/Sen2からM/C圧Pmが入力される。
また、メインECU300には車輪速VSPおよびヨーレイトY、前後Gも入力される。さらに、リザーバRSVに設けられた液量センサL/Senの検出値が入力され、ポンプ駆動によるブレーキバイワイヤ制御を実行可能であるかが判断される。また、ストップランプスイッチSTP.SWからの信号により、ストローク信号S1,S2、およびM/C圧PmによらずブレーキペダルBPの操作を検出する。
このメインECU300内には演算を行う2つの第1、第2CPU310,320が設けられている。第1、第2CPU310,320は、それぞれ第1、第2サブECU100,200とCAN通信線CAN1,CAN2によって接続され、第1、第2サブECU100,200を介して第1、第2CPU310,320にポンプ吐出圧Pp1,Pp2および実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrが入力される。このCAN通信線CAN1,CAN2は相互に接続されるとともに、バックアップ用に2重系が組まれている。
入力されたストローク信号S1,S2、M/C圧Pm、実ホイルシリンダ圧Pfl〜Prrに基づき、第1、第2CPU310,320は目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを演算し、CAN通信線CAN1,CAN2を介して各サブECU100,200へ出力する。
なお、第1CPU310において第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrをまとめて演算し、第2CPU320は第1CPU310のバックアップ用としてもよく特に限定しない。
また、メインECU300はこのCAN通信線CAN1,CAN2を介して各サブECU100,200の起動を行う。第1、第2サブECU100,200をそれぞれ独立して起動する信号を発するが、1つの信号で各サブECU100,200を同時に起動することとしてもよく特に限定しない。またイグニッションスイッチIGNにより起動することとしてもよい。
ABS(車輪のロック回避のため制動力を増減する制御),VDC(車両挙動が乱れた際に横滑りを防ぐため制動力を増減する制御)およびTCS(駆動輪の空転を抑制する制御)等の車両挙動制御時には、車輪速VSPおよびヨーレイトY、前後Gも合わせて取り込んで目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrの制御を行う。VDC制御中にはブザーBUZZにより運転者に警告を発する。また、VDCスイッチVDC.SWにより制御のON/OFFを運転者の意思により切替可能となっている。
また、メインECU300はCAN通信線CAN3により他のコントロールユニットCU1〜CU6と接続し、協調制御を行う。回生ブレーキコントロールユニットCU1は制動力を回生して電力に変換し、レーダーコントロールユニットCU2は車間距離制御を行う。また、EPSコントロールユニットCU3は電動パワーステアリング装置のコントロールユニットである。
ECMコントロールユニットCU4はエンジンのコントロールユニット、ATコントロールユニットCU5は自動変速機のコントロールユニットである。さらに、メータコントロールユニットCU6は各メータを制御する。メインECU300に入力された車輪速VSPは、CAN通信線CAN3を介してECMコントロールユニットCU4、ATコントロールユニットCU5、メータコントロールユニットCU6へ出力される。
各ECU100,200,300の電源は第1、第2電源BATT1,BATT2である。第1電源BATT1はメインECU300および第1サブECU100に接続し、第2電源BATT2はメインECU300および第2サブECU200に接続する。
[サブECU]
第1、第2サブECU100,200はそれぞれ第1、第2液圧ユニットHU1,HU2と一体に設けられる。なお、車両レイアウトに合わせ別体としてもよい。
この第1、第2サブECU100,200には、メインECU300から出力された目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rr、および第1、第2液圧ユニットHU1,HU2からそれぞれポンプP1,P2の吐出圧Pp1,Pp2、各実ホイルシリンダ圧Pfl,PrrおよびPfr,Prlが入力される。
入力されたポンプ吐出圧Pp1,Pp2および実ホイルシリンダ圧Ffl〜Prrに基づき、目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrを実現するよう各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2内のポンプP1,P2、モータM1,M2、および電磁弁を駆動して液圧制御を行う。なお、第1、第2サブECU100,200は各第1、第2液圧ユニットHU1,HU2と別体であってもよい。
この第1、第2サブECU100,200は、一旦目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrが入力されると、新たな目標値が入力されるまでは前回入力値に収束するよう制御するサーボ制御系を構成している。
また、第1、第2サブECU100,200により電源BATT1,BATT2からの電流が第1、第2液圧ユニットHU1,HU2のバルブ駆動電流I1,I2およびモータ駆動電圧V1,V2に変換され、リレーRY11,12およびRY21,22を介して第1、第2液圧ユニットHU1,HU2へ出力される。
[液圧ユニットの目標値演算と駆動制御の分離]
本願のメインECU300は液圧ユニットHU1,HU2の目標値演算のみであり駆動制御は行わないが、仮にメインECU300が目標値演算と駆動制御の両方を行うものとした場合、CAN通信等により他のコントロールユニットとの協調制御に基づき液圧ユニットHU1,HU2に駆動指令を出力することとなる。
したがって、CAN通信線CAN3および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算が終了してから初めて目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrが出力されることとなるため、CAN通信線CAN3の通信速度および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算速度が遅い場合、ブレーキ制御も遅れてしまう。
また、車内の他の制御コントローラとの接続を行う通信線の速度を上げると高コストとなり、またノイズによる耐フェール性の低下を招くおそれがある。
そのため本願実施例では、ブレーキ制御におけるメインECU300の役割は液圧ユニットHU1,HU2の目標ホイルシリンダ圧P*fl〜P*rrの演算に留め、油圧アクチュエータである液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御はサーボ制御系を有する第1、第2サブECU100,200により行うこととする。
これにより、液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御は第1、第2サブECU100,200に特化させ、他のコントロールユニットCU1〜CU6との協調制御はメインECU300に行わせることで、通信速度および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算速度に影響されずに行うことが可能となる。
したがって、ブレーキ制御系を他の制御系に対し独立させて制御することで、ハイブリッド車や燃料電池車で必須となっている回生協調ブレーキシステム、車両統合制御やITS等様々なユニットを付加した場合であっても、これらのユニットとの融合を円滑に行いつつ、ブレーキ制御の応答性を確保するものである。
とりわけ、本願のようなブレーキバイワイヤシステムにあっては、使用頻度の高い通常ブレーキ時においてブレーキペダル操作量に合わせた緻密な制御が要求される。そのため、本願のように液圧ユニットの目標値演算制御と駆動制御との分離はより有効となる。
[マスタシリンダおよびストロークシミュレータ]
第1、第2ストロークシミュレータS/Sim1,S/Sim2はマスタシリンダM/Cに内蔵され、ブレーキペダルBPの操作に対し反力を発生させる。第1ストロークシミュレータS/Sim1は油路A1と接続し、第1キャンセルバルブCan/V1によって第1液圧ユニットHU1とマスタシリンダM/Cとの連通/遮断を切り替える。同様に第2ストロークシミュレータS/Sim2は油路A2上に設けられ、第2キャンセルバルブCan/V2により第2液圧ユニットHU2とマスタシリンダM/Cとの連通/遮断を切り替える。
したがって、第1液圧ユニットHU1においてブレーキバイワイヤ制御が実行されている場合は、第1キャンセル弁Can/V1が閉弁されて第1ストロークシミュレータSS/Sim1によりペダル反力を発生させる。第2液圧ユニットHU2においてブレーキバイワイヤ制御が実行される場合は第2キャンセル弁Can/V2を閉弁し、第2ストロークシミュレータS/Sim2により反力を付与する。
このように、実施例2においては第1液圧ユニットHU1に接続するFL−RR輪(P系統)と、第2液圧ユニットHU2に接続するFR−RL系統(S系統)とをそれぞれ独立してブレーキバイワイヤ制御を実行可能となっている。
第1、第2キャンセル弁Can/V1,Can/V2はメインECU300により開弁/閉弁され、ブレーキバイワイヤ制御終了時やサブECU100,200の失陥時に速やかにマニュアルブレーキに移行可能となっている。また、マスタシリンダM/Cには第1、第2ストロークセンサS/Sen1,S/Sen2が設けられている。ブレーキペダルBPのストローク信号S1,S2がメインECU300に出力される。
なお、実施例2では第1、第2ストロークシミュレータS/Sim1,2をFL−RR系統とFR−RL系統でそれぞれ独立させて設けたが、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の一方がマニュアルブレーキに移行した際であっても他方が独立してブレーキバイワイヤ制御可能な構成であればストロークシミュレータは1つでもよい。
[液圧ユニット]
図7、図8は第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の油圧回路図である。第1液圧ユニットHU1にはシャットオフバルブS.OFF/V、FL,RR輪インバルブIN/V(FL,RR)、FL,RR輪アウトバルブOUT/V(FL,RR)の各電磁弁、およびポンプP1、モータM1が設けられている。前輪FL,FRの液圧と後輪RL,RRの液圧がおおむね2:1になるよう、各バルブの開度等が予め設定されている。
ポンプP1の吐出側は油路C1(FL,RR)を介してそれぞれFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)と接続し、吸入側は油路B1を介してリザーバRSVと接続する。油路C1(FL,RR)はそれぞれ油路E1(FL,RR)を介して油路B1と接続する。
また、油路C1(FL)と油路E1(FL)の接続点I1は油路A1を介してマスタシリンダM/Cと接続する。さらに、油路C1(FL,RR)の接続点J1は油路G1を介して油路B1と接続する。
シャットオフバルブS.OFF/Vは常開電磁弁であり、油路A1上に設けられてマスタシリンダM/Cと接続点I1との連通/遮断を行う。
FL,RR輪インバルブIN/V(FL,RR)はそれぞれ油路C1,C1上に設けられた常閉比例弁であり、ポンプP1の吐出圧を比例制御してFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)に供給する。常閉とすることで、失陥時にマスタシリンダM/C圧PmがポンプP1側へ逆流することを防止する。
なお、実施例1と同様、インバルブIN/V(FL,RR)を常開とし、油路C1(FL,RR)上にポンプP1側への逆流防止用のチェック弁C/V(FL,RR)を設けて逆流を防止してもよい。常閉とすることで、消費電力を低減するものである。
FL,RR輪アウトバルブOUT/V(FL,RR)はそれぞれ油路E1(FL,FR)上に設けられている。FL輪アウトバルブOUT/V(FL)は常閉比例弁であるが、RR輪アウトバルブOUT/V(RR)は常開比例弁となっている。また、油路G1上にはリリーフバルブRef/Vが設けられている。
第1液圧ユニットHU1とマスタシリンダM/Cとの間の油路A1には第1マスタシリンダ圧センサMC/Sen1が設けられ、第1M/C圧Pm1をメインECU300へ出力する。また第1液圧ユニットHU1内であって油路C1(FL,FR)上にはFL,RR輪ホイルシリンダ圧センサWC/Sen(FL,RR)が設けられ、ポンプP1の吐出側にはポンプ吐出圧センサP1/Senが設けられてそれぞれの検出値Pfl,PrrおよびPp1を第1サブECU100へ出力する。
[通常ブレーキ]
(増圧時)
通常ブレーキ増圧時にはシャットオフバルブS.OFF/Vを閉弁、インバルブIN/V(FL,RR)を開弁、アウトバルブOUT/V(FL,RR)を閉弁し、モータMを駆動する。モータM1によりポンプP1が駆動されて吐出圧が油路C1(FL,FR)に供給され、インバルブIN/V(FL,RR)により液圧制御を行ってFL,RR輪ホイルシリンダW/C(FL,RR)に導入し、増圧を行う。
(減圧時)
通常ブレーキ減圧時にはインバルブIN/V(FL,RR)を閉弁、アウトバルブOUT/V(FL,RR)を開弁し、モータMを停止してFL,RRホイルシリンダW/C(FL,RR)の作動油をリザーバRSVに排出し、減圧を行う。
(保持時)
通常ブレーキ保持時にはインバルブIN/V(FL,RR)およびアウトバルブOUT/V(FL,RR)を全て閉弁し、ホイルシリンダ圧を保持する。
[マニュアルブレーキ]
システム失陥時等、マニュアルブレーキ時にはシャットオフバルブS.OFF/Vが開弁、インバルブIN/V(FL,RR)が閉弁される。したがってマスタシリンダ圧PmはRR輪ホイルシリンダW/C(RR)には供給されない。
一方、FL輪アウトバルブOUT/V(FL)は常閉であるため、マニュアル時には閉弁されてFL輪ホイルシリンダW/C(FL)にマスタシリンダ圧Pmが作用する状態となる。よって、運転者のペダル踏力によって増圧したマスタシリンダ圧PmをFL輪ホイルシリンダW/C(FL)に作用させ、マニュアルブレーキを確保する。
なお、マニュアルブレーキをRR輪にも作用させてもよいが、FL輪に加えRR輪のホイルシリンダ圧をペダル踏力により増圧する場合、運転者に与える踏力負荷が大きくなりすぎて現実的でない。したがって本願実施例では、第1液圧ユニットHU1においては制動力の大きいFL輪にのみマニュアルブレーキを作用させることとする。
このためRR輪アウトバルブは常開とされ、システム失陥時に速やかにRR輪ホイルシリンダW/C(RR)の残圧を排出させてRR輪のロックを回避することとする。
第2液圧ユニットHU2についても、回路構成および制御は同一である。第1液圧ユニットHU1と同様、FR輪アウトバルブOUT/V(FR)は常閉、RL輪アウトバルブOUT/V(RL)は常開とされてマニュアルブレーキはFR輪にのみ作用する。
[実施例2におけるマニュアルブレーキ切替制御]
実施例2にあっては第1、第2電源BATT1、BATT2による電源二重系、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2による液圧二重系、および第1、第2サブECU100,200による制御二重系を組んでいる。
これに加え、P,S系統にそれぞれ第1、第2ストロークシミュレータS/Sim1,S/Sim2を搭載しており、第1、第2キャンセルバルブCan/V1,Can/V2を独立して開閉することにより、一方の系統が失陥した際にも他方の系はブレーキバイワイヤ制御によるポンプ増圧を継続可能となっている。
例えば第1電源BATT1が失陥した場合、FL−RR系統をマニュアルブレーキに移行させ、FR−RL系統はブレーキバイワイヤ制御を継続することとなる。ここで、FL輪をマニュアルブレーキに移行させるためFL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)を急激に開弁すると、FR−RL系統のブレーキバイワイヤ制御が継続されているにもかかわらずキックバックが発生することとなり、運転者に対し不快感を与えてしまう。
したがって実施例2においても、FL,RR輪(P系統)の第1電源BATT1の電圧V1が低下してマニュアルブレーキに移行する際、常開比例弁であるFL輪シャットオフバルブS.OFF/V(FL)を徐々に開弁し、FL,RRホイルシリンダW/C(FL,RR)残圧の逆流によるペダルキックバックを回避する。FR,RL輪(S系統)の電源である第2電源BATT2の電圧低下時においても、同様にFR輪シャットオフバルブS.OFF/V(FR)を徐々に開弁する。
これにより、第1、第2電源BATT1,2のいずれかが失陥し、P,S系統の一方がマニュアルブレーキに移行する場合であってもペダルキックバックが抑制されるため、運転者に不快感を与えることなく他方の系統においてブレーキバイワイヤ制御を続行可能とする。
[P系統ブレーキバイワイヤ制御実施判定処理]
図9は、実施例2におけるブレーキバイワイヤ制御実施判定処理の流れを示すフローチャートである。ストロークシミュレータS/Simの切替弁Can/Vを閉じて各ホイルシリンダW/CをポンプP1,P2によって増圧するブレーキバイワイヤ制御を実行するか、切替弁Can/Vを開いてマスタシリンダ圧によって制動力を得るマニュアルブレーキを実行するかの切替えを行う。以下、各ステップにつき説明する。
なお、図9ではP系統(FL,RR輪に接続する第1液圧ユニットHU1)の実施判定のみを示すが、S系統(FR,RL輪に接続する第2液圧ユニットHU2)についても同様であるためP系統についてのみ説明する。
ステップS1では第1ストローク信号S1を読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では第1マスタシリンダ圧センサ値Pm1を読み込み、ステップS3へ移行する。
ステップS3では読み込んだ第1ストローク信号S1および第1マスタシリンダ圧センサ値Pm1に基づき運転者によるブレーキ要求があるかどうかを判断し、YESであればステップS4へ移行し、NOであればステップS8へ移行する。
ステップS4では第1キャンセル弁Can/V1を閉弁し、ステップS10へ移行する。
ステップS10ではP系統ブレーキバイワイヤ制御を実行し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では第1ストロークセンサ値S1を読み込み、ステップS6へ移行する。
ステップS6では第1マスタシリンダ圧センサ値Pm1を読み込み、ステップS7へ移行する。
ステップS7では読み込んだ第1ストローク信号S1および第1マスタシリンダ圧センサ値Pm1に基づき運転者によるブレーキ要求があるかどうかを判断し、YESであればステップS10へ移行し、NOであればステップS8へ移行する。
ステップS8では第1キャンセル弁Can/V1を開弁し、ステップS100へ移行する。
ステップS100ではP系統のマニュアルブレーキ切替制御(図3参照)を実行し、制御を終了する。
[P系統マニュアルブレーキ切替制御処理]
P系統のマニュアルブレーキ切替制御処理については実施例1(図3)と同様であるため、説明は省略する。
[P系統ブレーキバイワイヤ制御処理]
図10は、メインECU300および第1サブECU100において実行されるブレーキバイワイヤ制御処理(図9:ステップS10)の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。図9同様、P系統についてのみ説明する。
ステップS11では第1ストローク信号S1を読み込み、ステップS12へ移行する。
ステップS12では第1マスタシリンダ圧Pm1を読み込み、ステップS13へ移行する。
ステップS13ではメインECU300の第1CPU310において第1液圧ユニットHU1の目標ホイルシリンダ圧P*fl,P*rrを演算し、ステップS14へ移行する。
ステップS14ではメインECU300から第1サブECU100へ目標ホイルシリンダ圧P*fl,P*rrを送信し、ステップS15へ移行する。
ステップS15では第1サブECU100が目標ホイルシリンダ圧P*fl,P*rrを受信し、ステップS16へ移行する。
ステップS16では第1サブECU100が第1液圧ユニットHU1を駆動して実ホイルシリンダ圧Pfl,Prrを制御し、ステップS17へ移行する。
ステップS17では第1サブECU100が実ホイルシリンダ圧Pfl,PrrをメインECU300へ送信し、ステップS18へ移行する。
ステップS18ではメインECU300が各実ホイルシリンダ圧Pfl,Prrを受信し、制御を終了する。
[実施例2の効果]
実施例2では、ホイルシリンダW/Cの目標液圧P*を演算するメインECU300と、メインECU300により演算された目標液圧P*に基づき液圧ユニットHU1,HU2を駆動するサブECU100,200とを有するブレーキ制御装置において、電源電圧Vの低下に伴ってブレーキバイワイヤ制御からマニュアルブレーキに移行する際に、実施例1と同様にシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)によってマスタシリンダM/CとFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)を徐々に連通することとした。
これにより、4輪ブレーキバイワイヤシステム搭載車両にあっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
とりわけ、実施例2のようにP,S系統のうち一方の系統が失陥した場合であっても他方はブレーキバイワイヤ制御を継続するシステムの場合、実施例1のようにP,S両系統が同時にマニュアルブレーキに移行するシステムよりもキックバックによる不快感はより顕著となる。
そのため、実施例2のシステムを搭載する車両にあっては、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)によってマスタシリンダM/CとFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)を徐々に連通する本願実施例のマニュアルブレーキ切替制御がより有効である。
また、実施例2ではホイルシリンダW/Cの目標液圧P*(fl〜rr)を演算するメインECU300と、メインECU300により演算された目標液圧P*(fl〜rr)に基づき第1、第2液圧ユニットHU1,HU2を駆動するサブECU100,200とを有することとした。
これにより、第1、第2サブECU100,200は液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御に特化させ、メインECU300は目標液圧P*(fl〜rr)の演算および他のコントロールユニットCU1〜CU6との協調制御に特化させることで、目標液圧P*(fl〜rr)演算と第1、第2液圧ユニットHU1,HU2の駆動制御を別体のコントロールユニットで行い、通信速度および他のコントロールユニットCU1〜CU6の演算速度に影響されずに行うことが可能となる。よって、様々なユニットを付加した場合であっても、これらのユニットとの融合を円滑に行いつつ、ブレーキ制御の応答性を確保することができる。
第1液圧ユニットHU1はFL輪およびRR輪の増減圧を行い、第2液圧ユニットHU2はFR輪およびRL輪の増減圧を行うこととした。X配管構造とすることで、液圧ユニットHU1,HU2の油圧回路において前輪FL,FRの液圧と後輪RL,RRの液圧が2:1になるようバルブ開度等を予め設定することが可能となる。よって、同一スペックの液圧ユニットHU1,HU2を2つ搭載することにより、液圧源2重系を達成しつつ前後輪制動力配分を2:1とすることができる。
第1サブECU100によって第1液圧ユニットHU1の駆動を行い、第2サブECU200によって第2液圧ユニットHU2の駆動を行うこととした。これにより、第1、第2液圧ユニットHU1,HU2のいずれかが失陥した場合であっても、他方の液圧ユニットにより制動力を確保することができる。
第1、第2サブECU100,200には、それぞれ第1、第2電源BATT1,BATT2が供給されるとともに、メインECU300には、第1、第2電源BATT1,BATT2がともに供給され、メインECU300は第1、第2電源BATT1,BATT2のいずれか1つの電源のみで作動することとした。これにより、電源BATT1,BATT2のいずれかが失陥した場合であっても液圧ユニットHU1,HU2のいずれかを駆動することにより、制動力を確保することができる。
メインECU300と第1、第2サブユニット100,200とは、2系統以上のCAN通信線CAN1,CAN2によって通信を行うこととした。これにより、通信2重系を確保できる。
マスタシリンダM/Cと接続するブレーキペダルBPに操作反力を付与する第1、第2ストロークシミュレータS/Sim1,S/Sim2を備え、メインECU300は、第1、第2ストロークシミュレータS/Sim1,S/Sim2とマスタシリンダM/Cとの連通/遮断を切り替えることとした。これにより、ブレーキバイワイヤ制御終了時や第1、第2サブECU100,200の失陥時に速やかにマニュアルブレーキに移行することができる。
ブレーキペダルBPとマスタシリンダM/Cとの連通/遮断を切り替える第1、第2キャンセル弁Can/V1,Can/V2をさらに備え、この第1、第2キャンセル弁Can/V1,Can/V2は、メインECU300によって開閉制御されることとした。メインECU300により開弁/閉弁することで、速やかにマニュアルブレーキに移行できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、図11に示すように、回生協調ブレーキシステム、ITS等様々な制御を行う統合コントローラ600を設けた場合であっても、ブレーキ制御系を他の制御系に対し独立させて制御を行っているため、ブレーキ制御系に特別の処置を施すことなく統合コントローラ600を容易に融合させることができる。
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置において、
前記ホイルシリンダの液圧は、増圧電磁弁を開弁し、前記液圧源を駆動することにより増圧されるとともに、常閉の減圧電磁弁を開弁することにより減圧され、
前記切替手段の最低作動電圧は、前記液圧源、前記増圧電磁弁、および前記減圧電磁弁の最低作動電圧よりも低く設けられ、
前記制御手段は、電源電圧が前記液圧源、前記増圧電磁弁、および前記減圧電磁弁の最低作動電圧よりも下回った場合、前記切替手段を徐々に連通すること
を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
常閉のアウトバルブOUT/V(FL,FR)が閉弁された後であってもシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)の制御を継続し、確実にキックバック低減を図りつつ、減圧することができる。
(ロ)上記(イ)に記載のブレーキ液圧制御装置において、
前記切替手段はON/OFF電磁弁である切替弁であって、
前記制御手段は、前記切替弁を断続的に開閉することにより、前記ホイルシリンダと前記マスタシリンダとを徐々に連通させること
を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を比例弁とせずともホイルシリンダW/C内の残圧を徐々にマスタシリンダM/Cに導入してペダルキックバックの低減を図ることが可能となり、高価な比例弁を用いることなく請求項1の作用効果を得ることができる。
(ハ)上記(イ)に記載のブレーキ液圧制御装置において、
前記切替手段は比例電磁弁である切替弁であって、
前記制御手段は、前記切替弁を徐々に開弁することにより、前記ホイルシリンダと前記マスタシリンダとを徐々に連通させること
を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
実ホイルシリンダ圧Pfの残圧が抜けてからホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cを完全に連通するため、残圧によるブレーキの引きずりを防止することができる。
(ニ)上記(ロ)または(ハ)に記載のブレーキ液圧制御装置において、
前記制御手段は、前記ホイルシリンダ圧が大気圧相当の液圧にまで低下した場合、前記切替弁を完全に開弁すること
を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を比例弁とし、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を徐々に開弁することにより、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとを徐々に連通させることとしても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
実施例1におけるブレーキ液圧制御装置のシステム構成図である。 実施例1における液圧ユニットの油圧回路図である。 P系統マニュアルブレーキ切替準備制御処理の流れを示すフローチャートである。 マニュアルブレーキ切替制御のタイムチャートである。 実施例1−1における液圧ユニットの油圧回路図である。 実施例2におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。 実施例2における第1液圧ユニットの油圧回路図である。 実施例2における第2液圧ユニットの油圧回路図である。 実施例2におけるブレーキバイワイヤ制御実施判定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2におけるブレーキバイワイヤ制御処理の流れを示すフローチャートである。 他の実施例を示す図である。
符号の説明
1 コントロールユニット
6 後輪ブレーキアクチュエータ
7 電動キャリパ
9 回生ブレーキ装置
100,200 サブECU
300 メインECU
310,320 第1、第2CPU
S/Sen1,S/Sen2 ストロークセンサ
L/Sen 液量センサ
MC/Sen1,MC/Sen2 マスタシリンダ圧センサ
WC/Sen(FL〜RR) FL〜RR輪ホイルシリンダ圧センサ
P/Sen1,2 第1、第2ポンプ圧センサ
A〜G 油路
BP ブレーキペダル
BATT1,BATT2 第1、第2電源
BUZZ ブザー
C/V チェック弁
Can/V1,2 第1、第2キャンセル弁
CAN1〜CAN3 CAN通信線
CU1 回生ブレーキコントロールユニット
CU2 レーダーコントロールユニット
CU3 EPSコントロールユニット
CU4 EMSコントロールユニット
CU5 ATコントロールユニット
CU6 メータコントロールユニット
HU1,HU2 第1、第2液圧ユニット
IGN イグニッションスイッチ
IN/V インバルブ
I,J 接続点
M/C マスタシリンダ
M1,M2 第1、第2モータ
OUT/V アウトバルブ
P1,P2 ポンプ
Ref/V リリーフバルブ
RSV リザーバ
RY11〜22 リレー
S.OFF/V シャットオフバルブ
S/Sim1,2 第1、第2ストロークシミュレータ
STP.SW ストップランプスイッチ
VDC.SW VDCスイッチ

Claims (1)

  1. マスタシリンダと、
    車両各輪に設けられたホイルシリンダと、
    前記マスタシリンダとは別途設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を制御する油圧アクチュエータと、
    前記油圧アクチュエータ内に設けられ、前記ホイルシリンダの液圧を増圧する液圧源と、
    前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを連通/遮断する切替手段と、
    前記車両の状態に基づき、前記油圧アクチュエータ、前記液圧源、および前記切替手段を制御する制御手段と
    を備えたブレーキ液圧制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記油圧アクチュエータによって前記ホイルシリンダの液圧を制御する場合、前記切替手段を遮断し、
    前記マスタシリンダによって前記ホイルシリンダを増圧する場合、前記切替手段を連通し、
    前記ホイルシリンダの液圧を、前記液圧源によって制御する状態から前記マスタシリンダによって増圧する状態に移行する場合、前記切替手段を徐々に連通することにより、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを徐々に連通すること
    を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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