JP2007215613A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリウレタンカバーを有するゴルフボールについて、耐擦過傷性を向上することを目的とする。本発明は、さらに反発性および打球感を向上することを第二の目的とする。
【解決手段】本発明のゴルフボールは、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーは、ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として含有するものであって、前記ポリカーボネートポリオールは、繰返し構成単位として、下記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する下記式(II)で表わされる繰返し単位(B)とを有し、(A)/(B)のモル比率が30/70〜70/30であることを特徴とする。
Figure 2007215613

式(I)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
Figure 2007215613

式(II)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタンカバーを有するゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ポリカーボネートポリオール系熱可塑性ポリウレタンカバーを有するゴルフボールに関するものである。
ゴルフボールのカバーを構成する基材樹脂としては、アイオノマー樹脂やポリウレタンが使用されている。アイオノマー樹脂を使用したカバーは、反発性や耐久性、加工性などに優れることから、広く使用されているが、高い剛性と硬度を有するために打球感が悪く、また、スピン性能も十分なものが得られずコントロール性が劣るなどの問題が指摘されている。一方、アイオノマー樹脂に比べて打球感やスピン特性が向上することから、カバーを構成する基材樹脂として、ポリウレタンが使用されている。しかし、ポリウレタンを使用したカバーの耐擦過傷性は満足できるレベルとは言えず、さらに反発性も必ずしも十分ではない。
このような問題を解決すべく、カバーの基材樹脂として、ポリカーボネートポリオールを構成成分として使用する熱可塑性ポリウレタンが開示されている(例えば、特許文献1、2)。特許文献1には、コアと該コアを被覆するポリウレタンカバーとを有するゴルフボールにおいて、前記ポリウレタンカバーは、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを硬化剤で硬化してなる硬化体で構成され、ウレタンプレポリマーを構成するポリオール成分は、数平均分子量300〜3000のポリカーボネートであるゴルフボールが開示されている。特許文献2には、ポリカーボネート中間体として、ポリ(1,6−ヘキシル−1,2−エチルカーボネート)を使用するポリカーボネート−ウレタンを構成部材として使用するゴルフボールが開示されている。
特開2002−272878号公報 米国特許第6855793号公報
特許文献1に開示された1,6−ヘキサンジオールを用いるポリカーボネートを使用すると、反発性は向上するが、結晶性が高すぎるためにこれを使用したポリウレタンカバーの耐擦過傷性は満足できるものではなかった。また、特許文献2に開示されているようなポリカーボネートウレタンは、界面活性オリゴマーで変性しなければ所望の性能を満足することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポリウレタンカバーを有するゴルフボールについて、耐擦過傷性を向上することを目的とする。さらに、本発明は、反発性および打球感を向上することを第二の目的とする。
本発明のゴルフボールは、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーは、ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として含有するものであって、前記ポリカーボネートポリオールは、繰返し構成単位として、下記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する下記式(II)で表わされる繰返し単位(B)とを有し、(A)/(B)のモル比率が30/70〜70/30であることを特徴とする。
Figure 2007215613
式(I)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
Figure 2007215613
式(II)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
すなわち、本発明では、熱可塑性ポリウレタンを構成するポリカーボネートポリオールとして、異なる2種類の繰返し単位を有するものを使用しているので、結晶性が高くなりすぎず、得られるウレタンカバーの耐擦過傷性を向上することができる。また、炭素数が4〜6の繰返し単位を有しているので、結晶性が低くなりすぎず、熱可塑性ポリウレタンの機械的物性が良好であり、得られるウレタンカバーの反発性が低下することもない。
前記ポリカーボネートポリオールとして好ましいのは、Rが、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、または、1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるものを挙げることができ、より好ましくは、Rが、1,4−ブタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であり、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるもの、あるいは、Rが、1,5−ペンタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であって、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるものを挙げることができる。
また、前記熱可塑性ポリウレタンは、破断伸度を100%としたときに、80%の伸張におけるヒステリシスロスが印加エネルギーの35%以下のものであることが好ましい。
本発明によれば、耐擦過傷性に優れるウレタンカバーを有するゴルフボール、さらには、反発性および打球感に優れるゴルフボールが得られる。
本発明のゴルフボールは、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーは、ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として含有するものであって、前記ポリカーボネートポリオールは、繰返し構成単位として、下記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する下記式(II)で表わされる繰返し単位(B)とを有し、(A)/(B)のモル比率が30/70〜70/30であることを特徴とする。
Figure 2007215613
式(I)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
Figure 2007215613
式(II)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
まず、本発明において使用するポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンについて説明する。前記熱可塑性ポリウレタンとしては、ポリカーボネートポリオールを構成成分とし、ウレタン結合を分子内に複数有し、熱可塑性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールとを反応させることによって、ウレタン結合が分子内に形成された生成物であり、必要に応じて、さらに低分子量のポリオールやポリアミンなどによって鎖長延長反応させることにより得られものである。ここで、「ポリカーボネートポリオール」とは、当業者には周知であるが、低分子量のジオール成分などがカーボネート結合で結合されている末端ヒドロキシル基を複数有する化合物である。
本発明で使用するポリカーボネートポリオール(好ましくは、ポリカーボネートジオール)は、繰返し構成単位として、下記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する下記式(II)で表わされる繰返し単位(B)とを有し、(A)/(B)のモル比率が30/70〜70/30であり、より好ましくは(A)/(B)のモル比率が40/60〜60/40であり、さらに好ましくは(A)/(B)のモル比率が50/50である。前記(A)/(B)の一方のモル比率が高くなりすぎると、ポリカーボネートポリオールの結晶性が高くなりすぎて、得られるウレタンカバーの耐擦過傷性が低下するからである。
Figure 2007215613
式(I)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
Figure 2007215613
式(II)
(Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
ここで、繰返し単位(A)のRと繰返し単位(B)のRは、それぞれ炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であって、異なるものであれば良い。RとRの構造として異なる構造を採用することによって、ポリカーボネートポリオールの結晶性が抑制される。
前記炭素数が4〜6個のジオールとしては、例えば、炭素数が4個のジオールとして、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができ、炭素数が5個のジオールとして、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,1−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオールなどを挙げることができ、炭素数が6個のジオールとして、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロへサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、エチルブタンジオール、トリメチルプロパンジオール、メチルエチルプロパンジオールなどを挙げることができる。
前記ポリカーボネートポリオールとして好ましいのは、Rが、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、または、1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるポリカーボネートポリオールを挙げることができ、より好ましくは、Rが、1,4−ブタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であり、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるポリカーボネートポリオール、または、Rが、1,5−ペンタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であって、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であるポリオールである。
尚、本発明で使用するポリカーボネートポリオールとしては、繰返し構成単位として、上記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、上記式(II)で表わされる繰返し単位(B)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で第三の繰返し構成単位を含有することもできるが、繰返し構成単位として、実質的に繰返し単位(A)および(B)のみからなる態様が最も好ましい。
本発明で使用する熱可塑性ポリウレタンを構成するポリカーボネートポリオールは、重量平均分子量が、1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上であって、4,000以下、より好ましくは3,500以下、更に好ましくは3,000以下であることが望ましい。
本発明で使用する熱可塑性ポリウレタンを構成するポリオール成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、汎用のポリオールを使用することもできる。斯かる汎用のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びアクリルポリオールなどが挙げられ、上述したポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。
前記汎用ポリオールの重量平均分子量は、400以上10,000以下が好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種、または、2種以上の混合物などである。
耐擦過傷性を向上するという観点からは、ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDIなど)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られるからである。
鎖長延長剤として使用できる低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。
また、鎖長延長剤として使用できる低分子量のポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基を有するものであれば特に限定されない。前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族系ポリアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式系ポリアミン、及び、芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
前記芳香族ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接又は間接的に結合しているものであれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えば低級アルキレン基を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミンでもよい。
前記単環式芳香族ポリアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。また、前記多環式芳香族ポリアミンとしては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリ(アミノベンゼン)でもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介在して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、4,4'−ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体が特に好ましい。
本発明で使用するポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンの構成態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート成分と前記ポリカーボネートポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と前記ポリカーボネートポリオール成分と低分子量ポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と前記ポリカーボネートポリオール成分と低分子量ポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と前記ポリカーボネートポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様などを挙げることができる。
本発明で使用する前記熱可塑性ポリウレタンは、破断伸度を100%としたときに、80%の伸張におけるヒステリシスロスが印加エネルギーの35%以下のものであることが好ましく、より好ましくは5%以上30%以下、さらに好ましくは10%以上25%以下である。熱可塑性ポリウレタンのヒステリシスロスは、使用するポリカーボネートの結晶性と相関があり、熱可塑性ポリウレタンのヒステリシスロスが35%を超えると、使用するポリカーボネートの結晶性が高くなりすぎるため、ウレタンカバーの耐擦過傷性が低下する場合がある。
本発明のゴルフボールのカバーは、上述したポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂を含有するものであれば、特に限定されず、例えば、基材樹脂100質量部中、前記熱可塑性ポリウレタンを50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上含有するものが望ましい。また、基材樹脂として、前記熱可塑性ポリウレタンのみを使用することも好ましい態様である。
前記熱可塑性ポリウレタンと併用し得る他の樹脂成分としては、従来公知のアイオノマー樹脂のほか、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFポリウレタンエラストマーズ社から商品名「エラストラン(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。
本発明において、前記カバーは、上述した熱可塑性ポリウレタンのほか、酸化亜鉛、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
本発明において、ゴルフボールのウレタンカバーの厚みは、1.0mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。1.0mm以下とすることによって、コアの外径を大きくできるため、反発性能を向上させることができるからである。ウレタンカバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0.3mmである。0.3mm未満では、ウレタンカバーの成形が困難になる虞があるからである。
前記ウレタンカバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、50以下が好ましく、45以下がより好ましい。カバー硬度が20未満では、ゴルフボールの反発性が低下して飛距離が低下する場合があるからである。一方、カバー硬度が50超では、得られるゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。前記カバーのスラブ硬度は、カバー用組成物を熱プレス成形により、厚み約2mmのシートに成形し、23℃で2週間保存し、このシートを測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定することができる。
本発明は、カバーを有するゴルフボールに好適に利用することができ、コアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆する中間層と前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール、少なくとも4層以上からなるマルチピースゴルフボール、糸巻きコアとカバーとを有する糸巻きゴルフボールのいずれにも適用することができる。なお、スリーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボールにおいて、中間層をコアの一部と看做す場合には多層コアという場合があり、中間層をカバーの一部と看做す場合には多層カバーという場合がある。
以下、本発明のゴルフボールの製造方法について、ツーピースゴルフボールの態様に基づいて説明するが、本発明の製造方法は、斯かる製造方法に限定されるものではない。
ツーピースゴルフボールのコアとしては、従来から公知のコアを使用することができ、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、充填材、老化防止剤等を含有するコア用ゴム組成物を加熱プレスして得られる。前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤としては、有機過酸化物を好適に使用できる。前記有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上であって、5質量部以下、より好ましくは3質量部以下であることが望ましい。0.3質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、5質量部を超えると、硬くなりすぎて、打球感が低下するからである。
前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩を使用できる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。前記α,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩として好ましいのは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛である。
前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であって、55質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは48質量部以下であることが望ましい。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために有機過酸化物の使用量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が55質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下する虞がある。
前記充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下、好ましくは20質量部以下であることが望ましい。0.5質量部未満では、比重調整が困難になり適正な重量が得られなくなり、30質量部を超えるとコア全体に占めるゴム分率が小さくなって反発性が低下するからである。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、及び、充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、又は、しゃく解剤等を適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。ジフェニルジスルフィド類の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コアは、前述のコア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで10〜40分間で行われる。
本発明では、例えば、前記コアを、上述した熱可塑性ポリウレタンを含有するカバー用組成物で被覆してゴルフボールを成形する。前記カバーを被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを成形する方法で行うことができる。例えば、カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。また、カバーを被覆してゴルフボール本体を作製する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。さらに、ゴルフボール本体表面は、必要に応じて、マークや塗膜との密着性を向上するために、サンドブラスト処理のような研磨処理がなされてもよい。
本発明のゴルフボールは、糸巻きゴルフボールにも適用できる。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤等を配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
また、本発明のゴルフボールが、スリーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボールの場合、中間層としては、例えば、ゴム組成物の硬化物、従来公知のアイオノマー樹脂の外、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン社から商品名「エラストラン(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。前記アイオノマー樹脂としては、特にエチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、又は、これらの混合物を挙げることができる。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているハイミラン(Himilan)1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)等が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、サーリン(Surlyn)8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)等が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、アイオテック(Iotek)8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)等が挙げられる。
尚、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステン等の比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)耐擦過傷性
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットに市販のピッチングウエッジを取り付け、ヘッドスピードを36m/秒でボールの2箇所を各1回打撃し、打撃部を観察して、5段階で評価した。
評価基準
5点:傷がついていないか、ほとんど傷が目立たない。
4点:やや傷が見られるものの、ほとんど気にならない。
3点:表面がやや毛羽立っている。
2点:表面が毛羽立ったり、ディンプルが欠けたりしている。
1点:ディンプルが完全に削り取られてしまっている。
(2)ヒステリシスロスの測定方法
熱可塑性ポリウレタンを用いて巾5mm、厚み2mmの試料を作製し、これをオートグラフ引張試験機(島津製作所製)を用いて、チャック間距離80mm、ヘッドスピード300mm/分で引張試験を行い、その試料の破断伸度を求めた。次いで、新たな試料を用いて同一条件で破断伸度に対して80%の伸度におけるヒステリシスロスの測定を行った。
ヒステリシスロスは、得られたチャートの面積比から以下のようにして算出した。
ヒステリシスロス率(%)=100×面積(oabcd)/面積(oabed)
ここで、図1は、上記試料のヒステリシスロスを測定して得られるチャートを模式的に示したものであり、面積(oabcd)と面積(oabeo)はそれぞれ、図1中に示された領域(oabcd)と領域(oabeo)の面積を意味する。
(3)打球感
ゴルファー10人(プロ2人、ハンデキャップ5以下の上級アマ8人)により、メタルヘッド製W#1ドライバーを用いて実打テストを行って、打撃時の衝撃の反発感を下記基準に基づいて評価を行い、最も多い評価結果をそのゴルフボールの打球感とした。
○:反発感があって良い
△:普通
×:重い感じで反発感が弱くて悪い
(4)ゴルフボール反発係数
各ゴルフボールに200gのアルミニウム製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。尚、反発係数は、ゴルフボールNo.3の値を100として指数化した値を示した。指数値が大きいほど、反発性が良いことを意味する。
(5)スラブ硬度(ショアD硬度/ショアA硬度)
カバー用組成物またはポリウレタンを用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型/A型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
[スリーピースゴルフボールの作製]
(1)多層コアの作製
表1に示す配合のコア用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で140℃で30分間加熱プレスすることにより直径38.5mm、質量34.9gの球状の内層コア(センター)を得た。
Figure 2007215613
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製のBR730(ハイシスポリブタジエン)
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製のZNDA−90S
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
尚、酸化亜鉛は、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
次いで、アイオノマー樹脂として、三井デュポンポリケミカル社製「ハイミラン1605」50質量部とデュポン社製「サーリン9945」50質量部とを二軸混練押出機によりミキシングしてペレット状の外層コア用材料を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行い、外層コア用材料は、押出機のダイの位置で150℃〜230℃に加熱された。得られた外層コア用材料を内層コア上に直接射出成形することにより内層コアと外層コアからなる多層コア(直径41.7mm)を作製した。
(2)カバー材料の調製
表2に示した配合のカバー材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー材料を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。
(3)ハーフシェルの成形
ハーフシェルの圧縮成形は、前述のようにして得たペレット状のカバー材料をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つづつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分間、および、成形圧力100kgf/cmで行った。
(4)カバーの成形
(1)で得られた多層コアを(3)で得られた2枚のハーフシェルで被覆して、圧縮成形によりカバーを成形した。成形は、成形温度140℃、成形時間5分、成形圧力100kgf/cmで行った。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理をして、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。
得られたゴルフボールについて、耐擦過傷性、反発性、打球感について評価した結果を併せて表2に示した。
Figure 2007215613
熱可塑性ポリウレタン1:旭化成ケミカルズ社製 PCDL T4652
熱可塑性ポリウレタン2:旭化成ケミカルズ社製 PCDL T5652
熱可塑性ポリウレタン3:旭化成ケミカルズ社製 PCDL T4672
熱可塑性ポリウレタン4:旭化成ケミカルズ社製 PCDL T4692
熱可塑性ポリウレタン5:旭化成ケミカルズ社製 PCDL T6002
ゴルフボールNo.1〜No.3は、コアと中間層とカバーとを有するスリーピースゴルフボールであって、前記カバーは、ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として含有するものであって、前記ポリカーボネートポリオールを構成する繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する繰返し単位(B)とが、(A)/(B)のモル比率30/70〜70/30を満足する場合である。いずれの場合も、耐擦過傷性に優れていることが分かる。さらに、打球感および反発性も優れていた。一方、ゴルフボールNo.4は、一方の成分である(A)が過剰なポリカーボネートポリオールを使用した場合であり、ゴルフボールNo.5は、一方の成分である(A)のみからなるポリカーボネートポリオールを使用した場合である。いずれの場合も、ヒステリシスロスが35%を超えるものであり、耐擦過傷性が著しく低下していることが分かる。
本発明は、耐擦過傷性に優れるウレタンカバーを有するゴルフボール、さらには、反発性および打球感に優れるゴルフボールとして有用である。
ヒステリシスロスの説明図。

Claims (5)

  1. カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーは、ポリカーボネートポリオールを構成成分として含有する熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として含有するものであって、
    前記ポリカーボネートポリオールは、繰返し構成単位として、下記式(I)で表わされる繰返し単位(A)と、(A)とは異なる構造を有する下記式(II)で表わされる繰返し単位(B)とを有し、(A)/(B)のモル比率が30/70〜70/30であることを特徴とするゴルフボール。
    Figure 2007215613
    式(I)
    (Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
    Figure 2007215613
    式(II)
    (Rは、炭素数が4〜6個のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基)
  2. が、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、または、1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. が、1,4−ブタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であり、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基である請求項1に記載のゴルフボール。
  4. が、1,5−ペンタンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基であって、Rが1,6−ヘキサンジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基である請求項1に記載のゴルフボール。
  5. 前記熱可塑性ポリウレタンは、破断伸度を100%としたときに、80%の伸張におけるヒステリシスロスが印加エネルギーの35%以下のものである請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフボール。
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